1 00:00:06,573 --> 00:00:10,878 ⚟(鳥の鳴き声) 2 00:00:12,446 --> 00:00:16,450 ⚟(鳥の鳴き声) 3 00:00:33,600 --> 00:00:35,602 (荒い息) 4 00:00:37,271 --> 00:00:39,273 (荒い息) 5 00:00:41,608 --> 00:00:44,511 ⚟(村田銕三郎)天狗の神隠しだ? 6 00:00:44,511 --> 00:00:47,481 おい。 今は奉行所が➡ 7 00:00:47,481 --> 00:00:51,285 いくつもの御用で 大わらわなの知ってんだろ? 8 00:00:51,285 --> 00:00:54,187 そんな話に付き合ってられるか! 9 00:00:54,187 --> 00:00:59,493 (玉木弥之助)そう思ったんですが 相当な騒ぎになってるもので。 10 00:01:01,094 --> 00:01:04,798 寺社奉行からも 話が伝わってきていて。 11 00:01:10,570 --> 00:01:12,906 う~ん…。 12 00:01:12,906 --> 00:01:21,582 確かに 南の猟犬 村田としては うっちゃっては おけねえな。➡ 13 00:01:21,582 --> 00:01:25,285 さて どうするか…。 14 00:01:26,920 --> 00:01:31,792 あいつに ぴったりの仕事だぜ。 15 00:01:31,792 --> 00:01:34,795 おい ハチマキ? 16 00:01:34,795 --> 00:01:36,930 (尾上伸平)ヤマキです。 17 00:01:36,930 --> 00:01:39,266 (八巻卯之吉)はい? 18 00:01:39,266 --> 00:01:46,573 ♬~ 19 00:01:49,910 --> 00:01:52,612 こちらが 同心見習となった➡ 20 00:01:52,612 --> 00:01:55,515 八巻こと 卯之吉でございます。 21 00:01:55,515 --> 00:01:58,485 実は 豪商 三国屋の若旦那。 22 00:01:58,485 --> 00:02:00,420 そして…。 23 00:02:00,420 --> 00:02:05,192 おい! あの剣豪同心 八巻卯之吉だ! すごいじゃないか! 24 00:02:05,192 --> 00:02:08,895 活人剣の達人だそうだ! 25 00:02:08,895 --> 00:02:11,565 ⚟(瓦版売り)さあ 皆さん 聞いとくれ!➡ 26 00:02:11,565 --> 00:02:13,900 神か仏のいたずらか? 27 00:02:13,900 --> 00:02:19,239 高尾の薬王院に 天狗が出たっていうから えれえこった!➡ 28 00:02:19,239 --> 00:02:23,577 参詣帰りの親子の前に 立ちはだかったと思いきや➡ 29 00:02:23,577 --> 00:02:26,246 瞬く間に 子をさらっていった! 30 00:02:26,246 --> 00:02:28,915 これは 大層な騒ぎだねえ。 31 00:02:28,915 --> 00:02:31,251 ⚟(瓦版売り)ひとつき後に ひょっこり帰ってきたっていうから➡ 32 00:02:31,251 --> 00:02:33,920 ただごとじゃねえ! 33 00:02:33,920 --> 00:02:35,856 (銀八)天狗に さらわれたのは➡ 34 00:02:35,856 --> 00:02:39,593 この廣國屋の跡取り息子らしいですよ。 35 00:02:39,593 --> 00:02:43,597 まあ 事情を聞いてみるとしますかね。 (銀八)へえ。 36 00:02:45,265 --> 00:02:48,602 ここに書かれているとおりのことが 起こったのは➡ 37 00:02:48,602 --> 00:02:52,272 確かですか? (廣國屋惣次郎)はい 確かでございます。 38 00:02:52,272 --> 00:02:54,608 息子の七之助は 先月の中ごろ➡ 39 00:02:54,608 --> 00:03:00,614 母親と高尾山に参詣した帰り 天狗にさらわれたのでございます。 40 00:03:03,884 --> 00:03:06,553 お前さんが 七之助だね? 41 00:03:06,553 --> 00:03:10,424 そのときの様子を 詳しく聞かせてもらえるかい? 42 00:03:10,424 --> 00:03:16,897 (七之助)はい。 参詣の帰り バサバサと大きな音がして見上げると➡ 43 00:03:16,897 --> 00:03:21,768 そこには 真っ赤な顔をした天狗様が いらっしゃったのでございます。 44 00:03:21,768 --> 00:03:27,240 でも 後のことは よく覚えていないのです。 45 00:03:27,240 --> 00:03:31,578 思い出そうとしても 思い出せなくて。 46 00:03:31,578 --> 00:03:35,248 七之助! ほら もういいから… なっ? もういいから。 47 00:03:35,248 --> 00:03:37,184 無理に思い出そうとすると➡ 48 00:03:37,184 --> 00:03:40,587 頭が痛くなり 息が苦しくなるようでございまして➡ 49 00:03:40,587 --> 00:03:44,257 医者からは そっとしておくようにと 言われております。 50 00:03:44,257 --> 00:03:46,927 そうだったのかい…。 51 00:03:46,927 --> 00:03:52,265 それは つらいことを聞いちまったね。 52 00:03:52,265 --> 00:03:55,602 一人 戻ってきた妻は 半狂乱になってしまって➡ 53 00:03:55,602 --> 00:04:01,208 手前どもも 七之助の行方を 必死で捜させたのですが 手がかりもなく。 54 00:04:01,208 --> 00:04:06,213 そうこうするうちに ひょっこりと戻ってきたのでございます。 55 00:04:13,220 --> 00:04:18,091 お内儀にも 話を聞きたかったんですが…。 ああ… 留守にして 申し訳ございません。 56 00:04:18,091 --> 00:04:23,797 七之助が無事に帰ってきましたので 高尾山にお礼参りに行っておりまして。 57 00:04:25,565 --> 00:04:30,871 お騒がせしたおわびに これを。 58 00:04:33,240 --> 00:04:36,910 いらないよ。 気持ちだけ受け取っておきます。 59 00:04:36,910 --> 00:04:40,213 では 邪魔したね。 60 00:04:48,522 --> 00:04:53,927 受け取らないとは 何か疑っているのかもしれない。 61 00:04:53,927 --> 00:04:56,229 どうしよう? おとっつぁん! 62 00:05:03,203 --> 00:05:06,540 おっかさん! 駄目じゃないか 隠れていないと。 63 00:05:06,540 --> 00:05:09,209 (お弓)お前のことが心配で…。 64 00:05:09,209 --> 00:05:11,545 ほとぼりが冷めるまでは その姿➡ 65 00:05:11,545 --> 00:05:13,880 店の者に見られでもしたら 大変なことになる! 66 00:05:13,880 --> 00:05:16,583 さあ 早く! 蔵の奥へ! 67 00:05:22,556 --> 00:05:24,558 (惣次郎)ほら。 68 00:05:33,200 --> 00:05:36,570 (菊野)神隠しでござんすか? はい。 69 00:05:36,570 --> 00:05:40,240 廣國屋の夫婦が 子どもが出来ず悩んでいたところ➡ 70 00:05:40,240 --> 00:05:46,580 高尾山の薬王院の権現様に参詣したら 子を授かったらしいんですよ。 71 00:05:46,580 --> 00:05:49,482 それが七之助さんでしてね。 72 00:05:49,482 --> 00:05:52,919 それ以来 みつきにいっぺんの参詣を お内儀は欠かさず➡ 73 00:05:52,919 --> 00:05:54,854 神隠しにあった日も➡ 74 00:05:54,854 --> 00:05:58,792 その七之助さんを連れ立っての 参詣だったらしいんですよ。 75 00:05:58,792 --> 00:06:04,865 けれど ほんとでしょうか? 天狗にさらわれたなんて。 76 00:06:04,865 --> 00:06:07,200 それなんでがすよ! 77 00:06:07,200 --> 00:06:12,539 あっしはね 駆け落ちじゃないかと にらんでいるんですがね。 78 00:06:12,539 --> 00:06:14,875 ほら 七之助さんに➡ 79 00:06:14,875 --> 00:06:20,213 そろそろ 別の大店の箱入り娘さんとの 縁談が取り沙汰されているから➡ 80 00:06:20,213 --> 00:06:25,085 世間体をはばかって それを隠すためにかもと。 81 00:06:25,085 --> 00:06:28,889 でも 本当かもしれませんよ。 82 00:06:28,889 --> 00:06:33,560 天狗が 本当にさらったのかも。 83 00:06:33,560 --> 00:06:38,431 この事件 案外 深い話が潜んでいるような気がします。 84 00:06:38,431 --> 00:06:43,737 えっ? いつもと違い 最初からやる気でげすね。 85 00:06:46,906 --> 00:06:49,609 さっ どうぞ。 86 00:06:55,916 --> 00:07:00,520 じゃ おあとは お二人で。 あっしは ここら辺で。 87 00:07:00,520 --> 00:07:03,857 ⚟(争う声) 88 00:07:03,857 --> 00:07:05,792 おや? 89 00:07:05,792 --> 00:07:09,195 (三太)うわっ… うわっ…! 90 00:07:09,195 --> 00:07:13,066 博打に負けたのは そっちだぜ。 払うもん払えって言ってんだよ! 91 00:07:13,066 --> 00:07:16,536 金がないから 「殺せ」って言ってんだ! 92 00:07:16,536 --> 00:07:18,872 ⚟こいつ 廣國屋の手代ですぜ! 93 00:07:18,872 --> 00:07:20,807 そんなんじゃねえよ! 94 00:07:20,807 --> 00:07:22,742 お店をおん出されたんだよ! 95 00:07:22,742 --> 00:07:26,212 どこ行けってんだ! ちくしょう! 96 00:07:26,212 --> 00:07:28,548 (争う声) 97 00:07:28,548 --> 00:07:32,218 ああっ…! ⚟おら やっちまえ! 98 00:07:32,218 --> 00:07:34,888 ⚟おらっ! おらっ! 99 00:07:34,888 --> 00:07:37,791 待っておくれ。 100 00:07:37,791 --> 00:07:39,759 何だ? お前。 101 00:07:39,759 --> 00:07:42,762 その負け越したお金は 私が持つよ。 102 00:07:45,532 --> 00:07:47,534 これでいいかい? 103 00:07:52,906 --> 00:07:54,841 何だい? まだ足りないのかい? 104 00:07:54,841 --> 00:07:58,545 じゃあ これで。 105 00:08:04,851 --> 00:08:08,722 菊野さん 待っていても無駄ですよ。 106 00:08:08,722 --> 00:08:10,724 えっ? 107 00:08:10,724 --> 00:08:17,030 三国屋の若旦那 男を買い取って 医者ん所へ運んで行っちまったらしいよ。 108 00:08:22,402 --> 00:08:25,105 この私を置き去りにするなんて! 109 00:08:28,074 --> 00:08:33,213 (三太)ああ…! (銀八)しっかりしろ! 110 00:08:33,213 --> 00:08:36,516 (三太)ああ ああ…! 111 00:08:38,551 --> 00:08:41,454 ここだ。 112 00:08:41,454 --> 00:08:44,891 (門をたたく音) 先生 先生! 113 00:08:44,891 --> 00:08:46,893 (三太)うう…。 114 00:08:51,231 --> 00:08:54,934 白雲軒先生は いらっしゃいますか? はい。 115 00:08:58,104 --> 00:09:01,841 (龍山白雲軒)卯之吉さんじゃないか! 懐かしいな! 116 00:09:01,841 --> 00:09:04,744 ご無沙汰していますが あいさつは あとで。 117 00:09:04,744 --> 00:09:08,715 すぐに この人を診ていただけませんか? (三太)うう…! 118 00:09:08,715 --> 00:09:12,485 こちらは 卯之吉が かつて弟子入りしていた➡ 119 00:09:12,485 --> 00:09:15,388 蘭方医 松井春峰の門下生➡ 120 00:09:15,388 --> 00:09:19,859 兄弟子の 龍山白雲軒でございます。 121 00:09:19,859 --> 00:09:22,195 大丈夫かい? これは ひどい。 122 00:09:22,195 --> 00:09:26,199 懐かしい顔に会えたのに しょうがない。 まずは 傷を洗おう。 123 00:09:28,067 --> 00:09:30,069 うわあ~! 124 00:09:31,871 --> 00:09:35,208 ハハッ ちょうどいい。 これでおとなしくなった。 125 00:09:35,208 --> 00:09:39,078 よし 縫うぞ。 お前さんも手伝ってくれ。 126 00:09:39,078 --> 00:09:41,081 あっ はい。 127 00:09:43,550 --> 00:09:45,885 (水谷弥五郎)待てって! 待てないよ! 128 00:09:45,885 --> 00:09:50,557 私がじゃないよ。 呉服屋が待ってくれないんだ! 129 00:09:50,557 --> 00:09:52,492 豪華な衣装 用意するからって➡ 130 00:09:52,492 --> 00:09:57,230 芝居の座頭に 無理を言って 役を回してもらったんだよ? 131 00:09:57,230 --> 00:10:01,568 私の初の大舞台なのに。 ばか ばか! 132 00:10:01,568 --> 00:10:04,904 ばか ばか ばか ばか…! 133 00:10:04,904 --> 00:10:07,240 う~ん…。 うん 分かった 分かった。 134 00:10:07,240 --> 00:10:10,143 分かった。 分かったから 分かったから。 135 00:10:10,143 --> 00:10:13,146 (由利之丞の泣き声) 136 00:10:19,819 --> 00:10:23,523 命の恩人が 見舞いに来てくだすったよ。 137 00:10:25,592 --> 00:10:27,927 (せきこみ) 138 00:10:27,927 --> 00:10:32,599 けがのほうは どうですかい? このとおりです。 139 00:10:32,599 --> 00:10:35,502 本当に ありがとうございました。 140 00:10:35,502 --> 00:10:38,938 (荒海ノ三右衛門)さすが 旦那だ。 抜かりねえや。 141 00:10:38,938 --> 00:10:43,276 こうして 廣國屋の 手代を すでに手の内に入れてるとは。 142 00:10:43,276 --> 00:10:45,945 いや… 事情は さっき ほら➡ 143 00:10:45,945 --> 00:10:48,848 親分が話して 知ったばかりだと 言ってやしたが。 144 00:10:48,848 --> 00:10:50,817 ばか野郎! 145 00:10:50,817 --> 00:10:53,286 俺の顔を立てて ああ言ってくださってんのが➡ 146 00:10:53,286 --> 00:10:55,955 分かんねえのか! 147 00:10:55,955 --> 00:10:57,891 失礼いたしやした。 148 00:10:57,891 --> 00:11:00,560 この荒海 卯之吉のやることなすこと➡ 149 00:11:00,560 --> 00:11:06,432 すべていいように勘違いするのが 癖になっております。 150 00:11:06,432 --> 00:11:11,204 最近 廣國屋では 長年勤めていた奉公人たちに➡ 151 00:11:11,204 --> 00:11:13,573 暇を出しているっていうのは 本当かい? 152 00:11:13,573 --> 00:11:19,445 はい。 私はじめ 古株の手代や女中たちが➡ 153 00:11:19,445 --> 00:11:23,583 何の落ち度もないのに 辞めさせられております。 154 00:11:23,583 --> 00:11:26,920 (白雲軒)理由もなく暇を出すなんてのは どういうことだい? 155 00:11:26,920 --> 00:11:30,590 廣國屋ともあろう大店が。 (荒海)商売繁盛してんだろう? 156 00:11:30,590 --> 00:11:34,460 給金が払えねえわけじゃないよな? 157 00:11:34,460 --> 00:11:40,600 ほかに 何か変わったこととか 気づいたことは ないのかい? 158 00:11:40,600 --> 00:11:44,270 そういえば あの一件以来➡ 159 00:11:44,270 --> 00:11:47,941 七之助様の様子が 最近 以前と違っていて。 160 00:11:47,941 --> 00:11:51,277 身の回りのことは 一切 自分一人でやるとおっしゃり➡ 161 00:11:51,277 --> 00:11:54,981 誰も お部屋に 来させないようにしていたり。 162 00:12:00,086 --> 00:12:02,889 (荒海)その七之助さん➡ 163 00:12:02,889 --> 00:12:07,760 何か 隠したいことがあるんじゃないですかね。 164 00:12:07,760 --> 00:12:12,231 神隠しにあったことと つながってるんですかね。 165 00:12:12,231 --> 00:12:14,901 そうですねえ…。 166 00:12:14,901 --> 00:12:17,203 (美鈴)失礼します。 167 00:12:24,244 --> 00:12:27,580 どうぞ。 えっ? 168 00:12:27,580 --> 00:12:31,451 誰だと思ったら 鬼姫さんじゃありやせんか! 169 00:12:31,451 --> 00:12:33,920 美鈴です。 170 00:12:33,920 --> 00:12:38,591 旦那の家で お女中として 働いてなさるんですよ。 ねっ? 171 00:12:38,591 --> 00:12:43,263 はい。 八巻様に 父上をお助けいただいたお礼に➡ 172 00:12:43,263 --> 00:12:47,600 私ができることを 何かさせていただきたくて。 173 00:12:47,600 --> 00:12:50,937 けど また若侍に戻っちゃって。 174 00:12:50,937 --> 00:12:52,872 旦那のせいでげすよ。➡ 175 00:12:52,872 --> 00:12:56,175 「前の姿のがいい」って 言うもんだから。 176 00:12:58,278 --> 00:13:00,546  回想 美鈴でございます。 177 00:13:00,546 --> 00:13:06,252 私は 前の若侍姿のほうが好きですけどね。 りりしくて。 178 00:13:07,887 --> 00:13:10,590 (ため息) 179 00:13:15,228 --> 00:13:18,564 (銀八)あっ 源之丞様。 ああ…。 180 00:13:18,564 --> 00:13:22,435 近くを通りかかったものだから。 (荒海)へえ~! 181 00:13:22,435 --> 00:13:27,907 御大名の三男坊が この近くをね? 一体 何の用で? 182 00:13:27,907 --> 00:13:33,246 うるさいわ 黙ってろ。 (荒海)気に入らねえな。 183 00:13:33,246 --> 00:13:37,917 美鈴殿は 元気か? あっ… はい。 184 00:13:37,917 --> 00:13:40,820 それは何よりじゃ。 ハハハ…! 185 00:13:40,820 --> 00:13:46,125 この源之丞 美鈴に ほれているのでございます。 186 00:13:48,261 --> 00:13:50,596 それで どうしやす? 187 00:13:50,596 --> 00:13:54,934 手下を廣國屋に潜り込ませようかとも 思ってるんですが。 188 00:13:54,934 --> 00:13:57,837 そうですね。 そのお役目➡ 189 00:13:57,837 --> 00:14:00,740 私に お任せいただけませんか? 190 00:14:00,740 --> 00:14:06,546 私が 小僧に化けて探ります。 小僧? 191 00:14:06,546 --> 00:14:09,449 じゃあ 手配してくるとするか。 へえ。 192 00:14:09,449 --> 00:14:13,886 けど… 小僧とは。 193 00:14:13,886 --> 00:14:18,224 そんなに 男のほうがいいんでげすかね? 194 00:14:18,224 --> 00:14:22,228 さあ お帰り。 195 00:14:26,899 --> 00:14:30,903 八巻様。 はい。 196 00:14:39,912 --> 00:14:44,584 何かのおまじないですか? 197 00:14:44,584 --> 00:14:47,487 あっ… まあ。 198 00:14:47,487 --> 00:14:51,190 ああ そうですか。 199 00:14:56,929 --> 00:15:01,200 やはり おかしい。 200 00:15:01,200 --> 00:15:05,071 この美鈴 卯之吉が 世間で言われているような➡ 201 00:15:05,071 --> 00:15:10,376 剣の達人ではないのではないかと 思っております。 202 00:15:22,221 --> 00:15:28,528 はあ このような格好をさせられるとは…。 203 00:15:31,230 --> 00:15:37,537 新しく入った女中だね。 はい クマと申します。 204 00:15:42,241 --> 00:15:46,579 七之助坊ちゃまの神隠しの話 本当なんですか? 205 00:15:46,579 --> 00:15:50,917 天狗様の仕業だとか。 206 00:15:50,917 --> 00:15:53,820 七之助様は 天狗の申し子だからね。 207 00:15:53,820 --> 00:15:57,790 そうそう。 古参の奉公人は 「あ~ やっぱり」と話していたよ。 208 00:15:57,790 --> 00:15:59,926 なにしろ お内儀様が➡ 209 00:15:59,926 --> 00:16:03,796 神隠しにあってたときに 生まれたお子様だから。 210 00:16:03,796 --> 00:16:05,731 えっ? 211 00:16:05,731 --> 00:16:10,203 じゃあ 母親も神隠しにあっていたと? 212 00:16:10,203 --> 00:16:13,873 けど だったら 子は 一体 どこから生まれてきたんです? 213 00:16:13,873 --> 00:16:16,776 お内儀が神隠しから戻られたときには➡ 214 00:16:16,776 --> 00:16:20,746 もう その腕に 赤ん坊の七之助を抱いていたと。 215 00:16:20,746 --> 00:16:25,218 なので 当時の奉公人たちは 「もしかして 七之助様は➡ 216 00:16:25,218 --> 00:16:28,554 旦那さまとお内儀様の子では ないのではないか」と➡ 217 00:16:28,554 --> 00:16:34,427 うわさしていたらしいのです。 「天狗の子を授かってきたのでは」と。 218 00:16:34,427 --> 00:16:36,896 天狗の子? 219 00:16:36,896 --> 00:16:41,767 そういえば 言い伝えを 聞いたことがありやすよ。 220 00:16:41,767 --> 00:16:45,905 「天狗は願いをかなえてやるのと 引き換えに➡ 221 00:16:45,905 --> 00:16:52,778 自分の子を授けて育てさせる。 その子が大きくなったら さらいにくる」。 222 00:16:52,778 --> 00:16:56,549 またそんな 恐ろしいことを。 223 00:16:56,549 --> 00:17:00,419 (鳥の鳴き声) 224 00:17:00,419 --> 00:17:04,724 (銀八)高尾の御山から 天狗が飛んできたのかも! 225 00:17:10,096 --> 00:17:13,866 何者? 226 00:17:13,866 --> 00:17:18,571 恥も顧みず 頼みにまいった。 227 00:17:20,206 --> 00:17:25,511 大丈夫なのですか? へえ 知り合いのお侍さんでげす。 228 00:17:27,546 --> 00:17:33,252 では これで。 229 00:17:34,887 --> 00:17:36,822 よいのか? 230 00:17:36,822 --> 00:17:40,226 あなたには 何度も命を救われましたから。 231 00:17:40,226 --> 00:17:45,898 いや 三国屋に雇われた用心棒。 当然のことでござる。 232 00:17:45,898 --> 00:17:51,771 だが… かたじけない。 233 00:17:51,771 --> 00:17:56,542 この金は 役者を志す 旧知の仲の者の➡ 234 00:17:56,542 --> 00:17:59,245 衣装代として使わせていただく。 235 00:17:59,245 --> 00:18:04,850 だが 必ず返す。 当てはあるんですかい? 236 00:18:04,850 --> 00:18:11,524 この金を払うはずだったお内儀が 高尾山にお参りに行っておるのだ。 237 00:18:11,524 --> 00:18:15,194 戻ってきたら そのときは必ず。 238 00:18:15,194 --> 00:18:19,198 もしや そのお内儀とは…。 239 00:18:20,866 --> 00:18:26,539 (菊野)じゃあ そのお内儀さんは 高尾山に 毎月お参りに行くと言って➡ 240 00:18:26,539 --> 00:18:30,409 出合茶屋で若い男の子たちと 遊んでたんですか。 241 00:18:30,409 --> 00:18:32,411 そのようなんですよ。 242 00:18:32,411 --> 00:18:36,549 そのお侍さんの知り合いも そのお相手で。 243 00:18:36,549 --> 00:18:42,888 じゃあ 今回も高尾山には 行ってはいないのかもしれませんね。 244 00:18:42,888 --> 00:18:47,560 ですが もう半月以上も 戻ってきてないそうなんでがすよ。 245 00:18:47,560 --> 00:18:51,263 そこまで遊びますかね? 246 00:18:53,899 --> 00:18:58,571 もしかしたら…。 ええ。 247 00:18:58,571 --> 00:19:03,843 もう この世のお人では なくなっているかもしれませんね。 248 00:19:03,843 --> 00:19:33,539 ♬~ 249 00:19:33,539 --> 00:19:35,875 (丑蔵)さすが 姉御。 250 00:19:35,875 --> 00:19:41,747 女一人で生きてくために 血を吐く思いで身につけたんだ。 251 00:19:41,747 --> 00:19:43,749 こっちは 万事うまくいってるよ。 252 00:19:43,749 --> 00:19:46,519 そっちも抜かりはないんだろうね? 253 00:19:46,519 --> 00:19:51,223 (弥次郎)仲間も集まりました。 手はずは整ってますよ。 254 00:20:03,903 --> 00:20:10,776 そして 翌日 沼で 女の水死体が あがったのでございます。 255 00:20:10,776 --> 00:20:14,547 (村田)おい 検分しろ。 (尾上 玉木)えっ! 256 00:20:14,547 --> 00:20:16,849 (村田)ほら! 257 00:20:25,191 --> 00:20:30,129 (村田)年の頃は いくつだ? 傷はあるか? 258 00:20:30,129 --> 00:20:32,932 いや 分かりません…。 259 00:20:32,932 --> 00:20:36,635 死んでから かなり たってるようなんで…。 260 00:20:38,270 --> 00:20:40,206 遅くなりました! 261 00:20:40,206 --> 00:20:42,608 来やがったな この見習い!➡ 262 00:20:42,608 --> 00:20:45,945 廣國屋の調書き一つで 何日かかってんだ!➡ 263 00:20:45,945 --> 00:20:48,647 お前も手伝え! はい。 264 00:21:01,894 --> 00:21:05,564 刀傷は ありませんねえ。 265 00:21:05,564 --> 00:21:10,436 うん? これは…。 266 00:21:10,436 --> 00:21:13,439 ここの皮だけ ひどく すり切れてます。 267 00:21:13,439 --> 00:21:19,578 これは 縄で重石を 足首に 縛り付けられた痕に違いありません。 268 00:21:19,578 --> 00:21:25,284 だとすると 殺されてから沈められたのではと。 269 00:21:28,587 --> 00:21:30,523 あ~…。 270 00:21:30,523 --> 00:21:33,926 年の頃は 三十~四十ほどの女。 271 00:21:33,926 --> 00:21:37,263 上物の珍しい柄の着物を着ていた。➡ 272 00:21:37,263 --> 00:21:41,934 呉服屋を片っ端から当たれ! (同心たち)はい! 273 00:21:41,934 --> 00:21:48,641 いや~ これは うちでは…。 (玉木)役に立たねえな。 274 00:21:51,610 --> 00:21:54,280 これでしたら 因幡町の醤油屋➡ 275 00:21:54,280 --> 00:21:56,949 廣國屋さんのお内儀さんが お買い上げのものです。 276 00:21:56,949 --> 00:21:58,884 えっ? 277 00:21:58,884 --> 00:22:04,190 あれ~? 三国屋の…。 人違いです。 278 00:22:10,229 --> 00:22:16,569 そして その翌日 卯之吉は廣國屋から➡ 279 00:22:16,569 --> 00:22:21,273 豪華な もてなしを 受けることになりました。 280 00:22:22,908 --> 00:22:25,611 いいお味だねえ。 281 00:22:28,781 --> 00:22:33,919 いい料理を出しますね。 今まで知らなくて損をした。 282 00:22:33,919 --> 00:22:37,590 で このたびのことですが。 あっ はい。 283 00:22:37,590 --> 00:22:41,460 日本橋の その呉服屋は 妻がひいきにしております。 284 00:22:41,460 --> 00:22:46,932 ですが その亡くなられた方が 妻であるはずはないと…。 285 00:22:46,932 --> 00:22:48,868 違うというんですね? 286 00:22:48,868 --> 00:22:51,804 お疑いだと思いまして 今日は 呼んでございます。 287 00:22:51,804 --> 00:22:57,276 昨日 参詣より戻ってまいりました。 お入り! 288 00:22:57,276 --> 00:23:00,279 ⚟失礼します。 289 00:23:04,883 --> 00:23:09,555 手前の家内のトキにございます。 290 00:23:09,555 --> 00:23:13,892 なるほど 七之助さんに そっくりだね。 291 00:23:13,892 --> 00:23:19,231 確かに お内儀さんなんだね? はい。 292 00:23:19,231 --> 00:23:22,134 (金右衛門) おトキは 廣國屋の大叔父でございます➡ 293 00:23:22,134 --> 00:23:25,104 この金右衛門の姪でございます。 294 00:23:25,104 --> 00:23:28,107 間違いございません。 295 00:23:33,245 --> 00:23:36,248 こういうものは いらないよ。 296 00:23:38,918 --> 00:23:43,222 これで 得心がいきました。 では。 297 00:23:45,591 --> 00:23:49,461 やはり 受け取りませんでしたね。 298 00:23:49,461 --> 00:23:53,932 ただの菓子だと思ったのかも…。 299 00:23:53,932 --> 00:23:56,635 ⚟失礼いたします。 300 00:23:59,605 --> 00:24:03,876 先ほどのお連れ様が 代金を すべてお支払いに…。 301 00:24:03,876 --> 00:24:05,811 えっ? 302 00:24:05,811 --> 00:24:07,746 そのうえ おいしかったからと➡ 303 00:24:07,746 --> 00:24:12,551 店のものに こんなに祝儀までくださって…。 304 00:24:12,551 --> 00:24:14,486 ただ者じゃない! 305 00:24:14,486 --> 00:24:19,224 そういえば ご老中の本多様と 知り合いの同心がいるとか…。➡ 306 00:24:19,224 --> 00:24:23,228 これからどうするか よくよく考えないと…。 307 00:24:31,236 --> 00:24:33,539 よ~く見ねえ。 308 00:24:40,245 --> 00:24:44,583 あの人は 廣國屋のお内儀の トキ様ではありません。 309 00:24:44,583 --> 00:24:51,924 やはりな。 すり替えてやがった。 310 00:24:51,924 --> 00:24:58,230 だから お前たち古手の奉公人が 邪魔だったんだろうよ。 311 00:25:04,870 --> 00:25:07,573 今日は どうしたんだい? 312 00:25:09,208 --> 00:25:14,079 ちょっと 子どものころのことを思い出しまして。 313 00:25:14,079 --> 00:25:17,549 おじい様にお聞きしようかと。 314 00:25:17,549 --> 00:25:22,221 ほう どんなことかな? 315 00:25:22,221 --> 00:25:27,559 小さいころ 私は神隠しにあったと。 316 00:25:27,559 --> 00:25:31,897 もう 何も覚えてませんが。 317 00:25:31,897 --> 00:25:36,235 あれは 天狗の仕業だったのか➡ 318 00:25:36,235 --> 00:25:40,105 それとも…。 さあ。 319 00:25:40,105 --> 00:25:47,112 私にも分からないことだ。 そういうことは 忘れるに限る。 320 00:25:49,782 --> 00:25:53,786 そうですね。 う~ん…。 321 00:26:09,134 --> 00:26:11,870 おっかさん 何の用だい? 322 00:26:11,870 --> 00:26:14,540 はっ…! 323 00:26:14,540 --> 00:26:18,210 七之助 逃げるんだよ。 えっ? 324 00:26:18,210 --> 00:26:23,082 このままじゃ あの同心に捕まっちまう。 (荒海)いよいよ 今夜だな。 325 00:26:23,082 --> 00:26:27,553 それで お前が引き込み役ってわけか。 326 00:26:27,553 --> 00:26:29,488 引き込みって? 327 00:26:29,488 --> 00:26:35,227 大店に潜り込んで 中から盗人を手引きする悪党のことです。 328 00:26:35,227 --> 00:26:39,098 おっかさん まさか 廣國屋を…。 329 00:26:39,098 --> 00:26:42,801 金がいるんだよ。 お前と一緒に逃げる! 330 00:26:46,572 --> 00:26:51,243 お前 そんなことをたくらんで…。 331 00:26:51,243 --> 00:26:53,946 もう お芝居も幕引きです。 332 00:26:55,914 --> 00:27:01,620 お内儀のおトキさんではありませんね。 お弓さん。 333 00:27:05,724 --> 00:27:10,195 16年前の おトキさんの神隠し騒動は➡ 334 00:27:10,195 --> 00:27:16,535 七之助の本当の母親を隠すための 狂言だったんですね。 335 00:27:16,535 --> 00:27:20,205 はい。 ここにいる七之助は➡ 336 00:27:20,205 --> 00:27:25,878 私と女中として働いていた お弓との間に出来た子。 337 00:27:25,878 --> 00:27:30,549 おトキが産んだと見せかけるために 世間から隠したのです。 338 00:27:30,549 --> 00:27:33,452 どうして そんな面倒なことを? 339 00:27:33,452 --> 00:27:37,422 おトキは 跡取り娘。 手前は 入り婿でございます。 340 00:27:37,422 --> 00:27:43,562 入り婿の子を跡継ぎに据えたのでは 廣國屋の親戚筋が 黙ってはおりません。 341 00:27:43,562 --> 00:27:45,898 真相を知っているのは➡ 342 00:27:45,898 --> 00:27:50,569 料理屋にいた 大叔父の金右衛門一人でございます。 343 00:27:50,569 --> 00:27:57,242 その狂言で みんなが納得したのなら いたしかたありませんね。 344 00:27:57,242 --> 00:28:02,080 あたしは 納得なんかしちゃいなかったよ。➡ 345 00:28:02,080 --> 00:28:09,521 産んだばかりの子と引き離される 母親のつらさが分かるかい?➡ 346 00:28:09,521 --> 00:28:13,392 産んだあとは用がないとでも言うように 暇を出され➡ 347 00:28:13,392 --> 00:28:18,197 旅籠で飯盛女をやったりして 生きてきたんだ。 348 00:28:18,197 --> 00:28:24,069 そのうち 悪い仲間がついて 錠前破りの腕を磨き上げたというわけか。 349 00:28:24,069 --> 00:28:27,206 行きつくところがそこだったんだよ。 悪いかい? 350 00:28:27,206 --> 00:28:32,077 開き直りやがったな! (お弓)ああ それがどうした! 351 00:28:32,077 --> 00:28:40,752 でも… それでも お前が幸せなら辛抱もできた。 352 00:28:40,752 --> 00:28:44,223 なのに あの女…。 353 00:28:44,223 --> 00:28:50,896 おトキさんと七之助の間に 何があったんだい? 354 00:28:50,896 --> 00:28:52,831 お許しください! 355 00:28:52,831 --> 00:28:57,135 おっかさんは あたしが手にかけました! 356 00:29:01,840 --> 00:29:04,743 七之助が おトキを殺したんじゃありません! 357 00:29:04,743 --> 00:29:08,180 おトキが七之助を殺そうと 謀ったんでございます! 358 00:29:08,180 --> 00:29:10,515 廣國屋を追い出されてから➡ 359 00:29:10,515 --> 00:29:13,418 一日も恨みを忘れたことはなかった。 360 00:29:13,418 --> 00:29:21,159 けど 息子の七之助のことだけは いつも気になって。 361 00:29:21,159 --> 00:29:26,865 ところが おトキは その七之助を殺そうと…。 362 00:29:30,202 --> 00:29:35,073  回想 (お弓)参詣と称して おトキが 何をしていたかは知っていました。 363 00:29:35,073 --> 00:29:39,211 なのに あの日に限って 七之助を誘うなんて➡ 364 00:29:39,211 --> 00:29:42,214 おかしいと思ったんですよ。 365 00:29:46,551 --> 00:29:49,855 (おトキ)わ~! 366 00:29:52,224 --> 00:29:56,094 悪いけどね… 死んどくれ! 367 00:29:56,094 --> 00:30:01,099 うわっ… うわ~! 368 00:30:06,772 --> 00:30:10,475 おっかさん? おっかさん? 369 00:30:14,913 --> 00:30:19,584  回想 (お弓)子が産めぬからと 七之助を奪っておきながら➡ 370 00:30:19,584 --> 00:30:22,921 七之助が店を継ごうという年になって➡ 371 00:30:22,921 --> 00:30:29,227 自分の実の子ではないからと 目の敵にして殺そうとするなんて! 372 00:30:30,796 --> 00:30:35,934 それは 本当かい? はい 本当でございます。 373 00:30:35,934 --> 00:30:39,271 妹のせがれを跡継ぎに立てるなどと 言い出して➡ 374 00:30:39,271 --> 00:30:42,174 難儀させられておりました。 375 00:30:42,174 --> 00:30:47,179 それで そのあと どうしたい? 376 00:30:49,281 --> 00:30:53,952 沼に沈めたんです。 377 00:30:53,952 --> 00:30:59,624 (惣次郎)そこからは 私がお話しします。 378 00:30:59,624 --> 00:31:01,893 事情をお弓から聞き➡ 379 00:31:01,893 --> 00:31:06,565 おトキがいなくなったことを隠すために 高尾山に参詣に行ったことにし➡ 380 00:31:06,565 --> 00:31:09,468 お弓に代役を頼んだのです。 381 00:31:09,468 --> 00:31:15,574 これで しばらくは 世間の目をごまかせると。 382 00:31:15,574 --> 00:31:20,245 それじゃあ 七之助さんの神隠しは何だったんで? 383 00:31:20,245 --> 00:31:25,917 あのあと 七之助も気鬱になってしまい…。 384 00:31:25,917 --> 00:31:31,790 当然です。 しかたなくとはいえ 母親を手にかけたのですから。➡ 385 00:31:31,790 --> 00:31:38,497 それで ことが落ち着くまではと 身を潜めさせていたのです。 386 00:31:38,497 --> 00:31:43,468 そしたら 神隠しだと うわさを立てられてしまい…。➡ 387 00:31:43,468 --> 00:31:49,775 それに お弓が 実の母親だとも 打ち明けねばなりませんでした。 388 00:31:55,614 --> 00:32:01,620 七之助…。 おっかさん? 389 00:32:03,421 --> 00:32:09,561 (七之助)すぐ分かりました。 本当のおっかさんだって。 390 00:32:09,561 --> 00:32:15,434 おかしいと思ってたんです。 あのおっかさんは➡ 391 00:32:15,434 --> 00:32:19,905 私が病気をしても 看病をしてくれたこともない。 392 00:32:19,905 --> 00:32:22,808 子どものころから ずっと さみしくて➡ 393 00:32:22,808 --> 00:32:27,779 心のどこかで きっと本当のおっかさんは どっかにいるはずだと➡ 394 00:32:27,779 --> 00:32:30,482 そう思ってたんです。 395 00:32:36,455 --> 00:32:41,927 七之助…。 おっかさん…。 396 00:32:41,927 --> 00:32:49,801 (お弓のすすり泣く声) 397 00:32:49,801 --> 00:33:20,765 ♬~ 398 00:33:20,765 --> 00:33:22,901 ⚟(足音) 399 00:33:22,901 --> 00:33:25,237 来なすった。 400 00:33:25,237 --> 00:33:28,907 鍵は 開けたままにしておいたんでさ。 401 00:33:28,907 --> 00:33:32,210 八巻の旦那の手柄にしようとね! 402 00:33:43,922 --> 00:33:50,262 おめえたち 一人残らず とっ捕まえろ! (子分たち)へえ! 403 00:33:50,262 --> 00:34:04,209 ♬~ 404 00:34:04,209 --> 00:34:08,513 (七之助)おっかさん 怖いよ…。 (お弓)大丈夫だよ。 405 00:34:19,758 --> 00:34:22,227 ちょっと… 旦那! 406 00:34:22,227 --> 00:34:25,564 ⚟覚悟しやがれ! 407 00:34:25,564 --> 00:34:27,899 うっ! 408 00:34:27,899 --> 00:34:43,915 ♬~ 409 00:34:43,915 --> 00:34:47,619 旦那… 旦那! 410 00:34:49,588 --> 00:34:51,590 うっ…! 411 00:34:54,259 --> 00:34:58,563 旦那 こっちは 終わりやしたぜ! 412 00:35:01,533 --> 00:35:08,873 さすが 八巻の旦那! こんな こそ泥はあっという間でしたね! 413 00:35:08,873 --> 00:35:12,544 ハハハハハ…! 414 00:35:12,544 --> 00:35:17,549 旦那… 起きてくださいよ 旦那! ほら! 415 00:35:20,885 --> 00:35:26,891 どうなった? いつものように 無事 片づいております。 416 00:35:37,235 --> 00:35:40,138 美鈴様 あの…。 417 00:35:40,138 --> 00:35:47,579 分かっております。 卯之吉様は 剣豪などではありません。 418 00:35:47,579 --> 00:35:50,582 私が守って差し上げねば。 419 00:35:56,254 --> 00:35:59,958 今回も お見事! 420 00:36:02,527 --> 00:36:09,200 剣客同心 八巻卯之吉 ここにありでございます~! 421 00:36:09,200 --> 00:36:15,540 よっ 日本一! (子分たち)日本一! 422 00:36:15,540 --> 00:36:19,411 (銀八)日本一でございますよ! (2人)ハハハハ…! 423 00:36:19,411 --> 00:36:21,713 (銀八)日本一でございますよ! 424 00:36:56,915 --> 00:37:01,186 じゃあ 実のおっかさんのお弓さんが➡ 425 00:37:01,186 --> 00:37:06,524 一切 自分がしたことだと お白洲で白状を? 426 00:37:06,524 --> 00:37:10,395 ええ そのようです。 427 00:37:10,395 --> 00:37:14,866 引き込み役として邪魔だったから➡ 428 00:37:14,866 --> 00:37:18,736 あたしがお内儀のトキを殺したんですよ。 429 00:37:18,736 --> 00:37:22,040 獄門は免れないと。 430 00:37:24,209 --> 00:37:30,515 自分の命と引き換えにしてまでも 我が子を守ったんですね。 431 00:37:32,550 --> 00:37:39,257 母親とは そういうものかもしれませんね。 432 00:37:41,559 --> 00:37:44,562 それで 七之助さんは? 433 00:37:46,231 --> 00:37:50,902 ⚟(七之助)開けとくれ 開けとくれ! 開けとくれ! 434 00:37:50,902 --> 00:37:55,240 開けとくれ 開けとくれ…! 435 00:37:55,240 --> 00:38:01,546 本当のことを話しに行くと言って 聞かないんだそうです。 436 00:38:06,851 --> 00:38:12,524 しばらくは 蔵から出ることは できないでしょうねえ。 437 00:38:12,524 --> 00:38:16,194 また神隠しのうわさが 立ってしまいますね。 438 00:38:16,194 --> 00:38:20,865 けれど 実のおっかさんと会えた。 439 00:38:20,865 --> 00:38:24,169 それだけが救いです。 440 00:38:25,737 --> 00:38:32,043 卯之さんは 天狗の話 信じてたんですか? 441 00:38:34,212 --> 00:38:40,885 まだ 天狗にさらわれたほうがよかった。 442 00:38:40,885 --> 00:38:42,887 えっ? 443 00:38:47,759 --> 00:38:56,467 私はね 捨てられたんですよ 幼いころ。 444 00:39:01,506 --> 00:39:04,209 卯之さん…。 445 00:39:21,826 --> 00:39:24,729 あの子が そんなことを…。 446 00:39:24,729 --> 00:39:32,036 一体 昔 何があったんです? 卯之さんのご両親は 今どこに? 447 00:39:37,208 --> 00:39:41,512 私からは言えない。 448 00:39:44,082 --> 00:39:53,791 それが 卯之さんの心に ぽっかり空いた 大きな穴の大本なんですね。 449 00:40:07,572 --> 00:40:15,914 ⚟♬~(三味線) 450 00:40:15,914 --> 00:40:18,216 おっかさん…。 451 00:40:22,787 --> 00:40:25,490 おっかさん…。 452 00:40:27,258 --> 00:41:08,966 ♬~(三味線) 453 00:41:38,863 --> 00:41:55,613 ♬~ 454 00:41:55,613 --> 00:41:58,950 わざわざ もらうほどのことはないよ。 455 00:41:58,950 --> 00:42:29,580 ♬~ 456 00:42:29,580 --> 00:42:33,451 ♬~ 457 00:42:33,451 --> 00:42:54,739 ♬~