1 00:00:01,937 --> 00:00:05,725 寝泊まりするために入ったと供述 しているということです。 2 00:00:35,504 --> 00:00:38,507 (きよ)<吉良様が来る。➡ 3 00:00:38,507 --> 00:00:44,213 ついに 吉良様の姿を この目で> 4 00:00:44,213 --> 00:00:47,983 <元禄15年秋。➡ 5 00:00:47,983 --> 00:00:54,323 きよは 吉良上野介の奥方 富子の住む上杉家下屋敷へ➡ 6 00:00:54,323 --> 00:00:57,226 女中として潜入した。➡ 7 00:00:57,226 --> 00:01:02,198 浪士たちが まだ誰も見た事がない 上野介の顔を➡ 8 00:01:02,198 --> 00:01:05,198 確かめるためだった> 9 00:01:08,337 --> 00:01:13,209 <討ち入りの日が 決まった> 10 00:01:13,209 --> 00:01:18,347 <討ち入りの日が 12月5日と絞られた日➡ 11 00:01:18,347 --> 00:01:24,647 吉良上野介は 上杉家下屋敷へ姿を現した> 12 00:01:33,629 --> 00:01:36,532 (富子) どうじゃ。 起き上がれますか? 13 00:01:36,532 --> 00:01:39,969 (綱憲)はい。 (吉良)無理をせぬように。 14 00:01:39,969 --> 00:01:44,807 父上にまで ご足労頂き 申し訳ござりませぬ。 15 00:01:44,807 --> 00:01:50,613 何をまた ハハッ 水くさい事を。 16 00:01:50,613 --> 00:01:56,519 案じておったよりも ずっと 顔色がよいので 安心したわ。 17 00:01:56,519 --> 00:02:00,990 まことに ご心配をおかけ致しました。 18 00:02:00,990 --> 00:02:05,661 (吉良) 何より こうして 親子3人…。 19 00:02:05,661 --> 00:02:07,596 さようでございますね。 20 00:02:07,596 --> 00:02:13,002 このように 顔をそろえるのは ほんに久方ぶり。➡ 21 00:02:13,002 --> 00:02:17,339 いつ以来の事でございましょう。 22 00:02:17,339 --> 00:02:20,176 ≪(綱憲)本所でのお暮らしは いかがでござりますか? 23 00:02:20,176 --> 00:02:22,111 ≪(吉良)うむ…。 24 00:02:22,111 --> 00:02:26,682 ≪(綱憲)依然 不穏なうわさもあり さぞ ご心痛の事と。 25 00:02:26,682 --> 00:02:28,617 されど どのような事がありましても➡ 26 00:02:28,617 --> 00:02:35,491 この綱憲 そして 上杉が お父上を守りますゆえ…。 27 00:02:35,491 --> 00:02:37,626 綱憲。 28 00:02:37,626 --> 00:02:42,965 そのようなご心配は なされるな。 29 00:02:42,965 --> 00:02:45,634 うわさは うわさ。 30 00:02:45,634 --> 00:02:49,972 あれから もう 1年と9か月。 31 00:02:49,972 --> 00:02:55,311 今更 赤穂の浪士が どうこうという事もありますまい。 32 00:02:55,311 --> 00:02:57,246 なれど…。 33 00:02:57,246 --> 00:03:03,986 煩わしいお役目から解き放たれ 茶の湯三昧。 34 00:03:03,986 --> 00:03:12,286 風雅のうちに日々を送るのも 悪うはない。 35 00:03:15,598 --> 00:03:17,598 (富子)誰じゃ? 36 00:03:21,537 --> 00:03:24,306 さえにございます。 37 00:03:24,306 --> 00:03:27,209 お殿様へ 薬湯をお持ち致しました。 38 00:03:27,209 --> 00:03:31,213 ああ さえか。 早う お入りなさい。 39 00:03:31,213 --> 00:03:35,213 はい。 失礼つかまつります。 40 00:04:05,648 --> 00:04:11,320 (富子)この秋より 奉公に入った さえでございます。 41 00:04:11,320 --> 00:04:14,823 お初にお目にかかりまする。 42 00:04:14,823 --> 00:04:16,859 (富子)さえのおかげで➡ 43 00:04:16,859 --> 00:04:21,597 綱憲様のお熱が うそのように 下がったのでございますよ。 44 00:04:21,597 --> 00:04:27,536 のう さえ。 いえ。 奥方様のご看病のたまもの。 45 00:04:27,536 --> 00:04:34,176 いいえ。 そなたが 我が子の命を救うてくれた。➡ 46 00:04:34,176 --> 00:04:39,615 御仏が遣わしてくれたような 女子でございます。 47 00:04:39,615 --> 00:04:43,952 ほう 御仏が。 48 00:04:43,952 --> 00:04:50,452 <このお方が 吉良上野介> 49 00:04:52,961 --> 00:04:58,834 <12月3日 お体が回復された綱憲様は➡ 50 00:04:58,834 --> 00:05:03,605 上杉の上屋敷へ 帰られる事となりました> 51 00:05:03,605 --> 00:05:08,510 お父上も お母上も 何とぞ ご息災で。 52 00:05:08,510 --> 00:05:14,210 ああ。 そなたもな。 53 00:05:20,656 --> 00:05:25,527 <綱憲様の前では 世間のうわさなど➡ 54 00:05:25,527 --> 00:05:29,998 気にされているそぶりもなかった 吉良様でしたが…> 55 00:05:29,998 --> 00:05:43,298 ♬~ 56 00:05:47,282 --> 00:05:52,154 あさってのお茶会は 日延べに? 日延べなのでございますか。 57 00:05:52,154 --> 00:05:54,156 ええ そのようですよ。 58 00:05:54,156 --> 00:05:58,627 ご隠居様は 今しばらく こちらに おられるとか。 59 00:05:58,627 --> 00:06:00,927 はあ…。 60 00:06:03,499 --> 00:06:10,239 <討ち入りの日 吉良様は 本所のお屋敷にいない> 61 00:06:10,239 --> 00:06:12,641 (しの)きっと 奥方様のおそばに➡ 62 00:06:12,641 --> 00:06:14,576 一時でも長く いらっしゃりたいのでしょう。 63 00:06:14,576 --> 00:06:19,515 (ちさ) ほんに 仲のおよろしいこと。 64 00:06:19,515 --> 00:06:22,651 なぜ お茶会を日延べになど…。 65 00:06:22,651 --> 00:06:25,554 さあ。 66 00:06:25,554 --> 00:06:29,525 ほらほら 早く片づけてしまいましょう。 67 00:06:29,525 --> 00:06:32,225 はい…。 68 00:06:33,929 --> 00:06:38,267 どうやら その日 公方様が 柳沢様のお屋敷へ➡ 69 00:06:38,267 --> 00:06:40,202 お出ましになられるとか。 70 00:06:40,202 --> 00:06:42,604 それで 遠慮なされたのであろうか。 71 00:06:42,604 --> 00:06:45,507 まあ それも方便。 72 00:06:45,507 --> 00:06:50,479 ご自分の身を案じての事であろう。 73 00:06:50,479 --> 00:06:52,479 (笑い声) 74 00:06:54,216 --> 00:06:57,953 <12月5日は あさって。➡ 75 00:06:57,953 --> 00:07:02,825 同志の方々は 討ち入りの支度を 急いでいるはず。➡ 76 00:07:02,825 --> 00:07:06,962 大石様は この事をご存じなのか。➡ 77 00:07:06,962 --> 00:07:13,762 もしも 吉良様のいない屋敷へ 討ち入りなどという事になれば…> 78 00:07:16,972 --> 00:07:21,972 <なんとかして お知らせしなければ> 79 00:07:30,986 --> 00:07:34,590 <「お父上儀 ご危篤につき➡ 80 00:07:34,590 --> 00:07:40,262 急ぎ 宿下がり これありたく候」。➡ 81 00:07:40,262 --> 00:07:43,932 それは いざという時➡ 82 00:07:43,932 --> 00:07:48,632 この場を抜け出すために 用意していた文でした> 83 00:07:50,806 --> 00:07:53,275 (ちさ)おさえ殿。 84 00:07:53,275 --> 00:07:56,945 何をしているのですか? おちさ様。 85 00:07:56,945 --> 00:07:59,848 おさえ殿が 一番にお会いしたいお方が➡ 86 00:07:59,848 --> 00:08:02,618 見えておられますよ。 え? 87 00:08:02,618 --> 00:08:10,492 何で そんなお顔を。 橘屋の手代さんでございますよ。 88 00:08:10,492 --> 00:08:13,192 あ…。 89 00:08:15,197 --> 00:08:18,166 いつものお菓子を お届けに参りました。 90 00:08:18,166 --> 00:08:21,466 まあ ご苦労さま。 91 00:08:26,308 --> 00:08:28,243 お変わりはありませんか? 92 00:08:28,243 --> 00:08:30,979 旦那様が 気になさっておられましたが。 93 00:08:30,979 --> 00:08:33,882 ええ。 でしたら…。 94 00:08:33,882 --> 00:08:37,252 氷川明神にて お待ち下さい。 95 00:08:37,252 --> 00:08:39,922 なるほど。 96 00:08:39,922 --> 00:08:44,122 はい かしこまりました。 97 00:09:02,945 --> 00:09:05,614 毛利様。 98 00:09:05,614 --> 00:09:09,484 何かあったのですか? ええ 大変な事が…。 99 00:09:09,484 --> 00:09:13,956 あさっての茶会は 日延べとなったのです。 100 00:09:13,956 --> 00:09:17,826 5日に 吉良様は 本所のお屋敷にはおられませぬ。 101 00:09:17,826 --> 00:09:22,526 それは まことでござりますか? ≪(神社の鈴の音) 102 00:09:26,301 --> 00:09:31,173 吉良様は 今しばらく 白金の下屋敷におられると。 103 00:09:31,173 --> 00:09:35,173 これは すぐに ご家老へ お知らせせねば。 104 00:09:36,912 --> 00:09:40,612 きよ殿は 吉良の顔を? 105 00:09:42,250 --> 00:09:46,588 吉良様のお顔には 大きな傷痕がございます。 106 00:09:46,588 --> 00:09:51,259 額に 3寸5分ほどの。 3寸5分…。 107 00:09:51,259 --> 00:09:54,930 大きな傷ですので すぐに それと分かります。 108 00:09:54,930 --> 00:09:58,800 髪は白く 総髪に結われたご老人。 109 00:09:58,800 --> 00:10:04,272 かたじけない。 いずれにせよ 決行は年内と。 110 00:10:04,272 --> 00:10:07,175 年内に決行? ああ。 111 00:10:07,175 --> 00:10:11,175 それだけは ご家老も 曲げられぬであろう。 112 00:10:13,949 --> 00:10:21,623 その日が決まりましたら 前日に この木に印を…。 113 00:10:21,623 --> 00:10:29,965 毛利様 まさか この下屋敷に 討ち入るなどという事は…。 114 00:10:29,965 --> 00:10:33,835 それはない。 上杉の屋敷へ討ち入るなど…。 115 00:10:33,835 --> 00:10:36,838 場所は 必ず 本所・吉良邸。 116 00:10:36,838 --> 00:10:38,974 (ため息) 117 00:10:38,974 --> 00:10:44,646 <富子様の目の前で 吉良様が討たれる。➡ 118 00:10:44,646 --> 00:10:47,946 それだけは…> 119 00:10:52,320 --> 00:10:56,992 討ち入りの前日 ここに 十文字の印をつけておく。 120 00:10:56,992 --> 00:11:01,663 いずこへ参れば 皆様をお見送りできるのでしょう。 121 00:11:01,663 --> 00:11:04,332 え? 122 00:11:04,332 --> 00:11:10,632 せめて 皆様を お見送りしとうございます。 123 00:11:14,342 --> 00:11:18,013 その日の夕刻には ここに来られますか? 124 00:11:18,013 --> 00:11:20,348 必ず参ります。 125 00:11:20,348 --> 00:11:26,021 きよ殿…。 礒貝殿は ご壮健だ。 126 00:11:26,021 --> 00:11:30,021 今か今かと その時を待っておられる。 127 00:11:33,829 --> 00:11:36,129 では。 128 00:11:48,977 --> 00:11:54,316 <十郎左様も その時を…> 129 00:11:54,316 --> 00:12:13,668 ♬~ 130 00:12:13,668 --> 00:12:24,679 ♬~ 131 00:12:24,679 --> 00:12:26,679 (物音) 132 00:12:38,627 --> 00:12:42,297 <それからは 何事もなく➡ 133 00:12:42,297 --> 00:12:47,636 怖いほど静かに 時が過ぎていきました> 134 00:12:47,636 --> 00:13:04,186 ♬~ 135 00:13:04,186 --> 00:13:09,324 ≪(吉良)富子! 富子はおるか! 136 00:13:09,324 --> 00:13:13,995 いかがなされたのですか。 どうもこうもあるか! 137 00:13:13,995 --> 00:13:19,868 どこまで 上杉は わしを ばかにすれば 気が済むのじゃ。 138 00:13:19,868 --> 00:13:26,007 上杉の家来が何か? 何か ご無礼を? 139 00:13:26,007 --> 00:13:31,346 あやつらは わしに死ねというのか。 140 00:13:31,346 --> 00:13:33,281 (富子)え? 141 00:13:33,281 --> 00:13:36,618 (吉良) 一刻も早く 本所へ戻れなどと。➡ 142 00:13:36,618 --> 00:13:40,488 いんぎん無礼な口をききおって! 143 00:13:40,488 --> 00:13:45,627 さもなくば 米沢へ逃げろと。 144 00:13:45,627 --> 00:13:47,963 [ 心の声 ] 米沢へ逃げる? 145 00:13:47,963 --> 00:13:53,301 このわしが 米沢のような 田舎へなど行けるものか! 146 00:13:53,301 --> 00:14:00,001 されど 上杉とて あなた様の御身を案ずればこそ。 147 00:14:16,524 --> 00:14:23,999 (笑い声) 148 00:14:23,999 --> 00:14:28,670 お殿様。 149 00:14:28,670 --> 00:14:34,276 もうよい。 わしに構うな。 150 00:14:34,276 --> 00:14:43,285 しょせん この世の者は全て敵…。➡ 151 00:14:43,285 --> 00:14:47,956 「手のひらを返す」とは まさに この事。 152 00:14:47,956 --> 00:14:53,628 高家筆頭として 指南役の任にあった時には➡ 153 00:14:53,628 --> 00:14:57,499 へつらい面で 面倒な事を あれもこれもと➡ 154 00:14:57,499 --> 00:15:01,299 頼みに来ておった者たちが…。 155 00:15:04,639 --> 00:15:12,514 世間とは かように薄情なものか…。 156 00:15:12,514 --> 00:15:17,986 そんなふうに お考えになってはなりませぬ。 157 00:15:17,986 --> 00:15:21,656 あなた様らしくもない。➡ 158 00:15:21,656 --> 00:15:24,559 吉良の殿たるもの…。 159 00:15:24,559 --> 00:15:27,329 ええい うるさい! 160 00:15:27,329 --> 00:15:31,629 黙れ! 黙らぬか! 161 00:15:35,937 --> 00:15:38,606 殿…。 162 00:15:38,606 --> 00:16:30,606 ♬~ 163 00:16:34,596 --> 00:16:38,933 恥ずかしいところを…。 164 00:16:38,933 --> 00:16:40,933 いえ。 165 00:16:44,606 --> 00:16:46,541 私は これにて。 166 00:16:46,541 --> 00:16:52,480 よい。 もう少し ここにいておくれ。 167 00:16:52,480 --> 00:16:56,480 奥方様…。 168 00:17:00,955 --> 00:17:06,294 あのようなお方ではなかったのに。 169 00:17:06,294 --> 00:17:12,294 あの日以来 殿は変わられてしまった。 170 00:17:14,969 --> 00:17:18,840 40年にわたり 連れ添うてきたのです。 171 00:17:18,840 --> 00:17:23,311 よいところも悪いところも 知り尽くしております。 172 00:17:23,311 --> 00:17:31,586 世間がうわさするほど あのお方は ずるくも悪くも…。 173 00:17:31,586 --> 00:17:35,423 高慢なところは あるやもしれませぬ。 174 00:17:35,423 --> 00:17:41,596 それゆえ 誤解も受けましょう。 175 00:17:41,596 --> 00:17:45,467 されど 本来は➡ 176 00:17:45,467 --> 00:17:55,610 風雅な事がお好きな お優しい方なのです。➡ 177 00:17:55,610 --> 00:18:03,284 あの額の傷が 何かを変えてしまった。 178 00:18:03,284 --> 00:18:14,629 ♬~ 179 00:18:14,629 --> 00:18:17,966 (富子)あの日以来 あの方は➡ 180 00:18:17,966 --> 00:18:22,837 見えない何かに おびえておられる。➡ 181 00:18:22,837 --> 00:18:27,308 さえ。 182 00:18:27,308 --> 00:18:35,583 私は いっそ あの人と刺し違え 死のうと思った事があるのです。 183 00:18:35,583 --> 00:18:39,454 奥方様…。 184 00:18:39,454 --> 00:18:44,926 上杉の世継ぎに 綱憲を差し出してまで➡ 185 00:18:44,926 --> 00:18:53,268 我が上杉家を救って下さった 上野介様。 186 00:18:53,268 --> 00:18:58,606 長い間には さまざまな事がありました。 187 00:18:58,606 --> 00:19:09,906 それでも 私は 吉良に嫁ぎ 幸せでした。 188 00:19:14,622 --> 00:19:28,636 その幸せが 60の齢を過ぎた今 崩されようとは…。 189 00:19:28,636 --> 00:19:33,241 (富子のため息) 190 00:19:33,241 --> 00:19:37,541 それなら いっそ 死んだ方がまし。 191 00:19:44,852 --> 00:19:48,852 さえ。 192 00:19:50,592 --> 00:19:57,092 吉良家は どうなってしまうのでしょう。 193 00:19:59,601 --> 00:20:07,275 この先 一体 何が…。 194 00:20:07,275 --> 00:20:28,275 ♬~ 195 00:20:30,965 --> 00:20:36,838 <3日後 吉良様は 上杉家下屋敷を出て➡ 196 00:20:36,838 --> 00:20:41,138 本所へ戻られる事となりました> 197 00:20:44,512 --> 00:20:49,651 皆々 いたく世話になった。 198 00:20:49,651 --> 00:20:55,651 奥が事 よしなに頼みまするぞ。 199 00:20:57,525 --> 00:21:01,996 殿。 何じゃ? 200 00:21:01,996 --> 00:21:08,296 お寒い日が続きます。 お風邪など 召されませぬよう。 201 00:21:11,673 --> 00:21:13,973 そなたも。 202 00:21:16,544 --> 00:21:22,317 (吉良) お互い 寄る年波には勝てぬ。 203 00:21:22,317 --> 00:21:28,617 いつ何があっても おかしゅうはないからのう。 204 00:21:31,626 --> 00:21:37,965 おお~ 隠居の身に 寒さはこたえる。 205 00:21:37,965 --> 00:21:44,639 ましてや 本所は 大川の風が冷とうて➡ 206 00:21:44,639 --> 00:21:47,308 凍えてしまうわ。 207 00:21:47,308 --> 00:21:57,952 いま少し 上杉も 年寄りを 大事にして下さるとよいのだが。 208 00:21:57,952 --> 00:22:08,329 富子。 わしの身に 何があろうとも 後追いだけはするなよ。 209 00:22:08,329 --> 00:22:17,629 憎むな 恨むな。 吉良の女は 取り乱してはならぬ。 210 00:22:19,941 --> 00:22:23,878 何事もあろうはずがございませぬ。 211 00:22:23,878 --> 00:22:32,520 そのような事をおっしゃるとは 殿らしゅうもない。 212 00:22:32,520 --> 00:22:36,958 さえと申したかの。 213 00:22:36,958 --> 00:22:39,627 はい。 214 00:22:39,627 --> 00:22:45,967 富子は そなたを いたく気に入っておる様子。 215 00:22:45,967 --> 00:22:53,641 吉良の奥方様を よろしゅう頼むぞ。 216 00:22:53,641 --> 00:22:56,641 かしこまりました。 217 00:23:05,987 --> 00:23:10,658 (富子) 早う 梅の花が咲いてほしいもの。 218 00:23:10,658 --> 00:23:14,529 (吉良)おう まことにのう。 219 00:23:14,529 --> 00:23:38,286 ♬~ 220 00:23:38,286 --> 00:23:45,286 <12月の10日を過ぎても 印はありませんでした> 221 00:23:49,897 --> 00:23:55,303 <いっそ このまま 何事もなければ…。➡ 222 00:23:55,303 --> 00:24:01,175 いえ それでは 皆様のご本懐が…> 223 00:24:01,175 --> 00:24:11,175 ♬~ 224 00:24:50,491 --> 00:24:53,494 (仙桂尼)さようか。 225 00:24:53,494 --> 00:25:00,968 やはり ご家来衆は 年内には 事を…。 226 00:25:00,968 --> 00:25:04,968 (元哲)どうやら そのようです。 227 00:25:10,311 --> 00:25:15,182 明日は 内匠頭様のご命日。 228 00:25:15,182 --> 00:25:18,986 きよからは 何か。 229 00:25:18,986 --> 00:25:21,656 じかには 何も。 230 00:25:21,656 --> 00:25:29,330 ただ 同志たちとは ひそかに やり取りをしている様子。 231 00:25:29,330 --> 00:25:36,030 まさか 私も きよが あのような事に加担しようとは…。 232 00:25:39,140 --> 00:25:43,611 本懐を遂げようとも 遂げられずとも➡ 233 00:25:43,611 --> 00:25:48,482 いずれにしても 事を起こせば➡ 234 00:25:48,482 --> 00:25:52,954 ご家来衆の死は免れぬ事。 235 00:25:52,954 --> 00:26:03,598 その後 ご公儀の咎が どこまで及ぶか。 236 00:26:03,598 --> 00:26:06,298 きよにもと? 237 00:26:09,971 --> 00:26:12,971 そこまでは…。 238 00:26:16,644 --> 00:26:19,313 (仙桂尼)それにしても➡ 239 00:26:19,313 --> 00:26:26,654 こうと心に決めたら 何を言うても曲げぬ。➡ 240 00:26:26,654 --> 00:26:31,492 誰にも止められぬのは さえと よう似ておる。 241 00:26:31,492 --> 00:26:39,792 そなたを追い 何もかも全て捨てて この寺へ逃げた さえと。 242 00:26:42,603 --> 00:26:50,277 仙桂尼様は さぞ 私を恨んでおられるのでしょうな。 243 00:26:50,277 --> 00:26:58,277 私との事がなければ さえも 平穏な暮らしが続いたものを…。 244 00:27:02,289 --> 00:27:08,629 何を今更。 遠い昔の事を。 245 00:27:08,629 --> 00:27:14,301 ただ 今は その娘 きよまでが➡ 246 00:27:14,301 --> 00:27:17,638 恋のために 命を投げ出そうとしている。 247 00:27:17,638 --> 00:27:22,438 その事が 気がかりでなりませぬ。 248 00:27:25,312 --> 00:27:27,648 あ…。 249 00:27:27,648 --> 00:27:32,920 いま一度 さえの墓に。 250 00:27:32,920 --> 00:27:39,220 さえが きよを守ってくれるよう。 251 00:27:47,468 --> 00:27:52,468 雪でも降りそうな空じゃ。 252 00:28:02,917 --> 00:28:06,620 <まさに その同じ刻限。➡ 253 00:28:06,620 --> 00:28:12,920 私は 氷川明神の木に 印を見つけたのです> 254 00:28:17,631 --> 00:28:23,971 <来るべき時が ついに来たのです。➡ 255 00:28:23,971 --> 00:28:28,309 討ち入りは 明日> 256 00:28:28,309 --> 00:28:46,794 ♬~ 257 00:28:46,794 --> 00:28:52,994 [ 心の声 ] お許し下さい。 きよは うそを…。 258 00:28:57,471 --> 00:29:02,610 (富子)まあ! そなたの父が。 259 00:29:02,610 --> 00:29:06,480 何とぞ 宿下がりのお許しを。 260 00:29:06,480 --> 00:29:08,482 はっ 許すも何も➡ 261 00:29:08,482 --> 00:29:12,286 そなたの ててごの命が かかっている事ではありませぬか。 262 00:29:12,286 --> 00:29:16,286 早う。 早う 行っておやりなさい。 263 00:29:17,958 --> 00:29:21,958 ありがとう存じます。 264 00:29:24,832 --> 00:29:27,532 待ちなさい。 265 00:29:49,590 --> 00:29:54,461 これで 何か ててごに 精のつくものでも。 266 00:29:54,461 --> 00:29:56,463 このような事は…。 267 00:29:56,463 --> 00:30:00,163 よいから。 持っていきなさい。 268 00:30:02,603 --> 00:30:08,475 そなたは 我が子の命を救うてくれた。 269 00:30:08,475 --> 00:30:13,475 そなたの父も きっと ようなられる。 270 00:30:15,950 --> 00:30:19,650 奥方様…。 271 00:30:27,561 --> 00:30:33,261 吉良の女は 取り乱してはなりませぬ。 272 00:30:43,644 --> 00:30:47,514 <私は 浅野家の女。➡ 273 00:30:47,514 --> 00:30:53,214 はいと言う事はできませんでした> 274 00:31:01,662 --> 00:31:05,962 ≪(ちさ)さえ殿! おさえ殿! 275 00:31:12,006 --> 00:31:21,015 奥方様が 雪になりそうですから これを持たせなさいと。 276 00:31:21,015 --> 00:31:23,684 ありがとうございます。 277 00:31:23,684 --> 00:31:31,984 お気を付けて。 お父上 どうか お大事に。 278 00:31:35,629 --> 00:31:40,301 あら。 もう 雪…。 279 00:31:40,301 --> 00:32:34,301 ♬~ 280 00:32:35,956 --> 00:32:43,831 [ 心の声 ] 毛利様? 違う。 誰? 281 00:32:43,831 --> 00:32:52,306 <氷川明神で 毛利様を待つ訳には いきませんでした。➡ 282 00:32:52,306 --> 00:33:01,306 後をつけてくる者が もしも 吉良の回し者だとしたら…> 283 00:33:08,655 --> 00:33:14,528 <源助町には行けない。 堀部様のところへも。➡ 284 00:33:14,528 --> 00:33:21,168 同志の方々のいる場所へ 行ってはいけない> 285 00:33:21,168 --> 00:33:46,293 ♬~ 286 00:33:46,293 --> 00:33:52,993 [ 心の声 ] 毛利様…。 来てはなりませぬ。 287 00:33:54,635 --> 00:33:57,635 [ 心の声 ] なりませぬ。