1 00:00:15,548 --> 00:00:17,550 (ナレーター)<瀬戸内の海に面した➡ 2 00:00:17,550 --> 00:00:21,221 播州 赤穂は 今日も穏やかで➡ 3 00:00:21,221 --> 00:00:25,221 歴史の重みを 感じさせる風情が残っている> 4 00:00:28,228 --> 00:00:32,232 <元禄14年3月14日➡ 5 00:00:32,232 --> 00:00:35,235 赤穂藩 5万3000石➡ 6 00:00:35,235 --> 00:00:40,240 浅野内匠頭は切腹 お家は断絶> 7 00:00:40,240 --> 00:00:44,244 <よりどころを失った 浅野の家臣たちは➡ 8 00:00:44,244 --> 00:00:50,917 やり場のない怒りと失意のうちに 早ひと月がたった> 9 00:00:50,917 --> 00:00:53,586 <前途の望みを失った者たちは➡ 10 00:00:53,586 --> 00:00:58,258 くしの歯をひくように赤穂を去り 散っていった> 11 00:00:58,258 --> 00:01:01,928 <しかし 復讐の念に駆られる者たちは➡ 12 00:01:01,928 --> 00:01:04,931 不屈の意志と行動力を持ち➡ 13 00:01:04,931 --> 00:01:08,535 大石内蔵助のもとに 残ったのである> 14 00:01:08,535 --> 00:01:11,204 (太鼓の音) 15 00:01:11,204 --> 00:01:15,542 <元禄15年12月15日➡ 16 00:01:15,542 --> 00:01:22,215 本所 吉良上野介の屋敷に 討ち入った赤穂浪士の数は47人> 17 00:01:22,215 --> 00:01:37,564 ♬~ 18 00:01:37,564 --> 00:01:41,901 <しかし 彼らが ここに至るまでの間に➡ 19 00:01:41,901 --> 00:01:47,501 志半ばで倒れた数多くの 同志たちがいたのである> 20 00:01:49,909 --> 00:01:56,583 <この男 萱野三平も また その1人であった> 21 00:01:56,583 --> 00:02:16,536 ♬~ 22 00:02:16,536 --> 00:02:36,556 ♬~ 23 00:02:36,556 --> 00:02:56,576 ♬~ 24 00:02:56,576 --> 00:03:16,529 ♬~ 25 00:03:16,529 --> 00:03:34,881 ♬~ 26 00:07:21,874 --> 00:07:27,880 (登城太鼓の音) 27 00:07:27,880 --> 00:07:31,884 (登城太鼓の音) 28 00:07:31,884 --> 00:07:34,554 ああ 萱野 こんな所にいたのか 29 00:07:34,554 --> 00:07:36,556 早く来ないと 検使の到着に間に合わんぞ 30 00:07:36,556 --> 00:07:40,226 神崎さん 私のことは ほっといてください 31 00:07:40,226 --> 00:07:42,495 私は一人になりたいんです 32 00:07:42,495 --> 00:07:47,500 お前 まだ あのことを気にしているのか 33 00:07:47,500 --> 00:07:49,835 いいかげんに忘れろと 言っただろう 34 00:07:49,835 --> 00:07:53,172 しかし 私には生きている資格が… 35 00:07:53,172 --> 00:07:56,509 ばか者! 忘れろと言ったら忘れろ! 36 00:07:56,509 --> 00:08:06,519 ♬~ 37 00:08:06,519 --> 00:08:10,523 <元禄14年 4月18日➡ 38 00:08:10,523 --> 00:08:12,858 公儀目付 荒木十左衛門➡ 39 00:08:12,858 --> 00:08:17,530 榊原采女ほか 2名の検使が赤穂に到着> 40 00:08:17,530 --> 00:08:20,830 <城明け渡しに先立つ検分が 行われた> 41 00:08:25,538 --> 00:08:28,874 <このとき 城内は ちりひとつとどめず➡ 42 00:08:28,874 --> 00:08:30,876 整然と掃き清められ➡ 43 00:08:30,876 --> 00:08:33,879 検使一行を迎える藩士たちには➡ 44 00:08:33,879 --> 00:08:35,881 亡国の城兵とは思えない➡ 45 00:08:35,881 --> 00:08:39,218 凛烈たる士気が みなぎっていたという> 46 00:08:39,218 --> 00:08:51,831 ♬~ 47 00:08:51,831 --> 00:08:56,502 (荒木)万事行き届いたる 開城の手はず万端➡ 48 00:08:56,502 --> 00:09:00,506 我ら ことごとく感服しつかまつった 49 00:09:00,506 --> 00:09:03,509 (榊原) それにつけても このたびの大変➡ 50 00:09:03,509 --> 00:09:07,179 家中の者の心情 深く察するぞ 51 00:09:07,179 --> 00:09:12,184 (内蔵助) ご丁重なるお言葉 恐れ入りまする 52 00:09:12,184 --> 00:09:17,523 我ら 今 主君を失い お家断絶つかまつりまするに 53 00:09:17,523 --> 00:09:21,193 家臣のみ生き長らえまするは これ ひとえに 54 00:09:21,193 --> 00:09:26,532 亡君 ご舎弟 大学さまの 行く末あるゆえにございます 55 00:09:26,532 --> 00:09:30,870 何とぞ 大学さま お取り立てのほど 56 00:09:30,870 --> 00:09:32,872 願わしゅう存じまする 57 00:09:32,872 --> 00:09:38,210 (荒木)ま… 待て 内蔵助 その件は我らが役目にあらず➡ 58 00:09:38,210 --> 00:09:40,546 この場で 請け合うわけにはまいらん 59 00:09:40,546 --> 00:09:44,483 しかしながら 主家再興の望みなくして 60 00:09:44,483 --> 00:09:48,487 城を捨て 離散つかまつりまするは 61 00:09:48,487 --> 00:09:52,158 武士として断腸の思い 62 00:09:52,158 --> 00:09:54,827 家中の武骨の者ども 63 00:09:54,827 --> 00:09:58,497 公儀を恐れざる騒動に 出るやもしれませぬ 64 00:09:58,497 --> 00:10:00,833 公儀を恐れざる騒動だと? 65 00:10:00,833 --> 00:10:04,503 内蔵助 そのほうは 我らを脅迫するつもりか!? 66 00:10:04,503 --> 00:10:07,173 めっそうもござりませぬ 67 00:10:07,173 --> 00:10:12,845 それがしは ただ 事実を申し上げているまでのこと 68 00:10:12,845 --> 00:10:18,445 大学さま お取り立ての儀 何とぞ よしなに 69 00:10:21,520 --> 00:10:26,192 これだけの城を持ちながら 誰一人 籠城して戦う者がいないとは 70 00:10:26,192 --> 00:10:28,194 フッ (家臣)情けない 71 00:10:28,194 --> 00:10:31,864 籠城どころか 殉死する奴もおらぬとよ 72 00:10:31,864 --> 00:10:34,533 赤穂城も地に落ちたものよのう 73 00:10:34,533 --> 00:10:39,133 (笑い声) 74 00:10:41,140 --> 00:10:43,809 くそっ いまいましい 75 00:10:43,809 --> 00:10:46,812 あいつら 我々をばかにしてますよ! 76 00:10:46,812 --> 00:10:50,483 城内で我がもの顔をされても 一矢も報いられん 77 00:10:50,483 --> 00:10:52,818 チッ この恥辱は耐えられんのう 78 00:10:52,818 --> 00:10:56,155 いっそ2~3人 ぶった斬りますか (安兵衛)よせよせ 79 00:10:56,155 --> 00:10:59,158 あいつらを 斬ったところで 事態は変わらん 80 00:10:59,158 --> 00:11:02,828 しかし 城は武士魂のよりどころです 81 00:11:02,828 --> 00:11:06,165 それを 一戦も交じれずに明け渡すとは 82 00:11:06,165 --> 00:11:11,165 堀部さま ご家老は ほんとに悔しくないのでしょうか 83 00:11:12,171 --> 00:11:15,508 大義のためには あえて私心を押し隠す 84 00:11:15,508 --> 00:11:18,177 それが上に立つ者の心得だ 85 00:11:18,177 --> 00:11:20,513 おぬしら軽輩や部屋住みには 分からんだろうがな 86 00:11:20,513 --> 00:11:23,849 堀部さん それは言いすぎだ 87 00:11:23,849 --> 00:11:28,521 この者たちとて 主家を思う気持ちは同じなのだ 88 00:11:28,521 --> 00:11:30,523 拙者には むしろ 89 00:11:30,523 --> 00:11:33,523 ご家老に口説き落とされた あんたの弱気が不甲斐ない 90 00:11:34,527 --> 00:11:37,530 俺が弱気かどうか 今に分かる 91 00:11:37,530 --> 00:11:40,533 とにかく 下手に動かんことだな 92 00:11:40,533 --> 00:11:43,803 堀部さま 萱野を お見かけになりませんでしたか? 93 00:11:43,803 --> 00:11:46,806 いや 萱野がどうかしたのか? 94 00:11:46,806 --> 00:11:55,481 ♬~ 95 00:11:55,481 --> 00:11:57,483 (萱野)<お軽…> 96 00:11:57,483 --> 00:12:17,503 ♬~ 97 00:12:17,503 --> 00:12:37,523 ♬~ 98 00:12:37,523 --> 00:12:49,468 ♬~ 99 00:12:49,468 --> 00:13:01,146 ♬~ 100 00:13:01,146 --> 00:13:03,482 待て! 萱野 早まるな! 101 00:13:03,482 --> 00:13:06,151 お願いです 死なせてください! 102 00:13:06,151 --> 00:13:09,154 私は 殿のおそばに まいりたいのです 103 00:13:09,154 --> 00:13:11,156 ばか者! 104 00:13:11,156 --> 00:13:13,492 貴様ごとき不忠者の殉死を 105 00:13:13,492 --> 00:13:15,828 亡き殿が お喜びあそばすと思うのか!? 106 00:13:15,828 --> 00:13:18,831 勝手腹を切るなら城の外でやれ! 107 00:13:18,831 --> 00:13:23,836 重ね重ねの不始末 おぬしを見損なったぞ! 108 00:13:23,836 --> 00:13:29,136 連判に加えたのは ご家老の お眼鏡違いだったようだな 109 00:13:38,183 --> 00:13:47,860 ♬~ 110 00:13:47,860 --> 00:13:52,197 死んで なんになるよ? 111 00:13:52,197 --> 00:13:54,197 生きて… 112 00:13:57,202 --> 00:13:59,872 生きて汚名をそそぐのだ 113 00:13:59,872 --> 00:14:13,218 ♬~ 114 00:14:13,218 --> 00:14:15,218 かたじけない 115 00:14:19,224 --> 00:14:22,561 萱野三平が追い腹を? 116 00:14:22,561 --> 00:14:27,232 萱野が追い腹を… 117 00:14:27,232 --> 00:14:32,905 幸い堀部らが駆けつけて 事なきを得ましたが 118 00:14:32,905 --> 00:14:35,908 せっかく 無事に終えた開城の運びに 119 00:14:35,908 --> 00:14:37,910 傷がつくところでした 120 00:14:37,910 --> 00:14:41,847 萱野と申せば 若いながらに俳諧をたしなみ… 121 00:14:41,847 --> 00:14:45,184 人望を集めておられると 聞いておりました 122 00:14:45,184 --> 00:14:49,188 実は 萱野は 123 00:14:49,188 --> 00:14:53,859 3月14日のご刃傷の折 124 00:14:53,859 --> 00:15:00,532 ご正室さま付きの腰元で 軽と申す者と 125 00:15:00,532 --> 00:15:04,203 市中の出合茶屋にて…➡ 126 00:15:04,203 --> 00:15:08,540 しかも 殿の大変を忘れて➡ 127 00:15:08,540 --> 00:15:13,212 色にふけっていた不義不忠者との そしりを受けるはめに 128 00:15:13,212 --> 00:15:16,882 殿は 2人の仲をご承知であったのか? 129 00:15:16,882 --> 00:15:21,220 はい ご勅使接待のお役目を終えしだい 130 00:15:21,220 --> 00:15:24,890 正式に めあわせるご所存だったと 聞き及びます 131 00:15:24,890 --> 00:15:31,563 世が世なれば 今頃 幸せに暮らしていたはずなのに 132 00:15:31,563 --> 00:15:34,900 不運な人たちですね 133 00:15:34,900 --> 00:15:44,176 ♬~ 134 00:15:44,176 --> 00:15:48,514 <翌19日 赤穂城は完全に明け渡され➡ 135 00:15:48,514 --> 00:15:52,514 藩士一同 打ちそろって 川口門から城を出た> 136 00:15:55,521 --> 00:16:01,193 <藩祖以来3代 57年にわたった播州 浅野家も➡ 137 00:16:01,193 --> 00:16:04,196 ついに終焉を迎えたのである> 138 00:16:04,196 --> 00:16:15,207 ♬~ 139 00:16:15,207 --> 00:16:26,885 ♬~ 140 00:16:26,885 --> 00:16:33,225 ご先祖代々 昼夜詰めたる赤穂の城も 141 00:16:33,225 --> 00:16:36,895 これが見納めじゃ 142 00:16:36,895 --> 00:16:43,168 父上 あの人たちは いずこへ行くのでしょうか? 143 00:16:43,168 --> 00:16:47,506 国を追われた武士に 安住の地はない 144 00:16:47,506 --> 00:16:52,177 情にすがって 生きるほかはあるまい 145 00:16:52,177 --> 00:16:56,849 まこと 侍とは 不器用な生き物でございますな 146 00:16:56,849 --> 00:17:05,524 ♬~ 147 00:17:05,524 --> 00:17:08,124 貴公 何者だ? 148 00:17:10,863 --> 00:17:16,201 素性は明かせぬが 大石どのの お命を頂戴にまいった者 149 00:17:16,201 --> 00:17:18,201 父の命を? 150 00:17:20,205 --> 00:17:23,876 慌てるな 拙者とて武士 151 00:17:23,876 --> 00:17:26,876 城との惜別を 邪魔するつもりはない 152 00:17:28,881 --> 00:17:32,181 いずれ改めて参上つかまつる 153 00:17:36,555 --> 00:17:42,161 ♬~ 154 00:17:42,161 --> 00:17:44,163 (松之丞) 吉良どのの差し金でしょうか 155 00:17:44,163 --> 00:17:50,169 いや 吉良どのに これほど 早い手が打てるとは思えぬ 156 00:17:50,169 --> 00:17:57,169 おそらくは 上杉家江戸家老 色部又四郎 157 00:18:00,512 --> 00:18:04,516 (山吉) <見事な無血開城を指揮した大石➡ 158 00:18:04,516 --> 00:18:09,188 城を去る家臣の姿に涙する大石➡ 159 00:18:09,188 --> 00:18:12,524 いずれが まことの大石か➡ 160 00:18:12,524 --> 00:18:17,196 それを見届けるまでは 死なせるわけにはゆかぬ> 161 00:18:17,196 --> 00:18:24,203 ♬~ 162 00:18:24,203 --> 00:18:26,872 ≪(小林)小林平八郎 まいりました 163 00:18:26,872 --> 00:18:30,172 うむ 入れ ≪(小林)はっ 164 00:18:33,212 --> 00:18:36,882 柳沢さまからの知らせだ 165 00:18:36,882 --> 00:18:39,885 赤穂より立ち返った検使の 目付2人 166 00:18:39,885 --> 00:18:44,489 浅野大学による家中再興の儀を 言上したそうだ 167 00:18:44,489 --> 00:18:47,159 ほう それはご奇特な 168 00:18:47,159 --> 00:18:49,828 浅野のご家老にでも 言いくるめられましたかな 169 00:18:49,828 --> 00:18:51,830 たぶんな 170 00:18:51,830 --> 00:18:57,502 無血開城の見返りに ご公儀へのとりなしを要求する 171 00:18:57,502 --> 00:19:03,175 大石という男 やはり ただ者ではないな 172 00:19:03,175 --> 00:19:07,175 しかし お家再興が本心とは思えませぬが 173 00:19:09,181 --> 00:19:11,850 わしも そう思う 174 00:19:11,850 --> 00:19:18,190 吉良どのへの復讐を隠蔽する方便 もしくは時を稼ぐ手段 175 00:19:18,190 --> 00:19:23,528 赤穂に使わした山吉新八郎から 何か知らせは? 176 00:19:23,528 --> 00:19:25,530 (色部)何もない 177 00:19:25,530 --> 00:19:28,530 よもや 返り討ちに遭ったとは思えぬが 178 00:19:42,481 --> 00:19:46,818 よせよせ 平八郎 わしの手の者だ 179 00:19:46,818 --> 00:20:03,168 ♬~ 180 00:20:03,168 --> 00:20:07,172 ご用で? (色部)うむ 赤穂へ たってくれ➡ 181 00:20:07,172 --> 00:20:11,843 山吉を使わしておるが 埒が明かぬ 182 00:20:11,843 --> 00:20:15,180 あたしに大石を葬れと? 183 00:20:15,180 --> 00:20:20,180 ハハハハッ… そこまでは申しておらぬ 184 00:20:24,523 --> 00:20:27,192 色部さま 185 00:20:27,192 --> 00:20:33,192 もし あたしに 大石の息の根を 止める機会があったとしたら… 186 00:20:34,866 --> 00:20:37,202 好きなようにせい 187 00:20:37,202 --> 00:20:40,872 ただし どのようなことがあろうとも 188 00:20:40,872 --> 00:20:45,472 わしとのつながりは 出してはならん よいな? 189 00:20:47,145 --> 00:20:49,145 かしこまりました 190 00:20:53,819 --> 00:20:55,821 まずは無理だろう 191 00:23:03,882 --> 00:23:07,886 <赤穂城開城のあと 萱野三平は➡ 192 00:23:07,886 --> 00:23:10,889 生まれ故郷の摂州 萱野村に帰り➡ 193 00:23:10,889 --> 00:23:13,489 失意の日々を送っていた> 194 00:23:15,894 --> 00:23:19,564 <萱野三平は 浅野家に仕える以前➡ 195 00:23:19,564 --> 00:23:24,236 萱野村の領主 大島伊勢守の 小姓であった> 196 00:23:24,236 --> 00:23:28,573 <当時13歳だった三平の 才気に目を留めた内匠頭が➡ 197 00:23:28,573 --> 00:23:31,243 親交あった伊勢守に懇願し➡ 198 00:23:31,243 --> 00:23:35,843 借り勤めの形で 浅野家の 家臣となっていたのである> 199 00:23:41,186 --> 00:23:44,523 喜べ 三平 200 00:23:44,523 --> 00:23:47,192 たった今 ご領主さまからの お使いがまいられてな 201 00:23:47,192 --> 00:23:50,529 そなたの帰参 お許しくださるそうじゃ 202 00:23:50,529 --> 00:23:52,864 わたくしの帰参を? (七郎左衛門)うむ 203 00:23:52,864 --> 00:23:57,202 浅野家の不幸は まことに痛恨の極みではあるが 204 00:23:57,202 --> 00:24:00,205 三平は元来 我が家中の者 205 00:24:00,205 --> 00:24:03,542 速やかに再仕官させよと 仰せられたそうじゃ 206 00:24:03,542 --> 00:24:06,211 誠に ありがたいことではないか 207 00:24:06,211 --> 00:24:08,213 せっかくですが 父上 208 00:24:08,213 --> 00:24:11,883 わたくしは すでに赤穂の藩士でございます 209 00:24:11,883 --> 00:24:15,220 いまさら 大島家に 仕えるつもりはございません 210 00:24:15,220 --> 00:24:17,556 な… なんじゃと? 211 00:24:17,556 --> 00:24:22,227 ご領主さまは そなたの身を 案じておられるのだぞ 212 00:24:22,227 --> 00:24:25,564 今どき 浪人が再仕官できる道なんぞ 213 00:24:25,564 --> 00:24:27,566 あろうはずがないんじゃからな 214 00:24:27,566 --> 00:24:32,904 そのご厚意は 身にしみて ありがたく存じますが 215 00:24:32,904 --> 00:24:37,175 わたくしには わたくしなりの 存念がございますゆえ 216 00:24:37,175 --> 00:24:41,846 存念じゃと? いかなる存念じゃ? 217 00:24:41,846 --> 00:24:46,146 それは申し上げられません 218 00:24:48,186 --> 00:24:51,856 (七郎左衛門)待て 三平 まだ話は終わっとらん 219 00:24:51,856 --> 00:24:56,456 散策に出てきます (七郎左衛門)待て 待てと申すに! 220 00:25:08,206 --> 00:25:10,206 そなたは… 221 00:25:15,547 --> 00:25:17,547 お軽 222 00:25:18,550 --> 00:25:20,550 三平さま 223 00:25:23,555 --> 00:25:25,557 お会いしとうございました 224 00:25:25,557 --> 00:25:35,567 ♬~ 225 00:25:35,567 --> 00:25:38,236 (萱野)あれから どうしていた? 226 00:25:38,236 --> 00:25:41,906 (お軽)奥方さまは 仏門にお入りになられ➡ 227 00:25:41,906 --> 00:25:45,243 わたくしたちは そろってお暇になりました➡ 228 00:25:45,243 --> 00:25:50,915 今は 山崎にある叔父の家に 身を寄せております 229 00:25:50,915 --> 00:25:53,585 (萱野)そうか➡ 230 00:25:53,585 --> 00:25:58,185 主家の大変は 女の身にも及ぶのだな 231 00:25:59,257 --> 00:26:02,594 お家の大事よりも わたくしには 232 00:26:02,594 --> 00:26:05,263 三平さまと 離れ離れになったことが 233 00:26:05,263 --> 00:26:07,599 悲しゅうございます 234 00:26:07,599 --> 00:26:14,199 お別れしてから毎日 あなたさまのお顔を思い浮かべて 235 00:26:17,275 --> 00:26:20,945 お願いでございます わたくしをどうかおそばに 236 00:26:20,945 --> 00:26:24,949 たとえ日陰の身でも わたくしは… (萱野)お軽 237 00:26:24,949 --> 00:26:30,955 気持ちは うれしいが 私のことは もう忘れてくれ 238 00:26:30,955 --> 00:26:33,958 所詮 添い遂げられぬ仲なのだ 239 00:26:33,958 --> 00:26:38,229 そんな… わたくしたちのことは お殿さまもお許しに… 240 00:26:38,229 --> 00:26:44,235 その殿がご刃傷のとき 我らは何をしていたか 241 00:26:44,235 --> 00:26:47,906 そなたとて忘れてはいないはずだ 242 00:26:47,906 --> 00:26:51,576 このまま 情に流されるようなまねをすれば 243 00:26:51,576 --> 00:26:57,176 亡き殿は言うに及ばず 家中の者にも面目が立たぬ 244 00:26:58,249 --> 00:27:04,589 もしや お殿さまのご無念を 晴らすために 吉良さまを? 245 00:27:04,589 --> 00:27:09,889 そなたには関わりのないことだ 二度と私に会いに来てはならぬ 246 00:27:11,930 --> 00:27:15,230 (お軽)三平さま! 三平さま! 247 00:27:19,604 --> 00:27:22,273 <一方 吉良上野介は➡ 248 00:27:22,273 --> 00:27:25,944 高家筆頭職の辞任を願い出ていた> 249 00:27:25,944 --> 00:27:29,280 <それは あくまでも形式的なものであり➡ 250 00:27:29,280 --> 00:27:32,951 上野介自身 当然 慰留されるであろうと➡ 251 00:27:32,951 --> 00:27:35,286 考えていたのである> 252 00:27:35,286 --> 00:27:38,556 久しぶりですな 吉良どの 253 00:27:38,556 --> 00:27:41,893 お手傷の具合は いかがでござるか? 254 00:27:41,893 --> 00:27:46,231 もはや なんの痛痒も感じませぬが 255 00:27:46,231 --> 00:27:49,567 忌まわしい傷痕が残りました 256 00:27:49,567 --> 00:27:53,905 向こう傷は 武士の誉れとはいえども 257 00:27:53,905 --> 00:27:57,205 高家には似つかわしくあるまい 258 00:27:59,577 --> 00:28:04,582 この際 後進に道を譲られては どうかな? 259 00:28:04,582 --> 00:28:10,922 ♬~ 260 00:28:10,922 --> 00:28:13,925 これは お二方 おそろいで 261 00:28:13,925 --> 00:28:15,927 (早水)何をして おいでですか? 262 00:28:15,927 --> 00:28:19,264 (理玖)ご覧のとおり 落書きを消しているのですよ 263 00:28:19,264 --> 00:28:21,266 (寺坂)せっかく よいお屋敷ができたというのに➡ 264 00:28:21,266 --> 00:28:23,268 心ない者がおりまして 265 00:28:23,268 --> 00:28:26,938 (原) 「大石は鮨の重しになるやらん」 266 00:28:26,938 --> 00:28:29,274 「赤穂の米を喰い潰しけり」 267 00:28:29,274 --> 00:28:31,609 なるほど これはひどい 268 00:28:31,609 --> 00:28:34,946 大石さまが仇討ちの志を 捨ててしまわれたと考える者の 269 00:28:34,946 --> 00:28:36,881 嫌がらせですな 270 00:28:36,881 --> 00:28:40,885 (理玖)でも よくできているではありませぬか 271 00:28:40,885 --> 00:28:47,559 大石の蔵とは かねて聞きつるが よくよく見れば “きら”ず蔵かな 272 00:28:47,559 --> 00:28:52,159 消すのが惜しいくらいですね ハハハハッ… 273 00:28:53,898 --> 00:28:57,569 吉良どのが屋敷替えを? 274 00:28:57,569 --> 00:29:01,573 さよう 近く 呉服橋の屋敷を引き払われ 275 00:29:01,573 --> 00:29:04,242 本所へ移られるとのよし 276 00:29:04,242 --> 00:29:06,244 本所か 277 00:29:06,244 --> 00:29:08,580 先にお役御免となった吉良どのに 278 00:29:08,580 --> 00:29:12,250 追い打ちをかけるような このたびの屋敷替え 279 00:29:12,250 --> 00:29:15,920 上杉家と吉良どのを切り離すのが ねらいとしか思えんな 280 00:29:15,920 --> 00:29:20,592 つまり 背後には上杉家の 思惑があると申されまするか 281 00:29:20,592 --> 00:29:24,596 いや 上杉ではなく色部の思惑です 282 00:29:24,596 --> 00:29:27,932 いかに主君の父君とはいえ 283 00:29:27,932 --> 00:29:34,272 吉良どののお命を救うために お家の命運は懸けられん 284 00:29:34,272 --> 00:29:37,208 こうなると 江戸にいる者たちの 285 00:29:37,208 --> 00:29:39,210 先走りが気がかりだな 286 00:29:39,210 --> 00:29:41,212 おっしゃるとおりです 287 00:29:41,212 --> 00:29:47,218 (蝉の鳴き声) 288 00:29:47,218 --> 00:29:50,221 (お蓮)やめて~! (男たち)ハハハハッ… 289 00:29:50,221 --> 00:29:52,223 おら! 290 00:29:52,223 --> 00:29:54,893 (男)おおっ (男)おおっ 291 00:29:54,893 --> 00:29:57,562 不埒なまねを 待て 松之丞! 292 00:29:57,562 --> 00:30:00,231 (打ちつける音) ああっ! 293 00:30:00,231 --> 00:30:04,235 こやつ てこずらせおって (男)その分 かわいがってくれるぞ 294 00:30:04,235 --> 00:30:08,235 やめろ! お前たち 恥を知れ! 295 00:30:10,575 --> 00:30:12,577 (お蓮) 動くんじゃないよ! 早くおやり! 296 00:30:12,577 --> 00:30:14,579 (男)おのれ! 297 00:30:14,579 --> 00:30:18,249 やはり 狙いは わしの命か 誰に頼まれた? 298 00:30:18,249 --> 00:30:20,919 それは言わぬが華 299 00:30:20,919 --> 00:30:25,256 下手に動くと まず せがれの命を頂くよ! 300 00:30:25,256 --> 00:30:28,593 父上 わたくしに構わず逃げてください 301 00:30:28,593 --> 00:30:31,930 あっ! (男)おのれ 邪魔しおって 死ね! 302 00:30:31,930 --> 00:30:33,932 うわっ! (男)おのれ! 303 00:30:33,932 --> 00:30:38,870 ♬~ 304 00:30:38,870 --> 00:30:40,872 (男)引け! 305 00:30:40,872 --> 00:30:47,879 ♬~ 306 00:30:47,879 --> 00:30:52,216 お手前は わしを斬りに来たと申されたが 307 00:30:52,216 --> 00:30:54,216 逆になりました 308 00:30:56,554 --> 00:30:58,554 皮肉なもんですな 309 00:30:59,891 --> 00:31:04,896 お差し支えなくば ご姓名を承りたい 310 00:31:04,896 --> 00:31:09,233 素性は明かせぬと 申し上げたはずです 311 00:31:09,233 --> 00:31:21,913 ♬~ 312 00:31:21,913 --> 00:31:23,915 父上 313 00:31:23,915 --> 00:31:28,586 世の中には 変わった人がいるものだ 314 00:31:28,586 --> 00:31:39,186 ♬~ 315 00:31:44,869 --> 00:31:48,469 ≪(お蓮)あたしですよ 山吉の旦那 316 00:31:51,876 --> 00:31:55,476 (山吉)なるほど そういうことか➡ 317 00:31:59,550 --> 00:32:01,552 ご家老も どうせなら 318 00:32:01,552 --> 00:32:04,222 もう少し ましな者を 送り込めばよかったものを 319 00:32:04,222 --> 00:32:08,226 (お蓮)おや のっけから ご挨拶じゃありませんか 320 00:32:08,226 --> 00:32:10,895 下手な田舎芝居 見せてもらったが 321 00:32:10,895 --> 00:32:15,233 あんなことじゃ とても大石までは手が届かぬぞ 322 00:32:15,233 --> 00:32:18,233 邪魔立てしといて よくもぬけぬけと そんなことを 323 00:32:21,239 --> 00:32:23,908 色部さまのお耳に入っても ようござんすのか? 324 00:32:23,908 --> 00:32:25,910 どうぞ お好きなように 325 00:32:25,910 --> 00:32:29,580 ただし 大石の命は お前さんの 好きなようにはさせないぜ 326 00:32:29,580 --> 00:32:33,251 フフフッ そりゃまた どういうおつもりですか? 327 00:32:33,251 --> 00:32:35,253 斬るときが来れば 俺が斬る 328 00:32:35,253 --> 00:32:38,523 それじゃ あたしと先を争うとでも? 329 00:32:38,523 --> 00:32:41,192 あまり目障りなまねすると 330 00:32:41,192 --> 00:32:44,862 たとえご家老のお抱えでも 俺が許さん 331 00:37:51,202 --> 00:37:53,202 (ため息) 332 00:37:59,210 --> 00:38:01,210 ≪(お軽)萱野さま 333 00:38:08,886 --> 00:38:10,886 (お軽)三平さま 334 00:38:33,177 --> 00:38:38,849 (萱野)お軽 分かってくれ 335 00:38:38,849 --> 00:38:45,523 そなたを思う私の気持ちに うそ偽りはない 336 00:38:45,523 --> 00:38:51,123 そなたが いとしい そなたと夫婦になりたい 337 00:38:53,197 --> 00:38:56,200 だが それは許されぬ 338 00:38:56,200 --> 00:38:59,870 なぜでございますか? 339 00:38:59,870 --> 00:39:03,207 今 そなたと一緒になれば 340 00:39:03,207 --> 00:39:07,211 大石さまをはじめ 同志の方々と 341 00:39:07,211 --> 00:39:11,882 私は袂を分かたねばならなくなる 342 00:39:11,882 --> 00:39:15,553 それでなくとも 軟弱者と決めつけられ 343 00:39:15,553 --> 00:39:17,553 そしられておるのだ 344 00:39:19,557 --> 00:39:25,563 この汚名だけは なんとしても そそがねばならん 345 00:39:25,563 --> 00:39:30,763 (雷鳴) 346 00:39:34,839 --> 00:39:40,511 三平さま 武士をお捨てください 347 00:39:40,511 --> 00:39:45,850 この軽のために 武士をお捨てください 348 00:39:45,850 --> 00:39:48,853 (萱野)お軽 349 00:39:48,853 --> 00:39:55,192 人が不忠義者と そしろうと 350 00:39:55,192 --> 00:39:59,530 その責めは この軽も 一生 背負って生きてまいります 351 00:39:59,530 --> 00:40:04,530 お願いでございます 武士をお捨てください! 352 00:40:09,206 --> 00:40:14,211 それができるくらいなら 悩みはせぬ 353 00:40:14,211 --> 00:40:22,511 (雷鳴) 354 00:40:26,891 --> 00:40:33,491 軽は 大石さまが恨めしゅうございます 355 00:40:34,565 --> 00:40:36,567 (萱野)私は 大石さまに 引きずられているわけではない 356 00:40:36,567 --> 00:40:39,570 いいえ! 357 00:40:39,570 --> 00:40:42,907 すべては 大石さまのせいでございます 358 00:40:42,907 --> 00:40:45,576 大石さまのご存念が あなたさまを悩ませ 359 00:40:45,576 --> 00:40:49,580 あなたさまをあらぬほうへと 引きずっていっておしまいに… 360 00:40:49,580 --> 00:40:51,580 (萱野)ばかなことを申すな! 361 00:40:54,251 --> 00:40:58,255 <このころ 江戸に在住する赤穂浪人の数は➡ 362 00:40:58,255 --> 00:41:01,258 20名をはるかに超えていた> 363 00:41:01,258 --> 00:41:03,260 <そのほとんどの者が➡ 364 00:41:03,260 --> 00:41:09,266 大石の 浅野大学さまを擁しての お家再興に批判的な立場を取り➡ 365 00:41:09,266 --> 00:41:14,939 一日も早い 吉良上野介への復讐の 機会をうかがっていたのである> 366 00:41:14,939 --> 00:41:17,608 (山上)原惣右衛門さまが? 367 00:41:17,608 --> 00:41:19,908 (各務)江戸に来ておられるそうだ 368 00:41:24,949 --> 00:41:26,884 いよいよ決まったんですか? 369 00:41:26,884 --> 00:41:29,220 吉良の素っ首を 挙げに行く日取りが 370 00:41:29,220 --> 00:41:31,820 (女性)暑いねえ もう 371 00:41:47,238 --> 00:41:50,241 (田中) 軽挙妄動は慎めと言われるが➡ 372 00:41:50,241 --> 00:41:52,910 では いつまで待てばよいのか はっきりさせてもらいたい 373 00:41:52,910 --> 00:41:55,246 いつまでと問われても困るが 374 00:41:55,246 --> 00:41:58,249 とりあえず 大学さまのご処置が定まるまで 375 00:41:58,249 --> 00:42:01,919 ハァ 大学さまは すでに分家されたお方 376 00:42:01,919 --> 00:42:03,921 我らの主君ではない 377 00:42:03,921 --> 00:42:07,258 我らの主君は亡き殿 ただお一人 378 00:42:07,258 --> 00:42:10,928 そのお恨みを晴らさぬかぎり 我らの武士道は立ち申さん! 379 00:42:10,928 --> 00:42:16,267 それは分かっておる 大石さまとて お考えは同じだ 380 00:42:16,267 --> 00:42:21,605 大石さまは山科に 腰を落ち着け なされたそうではないですか 381 00:42:21,605 --> 00:42:24,942 ひょっとして 仇討ちのご存念を なくされたのでは? 382 00:42:24,942 --> 00:42:28,212 いや それは違う 腰を落ち着けると見せたのは 383 00:42:28,212 --> 00:42:32,549 あくまでも 上杉方や吉良方への 目を欺くのが目当て 384 00:42:32,549 --> 00:42:35,886 機が熟せば 直ちに 江戸へ下向なさるご所存なのだ 385 00:42:35,886 --> 00:42:37,888 機が熟せばですと? 386 00:42:37,888 --> 00:42:41,892 ふんっ この期に及んで 何をたわけたことを 387 00:42:41,892 --> 00:42:45,229 その場逃れの方便など もはや聞く耳は持たん! 388 00:42:45,229 --> 00:42:49,233 待て 田中氏 そこまで言っては身も蓋もない 389 00:42:49,233 --> 00:42:51,568 せっかく 原さまがおいでになられたんだ 390 00:42:51,568 --> 00:42:54,238 これを機会に 腹蔵なく 話し合うべきではないのか 391 00:42:54,238 --> 00:42:56,240 そのとおり! 392 00:42:56,240 --> 00:43:00,244 この際 我らが存念を 残らずご城代に伝えてもらおう 393 00:43:00,244 --> 00:43:03,580 それがいやなら 席を外せ 394 00:43:03,580 --> 00:43:09,586 このまま俺たちと縁を切っても 一向にかまわんぞ 395 00:43:09,586 --> 00:43:13,590 そんな悠長な あの人たちは 我々の苦労が分かってないんだ 396 00:43:13,590 --> 00:43:17,594 そりゃそうさ 堀部 高田 奥田の 三羽がらすといえば 397 00:43:17,594 --> 00:43:21,598 江戸にも聞こえた剣の達人 398 00:43:21,598 --> 00:43:23,934 浪人しても 金に不自由はしないからな 399 00:43:23,934 --> 00:43:29,134 (陰山)俺たちには金がない! あすの米にも事欠く次第だ 400 00:43:31,208 --> 00:43:36,213 小禄の者や部屋住みの者は 武士道を貫く前に 401 00:43:36,213 --> 00:43:38,882 飢え死にしろというのか (田中)いや それは違う 402 00:43:38,882 --> 00:43:43,220 たとえ 小禄 部屋住みの身分であろうと 403 00:43:43,220 --> 00:43:45,222 忠義の志においては 404 00:43:45,222 --> 00:43:48,892 いささかも異なるところはない 405 00:43:48,892 --> 00:43:53,492 この際 我々のみで事を行ってはどうかな 406 00:43:55,899 --> 00:44:00,237 我々が 武士道をまっとうする方法は 407 00:44:00,237 --> 00:44:02,537 これ以外にはない 408 00:44:14,918 --> 00:44:16,920 出てらっしゃい 不破さん 409 00:44:16,920 --> 00:44:19,220 そんな所にいると やぶ蚊に刺されますよ 410 00:44:24,928 --> 00:44:26,864 ご存じでしたか 411 00:44:26,864 --> 00:44:30,534 大石の身を警護してくださるのは ありがたいのです 412 00:44:30,534 --> 00:44:33,537 でも そのお心遣いは 無用にしてください 413 00:44:33,537 --> 00:44:37,837 しかし 先日の一件もありますゆえ いつ刺客が来ないとも… 414 00:44:39,209 --> 00:44:43,213 天が生かしておきたいと欲すれば 生き長らえ 415 00:44:43,213 --> 00:44:46,884 その必要なしとすれば それも天命 416 00:44:46,884 --> 00:44:49,887 はあ? 417 00:44:49,887 --> 00:44:53,557 (理玖)近頃 大石がよく口にする言葉です➡ 418 00:44:53,557 --> 00:44:56,857 さあ 中入ってお食事でも (不破)はあ 419 00:45:00,230 --> 00:45:08,906 ♬~ 420 00:45:08,906 --> 00:45:13,243 (不破)お待ちください 女だからとて油断はできませぬ 421 00:45:13,243 --> 00:45:21,251 ♬~ 422 00:45:21,251 --> 00:45:24,254 どなたですか? 423 00:45:24,254 --> 00:45:26,454 軽と申します 424 00:45:28,859 --> 00:45:33,859 大石さまに お目にかかりたいのですが 425 00:45:37,868 --> 00:45:39,870 どうぞ 426 00:45:39,870 --> 00:45:53,870 ♬~ 427 00:45:54,885 --> 00:45:57,185 そなたが軽か 428 00:46:02,893 --> 00:46:05,193 わしに用とは? 429 00:46:48,205 --> 00:46:50,205 (碁を打つ音) ハッ! 430 00:46:52,209 --> 00:46:56,547 わしの命が所望か 431 00:46:56,547 --> 00:47:02,219 ならば取るがよい どうせ限りある命 432 00:47:02,219 --> 00:47:05,819 先のある そなたの 役に立てば本望じゃ 433 00:47:19,570 --> 00:47:25,576 (泣き声) 434 00:47:25,576 --> 00:47:28,845 まあ これは なんとしたこと 435 00:47:28,845 --> 00:47:31,145 わしにも よう分からん 436 00:47:40,190 --> 00:47:44,194 女は女同士 あとは任せるぞ 437 00:47:44,194 --> 00:47:46,194 (理玖)あっ はい 438 00:47:57,874 --> 00:48:09,219 ♬~ 439 00:48:09,219 --> 00:48:15,559 大石の命を奪えば 萱野さんが 救われると思ったのですか 440 00:48:15,559 --> 00:48:18,562 はい 441 00:48:18,562 --> 00:48:21,231 今の三平さまは 442 00:48:21,231 --> 00:48:26,169 お殿さまのご無念を 晴らすことしか 頭にありません 443 00:48:26,169 --> 00:48:29,840 大石さまさえ いなくなれば 仇討ちは お取りやめになり 444 00:48:29,840 --> 00:48:34,511 三平さまも昔の優しいお心に… 445 00:48:34,511 --> 00:48:37,848 それは あなたの思い違いですよ 446 00:48:37,848 --> 00:48:44,855 ♬~ 447 00:48:44,855 --> 00:48:51,862 大石が死んでも 周りの方たちの志は変わりません 448 00:48:51,862 --> 00:48:57,534 第2 第3の大石が現れて お仲間を引っ張っていくでしょう 449 00:48:57,534 --> 00:49:02,539 それほど あの人たちの結束は固いのです 450 00:49:02,539 --> 00:49:04,541 でもね お軽さん 451 00:49:04,541 --> 00:49:08,879 わたくしには あなたのお気持ちも よ~く分かります 452 00:49:08,879 --> 00:49:15,552 わたくしがあなたの立場だったら 同じことをしたかもしれません 453 00:49:15,552 --> 00:49:19,222 わたくしと同じことを? 454 00:49:19,222 --> 00:49:21,224 ええ 455 00:49:21,224 --> 00:49:28,124 仇討ちだの武士道だの 所詮は男だけに通用する言葉 456 00:49:32,836 --> 00:49:37,174 奥方さまは 仇討ちに反対なのですか? 457 00:49:37,174 --> 00:49:39,176 どちらでもありません 458 00:49:39,176 --> 00:49:42,846 ただ やるからには大願成就してほしい 459 00:49:42,846 --> 00:49:46,446 そう念じて 夫に尽くしているのです 460 00:49:48,852 --> 00:49:52,852 わたくしに できるのは それだけですから 461 00:49:57,194 --> 00:49:59,194 (家臣)よし! 462 00:50:03,200 --> 00:50:07,537 <呉服橋から本所一ツ目へと 屋敷替えになって以来➡ 463 00:50:07,537 --> 00:50:10,540 吉良上野介は10日に一度の割で➡ 464 00:50:10,540 --> 00:50:15,212 桜田にある上杉家上屋敷を 訪れていた> 465 00:50:15,212 --> 00:50:19,549 <高家筆頭の職を解かれ 暇を持て余す身にとって➡ 466 00:50:19,549 --> 00:50:22,886 実子の上杉綱憲を 訪ねることだけが➡ 467 00:50:22,886 --> 00:50:26,223 唯一の楽しみだったのである> 468 00:50:26,223 --> 00:50:29,223 ≪(上野介)これ 駕籠を止めい (駕籠かき)はっ! 469 00:50:36,900 --> 00:50:41,905 一学 もう少し ゆっくりと進めぬか? 470 00:50:41,905 --> 00:50:46,576 お言葉ですが 殿 市中では 万全の護衛ができかねます 471 00:50:46,576 --> 00:50:48,912 今しばらくのご辛抱を 472 00:50:48,912 --> 00:50:54,251 野暮を申すな 町の様子をとくと見物したい 473 00:50:54,251 --> 00:50:57,587 武家地に入りましたらば 速度を落としますゆえ 474 00:50:57,587 --> 00:50:59,589 どうかご辛抱ください 475 00:50:59,589 --> 00:51:01,591 一学 476 00:51:01,591 --> 00:51:06,263 赤穂の者たちなぞ 恐るるに足らぬぞ 477 00:51:06,263 --> 00:51:10,267 歩いて見物する 履物を持て 478 00:51:10,267 --> 00:51:13,603 (清水)殿! そればかりは… 479 00:51:13,603 --> 00:51:17,903 ならば ゆっくりと行くか? (清水)はい 480 00:51:21,945 --> 00:51:25,615 このままでよい (清水)はっ 481 00:51:25,615 --> 00:51:27,515 行くぞ (駕籠かき)はっ 482 00:51:31,221 --> 00:51:33,221 どけ どけい! (男性)へい 483 00:51:52,909 --> 00:52:08,925 ♬~ 484 00:52:08,925 --> 00:52:11,595 確かに吉良上野介 485 00:52:11,595 --> 00:52:13,930 行き先は上杉家に間違いないな? 486 00:52:13,930 --> 00:52:18,602 はい 桜田方面に向かったのを 見届けました 487 00:52:18,602 --> 00:52:22,606 よ~し それでは予定どおり帰りを襲う 488 00:52:22,606 --> 00:52:25,609 みんなを集めてくれ (3人)はい! 489 00:52:25,609 --> 00:52:36,509 ♬~ 490 00:52:42,559 --> 00:52:45,228 (色部) 先日 お出ましになられてから➡ 491 00:52:45,228 --> 00:52:50,233 今日で ちょうど10日目でございますな 492 00:52:50,233 --> 00:52:54,905 10日目に来てはならぬいわれでも あるのかな? 493 00:52:54,905 --> 00:52:58,575 (色部) いえいえ 決して そのような… 494 00:52:58,575 --> 00:53:00,577 赤穂の浪人どもが 495 00:53:00,577 --> 00:53:04,581 市中にて不穏な動きあるやに 聞き及んでおりますゆえ 496 00:53:04,581 --> 00:53:08,919 万一の事態を案じておりまする 497 00:53:08,919 --> 00:53:11,922 わしが聞き及んでいるのは 498 00:53:11,922 --> 00:53:18,595 大石内蔵助は いまだに 山科より動く気配はないとのこと 499 00:53:18,595 --> 00:53:21,932 万一の事態など 案ずるには及ばぬ 500 00:53:21,932 --> 00:53:25,268 大石のことは ひとまず置いて 501 00:53:25,268 --> 00:53:30,540 手前が懸念しておりますのは 江戸在府の浪人どもでございます 502 00:53:30,540 --> 00:53:35,879 ♬~ 503 00:53:35,879 --> 00:53:38,882 在府の浪人どもが 504 00:53:38,882 --> 00:53:43,219 勝手に わしの首を 狙い始めたとでも申すのか 505 00:53:43,219 --> 00:53:45,889 さようでございます 506 00:53:45,889 --> 00:53:48,892 かの堀部安兵衛をはじめとして 507 00:53:48,892 --> 00:53:52,192 いずれも 血気にはやる者ばかりなれば 508 00:53:54,564 --> 00:53:58,234 そのような懸念ばかり しておったのでは 509 00:53:58,234 --> 00:54:01,237 どこへも出かけられぬではないか 510 00:54:01,237 --> 00:54:06,242 吉良さま 手前は ひとえに吉良さまの… 511 00:54:06,242 --> 00:54:15,919 ♬~ 512 00:54:15,919 --> 00:54:19,923 そのほうの腹は読めておる 513 00:54:19,923 --> 00:54:23,927 わしと浅野の確執が 514 00:54:23,927 --> 00:54:27,864 上杉家に累を及ぼさぬよう 515 00:54:27,864 --> 00:54:32,535 この屋敷から 遠ざけようというのであろう 516 00:54:32,535 --> 00:54:52,555 ♬~ 517 00:54:52,555 --> 00:55:12,575 ♬~ 518 00:55:12,575 --> 00:55:32,529 ♬~ 519 00:55:32,529 --> 00:55:43,540 ♬~ 520 00:55:43,540 --> 00:55:54,884 ♬~