1 00:00:33,920 --> 00:00:36,055 (お俊)お父っつぁん! 2 00:00:36,055 --> 00:00:40,226 <伝七の女房 お俊の父親 米次は➡ 3 00:00:40,226 --> 00:00:44,097 お俊が16の時 誤って人を殺めた罪で➡ 4 00:00:44,097 --> 00:00:46,597 島送りに処せられた> 5 00:00:48,902 --> 00:00:52,572 <そして 去年 伝七と お俊は➡ 6 00:00:52,572 --> 00:00:57,443 米次が島で死んだという知らせを 耳にした。➡ 7 00:00:57,443 --> 00:00:59,743 しかし…> 8 00:01:02,916 --> 00:01:05,752 (米次)ひっ! 松蔵! 9 00:01:05,752 --> 00:01:10,590 (松蔵) お前が やらなきゃ いつか…➡ 10 00:01:10,590 --> 00:01:12,926 俺が やってた。 11 00:01:12,926 --> 00:01:16,596 松蔵…。 12 00:01:16,596 --> 00:01:21,267 <米次は生きて 江戸にいた> 13 00:01:21,267 --> 00:01:40,567 ♬~ 14 00:01:44,891 --> 00:01:47,927 蔵の金を そっくり持っていかれたんだね? 15 00:01:47,927 --> 00:01:52,231 大坂での 商いの売り上げが➡ 16 00:01:52,231 --> 00:01:55,134 昨日届いたところでございます。 17 00:01:55,134 --> 00:01:59,906 は~。 (早瀬)その夜のうちに押し込みか。 18 00:01:59,906 --> 00:02:03,242 あっ 読めたぞ! 19 00:02:03,242 --> 00:02:06,579 金が届く事を 知っている者の仕業だ。 20 00:02:06,579 --> 00:02:10,249 金だけではないのでございます。➡ 21 00:02:10,249 --> 00:02:14,420 親の代から買い集めた 骨とうまで…➡ 22 00:02:14,420 --> 00:02:18,925 洗いざらい 持っていかれました。 23 00:02:18,925 --> 00:02:21,594 (番頭)押し入れの中のものまで 次々と…。 24 00:02:21,594 --> 00:02:24,594 (文治)勝手知ったる何とやらか。 25 00:02:26,265 --> 00:02:29,168 親分。 賊は 家内の様子を➡ 26 00:02:29,168 --> 00:02:31,104 よ~く知っていたようですぜ。 うん。 27 00:02:31,104 --> 00:02:33,539 (勘太)中に 手引きしている者が いるんじゃねえですか。 28 00:02:33,539 --> 00:02:38,044 う~ん… 二十日前に 亀岡屋に押し入った賊と➡ 29 00:02:38,044 --> 00:02:40,546 そっくり 手口が同じだなぁ。 30 00:02:40,546 --> 00:02:45,418 へえ 一月前に襲われた上総屋も その前の大島屋もです。 31 00:02:45,418 --> 00:02:48,888 …て事は 同じ一味が 立て続けに大店を…? 32 00:02:48,888 --> 00:02:50,823 見事なもんだ。 33 00:02:50,823 --> 00:02:54,123 うむ… 全くなぁ。 34 00:02:56,229 --> 00:02:58,898 ばか者! 盗っ人に 好き放題やられて➡ 35 00:02:58,898 --> 00:03:01,734 感心してる場合か! ったく! 36 00:03:01,734 --> 00:03:04,070 怪しいやつを見てねえか しらみっつぶしに➡ 37 00:03:04,070 --> 00:03:06,105 聞いて回るからな。 (2人)へい。 38 00:03:06,105 --> 00:03:09,876 おおっ! (お玉)あ 親分さん すいません! 39 00:03:09,876 --> 00:03:12,245 失礼致しました。 いやいや 大丈夫だよ。 ヘヘッ。 40 00:03:12,245 --> 00:03:14,914 (お滝)お玉! 水は むやみに➡ 41 00:03:14,914 --> 00:03:17,817 まき散らすものではありません! はい…。 42 00:03:17,817 --> 00:03:21,788 お召し物は ぬれませんでしたか? へいへい。 あれ? 43 00:03:21,788 --> 00:03:24,590 打ち水は 場を清めるものと 教えましたよ。 44 00:03:24,590 --> 00:03:27,260 もっと丁寧に おやんなさい。 へい。 45 00:03:27,260 --> 00:03:29,929 おっかねえ おばさんだなぁ。 ああ。 46 00:03:29,929 --> 00:03:32,429 あの… お滝さんじゃ…? 47 00:03:33,900 --> 00:03:38,738 あ…。 やっぱり お滝さんだ! 48 00:03:38,738 --> 00:03:42,508 この面に 見覚えはありやせんか? 49 00:03:42,508 --> 00:03:44,577 伝七さん? 50 00:03:44,577 --> 00:03:47,346 へい! 51 00:03:47,346 --> 00:03:51,217 おやじは お店に出入りの鳶で あっしは ガキの時分には➡ 52 00:03:51,217 --> 00:03:54,887 よく 弁当を届けに お邪魔した事がありやす。 53 00:03:54,887 --> 00:03:57,557 親分の知り合いですか? 54 00:03:57,557 --> 00:04:00,460 今は お上の御用を務めておりやす。 55 00:04:00,460 --> 00:04:03,729 そうですか。 ご立派になられましたね。 56 00:04:03,729 --> 00:04:06,766 ハハッ とんでもねえ! ああ… 実は➡ 57 00:04:06,766 --> 00:04:09,902 ゆんべ 平野屋に盗っ人が入りやした。 58 00:04:09,902 --> 00:04:12,572 何か怪しい物音なんぞ 聞いてねえか➡ 59 00:04:12,572 --> 00:04:16,442 聞いて回っておりやすが…。 いえ 私は何も…。 60 00:04:16,442 --> 00:04:19,445 あ さいですか。 何か思い出しましたら➡ 61 00:04:19,445 --> 00:04:22,582 自身番に届けて下さいやし。 62 00:04:22,582 --> 00:04:25,618 町方も 物騒になったもんですね。 63 00:04:25,618 --> 00:04:27,818 へえ…。 64 00:04:29,455 --> 00:04:33,526 (藤助)丸高屋のお滝さんといやあ 昔は評判の小町娘で➡ 65 00:04:33,526 --> 00:04:36,429 おかぼれしてる若え連中が たくさん いたんだぜ。 66 00:04:36,429 --> 00:04:39,398 フフフフフ…。 あ 親分も その一人だったなぁ。 67 00:04:39,398 --> 00:04:44,537 な… 何言ってんだよ もう。 ヘヘヘ 図星らしいや。 68 00:04:44,537 --> 00:04:48,374 図星って 何が? (せきこみ) 69 00:04:48,374 --> 00:04:51,410 おかみさん お産の帰りですかい? 70 00:04:51,410 --> 00:04:54,180 そうだけど…。 どうかしたの? 71 00:04:54,180 --> 00:04:56,249 え… いや… 別に 何でもねえよ。 72 00:04:56,249 --> 00:04:58,885 な~に ちょいと 昔 ほれていた娘も 今じゃ➡ 73 00:04:58,885 --> 00:05:02,388 おっかねえ年増だから おかみさんが案ずる事は…。 74 00:05:02,388 --> 00:05:04,588 …ほれていた? 75 00:05:08,060 --> 00:05:15,935 ♬~ 76 00:05:15,935 --> 00:05:19,071 お滝さんって人 30年も奥勤めを? 77 00:05:19,071 --> 00:05:21,107 うん 新発田5万石➡ 78 00:05:21,107 --> 00:05:23,242 溝口様の江戸屋敷だ。 79 00:05:23,242 --> 00:05:25,278 滝川って お名前を頂戴して➡ 80 00:05:25,278 --> 00:05:28,414 奥方様のおそば近くに 仕えていたんだとさ。 81 00:05:28,414 --> 00:05:31,184 へえ~。 屋敷を下がったら➡ 82 00:05:31,184 --> 00:05:34,854 さぞ いいところに嫁ぐだろうなと 言われていたっけが➡ 83 00:05:34,854 --> 00:05:37,523 奥方様が亡くなるまで 勤め上げて➡ 84 00:05:37,523 --> 00:05:40,860 とうとう 行かず後家になっちまったな。 85 00:05:40,860 --> 00:05:43,763 (小春)あら お大名のお屋敷で 出世したのなら➡ 86 00:05:43,763 --> 00:05:47,200 ご立派じゃない。 あ~ 私も 一度でいいから➡ 87 00:05:47,200 --> 00:05:50,536 御殿に上がってみたいなぁ。 何言ってんだよ! 88 00:05:50,536 --> 00:05:54,407 早いとこ もらい手 見つけねえと ますます 行き遅れるぞ。 89 00:05:54,407 --> 00:05:58,878 看板娘がいなくなったら こんな店 すぐに潰れちまうよ! 90 00:05:58,878 --> 00:06:02,748 誰が看板娘だ。 あん! 俺は何なんだ? ん? 91 00:06:02,748 --> 00:06:06,052 いい男が身近にいるんだがなぁ。➡ 92 00:06:06,052 --> 00:06:08,252 あ~あ。 93 00:06:09,889 --> 00:06:15,061 [ 回想 ] ♬~(琴) 94 00:06:15,061 --> 00:06:41,854 ♬~ 95 00:06:41,854 --> 00:06:43,789 いてっ! いててててて…。 96 00:06:43,789 --> 00:06:47,489 伝七 来い。 いててててて…。 97 00:06:49,195 --> 00:06:51,864 あっ いててててて…! ちょいと 伝さん! 98 00:06:51,864 --> 00:06:54,900 いてててて…! あ こうしちゃいられねえんだよ。 99 00:06:54,900 --> 00:06:57,400 おい 行くぜ! (2人)へい! 100 00:06:59,205 --> 00:07:01,140 ありがとよ。 101 00:07:01,140 --> 00:07:03,876 こら らち明かねえな。 こっからは手分けして捜そう。 102 00:07:03,876 --> 00:07:05,811 (2人)へい! 頼んだぜ。 103 00:07:05,811 --> 00:07:08,547 <平野屋の事件から数日➡ 104 00:07:08,547 --> 00:07:12,218 伝七たちは 近隣の聞き込みを続けたが➡ 105 00:07:12,218 --> 00:07:17,089 賊の手がかりは 一向に つかめなかった> 106 00:07:17,089 --> 00:07:19,091 (2人)親分! おう どうだい? 107 00:07:19,091 --> 00:07:21,091 こっちは 駄目でした。 108 00:07:28,768 --> 00:07:30,768 (万次郎)はいはい はい。 109 00:07:40,279 --> 00:07:42,515 (万次郎)大丈夫 大丈夫 大丈夫。 大丈夫。 110 00:07:42,515 --> 00:07:44,715 (あくび) 111 00:07:46,852 --> 00:07:50,552 (お滝)仙之助殿。 はい。 112 00:07:53,359 --> 00:07:57,229 東念寺に行ってまいります。 おっ母様の月命日ですから。 113 00:07:57,229 --> 00:07:59,865 行ってらっしゃい。 お早いお帰りを。 114 00:07:59,865 --> 00:08:01,801 この日は どうでしょう? 115 00:08:01,801 --> 00:08:04,704 三月先だけど 天赦日ですよ。 116 00:08:04,704 --> 00:08:09,542 万次郎の婚礼の日取りを 相談していたんです。 フフフフ。 117 00:08:09,542 --> 00:08:12,878 嫁を取るのも結構ですが その前に➡ 118 00:08:12,878 --> 00:08:16,749 跡取りとしての覚悟を しっかり仕込んで下さい。 119 00:08:16,749 --> 00:08:19,552 荷揚げを あくびしながら眺めていては➡ 120 00:08:19,552 --> 00:08:23,889 奉公人たちに示しがつきません。 (せきばらい) 121 00:08:23,889 --> 00:08:27,226 相すいません。 後で よ~く叱っておきます。 122 00:08:27,226 --> 00:08:29,161 (あくび) 123 00:08:29,161 --> 00:08:32,198 (万次郎) あ 伯母さん お出かけですか? 124 00:08:32,198 --> 00:08:36,698 じゃ 私も ちょいと…。 こら! 125 00:08:40,172 --> 00:08:44,872 くれぐれも 丸高屋の名を辱めぬように。 126 00:08:47,847 --> 00:08:51,684 どっちが主か 分かりゃしませんねぇ。 127 00:08:51,684 --> 00:08:55,521 おい! 姉さんは 何でも 自分が 正しいんでしょうよ。 128 00:08:55,521 --> 00:08:58,190 せんだっても 床の間の軸を掛け替えて。 129 00:08:58,190 --> 00:09:00,890 嫌みったらしいったら ありゃしない! 130 00:09:02,528 --> 00:09:10,828 (米次)らう~ すげ替え~。 131 00:09:20,379 --> 00:09:23,883 (お滝)丸高屋は 上下の別も けじめもなくなり➡ 132 00:09:23,883 --> 00:09:26,385 たがが外れたようです。 133 00:09:26,385 --> 00:09:30,055 仙之助も 奉公人たちも 私を軽んじて➡ 134 00:09:30,055 --> 00:09:32,491 言う事を聞きません。 135 00:09:32,491 --> 00:09:36,362 あ~ 情けない。 136 00:09:36,362 --> 00:09:39,662 (清瞭)いかがなされました? 137 00:09:49,508 --> 00:09:53,208 悩みがあるように お見受け致しますが…。 138 00:09:57,183 --> 00:10:02,054 (子どもたちが遊ぶ声) 139 00:10:02,054 --> 00:10:04,523 (戸をたたく音) 140 00:10:04,523 --> 00:10:07,023 ≪は~い どちら様? 141 00:10:11,197 --> 00:10:14,233 平野屋のおかみさん。 142 00:10:14,233 --> 00:10:16,733 お俊さん…。 143 00:10:20,873 --> 00:10:25,211 住職は 半年ほど前から 本山に修行に出まして➡ 144 00:10:25,211 --> 00:10:28,247 私が留守を預かっております。 145 00:10:28,247 --> 00:10:31,747 よろしくお願い申し上げます。 146 00:10:34,920 --> 00:10:37,790 お滝様は 長らく➡ 147 00:10:37,790 --> 00:10:42,228 お屋敷の奥勤めをなされていたと 伺っておりますが…。 148 00:10:42,228 --> 00:10:44,163 はい。 149 00:10:44,163 --> 00:10:48,734 お武家様と比べれば 町方の暮らしは➡ 150 00:10:48,734 --> 00:10:52,404 さぞ 気の緩んだものに 見えるでしょうな。 151 00:10:52,404 --> 00:10:54,340 え? 152 00:10:54,340 --> 00:10:58,911 なれど それを不満に思うのは➡ 153 00:10:58,911 --> 00:11:02,781 あなたの心に おごりがあるからです。 154 00:11:02,781 --> 00:11:07,086 あ… 何を仰せです。 私は 決して そのような…。 155 00:11:07,086 --> 00:11:12,258 いいえ。 あなたは武家奉公を 誇りに思うあまり➡ 156 00:11:12,258 --> 00:11:18,130 町方の者を見下し 今の暮らしに 不満を抱いておいでなのですよ。 157 00:11:18,130 --> 00:11:20,830 無礼でございましょう! 158 00:11:29,275 --> 00:11:31,243 こちらへ。 159 00:11:31,243 --> 00:11:45,224 ♬~ 160 00:11:45,224 --> 00:11:49,728 あの蓮も 濁った池などではなく➡ 161 00:11:49,728 --> 00:11:53,928 清流に根を下ろしたかったのかも しれません。 162 00:11:57,469 --> 00:12:02,241 つらい時は 寺においでなさい。 163 00:12:02,241 --> 00:12:06,441 御仏が導いて下さいます。 164 00:12:08,581 --> 00:12:10,881 …はい。 165 00:12:18,591 --> 00:12:20,626 (ため息) 166 00:12:20,626 --> 00:12:24,463 う~ん…。 167 00:12:24,463 --> 00:12:27,600 どうしたんだい? 渋い顔して。 168 00:12:27,600 --> 00:12:33,205 ああ 平野屋の一件 一向に 手がかりが つかめねえ。 169 00:12:33,205 --> 00:12:35,140 そう…。 170 00:12:35,140 --> 00:12:38,544 中を知るやつが手引きしたに 違えねえんだがなぁ。 171 00:12:38,544 --> 00:12:43,882 奉公人は皆 身元が確かな古株ばかりだ。 172 00:12:43,882 --> 00:12:48,220 平野屋さん 商いは大丈夫なんですか? 173 00:12:48,220 --> 00:12:52,725 いや… 諸方に支払う金の工面が つかねえらしい。 174 00:12:52,725 --> 00:12:58,397 親戚一同 集まって 店を畳む相談をしとるとさ。 175 00:12:58,397 --> 00:13:02,067 (ため息) 悪い事は重なるもんだねぇ。 176 00:13:02,067 --> 00:13:04,903 重なる? 何のこったい? 177 00:13:04,903 --> 00:13:11,577 それは…。 ああ そういや➡ 178 00:13:11,577 --> 00:13:13,612 あれから 会ったのかい? 179 00:13:13,612 --> 00:13:17,916 ん? 丸高屋のお滝さんさ。 え? 180 00:13:17,916 --> 00:13:21,587 今でも 大層 美人なんだってね。 181 00:13:21,587 --> 00:13:23,522 誰が そんな事…。 182 00:13:23,522 --> 00:13:26,925 あ~ また 勘太の野郎か うん…。 183 00:13:26,925 --> 00:13:30,796 やっぱり 伝さん ほれてたんだろう! 184 00:13:30,796 --> 00:13:34,733 いや~ 向こうは 大店のお嬢さんだぜ。 185 00:13:34,733 --> 00:13:38,871 職人のせがれ風情に… 高根の花だよ。 186 00:13:38,871 --> 00:13:43,208 高根の花ほど 手に入れたくなる って言うからね。 187 00:13:43,208 --> 00:13:48,881 30年も前の話だよ。 もう 今更 やきもちなんて みっともねえや。 188 00:13:48,881 --> 00:13:51,784 だって 伝さん 変に ごまかすからさぁ! 189 00:13:51,784 --> 00:13:54,553 (戸をたたく音) ≪(男)お俊さん いるかい? 190 00:13:54,553 --> 00:13:56,588 車坂町のお静さんが産気づいた! 191 00:13:56,588 --> 00:13:58,724 遅くに悪いが すぐに来てくんねえ! 192 00:13:58,724 --> 00:14:00,924 はい 今 行きますよ! 193 00:14:03,228 --> 00:14:07,066 お俊! これ 持っていきねえ。 194 00:14:07,066 --> 00:14:09,735 夜道に気を付けて。 しっかり やるんだぜ。 195 00:14:09,735 --> 00:14:13,235 あいよ。 お待たせしました。 お願えします。 196 00:14:21,246 --> 00:14:23,746 お俊…。 197 00:14:25,918 --> 00:14:29,254 あいにく 何も…。 そうかい…。 198 00:14:29,254 --> 00:14:34,526 ああ 立派に ご供養なされて。 拙僧 感服致しました。 199 00:14:34,526 --> 00:14:38,397 御仏のご加護がありますよう。 200 00:14:38,397 --> 00:14:41,700 今日は 先代の十三年忌法要で➡ 201 00:14:41,700 --> 00:14:45,000 奥が取り込んでおりまして。 ほ~う。 202 00:14:52,878 --> 00:14:55,547 きれいな坊さんだな。 203 00:14:55,547 --> 00:14:58,217 東念寺の清瞭様でございますよ。 204 00:14:58,217 --> 00:15:00,717 まるで 役者みてえですね。 205 00:15:11,230 --> 00:15:13,265 (お梶)しかつめ顔で うちにいられると➡ 206 00:15:13,265 --> 00:15:15,901 気が詰まりますから。 207 00:15:15,901 --> 00:15:18,570 (仙之助)そういう事を お言いでないよ。➡ 208 00:15:18,570 --> 00:15:22,741 ここよりほかに 頼るところのない人なんだから。 209 00:15:22,741 --> 00:15:25,778 どこかに 後妻の口でもないんですか? 210 00:15:25,778 --> 00:15:30,482 あの年で あの気性だよ。 もらい手があるものかね。 211 00:15:30,482 --> 00:15:37,022 (お梶)そうそう。 東念寺の清瞭様 いい男でしょ。➡ 212 00:15:37,022 --> 00:15:40,859 姉さん 年忌法要の相談だなんて 言ってるけど➡ 213 00:15:40,859 --> 00:15:45,059 案外 清瞭様が目当てなんじゃ…。 214 00:15:48,734 --> 00:15:52,871 悔しい…。 215 00:15:52,871 --> 00:15:59,211 法要の話は また 日を改めて。 216 00:15:59,211 --> 00:16:01,880 お心が静まりますよう➡ 217 00:16:01,880 --> 00:16:06,180 今日は 般若湯を差し上げましょう。 218 00:16:12,057 --> 00:16:18,564 (雨の音) 219 00:16:18,564 --> 00:16:21,900 お屋敷に上がると決まった時➡ 220 00:16:21,900 --> 00:16:27,773 親は 大層 喜びました 自慢の娘だと。 221 00:16:27,773 --> 00:16:31,710 奥方様にお仕えすると 決まった時には➡ 222 00:16:31,710 --> 00:16:36,415 立派な打ち掛けを あつらえてくれて…。 223 00:16:36,415 --> 00:16:44,523 だから 家の者は 私を 誇りに思ってくれてるとばかり。 224 00:16:44,523 --> 00:16:49,862 やっかい者と 思われていたなんて…。 225 00:16:49,862 --> 00:16:52,162 (ため息) 226 00:16:56,201 --> 00:17:02,901 あんな家 いっそ 出てしまいたい。 227 00:17:07,713 --> 00:17:12,217 出家して 共に諸国を巡りますか? 228 00:17:12,217 --> 00:17:15,120 え? 229 00:17:15,120 --> 00:17:20,092 お滝様 まずは よろいを脱いでごらんなさい。 230 00:17:20,092 --> 00:17:23,729 よろい…? 231 00:17:23,729 --> 00:17:27,900 あなたは 心に よろいをまとっておいでだ。 232 00:17:27,900 --> 00:17:30,802 身構えていては 人と打ち解けられず➡ 233 00:17:30,802 --> 00:17:35,173 寂しさは募るばかりです。 234 00:17:35,173 --> 00:17:38,510 そうかもしれません。 235 00:17:38,510 --> 00:17:41,847 でも どうにもできないのです。 236 00:17:41,847 --> 00:17:44,516 30年かけて身につけた➡ 237 00:17:44,516 --> 00:17:47,316 習い性ですもの。 238 00:17:52,257 --> 00:17:59,257 よろいを脱げば 身も心も軽くなりますよ。 239 00:18:04,202 --> 00:18:09,541 私が 手伝ってさしあげましょう。 240 00:18:09,541 --> 00:18:36,541 ♬~ 241 00:18:38,503 --> 00:18:43,675 (三次)もし お滝様!➡ 242 00:18:43,675 --> 00:18:46,475 お忘れでございますよ。 243 00:18:50,449 --> 00:18:53,249 世話をかけました。 244 00:18:59,224 --> 00:19:03,024 また 蒸してきやがったぜ。 245 00:19:06,064 --> 00:19:11,264 おやじ すげ替えてくれ。 へい。 246 00:19:19,478 --> 00:19:23,882 お頭 次の獲物は 丸高屋で決まりですね。 247 00:19:23,882 --> 00:19:27,582 三次か。 ほらよ。 248 00:19:29,221 --> 00:19:32,491 家内の様子は聞き出した。 有り金は もちろん➡ 249 00:19:32,491 --> 00:19:35,160 金になる品も そっくり頂くぜ。 250 00:19:35,160 --> 00:19:39,831 さすが 吉祥天の清吉だ。 取り澄ました女も➡ 251 00:19:39,831 --> 00:19:43,168 頭にかかっちゃ イチコロですね。 な~に➡ 252 00:19:43,168 --> 00:19:47,039 堅そうに見える女ほど 落ちる時は早えのさ。 253 00:19:47,039 --> 00:19:50,909 檀家の女をたらし込んで いい思いをした上に➡ 254 00:19:50,909 --> 00:19:53,879 押し込む先では「濡れ手で粟」。 255 00:19:53,879 --> 00:19:57,349 お頭 いい商売だねえ。 256 00:19:57,349 --> 00:20:02,020 坊主と密通していると知られちゃ 向こうも 身の破滅だから➡ 257 00:20:02,020 --> 00:20:05,857 ここで起きた事を 外で話される気遣いもねえ。 258 00:20:05,857 --> 00:20:09,728 「知らぬが仏」とは このこった。 259 00:20:09,728 --> 00:20:13,598 しかし… あの女➡ 260 00:20:13,598 --> 00:20:16,501 思ってたよりも うぶだったな。 261 00:20:16,501 --> 00:20:22,040 え? いや… 何でもねえ。 262 00:20:22,040 --> 00:20:24,876 (早瀬) まだ手がかりは つかめんのか!? 263 00:20:24,876 --> 00:20:28,176 申し訳ありやせん。 カッ。 264 00:20:30,215 --> 00:20:37,215 こうしてる間に もし また 押し込みに入られたら…。 265 00:20:41,226 --> 00:20:46,398 このわしが 責めを負うのかのう。 旦那…。 266 00:20:46,398 --> 00:20:48,333 伝七! へい! 267 00:20:48,333 --> 00:20:51,570 お前の その腰の十手は こけおどしか!? 268 00:20:51,570 --> 00:20:56,908 こ… このままでは わしも お前も お奉行に顔向けできんぞ! 269 00:20:56,908 --> 00:21:01,580 へい! 黒門町の伝七 この十手に懸けて➡ 270 00:21:01,580 --> 00:21:06,451 必ず 盗っ人どもを お縄に致しやす。 うむ。 271 00:21:06,451 --> 00:21:09,921 「十手に懸けて」なんて 言っちまって 大丈夫かな。 272 00:21:09,921 --> 00:21:14,593 また 盗みに入られたら 十手を お返しする事にもなりかねねえぜ。 273 00:21:14,593 --> 00:21:17,629 すまねえ。 ちゃんと前向いて歩け! 274 00:21:17,629 --> 00:21:20,265 すまねえな。 けが ねえかい? へい。 275 00:21:20,265 --> 00:21:24,769 おめえさん 前に 菊乃屋で会ったよな。 276 00:21:24,769 --> 00:21:27,606 あ ちょうどいいや。 たばこが切れてんだ。 277 00:21:27,606 --> 00:21:30,876 片づけてるところへ すまねえが 一玉くれねえか。 278 00:21:30,876 --> 00:21:32,876 へい。 279 00:21:38,550 --> 00:21:42,387 はいよ。 あ 旦那 こりゃ多すぎる。 280 00:21:42,387 --> 00:21:45,223 取っといてくんねえ。 そのかわり 頼みがあるんだ。 281 00:21:45,223 --> 00:21:47,259 え? とっつぁん この辺を➡ 282 00:21:47,259 --> 00:21:50,896 回ってるんだろ? へえ。 何か妙な事を見聞きしたら➡ 283 00:21:50,896 --> 00:21:56,768 知らしてほしいんだよ。 大島屋 上総屋 亀岡屋 平野屋と➡ 284 00:21:56,768 --> 00:22:00,906 立て続けに押し込みがあったんだ。 その手がかりを捜してるんだ。 285 00:22:00,906 --> 00:22:04,776 亀岡屋 平野屋…。 おう。 何かあったら➡ 286 00:22:04,776 --> 00:22:07,579 菊乃屋に言づけてくんねえ。 287 00:22:07,579 --> 00:22:10,279 へい。 頼んだぜ。 288 00:22:16,254 --> 00:22:19,954 誰が岡っ引きなんぞに…。 289 00:22:21,593 --> 00:22:25,263 [ 回想 ] お俊! これ 持っていきねえ。 290 00:22:25,263 --> 00:22:27,766 夜道に気を付けて。 しっかり やるんだぜ。 291 00:22:27,766 --> 00:22:29,766 あいよ。 292 00:22:33,872 --> 00:22:36,372 お俊…。 293 00:22:39,377 --> 00:22:43,548 やっこ やっこ~え~ 水~! 294 00:22:43,548 --> 00:22:47,052 羅宇屋のとっつぁんが来た? (藤助)ええ つい今し方。 295 00:22:47,052 --> 00:22:49,888 親分に言づけを頼まれました。 おお。 296 00:22:49,888 --> 00:22:52,791 この先に 東念寺という寺が ありましょう。 おお。 297 00:22:52,791 --> 00:22:57,562 そこの寺男の腕に 2本の墨が 入ってるって言うんですよ。 298 00:22:57,562 --> 00:23:00,465 ふ~ん…。 島帰りが寺男ってぇのは➡ 299 00:23:00,465 --> 00:23:03,435 ちと妙ですね。 まあ 島帰りだからといって➡ 300 00:23:03,435 --> 00:23:06,571 疑う訳にはいかねえがな。 その寺には➡ 301 00:23:06,571 --> 00:23:09,241 平野屋のおかみが ちょくちょく来ていた。 302 00:23:09,241 --> 00:23:13,578 その前は 亀岡屋の娘を よく見かけたって言うんですよ。 303 00:23:13,578 --> 00:23:16,915 勘太 文治。 盗っ人に入られた店の➡ 304 00:23:16,915 --> 00:23:19,417 菩提寺を残らず調べてくれ。 へい。 305 00:23:19,417 --> 00:23:21,920 がってんでぃ! 306 00:23:21,920 --> 00:23:25,790 実は もう一つ 気になる事を言ってました。 307 00:23:25,790 --> 00:23:29,794 近頃は 年増が通ってきている。 308 00:23:29,794 --> 00:23:32,594 名前は お滝だと…。 309 00:23:37,869 --> 00:23:40,538 お滝さんが? ああ。 310 00:23:40,538 --> 00:23:46,411 なあ お俊。 この前 平野屋には 悪い事が重なるって言ってたよな。 311 00:23:46,411 --> 00:23:49,247 …さあ そんな事 言ったっけ。 おう。 312 00:23:49,247 --> 00:23:52,050 盗っ人に入られたのが 1つ目の不運だろ? 313 00:23:52,050 --> 00:23:54,719 もう一つは何でえ? 314 00:23:54,719 --> 00:23:58,390 なあ 知ってる事があるんなら 話してくれよ。 315 00:23:58,390 --> 00:24:04,262 伝さんのお役目には 関わりのない事ですから。 316 00:24:04,262 --> 00:24:06,731 どんな事でも 盗っ人を見つけ出す➡ 317 00:24:06,731 --> 00:24:10,235 手がかりに なるかもしれねえんだよ。 318 00:24:10,235 --> 00:24:14,572 俺に隠すって事は それなりに訳があるんだろうが➡ 319 00:24:14,572 --> 00:24:18,743 平野屋を襲った盗っ人たちが また 押し込みを働いたら➡ 320 00:24:18,743 --> 00:24:22,247 俺は 遠山様に 申し訳が立たねえや。 321 00:24:22,247 --> 00:24:26,418 十手をお返し申し上げなきゃ ならねえんだよ。 322 00:24:26,418 --> 00:24:31,918 え? なあ お俊 教えてくれ。 323 00:24:35,860 --> 00:24:39,698 赤子が…➡ 324 00:24:39,698 --> 00:24:44,869 お喜代さんのおなかには 赤ん坊がいるの。 うん…。 325 00:24:44,869 --> 00:24:50,742 けど… 平野屋の旦那の子じゃないんだ。 326 00:24:50,742 --> 00:24:52,744 うん…? 327 00:24:52,744 --> 00:24:56,481 お喜代さん 思い詰めて 上の子を取り上げた➡ 328 00:24:56,481 --> 00:24:59,884 私のところに駆け込んできて…。 329 00:24:59,884 --> 00:25:04,222 [ 回想 ] どうか お願い致します! お喜代さん…。 お願い致します! 330 00:25:04,222 --> 00:25:08,560 子おろしの医者に 連れていってほしいと。 331 00:25:08,560 --> 00:25:11,463 子おろしは 下手したら命取りだ。 332 00:25:11,463 --> 00:25:16,735 それに 生まれてくる子に罪はないだろ。 333 00:25:16,735 --> 00:25:19,637 だから 私 言ったんだ。 334 00:25:19,637 --> 00:25:23,908 [ 回想 ] 産んで下さい。 (泣き声) 335 00:25:23,908 --> 00:25:28,580 でも どうしても 育てるのが つらい時は➡ 336 00:25:28,580 --> 00:25:32,780 死産だと偽って 私が引き取りますから。 337 00:25:34,386 --> 00:25:38,857 聞きにくい事を もう一つ聞くぜ。 338 00:25:38,857 --> 00:25:43,528 お喜代さん 腹の子の父親は➡ 339 00:25:43,528 --> 00:25:46,828 坊主だと言ってなかったかい? 340 00:25:49,200 --> 00:25:54,873 決して悪いようにはしねえ。 俺を信じてくれ。 341 00:25:54,873 --> 00:26:00,545 そう言ってた。 そうか…。 342 00:26:00,545 --> 00:26:03,381 打ち明けてくれて ありがとよ。 (ため息) 343 00:26:03,381 --> 00:26:07,252 私… 口外しないって約束したのに。 344 00:26:07,252 --> 00:26:10,255 すまなかったなぁ。 お喜代さんの事は➡ 345 00:26:10,255 --> 00:26:13,892 俺が必ず守るから。 346 00:26:13,892 --> 00:26:16,892 ≪(文治)親分! おう。 347 00:26:19,564 --> 00:26:21,764 (ため息) 348 00:26:23,902 --> 00:26:28,239 押し込みに遭った家は どこも 東念寺の檀家でした。 349 00:26:28,239 --> 00:26:31,142 あの寺と盗っ人一味が つながってるんですかね。 350 00:26:31,142 --> 00:26:34,512 ああ 間違えねえな。 そいじゃ 今から踏み込んで…。 351 00:26:34,512 --> 00:26:39,350 待て。 寺は寺社奉行のご支配だ。 俺たちに手は出せねえ。 352 00:26:39,350 --> 00:26:41,686 そうでした…。 クソッ! 353 00:26:41,686 --> 00:26:45,356 東念寺の坊主 いつぞや 店先で会った色男ですね。 354 00:26:45,356 --> 00:26:47,692 ああ。 もしや 色仕掛けで➡ 355 00:26:47,692 --> 00:26:49,627 女たちを引き込みに…。 おう。 356 00:26:49,627 --> 00:26:53,827 めったな事 言うな。 …へい。 357 00:26:56,868 --> 00:26:59,868 お滝さん。 358 00:27:04,542 --> 00:27:07,445 伝七さん。 何か 御用ですか? 359 00:27:07,445 --> 00:27:10,882 東念寺に行くのは よした方が ようございます。 360 00:27:10,882 --> 00:27:15,720 あ… 菩提寺に参って 何がいけないのです? 361 00:27:15,720 --> 00:27:21,893 あの清瞭という若え坊主 ありゃ 素性が知れません。 362 00:27:21,893 --> 00:27:25,563 悪い噂も 耳に入っておりやす。 363 00:27:25,563 --> 00:27:30,835 どうか あの寺には しばらく 近づかないでおくんなせえ。 364 00:27:30,835 --> 00:27:33,505 指図は無用です。 365 00:27:33,505 --> 00:27:35,840 御用聞きなど やっていると➡ 366 00:27:35,840 --> 00:27:39,677 御仏に仕えるお方まで 疑うようになるのですね。 367 00:27:39,677 --> 00:27:42,180 人を疑うなど 卑しい事です。 368 00:27:42,180 --> 00:27:44,849 お役目で言ってんじゃ ございません。 369 00:27:44,849 --> 00:27:50,655 俺は お滝さんに きれいでいてもらいてえ。 370 00:27:50,655 --> 00:27:52,955 どいて下さい! 371 00:27:57,862 --> 00:28:01,699 そなたに何が分かるのです。 372 00:28:01,699 --> 00:28:04,499 帰ります。 373 00:28:09,574 --> 00:28:12,710 (遠山) 賊に入られた大店ってぇのは➡ 374 00:28:12,710 --> 00:28:16,881 皆 同じ寺の檀家って訳か。 へい。 375 00:28:16,881 --> 00:28:20,552 清瞭という坊主が 檀家の女たちに近づいて➡ 376 00:28:20,552 --> 00:28:25,390 家内の様子を探っていると あっしは にらんでおりやす。 377 00:28:25,390 --> 00:28:27,892 けどよ…。 へい。 378 00:28:27,892 --> 00:28:34,499 相手が寺じゃ 踏み込む訳にはいけねえよ。 379 00:28:34,499 --> 00:28:38,369 この一件 寺社奉行に預けるか。 380 00:28:38,369 --> 00:28:41,673 そこをなんとか あっしらの方で➡ 381 00:28:41,673 --> 00:28:45,176 片をつける事は できねえもんでしょうかねぇ。 382 00:28:45,176 --> 00:28:49,347 何もかも明るみに出ちゃ 困る者もいるって事か。 383 00:28:49,347 --> 00:28:51,382 …へい。 384 00:28:51,382 --> 00:28:54,185 伝七。 へい。 385 00:28:54,185 --> 00:28:58,856 悪党一味は 必ずまた 大店を襲うはずだ。 386 00:28:58,856 --> 00:29:01,693 その場で取り押さえて縄ぁかけろ。 387 00:29:01,693 --> 00:29:06,864 盗っ人の本性をさらしてる時なら 遠慮はいらねえ。 388 00:29:06,864 --> 00:29:10,735 狙われる店の 目星 つけてんだろうな。 389 00:29:10,735 --> 00:29:13,035 …へい。 390 00:29:22,714 --> 00:29:27,885 (物音) 391 00:29:27,885 --> 00:29:43,167 ♬~ 392 00:29:43,167 --> 00:29:45,670 くせ者! 何をしておる! 393 00:29:45,670 --> 00:29:47,605 静かにしろ。 394 00:29:47,605 --> 00:29:52,010 おとなしくしてりゃ 命は取らねえ。 縛り上げろ。 395 00:29:52,010 --> 00:29:54,210 (一同)へい。 やっ! 396 00:29:56,347 --> 00:29:59,147 あにぃ 起きねえな。 397 00:30:00,852 --> 00:30:05,023 見張り番が居眠りして どうすんだい。 しまった つい…。 398 00:30:05,023 --> 00:30:07,692 ついって…。 (物音) シッ。 399 00:30:07,692 --> 00:30:10,595 何だ? 今の音は。 400 00:30:10,595 --> 00:30:12,795 いや! 401 00:30:18,870 --> 00:30:21,170 この女 手ごわいぞ。 402 00:30:22,740 --> 00:30:24,742 はっ! 403 00:30:24,742 --> 00:30:26,742 はっ! 404 00:30:41,259 --> 00:30:43,394 (戸をたたく音) 405 00:30:43,394 --> 00:30:46,230 開けておくんなせえ! 黒門町の伝七でございます! 406 00:30:46,230 --> 00:30:50,068 お頭 御用聞きだ。 (舌打ち) 手が回ったか。 407 00:30:50,068 --> 00:30:52,103 丸高屋さん どうしたんです! 408 00:30:52,103 --> 00:30:54,906 蹴破って 中に入るぜ! 409 00:30:54,906 --> 00:30:56,906 うっ! 410 00:30:58,576 --> 00:31:01,479 早く…。 え…? 411 00:31:01,479 --> 00:31:05,750 裏から出て 掘り割りを艀で行けば 大川に出られます。 412 00:31:05,750 --> 00:31:08,050 逃げて 早く! うっ! 413 00:31:10,588 --> 00:31:14,459 おめえら 引き揚げるぜ。 へい! 414 00:31:14,459 --> 00:31:33,459 ♬~ 415 00:31:36,380 --> 00:31:39,283 坊主に化けて人をだまし➡ 416 00:31:39,283 --> 00:31:41,719 市中を荒らす盗っ人ども! 417 00:31:41,719 --> 00:31:45,056 この紫房の十手は だまされねえ! 418 00:31:45,056 --> 00:31:48,256 覚悟しやがれ! 何を! 419 00:31:56,667 --> 00:31:59,904 盗っ人どもをひっくくれ! (2人)がってんでえ! 420 00:31:59,904 --> 00:33:25,604 ♬~ 421 00:33:27,425 --> 00:33:29,925 神妙にしやがれ! 422 00:33:38,069 --> 00:33:40,071 お滝さん…。 423 00:33:40,071 --> 00:33:55,219 ♬~ 424 00:33:55,219 --> 00:33:58,189 (早瀬)東念寺の僧 清瞭こと➡ 425 00:33:58,189 --> 00:34:00,391 吉祥天の清吉! 426 00:34:00,391 --> 00:34:03,895 <遠山の計らいで 吉祥天一味の詮議は➡ 427 00:34:03,895 --> 00:34:05,830 内々に進められた> 428 00:34:05,830 --> 00:34:09,233 (早瀬) 檀家の家の様子を探り出し➡ 429 00:34:09,233 --> 00:34:13,905 押し込みを働いていた事に 相違ないな? 430 00:34:13,905 --> 00:34:19,777 へい 相違ございやせん。 うむ。 431 00:34:19,777 --> 00:34:23,915 しかしまあ➡ 432 00:34:23,915 --> 00:34:28,753 よくも坊主になりおおせたものだ。 433 00:34:28,753 --> 00:34:31,656 わっちゃあ ガキの頃に親に死なれ➡ 434 00:34:31,656 --> 00:34:36,494 15で悪い仲間に入るまでは 寺小姓をしておりましたのさ。 435 00:34:36,494 --> 00:34:39,864 経を読むぐれえは 訳ありやせん。 436 00:34:39,864 --> 00:34:45,736 ふ~ん。 野狐の三次が白状したぞ。 437 00:34:45,736 --> 00:34:50,041 お前は 檀家の女たちをたぶらかし➡ 438 00:34:50,041 --> 00:34:54,545 寝物語に 家の内情を 聞き出していたんだろ? 439 00:34:54,545 --> 00:34:59,050 フン。 女なんてのは たあいもねえや。 440 00:34:59,050 --> 00:35:02,050 ちっと 粉かけりゃ どんな女も…。 441 00:35:06,223 --> 00:35:11,095 [ 回想 ] 逃げて… 早く! 442 00:35:11,095 --> 00:35:23,240 ♬~ 443 00:35:23,240 --> 00:35:28,112 いや 女には手をつけちゃいねえ。 444 00:35:28,112 --> 00:35:30,748 (早瀬)偽りを申すな! 445 00:35:30,748 --> 00:35:33,017 白状せぬと 石を抱かせるぞ! 446 00:35:33,017 --> 00:35:38,823 わっちは盗っ人だが 東念寺の清瞭は坊主です。 447 00:35:38,823 --> 00:35:44,523 女と交わっちゃならねえという 戒律だけは守ったんですよ。 448 00:35:50,868 --> 00:35:55,206 その方 東念寺の僧 清瞭が➡ 449 00:35:55,206 --> 00:35:57,875 吉祥天の清吉という➡ 450 00:35:57,875 --> 00:36:00,711 盗っ人という事を 知っておったか? 451 00:36:00,711 --> 00:36:06,584 …いいえ。 存じませんでした。 452 00:36:06,584 --> 00:36:11,422 家に忍び込む 手引きをしたか? 453 00:36:11,422 --> 00:36:14,558 いいえ。 454 00:36:14,558 --> 00:36:17,461 押し入った折 そなたが➡ 455 00:36:17,461 --> 00:36:22,900 裏口から逃げるよう指図したと 一味の者が申し立てておるが…。 456 00:36:22,900 --> 00:36:25,803 お待ち下さいやし。 お滝さん。 457 00:36:25,803 --> 00:36:33,177 盗っ人たちに脅されて それで 逃げ道を教えたんだね。 458 00:36:33,177 --> 00:36:36,213 …いいえ。 459 00:36:36,213 --> 00:36:39,350 脅されてなどいません。 460 00:36:39,350 --> 00:36:41,852 私が指図したんです。 461 00:36:41,852 --> 00:36:47,525 何言うんでぇ。 あの男を逃がしたくて…。 462 00:36:47,525 --> 00:36:51,862 お役人様。 私は罪人でございます。 463 00:36:51,862 --> 00:36:56,200 清瞭様と私は…。 吉祥天の清吉から聞いた。 464 00:36:56,200 --> 00:36:59,236 丸高屋の様子を聞き出すために➡ 465 00:36:59,236 --> 00:37:03,541 そなたと 幾度か言葉を交わしたとな。 466 00:37:03,541 --> 00:37:07,411 言葉…? 467 00:37:07,411 --> 00:37:12,883 いいえ 言葉だけではございませぬ。➡ 468 00:37:12,883 --> 00:37:17,755 なればこそ 私は…。 469 00:37:17,755 --> 00:37:21,055 [ 回想 ] 佃の渡しで待ってるぜ。 470 00:37:25,896 --> 00:37:34,605 (お滝)私は あの男を逃がして 後を追うつもりでございました。 471 00:37:34,605 --> 00:37:41,011 生まれて初めて…➡ 472 00:37:41,011 --> 00:37:45,683 恋しい と思った男の後を…。 もう言っちゃいけねえ! 473 00:37:45,683 --> 00:37:51,021 お役人様。 私は あの人と…。 474 00:37:51,021 --> 00:37:54,721 これにて 吟味を終える。 475 00:38:07,571 --> 00:38:11,408 <吉祥天の清吉は 死罪と決まった。➡ 476 00:38:11,408 --> 00:38:15,246 だが 檀家の女たちとの 関わりについては➡ 477 00:38:15,246 --> 00:38:19,246 最後まで 一切 口を割らなかった> 478 00:38:21,085 --> 00:38:24,221 それにしても 羅宇屋のとっつぁんが➡ 479 00:38:24,221 --> 00:38:29,560 寺の話をしてくんなかったら 今頃は どうなっていた事か。 480 00:38:29,560 --> 00:38:34,165 助けられたなぁ あのとっつぁんにゃぁ。 481 00:38:34,165 --> 00:38:37,165 <それから しばらくして…> 482 00:38:50,181 --> 00:38:53,181 伝さん…。 483 00:38:56,520 --> 00:38:59,220 お滝さん! 484 00:39:21,545 --> 00:39:25,416 やっぱり… 江戸を離れるんですね。 485 00:39:25,416 --> 00:39:30,821 伝七さんには 世話をかけました。 いや とんでもねえ。 486 00:39:30,821 --> 00:39:34,491 一人で旅立たせるような事に なっちまって…。 487 00:39:34,491 --> 00:39:38,829 いいえ… よかったんです これで。 488 00:39:38,829 --> 00:39:42,499 あんな事があって はたから見れば➡ 489 00:39:42,499 --> 00:39:46,170 さぞ哀れな女に 見えるでしょうけれど➡ 490 00:39:46,170 --> 00:39:54,044 私は あの人と出会って かりそめでも縁を結び➡ 491 00:39:54,044 --> 00:39:59,744 やっと 一人の女に 戻れた気がしているんです。 492 00:40:02,186 --> 00:40:08,058 西国三十三か所を巡って 清瞭さんの供養ができたら➡ 493 00:40:08,058 --> 00:40:12,363 また きっと 江戸に戻ってきておくんなせえ。 494 00:40:12,363 --> 00:40:40,724 ♬~ 495 00:40:40,724 --> 00:40:42,760 行っちまいやしたねぇ。 496 00:40:42,760 --> 00:40:47,498 残念ですね 親分。 せっかく 30年ぶりに会ったってぇのに。 497 00:40:47,498 --> 00:40:50,234 あにぃ! 498 00:40:50,234 --> 00:40:52,569 あ~。 499 00:40:52,569 --> 00:40:58,242 フッ いい女だものね 凜としていてさ。 500 00:40:58,242 --> 00:41:01,745 フフフッ さすが 伝さん! 501 00:41:01,745 --> 00:41:04,782 女を見る目に 昔から狂いはないね。 502 00:41:04,782 --> 00:41:08,919 今もな。 (笑い声) 503 00:41:08,919 --> 00:41:11,255 あ~ 今日も 暑くなりそうだ。 504 00:41:11,255 --> 00:41:13,924 ひとつ 締めようか! はい。 (文治 勘太)へい! 505 00:41:13,924 --> 00:41:18,796 ヨ~ッ! (一同)ヨヨヨイ ヨヨヨイ ヨヨヨイヨイ! 506 00:41:18,796 --> 00:41:21,596 めでてえなぁ。 507 00:41:56,233 --> 00:42:00,571 ♬「たとえ 待ちくたびれ」 508 00:42:00,571 --> 00:42:05,242 ♬「あきらめたとしても」 509 00:42:05,242 --> 00:42:10,414 ♬「でもね 人はどこまででも」 510 00:42:10,414 --> 00:42:18,922 ♬「やり直せるはずさ」 511 00:42:18,922 --> 00:42:27,598 ♬「見上げた夜空に 黄金の花が咲く」 512 00:42:27,598 --> 00:42:33,036 ♬「遠く川面 揺らす音がして」 513 00:42:33,036 --> 00:42:42,546 ♬「どうしてもどうしても 追いかけてしまうよ」 514 00:42:42,546 --> 00:42:48,719 ♬「もう一度だけ も一度だけ」 515 00:42:48,719 --> 00:42:53,557 ♬「君に見せたかったんだ」 516 00:42:53,557 --> 00:43:02,566 ♬「こんなにも美しいこの世界」 517 00:43:02,566 --> 00:43:11,275 ♬「だってそうさ 君はがんばったんだ」 518 00:43:11,275 --> 00:43:16,413 ♬「逃げなかった強さを」 519 00:43:16,413 --> 00:43:23,913 ♬「僕は知ってるよ」