1 00:00:01,100 --> 00:00:08,100 ♬〜 2 00:00:10,770 --> 00:00:19,170 投稿があった。 去年10月。 SNSで静かな話題を呼んだ 3 00:00:52,330 --> 00:00:59,430 72年の歴史に幕を下ろす。 月刊誌「母の友」が 4 00:01:01,660 --> 00:01:06,000 失ってしまったのかもしれない。 何か失ってはいけないものを 5 00:01:06,000 --> 00:01:08,500 問いをくれる。 6 00:01:10,000 --> 00:01:15,400 読んで考えなさいって。 読者に委ねられているというか 7 00:01:17,230 --> 00:01:24,430 なぜ話題になったのか。 たった一つの雑誌の休刊が 8 00:01:24,430 --> 00:01:30,030 「母の友」の問いかけとは 何だったのか。 9 00:01:40,560 --> 00:01:44,500 去年 12月。 10 00:01:44,500 --> 00:01:47,800 最終号ね。 最終号まで たどりつくと。 11 00:01:47,800 --> 00:01:51,460 他の人が言っているやつ あります? 12 00:01:51,460 --> 00:01:55,130 あまりにちょっと… 表紙見て。 13 00:01:55,130 --> 00:02:00,930 「母の友」 最後の校了が行われていた。 14 00:02:03,900 --> 00:02:11,230 今年の3月号をもって休刊。 出版社の経営判断で 「母の友」は 15 00:02:11,230 --> 00:02:16,530 立ち上げることになった。 新たにウェブマガジンを 16 00:02:23,800 --> 00:02:30,200 数々の名作を生んできた雑誌だった。 「母の友」は 17 00:02:32,840 --> 00:02:39,630 ここから生まれた。 「ぐりとぐら」 「魔女の宅急便」も 18 00:02:43,460 --> 00:02:52,460 社会の今を映した特集記事。 だが 最も誌面を割いてきたのは 19 00:02:57,000 --> 00:02:59,800 ベトナム戦争。 20 00:03:01,460 --> 00:03:04,070 公害。 21 00:03:05,740 --> 00:03:08,740 安保法案。 22 00:03:10,870 --> 00:03:12,840 災害。 23 00:03:12,840 --> 00:03:17,740 今知るべき事柄を 正面から伝えた。 24 00:03:36,800 --> 00:03:40,500 …がある雑誌だなっては思っていて。 25 00:03:42,130 --> 00:03:44,560 こちらですね。 26 00:03:44,560 --> 00:03:53,130 入れていた箱ですね。 読者の皆さんからの お手紙 お葉書を 27 00:03:53,130 --> 00:04:00,630 お便りが寄せられてきた。 編集部には 常に途絶えることなく 28 00:04:06,740 --> 00:04:09,970 これとかも すごく印象的なお手紙で 29 00:04:09,970 --> 00:04:13,170 肉声でも SNSでもなく 「生きる希望 支えとなったのは 30 00:04:13,170 --> 00:04:20,170 ありがたいなって思いました。 『母の友』でした」と書いて下さっていて 31 00:04:28,360 --> 00:04:30,770 葉書を送った ペンネーム… 32 00:04:34,100 --> 00:04:40,700 度々 葉書を送ってきた。 3児の母で 「母の友」に 33 00:04:50,230 --> 00:04:55,200 思えるような人が いっぱいいたので (はしのふもと湯)なんか勝手に同士と 34 00:04:55,200 --> 00:04:58,660 しゃべりたかったんですよね なんか。 やっぱ誰かに 35 00:04:58,660 --> 00:05:07,560 なんか そういうのではなくて… でも返事が 解決が… 法が欲しいとか 36 00:05:14,740 --> 00:05:17,130 …感じで… 37 00:05:19,000 --> 00:05:23,800 …きた部分が あったっていうか。 38 00:05:25,770 --> 00:05:31,260 縛っていたのではないか。 自分の生き方を 「母」という言葉で 39 00:05:31,260 --> 00:05:36,360 出会った。 ある時 それに気付かせてくれる記事と 40 00:05:38,030 --> 00:05:44,800 すごい好きだったんですよね。 この私 PSGっていうラップのユニットが 41 00:05:44,800 --> 00:05:52,260 ドンピシャで聴いてたんですよね 本当に。 TLCとかも ビヨンセもですけど 42 00:05:52,260 --> 00:05:56,130 ラップとかヒップホップって あんまこう 43 00:05:56,130 --> 00:06:02,740 ちょっと出てきちゃうし 子どもに聴かせる言葉も 44 00:06:02,740 --> 00:06:07,590 あったんですけど あんま聴かないでいようみたいなの 45 00:06:07,590 --> 00:06:12,970 私 聴こう!みたいな感じで え⁉ 「母の友」に載ってんだったら 46 00:06:12,970 --> 00:06:20,330 いいのか みたいな。 またCD掘り返して 聴いたり。 47 00:06:20,330 --> 00:06:24,800 で もうここから FUJI ROCKに行きました。 48 00:06:24,800 --> 00:06:27,770 これ 読んで。 (取材者)これ 読んで? 49 00:06:27,770 --> 00:06:32,970 この本を開くと… 50 00:06:42,560 --> 00:06:51,330 もう一回 出会わせてくれたのが 自分がほんと 好きだったものに 51 00:06:51,330 --> 00:06:55,800 過言じゃないです。 「母の友」です 本当に。 52 00:06:55,800 --> 00:06:59,000 間違いないです。 53 00:07:04,530 --> 00:07:09,260 「母の友」を読むきっかけになったのが 54 00:07:09,260 --> 00:07:14,100 連載することが決まってからなので 声優の諏訪部順一さんが 55 00:07:14,100 --> 00:07:19,000 5年くらい前かなとは思います。 56 00:07:22,800 --> 00:07:24,800 ペンネーム… 57 00:07:26,560 --> 00:07:33,560 たまたま手に取った。 推し活で 存在も知らなかった「母の友」を 58 00:07:35,260 --> 00:07:37,900 「母の友」っていうぐらいなので 59 00:07:37,900 --> 00:07:42,840 本当にお母さんの子育てメインの 60 00:07:42,840 --> 00:07:45,070 思ってたんですけど 雑誌なのかなとばかり 61 00:07:45,070 --> 00:07:47,130 全然そんなことなくて 62 00:07:47,130 --> 00:07:52,230 本当に 人としてっていう部分で 63 00:07:52,230 --> 00:07:55,200 印象で 受け取っていい本なんだなっていう 64 00:07:55,200 --> 00:08:01,100 関係なく読ませて頂いたんですけど。 もう最初から最後まで全部 諏訪部さんに 65 00:08:04,740 --> 00:08:09,630 「母の友」編集部に送った葉書。 66 00:08:13,530 --> 00:08:22,230 思いながら生きてきました」。 「私は いつの頃からか 『生きたくない』と 67 00:08:37,660 --> 00:08:45,660 タンポポの記事。 「母の友」を開いた時 目に留まった 68 00:08:45,660 --> 00:08:53,770 観察したものだった。 家の庭 道端に何気なく生える野草を 69 00:08:58,870 --> 00:09:03,770 「わたしの足元に ひろがる自然」。 70 00:09:03,770 --> 00:09:12,530 少し目線を下に向けてみる」。 「いつもより 71 00:09:12,530 --> 00:09:17,430 目を向けること。 身の回りの ありふれたものに 72 00:09:17,430 --> 00:09:23,530 そこにあるのかもしれないと感じた。 変わるきっかけは 73 00:09:25,330 --> 00:09:28,000 (ぬよ)コーヒーが 例えば おいしいとか 74 00:09:28,000 --> 00:09:33,770 あ〜 すごいきれいだなとか 普通に見える景色の 咲いてた花を見て 75 00:09:33,770 --> 00:09:37,770 何とでもないことなんですけど 本当にささいな 76 00:09:37,770 --> 00:09:40,660 うれしさっていうか。 そういうのを感じる 77 00:09:40,660 --> 00:09:44,870 こういう考え方があるんだとか あっ こうでいいんだみたいな 78 00:09:44,870 --> 00:09:47,130 どっちかっていうと こういうふうに生きて いいんだとか 79 00:09:47,130 --> 00:09:53,030 共感よりも 新しい感覚のほうが強くて… 80 00:10:00,170 --> 00:10:04,030 その中間が全くなかったので …っていうか 81 00:10:04,030 --> 00:10:06,430 そこで… 82 00:10:08,630 --> 00:10:12,900 楽しく生きれるかなみたいなのを どうすれば自分が楽に 83 00:10:12,900 --> 00:10:19,100 緩く こう 考えるようになってますね。 84 00:10:20,970 --> 00:10:24,260 「母の友」を創刊した… 85 00:10:27,560 --> 00:10:31,530 敗戦で「生きる」ことに直面した体験が 86 00:10:31,530 --> 00:10:35,740 「母の友」の原点だった。 87 00:11:01,330 --> 00:11:07,930 母や子どもたちも 終戦から8年。 夫や家族を失った 88 00:11:07,930 --> 00:11:14,430 生きていかなければならなかった。 混乱の中を 自分たちで 89 00:11:17,660 --> 00:11:21,970 松居さんは 母親のノイローゼや無理心中が 90 00:11:21,970 --> 00:11:27,360 各地で起きていたことに 胸を痛めていた。 91 00:11:31,740 --> 00:11:37,740 記した手記がある。 松居さんが 創刊当時のことを 92 00:11:43,970 --> 00:11:54,330 目的 意味を 自分で探し出すこと。 編集方針として掲げたのは 生きる目標 93 00:11:54,330 --> 00:12:00,230 共に考え抜きたいと 読者に呼びかけた。 94 00:12:06,000 --> 00:12:09,870 創刊間もない頃から読んでいる 「母の友」を 95 00:12:09,870 --> 00:12:12,070 94歳の読者… 96 00:12:30,740 --> 00:12:40,230 息子に頼んで 毎月届けてもらっていた。 施設に入り 書店に行けなくなってからも 97 00:12:46,530 --> 00:12:55,630 「『生きる』を探しに」。 「母の友」最終号。 最後に組まれた特集は 98 00:13:00,200 --> 00:13:08,900 最後まで変わらない編集方針だった。 読者と共に 「生きるを探す」ことは 99 00:13:12,100 --> 00:13:15,970 読者代表と言ったら いいのかな。 自分たちは 100 00:13:15,970 --> 00:13:19,000 何なら読者であるべきだっていうことは …に近い側であるべきだっていうか 101 00:13:19,000 --> 00:13:21,330 よく言われていて 忘れるなっていうのは 102 00:13:21,330 --> 00:13:24,630 答えを探しに行くと。 で… 103 00:13:26,200 --> 00:13:30,500 雑誌だったんだと思います。 …っていうようなスタンスの 104 00:13:35,330 --> 00:13:39,230 …は あります。 105 00:13:47,930 --> 00:13:53,030 日々の会話や やり取りを 休刊までの5年間 子どもとの 106 00:13:53,030 --> 00:13:55,100 連載で書いた。 107 00:13:55,100 --> 00:14:00,900 心掛けた。 「母の友」では あるがままにつづることを 108 00:14:14,100 --> 00:14:16,900 「母の友」の雑誌を開く時間っていうのは… (森田) 109 00:14:30,660 --> 00:14:34,130 こっちも行けるんじゃないかみたいな こっちか こっちしかないと思ったけど 110 00:14:34,130 --> 00:14:36,530 起こったりするっていう。 そういうことが 111 00:14:36,530 --> 00:14:39,030 だから… 112 00:14:50,070 --> 00:14:53,870 思うんですけどね。 …のかなっていうふうに 113 00:14:56,630 --> 00:15:03,330 社会に静かな波紋を広げた 「母の友」休刊。 114 00:15:06,230 --> 00:15:11,560 決して広くはない店で 書店を営む鈴木 潤さんは 115 00:15:11,560 --> 00:15:16,070 長年 「母の友」を並べてきた。 116 00:15:17,970 --> 00:15:19,900 ただ ただ 腹が立つ。 117 00:15:19,900 --> 00:15:23,230 出版社が作っているものだから 118 00:15:23,230 --> 00:15:29,030 続けられないとか もちろん その 経営の面から考えたら 119 00:15:29,030 --> 00:15:34,360 というのは分かるんだけれど いろんな事情があるのは あるんだろうな 120 00:15:34,360 --> 00:15:37,400 何やってんねんって感じですね。 121 00:15:37,400 --> 00:15:39,900 今… 122 00:15:44,030 --> 00:15:46,460 休刊して感じるのは 123 00:15:46,460 --> 00:15:53,260 ないかという思い。 今の社会にこそ 必要な雑誌だったのでは 124 00:16:11,770 --> 00:16:19,430 みたいなことに すごく熱心。 …するためには どうしたらいいか 125 00:16:19,430 --> 00:16:22,230 今 インターネットはあるから… 126 00:16:25,870 --> 00:16:30,360 けれど じゃあ自分が ちょっとこう… 127 00:16:37,100 --> 00:16:39,900 だけれど… 128 00:16:46,660 --> 00:16:54,430 ちょっとこの先 心配っていうか。 やっぱ こういうものがなくなっていくと 129 00:16:54,430 --> 00:17:00,930 って いわれてるような気もする。 あとは あなたたち 何とかして下さいよ 130 00:17:26,230 --> 00:17:28,840 SNSに投稿した… 131 00:17:30,460 --> 00:17:39,070 自分を 引き戻してくれる存在だった。 「母の友」は ネットやハウツーに流されがちな 132 00:17:48,660 --> 00:17:50,900 誰かに対してっていうよりかは …というか 133 00:17:50,900 --> 00:17:58,500 するところが すごい大きいです。 本当に自分に対しての言葉だったり 134 00:18:03,430 --> 00:18:08,560 本当に私の中では う〜ん ひと言で言うと 135 00:18:08,560 --> 00:18:12,360 問いをくれる存在だと思っていて 136 00:18:12,360 --> 00:18:14,900 答えではなくて 問い。 137 00:18:14,900 --> 00:18:17,500 だから やっぱり… 138 00:18:29,930 --> 00:18:37,000 ふと考えさせてくれるというか …違うよなっていうのを 139 00:18:37,000 --> 00:18:44,630 じゃあ どうする?っていう最後の問い。 「母の友」が なくなったからこそ 140 00:18:44,630 --> 00:18:48,130 どうやって生きるの?っていう じゃあ あなたたちは 141 00:18:48,130 --> 00:18:52,970 っていうメッセージを どうやって子育てをしていくの? 142 00:18:52,970 --> 00:18:58,970 くれたんじゃないかなと今思います。 問いのメッセージを最後に 143 00:19:03,100 --> 00:19:12,300 ただ それだけのこと。 「母の友」。 一つの雑誌の休刊。 144 00:19:15,660 --> 00:19:21,360 また一つ失われてしまったのか 問いかけてくれる存在が 145 00:19:21,360 --> 00:19:24,970 それは分からない。 146 00:19:24,970 --> 00:19:33,460 自分に問い続けるのか。 誰かに示された答えか。 147 00:19:33,460 --> 00:19:39,230 問いかけは続く。 「母の友」が なくなっても 148 00:19:39,230 --> 00:19:42,130 あなたは どう生きていく?