1 00:00:34,188 --> 00:00:44,188 ♬~(テーマ音楽) 2 00:01:42,189 --> 00:01:47,127 (草原)これで 常打ち小屋が建つ いう訳やないけど…。 3 00:01:47,127 --> 00:01:50,130 ありがたいこっちゃなあ。 4 00:01:50,130 --> 00:01:54,130 何年かかってでも 絶対に建てよう。 5 00:02:02,192 --> 00:02:06,192 (小草若)俺… 売るわ。 6 00:02:13,186 --> 00:02:16,186 この家 売るわ。 7 00:02:20,127 --> 00:02:23,130 そないしたら もうちょっと 土地の安いとこに➡ 8 00:02:23,130 --> 00:02:28,118 一軒の小屋 建てるぐらいの金は できるやろ。 9 00:02:28,118 --> 00:02:30,187 (草々)お前 何 言うてんねん。 10 00:02:30,187 --> 00:02:35,192 俺… 分かってん。 11 00:02:35,192 --> 00:02:41,192 おやじと お母ちゃんの気持ちが。 12 00:02:44,117 --> 00:02:48,117 残そうとしてくれてたんや。 13 00:02:52,125 --> 00:02:56,129 落語ができる場所…。 14 00:02:56,129 --> 00:03:00,183 俺だけやない。 15 00:03:00,183 --> 00:03:05,188 草原にいさんにも 草々にも。 16 00:03:05,188 --> 00:03:09,488 四草にも 若狭にも。 17 00:03:11,128 --> 00:03:18,128 それから 会うた事のない 小草々にも。 18 00:03:23,190 --> 00:03:25,190 そやから…。 19 00:03:28,195 --> 00:03:36,219 (四草)思い出の いっぱい詰まった この家…。 20 00:03:36,219 --> 00:03:40,140 売る事なんか できんのですか? 21 00:03:40,140 --> 00:03:46,179 ♬~ 22 00:03:46,179 --> 00:03:49,179 でけへんよ。 23 00:03:52,185 --> 00:03:59,185 でけへんけど そないせな あかんねんて。 24 00:04:02,129 --> 00:04:08,135 それが 師匠の…➡ 25 00:04:08,135 --> 00:04:12,189 おやじの願いやねんから。 26 00:04:12,189 --> 00:04:22,189 ♬~ 27 00:04:24,117 --> 00:04:27,117 (喜代美)最後に…。 28 00:04:31,124 --> 00:04:38,124 最後に この家で 落語会やりませんか? 29 00:04:40,117 --> 00:04:43,117 (草原)落語会? はい。 30 00:04:49,126 --> 00:04:57,126 師匠の思い出が いっぱい詰まった この家で…。 31 00:05:00,120 --> 00:05:04,124 師匠に見守られて➡ 32 00:05:04,124 --> 00:05:07,127 落語がしたいんです。 33 00:05:07,127 --> 00:05:47,117 ♬~ 34 00:05:47,117 --> 00:05:50,120 ≪(尊建)おぃ~す! 35 00:05:50,120 --> 00:05:53,123 よっ! 尊建? 36 00:05:53,123 --> 00:05:55,192 (柳眉)お邪魔します~! 37 00:05:55,192 --> 00:05:57,177 柳眉? (勇助)おはようございます! 38 00:05:57,177 --> 00:05:59,179 おはようさん。 (尊建)聴きに来たったで! 39 00:05:59,179 --> 00:06:01,148 草若邸 お別れ落語会。 40 00:06:01,148 --> 00:06:03,183 何で 知っとんですか? 41 00:06:03,183 --> 00:06:06,186 めちゃめちゃ 噂なってんで。 え? 42 00:06:06,186 --> 00:06:09,189 家 売ってまで 常打ち小屋 建てるやなんて➡ 43 00:06:09,189 --> 00:06:12,192 相変わらず むちゃしまんな 徒然亭は。 44 00:06:12,192 --> 00:06:14,194 (柳宝)おはようさん! 45 00:06:14,194 --> 00:06:21,194 うわ~! 尊徳師匠と 柳宝師匠のツーショットや! すごい! 46 00:06:24,187 --> 00:06:26,122 ああ~! お願いします! 47 00:06:26,122 --> 00:06:28,191 おい! もう座布団ないんか? 48 00:06:28,191 --> 00:06:30,193 菊江さんとこから かき集めても こんだけなんです。 49 00:06:30,193 --> 00:06:33,196 (尊徳)漢五郎はん! 50 00:06:33,196 --> 00:06:36,850 え!? おはようございます! 51 00:06:36,850 --> 00:06:38,852 か… 漢五郎師匠まで? 52 00:06:38,852 --> 00:06:40,787 お願いします! はい! 53 00:06:40,787 --> 00:06:42,789 お願いします。 はい。 54 00:06:42,789 --> 00:07:05,845 ♬~ 55 00:07:05,845 --> 00:07:07,797 (菊江)どないなってんの? 56 00:07:07,797 --> 00:07:09,849 (熊五郎)何や 思いがけず ぎょうさん来てしもたとかで➡ 57 00:07:09,849 --> 00:07:11,785 居間に 入りきられへんのやて。 58 00:07:11,785 --> 00:07:15,188 にいさん ごめんなさいね! 何で あんな事になってはんねん。 59 00:07:15,188 --> 00:07:21,127 そんだけ 草若師匠が 慕われてた いう事や。 60 00:07:21,127 --> 00:07:23,680 フフフ! 61 00:07:23,680 --> 00:07:26,616 何や 昔 その辺の辻で➡ 62 00:07:26,616 --> 00:07:30,120 落語やってた頃 思い出させまんなあ! 63 00:07:30,120 --> 00:07:34,124 (尊徳)ほんに。 こないして 青空の下でな。 64 00:07:34,124 --> 00:07:36,142 (漢五郎)うん うん…。 65 00:07:36,142 --> 00:07:44,184 ♬~ 66 00:07:44,184 --> 00:07:52,125 ♬~(出囃子) 67 00:07:52,125 --> 00:08:00,125 (拍手) 68 00:08:12,128 --> 00:08:19,185 ようこそのお運びで 厚く御礼申し上げます。 69 00:08:19,185 --> 00:08:23,456 草若師匠の孫弟子に当たります 小草々と申します。 70 00:08:23,456 --> 00:08:25,456 (拍手) 71 00:08:29,179 --> 00:08:32,182 私が 草若師匠に 初めて お目に かかったのは➡ 72 00:08:32,182 --> 00:08:37,120 忘れもしません。 平成 え~…。 73 00:08:37,120 --> 00:08:41,124 忘れもしません。 平成…。 74 00:08:41,124 --> 00:08:44,127 え~ 忘れてしまいましたが! (笑い声) 75 00:08:44,127 --> 00:08:48,298 とにかく ドラマチックな出会いでございました。 76 00:08:48,298 --> 00:09:05,448 ♬~ 77 00:09:05,448 --> 00:09:09,452 「しゃあないな わしも 算段の 平兵衛と呼ばれた男やが…」。 78 00:09:09,452 --> 00:09:13,189 <開放された空間での落語会は➡ 79 00:09:13,189 --> 00:09:18,178 思いがけず 気持ちのいいものでした> 80 00:09:18,178 --> 00:09:22,849 「底抜けの茶碗かいな! 思いまして…」。 81 00:09:22,849 --> 00:09:26,186 どんな茶金さんやねん! 82 00:09:26,186 --> 00:09:29,622 「ほっといてくれ。 あっ これ 人の見た カスや。➡ 83 00:09:29,622 --> 00:09:32,192 せやさかい 悪い文句やねんな」。 84 00:09:32,192 --> 00:09:37,180 「何と書いてある?」。 「好き 好き 好き…」。 85 00:09:37,180 --> 00:09:41,184 (拍手) 86 00:09:41,184 --> 00:09:45,188 え~ 草原でも 一席 おつきあい願いたいと思います。 87 00:09:45,188 --> 00:09:49,526 太鼓持ち 男芸者と呼ばれる商売が ございますが➡ 88 00:09:49,526 --> 00:09:52,212 これが難しい商売で…。 89 00:09:52,212 --> 00:09:56,216 大阪ミナミの太鼓持ち 一八に 繁八という2人。➡ 90 00:09:56,216 --> 00:09:59,119 ちょっと ミナミのお茶屋を しくじりまして…。 91 00:09:59,119 --> 00:10:02,122 [ 回想 ] (草若)ツテを頼って 京都 祇園町で働いております。➡ 92 00:10:02,122 --> 00:10:06,126 今日しも 室町辺の旦那衆が 祇園町で遊んでたんですが➡ 93 00:10:06,126 --> 00:10:09,129 「どや ひとつ 野がけを しようや ないかい」という事になりまして➡ 94 00:10:09,129 --> 00:10:12,182 お茶屋の女将さんから 仲居さん➡ 95 00:10:12,182 --> 00:10:15,185 一八に繁八の両人も お供いたしまして➡ 96 00:10:15,185 --> 00:10:18,188 祇園町から 西へ西へ 鴨川を渡ります。➡ 97 00:10:18,188 --> 00:10:21,191 御所から 二条のお城も 尻目に殺しまして➡ 98 00:10:21,191 --> 00:10:24,127 どんどん 西へ出て参ります。 野辺へ出て参りますと➡ 99 00:10:24,127 --> 00:10:29,115 春先の事で 空には ひばりが ピーチクパーチク ピーチクパーチクさえずって➡ 100 00:10:29,115 --> 00:10:34,187 下には れんげ たんぽぽの花盛り。 陽炎が こう 燃えたちまして➡ 101 00:10:34,187 --> 00:10:38,124 遠山には す~っと 霞の帯を引いたよう。➡ 102 00:10:38,124 --> 00:10:43,129 麦が青々と伸びて 菜種の花が 彩っていようかという本陽気。➡ 103 00:10:43,129 --> 00:10:45,131 やかましゅう言うて やって参ります。➡ 104 00:10:45,131 --> 00:10:48,118 その道中の陽気な事! 105 00:10:48,118 --> 00:10:53,189 ♬「愛宕山坂 ええ ええ坂」 106 00:10:53,189 --> 00:10:56,189 おい 草々! 107 00:10:58,194 --> 00:11:01,131 このあと 俺も出てええか? 108 00:11:01,131 --> 00:11:03,116 え!? 109 00:11:03,116 --> 00:11:05,118 何か 気持ちよさそうやんけ。 110 00:11:05,118 --> 00:11:08,121 (すする音) (笑い声) 111 00:11:08,121 --> 00:11:11,191 「引っ張るなんや! 怒るで しまいに!」。 112 00:11:11,191 --> 00:11:14,177 「打てば 打たるる やぐらの太鼓。➡ 113 00:11:14,177 --> 00:11:18,131 ほ! あ! トテチン トテチン トテチン トテチン!」。 114 00:11:18,131 --> 00:11:21,117 (笑い声) 115 00:11:21,117 --> 00:11:24,137 わし 次 出てええか? そ… そら もちろん。 116 00:11:24,137 --> 00:11:28,191 やったあ! 117 00:11:28,191 --> 00:11:34,130 「裏 通りましたんや。 これと 同じような声がしてまして」。 118 00:11:34,130 --> 00:11:44,140 (笑い声) 119 00:11:44,140 --> 00:12:40,179 ♬~ 120 00:12:40,179 --> 00:12:48,121 (草若)♬「ええ ええ坂 25丁目の茶屋のかか」 121 00:12:48,121 --> 00:12:51,124 ♬「婆 旦那さん」 122 00:12:51,124 --> 00:12:53,192 これ いつまで続くの? 123 00:12:53,192 --> 00:12:56,195 何か 草若師匠が 惜しんどるみたいですね。 124 00:12:56,195 --> 00:13:00,166 この お家と お別れするのんを…。 125 00:13:00,166 --> 00:13:10,226 ♬~ 126 00:13:10,226 --> 00:13:15,181 (鞍馬)出来たやないか。 127 00:13:15,181 --> 00:13:25,141 誰でも気軽に入れて 噺家が腕競う 常打ち小屋や。 128 00:13:25,141 --> 00:13:36,135 ♬~ 129 00:13:36,135 --> 00:13:39,122 (鞍馬)なあ!➡ 130 00:13:39,122 --> 00:13:45,128 わしに頼らんでも 出来たやないか! 131 00:13:45,128 --> 00:13:52,185 ♬~ 132 00:13:52,185 --> 00:13:56,139 この時を待ってたんや。 133 00:13:56,139 --> 00:14:04,180 ♬~ 134 00:14:04,180 --> 00:14:10,186 (草若)♬「愛宕山坂 ええ ええ坂」 135 00:14:10,186 --> 00:14:20,129 ♬「25丁目の茶屋のかか 婆 旦那さん ちと休みなんし」 136 00:14:20,129 --> 00:14:26,185 ♬「しんしんしんこでも たんと食べ」 137 00:14:26,185 --> 00:14:35,185 ♬「上りゃ うんと坂 ヤンレ坂 坂 坂!」 138 00:14:37,180 --> 00:14:41,184 (草若)竹が グ~ッと しなって 満月のようになった。➡ 139 00:14:41,184 --> 00:14:45,121 ここらで よかろうと 底足を ひとつ トン!➡ 140 00:14:45,121 --> 00:14:48,024 ツー トトトトトトッ! 141 00:14:48,024 --> 00:14:50,193 「へい! 旦さん ただいま」。 「えらいやっちゃ➡ 142 00:14:50,193 --> 00:14:55,131 上がってきよった。 金は?」。 「あっ 忘れてきた!」。 143 00:14:55,131 --> 00:14:58,117 (笑い声) 144 00:14:58,117 --> 00:15:05,191 <その日の落語会は いつまでも いつまでも 続きました。➡ 145 00:15:05,191 --> 00:15:12,115 あと もう一週 おつきあいを願います> 146 00:15:12,115 --> 00:15:14,117 (草原)上方落語の悲願であった 常打ち小屋が➡ 147 00:15:14,117 --> 00:15:16,119 ようやっと完成いたしました。 148 00:15:16,119 --> 00:15:18,187 (糸子)この子は! 149 00:15:18,187 --> 00:15:20,189 「野辺へ出て参りますと 春先の事で」。 150 00:15:20,189 --> 00:15:22,191 おじいちゃん…。 151 00:15:22,191 --> 00:15:24,193 最後の高座に おつきあい頂きまして➡ 152 00:15:24,193 --> 00:15:26,193 ありがとうございました! 153 00:15:33,986 --> 00:15:42,061 ♬~ 154 00:15:42,061 --> 00:15:46,061 (静)どないな お二人なん? 155 00:15:48,401 --> 00:15:51,304 (竹元) さあ じゃあ 頼んだぞ! 奥!➡ 156 00:15:51,304 --> 00:15:53,272 カレーを作れ。 157 00:15:53,272 --> 00:15:56,743 (め以子) いや 今からは お時間が…。