1 00:00:04,970 --> 00:00:08,800 今日の舞台は 京都。 2 00:00:08,800 --> 00:00:13,500 歴史と文化が織り成す 1000年の都です。 3 00:00:15,560 --> 00:00:20,870 日本屈指の観光地。 年間 5,000万人が訪れる 4 00:00:22,460 --> 00:00:27,770 もう一つの顔があるんです。 でも その裏には 5 00:00:27,770 --> 00:00:31,100 夜空を舞うのは… 6 00:00:31,100 --> 00:00:34,770 ではなく 境内に住む ムササビです。 7 00:00:34,770 --> 00:00:38,770 こちらは 瓦の隙間で子育てする スズメ。 8 00:00:41,100 --> 00:00:45,100 街の中心を流れる鴨川には… 9 00:00:45,100 --> 00:00:50,300 オオサンショウウオが潜んでいます。 世界最大級の両生類 10 00:00:52,430 --> 00:00:54,770 実は 京都には 11 00:00:54,770 --> 00:01:00,260 生きものたちが いるんです。 この街ならではの環境を生かして暮らす 12 00:01:01,930 --> 00:01:07,130 お寺のコケの中にも 驚きの命の営みが。 13 00:01:08,700 --> 00:01:11,590 この生きものたちの暮らし 14 00:01:11,590 --> 00:01:16,230 深く関係しているというんです。 京都の歴史と文化に 15 00:01:16,230 --> 00:01:19,100 いったい どういうことなのか? 16 00:01:19,100 --> 00:01:23,100 ご案内しましょう! 京都の知られざる世界を 17 00:01:23,100 --> 00:01:26,900 ♬〜 18 00:01:30,430 --> 00:01:35,770 三方を ぐるりと山に囲まれた 京都市。 19 00:01:35,770 --> 00:01:38,430 最初に ご案内するのは 20 00:01:38,430 --> 00:01:41,930 神社仏閣が立ち並ぶ 東山。 21 00:01:44,100 --> 00:01:48,300 その山あいに たたずむ 法然院です。 22 00:01:51,770 --> 00:01:56,770 鎌倉時代の僧侶 法然ゆかりのお寺。 23 00:01:58,930 --> 00:02:02,970 建てられたのは およそ300年前。 24 00:02:02,970 --> 00:02:08,800 手入れしながら大切に守ってきました。 以来 境内の森を 25 00:02:08,800 --> 00:02:15,770 ♬〜 26 00:02:15,770 --> 00:02:21,560 (念仏を唱える声) 27 00:02:21,560 --> 00:02:27,770 僧侶たちの声が響きます。 早朝から 念仏を唱える 28 00:02:27,770 --> 00:02:31,430 (念仏を唱える声) 29 00:02:31,430 --> 00:02:34,330 (鐘の音) 30 00:02:34,330 --> 00:02:38,100 午後4時。 鐘の音が鳴ると 31 00:02:38,100 --> 00:02:41,970 お寺の一日が終わります。 32 00:02:41,970 --> 00:02:44,970 (鐘の音) 33 00:02:49,700 --> 00:02:56,770 もう一つの世界が動きだします。 それとともに 境内の森で 34 00:02:56,770 --> 00:03:01,800 (鳴き声) 35 00:03:01,800 --> 00:03:05,430 木の枝に止まる こちらの鳥。 36 00:03:05,430 --> 00:03:08,770 フクロウの仲間 アオバズクです。 37 00:03:08,770 --> 00:03:13,590 この森へ やってきます。 毎年 春に 東南アジアなどから 38 00:03:13,590 --> 00:03:17,930 ♬〜 39 00:03:17,930 --> 00:03:21,430 おっ! 何かを捕まえました。 40 00:03:21,430 --> 00:03:25,590 アオバズクは 昆虫専門のハンター。 41 00:03:25,590 --> 00:03:29,930 ガや クワガタなどを 空中で捕らえます。 42 00:03:29,930 --> 00:03:34,130 とった獲物を オスがメスにプレゼント。 43 00:03:37,430 --> 00:03:42,430 お寺の森で子育てをするんです。 こうして つがいになり 44 00:03:44,100 --> 00:03:47,000 また別の鳥がいます。 45 00:03:47,000 --> 00:03:50,590 巣立ったばかりの 幼いフクロウです。 46 00:03:50,590 --> 00:03:53,100 (鳴き声) 47 00:03:53,100 --> 00:03:58,590 しばらくすると… 親鳥が来ました。 48 00:03:58,590 --> 00:04:02,300 獲物のカエルを与えています。 49 00:04:05,100 --> 00:04:09,590 毎年 子どもを育てるんです。 フクロウも ここで 50 00:04:12,840 --> 00:04:17,430 夜のお寺に 人々が集まっています。 51 00:04:17,430 --> 00:04:22,100 自然観察会です。 地域の子どもたちも参加する 52 00:04:22,100 --> 00:04:25,100 みんなが探しているのは…。 53 00:04:33,590 --> 00:04:36,100 こちら! 54 00:04:36,100 --> 00:04:40,800 この生きもの。 軽快な身のこなしで木の上を移動する 55 00:04:43,230 --> 00:04:46,030 正体は ムササビです。 56 00:04:47,770 --> 00:04:53,230 日本最大のリスの仲間。 全長80センチほどもある 57 00:04:53,230 --> 00:04:56,740 一生の ほとんどを 木の上で過ごします。 58 00:04:58,930 --> 00:05:01,770 あっ 飛びました! 59 00:05:01,770 --> 00:05:05,970 ムササビの得意技 滑空です。 これが 60 00:05:08,930 --> 00:05:12,430 木々の間をすり抜けて飛んでいきます。 61 00:05:15,230 --> 00:05:19,100 滑空の秘密は 前足と後ろ足の間の 62 00:05:19,100 --> 00:05:21,900 この「飛膜」です。 63 00:05:25,870 --> 00:05:30,100 飛び出したムササビの前足に ご注目! 64 00:05:30,100 --> 00:05:34,430 飛膜が 指先より外側にも広がっています。 65 00:05:34,430 --> 00:05:37,460 前足の付け根に 軟骨があり 66 00:05:37,460 --> 00:05:42,660 大きくすることができるんです。 これを開くことで 飛膜の面積を 67 00:05:44,770 --> 00:05:50,070 遠くまで飛ぶんです。 こうして空気をより多く受け 68 00:05:51,630 --> 00:05:56,930 飛膜を立てるようにして減速。 一方 止まるときは 69 00:05:58,770 --> 00:06:05,100 効率よく渡り歩くことができるんです。 この滑空術で ムササビは 木から木へと 70 00:06:05,100 --> 00:06:10,770 ♬〜 71 00:06:10,770 --> 00:06:16,770 100メートル以上にもなるといいます。 一度の移動距離は 最大で 72 00:06:20,430 --> 00:06:25,300 主な食べ物は 植物の葉っぱや実 花など。 73 00:06:25,300 --> 00:06:31,930 滑空は便利なんです。 高い枝先にある食料を探す際にも 74 00:06:31,930 --> 00:06:36,430 欠かせない場所があります。 そんなムササビにとって 75 00:06:41,630 --> 00:06:46,840 顔を出しています。 折れた幹の付け根に開いた穴から 76 00:06:48,460 --> 00:06:53,100 ムササビの巣になるんです。 こうした木のウロが 77 00:06:53,100 --> 00:06:55,770 ここだよ〜 かわいい。 78 00:06:55,770 --> 00:06:57,800 ここ見えるよ ここ。 79 00:06:57,800 --> 00:06:59,800 かわいい。 80 00:07:01,590 --> 00:07:06,100 近くの別の木のウロでは 親子の姿も発見。 81 00:07:06,100 --> 00:07:09,000 (歓声) 82 00:07:09,000 --> 00:07:16,430 40年近く続く観察会。 お寺の協力のもと 市民グループが主催し 83 00:07:16,430 --> 00:07:20,590 実感してほしいと 身近な自然の中にある豊かさを 84 00:07:20,590 --> 00:07:23,800 リーダーの久山さんは考えています。 85 00:07:34,130 --> 00:07:38,000 長年の観察から 法然院の境内には 86 00:07:38,000 --> 00:07:40,970 ムササビが 10匹以上やってきて 87 00:07:40,970 --> 00:07:45,100 分かってきました。 毎年 繁殖するものもいることが 88 00:07:45,100 --> 00:07:48,100 お寺は 人気スポットなんですね〜! 89 00:07:48,100 --> 00:07:51,230 なんですか? ヒゲじい。 ちょ… ちょっと待った! 90 00:07:51,230 --> 00:07:55,430 わざわざ お寺の森に住むの? いや ムササビたちは なんで 91 00:07:55,430 --> 00:07:59,590 暮らせばいいじゃない。 周りは山なんだし もっと広〜い場所で 92 00:07:59,590 --> 00:08:02,930 ムササビは住んでいます。 もちろん 山にも 93 00:08:02,930 --> 00:08:06,800 一等地なんですよ。 でも お寺は そこと比べても 94 00:08:06,800 --> 00:08:09,100 どんな? 95 00:08:09,100 --> 00:08:14,770 食べ物が手に入らないと 暮らせません。 ムササビは冬眠しないので 一年を通して 96 00:08:14,770 --> 00:08:18,930 お寺には 人が植えたものも含め ほうほうほう。 97 00:08:18,930 --> 00:08:21,840 たくさんの種類の植物があります。 98 00:08:21,840 --> 00:08:25,100 ムササビたちは 花や実の時期が違うので 99 00:08:25,100 --> 00:08:29,590 あ〜 なるほど。 いつでも 食べ物に ありつけるんです。 100 00:08:29,590 --> 00:08:33,230 ウロのある古い木が多く さらに お寺には 101 00:08:33,230 --> 00:08:37,100 ほほう ですな。 巣作りにも ぴったりです。 102 00:08:37,100 --> 00:08:40,000 こうした環境が残されているのには 103 00:08:40,000 --> 00:08:44,770 関係しているんですよ。 仏教的な 生きものへの向き合い方が 104 00:08:44,770 --> 00:08:47,430 え〜 どんな? 105 00:08:47,430 --> 00:08:53,130 こう考えています。 法然院の住職である 梶田真章さんは 106 00:09:13,590 --> 00:09:18,230 数百年にわたって そうやって 歴代のお坊さんたちが 107 00:09:18,230 --> 00:09:22,770 大切に守ってきたというんです。 古い木や多様な植物を 108 00:09:22,770 --> 00:09:27,430 快適に暮らせるんですよ。 だから ムササビやフクロウたちが 109 00:09:27,430 --> 00:09:29,360 うん なるほど。 110 00:09:29,360 --> 00:09:32,300 こんな つながりが あったなんて。 生きものと お寺に 111 00:09:32,300 --> 00:09:37,000 ジーンと感激しました なんて。 寺院だけに 112 00:09:38,770 --> 00:09:41,230 京都の生きもの ご案内! 113 00:09:41,230 --> 00:09:46,770 次は 鴨川に程近いお寺 要法寺へ。 114 00:09:46,770 --> 00:09:52,070 生きものの暮らしが あるんですよ。 ここにも 京都ならではの 115 00:09:54,930 --> 00:09:57,970 門の飾りに ご注目。 116 00:09:57,970 --> 00:10:00,800 あれ? 中に スズメが! 117 00:10:00,800 --> 00:10:03,630 なんと 子育てしています。 118 00:10:03,630 --> 00:10:10,630 スズメの巣作りに ぴったりなんです。 こうしたお寺の建物や 装飾の隙間は 119 00:10:13,100 --> 00:10:18,590 毎年 池で繁殖する カモ。 このお寺の人気者が 120 00:10:18,590 --> 00:10:22,430 この年は 6羽が ふ化しました。 121 00:10:22,430 --> 00:10:30,170 ♬〜 122 00:10:30,170 --> 00:10:34,970 1か月後。 再び お寺を訪ねると…。 123 00:10:37,430 --> 00:10:40,740 おや? 池から出てきています。 124 00:10:42,770 --> 00:10:46,430 もっと広い場所が必要になると 成長して 125 00:10:46,430 --> 00:10:51,230 鴨川へ引っ越すんです。 700メートルほど離れた 126 00:10:51,230 --> 00:10:55,230 毎年 地域の人々も付き添います。 127 00:11:07,740 --> 00:11:11,030 お巡りさんも交通整理。 128 00:11:12,630 --> 00:11:16,770 20年ほど前から カモが お寺に暮らすようになった 129 00:11:16,770 --> 00:11:21,770 見守るようになりました。 街のみんなで この引っ越しを 130 00:11:24,630 --> 00:11:28,330 目指す鴨川は 街の中心。 131 00:11:30,100 --> 00:11:34,300 交通量の多い場所では 気が抜けません。 132 00:11:36,870 --> 00:11:42,660 もう ゴールは目前です。 難関の横断歩道を突破 133 00:11:42,660 --> 00:11:45,170 よいしょっと。 134 00:11:47,100 --> 00:11:52,400 そして… ついに 鴨川に到着! 135 00:11:54,770 --> 00:11:59,560 ふ〜 カモも皆さんも お疲れさまでした! 136 00:12:02,100 --> 00:12:09,590 京都の街の中心部を流れる 鴨川。 さあ カモと一緒に やってきたのは 137 00:12:11,230 --> 00:12:16,230 多くの人々に親しまれています。 大都市の憩いの場として 138 00:12:19,430 --> 00:12:23,740 意外な生きものが住んでいます。 そんな鴨川に 139 00:12:27,100 --> 00:12:33,770 ♬〜 140 00:12:33,770 --> 00:12:38,970 世界最大級の両生類。 大きさ1メートルを超える 141 00:12:43,770 --> 00:12:47,100 魚を待ち伏せして…。 142 00:12:47,100 --> 00:12:49,590 おおっと! 143 00:12:51,770 --> 00:12:57,560 水ごと丸飲みにします。 目にもとまらぬ速さで 144 00:12:57,560 --> 00:13:02,460 60年以上 生きるともいわれる 鴨川の主。 145 00:13:02,460 --> 00:13:06,660 京都の街を見つめてきたのかも…。 水中から 146 00:13:08,300 --> 00:13:13,590 深くつながってきた 鴨川。 平安時代から 都の文化と 147 00:13:15,930 --> 00:13:18,840 浮世絵師 歌川広重も 148 00:13:18,840 --> 00:13:23,840 鴨川の風景を描きました。 人々が夕涼みに訪れる 149 00:13:25,590 --> 00:13:31,770 およそ30キロの川で 鴨川は 京都市北部の山から流れ出る 150 00:13:31,770 --> 00:13:35,430 流域の7割が山地です。 151 00:13:35,430 --> 00:13:39,300 鴨川で見られる魚は 20種以上。 152 00:13:39,300 --> 00:13:41,770 山と街が近いため 153 00:13:41,770 --> 00:13:46,560 保たれているんです。 魚やオオサンショウウオの住める清流が 154 00:13:49,430 --> 00:13:57,100 市民による設置作業。 こちらは 魚の遡上を助ける魚道の 155 00:13:57,100 --> 00:14:02,900 大切にされてきた川なんです。 今も昔も 京都の人々に愛され 156 00:14:05,430 --> 00:14:10,100 そんな鴨川を訪れる 常連客がいます。 157 00:14:10,100 --> 00:14:14,770 サギです。 魚が主食の水鳥 158 00:14:14,770 --> 00:14:19,100 サギの仲間。 水辺の名ハンターとして知られる 159 00:14:19,100 --> 00:14:22,800 でも ちょっと様子が違うものもいます。 160 00:14:25,230 --> 00:14:28,430 こちら。 ゴイサギです。 161 00:14:28,430 --> 00:14:32,230 夜行性ですが 大きさ60センチほど。 162 00:14:32,230 --> 00:14:36,930 昼も活動することがあります。 遡上する魚を求め 163 00:14:40,770 --> 00:14:44,260 早速 魚を探している様子。 164 00:14:46,230 --> 00:14:48,300 いった! 165 00:14:48,300 --> 00:14:51,070 あれ? 失敗です。 166 00:14:51,070 --> 00:14:56,770 ♬〜 167 00:14:56,770 --> 00:15:00,430 う〜ん 残念 また失敗。 168 00:15:00,430 --> 00:15:04,230 ♬〜 169 00:15:04,230 --> 00:15:06,230 さらに…。 170 00:15:08,100 --> 00:15:11,770 転びかけています。 おおっと 171 00:15:11,770 --> 00:15:14,660 なんだか不器用…。 172 00:15:14,660 --> 00:15:18,100 10年以上 撮り続けている そんなゴイサギを 173 00:15:18,100 --> 00:15:21,400 写真家の水中伸浩さんです。 174 00:15:43,100 --> 00:15:48,800 サギ同士 場所取り合戦に。 狩りが しやすいポイントでは 175 00:15:50,430 --> 00:15:55,930 なかなか割り込めません。 でも 性格の おとなしい ゴイサギは 176 00:15:55,930 --> 00:15:59,130 追いやられてばっかりです。 177 00:16:01,800 --> 00:16:04,800 ♬〜 178 00:16:04,800 --> 00:16:08,500 反撃を試みることも ありますが…。 179 00:16:10,230 --> 00:16:13,430 やっぱり 負けちゃいました。 180 00:16:13,430 --> 00:16:21,100 ♬〜 181 00:16:21,100 --> 00:16:25,930 他のサギが いないところで 待ち構え… 182 00:16:25,930 --> 00:16:28,590 魚をゲット! 183 00:16:28,590 --> 00:16:30,900 やった〜! 184 00:16:32,460 --> 00:16:38,230 後ろから 別のサギが! …と思ったら 185 00:16:38,230 --> 00:16:41,430 魚を落としてしまいました。 186 00:16:43,590 --> 00:16:47,460 う〜ん なかなか うまくいきません。 187 00:16:47,460 --> 00:16:52,100 ♬〜 188 00:16:52,100 --> 00:16:57,230 でも ゴイサギの真骨頂は 粘り強さ。 189 00:16:57,230 --> 00:17:02,430 ♬〜 190 00:17:02,430 --> 00:17:05,230 そして ついに…! 191 00:17:08,930 --> 00:17:12,130 魚に ありつきました! 192 00:17:24,770 --> 00:17:30,430 京都の人々の 優しい まなざしが 生きものたちと それを見つめる 193 00:17:30,430 --> 00:17:33,230 都の川を輝かせます。 194 00:17:34,930 --> 00:17:41,590 お寺に ご案内しましょう! さあ 続いては そんな鴨川の源流にある 195 00:17:41,590 --> 00:17:47,230 およそ15キロ。 京都市街から上流へ向かうこと 196 00:17:47,230 --> 00:17:51,930 山あいに見えてきたのが 志明院です。 197 00:17:53,590 --> 00:17:57,100 ここは 鴨川の源流を守るため 198 00:17:57,100 --> 00:18:01,800 平安時代の僧侶 空海が建てたお寺です。 199 00:18:03,930 --> 00:18:12,130 鴨川の源として信仰されてきました。 境内の奥の岩窟から染み出る水は 200 00:18:14,930 --> 00:18:18,590 教えてくれるのは このお寺の知られざる魅力を 201 00:18:18,590 --> 00:18:21,630 生態学者の 今田弓女博士です。 202 00:18:21,630 --> 00:18:24,430 何かを探しています。 203 00:18:26,930 --> 00:18:31,100 向かったのは コケむした岩場。 204 00:18:31,100 --> 00:18:34,970 夢中になって研究しているのは 今田さんが 205 00:18:34,970 --> 00:18:39,430 志明院に生える 極上のコケ! 206 00:18:39,430 --> 00:18:43,740 小さな生きものだといいます。 …の上で暮らす 207 00:18:45,590 --> 00:18:49,100 捜索を始めて1時間。 208 00:18:59,590 --> 00:19:02,560 えっ? どこ どこ? 209 00:19:02,560 --> 00:19:05,430 わ〜 コケそっくり。 210 00:19:05,430 --> 00:19:08,230 大きさ わずか1センチ。 211 00:19:08,230 --> 00:19:11,770 ガガンボの仲間の幼虫です。 212 00:19:11,770 --> 00:19:16,430 土の中に住んでいますが 多くのガガンボの幼虫は 213 00:19:16,430 --> 00:19:19,770 コケの上で コケを食べて暮らし この種は 214 00:19:19,770 --> 00:19:22,770 こんな姿になったといいます。 215 00:19:38,770 --> 00:19:43,100 京都のお寺を彩る 美しいコケ。 216 00:19:43,100 --> 00:19:46,590 コケむした場所があるのには あちこちのお寺に 217 00:19:46,590 --> 00:19:49,400 地形が関係しています。 218 00:19:51,230 --> 00:19:55,430 三方を山に囲まれた 京都盆地。 219 00:19:55,430 --> 00:19:59,930 地下に たまりやすい地形です。 降った雨が集まり 220 00:19:59,930 --> 00:20:07,590 盆地のあちこちで湧き出します。 その地下水は 琵琶湖の水の量に匹敵し 221 00:20:07,590 --> 00:20:12,460 そこに 多くのお寺や神社が開かれました。 222 00:20:12,460 --> 00:20:15,770 湧き水の周りは 湿度が高く 223 00:20:15,770 --> 00:20:19,590 潤いが長もちするため さらに 盆地のおかげで 224 00:20:19,590 --> 00:20:22,900 コケの生育に ぴったりなんです。 225 00:20:26,100 --> 00:20:31,800 支えているといいます。 このコケが 他の生きものの暮らしを 226 00:20:49,770 --> 00:20:54,070 研究のモチベーションになってます。 …っていうのが 227 00:20:55,630 --> 00:20:59,930 つながっているんでしょうか? コケは どんなふうに 生きものと 228 00:21:01,770 --> 00:21:05,430 法然院で出会ったのは オオルリ。 229 00:21:05,430 --> 00:21:09,930 お寺の軒先で子育て中のようです。 230 00:21:09,930 --> 00:21:15,430 コケで できています。 その巣をよく見てみると 231 00:21:15,430 --> 00:21:20,430 泥で固めて作られているんです。 何種類ものコケを 232 00:21:22,100 --> 00:21:28,400 周りのコケを利用します。 オオルリは 本来 渓流沿いの森に暮らし 233 00:21:29,970 --> 00:21:35,230 豊富にある京都のお寺は 巣の材料となる さまざまな種類のコケが 234 00:21:35,230 --> 00:21:38,930 ぴったりの環境だったんですね。 オオルリに 235 00:21:41,930 --> 00:21:45,800 コケを利用する生きものもいます。 意外な方法で 236 00:21:45,800 --> 00:21:48,800 ワラジムシが歩いていると…。 237 00:21:48,800 --> 00:21:50,800 うわっ! 238 00:21:52,560 --> 00:21:54,770 いったい 何事? 239 00:21:56,430 --> 00:21:59,330 コケのじゅうたんから現れたのは 240 00:21:59,330 --> 00:22:02,100 なんと クモ! 241 00:22:02,100 --> 00:22:06,900 地中の巣で待ち伏せしていたんです。 近くを通る獲物を 242 00:22:08,590 --> 00:22:13,230 ポイントは コケでできた 巣のフタ。 243 00:22:13,230 --> 00:22:17,530 このフタ クモが自分自身で作るんです。 244 00:22:19,930 --> 00:22:26,430 クモの糸を使って固めていきます。 土とコケを集め おなかから出す 245 00:22:26,430 --> 00:22:30,590 ♬〜 246 00:22:30,590 --> 00:22:35,430 周囲に完璧に溶け込むフタが完成。 こうして 247 00:22:35,430 --> 00:22:38,130 いや〜 お見事です! 248 00:22:41,590 --> 00:22:46,800 恐るべきハンターのクモ。 お寺の庭に隠れ住む 249 00:22:48,360 --> 00:22:52,170 生きものがいます。 しかし さらに うわての 250 00:22:53,930 --> 00:22:58,430 こちらのクモの巣。 フタが開くと… 251 00:22:58,430 --> 00:23:03,100 なんと 中から キノコが伸びてきました! 252 00:23:03,100 --> 00:23:08,430 ♬〜 253 00:23:08,430 --> 00:23:13,770 菌類にとっても好都合。 湿ったコケの環境は 254 00:23:13,770 --> 00:23:17,590 クモタケという菌が クモに寄生し 255 00:23:17,590 --> 00:23:21,400 その体を栄養にして育つんです。 256 00:23:24,770 --> 00:23:29,430 つながり合う コケの庭。 さまざまな生きものが 257 00:23:29,430 --> 00:23:34,740 人の営みです。 そんな命の小宇宙を守っているのが 258 00:23:36,300 --> 00:23:39,430 美しいコケの庭を保つには 259 00:23:39,430 --> 00:23:43,100 日々の手入れが欠かせません。 落ち葉掃除など 260 00:23:43,100 --> 00:23:49,100 守ることに つながっているんです。 これが コケに頼って暮らす生きものを 261 00:24:05,100 --> 00:24:08,100 秋の終わり。 262 00:24:08,100 --> 00:24:13,770 鮮やかに色づきます。 森からつながる法然院の境内が 263 00:24:13,770 --> 00:24:18,430 ♬〜 264 00:24:18,430 --> 00:24:22,130 (鐘の音) 265 00:24:24,590 --> 00:24:29,770 聞こえてきました。 夜。 ムササビの鳴き声が 266 00:24:29,770 --> 00:24:34,630 高い音で激しく鳴くのは オス。 (鳴き声) 267 00:24:34,630 --> 00:24:36,630 (鳴き声) 268 00:24:38,460 --> 00:24:42,970 やってきたんです。 ムササビたちの繁殖の季節が 269 00:24:45,230 --> 00:24:48,740 木のウロをのぞき込むオス。 270 00:24:52,000 --> 00:24:54,970 これは メスの巣穴。 271 00:24:54,970 --> 00:24:58,660 外から メスがいるか確認しているんです。 272 00:25:01,800 --> 00:25:04,630 (鳴き声) 273 00:25:04,630 --> 00:25:08,500 あっ メスが顔を出しました。 274 00:25:08,500 --> 00:25:14,770 繁殖期の たった1日。 メスが オスを受け入れるのは 275 00:25:14,770 --> 00:25:19,560 オスは必死に求愛します。 チャンスを逃さないよう 276 00:25:21,930 --> 00:25:25,130 そうこうしているうちに…。 277 00:25:26,800 --> 00:25:30,930 なんと 他のオスが登場。 278 00:25:30,930 --> 00:25:35,230 オスたちの 恋のバトルが始まりました。 279 00:25:35,230 --> 00:25:39,430 ♬〜 280 00:25:39,430 --> 00:25:44,740 激しい戦い。 時に 命を落とすものもいるという 281 00:25:46,300 --> 00:25:50,770 メスも その戦いの行方を見守ります。 282 00:25:50,770 --> 00:25:57,230 ♬〜 283 00:25:57,230 --> 00:26:03,100 ムササビたちの命の営み。 お寺の森を舞台にした 284 00:26:03,100 --> 00:26:09,430 ♬〜 285 00:26:09,430 --> 00:26:14,770 繰り返されてきたんです。 こうして 昔から ず〜っと 286 00:26:14,770 --> 00:26:21,930 ♬〜 287 00:26:21,930 --> 00:26:26,100 1000年の都 京都。 288 00:26:26,100 --> 00:26:29,930 人間の歴史と文化が 意外な形で 289 00:26:29,930 --> 00:26:33,430 つながっていました。 生きものたちの暮らしと 290 00:26:36,100 --> 00:26:39,430 自然と人々が織り成す物語は 291 00:26:39,430 --> 00:26:43,740 きっと続いていくことでしょう。 これからも 292 00:27:03,590 --> 00:27:05,530 小学生のときに見た 293 00:27:05,530 --> 00:27:07,460 「ダーウィンが来た!」をきっかけに 294 00:27:07,460 --> 00:27:09,930 将来の夢を持ちました。 295 00:27:09,930 --> 00:27:15,130 大学院では魚の研究に没頭。 生物学を志し 296 00:27:24,930 --> 00:27:27,970 「ダーウィンが来た!」で …と こんなふうに 297 00:27:27,970 --> 00:27:30,740 人生が変わった 皆さんのエピソードを 298 00:27:30,740 --> 00:27:33,100 大募集していま〜す! 299 00:27:33,100 --> 00:27:35,100 応募は ホームページから! 300 00:27:35,100 --> 00:27:39,970 教えてください! あなたと ダーウィンの物語 301 00:27:39,970 --> 00:27:41,970 お待ちしておりますぞ! お便り イラストも