1 00:00:01,235 --> 00:00:04,605 山本周五郎を知っていますか? 2 00:00:04,605 --> 00:00:07,908 時代小説の名手です。 3 00:00:11,278 --> 00:00:16,583 描いたのは もがきながらも 懸命に生きる人々。 4 00:00:18,952 --> 00:00:22,623 彼らが教えてくれる 生きる力。 5 00:00:22,623 --> 00:00:25,292 見たら だれかに話したくなる。 6 00:00:25,292 --> 00:00:28,962 笑って泣けて心ぬくもる物語。 7 00:00:28,962 --> 00:00:33,267 きっと 人生のヒントが見つかります。 8 00:00:47,981 --> 00:00:54,655 今日のお話は「女は同じ物語」その前編。 9 00:00:54,655 --> 00:00:58,992 武家の長男 梶 広一郎。 10 00:00:58,992 --> 00:01:04,598 父で城代の梶 龍右衛門 母 さわ。 11 00:01:04,598 --> 00:01:06,934 侍女 紀伊。 12 00:01:06,934 --> 00:01:11,605 そして 広一郎の友人 佐野要平。 13 00:01:11,605 --> 00:01:18,278 幼い頃より女嫌いである広一郎は 何やかやと言い訳をして➡ 14 00:01:18,278 --> 00:01:22,616 いいなずけとの結婚を 先延ばしにしていました。 15 00:01:22,616 --> 00:01:27,287 そんな息子を心配した さわは 一計を案じ➡ 16 00:01:27,287 --> 00:01:32,159 広一郎に侍女をつけようと画策します。 17 00:01:32,159 --> 00:01:35,629 予期せぬ美女の登場に➡ 18 00:01:35,629 --> 00:01:40,934 果たして 広一郎の女嫌いは治るのか。 19 00:01:46,273 --> 00:01:48,976 (龍右衛門)広一郎に侍女? 20 00:01:48,976 --> 00:01:51,878 (さわ)はい。 しかし それは…➡ 21 00:01:51,878 --> 00:01:56,650 ちょっと具合が悪くないですか? どうしてですか? 22 00:01:56,650 --> 00:02:01,922 いや 若い娘などに 身の回りの世話をさせて➡ 23 00:02:01,922 --> 00:02:07,260 万が一 その~ 間違いがあったら困るでしょう。 24 00:02:07,260 --> 00:02:12,132 あなたは すぐに そういうことをお考えなさるのですね。 25 00:02:12,132 --> 00:02:15,936 いやいや… 無論 そんなことはないでしょうが➡ 26 00:02:15,936 --> 00:02:19,606 広一郎も男であるわけですし。 27 00:02:19,606 --> 00:02:23,276 いつも やましい目で 侍女たちを眺めていらっしゃるから➡ 28 00:02:23,276 --> 00:02:26,179 そんなことを考えるのではないですか? 29 00:02:26,179 --> 00:02:29,149 分かった 分かった。 話を元に戻しましょう。 30 00:02:29,149 --> 00:02:32,619 やはり それは何か訳があるのですか? 31 00:02:32,619 --> 00:02:37,958 当たり前です。 私が訳もなく こんなことを言うとお思いですか? 32 00:02:37,958 --> 00:02:40,861 それも分かりました。 33 00:02:40,861 --> 00:02:44,631 広一郎は女嫌いだと言い張っています。 34 00:02:44,631 --> 00:02:47,534 安永つなさんという いいなずけがあるのに➡ 35 00:02:47,534 --> 00:02:50,504 いまだに結婚しようとはしません。 36 00:02:50,504 --> 00:02:55,642 ですから 広一郎に侍女をつけてみては どうかと考えたのです。 37 00:02:55,642 --> 00:02:58,979 うん… それとこれと どうつながるのです? 38 00:02:58,979 --> 00:03:04,584 つまり簡単に言えば 広一郎に 少し女に慣れてもらおうというわけです。 39 00:03:04,584 --> 00:03:09,923 いくら堅苦しく育っても 男は やはり男でございますからね。 40 00:03:09,923 --> 00:03:14,594 きれいな侍女がそばにいて そうなるように しむけてあげれば➡ 41 00:03:14,594 --> 00:03:18,932 女に興味を持つかもしれません。 ひどいことを考えるものだ…。 42 00:03:18,932 --> 00:03:21,835 何か おっしゃいまして? いや 別に。 43 00:03:21,835 --> 00:03:26,606 いちいち話の腰を折らないで頂けますか? そうしましょう。 44 00:03:26,606 --> 00:03:32,479 とにかく 安永さんをこれ以上 待たせるわけにはいきませんからね。 45 00:03:32,479 --> 00:03:37,951 広一郎が その侍女に興味を持つのは いいとして➡ 46 00:03:37,951 --> 00:03:43,623 やはり 間違いが起こってしまったら どうしましょう? 47 00:03:43,623 --> 00:03:47,294 あなたの頭には それしかないのですか? 48 00:03:47,294 --> 00:03:51,631 いやいや 広一郎も同じ男だと言ったのは あなたではないですか。 49 00:03:51,631 --> 00:03:56,503 広一郎は あなたとは違います! 一緒にしないで頂けますか!? 50 00:03:56,503 --> 00:03:58,805 はい…。 51 00:04:02,242 --> 00:04:09,249 その日 広一郎が下城したのは いつもより遅い時間であった。 52 00:04:13,253 --> 00:04:20,927 広一郎は 19歳から5年間 昌平坂学問所へ通学したというほかに➡ 53 00:04:20,927 --> 00:04:25,599 さして飛び抜けた才能が あるわけではない。 54 00:04:25,599 --> 00:04:33,273 藩の文庫へ勤めているが それも 26歳にもなる城代家老の息子を➡ 55 00:04:33,273 --> 00:04:39,279 遊ばせておくわけにもいかない というくらいの意味のようであった。 56 00:04:42,616 --> 00:04:45,952 (さわ)広一郎。 母上。 57 00:04:45,952 --> 00:04:49,623 今日は お下がりが 大層 遅いようですね。 はあ。 58 00:04:49,623 --> 00:04:52,959 帰りに村田のところで 夕食のちそうになりました。 59 00:04:52,959 --> 00:04:55,862 寄り道する時は 断らなければなりませんよ。 60 00:04:55,862 --> 00:04:58,865 急に決まったものですから。 61 00:05:01,234 --> 00:05:04,571 私は夕食を食べずに ずっと待っていたんですよ! 62 00:05:04,571 --> 00:05:09,442 それは すみませんでした。 そういう時は 一度帰って断ってから行くものです。 63 00:05:09,442 --> 00:05:12,445 これからは そういたします。 64 00:05:24,891 --> 00:05:29,596 広一郎 今日は あなたにお話があります。 65 00:05:29,596 --> 00:05:32,933 話なら 先ほどからしております。 66 00:05:32,933 --> 00:05:36,803 紀伊! 紀伊? 67 00:05:36,803 --> 00:05:39,506 ⚟(紀伊)はい。 68 00:05:45,512 --> 00:05:49,216 お呼びでございますか? お入りなさい。 69 00:05:53,620 --> 00:05:57,624 今日から これが 身の回りのお世話をします。 70 00:06:00,427 --> 00:06:06,433 紀伊と申します。 どうぞ よろしくお願いします。 71 00:06:09,102 --> 00:06:14,241 えっ 私のですか? ほかに誰がいるというのです? 72 00:06:14,241 --> 00:06:18,912 どうしてですか? あなたは やがて御城代になる方です。 73 00:06:18,912 --> 00:06:22,582 少しずつ いろいろなことに 慣れなくてはいけません。 74 00:06:22,582 --> 00:06:25,485 いろいろなこととは どういうことですか? 75 00:06:25,485 --> 00:06:30,457 いろいろなこととは いろいろなことです。 76 00:06:30,457 --> 00:06:41,468 ♬~ 77 00:06:43,870 --> 00:06:46,273 失礼します! 78 00:06:46,273 --> 00:06:50,977 父上! 私は 何も知らんよ。 79 00:06:52,612 --> 00:06:58,952 まだ何も言ってませんよ。 (せきばらい) 80 00:06:58,952 --> 00:07:01,554 父上 何か隠してますね? 81 00:07:01,554 --> 00:07:06,426 何も隠してなどはおらん。 なぜ急に 侍女などと言いだしたのです? 82 00:07:06,426 --> 00:07:09,229 さあな? 83 00:07:09,229 --> 00:07:16,236 どうせ 母上のたくらみなのでしょう。 一体 何が目的なのです? 84 00:07:19,239 --> 00:07:22,575 父上! ⚟(さわ)旦那様。 85 00:07:22,575 --> 00:07:26,446 はいはい! 今 行きます。 86 00:07:26,446 --> 00:07:29,749 とにかく 私は何も知らんからな。 87 00:07:59,279 --> 00:08:01,881 うっ! 88 00:08:01,881 --> 00:08:04,784 おはようございます。 89 00:08:04,784 --> 00:08:07,754 朝げの支度ができております。 90 00:08:07,754 --> 00:08:10,757 そ… そうか。 91 00:08:15,428 --> 00:08:19,432 どうぞ。 おお…。 92 00:08:19,432 --> 00:08:58,605 ♬~ 93 00:08:58,605 --> 00:09:01,207 苦しくはないですか? 94 00:09:01,207 --> 00:09:04,511 えっ ああ… うん。 95 00:09:18,224 --> 00:09:22,896 広一郎 着物の襟がよれてますよ。 96 00:09:22,896 --> 00:09:25,598 え? ああ…。 97 00:09:30,236 --> 00:09:32,906 (さわ)紀伊! はい。 98 00:09:32,906 --> 00:09:38,244 しっかりして下さい! 笑われるのは 広一郎なのですからね。 99 00:09:38,244 --> 00:09:40,580 申し訳ありません。 100 00:09:40,580 --> 00:09:46,453 着替え一つ まともにできないようでは この先が思いやられます。 101 00:09:46,453 --> 00:09:49,255 以後 気を付けます。 102 00:09:49,255 --> 00:09:54,928 私が悪いのです。 人の手を借りて 着替えるなど 慣れていないものですから。 103 00:09:54,928 --> 00:09:58,598 あら 紀伊をかばうのですか? 104 00:09:58,598 --> 00:10:01,901 そういうわけではないですが…。 105 00:10:04,471 --> 00:10:10,210 とにかく 気を付けて下さいよ。 106 00:10:10,210 --> 00:10:12,946 はい。 107 00:10:12,946 --> 00:10:23,957 ♬~ 108 00:10:25,959 --> 00:10:29,629 (さわ)奥座敷の掃除は済んだのですか? いえ これからでございます。 109 00:10:29,629 --> 00:10:34,300 まあ これから? 今日は来客があると伝えたはずです! 110 00:10:34,300 --> 00:10:36,636 申し訳ありません すぐにいたします。 111 00:10:36,636 --> 00:10:39,305 それぐらい 言われなくては分からないのですか? 112 00:10:39,305 --> 00:10:45,979 その後も さわは 事あるごとに 紀伊に細かく注意を与えた。 113 00:10:45,979 --> 00:10:50,650 その様子を見る度に 広一郎は➡ 114 00:10:50,650 --> 00:10:56,656 胸の奥に何かがつかえたような 心苦しさを感じた。 115 00:11:03,596 --> 00:11:07,934 父上! 母上は 紀伊に厳しすぎます。 116 00:11:07,934 --> 00:11:13,606 ここへ来て7日間 紀伊は一生懸命にやってくれています。 117 00:11:13,606 --> 00:11:19,312 それなのに… あれでは 紀伊がかわいそうです! 118 00:11:20,947 --> 00:11:27,620 なるほど。 障害があるほど 情が移りやすいか。 119 00:11:27,620 --> 00:11:29,956 何ですか? 120 00:11:29,956 --> 00:11:36,296 いやいや… 何でもない。 しかし あまり肩入れしてはいかんぞ。 121 00:11:36,296 --> 00:11:39,299 分かっております。 122 00:11:48,308 --> 00:11:51,311 (くしゃみ) 123 00:11:56,182 --> 00:11:59,185 ⚟失礼します。 124 00:12:04,257 --> 00:12:08,261 お茶をお持ちしました。 ああ。 125 00:12:21,274 --> 00:12:24,277 ありがとう。 126 00:12:36,623 --> 00:12:40,960 先日は ありがとうございました。 127 00:12:40,960 --> 00:12:43,630 ん? 128 00:12:43,630 --> 00:12:51,304 私が奥様にお叱りを受けている時 かばって下さいました。 129 00:12:51,304 --> 00:12:57,176 いやいや 気にすることはない。 近頃 母上は厳しすぎるのだ。 130 00:12:57,176 --> 00:13:02,915 いえ 私が未熟なのです。 いやいや 紀伊はよくやってくれている。 131 00:13:02,915 --> 00:13:07,587 私だったら とっくに逃げ出している。 (くしゃみ) 132 00:13:07,587 --> 00:13:10,256 風邪でございますか? 133 00:13:10,256 --> 00:13:16,596 大したことはない。 近頃 急に寒くなったのでな。 134 00:13:16,596 --> 00:13:19,298 失礼します。 135 00:13:23,269 --> 00:13:26,606 大変 すぐ薬をお持ちします! 136 00:13:26,606 --> 00:13:37,317 ♬~ 137 00:13:46,626 --> 00:13:54,500 それ以来 広一郎は 前にも増して 紀伊のことを意識するようになった。 138 00:13:54,500 --> 00:14:02,909 紀伊の体のしなやかさや 肌の白さ 柔らかく澄んだ声のことを考えると➡ 139 00:14:02,909 --> 00:14:09,248 ほかに何も手につかなくなるようなことが 度々あった。 140 00:14:09,248 --> 00:14:35,475 ♬~ 141 00:14:35,475 --> 00:14:38,177 失礼します。 142 00:14:41,614 --> 00:14:45,618 大変 すぐ薬をお持ちします! 143 00:14:53,960 --> 00:15:03,770 ♬~ 144 00:15:03,770 --> 00:15:05,905 (手をたたく音) 145 00:15:05,905 --> 00:15:08,574 な… 何でございますか! 146 00:15:08,574 --> 00:15:11,477 何をボケ~ッとしておる? 147 00:15:11,477 --> 00:15:18,184 ボケッとなどしておりません。 ちょっと考え事をしていたのです。 148 00:15:21,587 --> 00:15:24,924 ほれ お前の番だぞ。 149 00:15:24,924 --> 00:15:27,226 はい。 150 00:15:29,796 --> 00:15:33,933 お前 近頃 ちょっとおかしいぞ。 151 00:15:33,933 --> 00:15:39,238 何でもありません。 ちょっと風邪が長引いているだけです。 152 00:15:43,943 --> 00:15:49,615 まさか 紀伊のことが 好きになったわけではあるまいな? 153 00:15:49,615 --> 00:15:52,518 な… 何を言うのです? 154 00:15:52,518 --> 00:15:57,490 いいか お前には つなという いいなずけがおるのだ。 155 00:15:57,490 --> 00:16:02,895 ほかの娘を好きになったところで どうにもならんぞ。 それに➡ 156 00:16:02,895 --> 00:16:08,201 結婚してしまえば 女は皆 同じようなものなのだ。 157 00:16:10,236 --> 00:16:13,573 紀伊は…➡ 158 00:16:13,573 --> 00:16:17,443 つなとは 全然違います! 159 00:16:17,443 --> 00:16:20,446 おい。 おい どこへ行くの…。 160 00:16:20,446 --> 00:16:24,217 まだ終わっとらんぞ! おい! (舌打ち) 161 00:16:24,217 --> 00:16:27,119 まったく しょうがないな。 162 00:16:27,119 --> 00:16:31,424 まったく 父上は何を言っているのだ。 163 00:16:34,594 --> 00:16:39,465 ど… どうした? 紀伊。 なぜ 泣いているのだ? 164 00:16:39,465 --> 00:16:44,604 すみません… 何でもございません。 165 00:16:44,604 --> 00:16:49,942 母上に叱られたのだな? そうなんだろう? 166 00:16:49,942 --> 00:16:55,248 いえ 違います。 では どうしたというのだ? 167 00:16:58,951 --> 00:17:06,225 私… お暇を頂くかもしれません。 168 00:17:06,225 --> 00:17:12,899 えっ なぜだ? 私が何かしたか? いえ…➡ 169 00:17:12,899 --> 00:17:18,604 そうではございません。 では なぜだ? 170 00:17:23,910 --> 00:17:27,213 実は…。 171 00:17:30,783 --> 00:17:36,255 縁談の話があったのでございます。 172 00:17:36,255 --> 00:17:39,926 縁談? 173 00:17:39,926 --> 00:17:43,796 縁談か…。 174 00:17:43,796 --> 00:17:47,800 そうか…。 175 00:17:47,800 --> 00:17:51,804 しかし なぜ泣くのだ? 176 00:17:54,473 --> 00:17:57,476 それは…。 177 00:17:59,278 --> 00:18:03,983 ほかに誰か好きな人でもいるのか? 178 00:18:12,825 --> 00:18:15,828 そうか…。 179 00:18:18,230 --> 00:18:23,102 私は 何度もお断りしたのですが…。 180 00:18:23,102 --> 00:18:28,808 相手が承知しないのだな? はい。 181 00:18:30,810 --> 00:18:34,513 …で その相手とは? 182 00:18:36,916 --> 00:18:42,621 御中老の佐野様のご長男です。 183 00:18:44,256 --> 00:18:50,563 すると 要平か? はい。 184 00:18:54,600 --> 00:18:57,503 よし。 185 00:18:57,503 --> 00:19:01,207 彼のことは 私が引き受けた。 186 00:19:01,207 --> 00:19:09,882 乱暴はしないで下さいませ! あの方は 大層お強いようです。 187 00:19:09,882 --> 00:19:15,221 若旦那様が お怪我でもなさいましたら 私…。 188 00:19:15,221 --> 00:19:19,091 心配するな 暴力は嫌いだ。 189 00:19:19,091 --> 00:19:22,094 本当でございますか? 190 00:19:22,094 --> 00:19:25,398 お前は何も心配することはない。 191 00:19:28,234 --> 00:19:31,137 ありがとうございます。 192 00:19:31,137 --> 00:19:48,154 ♬~ 193 00:19:50,923 --> 00:19:57,263 近頃 広一郎の様子が ちょっとおかしい。 少し用心した方がよくないですか? 194 00:19:57,263 --> 00:20:02,935 いい兆しではありませんか。 女嫌いが 治りかけているのかもしれませんよ? 195 00:20:02,935 --> 00:20:08,941 しかしなあ…。 ⚟ヤアッ ヤアッ ヤア~ッ! 196 00:20:16,949 --> 00:20:20,953 ヤアッ ヤアッ ヤア~ッ! 197 00:20:35,301 --> 00:20:39,004 ヤアッ ヤアッ ヤア~ッ! 198 00:20:45,311 --> 00:20:51,016 あいつは 何をしておるのだ? さあ? 199 00:20:55,955 --> 00:21:00,259 やはり 少し用心しておこう。 200 00:21:01,794 --> 00:21:06,499 ヤアッ ヤアッ ヤア~ッ! 201 00:21:12,271 --> 00:21:18,944 翌日 広一郎は 佐野要平に果たし状を送りつけ➡ 202 00:21:18,944 --> 00:21:23,249 人けのない神社の裏手に呼び出した。 203 00:21:32,291 --> 00:21:35,294 遅いぞ 要平。 204 00:21:36,962 --> 00:21:39,632 広一郎。 205 00:21:39,632 --> 00:21:43,302 この果たし状は 何の冗談だ? 206 00:21:43,302 --> 00:21:48,974 冗談ではない。 さっさと支度をしろ。 ちょっと待て 訳を話せ。 207 00:21:48,974 --> 00:21:53,279 とぼけるな 身に覚えがあるはずだ。 208 00:21:56,315 --> 00:22:00,920 原田を殴った件か? それなら謝る 酔っていたんだ 俺は。 209 00:22:00,920 --> 00:22:03,622 そんなことではない! 210 00:22:05,791 --> 00:22:08,794 では 飲み代を踏み倒した件か? 211 00:22:08,794 --> 00:22:12,798 もう少し待ってくれ 金ができたら必ず返す。 212 00:22:15,467 --> 00:22:19,471 もうたくさんだ。 支度をして抜け。 213 00:22:21,941 --> 00:22:28,280 よく分からんが お前 本当に俺とやるつもりなのか? 214 00:22:28,280 --> 00:22:31,183 いいから抜け。 215 00:22:31,183 --> 00:22:33,953 どうしてもか? 216 00:22:33,953 --> 00:22:36,655 どうしてもだ。 217 00:22:38,824 --> 00:22:43,295 そこまで言うのだから 斬られても文句はないな。 218 00:22:43,295 --> 00:22:45,998 支度はいいのか? 219 00:22:50,636 --> 00:22:53,639 いつでも どうぞ。 220 00:22:56,508 --> 00:22:59,511 では 参る。 221 00:23:02,248 --> 00:23:42,888 ♬~ 222 00:23:42,888 --> 00:23:44,890 うわ~! 223 00:23:48,627 --> 00:23:50,629 (うなり声) 224 00:24:09,581 --> 00:24:13,452 待った! いや 待たん! 225 00:24:13,452 --> 00:24:15,921 参った! 226 00:24:15,921 --> 00:24:18,257 確かだな? 227 00:24:18,257 --> 00:24:20,559 確かだ。 228 00:24:26,598 --> 00:24:31,270 これに懲りたら もう あのようなことはしないことだ。 229 00:24:31,270 --> 00:24:34,173 ちょっと待て! 230 00:24:34,173 --> 00:24:38,610 あのようなこととは 何だ? まだ しらを切るか? 231 00:24:38,610 --> 00:24:42,948 俺には訳が分からん。 一体 これは何のための勝負だ? 232 00:24:42,948 --> 00:24:45,851 紀伊のことだ。 紀伊? 233 00:24:45,851 --> 00:24:48,821 貴様が しつこく言い寄っている娘だ。 234 00:24:48,821 --> 00:24:51,290 はっ? 235 00:24:51,290 --> 00:24:56,962 紀伊は はっきり断ったはずだ。 おとなしく手を引けば悪くはしない。 236 00:24:56,962 --> 00:25:01,800 貴様の飲み代は 俺が月々出してやる。 何だって!? 237 00:25:01,800 --> 00:25:05,771 多くはやらない。 月に1分ずつ 飲み代をやる。 238 00:25:05,771 --> 00:25:09,241 それで きっぱり手を引け! どうだ? 239 00:25:09,241 --> 00:25:14,113 それは確かか? 確かに 月に1分ずつくれるんだな? 240 00:25:14,113 --> 00:25:17,416 俺は武士だ 二言はない。 241 00:25:20,252 --> 00:25:22,254 (せきばらい) 242 00:25:24,590 --> 00:25:29,294 そういうことなら しかたない… 手を引こう。 243 00:25:35,234 --> 00:25:39,938 今月の分だ。 約束は守れよ。 244 00:25:39,938 --> 00:25:42,941 おお 分かっておる。 245 00:25:55,287 --> 00:25:58,624 本当でございますか!? ああ 本当だ。 246 00:25:58,624 --> 00:26:02,895 きっぱり手を引くと約束させた。 247 00:26:02,895 --> 00:26:06,198 ありがとうございます。 248 00:26:09,768 --> 00:26:15,240 これで気兼ねなく 好きな人のところへ行けるな。 249 00:26:15,240 --> 00:26:17,910 えっ? 250 00:26:17,910 --> 00:26:23,782 気にすることはない。 母上には 私からうまく伝えておく。 251 00:26:23,782 --> 00:26:29,788 短い間ではあったが 紀伊は よく働いてくれた。 252 00:26:36,929 --> 00:26:39,932 どうした? 253 00:26:43,268 --> 00:26:49,942 このままでは ダメでございますか? 254 00:26:49,942 --> 00:26:52,845 このまま? 255 00:26:52,845 --> 00:27:02,888 このまま おそばに置いて頂くことは できませんか? 256 00:27:02,888 --> 00:27:05,791 しかし…。 257 00:27:05,791 --> 00:27:11,563 もとより 望みはないのです。 258 00:27:11,563 --> 00:27:18,437 その方と私とでは 身分も違います。 259 00:27:18,437 --> 00:27:27,112 それに その方には いいなずけがいるのです。 260 00:27:27,112 --> 00:27:37,422 ですから 私は おそばにいられるだけで 本望なのです。 261 00:27:39,925 --> 00:27:46,632 お前 まさか…。 262 00:27:49,935 --> 00:27:57,943 どうか 紀伊をこのまま 若旦那様のおそばに置いて下さいまし。 263 00:28:07,219 --> 00:28:10,222 紀伊…。 264 00:28:18,230 --> 00:28:41,086 ♬~ 265 00:28:41,086 --> 00:28:46,592 広一郎と紀伊 惹かれ合う2人に 大きな試練が降りかかる。 266 00:28:46,592 --> 00:28:49,928 果たして 身分違いの恋の行方は…? 267 00:28:49,928 --> 00:28:53,932 「だれかに話したくなる 山本周五郎日替わりドラマ」。