1 00:00:03,617 --> 00:00:07,287 この 驚きの大地から 湧き出た水が➡ 2 00:00:07,287 --> 00:00:12,159 世界一の大河を潤しているのです。 3 00:00:12,159 --> 00:00:27,159 ♬~ 4 00:00:37,651 --> 00:00:43,523 (喜世)<我らの悲願は お家再興> 5 00:00:43,523 --> 00:00:49,262 お殿様に お聞き頂きたき事がございます。 6 00:00:49,262 --> 00:00:52,499 何じゃ。 7 00:00:52,499 --> 00:00:55,699 喜世は…。 8 00:01:00,840 --> 00:01:03,140 喜世は…。 9 00:01:11,551 --> 00:01:15,551 一度下した沙汰を覆すは 容易ではない。 10 00:01:17,290 --> 00:01:23,590 皆を納得させる… 大義がなくてはならぬ。 11 00:01:25,365 --> 00:01:28,165 時機を待て。 12 00:01:30,237 --> 00:01:37,644 <お殿様は 私が浅野家に仕えていた事を➡ 13 00:01:37,644 --> 00:01:40,547 ご存じだったのでしょうか> 14 00:01:40,547 --> 00:01:49,547 ♬~ 15 00:01:52,659 --> 00:01:55,996 <今 ここ 西の丸では➡ 16 00:01:55,996 --> 00:02:00,333 側室の誰が 一番に お腹様となるか➡ 17 00:02:00,333 --> 00:02:04,204 つまり 殿様の子を 宿す事となるか➡ 18 00:02:04,204 --> 00:02:08,504 女たちの争いが 始まろうとしていた> 19 00:02:13,346 --> 00:02:16,683 月のもの? 20 00:02:16,683 --> 00:02:21,554 かような事まで 江島様に お知らせせねばならぬのですか。 21 00:02:21,554 --> 00:02:27,027 懐妊するには 己の体を知らねばなりませぬ。 22 00:02:27,027 --> 00:02:34,301 奥医師の上岡法印様に 教えを請うてまいりました。 23 00:02:34,301 --> 00:02:39,172 こちらを よ~くお読み下さいませ。 24 00:02:39,172 --> 00:02:44,944 それにしても 大典侍様の お召しの日数が多すぎます。 25 00:02:44,944 --> 00:02:48,315 ご側室は 3人だというのに。 26 00:02:48,315 --> 00:02:51,315 ≪(しな)失礼つかまつります。 27 00:02:56,656 --> 00:02:59,559 (しな) 唐澤様が お呼びにございます。 28 00:02:59,559 --> 00:03:01,528 何用じゃ。 29 00:03:01,528 --> 00:03:04,164 それが… どうやら➡ 30 00:03:04,164 --> 00:03:08,001 一位様が お亡くなり あそばされたとの知らせが。 31 00:03:08,001 --> 00:03:14,301 桂昌院様が… 亡くなられた。 32 00:03:16,343 --> 00:03:19,245 <宝永2年6月。➡ 33 00:03:19,245 --> 00:03:26,986 将軍 綱吉の生母 桂昌院が 79歳の生涯を閉じた。➡ 34 00:03:26,986 --> 00:03:30,857 江戸城大奥で 絶大な権力を振るい➡ 35 00:03:30,857 --> 00:03:35,357 従一位まで上り詰めた女人の 死であった> 36 00:03:39,299 --> 00:03:43,970 <喜世が その男と 初めて言葉を交わしたのは➡ 37 00:03:43,970 --> 00:03:47,307 その数日後の事> 38 00:03:47,307 --> 00:03:52,145 いや 何 格別の用と 申すほどもございませぬが➡ 39 00:03:52,145 --> 00:03:58,318 間部様が 一度 左京の方様と お話し致すのも 一興であろうと。 40 00:03:58,318 --> 00:04:02,989 なるほど。 間部様のおっしゃるとおり➡ 41 00:04:02,989 --> 00:04:07,327 いや~ それを上回るお美しさ。 42 00:04:07,327 --> 00:04:10,327 殿様が お気に召すのも 無理はない。 43 00:04:12,198 --> 00:04:19,339 左京の方様。 これで 天下の形勢は がらりと変わりますぞ。 44 00:04:19,339 --> 00:04:24,844 桂昌院様ご逝去の事に ございますか。 45 00:04:24,844 --> 00:04:28,681 御年79のご長寿を 全うされたとはいえ➡ 46 00:04:28,681 --> 00:04:33,286 公方様のお悲しみは いかばかりの事でございましょう。 47 00:04:33,286 --> 00:04:39,793 これは 本丸をも揺るがす一大事と お察し致しまする。 48 00:04:39,793 --> 00:04:44,964 さよう。 左京の方様の仰せのとおり➡ 49 00:04:44,964 --> 00:04:49,836 公方様は お母君のご意向を 何より大切にしてこられた。 50 00:04:49,836 --> 00:04:53,836 「生類憐みの令」は その最たるもの。 51 00:04:55,608 --> 00:04:58,511 一つ 面白い話を…。 52 00:04:58,511 --> 00:05:03,983 遡る事4年 かの松の廊下刃傷の一件では➡ 53 00:05:03,983 --> 00:05:06,886 くしくも 桂昌院様が 従一位を頂けるか否かという➡ 54 00:05:06,886 --> 00:05:09,656 まさに その大事な日の出来事。 55 00:05:09,656 --> 00:05:12,325 それゆえ 公方様は激怒され➡ 56 00:05:12,325 --> 00:05:16,663 内匠頭様は 即日 切腹の沙汰と相なった。 57 00:05:16,663 --> 00:05:19,566 左京の方様➡ 58 00:05:19,566 --> 00:05:24,337 事が起こるとは そういう事なのです。➡ 59 00:05:24,337 --> 00:05:28,208 全ては 巡り合わせ。➡ 60 00:05:28,208 --> 00:05:31,211 もしも その日でなければ➡ 61 00:05:31,211 --> 00:05:34,948 ご公儀の 内匠頭様 吉良様への沙汰も➡ 62 00:05:34,948 --> 00:05:37,283 別のものになっていたやもしれぬ。 63 00:05:37,283 --> 00:05:41,983 となれば 赤穂四十七士の討ち入りも…。 64 00:05:44,157 --> 00:05:46,957 なかったと。 65 00:05:49,629 --> 00:05:55,301 ともあれ かように 世の流れをも 左右されるお方が 逝去された。➡ 66 00:05:55,301 --> 00:06:00,473 これは 一つの時代の終えん。 67 00:06:00,473 --> 00:06:04,673 そして 変化の前触れ。 68 00:06:06,279 --> 00:06:08,779 前触れ…。 69 00:06:12,185 --> 00:06:16,656 <そして 1年後の秋。➡ 70 00:06:16,656 --> 00:06:19,993 うれしい知らせが 飛び込んできました。➡ 71 00:06:19,993 --> 00:06:24,497 桂昌院様の一周忌に行われた 大恩赦。➡ 72 00:06:24,497 --> 00:06:29,335 その中には 流刑となっていた 村松政右衛門殿も➡ 73 00:06:29,335 --> 00:06:32,238 含まれていたのです。➡ 74 00:06:32,238 --> 00:06:38,538 これで 一つ 悲願がかないました> 75 00:06:40,613 --> 00:06:48,288 <木屋のおじ様の計らいで 皆 親族として会いに来たのです> 76 00:06:48,288 --> 00:06:51,988 (きん) 左京の方様 お越しにござります。 77 00:07:01,301 --> 00:07:06,001 おじ様 おほり様。 78 00:07:08,174 --> 00:07:12,174 お元気そうで 何よりでございます。 79 00:07:14,314 --> 00:07:17,614 久方ぶりにございます。 80 00:07:23,656 --> 00:07:28,356 政右衛門殿も よくぞ ご無事で。 81 00:07:30,530 --> 00:07:32,765 江戸へは いつ? 82 00:07:32,765 --> 00:07:35,268 先月 戻ってまいりました。 83 00:07:35,268 --> 00:07:41,140 我らのため 多大なご尽力を賜り まことに ありがとう存じます。 84 00:07:41,140 --> 00:07:48,615 いいえ。 ご尽力されたのは 仙桂尼様。 85 00:07:48,615 --> 00:07:52,285 そして 木屋のおじ様。 86 00:07:52,285 --> 00:07:58,625 私など 何もできませんでした。 87 00:07:58,625 --> 00:08:05,298 されど 兄上様とのお約束➡ 88 00:08:05,298 --> 00:08:09,636 ようやく 果たせた思いでございます。 89 00:08:09,636 --> 00:08:15,308 兄上様は 最後まで➡ 90 00:08:15,308 --> 00:08:18,808 政右衛門殿の身を 案じておいででした。 91 00:08:20,980 --> 00:08:24,851 (孫三郎)政右衛門は この後 出家の身となります。➡ 92 00:08:24,851 --> 00:08:30,323 全て 赤坂の奥様が 取り計ろうて下さいました。 93 00:08:30,323 --> 00:08:34,927 さようでございますか。 94 00:08:34,927 --> 00:08:36,863 はい。 95 00:08:36,863 --> 00:08:41,163 <瑶泉院様が…> 96 00:08:43,269 --> 00:08:47,607 おほり様も お元気そうで。 97 00:08:47,607 --> 00:08:50,607 それが…。 98 00:08:52,478 --> 00:08:57,617 まあ いろいろ ございました。 99 00:08:57,617 --> 00:09:02,288 あのあと お仕えしていた 丹羽家の冷台院様が➡ 100 00:09:02,288 --> 00:09:06,159 お亡くなりになり 暇を出されてしまったのです。 101 00:09:06,159 --> 00:09:08,628 まあ…。 102 00:09:08,628 --> 00:09:11,964 今は 仕立物などしながら➡ 103 00:09:11,964 --> 00:09:15,835 わびしいながらも 一人 気ままに暮らしております。 104 00:09:15,835 --> 00:09:19,639 條右衛門殿が 用もないのに やって来ては➡ 105 00:09:19,639 --> 00:09:21,974 あれこれ 世話をしてくれるのですが➡ 106 00:09:21,974 --> 00:09:26,312 まあ いいのだか 悪いのだか。 107 00:09:26,312 --> 00:09:28,648 後妻の話をお勧めしても➡ 108 00:09:28,648 --> 00:09:33,252 なかなか 首を縦に振っては 下さらぬのです。 109 00:09:33,252 --> 00:09:40,593 私はもう どなたとも 所帯を持つ気はありませぬ。 110 00:09:40,593 --> 00:09:43,293 一人で十分。 111 00:09:45,465 --> 00:09:49,936 お一人で…。 112 00:09:49,936 --> 00:09:55,274 それもまた 羨ましゅうございます。 113 00:09:55,274 --> 00:09:58,611 かようなお暮らしをしながら➡ 114 00:09:58,611 --> 00:10:01,280 そんな事 おっしゃるものではありません。 115 00:10:01,280 --> 00:10:03,580 罰が当たります。 116 00:10:05,151 --> 00:10:10,623 おほり様に叱られたのは いつ以来か…。 117 00:10:10,623 --> 00:10:15,795 お懐かしゅうございます。 また さような事を…。 118 00:10:15,795 --> 00:10:22,301 いいえ。 このように 気心知れた方と➡ 119 00:10:22,301 --> 00:10:26,639 何の気兼ねもなく お話しするなどという事は➡ 120 00:10:26,639 --> 00:10:29,839 今はもう…。 121 00:10:31,511 --> 00:10:39,211 このようなご出世 なそうと思うて できる事ではありませぬ。 122 00:10:41,654 --> 00:10:48,327 おきよ殿は 我らの光。 123 00:10:48,327 --> 00:10:54,667 闇夜を照らす 一筋の光なのです。 124 00:10:54,667 --> 00:10:58,538 おほり様…。 125 00:10:58,538 --> 00:11:01,538 お世継ぎを 是非。 126 00:11:04,677 --> 00:11:09,377 左京の方様なら おできになります。 127 00:11:15,321 --> 00:11:20,026 ああ もう できる事なら 私がおそばにいて➡ 128 00:11:20,026 --> 00:11:22,726 お世話して さしあげたいくらいですわ。 129 00:11:25,898 --> 00:11:28,198 負けてはなりませぬよ。 130 00:11:30,670 --> 00:11:34,540 ええ 負けませぬ。 131 00:11:34,540 --> 00:11:41,240 (笑い声) 132 00:11:43,249 --> 00:11:45,184 ≪(赤ちゃんの泣き声) 133 00:11:45,184 --> 00:11:50,656 <お腹様の一番乗りは 右近の方様でした。➡ 134 00:11:50,656 --> 00:11:58,656 右近の方様は 玉のような男の子を お産みになられたのです> 135 00:12:00,333 --> 00:12:04,033 <そして お七夜> 136 00:12:10,343 --> 00:12:13,679 家千代様と…。 137 00:12:13,679 --> 00:12:18,351 末永く 丈夫に育つよう 付けた名じゃ。 138 00:12:18,351 --> 00:12:24,023 (熙子)ほんに 男児とは ようやってくれました。 139 00:12:24,023 --> 00:12:26,359 ご苦労さんでした。 140 00:12:26,359 --> 00:12:28,294 なあ みんな。 141 00:12:28,294 --> 00:12:32,031 (3人)おめでとう存じます。 142 00:12:32,031 --> 00:12:38,304 無事に育つよう 大事に育てな。 143 00:12:38,304 --> 00:12:41,004 なあ 家千代。 144 00:12:42,975 --> 00:12:45,311 ≪(猫の鳴き声) 145 00:12:45,311 --> 00:12:50,611 まあまあ そなたのお猫さんまで喜んで。 146 00:12:58,858 --> 00:13:02,328 野良は えろう たくましいこと。 147 00:13:02,328 --> 00:13:04,263 (大典侍)はあ? 148 00:13:04,263 --> 00:13:09,201 (熙子)初産というのに あのように けろっとしたお顔で。 149 00:13:09,201 --> 00:13:13,673 そやから 野良なのでございましょう。 150 00:13:13,673 --> 00:13:21,347 この分では 次々 ぽこぽこと お子をお産みあそばしますわな。 151 00:13:21,347 --> 00:13:26,018 申し訳あらしゃいません。 152 00:13:26,018 --> 00:13:28,854 私が 至らぬばっかりに。 153 00:13:28,854 --> 00:13:34,961 こればっかりは 御仏のおぼし召しや。 154 00:13:34,961 --> 00:13:42,301 けど 典侍さん。 いずれは 公方様の世継ぎとなるお子。 155 00:13:42,301 --> 00:13:45,204 毛並みの悪い野良では ならんのです。 156 00:13:45,204 --> 00:13:51,811 それゆえ そなたに託している事 忘れんように。 157 00:13:51,811 --> 00:13:55,982 心得ております。 158 00:13:55,982 --> 00:14:02,154 方々のお寺社に 祈祷を頼んどきましたえ。 159 00:14:02,154 --> 00:14:04,190 ご祈祷を? 160 00:14:04,190 --> 00:14:12,331 ああ。 そなたに 早う 世継ぎが授かるよう。 161 00:14:12,331 --> 00:14:20,331 そして 右近のお子が 無事 育つよう…。 162 00:14:26,879 --> 00:14:32,618 <だが 家千代は育たなかった。➡ 163 00:14:32,618 --> 00:14:39,118 生後二月余りで その短い命を終えたのである> 164 00:14:50,636 --> 00:14:54,306 (右近の泣き声) 165 00:14:54,306 --> 00:14:58,177 嫌! 嫌~! 166 00:14:58,177 --> 00:15:02,648 家千代様… 家千代様…。 167 00:15:02,648 --> 00:15:06,519 お願いです。 連れていかないで下さい。 168 00:15:06,519 --> 00:15:10,322 (唐澤) 右近の方様 ご辛抱下さいませ。 169 00:15:10,322 --> 00:15:21,667 (右近の泣き声) 170 00:15:21,667 --> 00:15:25,004 (右近)嫌~。 171 00:15:25,004 --> 00:15:41,287 ♬~ 172 00:15:41,287 --> 00:15:43,789 (大典侍)さあ。 173 00:15:43,789 --> 00:15:56,502 ♬~ 174 00:15:56,502 --> 00:15:59,202 さあ お行き。 175 00:16:03,642 --> 00:16:09,342 さいなら。 帰ってきたらあかしまへん。 176 00:16:13,652 --> 00:16:17,523 右近の方様の様子が おかしい? 177 00:16:17,523 --> 00:16:21,994 はい。 どうやら 夜な夜な 猫を捜して➡ 178 00:16:21,994 --> 00:16:24,330 お廊下を歩き回って おられるようなのです。 179 00:16:24,330 --> 00:16:26,265 猫を…。 180 00:16:26,265 --> 00:16:30,202 猫のみいが 急に 姿をくらましてしまったのです。➡ 181 00:16:30,202 --> 00:16:32,938 お子を亡くされて以来➡ 182 00:16:32,938 --> 00:16:35,774 お昼間は 具合が悪いと 寝込んでおられるのに➡ 183 00:16:35,774 --> 00:16:38,574 夜になると起き出して。 184 00:16:44,483 --> 00:16:46,983 みいや…。 185 00:16:49,622 --> 00:16:51,957 みいや…。➡ 186 00:16:51,957 --> 00:16:54,860 ニャ~オ。 187 00:16:54,860 --> 00:16:58,297 部屋方のセツなどは 夜中に その姿を見て➡ 188 00:16:58,297 --> 00:17:00,966 幽霊かと思い 腰を抜かしたそうでございます。 189 00:17:00,966 --> 00:17:02,902 まあ。 190 00:17:02,902 --> 00:17:06,839 あんなに かわいがっていらっしゃったのに。 191 00:17:06,839 --> 00:17:11,677 なぜ 急に いなくなってしまったのでしょう。 192 00:17:11,677 --> 00:17:15,514 奥方様は 猫がお嫌い。 193 00:17:15,514 --> 00:17:20,319 誰ぞが 追い払ったのやもしれませぬ。 194 00:17:20,319 --> 00:17:26,192 今宵も おしとねは 大典侍の方様のようにございます。 195 00:17:26,192 --> 00:17:29,328 さようですか。 196 00:17:29,328 --> 00:17:31,263 (江島)何やら 奥方様が➡ 197 00:17:31,263 --> 00:17:37,937 大典侍の方様に お子を授かるよう ご祈祷も始められたとの事。 198 00:17:37,937 --> 00:17:39,872 ご祈祷を…。 199 00:17:39,872 --> 00:17:44,610 それにしても なんと あからさま。 200 00:17:44,610 --> 00:17:50,282 左京様を閨に一歩も近づけぬとは。 201 00:17:50,282 --> 00:18:04,082 (祈祷) 202 00:18:06,632 --> 00:18:20,980 (祈祷) 203 00:18:20,980 --> 00:18:24,850 お子ができた。 確かか? 204 00:18:24,850 --> 00:18:31,323 はい。 医師の上岡法印様が 間違いのう みごもっていると。 205 00:18:31,323 --> 00:18:34,226 (岩倉)おめでとう存じます。 206 00:18:34,226 --> 00:18:39,765 そうか。 ああ…。 207 00:18:39,765 --> 00:18:44,603 ようよう 私の願いが 御仏に通じたのじゃな。 208 00:18:44,603 --> 00:18:48,941 奥方様のおかげさんでございます。 209 00:18:48,941 --> 00:18:54,613 これが男児であったら 世継ぎは その子で決まり。 210 00:18:54,613 --> 00:19:01,287 ああ ようやった。 ようやりましたなあ。 211 00:19:01,287 --> 00:19:04,957 もったいのうございます。 212 00:19:04,957 --> 00:19:09,628 (熙子)すぐに 男児出産の ご祈祷をお願いせんと。 213 00:19:09,628 --> 00:19:14,967 そうじゃ 典侍さんに お守りを頂いてるのやった。 214 00:19:14,967 --> 00:19:20,639 岩倉 そこの小引き出しの3段目に。 215 00:19:20,639 --> 00:19:22,639 はっ。 216 00:19:32,251 --> 00:19:36,922 典侍さんが 逃がしてくれたんやろう。 217 00:19:36,922 --> 00:19:40,592 はい。 お猫も ここにいるより➡ 218 00:19:40,592 --> 00:19:43,929 お外の方が 気楽でございましょう。 219 00:19:43,929 --> 00:19:48,429 さようでございますか。 220 00:20:02,281 --> 00:20:06,151 ≪(右近)離せ! 離してくれ! 離すのじゃ! 221 00:20:06,151 --> 00:20:08,153 ≪(なお)いけませぬ。 ≪(こう)おやめ下さい。 222 00:20:08,153 --> 00:20:11,623 ≪(しな)右近の方様。 ≪(右近)離せ。 離してくれ。➡ 223 00:20:11,623 --> 00:20:13,959 離すのじゃ! ≪(なお)右近の方様。 224 00:20:13,959 --> 00:20:15,894 ≪(こう)おやめ下さい。 225 00:20:15,894 --> 00:20:19,631 嫌じゃ! 確かに聞こえたのじゃ。 226 00:20:19,631 --> 00:20:24,503 私の赤子の声が 大典侍様のお部屋から。 227 00:20:24,503 --> 00:20:26,505 (なお)そんなはずはございません。 228 00:20:26,505 --> 00:20:29,641 このお屋敷に 赤子は おりませぬ。 229 00:20:29,641 --> 00:20:33,312 ならば あの声は みい。 230 00:20:33,312 --> 00:20:36,215 みいを隠しているのか! 231 00:20:36,215 --> 00:20:38,215 右近の方様。 232 00:20:44,656 --> 00:20:50,329 そのような事を 考えてはなりませぬ。 233 00:20:50,329 --> 00:20:54,666 さあ お部屋に戻り お休み下さい。 234 00:20:54,666 --> 00:20:56,602 左京の方様。 235 00:20:56,602 --> 00:21:02,174 涼しい顔をして よくも そのような事を。➡ 236 00:21:02,174 --> 00:21:08,680 子も宿した事のないそなたに 私の思いが分かるものか! 237 00:21:08,680 --> 00:21:17,022 十月もの間 この腹に命を抱え➡ 238 00:21:17,022 --> 00:21:22,361 ようやく生まれたお子を…。➡ 239 00:21:22,361 --> 00:21:26,231 私には もう何もない。 240 00:21:26,231 --> 00:21:33,931 赤子も みいも 皆 いなくなってしまった。 241 00:21:37,309 --> 00:21:43,649 右近の方様 諦めてはなりませぬ。 242 00:21:43,649 --> 00:21:48,520 きっと また お子は。 243 00:21:48,520 --> 00:21:54,660 なれば そなたが 子を宿せばよいではないか!➡ 244 00:21:54,660 --> 00:21:58,997 お殿様のお気に入りのそなたが! 245 00:21:58,997 --> 00:22:02,334 子を宿してから言え! 246 00:22:02,334 --> 00:22:04,670 (こう)右近の方様! 247 00:22:04,670 --> 00:22:20,219 ♬~ 248 00:22:20,219 --> 00:22:24,690 (岩倉) お殿様 お方様には 本日も…。 249 00:22:24,690 --> 00:22:27,025 <翌朝の総触れに➡ 250 00:22:27,025 --> 00:22:32,025 右近の方様の姿は ありませんでした> 251 00:22:35,300 --> 00:22:42,174 (泣き声) 252 00:22:42,174 --> 00:22:49,481 右近の方様を養生所へ…。 あの日以来 右近の方様は➡ 253 00:22:49,481 --> 00:22:52,317 床にふし 泣いてばかりおられる。 254 00:22:52,317 --> 00:22:57,189 あの様子では お殿様の子をなすのも無理と➡ 255 00:22:57,189 --> 00:22:59,191 奥方様が。 256 00:22:59,191 --> 00:23:03,929 お里で療養する訳には まいらぬのですか。 257 00:23:03,929 --> 00:23:08,867 お殿様のご側室となり お手つきとなられたからには➡ 258 00:23:08,867 --> 00:23:12,337 二度と里に帰る事は許されませぬ。 259 00:23:12,337 --> 00:23:17,209 左京の方様 今が好機にございます。 260 00:23:17,209 --> 00:23:19,678 好機? 261 00:23:19,678 --> 00:23:22,347 右近の方様は あのご様子。 262 00:23:22,347 --> 00:23:26,218 大典侍の方様は ご懐妊で お部屋に籠もりきり。 263 00:23:26,218 --> 00:23:32,958 今こそ お殿様を独り占めできる時。 264 00:23:32,958 --> 00:23:38,297 この機に 何としてでも お世継ぎを宿さねば。 265 00:23:38,297 --> 00:23:44,169 大典侍の方様のおなかには 既に 赤子がおられる。 266 00:23:44,169 --> 00:23:51,009 その子が男児であれば お世継ぎとなられるはず。 267 00:23:51,009 --> 00:23:58,617 なれば 私が 子など なさなくとも それでよいではないですか。 268 00:23:58,617 --> 00:24:01,320 ハッ フッフッフッフッフ。 269 00:24:01,320 --> 00:24:06,191 何を言うておられるのやら。 270 00:24:06,191 --> 00:24:09,194 左京の方様。 271 00:24:09,194 --> 00:24:18,670 大典侍様のお子が 必ず男児であるとは限りませぬ。 272 00:24:18,670 --> 00:24:25,010 無事 お生まれになるか否か それとて 分からぬ事。 273 00:24:25,010 --> 00:24:30,349 家千代様のように 生まれてすぐに 死んでしまう赤子は➡ 274 00:24:30,349 --> 00:24:33,952 いくらでも います。 私は➡ 275 00:24:33,952 --> 00:24:39,825 人の死を心待ちにするような事を したくはありませぬ。 276 00:24:39,825 --> 00:24:48,300 大事な命を失い 残された者の悲しみを➡ 277 00:24:48,300 --> 00:24:51,300 江島様は…。 278 00:24:54,640 --> 00:25:00,340 されど それが あなた様のお役目。 279 00:25:03,982 --> 00:25:12,991 あなた様は きっと 世継ぎとなる男児をお産みになる。 280 00:25:12,991 --> 00:25:19,331 いえ 産まねばならぬのです。 281 00:25:19,331 --> 00:25:22,234 なぜ そこまでして…。 282 00:25:22,234 --> 00:25:30,942 私は 左京の方様と共に➡ 283 00:25:30,942 --> 00:25:38,242 いずれ 江戸城本丸大奥の頂上まで 上り詰めとうございます。 284 00:25:41,286 --> 00:25:49,161 それが この城で生きていく 女子の我らにできる最大の出世。 285 00:25:49,161 --> 00:25:52,898 それでも 私は➡ 286 00:25:52,898 --> 00:25:59,137 人の心を失うような生き方を したくはありませぬ。 287 00:25:59,137 --> 00:26:22,327 ♬~ 288 00:26:22,327 --> 00:26:26,198 お伝えするのを忘れておりました。 289 00:26:26,198 --> 00:26:32,498 お殿様が 今宵 左京の方様を お召しでございます。 290 00:26:34,606 --> 00:26:37,306 さようですか。 291 00:26:38,944 --> 00:26:46,618 構えて 粗相なきよう おつとめなさいませ。 292 00:26:46,618 --> 00:27:28,318 ♬~ 293 00:27:42,274 --> 00:27:46,144 右近は どうしておる? 294 00:27:46,144 --> 00:27:52,284 はい いまだ お部屋から出てはこられず➡ 295 00:27:52,284 --> 00:27:54,786 悲しみに暮れておいでです。 296 00:27:54,786 --> 00:27:57,786 そうか…。 297 00:28:01,960 --> 00:28:05,260 かわいそうな事をした。 298 00:28:09,301 --> 00:28:12,637 余の子は育たぬ。 299 00:28:12,637 --> 00:28:15,307 お殿様…。 300 00:28:15,307 --> 00:28:19,177 熙子しかり 右近しかり。➡ 301 00:28:19,177 --> 00:28:26,177 熙子の産んだ子は 2人とも 幼くして亡うなった。 302 00:28:29,321 --> 00:28:32,591 全て 余が病弱ゆえ。 303 00:28:32,591 --> 00:28:34,926 さような事は…。 304 00:28:34,926 --> 00:28:37,829 いや。 305 00:28:37,829 --> 00:28:45,529 されど 左京… それでも 余は 子をなさねばならぬ。➡ 306 00:28:47,272 --> 00:28:50,942 いずれは 征夷大将軍となる身。 307 00:28:50,942 --> 00:28:55,242 血筋を絶やす訳にはいかぬのだ。 308 00:28:58,283 --> 00:29:07,993 よいか。 それが 我らの進むべき道。 309 00:29:07,993 --> 00:29:24,309 ♬~ 310 00:29:24,309 --> 00:29:27,609 承知致しました。 311 00:29:30,649 --> 00:29:42,594 左京は 必ず お殿様のお子を。 312 00:29:42,594 --> 00:29:46,097 お命をつないでみせます。 313 00:29:46,097 --> 00:30:05,283 ♬~ 314 00:30:05,283 --> 00:30:10,155 <これは 恋ではない> 315 00:30:10,155 --> 00:30:20,298 ♬~ 316 00:30:20,298 --> 00:30:26,171 <十郎左様への 燃えたぎるような思いとは違う➡ 317 00:30:26,171 --> 00:30:28,971 何か…> 318 00:30:32,877 --> 00:30:39,985 ハッハハ! さような事を 左京の方様が…。 319 00:30:39,985 --> 00:30:48,985 されど きっと あのお方は 成し遂げる。 320 00:30:51,997 --> 00:30:57,697 江島は そう信じておりまする。 321 00:31:01,673 --> 00:31:04,709 <翌年7月。➡ 322 00:31:04,709 --> 00:31:11,683 家宣の子を出産したのは 大典侍であった。➡ 323 00:31:11,683 --> 00:31:16,683 待望の男児は 大五郎と名付けられる> 324 00:31:23,294 --> 00:31:26,698 <その年の瀬。➡ 325 00:31:26,698 --> 00:31:32,504 おすす払いも無事済み ねぎらいの宴が開かれました> 326 00:31:32,504 --> 00:31:43,181 ♬~ 327 00:31:43,181 --> 00:31:46,184 今年は よい年。 328 00:31:46,184 --> 00:31:51,322 大典侍は ほんに お手柄でした。 329 00:31:51,322 --> 00:31:55,994 これで お公家さんの血筋の跡取りが。 330 00:31:55,994 --> 00:31:58,329 ああ。 331 00:31:58,329 --> 00:32:51,316 ♬~ 332 00:32:51,316 --> 00:32:56,654 ちと 飲み過ぎた。 ハハッ。 333 00:32:56,654 --> 00:32:59,324 お風邪を召されます。 334 00:32:59,324 --> 00:33:05,830 いや。 夜風が心地よい。 335 00:33:05,830 --> 00:33:12,337 大五郎様も お健やかにお育ちで➡ 336 00:33:12,337 --> 00:33:17,675 改めて お喜び申し上げまする。 337 00:33:17,675 --> 00:33:20,175 うむ。 338 00:33:24,015 --> 00:33:27,015 お殿様。 339 00:33:30,355 --> 00:33:36,555 左京にも うれしい知らせがございます。 340 00:33:39,631 --> 00:33:50,631 恐らく ここに お殿様のお子が。 341 00:33:52,644 --> 00:33:54,679 左京。 342 00:33:54,679 --> 00:34:06,879 ♬~ 343 00:35:40,385 --> 00:35:42,387 >>こんばんは。 344 00:35:42,387 --> 00:35:44,372 ニュースシブ5時です。 345 00:35:47,859 --> 00:35:51,596 >>きょうも初めは中継から。 きょうは、 346 00:35:51,596 --> 00:35:55,333 東京・銀座のお店から、佐伯さん がお伝えします。 347 00:35:55,333 --> 00:35:57,335 あれ?佐伯さん。