1 00:00:33,195 --> 00:00:35,130 ≪(争う声) 2 00:00:35,130 --> 00:00:37,130 ≪くせ者! 3 00:00:42,604 --> 00:00:46,475 (美鈴)父上! (溝口左門)美鈴! 4 00:00:46,475 --> 00:00:48,477 この者たちは…。 でやっ! 5 00:00:48,477 --> 00:00:51,177 くっ…! 6 00:00:56,151 --> 00:00:59,154 逃すな! はい! 7 00:00:59,154 --> 00:01:08,296 ♬~ 8 00:01:08,296 --> 00:01:11,296 ≪退け! 退け 退け! 9 00:01:14,169 --> 00:01:16,171 父上! 10 00:01:16,171 --> 00:01:19,871 わしに構うな! あれを盗まれてはならん! 追え! 11 00:01:24,312 --> 00:01:29,651 ≪随分と燃えてやがるぜ! ≪こりゃ すげえや! 12 00:01:29,651 --> 00:01:34,951 「火事と喧嘩は江戸の華」とは よく言ったものでございます。 13 00:01:38,927 --> 00:01:43,265 ≪村田さん! こんなに燃えてちゃ 俺たちには どうしようもないですよ! 14 00:01:43,265 --> 00:01:45,600 (村田銕三郎)どけ こら…! 15 00:01:45,600 --> 00:01:48,270 (尾上伸平)あいつ どこだ? ついてきてたんじゃないのか? 16 00:01:48,270 --> 00:01:52,140 (玉木弥之助)また どこかで へばってんじゃないですか? 17 00:01:52,140 --> 00:01:54,943 (銀八)旦那! もう少しでがすよ! 18 00:01:54,943 --> 00:01:59,281 こちらが 同心見習いとなった卯之吉でございます。 19 00:01:59,281 --> 00:02:02,184 …といいましても すべては金の力。 20 00:02:02,184 --> 00:02:06,955 実は豪商 三国屋の若旦那! 21 00:02:06,955 --> 00:02:09,624 やっぱり 私には駕籠がいるよ…。 22 00:02:09,624 --> 00:02:12,961 こんな所で立ち止まったら➡ 23 00:02:12,961 --> 00:02:15,297 出ますよ…。 24 00:02:15,297 --> 00:02:22,170 ≪(風の音) 25 00:02:22,170 --> 00:02:24,170 うわ~! 26 00:02:25,941 --> 00:02:29,644 この卯之吉 剣は使えず 走れず。 27 00:02:29,644 --> 00:02:35,450 そして この年になっても まだ お化けが恐ろしいのでございます。 28 00:02:35,450 --> 00:02:41,150 大丈夫ですか? もう…。 しっかりしてくださいよ。 29 00:02:44,159 --> 00:02:48,597 娘さん あんたも よっぽど火事が好きなんだね。 30 00:02:48,597 --> 00:02:52,897 そんな格好でやって来るなんて…。 はあ…? 31 00:02:55,470 --> 00:03:01,610 まあ よく燃えてるからねえ…。 32 00:03:01,610 --> 00:03:03,610 嫌なやつ…。 33 00:03:05,480 --> 00:03:12,254 (梅本源之丞)火消しが来るぞ! やじ馬! 道を空けろ! 34 00:03:12,254 --> 00:03:17,959 見るからに 肝の据わった豪快な男でございます。 35 00:03:17,959 --> 00:03:20,629 何やつだ? 下がれ! 36 00:03:20,629 --> 00:03:24,499 火元は 俺の かつての師匠の家。 どけ! 37 00:03:24,499 --> 00:03:26,968 何…? 38 00:03:26,968 --> 00:03:29,871 (小声で)まずいですよ… やつは 梅本家の三男坊…。 39 00:03:29,871 --> 00:03:32,171 (玉木)大名の…? 40 00:03:34,576 --> 00:03:42,450 俺は「南の猟犬」 うぅ…! 村田だ! 41 00:03:42,450 --> 00:03:45,921 じゃ 俺と勝負するか? 42 00:03:45,921 --> 00:03:48,256 ≪(ざわめき) 43 00:03:48,256 --> 00:03:50,956 源さんじゃないかえ? 44 00:03:53,595 --> 00:03:58,466 おめえ… 卯之さんかい? 45 00:03:58,466 --> 00:04:00,468 何でえ! そのなりはよ! 46 00:04:00,468 --> 00:04:02,938 同心だよ。 見たら分かるだろ? 47 00:04:02,938 --> 00:04:06,608 同心? うん。 48 00:04:06,608 --> 00:04:09,945 アハハハハ…! 49 00:04:09,945 --> 00:04:12,847 何で 八巻が大名の息子と…。 50 00:04:12,847 --> 00:04:15,283 あんなに仲が良さそうに…。 51 00:04:15,283 --> 00:04:18,620 似合うか? よく似合ってるよ! 52 00:04:18,620 --> 00:04:23,959 この2人 10代のころからの放蕩仲間でございます。 53 00:04:23,959 --> 00:04:28,830 こいつらは 卯之さんの仲間ってわけか? ああ。 54 00:04:28,830 --> 00:04:32,530 よし… 分かった! 55 00:04:35,236 --> 00:04:41,109 先を譲ろう。 ほら 行け。 56 00:04:41,109 --> 00:04:44,809 せっかく こう言ってくれてるんですし さあ…。 57 00:04:47,248 --> 00:04:51,119 あとは お前がやれ。 えっ? 58 00:04:51,119 --> 00:04:54,589 俺は 帰る。 59 00:04:54,589 --> 00:04:58,259 (玉木)じゃ 俺も。 60 00:04:58,259 --> 00:05:01,930 (尾上)あとは 任せた。 ああっ そんな…! 61 00:05:01,930 --> 00:05:07,802 けど 同心になるなんて こんな面白い余興はねえよ。 62 00:05:07,802 --> 00:05:11,606 さすが 卯之さんだ。 源さん ひと事だと思って…。 63 00:05:11,606 --> 00:05:15,276 まだ 見習いなんだよ? どうすりゃいいのか…。 64 00:05:15,276 --> 00:05:20,148 弱ったな…。 心配するな。 65 00:05:20,148 --> 00:05:25,620 この俺がいる! ハハハハハ…! 66 00:05:25,620 --> 00:05:32,320 ♬~ 67 00:05:46,241 --> 00:05:48,910 南町の八巻…。 68 00:05:48,910 --> 00:05:53,581 あの辻斬りを返り討ちにした すご腕の剣士ではないか。 69 00:05:53,581 --> 00:05:57,919 いくら 腕が良くとも 人の気持ちが分からぬようでは➡ 70 00:05:57,919 --> 00:06:02,590 真に強い男とは言えぬ。 71 00:06:02,590 --> 00:06:07,929 当家の不始末でお騒がせをいたし 面目次第もございません。 72 00:06:07,929 --> 00:06:12,267 幸い 大ごとにはならず お叱りで済むとは思いますが➡ 73 00:06:12,267 --> 00:06:14,936 まずは事情をお聞かせいただきたい。 74 00:06:14,936 --> 00:06:19,274 一人稽古をしておりましたら 過って燭台を倒し➡ 75 00:06:19,274 --> 00:06:23,611 その火が障子に燃え移り かくのごとき有様となり申した。 76 00:06:23,611 --> 00:06:29,484 先生 それは嘘でしょう。 この道場のことは 私もよく知っている。 77 00:06:29,484 --> 00:06:35,223 この太くて頑丈な柱や梁に そうやすやすと火が燃え移るはずがない。 78 00:06:35,223 --> 00:06:40,523 油をまかれ 火をつけられたのではないんですかい? 79 00:06:43,098 --> 00:06:45,798 ≪失礼します。 80 00:06:48,570 --> 00:06:52,870 (源之丞)おお 美鈴殿 久しぶりだな。 81 00:06:54,442 --> 00:06:58,142 まだ 剣術 続けていたのか? 82 00:07:00,181 --> 00:07:04,119 当たり前です。 私が この道場を継ぐのですから。 83 00:07:04,119 --> 00:07:06,588 さすが 鬼姫…。 84 00:07:06,588 --> 00:07:09,924 「鬼姫」? こいつの あだ名だよ。➡ 85 00:07:09,924 --> 00:07:13,595 自分に勝った男のもとにしか 嫁には行かぬと。 86 00:07:13,595 --> 00:07:18,933 でも まだ ここにいるってことは お前に勝つ者は現れてないってことだな。 87 00:07:18,933 --> 00:07:24,272 はい。 近頃の男は かよわすぎて 話にもなりませぬ。 88 00:07:24,272 --> 00:07:27,175 (源之丞)ハハハハ…! 89 00:07:27,175 --> 00:07:30,945 男手一つで育てた娘にございます。 90 00:07:30,945 --> 00:07:35,550 剣を学ばせたことで 女としての幸せを奪ってしまいました。 91 00:07:35,550 --> 00:07:39,220 私は 剣の腕を磨くのが生きがいなのです。 92 00:07:39,220 --> 00:07:44,920 相変わらず勇ましいのう。 やはり 女を捨てた剣士は違うな。 93 00:07:47,896 --> 00:07:50,596 ≪(荒海ノ三右衛門)失礼いたしやす。 94 00:07:53,568 --> 00:07:57,238 (荒海)子分どもに 近所を聞いて回らせたところ 昨晩➡ 95 00:07:57,238 --> 00:08:02,110 この道場から火の手が上がる前に 逃げてった連中がいたそうでごぜえやす。 96 00:08:02,110 --> 00:08:04,913 押し込み強盗でしょうかね? 97 00:08:04,913 --> 00:08:09,584 ヤットウの先生の家に 物取りに入る間抜けもいねえでしょう。 98 00:08:09,584 --> 00:08:15,256 どうしても欲しいものを 盗みに来たってんなら別ですがね。 99 00:08:15,256 --> 00:08:19,956 ここは 単刀直入に聞いてみることにします。 100 00:08:22,130 --> 00:08:24,430 面倒だしね…。 101 00:08:26,868 --> 00:08:34,209 お調べも早そうだ…! さすが 八巻の旦那だね~! 102 00:08:34,209 --> 00:08:37,111 こちらは 荒海の大親分。 103 00:08:37,111 --> 00:08:39,881 大いなる勘違いのせいで➡ 104 00:08:39,881 --> 00:08:44,181 卯之吉に ほれ込んで 子分として働いております。 105 00:08:52,227 --> 00:08:56,927 ゆうべの… 鬼姫さんだったんだね。 106 00:09:11,579 --> 00:09:16,451 さて ここからは 正直にお話しください。 107 00:09:16,451 --> 00:09:19,751 一体 何を盗まれたんですかい? 108 00:09:24,592 --> 00:09:27,892 豊後行平ですか? 109 00:09:39,874 --> 00:09:44,545 (源之丞)先生は浪人になる前は さる大藩の重臣で➡ 110 00:09:44,545 --> 00:09:48,883 先祖伝来の行平を守ってこられたのだ。 111 00:09:48,883 --> 00:09:51,786 あれが盗まれたとは…。 112 00:09:51,786 --> 00:09:54,555 (菊野)ほんに お上手に。 113 00:09:54,555 --> 00:09:58,226 弟子入りしていた蘭方の先生の所で 覚えたんでがすよ。 114 00:09:58,226 --> 00:10:03,898 まっ そのとき縫っていたのは けが人の傷口ですがね。 115 00:10:03,898 --> 00:10:11,572 さあ これでいいですよ。 ありがと。 116 00:10:11,572 --> 00:10:14,475 卯之さんに こ~んなことしてもらうなんて! 117 00:10:14,475 --> 00:10:17,912 おやすいことさ。 できれば 毎日➡ 118 00:10:17,912 --> 00:10:20,815 菊野ねえさんの着物を縫って 暮らしたいくらいだよ。 119 00:10:20,815 --> 00:10:25,253 さすが 一流の遊び人! おっしゃりようが違いますね。 120 00:10:25,253 --> 00:10:27,588 ハハハハ…。 121 00:10:27,588 --> 00:10:32,260 何か… お似合いでがすよ。 122 00:10:32,260 --> 00:10:35,930 えっ? 嫌ですよ! 123 00:10:35,930 --> 00:10:39,600 私にとって卯之さんは かわいい弟みたいなもの。 124 00:10:39,600 --> 00:10:43,471 ねっ? はい。 125 00:10:43,471 --> 00:10:47,475 でも 話には続きがありましたね。 126 00:10:47,475 --> 00:10:51,612 そちらも やっかいですねえ…。 何か? 127 00:10:51,612 --> 00:10:55,283 近く さる大名のお屋敷で 御前試合が開かれ➡ 128 00:10:55,283 --> 00:10:58,186 勝ったほうが指南役として 召し抱えられるんだそうだ。 129 00:10:58,186 --> 00:11:00,154 それで 先生が勝ったときには➡ 130 00:11:00,154 --> 00:11:04,292 その行平を 殿様に披露することになってるらしい。 131 00:11:04,292 --> 00:11:06,627 じゃあ すぐに取り戻さないと。 132 00:11:06,627 --> 00:11:12,300 けれど 誰に盗まれたかも まだ分かっていないのに すぐには…。 133 00:11:12,300 --> 00:11:18,973 なので 別の行平を 何とかして手に入れないと。 134 00:11:18,973 --> 00:11:23,644 俺に貸せって言われても 田舎大名の家に そんな名刀があるはずがねえ! 135 00:11:23,644 --> 00:11:28,516 しょげ返ってらっしゃったそうですよ。 見てるのも かわいそうなくらいだった。 136 00:11:28,516 --> 00:11:30,985 そりゃそうでございましょう。 137 00:11:30,985 --> 00:11:35,823 盗まれたことを正直に話せば 「士道不覚悟」と笑い者に。 138 00:11:35,823 --> 00:11:41,929 それを隠せば「何ゆえ 行平を 持参いたさぬ」と責められ ついには➡ 139 00:11:41,929 --> 00:11:46,801 「行平を持っていると申したは大嘘か」と 罵られます。 140 00:11:46,801 --> 00:11:50,938 芸者の私にも分かること。 141 00:11:50,938 --> 00:11:55,276 だったら 買い求めればいいんじゃないのかい? 142 00:11:55,276 --> 00:11:59,147 それで済む話だよ。 おいおい 卯之さんよ…。 143 00:11:59,147 --> 00:12:04,619 そういう刀は 将軍様でも おいそれと手に入る代物じゃねえんだよ。 144 00:12:04,619 --> 00:12:09,957 そうでげすよ! お刀ひとふりが 一万両といわれてるんです。 145 00:12:09,957 --> 00:12:12,627 それぐらい 値の張る代物なんでございますよ。 146 00:12:12,627 --> 00:12:15,530 そんなにするのかい? ったく…。 147 00:12:15,530 --> 00:12:17,498 そいつは弱りましたね。 148 00:12:17,498 --> 00:12:21,302 三国屋さんなら 持ってるんじゃないかしら。 149 00:12:21,302 --> 00:12:25,640 卯之さん 大旦那に聞いてみたらどうです? 150 00:12:25,640 --> 00:12:27,575 私が? 151 00:12:27,575 --> 00:12:30,511 せっかく 同心のお役に就かれたんですから➡ 152 00:12:30,511 --> 00:12:34,811 ここは一つ 頑張らないと。 153 00:12:44,926 --> 00:12:49,263 これは 若旦那! お帰りなさいまし! お帰りなさいまし! 154 00:12:49,263 --> 00:12:51,599 商いのご修業は いかがでございますか? 155 00:12:51,599 --> 00:12:55,299 うまくいってるよ。 みんなも ご苦労だね。 156 00:12:58,473 --> 00:13:01,275 (三国屋徳右衛門)これですよ。 157 00:13:01,275 --> 00:13:05,975 とある御大名の借金の形として 預かっておる。 158 00:13:10,284 --> 00:13:14,155 こんなものが一万両ねえ…。 ハハハ…。 159 00:13:14,155 --> 00:13:18,960 これ 貸していただけませんか? 用が終われば すぐにお返ししますので。 160 00:13:18,960 --> 00:13:23,297 ああ いいよ。 …と言いたいところだが➡ 161 00:13:23,297 --> 00:13:26,200 こればっかりはできない相談だ。➡ 162 00:13:26,200 --> 00:13:32,573 いかに かわいい孫の頼みだとはいえ 大事なお預かりものを➡ 163 00:13:32,573 --> 00:13:37,245 あっさりと貸すわけにはいかないよ。 164 00:13:37,245 --> 00:13:40,915 それでは… しかたありません。 165 00:13:40,915 --> 00:13:42,850 分かりました。 166 00:13:42,850 --> 00:13:45,586 えっ? そ… それでいいのかい? 167 00:13:45,586 --> 00:13:48,489 借りにきたんじゃないのかい? そうですが➡ 168 00:13:48,489 --> 00:13:50,458 でも 貸してくださらないなら しょうがないと…。 169 00:13:50,458 --> 00:13:53,928 いや… いや そしたら おめえ➡ 170 00:13:53,928 --> 00:13:59,267 もう一度ぐらい 「頼みます!」と 食い下がってもいいんじゃないかい? 171 00:13:59,267 --> 00:14:01,202 そうですかい? 172 00:14:01,202 --> 00:14:04,939 では おじい様 ぜひ 貸していただけませんか? 173 00:14:04,939 --> 00:14:07,275 お願いします。 174 00:14:07,275 --> 00:14:14,148 う~ん…! よく言った 卯之吉! 175 00:14:14,148 --> 00:14:18,286 よくぞ 食い下がった! 176 00:14:18,286 --> 00:14:22,957 お前が わしに そこまで言ってくるとは こんな うれしいことはない! 177 00:14:22,957 --> 00:14:26,627 いや めでたい! さあさあ さあさあ…。 178 00:14:26,627 --> 00:14:30,298 この刀 持ってってもいいよ。 179 00:14:30,298 --> 00:14:34,168 置いてったのはね たかだか四万石の木っ端大名。 180 00:14:34,168 --> 00:14:38,906 利息も積もり積もって 到底 返済できるはずもない。 181 00:14:38,906 --> 00:14:45,780 いかようにも その大名 焼くなり食うなり➡ 182 00:14:45,780 --> 00:14:51,252 好きにできるんだからねえ! ハハハハ…!➡ 183 00:14:51,252 --> 00:14:57,925 ハハハハ…! ハハハハ…! 184 00:14:57,925 --> 00:15:02,797 刀を悪党に奪われたのは 一生の不覚。 185 00:15:02,797 --> 00:15:10,938 そのことが知られ 面目を失うより 死を選ぶのは侍として当然のこと。 186 00:15:10,938 --> 00:15:13,608 父上…。 187 00:15:13,608 --> 00:15:22,617 心残りは 我が流派を後世に伝えることが できなんだこと。 188 00:15:22,617 --> 00:15:28,289 お前が男であったならと これまで何度も思うたが➡ 189 00:15:28,289 --> 00:15:31,892 今日ほど身にしみたことはなかった。 190 00:15:31,892 --> 00:15:40,192 私こそ 男として生まれてこずに 申し訳ございませぬ。 191 00:15:41,902 --> 00:15:50,244 かくなるうえは 男らしく 介錯つかまつります。 192 00:15:50,244 --> 00:15:52,913 頼むぞ。 193 00:15:52,913 --> 00:16:19,607 ♬~ 194 00:16:19,607 --> 00:16:21,907 ≪ごめんくださ~い。 195 00:16:27,481 --> 00:16:30,251 豊後行平でございます。 196 00:16:30,251 --> 00:16:34,555 (左門)あの行平? では 盗賊を召し捕られたか? 197 00:16:34,555 --> 00:16:39,894 残念ながら その行平ではなく ちょっと お借りしてきたもので。 198 00:16:39,894 --> 00:16:41,829 どなたからです? 199 00:16:41,829 --> 00:16:44,565 とある大名様の持ち物なのですが➡ 200 00:16:44,565 --> 00:16:49,437 先方の恥にもなるので 詮索はしないでいただきたいのです。 201 00:16:49,437 --> 00:16:52,440 御前試合が終わったら 返していただければ。 202 00:16:52,440 --> 00:16:55,910 では… これをお貸しくださると? 203 00:16:55,910 --> 00:16:58,245 はい。 204 00:16:58,245 --> 00:17:01,916 ありがたい! 205 00:17:01,916 --> 00:17:06,916 これで 父の面目も潰れずに済みます! 206 00:17:14,261 --> 00:17:20,961 面目も大事ですが これで腹を切らずに済みますね。 207 00:17:25,272 --> 00:17:28,272 八巻殿…。 208 00:17:35,883 --> 00:18:06,247 ♬~ 209 00:18:06,247 --> 00:18:11,919 恩着せがましいことは 何一つ 口にしなかった。 210 00:18:11,919 --> 00:18:16,590 町方にとどめておくのには 実に惜しい。 211 00:18:16,590 --> 00:18:23,931 父上のおっしゃるとおりでございます。 私も あのお方を誤解しておりました。 212 00:18:23,931 --> 00:18:38,879 ♬~ 213 00:18:38,879 --> 00:18:43,217 まさに 真の男。 214 00:18:43,217 --> 00:18:55,229 ♬~ 215 00:18:55,229 --> 00:18:57,898 人助けしましたね 旦那。 216 00:18:57,898 --> 00:19:02,570 どんなに大事な刀であっても 無駄に死んではいけません。 217 00:19:02,570 --> 00:19:08,442 娘の美鈴さんの心に 一生消えない傷として残ります。 218 00:19:08,442 --> 00:19:10,444 旦那…。 219 00:19:10,444 --> 00:19:15,916 …と 大層なことを言っても 所詮 金の力で助けたんですけどね。 220 00:19:15,916 --> 00:19:17,852 いけねえんですか? それじゃ。 221 00:19:17,852 --> 00:19:22,790 手応えがないんですよ。 私が何かしたっていう…。 222 00:19:22,790 --> 00:19:29,090 だから 生きてる気もしないのかもしれない。 223 00:19:32,199 --> 00:19:36,871 この一件 何としても収めないといけませんね。 224 00:19:36,871 --> 00:19:41,871 おっ? やる気になりましたね! そうこなくっちゃ! 225 00:19:45,212 --> 00:19:48,115 あの男が 今 評判の同心の八巻だ。 226 00:19:48,115 --> 00:19:52,415 倒せば 我らの名が上がる。 227 00:20:02,229 --> 00:20:04,229 ≪(くしゃみ) 228 00:20:08,102 --> 00:20:10,104 消えた? 229 00:20:10,104 --> 00:20:12,573 気取られたか! 230 00:20:12,573 --> 00:20:15,573 うっ! うっ! 231 00:20:25,920 --> 00:20:29,790 どうだ? わしの腕前は。 232 00:20:29,790 --> 00:20:33,594 こんなとこに連れてきて 何を見せるのかと思えば…。 233 00:20:33,594 --> 00:20:35,529 ほれ直したであろう? 234 00:20:35,529 --> 00:20:39,266 まあね。 それより 何を買ってくれるのさ? 235 00:20:39,266 --> 00:20:41,201 何でもいいぞ! 236 00:20:41,201 --> 00:20:46,941 また三国屋から これで たんまり 銭がもらえるんだ。 フフ… さあ 行こう。 237 00:20:46,941 --> 00:20:54,815 この男 徳右衛門が金で雇っている 卯之吉の陰の用心棒でございます。 238 00:20:54,815 --> 00:20:58,953 あら…。 ああ 驚いた。 239 00:20:58,953 --> 00:21:01,288 こんなとこに穴があるなんて…。 240 00:21:01,288 --> 00:21:04,288 大丈夫でがすか? 助けてくれ…。 241 00:21:06,160 --> 00:21:09,163 またまた 八巻卯之吉様の大手柄だよ! 242 00:21:09,163 --> 00:21:13,634 市中を騒がせていた悪党どもを 懲らしめた! 243 00:21:13,634 --> 00:21:17,304 同心の八巻様だ! 244 00:21:17,304 --> 00:21:19,640 すごい剣豪だね こりゃ! 245 00:21:19,640 --> 00:21:24,311 ≪くくりつけたとさ! あれは人じゃない! カマイタチだ! 246 00:21:24,311 --> 00:21:29,984 (尾上)八巻の取っ捕まえた2人は 人相書きの回っていた浪人でした。 247 00:21:29,984 --> 00:21:33,984 あいつ やはり腕が立つんですよ。 248 00:21:35,589 --> 00:21:38,926 (沢田彦太郎)なかなか やるではないか! 沢田様…! 249 00:21:38,926 --> 00:21:45,265 お主ら! あの見習い 頼んだぞ。 250 00:21:45,265 --> 00:21:48,265 (3人)はっ! 251 00:21:52,606 --> 00:21:55,943 沢田様も 目をかけているようですね。 252 00:21:55,943 --> 00:21:59,279 それに ご老中の出雲守様とも つながってるようだし➡ 253 00:21:59,279 --> 00:22:03,150 この前の大名の三男坊とも顔見知りだし。 254 00:22:03,150 --> 00:22:07,955 えたいの知れないやつです。 255 00:22:07,955 --> 00:22:12,292 おい! お前に頼んだ あれはどうした? 256 00:22:12,292 --> 00:22:16,630 火事場の検分書だ! 書面で差し出せと言っておいたろ! 257 00:22:16,630 --> 00:22:19,299 今 書いてます。 258 00:22:19,299 --> 00:22:22,636 何 無駄にしてんだ! ただじゃねえんだぞ! 259 00:22:22,636 --> 00:22:26,974 昨今はな 紙もばかみてえに 値上がりしてんだ! 260 00:22:26,974 --> 00:22:30,674 へえ この紙がねえ…。 261 00:22:34,581 --> 00:22:39,920 何だ…! ひと事みてえに 見習いのくせしやがって! 262 00:22:39,920 --> 00:22:42,823 奉行所の乏しい財布の中で やりくりしてる身になって➡ 263 00:22:42,823 --> 00:22:45,592 考えろってんだ! 分かってんのか! このハチマキ! 264 00:22:45,592 --> 00:22:47,592 ヤマキです! 265 00:22:49,930 --> 00:22:55,602 そして いよいよ 御前試合の日がやってまいりました。 266 00:22:55,602 --> 00:23:03,302 ♬~ 267 00:23:08,949 --> 00:23:12,619 旦那。 268 00:23:12,619 --> 00:23:16,290 加治川の道場 子分たちに見張らせておりやす。 269 00:23:16,290 --> 00:23:18,225 お願いします。 270 00:23:18,225 --> 00:23:23,964 この御前試合が終わったあと 何か動きがあるはずです。 271 00:23:23,964 --> 00:23:41,915 (太鼓) 272 00:23:41,915 --> 00:23:45,252 (丸山肥後守)双方とも大儀である。 273 00:23:45,252 --> 00:23:53,127 本日は 梅本家の御三男 源之丞殿も臨席する。 274 00:23:53,127 --> 00:23:55,896 心して励むがよい。 275 00:23:55,896 --> 00:23:58,599 はっ! 276 00:23:58,599 --> 00:24:00,899 (加治川七右衛門)はっ! 277 00:24:02,936 --> 00:24:06,273 三本勝負にござりまする。 278 00:24:06,273 --> 00:24:08,573 双方 いざ! 279 00:24:18,852 --> 00:24:21,152 始め! 280 00:24:22,823 --> 00:24:24,958 いやっ! 281 00:24:24,958 --> 00:24:35,903 ♬~ 282 00:24:35,903 --> 00:24:39,603 いや~! ううっ! 283 00:24:46,547 --> 00:24:48,482 (杉原)一本! 284 00:24:48,482 --> 00:24:50,782 見事じゃ。 285 00:24:55,255 --> 00:25:02,129 ♬~ 286 00:25:02,129 --> 00:25:05,899 (杉原)二本目!➡ 287 00:25:05,899 --> 00:25:07,899 始め! 288 00:25:10,604 --> 00:25:12,940 うりゃ~! 289 00:25:12,940 --> 00:25:30,490 ♬~ 290 00:25:30,490 --> 00:25:33,490 いや~! うっ! 291 00:25:37,130 --> 00:25:39,566 (杉原)それまで! 292 00:25:39,566 --> 00:25:43,237 いや~! うっ…! 293 00:25:43,237 --> 00:25:45,906 見事! あっぱれじゃ! 294 00:25:45,906 --> 00:25:47,906 当然のこと。 295 00:25:57,517 --> 00:26:03,457 いや~ 見事であったぞ。 聞きしに勝るものであった。 296 00:26:03,457 --> 00:26:08,929 約束どおり 新たな指南役 そちに命ずることにする。 297 00:26:08,929 --> 00:26:15,602 はっ! 身に余る光栄にございます! 298 00:26:15,602 --> 00:26:18,505 時に 溝口殿。 はっ! 299 00:26:18,505 --> 00:26:22,276 聞けば貴殿は 豊後行平を所持しているそうじゃが➡ 300 00:26:22,276 --> 00:26:26,947 それは まことか? いかにも! 301 00:26:26,947 --> 00:26:34,554 わしの家にも 家康公から直々に賜った 豊後行平の名刀があるのじゃ。 302 00:26:34,554 --> 00:26:40,894 どうじゃ? そちの行平 披露してはもらえぬか? 303 00:26:40,894 --> 00:26:45,766 たってのご所望とあらば かしこまりました。 304 00:26:45,766 --> 00:26:48,466 ご覧にいれまする。 305 00:26:52,506 --> 00:27:28,275 ♬~ 306 00:27:28,275 --> 00:27:34,275 まさしく 豊後行平。 良き業物よ。 307 00:27:37,884 --> 00:27:40,787 お待ちくださりませ。 308 00:27:40,787 --> 00:27:44,758 恐れながら それは偽物にございます。 309 00:27:44,758 --> 00:27:46,758 何? 310 00:27:48,528 --> 00:27:52,899 なぜ 偽物だと言い張ることが できるのでございますか? 311 00:27:52,899 --> 00:27:59,773 無礼な…。 貴様は一体 何者だ? 312 00:27:59,773 --> 00:28:06,446 私は 南町奉行所の見習同心 八巻卯之吉と申す者にございます。 313 00:28:06,446 --> 00:28:11,251 町方の同心? 誰の許しを得て このような所へ…。 314 00:28:11,251 --> 00:28:14,154 私の恩人でございます。 315 00:28:14,154 --> 00:28:18,925 それに 今 評判の 八巻卯之吉でございます。 316 00:28:18,925 --> 00:28:22,796 ああ…! その方が…。 317 00:28:22,796 --> 00:28:27,096 うわさは聞いておる。 カマイタチだと。 318 00:28:40,547 --> 00:28:42,883 見張ってろ。 319 00:28:42,883 --> 00:28:46,753 言われなくても。 八巻の旦那から頼まれてんだ。 320 00:28:46,753 --> 00:28:50,557 俺は あんたの子分じゃねえんだよ 三男坊様。 321 00:28:50,557 --> 00:28:52,893 何? 322 00:28:52,893 --> 00:28:58,565 危ねえ 危ねえ。 こんなじゃ 命がいくつあっても足りやしねえ。 323 00:28:58,565 --> 00:29:04,265 気が合いませんね 三男坊様と俺様は。 324 00:29:10,177 --> 00:29:15,115 貴殿の刀は 正真正銘 本物の豊後行平だ。 325 00:29:15,115 --> 00:29:18,251 そこで 頼みがある。 326 00:29:18,251 --> 00:29:23,123 この行平を貸していただけぬか? 327 00:29:23,123 --> 00:29:25,125 えっ? えっ? 328 00:29:25,125 --> 00:29:31,531 実は このたび 我が丸山家の行平を 上様に披露することになったのだ。 329 00:29:31,531 --> 00:29:34,434 ですが 行平なら お持ちでは? 330 00:29:34,434 --> 00:29:38,872 さよう。 家康公より直々に賜ったと…。 331 00:29:38,872 --> 00:29:45,545 それが… こうなったら何もかも打ち明けるが…。 332 00:29:45,545 --> 00:29:48,882 今 当家にはない。 333 00:29:48,882 --> 00:29:52,552 借金の形に取られてしまったのじゃ。➡ 334 00:29:52,552 --> 00:29:57,891 そこもとの行平は まこと 殿様ご所蔵の行平に瓜二つ。 335 00:29:57,891 --> 00:30:02,229 何とぞ 貸してもらいたい!➡ 336 00:30:02,229 --> 00:30:09,102 披露できぬとあっては 我らは お家取り潰しの憂き目も免れぬ。 337 00:30:09,102 --> 00:30:14,574 我らも なんとか その借金を返し 取り戻したいのだが➡ 338 00:30:14,574 --> 00:30:17,574 当家の領地は 山ばかり。 339 00:30:20,447 --> 00:30:27,921 よって 米も ろくに取れず 当家の勝手向きは まことに苦しき有様。 340 00:30:27,921 --> 00:30:34,594 それに 借りた金は七千両だが 年に二割の利息を取られ➡ 341 00:30:34,594 --> 00:30:39,933 その利息が積もりに積もって 今では一万五千両にもなっておる。 342 00:30:39,933 --> 00:30:43,270 あこぎな金貸しのせいでな。 343 00:30:43,270 --> 00:30:48,608 (左門)非道な商売ですな…! どこの何やつでございますか? 344 00:30:48,608 --> 00:30:52,946 日本橋の… 三国屋ですね? 345 00:30:52,946 --> 00:30:59,819 ああ。 全額返済するまでは 質ぐさは決して返さぬと。 346 00:30:59,819 --> 00:31:07,494 もはや人間ではない。 金の亡者 妖怪よ。 347 00:31:07,494 --> 00:31:10,494 (ため息) 348 00:31:19,172 --> 00:31:22,309 それで 御前試合をさせて➡ 349 00:31:22,309 --> 00:31:26,179 溝口先生から 行平を借りようと思いつかれたのですね。 350 00:31:26,179 --> 00:31:29,983 はい。 このことは殿様は知らないんだそうです。 351 00:31:29,983 --> 00:31:32,886 そういうもんでげすよ 御大名家ってもんは。➡ 352 00:31:32,886 --> 00:31:37,257 殿様は お気楽だが 家臣たちは たまったもんじゃありませんよ。 353 00:31:37,257 --> 00:31:41,127 (菊野)それで 溝口先生は 何と? 354 00:31:41,127 --> 00:31:48,868 「事情はよく分かった。 だが 貸せぬ」と。 「こちらにも深い事情がある」と。 355 00:31:48,868 --> 00:31:52,606 それはそうでございましょうね。 356 00:31:52,606 --> 00:31:56,276 溝口先生の行平が盗まれて➡ 357 00:31:56,276 --> 00:32:03,149 それで 別の行平を 若旦那が三国屋から借りて お貸しした。 358 00:32:03,149 --> 00:32:07,887 それを 今度は 丸山家が貸してほしいと言いだしたが➡ 359 00:32:07,887 --> 00:32:14,187 そもそも その行平は 丸山家のもので…。 ややこしいですね。 360 00:32:15,962 --> 00:32:21,262 要するに すべては この刀が始まりということです。 361 00:32:25,305 --> 00:32:29,976 さて どうしようかねえ…。 362 00:32:29,976 --> 00:32:33,847 大旦那に頼めば なんとかなるんじゃないですか? 363 00:32:33,847 --> 00:32:40,253 そうかもしれないね。 けれどねえ…。 364 00:32:40,253 --> 00:32:44,124 あっ…。 365 00:32:44,124 --> 00:32:49,596 こちらも早く仕上げないと また村田様に叱られますよ? 366 00:32:49,596 --> 00:32:52,932 ああ… そうだった。 367 00:32:52,932 --> 00:32:55,268 書き損じばかりで 怒られたばかりだしね。 368 00:32:55,268 --> 00:32:59,606 ですが 昨今 紙は値上がりしてますからね。 369 00:32:59,606 --> 00:33:03,943 なんでも そのもとになる楮が 採れねえんでござんすよ。 370 00:33:03,943 --> 00:33:06,846 どこぞの山でも拓かないと。 371 00:33:06,846 --> 00:33:09,146 山? 372 00:33:15,555 --> 00:33:18,555 やっこさん 動きだしましたぜ。 373 00:33:28,968 --> 00:33:34,574 加治川七右衛門さん もはや 言い逃れはできませんよ。 374 00:33:34,574 --> 00:33:39,913 豊後行平を 溝口先生のお宅から 盗みだしたのは あなたですね? 375 00:33:39,913 --> 00:33:43,613 貴様は… 八巻! 376 00:33:50,924 --> 00:33:56,596 お主 師範の座を奪われないよう 行平を盗んだんだな? 377 00:33:56,596 --> 00:34:00,934 その刀 持ち逃げして売り払う魂胆か? 378 00:34:00,934 --> 00:34:04,604 俺は そんな汚え野郎が 大っ嫌いなんだよ! 379 00:34:04,604 --> 00:34:09,275 おのれ 加治川! 下劣極まる! 380 00:34:09,275 --> 00:34:12,612 許せませぬ! ふん…。 381 00:34:12,612 --> 00:34:17,484 こうなった以上 生かして帰すわけにはいかぬ。 382 00:34:17,484 --> 00:34:19,486 者ども かかれ~! 383 00:34:19,486 --> 00:34:47,447 ♬~ 384 00:34:47,447 --> 00:34:52,585 さすが 鬼姫と言われるだけのこと ありますね 旦那! 385 00:34:52,585 --> 00:34:54,885 旦那? 386 00:34:57,257 --> 00:35:00,257 まさか また? 387 00:35:01,928 --> 00:35:08,228 八巻! お主の命 わしがもらう! 388 00:35:11,938 --> 00:35:14,274 覚悟いたせ! 389 00:35:14,274 --> 00:35:24,918 ♬~ 390 00:35:24,918 --> 00:35:30,290 どうしたのです? 構えもせず 突っ立ってるだけではありませぬか! 391 00:35:30,290 --> 00:35:34,590 何かある! 隙がありすぎて打ち込めん! 392 00:35:39,566 --> 00:35:42,266 だめだ! 393 00:35:44,237 --> 00:35:48,575 剣を振るわずして 相手を倒すなどと…! 394 00:35:48,575 --> 00:35:50,910 これぞ まことの活人剣! 395 00:35:50,910 --> 00:35:54,581 よく分からんが まあいい! 勝ったのだ! 396 00:35:54,581 --> 00:35:57,881 旦那! しっかりしてくださいよ 旦那! 397 00:36:02,255 --> 00:36:05,592 どうなった? ご覧のとおりです。 398 00:36:05,592 --> 00:36:07,927 ≪でや~! いや~!➡ 399 00:36:07,927 --> 00:36:12,227 うっ! ああっ…! 400 00:36:21,274 --> 00:36:25,574 このままでは終わらせん…。 401 00:36:34,554 --> 00:36:37,254 ≪(くしゃみ) ≪また くしゃみ? 402 00:36:38,892 --> 00:36:41,561 消えた?➡ 403 00:36:41,561 --> 00:36:45,431 うわ! ああっ…! 404 00:36:45,431 --> 00:36:48,234 背後から襲うとは卑怯千万! 405 00:36:48,234 --> 00:36:55,108 それより 気配で身を隠すとは やはり 旦那は カマイタチだ! 406 00:36:55,108 --> 00:36:58,244 ん? 407 00:36:58,244 --> 00:37:02,115 ああ 驚いた。 こんなとこに石があるなんて…。 408 00:37:02,115 --> 00:37:06,115 もう しっかりしてくださいよ 旦那…。 409 00:37:10,256 --> 00:37:15,929 (銀八)では 今から お奉行所に お知らせに行ってめえりやす。 410 00:37:15,929 --> 00:37:20,266 今回の捕り物は なかったことにしましょう。 411 00:37:20,266 --> 00:37:23,603 えっ? ど… どうしてでがすか! お手柄なのに! 412 00:37:23,603 --> 00:37:27,941 申し訳ない。 わしのためだな? 413 00:37:27,941 --> 00:37:33,746 奉行所に届けると 事の顛末が公になる。 「行平が先生のお宅から盗まれた」とな。 414 00:37:33,746 --> 00:37:35,748 源さんの言うとおりです。 415 00:37:35,748 --> 00:37:39,552 それに この人はもう 刀を持てません。 416 00:37:39,552 --> 00:37:41,487 それでいいのではと。 417 00:37:41,487 --> 00:37:44,424 (荒海)何も そんなやつ 手当てなんてしてやらなくても! 418 00:37:44,424 --> 00:37:50,897 どんな悪党であっても けが人を放っておけませんよ。 419 00:37:50,897 --> 00:37:53,197 旦那…。 420 00:37:57,570 --> 00:38:01,270 じゃあ これにて 一件落着ですね! 421 00:38:04,243 --> 00:38:08,943 あと… 一つ残ってますよ。 422 00:38:14,887 --> 00:38:18,591 これを返すと申しておるのか? 三国屋が。 423 00:38:18,591 --> 00:38:24,263 はい。 それと借金は 大幅に引き下げるとのことでございます。 424 00:38:24,263 --> 00:38:27,600 なんと…。 ですが その代わりに➡ 425 00:38:27,600 --> 00:38:34,407 丸山家がお持ちの山林を 三国屋が差配し そこで採れる楮で商いをしたいと。 426 00:38:34,407 --> 00:38:40,880 ちょうど 三国屋は 紙のもととなる楮を 売り物にしようと考えていたようです。 427 00:38:40,880 --> 00:38:44,550 ありがたい話…。 428 00:38:44,550 --> 00:38:46,886 八巻卯之吉殿➡ 429 00:38:46,886 --> 00:38:50,556 丸山家 四万石に成り代わり➡ 430 00:38:50,556 --> 00:38:58,231 このとおり 厚くお礼を申し上げる。 431 00:38:58,231 --> 00:39:05,571 ♬~ 432 00:39:05,571 --> 00:39:12,912 丸山家の山林を生かし 双方の利益につなげるとは。 433 00:39:12,912 --> 00:39:15,581 さすが 大旦那のお孫さん。 434 00:39:15,581 --> 00:39:18,918 それに それだけじゃなく 若旦那は➡ 435 00:39:18,918 --> 00:39:24,590 溝口先生の剣術家としての名を守るために この一件➡ 436 00:39:24,590 --> 00:39:27,927 公になさらなかったようでございます。 437 00:39:27,927 --> 00:39:33,733 人への思いやりを見せるとは…。 438 00:39:33,733 --> 00:39:38,204 ふだんは 他人に関心のないふうを装ってても➡ 439 00:39:38,204 --> 00:39:46,504 その心は 本当 優しすぎるくらい 優しいお人なんですよ。 440 00:39:51,551 --> 00:39:55,421 卯之さんやい! ハハハ…。 441 00:39:55,421 --> 00:39:58,224 どうだい? 今から。 442 00:39:58,224 --> 00:40:01,561 いいね。 じゃあ 着替えてきますから。 443 00:40:01,561 --> 00:40:03,861 ああ! 444 00:40:09,235 --> 00:40:12,535 おや? 誰だい? 445 00:40:14,107 --> 00:40:17,107 美鈴でございます。 446 00:40:24,584 --> 00:40:26,919 鬼姫さん…。 447 00:40:26,919 --> 00:40:32,258 父の窮地をお救いくだされた八巻様に お礼をしたいのです。 448 00:40:32,258 --> 00:40:36,129 なので ここで働かせていただきたく。 449 00:40:36,129 --> 00:40:39,429 ですが…。 もう決めました。 450 00:40:42,602 --> 00:40:45,505 旦那…。 451 00:40:45,505 --> 00:40:51,505 何しろ すご腕ですからね 怒らせたら怖いですよ? 452 00:40:56,149 --> 00:41:02,622 分かりました。 じゃあ 気の済むまで働いてください。 453 00:41:02,622 --> 00:41:05,958 ありがとうございます。 454 00:41:05,958 --> 00:41:07,894 よう 何やってんだ? 455 00:41:07,894 --> 00:41:11,297 ああ… 美鈴さんですよ。 かわいいでげしょ? 456 00:41:11,297 --> 00:41:13,597 美鈴? 457 00:41:24,644 --> 00:41:26,979 お顔が赤くなってますが? 458 00:41:26,979 --> 00:41:29,315 うるさい! 459 00:41:29,315 --> 00:41:35,922 私は 前の若侍姿のほうが好きですけどね。 凛々しくて。 460 00:41:35,922 --> 00:41:38,257 えっ…。 461 00:41:38,257 --> 00:41:49,957 ♬~ 462 00:42:10,189 --> 00:42:29,308 ♬~ 463 00:42:29,308 --> 00:42:34,146 まさに妖怪。 並の人間じゃないねえ。 464 00:42:34,146 --> 00:42:37,917 町方へとどめておくのには 実に惜しい。 465 00:42:37,917 --> 00:42:40,253 危ない 危ない…。 466 00:42:40,253 --> 00:42:43,155 こんなとこに石があるなんて…。 467 00:42:43,155 --> 00:43:00,573 ♬~ 468 00:43:00,573 --> 00:43:05,278 ♬~ 469 00:43:05,278 --> 00:43:25,578 ♬~ 470 00:45:34,160 --> 00:45:36,929 ゆったりトコトコ➡ 471 00:45:36,929 --> 00:45:39,929 トラムで街を巡りましょ。 472 00:45:44,804 --> 00:45:48,274 乗車するのは 熊本市電。 473 00:45:48,274 --> 00:45:54,574 今日は すてきな出会いを求めて 早朝のトラムに乗り込みましょう。