1 00:00:10,906 --> 00:00:20,583 ♬~ 2 00:00:20,583 --> 00:00:23,919 (ナレーター)<今をさる286年前➡ 3 00:00:23,919 --> 00:00:28,591 元禄15年12月14日 深夜➡ 4 00:00:28,591 --> 00:00:31,594 ここ隅田川に架かる両国橋を➡ 5 00:00:31,594 --> 00:00:35,931 火事装束で渡る侍の集団がいた> 6 00:00:35,931 --> 00:00:44,940 ♬~ 7 00:00:44,940 --> 00:00:48,277 <15日 午前4時> 8 00:00:48,277 --> 00:00:50,279 <江戸は本所一ツ目にある➡ 9 00:00:50,279 --> 00:00:53,616 高家筆頭 吉良上野介の屋敷に➡ 10 00:00:53,616 --> 00:00:58,954 赤穂浪士 47人が討ち入った> 11 00:00:58,954 --> 00:01:04,627 <歴史に名高い 島原の乱から数えて60年有余> 12 00:01:04,627 --> 00:01:08,564 <絶えて久しく 戦らしい戦いもなく➡ 13 00:01:08,564 --> 00:01:11,233 打ち続く太平の世にあって➡ 14 00:01:11,233 --> 00:01:15,905 江戸市民は至極安穏な日々を 送っていたのである> 15 00:01:15,905 --> 00:01:18,908 <そこに降って湧いたこの事件は➡ 16 00:01:18,908 --> 00:01:24,914 まさに天下を震撼させて あまりあるものがあった> 17 00:01:24,914 --> 00:01:31,921 <なぜ このような事件が 太平の世の中に持ち上がったのか> 18 00:01:31,921 --> 00:01:37,521 <話は 1年前の正月元旦にさかのぼる> 19 00:01:40,262 --> 00:01:42,264 <折しも この日➡ 20 00:01:42,264 --> 00:01:44,600 江戸では日食が 観測され➡ 21 00:01:44,600 --> 00:01:47,603 市民は 天変地異の前触れではないかと➡ 22 00:01:47,603 --> 00:01:50,940 恐れおののいたという> 23 00:01:50,940 --> 00:01:54,276 <このころ江戸城では➡ 24 00:01:54,276 --> 00:01:58,948 新年慶賀のため すべての大名が詰めていた> 25 00:01:58,948 --> 00:02:01,283 <高家筆頭の吉良上野介は➡ 26 00:02:01,283 --> 00:02:04,286 将軍参賀の式までの しばらくの間➡ 27 00:02:04,286 --> 00:02:10,186 時の実力者 側用人 柳沢吉保を御用部屋に訪ねた> 28 00:02:15,564 --> 00:02:18,234 何? 浅野とな? 29 00:02:18,234 --> 00:02:23,572 何かと分限のうわさが高い 浅野どのゆえ 30 00:02:23,572 --> 00:02:28,911 本年のお勅使供応のお役には うってつけのご仁かと 31 00:02:28,911 --> 00:02:34,250 なかなか よいところに お目をつけられましたのう 32 00:02:34,250 --> 00:02:38,254 しかし あの武骨なうわさがある田舎者に 33 00:02:38,254 --> 00:02:42,258 お勅使の接待が 務まりましょうかのう 34 00:02:42,258 --> 00:02:47,263 吉良どのには かえって気苦労を なされるのではありますまいか? 35 00:02:47,263 --> 00:02:51,267 いやいや どなたが選ばれましょうとも 36 00:02:51,267 --> 00:02:56,605 殿中の作法などわきまえぬ 田舎大名ばかり 37 00:02:56,605 --> 00:03:02,611 毎年ご指南申し上げるのに 心骨の休まる間もござりませぬ 38 00:03:02,611 --> 00:03:05,948 なるほど なるほど 39 00:03:05,948 --> 00:03:11,220 同じ田舎者ならば分限のほうが よかろうと申されるか 40 00:03:11,220 --> 00:03:15,891 ハハハハハッ… (上野介)お勅使の接待には➡ 41 00:03:15,891 --> 00:03:20,229 何分 多額の出費がかさみますれば➡ 42 00:03:20,229 --> 00:03:28,237 柳の間詰め諸侯の中では 浅野どのが頃合いであろうかと➡ 43 00:03:28,237 --> 00:03:30,906 いかがでござりましょう? 44 00:03:30,906 --> 00:03:34,243 (柳沢)さぞかし むしり甲斐があるであろう➡ 45 00:03:34,243 --> 00:03:36,578 のう? 吉良どの (上野介)フフッ➡ 46 00:03:36,578 --> 00:03:41,917 柳沢どのも お口が悪い (2人の笑い声) 47 00:03:41,917 --> 00:03:47,256 ≪(男性)申し上げます (柳沢)何事じゃ? 48 00:03:47,256 --> 00:03:49,925 ≪(男性) さきほどより日輪が欠け始め 49 00:03:49,925 --> 00:03:52,594 ≪ 辺りが暗くなってまいりました 50 00:03:52,594 --> 00:03:55,597 (柳沢)日輪が欠けた? 51 00:03:55,597 --> 00:03:58,197 ええい 正月早々なんたる不吉 52 00:04:04,606 --> 00:04:08,877 (男性)んんっ これは奇っ怪 日輪が欠け始めてござるわ 53 00:04:08,877 --> 00:04:12,548 (男性) いや~ まこと不思議なことよのう 54 00:04:12,548 --> 00:04:22,891 ♬~ 55 00:04:22,891 --> 00:04:25,894 ≪(内匠頭)方々 お戻り召されい 56 00:04:25,894 --> 00:04:27,894 ≪ お戻り召され! 57 00:04:30,566 --> 00:04:35,904 日が欠けるは天の道理 なんの不吉がござりましょう 58 00:04:35,904 --> 00:04:38,574 騒ぐほどのことではござらん 59 00:04:38,574 --> 00:04:43,912 <吉良上野介が勅使の接待役にと 名指しをしたのが➡ 60 00:04:43,912 --> 00:04:46,248 この浅野内匠頭である> 61 00:04:46,248 --> 00:04:51,253 ♬~ 62 00:04:51,253 --> 00:04:53,922 (関)まもなく 上様のおなりにござります➡ 63 00:04:53,922 --> 00:04:56,592 どなたさまも 大広間にお運びください➡ 64 00:04:56,592 --> 00:04:58,927 上様のおなりでござります 65 00:04:58,927 --> 00:05:11,540 ♬~ 66 00:05:11,540 --> 00:05:18,213 (男性)上様の おな~り~! 67 00:05:18,213 --> 00:05:28,223 ♬~ 68 00:05:28,223 --> 00:05:32,823 (鳥の鳴き声と羽ばたく音) 69 00:05:46,575 --> 00:05:53,875 (男性)上様の おな~り~! 70 00:06:07,529 --> 00:06:27,549 ♬~ 71 00:06:27,549 --> 00:06:47,569 ♬~ 72 00:06:47,569 --> 00:07:07,523 ♬~ 73 00:07:07,523 --> 00:07:27,543 ♬~ 74 00:07:27,543 --> 00:07:45,894 ♬~ 75 00:11:32,921 --> 00:11:37,926 (風の音) 76 00:11:37,926 --> 00:11:41,196 ≪(家臣)火事だ 火事でござる! 77 00:11:41,196 --> 00:11:43,196 ≪ 火事だ! 火事だ! 78 00:11:44,533 --> 00:11:48,533 ≪ 火事だ! 火事でござる! (家臣)おい 起きろ! 起きろ! 79 00:11:50,872 --> 00:11:53,208 あそこだ 急げ! (家臣たち)おう 80 00:11:53,208 --> 00:11:56,808 急げ~っ! (家臣たち)はっ! 81 00:11:58,880 --> 00:12:02,217 (家臣)門を開けろ~! (家臣)火元はどこだ! 82 00:12:02,217 --> 00:12:08,517 (家臣)大台所でござる! (家臣たち)急げ~! 急げ~! 83 00:12:09,558 --> 00:12:14,558 ≪(板木の音) 84 00:12:24,573 --> 00:12:26,908 (戸田局)奥方さま 奥方さま!➡ 85 00:12:26,908 --> 00:12:31,913 出火でございます お起きあそばしませ➡ 86 00:12:31,913 --> 00:12:33,915 奥方さま! 87 00:12:33,915 --> 00:12:38,915 今宵は そろそろあろうかと 身支度を整えておきましたのじゃ 88 00:12:40,589 --> 00:12:43,189 ≪(家臣)火元はどこだ! ≪(家臣たち)急げ 急げ! 89 00:13:00,876 --> 00:13:03,876 (片岡)御免!➡ 90 00:13:04,880 --> 00:13:08,550 申し上げます ただ今 全員 火元の大台所に取りつきました 91 00:13:08,550 --> 00:13:11,553 よ~し 早い! 今宵は上出来じゃ 92 00:13:11,553 --> 00:13:14,890 皆に酒を取らせい (片岡)はっ 93 00:13:14,890 --> 00:13:22,898 ♬~ 94 00:13:22,898 --> 00:13:26,498 (家臣)ご苦労 解散! (家臣たち)お疲れさまでした! 95 00:13:29,571 --> 00:13:34,576 <当時 江戸市中の防火は 大名が担当していた> 96 00:13:34,576 --> 00:13:38,246 <中でも浅野家の火消は つとに勇名をとどろかせ➡ 97 00:13:38,246 --> 00:13:42,250 広島 浅野本家の屋敷が 火災に遭ったときなど➡ 98 00:13:42,250 --> 00:13:45,850 内匠頭みずから 火の中に躍り込んだという> 99 00:13:48,256 --> 00:13:50,926 よ~し うりゃあ! 100 00:13:50,926 --> 00:13:52,928 ええい… (家臣)おお 飲め飲め 101 00:13:52,928 --> 00:13:56,264 (家臣)おお いいぞ (安兵衛)うお~っ 102 00:13:56,264 --> 00:13:58,934 あっ ああ… 103 00:13:58,934 --> 00:14:02,234 年は取っても このとおりじゃ (家臣)ご老体! 104 00:14:05,273 --> 00:14:07,609 ご老体 まあまあ まあまあ 一杯 105 00:14:07,609 --> 00:14:11,279 ご老体 これ 江戸の酒はうまいでござる 106 00:14:11,279 --> 00:14:17,619 ♬~ 107 00:14:17,619 --> 00:14:19,621 (孫太夫)おお ご家老 ご家老 108 00:14:19,621 --> 00:14:21,621 ああっ もういらん もういらん… 109 00:14:22,958 --> 00:14:25,293 無礼講だ 今夜は うんと飲んでくれ 110 00:14:25,293 --> 00:14:27,629 (家臣)ああ もちろんですとも 111 00:14:27,629 --> 00:14:41,829 ♬~ 112 00:15:00,929 --> 00:15:03,529 (家臣)お帰りですよ~ 113 00:15:06,267 --> 00:15:08,269 ≪(おくう)私のはこれ? 114 00:15:08,269 --> 00:15:10,271 ≪(理玖)そうねえ それがよくお似合いですよ 115 00:15:10,271 --> 00:15:12,273 ≪(吉千代)拙者はこれでござる 116 00:15:12,273 --> 00:15:14,275 ≪(理玖)吉千代はそれ? では 117 00:15:14,275 --> 00:15:16,611 ≪ あなたのはこれにしましょうか 118 00:15:16,611 --> 00:15:19,614 (内蔵助)おお (おくう)父上➡ 119 00:15:19,614 --> 00:15:21,616 おかえりなさいませ (吉千代)おかえりなさいませ 120 00:15:21,616 --> 00:15:24,285 おかえりなさいまし 121 00:15:24,285 --> 00:15:26,287 (吉千代)これもいいなあ (理玖)まあ➡ 122 00:15:26,287 --> 00:15:28,289 吉千代は なんていうことを➡ 123 00:15:28,289 --> 00:15:30,291 お節句には 着せてあげますからね➡ 124 00:15:30,291 --> 00:15:32,293 さあ 遊んでらっしゃい (吉千代)は~い 125 00:15:32,293 --> 00:15:36,293 (理玖)アハハハハッ… 126 00:15:37,966 --> 00:15:41,236 ずいぶんと また気前よく アハハッ 127 00:15:41,236 --> 00:15:43,905 来年は松之丞も元服ですし 128 00:15:43,905 --> 00:15:46,241 今から そろえておこうと思いまして 129 00:15:46,241 --> 00:15:49,911 ついでに あの子らのものも 払いのほうは大丈夫か? 130 00:15:49,911 --> 00:15:54,582 アハハハッ それは わたくしの才覚でなんとか フフッ 131 00:15:54,582 --> 00:15:56,918 その なんとかがくせ者だ 132 00:15:56,918 --> 00:16:01,923 まあ アハハッ そう ご心配あそばすな 133 00:16:01,923 --> 00:16:05,593 あっ そうそう まだ何かあるのか? おい 134 00:16:05,593 --> 00:16:09,597 江戸の源五右衛門さまから 書状がまいっております 135 00:16:09,597 --> 00:16:13,597 何? 源五右衛門から? 136 00:16:32,954 --> 00:16:36,291 <書状の中身は さる2月4日➡ 137 00:16:36,291 --> 00:16:39,961 月番老中 秋元但馬守から呼び出しがあり➡ 138 00:16:39,961 --> 00:16:43,898 殿中 帝鑑の間にて 内匠頭および➡ 139 00:16:43,898 --> 00:16:48,903 予州吉田3万石の 伊達左京亮村豊の両名が➡ 140 00:16:48,903 --> 00:16:54,903 本年の勅使供応役を 仰せつかったというものであった> 141 00:17:08,590 --> 00:17:11,926 厄介なことにならねばよいが 142 00:17:11,926 --> 00:17:14,929 何かご心配でも? 143 00:17:14,929 --> 00:17:19,934 勅使供応のお役が 殿に決まったそうじゃ 144 00:17:19,934 --> 00:17:23,605 では おめでたいことでは ございませぬか 145 00:17:23,605 --> 00:17:27,275 そうとばかりも言ってはおられん 146 00:17:27,275 --> 00:17:32,614 役儀上 殿は吉良どのの お指図を受けねばなるまい 147 00:17:32,614 --> 00:17:35,617 吉良さまの? 148 00:17:35,617 --> 00:17:38,286 殿は ああいうご気性のお方じゃ 149 00:17:38,286 --> 00:17:42,557 吉良どのと馬が合うはずがない 150 00:17:42,557 --> 00:17:46,227 源五右衛門も その点をえらく心配しておった 151 00:17:46,227 --> 00:17:49,230 よくは分かりませぬが 江戸のお屋敷には 152 00:17:49,230 --> 00:17:51,900 ご家老の安井さまも おられることですし 153 00:17:51,900 --> 00:17:56,237 案ずるほどのことでは… いやあ あの男は殿の言いなりだ 154 00:17:56,237 --> 00:17:58,239 頼りにはならん 155 00:17:58,239 --> 00:18:01,576 では 江戸にお出向きなすったら? 156 00:18:01,576 --> 00:18:06,576 さあ そこが思案のしどころじゃ 157 00:18:08,583 --> 00:18:11,586 お茶をお持ちいたしましょうか? 158 00:18:11,586 --> 00:18:13,586 ああ 159 00:18:34,609 --> 00:18:36,909 ≪(松之丞)父上 なんじゃ? 160 00:18:38,613 --> 00:18:40,882 不破数右衛門さまが まいられました 161 00:18:40,882 --> 00:18:45,182 お通ししてもかまいませぬか? よいところへ来た 早う これへ 162 00:18:48,890 --> 00:18:51,226 (不破)失礼つかまつる おお 163 00:18:51,226 --> 00:18:55,230 いかがいたした 数右衛門 164 00:18:55,230 --> 00:18:57,565 ≪(不破) 昨夜 久しく見ることがなかった 165 00:18:57,565 --> 00:18:59,901 ≪ 殿の夢を見てござる ≪ ほう 166 00:18:59,901 --> 00:19:04,906 ≪ して どのような夢を? ≪(不破)あっ それはちと… ただ 167 00:19:04,906 --> 00:19:07,575 さきほど門前にて早飛脚を見かけ 168 00:19:07,575 --> 00:19:10,245 妙に気になり申して 169 00:19:10,245 --> 00:19:13,915 まさか江戸屋敷に変事が 起こったわけではありますまいな 170 00:19:13,915 --> 00:19:18,920 それほどに殿のことが気になるか いかにも 171 00:19:18,920 --> 00:19:24,592 そちの殿思いにも あきれたものよ ハハハハハッ 172 00:19:24,592 --> 00:19:30,265 よしっ すぐに支度せい 明朝 江戸へたつ 173 00:19:30,265 --> 00:19:33,268 ご城代 ああ 案ずるな 174 00:19:33,268 --> 00:19:35,603 殿に大事はない 175 00:19:35,603 --> 00:19:51,552 ♬~ 176 00:19:51,552 --> 00:19:54,889 おかえりなさいませ (内匠頭)おお 177 00:19:54,889 --> 00:19:57,558 お勅使ご到着の 日取りが決まったぞ 178 00:19:57,558 --> 00:20:00,895 (阿久里)えっ? (内匠頭)11日に伝奏屋敷に入り 179 00:20:00,895 --> 00:20:05,566 12日から14日の間 殿中にての諸行事をこなされる 180 00:20:05,566 --> 00:20:07,568 お帰りは17日じゃ 181 00:20:07,568 --> 00:20:10,905 (阿久里)では あとひと月足らず (内匠頭)うむ 182 00:20:10,905 --> 00:20:15,910 (阿久里)吉良さまへのご挨拶は いかがなされましたか?➡ 183 00:20:15,910 --> 00:20:18,579 少しでも 早いほうがよろしいのでは 184 00:20:18,579 --> 00:20:22,583 たわけたことを申すな 女子の口を挟むことではない 185 00:20:22,583 --> 00:20:25,920 (阿久里) そうではござりましょうが とかく うわさのあるお方➡ 186 00:20:25,920 --> 00:20:28,923 礼を失しては またどのような無理難題を… 187 00:20:28,923 --> 00:20:30,925 (内匠頭)心配は無用じゃ➡ 188 00:20:30,925 --> 00:20:33,261 高家筆頭であることを いいことに➡ 189 00:20:33,261 --> 00:20:36,931 いつまでも不埒なまねを させておくわけにはゆかん➡ 190 00:20:36,931 --> 00:20:41,131 この機に大名の意地を見せてやる 191 00:20:42,870 --> 00:20:48,876 何? 吉良さまにご進物を? (片岡)さよう➡ 192 00:20:48,876 --> 00:20:51,546 殿が遺漏なく大役を果たすには➡ 193 00:20:51,546 --> 00:20:54,549 吉良さまの お力添えがあってのこと➡ 194 00:20:54,549 --> 00:20:56,884 我々がいかに 意を尽くしてみたところで➡ 195 00:20:56,884 --> 00:20:59,887 公事典礼の細かなところまで 分かり申さぬ 196 00:20:59,887 --> 00:21:05,226 それこそ 万に一つも勅使に 失礼があってはお家の一大事 197 00:21:05,226 --> 00:21:08,896 ここはひとつ 吉良さまのご機嫌を損なわぬよう 198 00:21:08,896 --> 00:21:13,568 それ相応の進物を贈るのが 得策かと存じまする 199 00:21:13,568 --> 00:21:15,903 人にものを贈って追従し 200 00:21:15,903 --> 00:21:19,574 物事を遺漏なく 根回しをするようなことは 201 00:21:19,574 --> 00:21:22,910 殿がもっとも嫌われること 202 00:21:22,910 --> 00:21:26,247 無駄な出費は控えろと 申されておるのじゃぞ 203 00:21:26,247 --> 00:21:29,584 それも相手によりけりでござる (安井)いやいや 204 00:21:29,584 --> 00:21:33,254 上野介どのは 高貴のご身分におわせられる 205 00:21:33,254 --> 00:21:39,260 ご供応ご指南役は あくまで お役儀上の おおやけごとじゃ 206 00:21:39,260 --> 00:21:41,863 それを法外な進物をいたさば 207 00:21:41,863 --> 00:21:46,200 ハハッ かえって無礼になるのではないか 208 00:21:46,200 --> 00:21:49,203 それがしも 安井どのと同意見にござる 209 00:21:49,203 --> 00:21:53,875 ここはまず 通常のご挨拶をなし 御用 相済みたるのち 210 00:21:53,875 --> 00:21:56,544 格段の御礼をするのが 妥当と存ずる 211 00:21:56,544 --> 00:21:58,880 それでは なんの用もなし申さぬ 212 00:21:58,880 --> 00:22:03,217 贈り物は 先に贈りてこそ効き目があるもの 213 00:22:03,217 --> 00:22:07,221 何とぞ 何とぞご家老の一存にて… (安井)くどい! 214 00:22:07,221 --> 00:22:09,221 殿は無用だと申されておるのじゃ 215 00:24:18,920 --> 00:24:21,923 源五右衛門どの よい知らせでござる 216 00:24:21,923 --> 00:24:24,592 ご城代から返事が届いたのか? (磯貝)ご城代は 217 00:24:24,592 --> 00:24:26,928 江戸 下向とのことです (片岡)まことか 218 00:24:26,928 --> 00:24:31,599 すでに宿の手配もいたしました (片岡)そうか ご城代が 219 00:24:31,599 --> 00:24:35,603 あす 安兵衛どのらと品川に出向き お迎えいたします 220 00:24:35,603 --> 00:24:38,873 拙者は殿のおそばを 離れるわけにはいかぬゆえ 221 00:24:38,873 --> 00:24:41,542 夜分にも宿を訪ねると そう伝えてくれ 222 00:24:41,542 --> 00:24:43,544 承知いたしました 223 00:24:43,544 --> 00:24:47,844 おい 助右衛門 まだ見えんか? 224 00:24:49,216 --> 00:24:51,886 まだじゃ 225 00:24:51,886 --> 00:24:53,886 (安兵衛)遅いなあ 226 00:24:59,226 --> 00:25:01,896 おっ 来たぞ! 227 00:25:01,896 --> 00:25:03,896 おお! 228 00:25:06,901 --> 00:25:09,570 あれは不破ではないか (安兵衛)ご城代もおられるぞ! 229 00:25:09,570 --> 00:25:12,907 おい 火を消せ (磯貝)はい 230 00:25:12,907 --> 00:25:18,245 ♬~ 231 00:25:18,245 --> 00:25:22,249 (安兵衛たち)ご城代! ご城代! 232 00:25:22,249 --> 00:25:29,256 ♬~ 233 00:25:29,256 --> 00:25:31,258 よく迎えにきてくれた 234 00:25:31,258 --> 00:25:35,262 内蔵助 うれしく思いまする 235 00:25:35,262 --> 00:25:39,600 何を申されます ご城代には 遠路はるばるお運びいただき 236 00:25:39,600 --> 00:25:43,604 我ら一同 感服つかまつってござる 237 00:25:43,604 --> 00:25:46,273 堅苦しい挨拶はそれまでじゃ 238 00:25:46,273 --> 00:25:48,275 おう 数右衛門は久しぶりであろう 239 00:25:48,275 --> 00:25:52,279 ハッ よう来おったな 数右衛門! (不破)ハハハッ 240 00:25:52,279 --> 00:25:54,949 助右衛門 達者で何よりだ (富森)ああ ハハハッ 241 00:25:54,949 --> 00:25:58,619 国元の一同は皆 元気か? (不破)おう 皆会いたがっとるぞ➡ 242 00:25:58,619 --> 00:26:00,621 どうだ 郡兵衛 少しは腕は上がったか? 243 00:26:00,621 --> 00:26:03,290 後日 立ち合ってみてはどうだ (不破)ほう➡ 244 00:26:03,290 --> 00:26:06,293 安兵衛のお墨付きとは こりゃ楽しみじゃなあ 245 00:26:06,293 --> 00:26:09,630 (磯貝)江戸には腕達者が ごろごろしておりますほどに 246 00:26:09,630 --> 00:26:13,300 おお 久しく見ないうちに 十郎左も立派になりくさって 247 00:26:13,300 --> 00:26:16,600 おう? (笑い声) 248 00:26:19,306 --> 00:26:22,309 (不破)神崎 武林はどうしてる? (富森)おう➡ 249 00:26:22,309 --> 00:26:24,645 あいつ 酒食らっとるわい➡ 250 00:26:24,645 --> 00:26:28,645 いつまで話してても切りがない さあ まいろう 251 00:26:30,651 --> 00:26:33,320 ご城代 ご案内いたします 252 00:26:33,320 --> 00:26:44,932 ♬~ 253 00:26:44,932 --> 00:26:49,270 何? まだ吉良どのへのご挨拶は 済ませておらんのか? 254 00:26:49,270 --> 00:26:52,940 安井どのも藤井どのも 殿の仰せを待つばかりで 255 00:26:52,940 --> 00:26:56,277 動こうとはなさいませぬ (不破)殿の仰せ? たわけが➡ 256 00:26:56,277 --> 00:26:59,280 殿が挨拶せよと 命ずると思うとるのか➡ 257 00:26:59,280 --> 00:27:01,615 家老たる職は ご城代のように 258 00:27:01,615 --> 00:27:04,952 殿に煙たがられるようでなくては 務まらんわい 259 00:27:04,952 --> 00:27:07,621 そばについておる 拙者の力が及ばぬせいもある 260 00:27:07,621 --> 00:27:10,291 まあ そう おのれを責めずともよい 261 00:27:10,291 --> 00:27:13,627 で 伊達家では もう ご挨拶は済まされたのか? 262 00:27:13,627 --> 00:27:15,629 早々に 済まされたそうにございます 263 00:27:15,629 --> 00:27:20,968 で 進物は? 金銀 綾錦の西陣織 黄金100枚 264 00:27:20,968 --> 00:27:23,971 狩野探幽の筆になります 竜虎の双幅とか 265 00:27:23,971 --> 00:27:26,307 おお ずいぶんと弾まれたものよのう 266 00:27:26,307 --> 00:27:30,978 伊達家は確か3万石 となれば 当家はそれ以上の進物を… 267 00:27:30,978 --> 00:27:33,647 せずばなるまいの 268 00:27:33,647 --> 00:27:38,252 いま一度 安井どのを説き伏せ 必ずや善処いたしまする 269 00:27:38,252 --> 00:27:40,254 かなわんときは この内蔵助が申しておったと 270 00:27:40,254 --> 00:27:44,592 口に出すがよい しかし 殿のお耳に入っては… 271 00:27:44,592 --> 00:27:48,596 手はずを整え ひそかに 帰国するつもりであったが 272 00:27:48,596 --> 00:27:50,598 出しゃばりついでじゃ 273 00:27:50,598 --> 00:27:53,934 久しぶりに殿のお叱りを受けるか 274 00:27:53,934 --> 00:27:56,534 (男性)どいた どいた! 275 00:28:04,278 --> 00:28:06,878 (男性)おう ごめんよ (男性)どいた どいた 276 00:28:13,954 --> 00:28:15,956 おう ちと尋ねるが 277 00:28:15,956 --> 00:28:18,959 日本橋には どう行くのかのう? (おきよ)日本橋? 278 00:28:18,959 --> 00:28:21,962 そこを曲がって まっすぐ行ったところです 279 00:28:21,962 --> 00:28:26,634 江戸は初めてじゃけんのう ハハッ すまん 280 00:28:26,634 --> 00:28:28,634 ≪(女性) ありがとうございました! 281 00:28:40,581 --> 00:28:57,598 ♬~ 282 00:28:57,598 --> 00:28:59,934 (男性)お~い お犬さまだ! 283 00:28:59,934 --> 00:29:03,938 (役人)お犬さまのお通りだ! おい 片づけろ!➡ 284 00:29:03,938 --> 00:29:07,938 どけ! どけっ➡ 285 00:29:11,946 --> 00:29:14,546 ああっ 早く通れ! 286 00:29:20,621 --> 00:29:25,292 はあ さすが 犬公方さまのお膝元じゃわい 287 00:29:25,292 --> 00:29:32,633 <犬公方とは 言わずと知れた 5代将軍 徳川綱吉のことである> 288 00:29:32,633 --> 00:29:36,570 <我が国 法制史上 最たる悪法とまでいわれた➡ 289 00:29:36,570 --> 00:29:40,574 生類憐れみの令は お犬さま虐待の廉で➡ 290 00:29:40,574 --> 00:29:44,912 数限りない人命を 奪ってきたのである> 291 00:29:44,912 --> 00:29:47,581 ≪(おきよ)キャ~ッ! 誰か 誰か来て! 292 00:29:47,581 --> 00:29:49,917 (犬の鳴き声) (おきよ)いやっ 293 00:29:49,917 --> 00:29:53,921 キャ~ッ! 助けて 助けてください! 294 00:29:53,921 --> 00:29:57,258 (犬の鳴き声) 295 00:29:57,258 --> 00:30:00,594 誰か 誰か助けて!➡ 296 00:30:00,594 --> 00:30:02,596 誰か~!➡ 297 00:30:02,596 --> 00:30:05,599 誰か助けて! 誰か!➡ 298 00:30:05,599 --> 00:30:09,937 誰か助けて! 誰か~! 299 00:30:09,937 --> 00:30:12,606 (犬の鳴き声) 300 00:30:12,606 --> 00:30:21,615 ♬~ 301 00:30:21,615 --> 00:30:25,619 (不破)さあ さあ 302 00:30:25,619 --> 00:30:27,955 どなたか存じませぬが ありがとうございました 303 00:30:27,955 --> 00:30:30,291 (不破)礼には及ばぬ 気をつけて帰りなさい 304 00:30:30,291 --> 00:30:32,591 さあ 早く 305 00:30:36,563 --> 00:30:40,567 (捕り方)おっ いたぞ! (捕り方たち)御用だ 御用だ! 306 00:30:40,567 --> 00:30:42,569 何を申す! 307 00:30:42,569 --> 00:30:47,574 伊達どのは伊達どの 当家には当家のやり方がある!➡ 308 00:30:47,574 --> 00:30:51,245 賂をもって追従し 御用を務むるなど➡ 309 00:30:51,245 --> 00:30:54,248 武士たる者の やるべきことではない!➡ 310 00:30:54,248 --> 00:30:56,250 進物など無用にいたせ! 311 00:30:56,250 --> 00:31:02,923 拙者もさよう心得まするが なっ 何分にも内蔵助どのが… 312 00:31:02,923 --> 00:31:07,261 (内匠頭)内蔵助が何を言おうと いちいち耳を貸すことはない! 313 00:31:07,261 --> 00:31:13,267 のこのこ赤穂から出てきよって 国元を留守にするとは何事じゃ! 314 00:31:13,267 --> 00:31:16,270 何とぞ お目通りの儀 願わしゅう存じまする 315 00:31:16,270 --> 00:31:19,273 (内匠頭) ならぬ! そちの顔など見とうない 316 00:31:19,273 --> 00:31:23,277 殿! 仰せにはござりまするが 317 00:31:23,277 --> 00:31:28,615 殿! 吉良さまは 欲の深き方と承知いたしまする 318 00:31:28,615 --> 00:31:31,952 たかが鼻薬 お家のため大役を 319 00:31:31,952 --> 00:31:34,621 つつがなく 果たされることこそ第一 320 00:31:34,621 --> 00:31:37,224 そのように 堅苦しくお考えあそばさずと… 321 00:31:37,224 --> 00:31:39,560 ≪(内匠頭)言うな 内蔵助! 322 00:31:39,560 --> 00:31:42,229 吉良どのが強欲であるというなら 323 00:31:42,229 --> 00:31:47,234 御用が相済んだるのち 相当の進物を贈れば済むことじゃ 324 00:31:47,234 --> 00:31:50,904 それこそ 礼にかのうたやり方であろう 325 00:31:50,904 --> 00:31:54,241 ≪(内匠頭)どうじゃ 内蔵助 そのことは 326 00:31:54,241 --> 00:31:57,244 じゅうじゅう承知のうえで 申し上げております 327 00:31:57,244 --> 00:31:59,246 ≪(内匠頭)この出しゃばりめ 328 00:31:59,246 --> 00:32:03,250 ≪ 即刻 国元へ立ち帰り 蟄居いたせ! 329 00:32:03,250 --> 00:32:05,550 殿… 330 00:32:17,931 --> 00:32:20,267 おい 助右衛門 ご城代は? 331 00:32:20,267 --> 00:32:22,936 (富森)それがまずいことになった 332 00:32:22,936 --> 00:32:26,936 たぶん今頃は 殿の雷が落ちているころだろう 333 00:32:29,943 --> 00:32:32,946 どうした 何かあったのか? 334 00:32:32,946 --> 00:32:36,216 お犬さまを… ハハッ 335 00:32:36,216 --> 00:32:39,553 お犬さまをやってしまった (富森)何!? 336 00:32:39,553 --> 00:32:43,891 いずれお目付から藩邸に下手人 引き渡しの沙汰があるはずだ 337 00:32:43,891 --> 00:32:47,227 逃げおおせたのではないのか? 338 00:32:47,227 --> 00:32:50,898 この広い江戸で まさか… フッ 339 00:32:50,898 --> 00:32:53,901 まさか顔見知りに出会うとは 思わなんだ 340 00:32:53,901 --> 00:32:58,501 気付いたのか? 先方は (不破)ああ➡ 341 00:32:59,907 --> 00:33:04,912 だが 藩に迷惑はかけぬ 助右衛門 出よう 342 00:33:04,912 --> 00:33:08,248 どこへ行く気だ? 343 00:33:08,248 --> 00:33:12,586 ハッ おぬし 腹をかっさばく気か!? 344 00:33:12,586 --> 00:33:15,589 それが武士の習いだろう (富森)ばかを申せ 345 00:33:15,589 --> 00:33:20,594 たかが野良犬1匹ごときで 竹馬の友を失えると思うか? 346 00:33:20,594 --> 00:33:22,596 だからこそ おぬしに頼むのだ 347 00:33:22,596 --> 00:33:26,266 助右衛門 見届けてくれ (富森)断る! 348 00:33:26,266 --> 00:33:28,266 助右衛門! 349 00:33:30,270 --> 00:33:33,870 おぬし 暇を取れ 350 00:33:36,877 --> 00:33:39,546 暇を? (富森)永の暇を取るのだ 351 00:33:39,546 --> 00:33:43,217 さすれば浅野家には なんの関わりもなくなる 352 00:33:43,217 --> 00:33:47,221 さような者は家中にはおらぬと 突っぱねられる 353 00:33:47,221 --> 00:33:50,224 即刻 立ち去るがよい 354 00:33:50,224 --> 00:33:56,230 生きておれば また殿に ご奉公の折もあるやもしれぬ 355 00:33:56,230 --> 00:33:59,233 おぬしほどの武士を 犬とおめおめ取り替えるほど 356 00:33:59,233 --> 00:34:02,903 我が藩は愚かではないわ 357 00:34:02,903 --> 00:34:07,908 事情は拙者からご城代に よ~く伝えておく 358 00:34:07,908 --> 00:34:10,911 数右衛門 そうしろ 359 00:34:10,911 --> 00:34:20,254 ♬~ 360 00:34:20,254 --> 00:34:25,592 当分 国元へは近寄らぬがよいぞ 361 00:34:25,592 --> 00:34:30,597 当座の費用として これを持っていけ 362 00:34:30,597 --> 00:34:35,936 何から何まで かたじけない 363 00:34:35,936 --> 00:34:38,872 ご城代には おぬしから よう謝っといとくれ 364 00:34:38,872 --> 00:34:41,875 分かった 早よ行け 365 00:34:41,875 --> 00:34:46,213 命を大切にしろ 366 00:34:46,213 --> 00:34:48,813 では 御免 367 00:34:50,884 --> 00:34:53,220 さらばじゃ 数右衛門 368 00:34:53,220 --> 00:35:06,220 ♬~ 369 00:35:07,234 --> 00:35:10,237 内蔵助 370 00:35:10,237 --> 00:35:15,242 奥方さま お久しゅう存じまする 371 00:35:15,242 --> 00:35:21,582 このたび 殿におかせられましては たいそう気苦労の多いご大役 372 00:35:21,582 --> 00:35:24,585 奥方さまにも さぞやご苦心のことと 373 00:35:24,585 --> 00:35:27,588 ご推察申し上げまする 374 00:35:27,588 --> 00:35:33,260 今日にも国元に帰りやるのか はい 375 00:35:33,260 --> 00:35:35,262 はるばる来たというのに 376 00:35:35,262 --> 00:35:38,932 さぞや不快な思いを いたしたであろうのう 377 00:35:38,932 --> 00:35:42,936 許してください 何を仰せられます 378 00:35:42,936 --> 00:35:47,608 内蔵助 十二分に役目は果たしました 379 00:35:47,608 --> 00:35:53,614 至極 さわやかな気分にございます 380 00:35:53,614 --> 00:35:57,284 この者は とんだ勘違いをいたしております 381 00:35:57,284 --> 00:36:01,955 勘違い? わたくしは叱られるのが役目 382 00:36:01,955 --> 00:36:05,959 殿は人を叱ってのち 383 00:36:05,959 --> 00:36:10,964 叱られた者の身になって 思案あそばすご気性にございます 384 00:36:10,964 --> 00:36:14,968 申し上げるべきことは すべて申し上げました 385 00:36:14,968 --> 00:36:18,305 ただ お腹立ちのこと 386 00:36:18,305 --> 00:36:22,309 くれぐれも ご自重あそばされまするよう 387 00:36:22,309 --> 00:36:28,649 奥方さまより 殿に 内蔵助… 388 00:36:28,649 --> 00:36:31,318 おいとまつかまつりまする 389 00:36:31,318 --> 00:36:36,590 道中 くれぐれも気をつけて はっ 390 00:36:36,590 --> 00:36:46,600 ♬~ 391 00:36:46,600 --> 00:36:54,941 ♬~ 392 00:41:58,244 --> 00:42:00,914 <徳川家 年頭の 使者として➡ 393 00:42:00,914 --> 00:42:03,583 正月11日に 京都にのぼり➡ 394 00:42:03,583 --> 00:42:06,252 宮中に参内して 献上品を届けた➡ 395 00:42:06,252 --> 00:42:11,925 吉良上野介が 2月29日 江戸へ帰ってきた> 396 00:42:11,925 --> 00:42:15,929 <これより いよいよ 勅使 院使を迎えるための➡ 397 00:42:15,929 --> 00:42:18,529 本格的な準備に 取りかかることになった> 398 00:42:26,206 --> 00:42:28,208 申し上げます ただ今 399 00:42:28,208 --> 00:42:31,878 浅野内匠頭さま ご家来 お見えになりました 400 00:42:31,878 --> 00:42:35,878 客間へ通しておけ (家臣)かしこまりました 401 00:42:56,236 --> 00:42:59,239 おうおう お平らに お平らに 402 00:42:59,239 --> 00:43:02,575 (安井)浅野家 江戸家老 安井彦右衛門と申す者➡ 403 00:43:02,575 --> 00:43:06,913 本日は主人に成り代わりまして ご挨拶にまかりいでました 404 00:43:06,913 --> 00:43:10,583 これは ご丁重なるご挨拶 405 00:43:10,583 --> 00:43:13,583 上野介 痛み入る 406 00:43:17,590 --> 00:43:21,928 (安井)何分にも 主人は宮中の 典礼に不慣れでござりますゆえ➡ 407 00:43:21,928 --> 00:43:25,598 万事 吉良さまにお指図を 仰ぐことになりますれば➡ 408 00:43:25,598 --> 00:43:27,867 何とぞ よろしくご指導を賜りますよう➡ 409 00:43:27,867 --> 00:43:30,870 主人に成り代わりまして お願い申し上げまする 410 00:43:30,870 --> 00:43:37,877 いやいや ご供応役と申しても さして大仰なものではござらぬ 411 00:43:37,877 --> 00:43:41,214 前々からの形式に のっとっておれば 412 00:43:41,214 --> 00:43:43,216 それでよろしゅうござる 413 00:43:43,216 --> 00:43:47,554 手前が気付いたことは お教え申そうほどに 414 00:43:47,554 --> 00:43:52,559 お案じ召さるなと 浅野どのにお伝えくだされ 415 00:43:52,559 --> 00:43:56,563 つきましては ほんの 形ばかりの品でござりまするが 416 00:43:56,563 --> 00:44:01,234 ご挨拶までに持参いたしました 菓子折り ひと折り 417 00:44:01,234 --> 00:44:04,237 何とぞ 418 00:44:04,237 --> 00:44:08,575 お納めくださいますよう (上野介)これはご丁寧だ 419 00:44:08,575 --> 00:44:12,245 上野介 恐縮至極に存ずる 420 00:44:12,245 --> 00:44:16,583 甘いものは何よりの好物 (安井)ああ それは 421 00:44:16,583 --> 00:44:20,253 浅野どのに くれぐれも よろしくご伝声くだされ 422 00:44:20,253 --> 00:44:22,255 (安井)ははあっ➡ 423 00:44:22,255 --> 00:44:26,155 では これにて (上野介)うむ 424 00:44:44,878 --> 00:44:48,214 いや これは… 425 00:44:48,214 --> 00:44:53,219 (上野介)塩瀬のまんじゅうじゃ 気が利いておるのう 426 00:44:53,219 --> 00:44:55,889 なるほど そういう訳で 427 00:44:55,889 --> 00:44:59,189 (上野介)中を改めてみ (孫兵衛)はっ➡ 428 00:45:02,562 --> 00:45:06,900 ただのまんじゅうにございます (上野介)それは分かっておる➡ 429 00:45:06,900 --> 00:45:11,237 この菓子の下に 何があるかと聞いておるのだ 430 00:45:11,237 --> 00:45:13,537 (孫兵衛)はあ➡ 431 00:45:14,908 --> 00:45:17,911 何もございません (上野介)何もないと? 432 00:45:17,911 --> 00:45:22,511 そんなはずはない よく見てみろ (孫兵衛)はあ➡ 433 00:45:24,250 --> 00:45:28,188 本当に何もございません 434 00:45:28,188 --> 00:45:35,195 チッ そうじゃ このまんじゅうを割ってみい! 435 00:45:35,195 --> 00:45:40,795 中に やまぶき色のあんが 入っておろうが 436 00:45:46,539 --> 00:45:48,539 (孫兵衛)ありません! 437 00:45:52,212 --> 00:45:54,812 何もない? 438 00:45:58,218 --> 00:46:00,220 <この日➡ 439 00:46:00,220 --> 00:46:03,556 つまり勅使 到着の前日➡ 440 00:46:03,556 --> 00:46:08,561 浅野家の屋敷は まるで 引っ越し騒ぎの感があった> 441 00:46:08,561 --> 00:46:11,231 <勅使を迎える伝奏屋敷➡ 442 00:46:11,231 --> 00:46:14,234 今で言う 迎賓館に当たるものだが➡ 443 00:46:14,234 --> 00:46:19,572 そこに接待のための 食器 什器 金屏風 掛け物➡ 444 00:46:19,572 --> 00:46:24,911 その他 諸道具が 運び込まれたのである> 445 00:46:24,911 --> 00:46:28,848 <11日から1週間 勅使 院使をはじめとする➡ 446 00:46:28,848 --> 00:46:32,852 随行の諸官たちまでが 伝奏屋敷に泊まり➡ 447 00:46:32,852 --> 00:46:36,189 浅野家の供応を 受けることになるのである> 448 00:46:36,189 --> 00:46:38,858 おいおいおい 大事な 献立を書いたものが見当たらん 449 00:46:38,858 --> 00:46:40,860 知らんか? (女性)次郎左さま よくそれで 450 00:46:40,860 --> 00:46:42,862 お台所役が務まりますわね 451 00:46:42,862 --> 00:46:44,864 ほんとに 忘れっぽいお方なんだから 452 00:46:44,864 --> 00:46:46,866 (三村)ばか言っちゃいかん こう見えたって➡ 453 00:46:46,866 --> 00:46:51,537 赤穂の鯛をおろさしたら わしの右に出る者はおらんのじゃ 454 00:46:51,537 --> 00:46:55,208 次郎左さま お忘れですよ (三村)おお どこに? 455 00:46:55,208 --> 00:46:58,808 廊下に落ちておりました (三村)かたじけない 456 00:47:01,881 --> 00:47:17,897 ♬~ 457 00:47:17,897 --> 00:47:19,899 (大石)いかがでござる? 458 00:47:19,899 --> 00:47:23,569 (孫太夫)もうちょっとこっちじゃ (大石)はっ 459 00:47:23,569 --> 00:47:25,569 (孫太夫)よ~し それじゃ! 460 00:47:28,174 --> 00:47:31,844 (原)あっ 御免 (孫太夫)惣右衛門どの! 461 00:47:31,844 --> 00:47:34,844 いかがかな? この衝立で 462 00:47:36,849 --> 00:47:38,851 ほかに衝立は? 463 00:47:38,851 --> 00:47:41,187 金の衝立は広間にございます 464 00:47:41,187 --> 00:47:44,524 いずれ上野介どのが 見えられた折に お尋ねするとして 465 00:47:44,524 --> 00:47:46,526 ひとまずそれでよかろう (孫太夫)ははあ 466 00:47:46,526 --> 00:47:48,861 随行の諸官の部屋はどちらかな? (孫太夫)ああ 467 00:47:48,861 --> 00:47:52,865 右手の奥から2つ目じゃ (早水)はっ… ああ そうそう 468 00:47:52,865 --> 00:47:56,536 安兵衛どのが わら灰でも かわまぬかと申しておるが 469 00:47:56,536 --> 00:47:59,872 どういたそうか? (原)椿の灰はござらぬか? 470 00:47:59,872 --> 00:48:02,208 いや あいにく当家はわら灰ばっかり 471 00:48:02,208 --> 00:48:04,544 いや この時期 火鉢は無用でござろう 472 00:48:04,544 --> 00:48:06,879 しかし 花冷えで 夜分は入り用かもしれぬ 473 00:48:06,879 --> 00:48:10,883 高貴なお方は 寒さに弱いと見えますな フフッ 474 00:48:10,883 --> 00:48:13,553 では いずれかで 椿の灰を調達いたそう 475 00:48:13,553 --> 00:48:23,896 ♬~ 476 00:48:23,896 --> 00:48:27,166 (内匠頭)源五右衛門 (片岡)はっ 477 00:48:27,166 --> 00:48:30,503 (内匠頭)どうじゃ? 用意のほどは 478 00:48:30,503 --> 00:48:33,840 ほどなく万端整いますゆえ どうぞ お気遣いなく 479 00:48:33,840 --> 00:48:35,842 (内匠頭)うむ➡ 480 00:48:35,842 --> 00:48:41,180 あっ ところで 内蔵助は無事国元へ着いたか? 481 00:48:41,180 --> 00:48:44,517 申し訳ありませぬ ついうっかり 失念いたしておりましたが 482 00:48:44,517 --> 00:48:47,186 無事に着いたとのことで ござりまする 483 00:48:47,186 --> 00:48:51,486 で ほかになんぞ言うてきたか?➡ 484 00:48:53,526 --> 00:48:58,531 どうした? 遠慮のう申せ➡ 485 00:48:58,531 --> 00:49:03,131 源五右衛門 包み隠さず申せ 486 00:49:06,205 --> 00:49:09,542 勅使接待は気苦労が多いゆえ 487 00:49:09,542 --> 00:49:13,880 もし上野介どのに対し 殿の かん性が発した折は➡ 488 00:49:13,880 --> 00:49:19,218 そのほうが力ずくでも 殿を押さえつけよと… 489 00:49:19,218 --> 00:49:24,518 内蔵助は そう言うてきたか (片岡)はっ 490 00:49:31,497 --> 00:49:33,833 はっ 申し上げまする (内匠頭)うむ 491 00:49:33,833 --> 00:49:37,170 ただ今 吉良上野介どのより お使者がまいり 492 00:49:37,170 --> 00:49:40,173 吉良どのには夕刻こちらに参じ 493 00:49:40,173 --> 00:49:42,508 下検分を なさるとのことにござりまする 494 00:49:42,508 --> 00:49:46,179 (内匠頭)夕刻とな? (三平)はい 495 00:49:46,179 --> 00:49:50,516 (内匠頭)委細 承知した (三平)さよう お伝えいたしまする 496 00:49:50,516 --> 00:49:53,186 急げ 急げ 急げ! 497 00:49:53,186 --> 00:49:56,856 ほれ 急げ (高田)おう 聞いたか 498 00:49:56,856 --> 00:50:01,527 吉良の狸じじいが下検分とやらで 出張ってくるそうではないか 499 00:50:01,527 --> 00:50:03,529 (安兵衛)どんな面構えか とくと拝んでやるか 500 00:50:03,529 --> 00:50:05,531 いや うわさによるとなあ 501 00:50:05,531 --> 00:50:08,201 後ろ盾に 柳沢どのがついてるらしいぞ 502 00:50:08,201 --> 00:50:10,870 ハッ 鼻息が荒いのはそのせいか 503 00:50:10,870 --> 00:50:14,540 鼻息が荒いことでは うちの殿も人後に落ちぬからな 504 00:50:14,540 --> 00:50:16,876 両者の顔合わせ ヘッ これは見ものじゃ 505 00:50:16,876 --> 00:50:21,547 何をぺちゃくちゃしゃべりおる みんなが働いているというのに 506 00:50:21,547 --> 00:50:25,885 おぬしらはなんじゃ 剣が 立つばかりが能ではあるまい! 507 00:50:25,885 --> 00:50:28,221 ハハハッ 父上~っ (弥兵衛)ええい 508 00:50:28,221 --> 00:50:30,521 お前たちには かまうておられぬわ 509 00:50:32,558 --> 00:50:37,858 弥兵衛どの おいくつになられた? (安兵衛)75… いや 6か 510 00:50:41,234 --> 00:50:47,234 (時鐘の音) 511 00:50:54,914 --> 00:51:01,914 (時鐘の音) 512 00:51:08,928 --> 00:51:12,928 (時鐘の音) 513 00:51:19,605 --> 00:51:21,941 まだお見えになりませぬか? 吉良どのは 514 00:51:21,941 --> 00:51:26,546 (片岡)ああ (時鐘の音) 515 00:51:26,546 --> 00:51:30,216 (磯貝)片岡どの! (片岡)おお 十郎左➡ 516 00:51:30,216 --> 00:51:34,220 吉良どのは屋敷を出られたか? (磯貝)まいられませぬ➡ 517 00:51:34,220 --> 00:51:38,224 吉良どのは まいられませぬ (片岡)なにゆえじゃ? 518 00:51:38,224 --> 00:51:40,226 (磯貝)ご用人さまに聞きましたら 吉良どのは➡ 519 00:51:40,226 --> 00:51:43,229 突然の腹痛に見舞われたとの よしにございましたが➡ 520 00:51:43,229 --> 00:51:47,567 帰りしな 塀越しに庭を見ましたら➡ 521 00:51:47,567 --> 00:51:50,236 機嫌よく 花見の宴を催しておりました 522 00:51:50,236 --> 00:51:54,536 何 花見の宴!? (磯貝)はい 523 00:51:57,243 --> 00:52:01,914 くそ~っ 上野介め 524 00:52:01,914 --> 00:52:07,920 片岡どの 殿にいかように お知らせいたしましょう 525 00:52:07,920 --> 00:52:17,930 ♬~ 526 00:52:17,930 --> 00:52:32,878 ♬~ 527 00:52:32,878 --> 00:52:35,548 ただ今 吉良さまからお使いがあり 528 00:52:35,548 --> 00:52:43,889 今宵の検分は突然の腹痛のため 取りやめのよしにござりまする 529 00:52:43,889 --> 00:52:48,894 まことか? 源五右衛門 (片岡)はっ 530 00:52:48,894 --> 00:52:51,897 確かめたのか? 531 00:52:51,897 --> 00:52:57,903 ♬~ 532 00:52:57,903 --> 00:53:02,575 病気とあらば致し方あるまい 533 00:53:02,575 --> 00:53:05,911 殿には いったん お屋敷にお戻りくだされませ 534 00:53:05,911 --> 00:53:09,582 今夜中 いや明朝までに なんとしてでも 535 00:53:09,582 --> 00:53:13,919 吉良さまのご検分をお願い いたすつもりでござりまする 536 00:53:13,919 --> 00:53:17,256 案ずるな 源五右衛門 537 00:53:17,256 --> 00:53:24,263 この大役 内匠頭 見事果たしてくれようぞ 538 00:53:24,263 --> 00:53:26,163 (片岡)ははあっ 539 00:53:28,534 --> 00:53:48,554 ♬~ 540 00:53:48,554 --> 00:54:08,574 ♬~ 541 00:54:08,574 --> 00:54:28,527 ♬~ 542 00:54:28,527 --> 00:54:46,545 ♬~ 543 00:54:46,545 --> 00:54:51,884 ♬~ 544 00:58:53,892 --> 00:58:56,892 吉良どの 545 00:59:00,232 --> 00:59:02,568 何か用かな? 546 00:59:02,568 --> 00:59:08,240 ♬~ 547 00:59:08,240 --> 00:59:13,579 (梶川)浅野どの 殿中でござるぞ 548 00:59:13,579 --> 00:59:17,182 (上野介) それがしを斬るおつもりか? 549 00:59:17,182 --> 00:59:33,198 ♬~ 550 00:59:33,198 --> 00:59:37,498 殿中にての刃傷はご法度➡ 551 00:59:40,539 --> 00:59:48,547 あえて犯すとあれば お家断絶 領地取り上げ➡ 552 00:59:48,547 --> 00:59:51,847 それも お覚悟のうえか? 浅野どの