1 00:00:33,611 --> 00:00:39,016 <元禄12年春 浅野家の奥女中 きよは➡ 2 00:00:39,016 --> 00:00:43,688 幼なじみの門六と出会い 恋に落ちた。➡ 3 00:00:43,688 --> 00:00:47,191 礒貝十郎左衛門と名を変えた 門六は➡ 4 00:00:47,191 --> 00:00:51,028 主君 浅野内匠頭の 寵臣となっており➡ 5 00:00:51,028 --> 00:00:55,900 きよには 身分違いの雲の上の人。➡ 6 00:00:55,900 --> 00:01:03,040 やがて 十郎左衛門は 参勤交代で 国元 赤穂へ帰る事に> 7 00:01:03,040 --> 00:01:07,912 (十郎左衛門) そなたの身に着けているものを 一つ欲しい。 8 00:01:07,912 --> 00:01:13,384 <2人は 互いの愛が変わらぬ事を誓った> 9 00:01:13,384 --> 00:01:21,726 (きよ)私も あなた様を ひとときも忘れぬように。 10 00:01:21,726 --> 00:01:27,064 <そして 1年がたった> 11 00:01:27,064 --> 00:01:33,337 (内蔵助)ご道中 つつがなきよう お祈り申し上げまする。 12 00:01:33,337 --> 00:01:35,273 (長矩)内蔵助。 13 00:01:35,273 --> 00:01:37,273 はっ。 14 00:01:43,681 --> 00:01:49,481 1年の後 再び 息災で会おうぞ。 15 00:01:52,023 --> 00:01:55,526 留守をよろしゅう頼むぞ。 16 00:01:55,526 --> 00:01:59,026 承知つかまつりました。 17 00:02:01,032 --> 00:02:19,717 ♬~ 18 00:02:19,717 --> 00:02:25,717 <待ち焦がれた日が ようやく やって来ました> 19 00:02:27,391 --> 00:02:34,091 <十郎左様が 1年ぶりに 江戸に戻られるのです> 20 00:02:38,669 --> 00:02:41,572 (つま)きよ殿。 滝岡様が お呼びでございますよ。 21 00:02:41,572 --> 00:02:44,008 はい。 今すぐ。 22 00:02:44,008 --> 00:02:50,348 <その朝は 奥御殿の誰もが そわそわと落ち着きませんでした> 23 00:02:50,348 --> 00:02:53,684 (滝岡)きよ 何をしておるのじゃ。 申し訳ござりませぬ。 24 00:02:53,684 --> 00:02:57,555 やはり もえぎに致そう。 立涌文の。 25 00:02:57,555 --> 00:03:01,559 はい。 もえぎ色の打ち掛けを お持ちして。 はい。 26 00:03:01,559 --> 00:03:04,695 片づけを手伝うように。 はい。 はい。 27 00:03:04,695 --> 00:03:07,031 殿は 何時ごろ お着きになられるか? 28 00:03:07,031 --> 00:03:09,700 先触れによりますと 五つごろに➡ 29 00:03:09,700 --> 00:03:13,371 品川宿をおたちあそばされた との事にございます。 30 00:03:13,371 --> 00:03:15,706 誰か 様子を聞いてまいれ。 31 00:03:15,706 --> 00:03:19,206 私が 行ってまいります。 32 00:03:21,579 --> 00:03:24,382 お話し中 ご無礼つかまつります。 33 00:03:24,382 --> 00:03:28,719 落合様 お行列は 何時ごろ ご到着あそばされましょうか。 34 00:03:28,719 --> 00:03:32,990 ああ 今 ちょうど その事を 話しておったところじゃ。 35 00:03:32,990 --> 00:03:37,290 芝増上寺を過ぎたと たった今 知らせがあった。 36 00:03:38,863 --> 00:03:44,563 <そして ご一行は 無事に到着されました> 37 00:03:49,540 --> 00:03:53,010 おきよ殿 どこまで行かれるのです? 38 00:03:53,010 --> 00:03:55,010 ええ。 39 00:04:02,687 --> 00:04:06,557 御用は済んだのですから 早く戻らないと➡ 40 00:04:06,557 --> 00:04:10,027 また 滝岡様に叱られてしまいます。 41 00:04:10,027 --> 00:04:14,327 叱られるのは 慣れっこです。 まあ。 42 00:04:16,367 --> 00:04:19,067 あら。 43 00:04:28,379 --> 00:04:30,715 どなたです? 44 00:04:30,715 --> 00:04:36,153 村松様のご嫡男 三太夫様です。 村松様。 45 00:04:36,153 --> 00:04:40,992 ♬~ 46 00:04:40,992 --> 00:04:44,328 <その夜 奥御殿では➡ 47 00:04:44,328 --> 00:04:50,501 お殿様の長旅をねぎらう ささやかな宴が開かれました> 48 00:04:50,501 --> 00:04:58,701 ♬~ 49 00:05:03,014 --> 00:05:08,819 こたびは ご舎弟 大学様の ご婚儀も調われまして➡ 50 00:05:08,819 --> 00:05:12,319 まことに おめでたく存じます。 51 00:05:14,025 --> 00:05:18,896 その若殿様より 珍しいお品が届いておりまする。 52 00:05:18,896 --> 00:05:21,896 一口 お味見を。 53 00:05:28,039 --> 00:05:30,941 (侍女たち)うわ~ きれい。 54 00:05:30,941 --> 00:05:32,877 何じゃ? 55 00:05:32,877 --> 00:05:35,646 コンヘイトウにございます。 56 00:05:35,646 --> 00:05:40,518 それも 長崎より 特別に届けさせたものとか。 57 00:05:40,518 --> 00:05:43,521 長崎…。 58 00:05:43,521 --> 00:05:48,721 大学が… また かような贅沢を。 59 00:05:51,195 --> 00:05:54,498 味見はよい。 後で 皆で食すがよい。 60 00:05:54,498 --> 00:05:58,335 承知しました。 すぐに お下げなさい。 61 00:05:58,335 --> 00:06:00,671 申し訳ござりませぬ。 今すぐ。 62 00:06:00,671 --> 00:06:03,371 待て! 63 00:06:06,343 --> 00:06:09,246 ああっ…。 殿! 64 00:06:09,246 --> 00:06:12,216 (口々に)お殿様! 殿! 65 00:06:12,216 --> 00:06:16,687 慌てるな! いつもの痞じゃ。 66 00:06:16,687 --> 00:06:20,558 成瀬 すぐに御殿医の玄渓殿を。 はい。 67 00:06:20,558 --> 00:06:24,562 (阿久利)殿。 殿。 68 00:06:24,562 --> 00:06:29,266 (忠左衛門) 殿も 今頃は 無事 江戸に お着きになられましたかな。 69 00:06:29,266 --> 00:06:33,170 (内蔵助)さようですな。 70 00:06:33,170 --> 00:06:35,172 さあさあ。 71 00:06:35,172 --> 00:06:38,642 いやいやいや 私は…。 まあ まね事だけ。 72 00:06:38,642 --> 00:06:43,147 では なめるだけ。 73 00:06:43,147 --> 00:06:45,649 恐れ入ります。 74 00:06:45,649 --> 00:06:49,520 だが これで お世継ぎの事は一安心。 75 00:06:49,520 --> 00:06:52,990 浅野家も ご安泰。 76 00:06:52,990 --> 00:06:57,661 しかし 今年は 江戸参府に 若殿のご婚儀と 大層な物入り。 77 00:06:57,661 --> 00:07:02,533 この上 万が一にも ご公儀から お役でも申しつかりましては…。 78 00:07:02,533 --> 00:07:05,336 ここは 早いうちに 手を回しておいた方が➡ 79 00:07:05,336 --> 00:07:07,271 よいやもしれませぬな。 80 00:07:07,271 --> 00:07:11,008 なれど 殿は そのような まいない事は 何よりお嫌い。 81 00:07:11,008 --> 00:07:14,345 やるとなれば 殿のお耳に入らぬよう➡ 82 00:07:14,345 --> 00:07:16,280 そっと動かねばなりませぬ。 83 00:07:16,280 --> 00:07:23,580 いかにも。 こっそり ひっそり こそこそと。 84 00:07:28,893 --> 00:07:32,830 長旅のお疲れが 出られたのでござりましょう。 85 00:07:32,830 --> 00:07:37,301 今宵は ごゆるりと お休み下さりませ。 86 00:07:37,301 --> 00:07:39,236 うむ。 87 00:07:39,236 --> 00:07:44,975 阿久利。 そなた 私に側室をとらせよと➡ 88 00:07:44,975 --> 00:07:47,311 内蔵助に言うたそうだな。 89 00:07:47,311 --> 00:07:51,182 あ… いえ。 90 00:07:51,182 --> 00:07:57,955 世継ぎの事など 気にかける事はない。 91 00:07:57,955 --> 00:08:03,661 万が一 私の身に なんぞ おうたとしても➡ 92 00:08:03,661 --> 00:08:07,331 大学が家督を継げばよいだけの事。 93 00:08:07,331 --> 00:08:10,167 殿! ようやく お目にかかれましたのに➡ 94 00:08:10,167 --> 00:08:13,204 そのような事を。 95 00:08:13,204 --> 00:08:18,676 阿久利 顔を見せてくれ。➡ 96 00:08:18,676 --> 00:08:24,014 久しぶりに そなたの顔が見たい。 97 00:08:24,014 --> 00:08:41,714 ♬~ 98 00:08:50,874 --> 00:08:58,674 ≪(笑い声) 99 00:09:23,674 --> 00:09:27,674 十郎左様。 100 00:09:31,949 --> 00:09:34,449 きよ殿。 101 00:09:38,622 --> 00:09:41,525 どれほど この日を待ちわびたか。 102 00:09:41,525 --> 00:09:43,961 はい。 103 00:09:43,961 --> 00:09:50,301 話したい事が 山ほどあるのだ。 そなたとの事も あれから…。 104 00:09:50,301 --> 00:09:53,637 ≪(笑い声) 105 00:09:53,637 --> 00:09:57,937 やっぱり 江戸は いいでござるな。 ハハハハ。 106 00:10:07,985 --> 00:10:14,658 きよ殿 次の外出のかなう日は いつ? 107 00:10:14,658 --> 00:10:18,996 恐らく 次の丑の日には。 108 00:10:18,996 --> 00:10:26,337 その時は ここに印を。 はい。 109 00:10:26,337 --> 00:10:29,637 話は またその折に。 110 00:10:32,209 --> 00:10:34,509 十郎左様。 111 00:10:37,681 --> 00:10:46,690 こうして お目にかかれた事が まだ 夢のようでございます。 112 00:10:46,690 --> 00:10:58,702 ♬~ 113 00:10:58,702 --> 00:11:03,040 お前が あほじゃ。 わしが? 114 00:11:03,040 --> 00:11:07,740 お前じゃ。 わしじゃ。 115 00:11:12,049 --> 00:11:16,849 お犬様は 大層なご身分よのう。 116 00:11:23,660 --> 00:11:31,402 善左衛門 ちと 面白い事してみるか。 117 00:11:31,402 --> 00:11:33,702 え? 118 00:11:41,011 --> 00:11:45,349 おじ様! 早う 中へ。 119 00:11:45,349 --> 00:11:47,284 兄様が けがを? 120 00:11:47,284 --> 00:11:52,022 ああ。 それも いま少しで 命を落とすほどの重い傷を負い➡ 121 00:11:52,022 --> 00:11:55,692 今は きよの父親に かくまってもらっておる。 122 00:11:55,692 --> 00:11:57,628 かくまう? 123 00:11:57,628 --> 00:12:02,566 実は ただのけがではないのだ。 124 00:12:02,566 --> 00:12:06,336 死んだ犬の試し斬りをしたらしい。 125 00:12:06,336 --> 00:12:10,707 試し斬り!? それを お犬様の番人に見つかり➡ 126 00:12:10,707 --> 00:12:13,377 袋だたきに遭い 逃げたのだ。➡ 127 00:12:13,377 --> 00:12:16,046 ご公儀に知れれば どんな咎を受けるか。 128 00:12:16,046 --> 00:12:20,384 (弥兵衛)全く お前の兄じゃは なんという事を! 129 00:12:20,384 --> 00:12:23,053 (ほり)父上 声が。 近頃では➡ 130 00:12:23,053 --> 00:12:28,392 犬に水をかけたというだけで 遠島になった者まで出たのだぞ。 131 00:12:28,392 --> 00:12:32,262 <このころ 将軍 綱吉により発布された➡ 132 00:12:32,262 --> 00:12:37,201 「生類憐みの令」により 生き物の殺生は禁じられ➡ 133 00:12:37,201 --> 00:12:42,673 綱吉の生まれ年の干支である戌は 最も大切にされたのである> 134 00:12:42,673 --> 00:12:44,608 (安兵衛)とりあえず 表向きは➡ 135 00:12:44,608 --> 00:12:48,545 堀内道場で稽古中のけがと するよう取り計らった。 136 00:12:48,545 --> 00:12:53,016 されど 兄様は なぜ そのような事を。 137 00:12:53,016 --> 00:12:54,952 酔った勢いで 不破のあほうに➡ 138 00:12:54,952 --> 00:12:57,354 犬を斬れるかと けしかけられたのだ。 139 00:12:57,354 --> 00:13:01,024 不破様? 赤穂を出奔し 浪人となった➡ 140 00:13:01,024 --> 00:13:04,895 不破数右衛門だ。 (安兵衛)落合様に話は通してある。 141 00:13:04,895 --> 00:13:07,895 とにかく早く様子を見に。 142 00:13:14,037 --> 00:13:16,373 ≪(元哲)出ていけ! お前のような者は➡ 143 00:13:16,373 --> 00:13:19,073 野たれ死にすればよいのだ。 あ…。 144 00:13:20,711 --> 00:13:25,382 あっ 父様 おやめ下さい! おじ上 けが人ですぞ! 145 00:13:25,382 --> 00:13:28,285 兄様。 (元哲)こやつは➡ 146 00:13:28,285 --> 00:13:34,658 無断で 私の刀を持ち出したのだ。 その刀で 事もあろうに 犬を…。 147 00:13:34,658 --> 00:13:42,332 父上が 己の身分と共に捨てた刀。 何を今更。 148 00:13:42,332 --> 00:13:44,268 僧侶に刀など…。 149 00:13:44,268 --> 00:13:48,672 黙れ! 恥を知れ。 この場で 腹を切れ! 150 00:13:48,672 --> 00:13:50,607 おじ上! 151 00:13:50,607 --> 00:13:58,348 腹を切れ? まるで 侍のような事をおっしゃる。 152 00:13:58,348 --> 00:14:00,684 おのれ! 153 00:14:00,684 --> 00:14:08,025 父様 お願い致します。 今は 兄様をここに。 154 00:14:08,025 --> 00:14:12,525 私からも お願い致しまする! 155 00:14:17,367 --> 00:14:19,867 勝手にしろ。 156 00:14:22,706 --> 00:14:50,667 ♬~ 157 00:14:50,667 --> 00:14:54,538 父様。 158 00:14:54,538 --> 00:14:57,738 お許し下さい。 159 00:15:02,012 --> 00:15:05,882 お怒りの気持ちは分かります。 160 00:15:05,882 --> 00:15:14,024 今の兄様を見ていると 私とて 情けのうございます。 161 00:15:14,024 --> 00:15:17,894 仕官がかなわぬ事を 父様のせいにして。 162 00:15:17,894 --> 00:15:24,594 事もあろうに 父様のお刀で お犬様を。 163 00:15:27,571 --> 00:15:34,344 されど 兄様の心根が 腐っているはずはありませぬ。 164 00:15:34,344 --> 00:15:40,183 今は ただ 怒りのぶつけどころがないだけ。 165 00:15:40,183 --> 00:15:44,821 全てを私のせいだと言うのか。 166 00:15:44,821 --> 00:15:49,326 そうは思いませぬ。 167 00:15:49,326 --> 00:15:54,026 悪いのは 兄様です。 168 00:15:55,666 --> 00:15:58,666 されど…。 169 00:16:03,006 --> 00:16:09,680 亡くなった母様も 兄様の事は 最後まで気にかけておいででした。 170 00:16:09,680 --> 00:16:15,352 (さえ) 父様は 私と一緒になるため➡ 171 00:16:15,352 --> 00:16:21,224 刀を捨て この寺へ逃げた。➡ 172 00:16:21,224 --> 00:16:26,697 私のために全てをなくし➡ 173 00:16:26,697 --> 00:16:33,997 そして 兄様とお前が生まれた。 174 00:16:35,972 --> 00:16:42,846 その事を母は悔いてはおりませぬ。 175 00:16:42,846 --> 00:16:48,985 されど…➡ 176 00:16:48,985 --> 00:16:53,857 お前たちには これから先も➡ 177 00:16:53,857 --> 00:17:00,597 多くの苦労をかける事に…。➡ 178 00:17:00,597 --> 00:17:05,897 きよ 許しておくれ。 179 00:17:07,671 --> 00:17:13,671 必ず 幸せになっておくれ。 180 00:17:17,013 --> 00:17:25,355 父と兄… の事を…。 181 00:17:25,355 --> 00:17:29,655 母様…。 182 00:17:33,964 --> 00:17:42,973 母様は そのあと 何を言いたかったのか。 183 00:17:42,973 --> 00:17:48,973 最後まで 父様と兄様の事を。 184 00:17:53,316 --> 00:17:58,316 もうよい。 それ以上 言うな。 185 00:18:07,664 --> 00:18:12,335 <仙桂尼様のところへ 代参を命じられたのは➡ 186 00:18:12,335 --> 00:18:14,838 それから数日がたった ある日の事> 187 00:18:14,838 --> 00:18:17,674 (仙桂尼)きよ 遅いではないか。 188 00:18:17,674 --> 00:18:21,545 仙桂尼様。 ≪(孫三郎)きよ殿か? はい。 189 00:18:21,545 --> 00:18:23,547 ささ 早く。 190 00:18:23,547 --> 00:18:28,318 (孫三郎) これは これは 久しぶりじゃのう。 191 00:18:28,318 --> 00:18:32,622 <木屋孫三郎様は 仙桂尼様のいとこで➡ 192 00:18:32,622 --> 00:18:37,294 両国米沢町で 大きな材木問屋を 営んでいました。➡ 193 00:18:37,294 --> 00:18:42,966 私は 幼い頃から 木屋のおじ様に 親代わりとして➡ 194 00:18:42,966 --> 00:18:46,303 一方ならぬ お助けを頂いてきたのです> 195 00:18:46,303 --> 00:18:55,103 今日は 孫三郎殿から そなたに よき話があるそうじゃ。 196 00:19:04,988 --> 00:19:07,891 縁談でございますか? 197 00:19:07,891 --> 00:19:11,661 きよが奉公にあがって 1年を過ぎた。 198 00:19:11,661 --> 00:19:16,533 嫁ぐには ちょうどいい頃合いと 思うてな。 199 00:19:16,533 --> 00:19:20,337 相手は 誰だと思う? 200 00:19:20,337 --> 00:19:28,678 さあ… 私には。 それに 縁談など思いも寄らず。 201 00:19:28,678 --> 00:19:32,549 何を色気のない事を。 202 00:19:32,549 --> 00:19:39,623 孫三郎殿の兄上 村松喜兵衛様のご嫡男➡ 203 00:19:39,623 --> 00:19:44,323 三太夫様にござります。 204 00:19:52,636 --> 00:19:58,808 きよに奥勤めを勧めた時から 孫三郎殿は➡ 205 00:19:58,808 --> 00:20:04,314 そなたを村松家に嫁がせる 心積もりでおったそうじゃ。 206 00:20:04,314 --> 00:20:10,654 え? そなたの父も存じております。 207 00:20:10,654 --> 00:20:16,993 きよ これは またとない良縁ですよ。 208 00:20:16,993 --> 00:20:20,330 (孫三郎) そうと決まれば 話は早い。 209 00:20:20,330 --> 00:20:28,004 <お二人の声が 私の頭の中を 素通りしていきました。➡ 210 00:20:28,004 --> 00:20:34,344 私に縁談。 それも お二人の薦める縁談を➡ 211 00:20:34,344 --> 00:20:39,044 断る事など できるはずがありません> 212 00:20:41,017 --> 00:20:48,892 <ようやく1年ぶりに 十郎左様に お会いできるというのに…。➡ 213 00:20:48,892 --> 00:20:57,092 母様。 きよは どうすれば…> 214 00:21:14,718 --> 00:21:19,389 長い一年であった。 215 00:21:19,389 --> 00:21:22,292 はい。 216 00:21:22,292 --> 00:21:28,398 だが この長い時が➡ 217 00:21:28,398 --> 00:21:32,698 きよ殿への思いを 確かなものにしてくれた。 218 00:21:35,005 --> 00:21:46,016 私は 妻をめとるのであれば きよ殿以外には考えられぬ。 219 00:21:46,016 --> 00:21:49,686 十郎左様。 220 00:21:49,686 --> 00:21:55,386 私と夫婦になってくれるな? 221 00:22:03,700 --> 00:22:07,370 どうした? 不服か。 222 00:22:07,370 --> 00:22:13,710 まさか そんな…。 223 00:22:13,710 --> 00:22:23,720 されど… お殿様は お許し下さいますでしょうか。 224 00:22:23,720 --> 00:22:29,592 殿には じかに お許しを 請うてみようと思うておる。 225 00:22:29,592 --> 00:22:32,529 え? 226 00:22:32,529 --> 00:22:37,000 殿は あのご気性ゆえ 回りくどい事をするよりも➡ 227 00:22:37,000 --> 00:22:41,337 じかに この思いを伝えるのが 一番のやり方かと。 228 00:22:41,337 --> 00:22:46,009 だが よくよく時を選ばねばならぬ。 229 00:22:46,009 --> 00:22:50,880 今は 若殿のご婚儀の事で ご多忙のゆえ➡ 230 00:22:50,880 --> 00:22:56,880 ご婚礼が終わり ここぞという時に 切り出してみようと思う。 231 00:23:00,356 --> 00:23:06,056 それまで いま少し 待っていてくれるな? 232 00:23:13,703 --> 00:23:18,503 きよ殿 どうした? 233 00:23:21,044 --> 00:23:28,744 十郎左様の… お気持ちが うれしゅうて。 234 00:23:33,323 --> 00:23:36,623 されど…。 235 00:23:38,661 --> 00:23:44,834 兄じゃの事か。 え? 236 00:23:44,834 --> 00:23:49,339 善左衛門のしでかした事が 気にかかっておるのか? 237 00:23:49,339 --> 00:23:53,009 あっ ご存じなのですか? 238 00:23:53,009 --> 00:23:59,682 先ほど 道場で 堀内先生から話を聞いた。 239 00:23:59,682 --> 00:24:06,356 善左衛門をけしかけた 不破数右衛門とは 赤穂以来の友。 240 00:24:06,356 --> 00:24:10,226 今から 善左衛門の様子を 見に行こうと思うのだが➡ 241 00:24:10,226 --> 00:24:12,926 ついてきてはくれぬか。 242 00:24:17,367 --> 00:24:21,704 出ていった? あのような体で どこへ。 243 00:24:21,704 --> 00:24:28,044 知らぬ。 ふと目を離した隙に 床は もぬけの殻。➡ 244 00:24:28,044 --> 00:24:30,713 見つかれば 堀内先生のみならず➡ 245 00:24:30,713 --> 00:24:34,984 周りの皆に 類が及ぶやもしれぬというに…。 246 00:24:34,984 --> 00:24:37,887 あのような者の事 お気になさるな。 247 00:24:37,887 --> 00:24:44,327 関われば 礒貝様にも ご迷惑がかかります。 248 00:24:44,327 --> 00:24:47,230 このような所におられぬ方がよい。 249 00:24:47,230 --> 00:24:50,667 きよも 油を売っていてはならぬ。 250 00:24:50,667 --> 00:24:54,967 早く お屋敷へ戻りなされ。 251 00:25:12,689 --> 00:25:15,358 兄じゃの事は 心配いらぬ。 252 00:25:15,358 --> 00:25:19,658 何としてでも捜し出し 事を収めよう。 253 00:25:22,031 --> 00:25:28,371 きよ殿 きっと うまくいく。 我らは 夫婦になれる。 254 00:25:28,371 --> 00:25:32,242 だから そんな顔するな。 255 00:25:32,242 --> 00:25:50,627 ♬~ 256 00:25:50,627 --> 00:25:56,532 <十郎左様が 優しい言葉を かけて下されば下さるほど➡ 257 00:25:56,532 --> 00:26:00,670 胸が苦しくなりました。➡ 258 00:26:00,670 --> 00:26:05,341 三太夫様との縁談が このまま進めば➡ 259 00:26:05,341 --> 00:26:10,213 十郎左様と夫婦になるなど かなわぬ事。➡ 260 00:26:10,213 --> 00:26:14,517 それに もし 兄の事で 十郎左様にまで➡ 261 00:26:14,517 --> 00:26:17,020 ご迷惑がかかれば…> 262 00:26:17,020 --> 00:26:22,358 おきよ殿は 心に思う方がいるのですか? 263 00:26:22,358 --> 00:26:26,029 え? 起きていらしたのですか? 264 00:26:26,029 --> 00:26:28,329 礒貝様でございましょう。 265 00:26:31,367 --> 00:26:36,667 1年余りも同じ部屋にいて 気付かぬとでも? 266 00:26:39,642 --> 00:26:45,642 お二人は 羨ましいほど お似合いです。 267 00:26:47,517 --> 00:26:52,017 あの日の琴と鼓。 268 00:26:58,328 --> 00:27:04,000 好いたお相手と 夫婦になれるなどという事が➡ 269 00:27:04,000 --> 00:27:08,338 あればいいのに。 270 00:27:08,338 --> 00:27:14,338 でも それは 我らには かなわぬ事。 271 00:27:22,685 --> 00:27:29,385 <それは 本当に かなわぬ事なのでしょうか> 272 00:27:35,264 --> 00:27:41,170 おきよ殿 何か 大切な行事でも あるのですか? 273 00:27:41,170 --> 00:27:43,306 いえ。 274 00:27:43,306 --> 00:27:47,006 思い詰めたような顔をして。 275 00:27:50,179 --> 00:27:55,879 おほり様は 堀部様とご一緒になり お幸せですか? 276 00:27:57,653 --> 00:28:02,653 何をいきなりそんな事を。 教えて下さい。 277 00:28:07,997 --> 00:28:10,697 幸せですよ。 278 00:28:12,869 --> 00:28:18,007 父上が 私の事など そっちのけで➡ 279 00:28:18,007 --> 00:28:22,678 力ずくで 堀部家の婿とした人ですが➡ 280 00:28:22,678 --> 00:28:29,552 今となっては 深いご縁で つながってるように思います。 281 00:28:29,552 --> 00:28:34,852 夫婦とは 存外そのようなもの。 282 00:28:40,630 --> 00:28:47,403 おきよ殿 むちゃをしてはなりませぬよ。 283 00:28:47,403 --> 00:28:52,203 あなたを見ていると 気がかりでなりません。 284 00:29:01,651 --> 00:29:24,674 ♬~ 285 00:29:24,674 --> 00:29:27,009 きよ どうじゃ? 286 00:29:27,009 --> 00:29:30,346 そこの手を もう一度 お聴かせ願えますか。 287 00:29:30,346 --> 00:29:32,315 う~ん ここが うまくいかぬのじゃ。 288 00:29:32,315 --> 00:29:34,317 きよ 弾いてみよ。 289 00:29:34,317 --> 00:29:38,621 かしこまりました。 290 00:29:38,621 --> 00:30:13,921 ♬~ 291 00:30:37,013 --> 00:30:41,350 どういう事か 前原殿。 292 00:30:41,350 --> 00:30:44,253 なぜ ここに善左衛門が。 293 00:30:44,253 --> 00:30:47,223 不破も 何をしているんだ。 294 00:30:47,223 --> 00:30:50,359 俺は ただ 友の頼みを聞いただけだ。 295 00:30:50,359 --> 00:30:53,029 そう いきりたつな 十郎左。 296 00:30:53,029 --> 00:30:55,698 久しぶりじゃのう。 297 00:30:55,698 --> 00:31:00,036 皆が お前の身を思い 事を伏せているんだぞ。 298 00:31:00,036 --> 00:31:01,971 それを こんなとこにいる事が 知れてみ…。 299 00:31:01,971 --> 00:31:04,907 分かっておる! 300 00:31:04,907 --> 00:31:08,711 少しは 身内の身にもなれ。 301 00:31:08,711 --> 00:31:12,548 きよ殿が どれほど お前の身を案じているか。 302 00:31:12,548 --> 00:31:19,348 ふん。 きよの事となると 随分 むきになるのだな。 303 00:31:24,260 --> 00:31:27,396 分かったよ。 304 00:31:27,396 --> 00:31:33,669 きよにも よき縁談が来た事だし 邪魔者は消えるとするか。 305 00:31:33,669 --> 00:31:36,369 縁談? 306 00:31:41,344 --> 00:31:52,355 ♬~ 307 00:31:52,355 --> 00:31:56,025 奥方様。 308 00:31:56,025 --> 00:31:59,025 (阿久利)何じゃ? 309 00:32:02,365 --> 00:32:06,702 まことにご無礼な事とは 存じますが➡ 310 00:32:06,702 --> 00:32:12,041 奥方様に お願いしたき事がございます。 311 00:32:12,041 --> 00:32:18,381 あ~ 何じゃ 言うてみよ。 312 00:32:18,381 --> 00:32:21,381 はい。 313 00:32:26,255 --> 00:32:28,555 どうした? 314 00:32:30,960 --> 00:32:33,460 はい。 315 00:32:38,334 --> 00:32:45,841 私の… 縁談の事にござります。 316 00:32:45,841 --> 00:32:56,018 ♬~ 317 00:32:56,018 --> 00:32:57,953 縁談? 318 00:32:57,953 --> 00:32:59,889 (善左衛門) 何だ 知らぬのか。 319 00:32:59,889 --> 00:33:06,028 きよには 今 村松三太夫殿との 縁談が持ち上がっておるのだ。 320 00:33:06,028 --> 00:34:05,728 ♬~