1 00:00:33,942 --> 00:00:43,942 ♬~(テーマ音楽) 2 00:01:41,993 --> 00:01:45,997 (草若)常打ち小屋造りに 乗り出そう思てんのや。 3 00:01:45,997 --> 00:01:49,000 (喜代美)常打ち小屋? 4 00:01:49,000 --> 00:01:53,955 大阪に 落語の常打ち小屋 造りたいねん。 5 00:01:53,955 --> 00:02:15,994 ♬~ 6 00:02:15,994 --> 00:02:17,946 (糸子)師匠。 7 00:02:17,946 --> 00:02:19,931 はい。 8 00:02:19,931 --> 00:02:24,936 よろしいですか? どうぞ。 9 00:02:24,936 --> 00:02:34,936 ♬~ 10 00:02:36,931 --> 00:02:40,935 師匠。 はい。 11 00:02:40,935 --> 00:02:44,939 入院しなれ。 12 00:02:44,939 --> 00:02:50,639 そねして下さい。 お願いします! 13 00:02:56,935 --> 00:03:00,939 奥さん 言いましたやろ。 14 00:03:00,939 --> 00:03:03,925 私 やらなあかん事が ありますねや。 15 00:03:03,925 --> 00:03:06,928 怖いんですやろ。 16 00:03:06,928 --> 00:03:15,928 何か やっとらんと怖いさけ そね 次々 動き回ってんやな。 17 00:03:23,928 --> 00:03:27,966 かないまへんな 奥さんには。 18 00:03:27,966 --> 00:03:35,006 ♬~ 19 00:03:35,006 --> 00:03:40,506 昔 常打ち小屋の事で 何があったんですか? 20 00:03:43,164 --> 00:03:47,619 (草々)うん…。 ちょうど お前が来る 3年前➡ 21 00:03:47,619 --> 00:03:50,989 おかみさんが入院してはった頃や。 22 00:03:50,989 --> 00:03:53,992 師匠は 「常打ち小屋 造ろう」言うて➡ 23 00:03:53,992 --> 00:04:00,999 柳宝師匠やら 尊徳師匠やら 漢五郎師匠に 声かけはった。 24 00:04:00,999 --> 00:04:05,937 常打ち小屋は 上方落語会の悲願やから。 25 00:04:05,937 --> 00:04:09,941 そんな声は 戦後 何べんも 上がっては消えた。 26 00:04:09,941 --> 00:04:14,929 (四草)採算の取れそうもない 話ですからね。 27 00:04:14,929 --> 00:04:17,932 けど そん時の師匠は 妙に しつこうてな。 28 00:04:17,932 --> 00:04:23,004 周りが止めんのも聞かんと 一人で動き回ってはった。 29 00:04:23,004 --> 00:04:25,990 (小草若)入院中のおかみさん ほったらかしてやで! 30 00:04:25,990 --> 00:04:32,931 ほんで 何やったかな? ファ… ファンタスティックランナー? 31 00:04:32,931 --> 00:04:35,934 ファイナンシャルプランナー。 ああ そう。 32 00:04:35,934 --> 00:04:38,937 それ見つけて パートナーにして。 33 00:04:38,937 --> 00:04:45,994 銀行から 金 借りて その金 持ち逃げされて。 え? 34 00:04:45,994 --> 00:04:48,613 その借金 鞍馬会長に➡ 35 00:04:48,613 --> 00:04:53,001 肩代わりしてもらうはめに なったんや。 36 00:04:53,001 --> 00:04:56,938 (草原)それから すぐに おかみさんが亡くなりはってな。 37 00:04:56,938 --> 00:04:59,991 「ちょっとずつでも返す」 言うてはった借金➡ 38 00:04:59,991 --> 00:05:07,999 返すどころか お酒に溺れて… 落語もしはれへんようになって。 39 00:05:07,999 --> 00:05:14,939 「その道中の陽気な事」いうフレーズが よう出てきますんや。 40 00:05:14,939 --> 00:05:17,992 上方落語には。 ああ…。 41 00:05:17,992 --> 00:05:22,997 それを きっかけに 陽気な お囃子が入る。 42 00:05:22,997 --> 00:05:26,267 「愛宕山」で野がけに行く時も➡ 43 00:05:26,267 --> 00:05:31,005 貧乏長屋の連中が 花見に行く時も➡ 44 00:05:31,005 --> 00:05:37,929 死んで 地獄へ行く時も 「その道中の陽気な事」て。 45 00:05:37,929 --> 00:05:42,000 おかしおますやろ。 46 00:05:42,000 --> 00:05:46,170 「地獄八景亡者戯」いうのは➡ 47 00:05:46,170 --> 00:05:49,841 地獄の鬼やら 閻魔はんやらを➡ 48 00:05:49,841 --> 00:05:53,995 さんざん ちゃかした噺でんねや。 49 00:05:53,995 --> 00:06:00,001 昔の人が考えた 地獄いうのは ほんま 楽しいとこです。 50 00:06:00,001 --> 00:06:05,990 何で そういうふうに考えたか 今やったら よう分かりますわ。 51 00:06:05,990 --> 00:06:10,995 「死ぬのは怖いこっちゃない。 地獄は楽しいとこや」。 52 00:06:10,995 --> 00:06:15,433 そう思わな➡ 53 00:06:15,433 --> 00:06:18,933 ちょっと これ…。 54 00:06:21,005 --> 00:06:24,005 耐えられまへんで。 55 00:06:25,994 --> 00:06:29,994 まともに向き合うたら…。 56 00:06:31,950 --> 00:06:34,969 怖ぁて 怖ぁて…。 57 00:06:34,969 --> 00:06:39,991 ♬~ 58 00:06:39,991 --> 00:06:43,995 奥さん…。 59 00:06:43,995 --> 00:06:49,995 「みっともない男や」て 思いはりますか? 60 00:06:52,453 --> 00:06:54,453 いえ! 61 00:06:56,157 --> 00:07:02,997 あの陽気な お囃子に送られて…➡ 62 00:07:02,997 --> 00:07:07,697 地獄までの道中 笑うて 歩きたいんです。 63 00:07:09,337 --> 00:07:11,939 そやさかい…。 64 00:07:11,939 --> 00:07:16,944 思い残す事の あれへんようにしたいんです。 65 00:07:16,944 --> 00:07:26,988 ♬~ 66 00:07:26,988 --> 00:07:29,107 (咲)その常打ち小屋いうのが あったら➡ 67 00:07:29,107 --> 00:07:31,926 そないに ええ事あんの? 68 00:07:31,926 --> 00:07:34,929 高座の数が増えるいうのは ええ事です。 69 00:07:34,929 --> 00:07:37,932 ああ そら 収入にも 関わってくるもんな。 70 00:07:37,932 --> 00:07:42,437 いや まあ それも ありますけど やっぱり 生の落語を➡ 71 00:07:42,437 --> 00:07:45,940 人に聴いてもらえるいうのは 大事な事なんです。 72 00:07:45,940 --> 00:07:48,826 そないせな 伝わっていきませんし。 73 00:07:48,826 --> 00:07:54,999 (熊五郎)確かに テレビでは 落語の 面白さの何割も伝わらへんもんな。 74 00:07:54,999 --> 00:08:00,004 分かるで! 同じエンターテイナーとして。 75 00:08:00,004 --> 00:08:03,991 (磯七)まあ なんぼ 噺家が 口から口へ伝えてもな➡ 76 00:08:03,991 --> 00:08:05,993 聴いてくれるもんが おらんかったら➡ 77 00:08:05,993 --> 00:08:07,995 ほんまの意味で 伝わった事になれへんもんな。 78 00:08:07,995 --> 00:08:10,998 そこが伝統芸能の難しいとこです。 79 00:08:10,998 --> 00:08:13,935 究極の個人芸に見えて 実は 全く逆。 80 00:08:13,935 --> 00:08:18,990 聴く人が 笑う人がいて 初めて 落語になる。 81 00:08:18,990 --> 00:08:22,944 そやから お客さんが 気軽に 足運んでもらえる 常打ち小屋は➡ 82 00:08:22,944 --> 00:08:24,929 やっぱり 必要なんです。 83 00:08:24,929 --> 00:08:30,001 なるほどなあ。 いや ほんま すこ~んと 腑に落ちたわ。 84 00:08:30,001 --> 00:08:32,003 師匠の受け売りでしょ。 85 00:08:32,003 --> 00:08:34,989 バレたか! 何や! 86 00:08:34,989 --> 00:08:38,259 やっぱり 分からん。 87 00:08:38,259 --> 00:08:42,997 「受け継いでいく。 伝えていく」いう事を➡ 88 00:08:42,997 --> 00:08:46,000 そね 大事に思とんなる師匠が…➡ 89 00:08:46,000 --> 00:08:51,005 何で 私にだけ 「創作落語せえ」言うのんか。 90 00:08:51,005 --> 00:08:53,991 失敗したと 思とんやろか? え? 91 00:08:53,991 --> 00:08:56,994 「女の弟子なんか 取るんやなかった」って。 92 00:08:56,994 --> 00:09:00,998 それも 「こんな どんくさい 何の芸もない子」て。 93 00:09:00,998 --> 00:09:06,003 (熊五郎)また 妄想かいな? (四草)自意識過剰や。 94 00:09:06,003 --> 00:09:10,608 師匠が お前の事ばっかり あれこれ考えてる訳ないやろ。 95 00:09:10,608 --> 00:09:12,944 (小草若)また お前 そんな きつい言い方して! 96 00:09:12,944 --> 00:09:16,998 けど 四草の言うとおりや。 97 00:09:16,998 --> 00:09:22,998 師匠は もっと大きな事 考えてはるような気ぃするなあ。 98 00:09:28,943 --> 00:09:34,999 (小梅)糸子さん いつになったら 帰ってきますのや。 99 00:09:34,999 --> 00:09:40,004 はよ 帰ってきてくれんと 往生しますがな。 100 00:09:40,004 --> 00:09:41,989 ほんまに すいません。 101 00:09:41,989 --> 00:09:45,993 ちょっと こっちも いろいろ ありまして。 102 00:09:45,993 --> 00:09:52,266 主婦が長い事 家 空けるもんやありませんで。 103 00:09:52,266 --> 00:09:54,435 申し訳ありません! 104 00:09:54,435 --> 00:09:57,505 もう しばらく こっちに おらして下さい! 105 00:09:57,505 --> 00:09:59,490 いや ほやけどな 糸子さん。 106 00:09:59,490 --> 00:10:01,609 すんません! 107 00:10:01,609 --> 00:10:04,262 あ…。 108 00:10:04,262 --> 00:10:07,498 (鞍馬)よう ぬけぬけと…。 109 00:10:07,498 --> 00:10:10,668 この わしに そんな事 言うてくれるな。 110 00:10:10,668 --> 00:10:14,272 まあ お前の ど厚かましいのは 今に始まった事やあらへんけどな。 111 00:10:14,272 --> 00:10:16,941 すんまへん。 112 00:10:16,941 --> 00:10:21,829 落語の常打ち小屋なんか 建てたかて もうからへん! 113 00:10:21,829 --> 00:10:24,182 何べん 同じセリフ 言わせたらええねん! 114 00:10:24,182 --> 00:10:27,935 常打ち小屋設立に 一番 大事なんは けん引力です。 115 00:10:27,935 --> 00:10:31,939 会長が 先頭に立って 引っ張ってくれはったら…。 116 00:10:31,939 --> 00:10:35,927 そやから そんな もうかりもせん 小屋のために➡ 117 00:10:35,927 --> 00:10:39,997 何で わしが動かなあかんねん。 118 00:10:39,997 --> 00:10:44,952 う~ん。 ほんの ちょびっとですけど…。 119 00:10:44,952 --> 00:10:47,605 ん? 120 00:10:47,605 --> 00:10:52,944 小銭 用意させてもらお 思てます。 121 00:10:52,944 --> 00:10:55,496 何やて? 122 00:10:55,496 --> 00:10:59,934 前の時は お金の事で ほんまに ご迷惑かけましたさかい。 123 00:10:59,934 --> 00:11:03,938 そんな金 どこにあんねん? 124 00:11:03,938 --> 00:11:10,094 土地家屋 売ろ思てます。 ハハハ! 125 00:11:10,094 --> 00:11:12,830 お前 今 住んでる家 売ってもうて どこに住むのや? 126 00:11:12,830 --> 00:11:14,932 そんなもん どないと なりますやろ。 ならへん! 127 00:11:14,932 --> 00:11:21,939 とにかく 一刻も早う 常打ち小屋 建てなあかんのです。 128 00:11:21,939 --> 00:11:24,939 お願いします! 129 00:11:26,994 --> 00:11:31,999 もうなあ しょうもない事ばっかり 考えてんと➡ 130 00:11:31,999 --> 00:11:37,955 天狗座に 客を入れる事だけ 考えとけ。 131 00:11:37,955 --> 00:11:41,943 師弟落語会さしたろ。 はい? 132 00:11:41,943 --> 00:11:45,930 お前のとこに いてるやろ? 何ちゅうた? 女の…。 133 00:11:45,930 --> 00:11:48,933 わ 若狭…。 若狭。 そや。 134 00:11:48,933 --> 00:11:54,989 若狭とお前とで 天狗座で 師弟落語会さしたる言うてんねん。 135 00:11:54,989 --> 00:12:00,661 「ほほう! 女の落語家か おもろいな」客が思たらや➡ 136 00:12:00,661 --> 00:12:06,334 また 落語ブームが来るかも 分からへんやないか。 137 00:12:06,334 --> 00:12:13,134 そん時には 常打ち小屋の事かて 考えたろやないか。 ん? 138 00:12:17,928 --> 00:12:23,951 「師弟落語会」ですか? うん。 139 00:12:23,951 --> 00:12:27,338 ほやけど 私で ええんですか? 140 00:12:27,338 --> 00:12:33,594 ええも悪いも 会長のご指名や。 よかったな! 141 00:12:33,594 --> 00:12:36,931 師匠と2人の落語会。 天狗座でやんのは➡ 142 00:12:36,931 --> 00:12:40,631 5人の弟子の中でも お前が初めてや。 143 00:12:42,286 --> 00:12:44,955 師匠は 何をかけはんのですか? 144 00:12:44,955 --> 00:12:47,992 うん。 「地獄八景」や。 145 00:12:47,992 --> 00:12:51,996 お~ 久しぶりですね! 昔は ようやってはりましたけど。 146 00:12:51,996 --> 00:12:53,931 しんどいネタやさかいな。 はあ~。 147 00:12:53,931 --> 00:12:56,934 私は 何にしようかな? 148 00:12:56,934 --> 00:12:59,937 はよ作らな 間に合わへんで。 え? 149 00:12:59,937 --> 00:13:02,990 お前は創作落語せえ。 150 00:13:02,990 --> 00:13:05,276 いや あの… 師匠。 151 00:13:05,276 --> 00:13:07,762 さすがに ここは よう稽古積んだ古典…。 152 00:13:07,762 --> 00:13:10,962 黙ってえ! 153 00:13:18,022 --> 00:13:21,992 何でですか? 154 00:13:21,992 --> 00:13:26,097 「創作 創作」て…➡ 155 00:13:26,097 --> 00:13:33,104 そんなに 私は 古典に向いとらんのですか? 156 00:13:33,104 --> 00:13:37,825 そら 私かて いろんな事に 挑戦してみたいです。 157 00:13:37,825 --> 00:13:41,495 ほやけど 私が あれこれできる 人間やないいう事➡ 158 00:13:41,495 --> 00:13:46,667 師匠かて 分かっとんなるんやないですか! 159 00:13:46,667 --> 00:13:52,940 師匠は 私に 落語 辞めさせたいんですか!? 160 00:13:52,940 --> 00:14:01,499 ♬~ 161 00:14:01,499 --> 00:14:04,999 師匠? 大丈夫ですか? 162 00:14:06,954 --> 00:14:09,957 う~っ! 163 00:14:09,957 --> 00:14:16,263 ああ… 続けさせたいんや。 え? 164 00:14:16,263 --> 00:14:22,963 お前に 落語 続けさせたいんや。 165 00:14:25,940 --> 00:14:33,664 若狭 お前も 実感してると思うけど➡ 166 00:14:33,664 --> 00:14:39,837 女が 落語やっていこう思たら 男がやるより大変や。 167 00:14:39,837 --> 00:14:47,161 男と同じ事やってたら 食べていかれへん。 168 00:14:47,161 --> 00:14:53,667 特に 若狭みたいな 不器用な子はな。 169 00:14:53,667 --> 00:14:57,171 「ほかの4人と違うて➡ 170 00:14:57,171 --> 00:15:01,659 古典を教えてやるだけでは あかん。➡ 171 00:15:01,659 --> 00:15:08,599 この道で 生きていけるすべを 身につけさせな あかん」。 172 00:15:08,599 --> 00:15:10,899 そない思てんねや。 173 00:15:13,003 --> 00:15:15,005 (ヒグラシの鳴き声) 174 00:15:15,005 --> 00:15:19,426 ううっ! 師匠? 175 00:15:19,426 --> 00:15:22,926 (2人)師匠! 大丈夫ですか!? 師匠! 176 00:15:39,763 --> 00:15:42,533 (悠太郎)うわ…。 177 00:15:42,533 --> 00:15:51,575 ♬~ 178 00:15:51,575 --> 00:15:55,446 (川久保)これ 何なんですか? 179 00:15:55,446 --> 00:15:58,249 (め以子) 砂糖の配給制が決まって➡