1 00:00:01,235 --> 00:00:06,940 ♬~ 2 00:00:13,480 --> 00:00:18,886 (清太の声) 「昭和20年9月21日夜 ぼくは死んだ」。 3 00:00:27,995 --> 00:00:30,197 はぁ…。 4 00:00:32,432 --> 00:00:35,702 おおっと キタナイ奴ッチャナ。 5 00:00:35,702 --> 00:00:45,112 (雑踏の音) 6 00:00:47,748 --> 00:00:51,151 (電車の音) 7 00:00:55,422 --> 00:01:01,328 (飛行機の音) 8 00:01:01,328 --> 00:01:11,505 (轟音) 9 00:01:11,505 --> 00:01:15,943 (焼夷弾の落下音) いやあ! あああ… あ…。 10 00:01:15,943 --> 00:01:20,047 (焼夷弾の落下音) 11 00:01:21,715 --> 00:01:23,717 ああっ! 12 00:01:44,071 --> 00:01:59,853 ♬「Mid pleasures and palaces though we may room,」 13 00:01:59,853 --> 00:02:07,995 ♬「Be it ever so humble,」 14 00:02:07,995 --> 00:02:14,768 ♬「there’s no place like home.」 15 00:02:14,768 --> 00:02:17,971 ♬~ 16 00:02:17,971 --> 00:02:26,680 ♬「A charm from the skies」 17 00:02:26,680 --> 00:02:36,356 ♬「seems to hallow us there,」 18 00:02:36,356 --> 00:02:44,631 ♬「Which,seek thro’ the world,」 19 00:02:44,631 --> 00:02:54,007 ♬「is ne’er met with elsewhere.」 20 00:02:54,007 --> 00:02:58,311 ♬~ 21 00:02:58,311 --> 00:03:13,126 ♬「Home! home! sweet,」 22 00:04:00,640 --> 00:04:42,149 ♬~ 23 00:04:42,149 --> 00:04:46,920 これはですね え~ 高畑監督が亡くなられた後に➡ 24 00:04:46,920 --> 00:04:52,292 「高畑勲展」という展覧会を 作るときにですね➡ 25 00:04:52,292 --> 00:04:55,629 高畑さんの家に残されてた荷物を 発掘して➡ 26 00:04:55,629 --> 00:04:58,965 いろんな資料が出てきたんですけども その中に➡ 27 00:04:58,965 --> 00:05:05,372 「火垂るの墓」の箱の中に入っていた ノートですね 初期の。 28 00:05:07,073 --> 00:05:10,577 原作の コピーから 切り貼りから始まって➡ 29 00:05:10,577 --> 00:05:12,512 いろんな どんどんどんどん➡ 30 00:05:12,512 --> 00:05:16,616 映画の「火垂るの墓」に近づいていく過程が 収められたノートです。 31 00:05:21,688 --> 00:05:26,459 高畑監督って 昔の映画の素材とかを➡ 32 00:05:26,459 --> 00:05:32,265 「いや ぼくは全然持ってません」って 周りの人に言って。 33 00:05:32,265 --> 00:05:34,968 結構それで ああそうか 高畑さんは➡ 34 00:05:34,968 --> 00:05:37,771 昔の自分のやった仕事には あんまり興味ないのかな➡ 35 00:05:37,771 --> 00:05:43,143 終わったら おしまいなんだと思ってて 亡くなられた後 あまりに膨大に。 36 00:05:43,143 --> 00:05:48,481 とにかく「ホルス」の頃から ずっと いろんなものが残ってるのを見てですね➡ 37 00:05:48,481 --> 00:05:51,685 だまされた と思った人は いっぱいいたと思うんですけど。 38 00:06:06,866 --> 00:06:09,769 よろしくお願いします。 (取材者)今回 7冊➡ 39 00:06:09,769 --> 00:06:14,074 ノートが見つかったという ことですけど ご存じなかったんですか? 40 00:06:14,074 --> 00:06:16,443 ええ 知らなかったんですよね。 41 00:06:16,443 --> 00:06:23,783 展覧会を催すにあたって 資料を ジブリの方が探しに来て。 42 00:06:23,783 --> 00:06:29,889 あの 資料として使えるようなものを 探してくださったんだと思うんですけど。 43 00:06:34,995 --> 00:06:39,833 父がいた この自宅の地下にあった➡ 44 00:06:39,833 --> 00:06:44,004 13箱だとかっていう箱の中の いくつかに➡ 45 00:06:44,004 --> 00:06:47,207 まとまって入っていたと思いますね。 46 00:06:47,207 --> 00:06:53,613 大事に保管して でも見ることは ほとんどなかったというふうに思います。 47 00:06:57,317 --> 00:07:01,121 ♬~ 48 00:07:01,121 --> 00:07:03,056 あなたはだあれ? 49 00:07:03,056 --> 00:07:06,092 ドウォ ドウォ…➡ 50 00:07:06,092 --> 00:07:08,261 ヴォォロロロロ! 51 00:07:08,261 --> 00:07:19,205 ♬~ 52 00:07:19,205 --> 00:07:24,744 当時は 宮﨑さんの「トトロ」が まあ 牧歌的な話としか➡ 53 00:07:24,744 --> 00:07:28,214 全体像が見えてなかったんで これ2本立てで本当に➡ 54 00:07:28,214 --> 00:07:31,584 観る人の感情どうなるのかなというふうに 最初から思ってましたけどね。 55 00:07:31,584 --> 00:07:36,423 まあ実際 開けてみたら かなりそういう 感じありましたけどね 続けて観ると。 56 00:07:36,423 --> 00:07:40,927 (手締め) 57 00:07:54,708 --> 00:07:58,511 日本で戦争が起きるなんて 今みたいに そんな…➡ 58 00:07:58,511 --> 00:08:00,447 まあ あったんですけどね 世界で。 59 00:08:00,447 --> 00:08:04,084 でも日本は そんなこと全然 思ってなかったと思いますよ 皆さん。 60 00:08:04,084 --> 00:08:06,019 むしろ これから好景気で もっと➡ 61 00:08:06,019 --> 00:08:09,222 もう一段 上にいくみたいな 感じだったので。 62 00:08:09,222 --> 00:08:24,437 ♬~ 63 00:08:24,437 --> 00:08:26,740 (柴田) 高畑さんって やっぱりすごいなと思った。 64 00:08:26,740 --> 00:08:30,643 その空気感に対して ああいうものを 持ってくる やりたいっていうことは➡ 65 00:08:30,643 --> 00:08:33,546 さすが インテリだと思いましたね 当時はね。 66 00:08:36,082 --> 00:08:40,387 (空襲警報) 「中部軍管区情報 中部軍管区情報➡ 67 00:08:40,387 --> 00:08:45,325 敵数目標は 現在 紀伊水道を北上しつつあり」。 68 00:08:45,325 --> 00:08:48,028 (未亡人の声) 清太さん また横穴行くんか。➡ 69 00:08:48,028 --> 00:08:52,732 あんたの年やったら 隣組の 防火活動するんが当たり前やないの。 70 00:09:03,209 --> 00:09:06,179 「省線三宮駅構内浜側の➡ 71 00:09:06,179 --> 00:09:10,083 化粧タイル剥げ落ち コンクリートむき出しの柱に➡ 72 00:09:10,083 --> 00:09:13,853 背中まるめてもたれかかり 床に尻をつき➡ 73 00:09:13,853 --> 00:09:17,424 両脚まっすぐ投げ出して さんざ陽に灼かれ➡ 74 00:09:17,424 --> 00:09:22,328 一月近く体を洗わぬのに 清太の痩せこけた頬の色は➡ 75 00:09:22,328 --> 00:09:25,198 ただ青白く沈んでいて➡ 76 00:09:25,198 --> 00:09:28,067 夜になれば 昂ぶる心のおごりか➡ 77 00:09:28,067 --> 00:09:32,038 山賊の如くかがり火焚き 声高に ののしる男のシルエット…➡ 78 00:09:32,038 --> 00:09:39,078 『おかあちゃーん』幼児の声 すぐ近くでぼそぼそしゃべる男の声➡ 79 00:09:39,078 --> 00:09:44,017 駅員の乱暴にバケツをほうり出した音➡ 80 00:09:44,017 --> 00:09:47,821 『今 何日なんやろ』➡ 81 00:09:47,821 --> 00:09:51,124 何日なんや どれくらいたってんやろ➡ 82 00:09:51,124 --> 00:09:54,461 気づくと 眼の前にコンクリートの床があって➡ 83 00:09:54,461 --> 00:09:57,130 だが自分がすわってるときのままの姿で➡ 84 00:09:57,130 --> 00:10:00,467 くの字なりに 横倒しになったとは気づかず➡ 85 00:10:00,467 --> 00:10:02,469 床のかすかなほこりの➡ 86 00:10:02,469 --> 00:10:06,940 清太の弱い呼吸につれて ふるえるのをひたとみつめつつ➡ 87 00:10:06,940 --> 00:10:12,745 何日なんやろな 何日やろかと それのみ考えつつ 清太は死んだ」。 88 00:10:12,745 --> 00:10:17,484 (列車の走行音) 89 00:10:17,484 --> 00:10:20,920 (幼児の声)おかあちゃーん! 90 00:10:20,920 --> 00:10:24,224 今 何日なんやろ…。 91 00:10:35,034 --> 00:10:37,337 セツコ…。 92 00:10:39,272 --> 00:10:42,742 高畑さん 今までも 原作もの すごいたくさん作ってて➡ 93 00:10:42,742 --> 00:10:48,515 その 「アルプスの少女ハイジ」だったりも そうだし 「赤毛のアン」もそうですけど➡ 94 00:10:48,515 --> 00:10:51,518 すごい驚くほど原作を読み込んでらして➡ 95 00:10:51,518 --> 00:10:57,657 原作の細か~い物事の進み方を ちゃんとアニメにしてるんですね。 96 00:10:57,657 --> 00:11:04,197 だから「火垂るの墓」でも やっぱりすごく 原作の一つ一つの言葉が➡ 97 00:11:04,197 --> 00:11:08,067 そのままアニメに なってるようなところがあるんです。 98 00:11:08,067 --> 00:11:21,581 (映画音声) 99 00:11:23,917 --> 00:11:28,154 だから その意味では すごく原作に忠実な人なんですね。 100 00:11:28,154 --> 00:11:31,791 原作をそのまま使おうとする人だから。 101 00:11:31,791 --> 00:11:35,695 大胆に変えるとかね そういうことに 対しては 抵抗がある人だったんですよ。 102 00:11:35,695 --> 00:11:38,598 だから原作の形を そのまま生かしながら➡ 103 00:11:38,598 --> 00:11:43,403 どうやって現代と結びつけるか それが いつも あの人のテーマなんですよ。 104 00:11:43,403 --> 00:11:49,208 にもかかわらず あるところで パッと自分の創作が入ってきて➡ 105 00:11:49,208 --> 00:11:53,513 そこがやっぱり高畑さんのアニメの すごい魅力だと思うんですよね。 106 00:12:07,927 --> 00:12:13,399 吉祥寺のスタジオを最初に そのジブリの借りたスタジオ…。 107 00:12:13,399 --> 00:12:17,103 吉祥寺の駅から ちょっと離れた 路地の所にあるんですけど➡ 108 00:12:17,103 --> 00:12:21,941 まあ下が なんか普通に 変わった喫茶店が ぽっとあって。 109 00:12:21,941 --> 00:12:25,578 その2階に 2階全部借り切って。 110 00:12:25,578 --> 00:12:34,587 ♬~ 111 00:12:38,291 --> 00:12:40,593 無口な人って ぼくは思ってたもんで➡ 112 00:12:40,593 --> 00:12:44,130 余計なこと言わない人だと思ったから こっちも余計なことを言わずに。 113 00:12:44,130 --> 00:12:46,966 あんまり個人的に話したこと ないんですけどね。 114 00:12:46,966 --> 00:12:52,505 まあ1人で来たときも 黙って いろいろ物書いたり 本読んだり➡ 115 00:12:52,505 --> 00:12:54,907 黙って お茶飲んだりしてましたけど。 116 00:12:54,907 --> 00:12:58,711 「火垂るの墓」も作ってるって話は 聞いてましたけど。 117 00:12:58,711 --> 00:13:03,483 ええ?と最初思ってね アニメでやるっていうの。 118 00:13:03,483 --> 00:13:35,882 ♬~ 119 00:13:35,882 --> 00:13:39,786 あの当時のことを思うと ぼくにとっては やっぱね 高畑さんは➡ 120 00:13:39,786 --> 00:13:45,058 やっぱこう 世代的なギャップ… ジェネレーションギャップあるんですよ。 121 00:13:45,058 --> 00:13:51,297 それに なんかやっぱり気楽にね 話をできる相手ではなかった。 122 00:13:51,297 --> 00:14:29,035 ♬~ 123 00:14:29,035 --> 00:14:36,242 いやとにかく… 緊張感があったというか。 124 00:14:36,242 --> 00:14:39,612 みんな必死でしたね 全パート。 125 00:14:39,612 --> 00:14:44,250 スタッフ全員が ただひたすら➡ 126 00:14:44,250 --> 00:14:50,723 1点に向かってやってて わりと遊びの部分とか➡ 127 00:14:50,723 --> 00:14:57,163 そういったものは ほぼなかっ…たような気がします。 128 00:14:57,163 --> 00:15:01,434 高畑さんは戦争体験者。 129 00:15:01,434 --> 00:15:04,337 で それ以外の人たち っていうのは全く➡ 130 00:15:04,337 --> 00:15:09,308 戦争を知らない 人たちだったんで。 131 00:15:09,308 --> 00:15:14,480 高畑さんが持っているイメージ こうでなきゃいけないんだっていう➡ 132 00:15:14,480 --> 00:15:17,850 演出プランまで なかなか➡ 133 00:15:17,850 --> 00:15:21,220 キャッチアップできなかったんじゃ ないのかな。 134 00:15:21,220 --> 00:15:26,359 (轟音) 135 00:15:26,359 --> 00:15:29,595 (吉野)ああもう とりあえず プラモデルを買ってきて組み立てて➡ 136 00:15:29,595 --> 00:15:31,998 天井につるして ですね。 137 00:15:31,998 --> 00:15:33,966 で それ見てたんで 高畑さんも➡ 138 00:15:33,966 --> 00:15:37,470 B29に関しては もう全部任せるって言ってくれたんで➡ 139 00:15:37,470 --> 00:15:40,106 そのまま描いてっただけなんで。 140 00:15:40,106 --> 00:15:43,609 高畑さんは経験してるんで やっぱり。 141 00:15:43,609 --> 00:15:47,113 それで思い入れも強かったのかなと 思うんですけど。 142 00:15:47,113 --> 00:15:50,983 高畑さんの演出のしかたって まず➡ 143 00:15:50,983 --> 00:15:56,689 リアルはどうなんだろうっていうの 徹底的に調べたうえで➡ 144 00:15:56,689 --> 00:16:01,194 まず それを自分たちで まずは把握するっていうか 確認します。 145 00:16:01,194 --> 00:16:05,097 やっぱりアニメーション 絵で 絵って言ってみれば うそじゃないですか。 146 00:16:05,097 --> 00:16:08,100 だから そのうそが 伝わらないようにするには➡ 147 00:16:08,100 --> 00:16:11,237 やっぱり どこまでも きちんとリアルに➡ 148 00:16:11,237 --> 00:16:13,239 その表現 表情… 表現を➡ 149 00:16:13,239 --> 00:16:16,342 追求してかなければ できなかったんじゃないかと。 150 00:16:18,044 --> 00:16:20,546 自分がやったのは どこだった…。 151 00:16:29,121 --> 00:16:33,092 雑炊をすくったりするところ…。 (取材者)あ 横穴で? 152 00:16:33,092 --> 00:16:35,695 え ううん… あの…。 153 00:16:35,695 --> 00:16:39,098 あの おばさんの家。 (取材者)ああ おばさんの家で。うん。 154 00:16:41,367 --> 00:16:44,604 あそこは うまく描けなかったですね。 155 00:16:44,604 --> 00:16:49,442 その当時の雑炊が どんなものかも わかんないし。 156 00:16:49,442 --> 00:16:53,045 あ これですね。 この雑炊を食べるところ。 157 00:17:06,659 --> 00:17:08,928 戦局はどないですのん? 158 00:17:08,928 --> 00:17:12,331 ますますあかんらしいですわ。 159 00:17:12,331 --> 00:17:16,202 空襲で焼けてしもた分だけ 他の工場に しわ寄せがきますやろ。 160 00:17:16,202 --> 00:17:20,940 本土決戦に備えて 増産に励めの一点張りですわ。 161 00:17:20,940 --> 00:17:27,079 そやろなあ 食料の配給かて 悪うなるばっかりやし。 162 00:17:27,079 --> 00:17:32,752 戦地の兵隊さんだけやのうて みんな大変ですなぁ。 163 00:17:32,752 --> 00:17:36,188 こいさんも お国のための勤労動員やもん➡ 164 00:17:36,188 --> 00:17:39,492 ようけ食べて 力つけてもらわんと。 165 00:17:42,295 --> 00:17:48,234 自分は雑炊って そんなに まずいもんだって思わないけども➡ 166 00:17:48,234 --> 00:17:50,703 当時の人は どうだったんだろうとかね。 167 00:17:50,703 --> 00:17:57,944 戦争中 子ども 幼少期を過ごした人なんか いまだに雑炊は嫌い とかね➡ 168 00:17:57,944 --> 00:18:02,748 芋は食べられないとか なんか そういうのを聞いたりすると やっぱり➡ 169 00:18:02,748 --> 00:18:07,954 今とは 今想像する雑炊とは 全然違うもんだろうなと思うんですよね。 170 00:18:13,326 --> 00:18:19,065 そうですね 体験したらしたで 全く描けなかったかもしれないですよね。 171 00:18:19,065 --> 00:18:21,567 悲惨すぎて。 172 00:18:21,567 --> 00:18:24,770 だから そういう経験をしてないから➡ 173 00:18:24,770 --> 00:18:28,874 あくまで想像しながら 描けたのかもしれないし。 174 00:18:38,851 --> 00:18:42,221 (細馬)ノート7冊あるんですけど➡ 175 00:18:42,221 --> 00:18:47,460 最初は単純に もとあった本の文章を➡ 176 00:18:47,460 --> 00:18:52,565 ほとんど何も書き込んでないっていう 状態のノートが まずあるんですよね。 177 00:18:55,601 --> 00:18:59,538 で その後で 恐らく ええと➡ 178 00:18:59,538 --> 00:19:05,978 この原作の隙間に 自分のアイデアとか 考えを書き込めるぞということになって➡ 179 00:19:05,978 --> 00:19:11,684 今度はその 文章をちょっとずつ切って で 継いでいって。 180 00:19:16,222 --> 00:19:21,060 で 3冊目ぐらいから継ぎ目のところに 自分の考えだったりアイデアを➡ 181 00:19:21,060 --> 00:19:24,563 どんどん放り込んでいくということを されるようになってきた。 182 00:19:51,690 --> 00:19:53,893 それはやっぱり… 183 00:20:04,170 --> 00:20:06,272 もちろん それは… 184 00:20:12,611 --> 00:20:14,613 …というふうに思います。 185 00:20:16,482 --> 00:20:26,592 (鳥の鳴き声) 186 00:20:41,640 --> 00:20:44,844 ⚟(話し声) 187 00:20:52,852 --> 00:21:09,668 ⚟(話し声) 188 00:21:19,979 --> 00:22:10,963 ♬~ 189 00:22:22,875 --> 00:22:25,678 高畑 勲監督です。 どうぞよろしくお願いします。 190 00:22:25,678 --> 00:22:36,689 (拍手) 191 00:22:38,257 --> 00:22:43,529 高畑です。 ええと まず…。 192 00:22:43,529 --> 00:22:50,636 1945年 6月29日未明の 岡山空襲で命を落とされた➡ 193 00:22:50,636 --> 00:22:55,007 公式的には 1737名らしいんですが➡ 194 00:22:55,007 --> 00:22:58,344 の方々のご冥福を 謹んで お祈りいたします。 195 00:22:58,344 --> 00:23:01,113 その私は今まで 自分の空襲体験を➡ 196 00:23:01,113 --> 00:23:08,354 最近 少しずつは しゃべっていますが え~ 詳しい意味ではですね➡ 197 00:23:08,354 --> 00:23:13,459 誰にも 自分の子どもにも 詳しく語ったことはありません。 198 00:23:18,097 --> 00:23:25,371 やはり自分の受けた あの 体験した 空襲のお話をしたいと思って➡ 199 00:23:25,371 --> 00:23:28,374 語るべきなんだろうなと思って 参りました。 200 00:23:38,417 --> 00:23:41,620 (高畑)あの夜 私は2階で寝ておりました。 201 00:23:41,620 --> 00:23:43,889 その騒がしさに ふと目が覚めると➡ 202 00:23:43,889 --> 00:23:46,792 窓の外 こっちが もう真っ赤だったんですよ。 203 00:23:46,792 --> 00:23:49,828 要するに そっち側が燃えていて➡ 204 00:23:49,828 --> 00:23:54,433 空襲警報も出てなかったと思うんですけど それでも空襲だと すぐわかるわけです。 205 00:24:20,025 --> 00:24:21,960 で すぐはね起きて➡ 206 00:24:21,960 --> 00:24:25,798 1階に下りたんですけど 家族が見えないんですね。 207 00:24:25,798 --> 00:24:28,267 その はだしのまま表に飛び出したんです。 208 00:24:28,267 --> 00:24:33,806 (映画音声 逃げまどう人々の声) 209 00:24:33,806 --> 00:24:36,308 キャーッ! (いななき) 210 00:24:59,398 --> 00:25:03,168 (高畑) 人はもう どんどん流れてるわけです。 そうするとドキドキし始めてですね➡ 211 00:25:03,168 --> 00:25:06,205 これはもう置いていかれたんじゃないか って そんなバカな話ないんですけれど➡ 212 00:25:06,205 --> 00:25:09,675 しかし子どもですから そんなふうに こう思ってですね➡ 213 00:25:09,675 --> 00:25:14,780 人が流れてくもんだからその流れに乗って 走りだしてしまったんです。 214 00:25:16,882 --> 00:25:25,190 (赤ん坊の泣き声) 215 00:25:25,190 --> 00:25:29,895 (泣き声やうめき声) 216 00:25:29,895 --> 00:25:33,298 天皇陛下 バンザーイ! 217 00:25:37,369 --> 00:25:43,909 (菅原)大型の焼夷弾が ここへ落ちて バーッと破片が飛んで➡ 218 00:25:43,909 --> 00:25:48,747 ここに倒れてるのが 破片を受けた私でございます。 219 00:25:48,747 --> 00:25:55,387 その頭か肩を こう揺すっているのが 弟の勲です。 220 00:25:55,387 --> 00:26:02,194 私は小学校6年生ですが 弟は1歳半違うんですけど➡ 221 00:26:02,194 --> 00:26:05,831 9歳だったということです。 222 00:26:05,831 --> 00:26:10,569 60年か70年たってから 思い出して➡ 223 00:26:10,569 --> 00:26:15,407 勲さんに感謝の気持ちで描いた絵です。 224 00:26:15,407 --> 00:26:18,677 だから今 私が生きてるんが 不思議なんです。 225 00:26:18,677 --> 00:26:22,448 このとき 勲さんが 揺すってくれなかったらね➡ 226 00:26:22,448 --> 00:26:29,988 まあ 倒れたまま 何時間もおったら 亡くなったんではないでしょうかね。 227 00:26:29,988 --> 00:26:33,692 うわあ! わあーっ! 兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん! 228 00:26:39,164 --> 00:26:41,166 (猫の鳴き声) 229 00:26:45,504 --> 00:26:47,806 あぁ…! 兄ちゃん…! 230 00:26:53,111 --> 00:27:01,019 ただ逃げなきゃっていう気持ちで 勲の手だけを握って 走って逃げた。 231 00:27:09,428 --> 00:27:11,964 あるおじさんが ブワーッと走りだしたんですよ。 232 00:27:11,964 --> 00:27:14,433 こちらはもう何もわからないけど とにかく➡ 233 00:27:14,433 --> 00:27:19,037 わらをもすがる気持ちですから 一緒について ブワーッと走りだした。 234 00:27:19,037 --> 00:27:23,942 で ダーッと行ったら その 旭川の河原まで出ることができたんです。 235 00:27:33,085 --> 00:27:37,990 (高畑)明け方になってきてですね 雨が降り始めるんですね。 236 00:27:42,294 --> 00:27:46,298 (2人)あ! これが空襲の後で降るいうやつか…。 237 00:27:48,100 --> 00:27:52,571 (高畑) 空襲の後っていうのは上昇気流が起こって それであの 雨が降るんですけど。 238 00:27:52,571 --> 00:27:59,344 炭俵のような わらで作った ゴザより もうちょっと頑丈かな。 239 00:27:59,344 --> 00:28:03,849 それを「これかぶっとったらええよ」言うて おばさんがくれたんです。 240 00:28:03,849 --> 00:28:11,957 それで2人で それを頭にかぶせて あの 雨も降ってきたもんですからね。 241 00:28:11,957 --> 00:28:17,229 一番印象的だったのはですね だいたい鎮火し始めてるんですけど➡ 242 00:28:17,229 --> 00:28:20,866 その トランスって➡ 243 00:28:20,866 --> 00:28:23,769 そのころは まだ木でしたけど 電柱は全部。 244 00:28:23,769 --> 00:28:26,638 電柱の上に変圧器がついてますね トランス。 245 00:28:26,638 --> 00:28:31,109 これが 油を使ってるもんで ずっと燃えてるんですよ いつまでも。 246 00:28:31,109 --> 00:28:33,979 それは非常に印象的でしたね。 247 00:28:33,979 --> 00:28:54,766 ♬~ 248 00:29:02,608 --> 00:29:05,510 (高畑)死体だらけなんですよ 本当に。 249 00:29:05,510 --> 00:29:08,747 なんていうかな あの こんがり こんがり焼けてるんです。 250 00:29:08,747 --> 00:29:11,984 ただ あの 陶器のような感じもしましたし。 251 00:29:11,984 --> 00:29:15,220 なんていうかもう 生きてるまま そこに➡ 252 00:29:15,220 --> 00:29:17,823 生きてるじゃない 死んでるんですけど。 253 00:29:17,823 --> 00:29:20,726 もう本当にね もう震えが 止まらないんですよ そういうの見て。 254 00:29:20,726 --> 00:29:24,062 ウーッと もう震えてですね 震えが止まらないんですよ もう。 255 00:29:24,062 --> 00:30:16,815 ♬~ 256 00:30:16,815 --> 00:30:19,718 高畑さんは岡山空襲 経験されていて➡ 257 00:30:19,718 --> 00:30:23,588 「火垂るの墓」っていうのは 神戸の空襲が舞台なので➡ 258 00:30:23,588 --> 00:30:26,124 必ずしも おんなじではないんですけれども➡ 259 00:30:26,124 --> 00:30:31,930 当時9歳の男の子が ものすごい光景を 目にしたんだなというのが➡ 260 00:30:31,930 --> 00:30:36,902 え~… 本当に ちょっと私には ほんと想像つかないですけれども➡ 261 00:30:36,902 --> 00:30:42,040 壮絶な体験された ということは 本当に あの映画を観ても…。 262 00:30:42,040 --> 00:30:47,012 映画を観てもというか 映画では 恐らく高畑さんの経験は➡ 263 00:30:47,012 --> 00:30:50,415 表現し尽くされてはないと 思うんですけど➡ 264 00:30:50,415 --> 00:30:55,220 あれ以上の光景を恐らく 目にされたんだろうと思いますね。 265 00:30:59,224 --> 00:31:14,840 ♬~ 266 00:31:41,700 --> 00:31:53,912 ♬~ 267 00:31:57,082 --> 00:32:00,852 だと思うんですけどね。 準備室があって。 268 00:32:00,852 --> 00:32:06,458 その中の1枚の絵を こう さして 指さして… 269 00:32:40,425 --> 00:32:43,795 すごくね 納得できたんですよね。 270 00:32:43,795 --> 00:32:46,698 うん なんかこう…。 271 00:32:46,698 --> 00:32:50,969 なんすかね どういうものが作りたいのかというのが➡ 272 00:32:50,969 --> 00:32:53,538 言葉で ちょっと言うの難しいですけど➡ 273 00:32:53,538 --> 00:32:56,541 それがわかるぐらいの インパクトが すごかった。 274 00:33:00,645 --> 00:33:04,850 4冊目になったところで 明らかに➡ 275 00:33:04,850 --> 00:33:10,655 原作にはない F清太っていう存在が ボンと出てくんですよね。 276 00:33:27,105 --> 00:33:30,075 Fっていうの見たときに あれ?と思ったんですね。 277 00:33:30,075 --> 00:33:32,577 Fって何だろう。 で 高畑さんは➡ 278 00:33:32,577 --> 00:33:36,147 フランス文学の出なので フランス語だろうと。 279 00:33:36,147 --> 00:33:39,251 そしたら Fって ファントム。 280 00:33:42,521 --> 00:33:47,726 野坂さんの原作には 「何日やろかと それのみ考えつつ 清太は死んだ」。 281 00:33:47,726 --> 00:33:49,661 「清太は死んだ」になってるんですね。 282 00:33:49,661 --> 00:33:53,899 ところが 映画には 「清太は死んだ」ってとこはなくて➡ 283 00:33:53,899 --> 00:33:58,169 「ぼくは死んだ」になってんですよね。 284 00:33:58,169 --> 00:34:01,573 で これは高畑さんの オリジナルだと思うんですね。 285 00:34:01,573 --> 00:34:05,510 普通 ぼくは走ったとか ぼくは歩いたって言えるけど➡ 286 00:34:05,510 --> 00:34:08,847 ぼくは死んだって言う人いないですよね。 287 00:34:08,847 --> 00:34:13,552 ぼくは死んだって言える人 誰だ っていうと これはもう生きてない人で。 288 00:34:13,552 --> 00:34:16,788 あるとき ポンと高畑さんが 言いだしたんですよ 幽霊だって。 289 00:34:16,788 --> 00:34:19,257 これは幽霊だってことになりますよね。 290 00:34:19,257 --> 00:34:38,910 ♬~ 291 00:34:38,910 --> 00:34:44,215 (清太の声) 「昭和20年9月21日夜 ぼくは死んだ」。 292 00:35:01,666 --> 00:35:05,337 清太じゃない 幽霊っていうのを どうも思いついた。 293 00:35:05,337 --> 00:35:10,175 で そいつにFっていう名前をつけて F清太っていうのを生み出した。 294 00:35:10,175 --> 00:35:13,645 これが多分 高畑さんの 最大の発明だと思うんですよね。 295 00:35:13,645 --> 00:35:18,383 それはもう明らかにね 原作と違うんだけど。 296 00:35:18,383 --> 00:35:22,053 何つうかな… ええと…。 297 00:35:22,053 --> 00:35:25,857 ちょっと細かく言うと 何つうのかな…。 298 00:35:25,857 --> 00:35:28,593 アニメーションならではと思いましたよ。 299 00:35:28,593 --> 00:35:31,596 その表現 その方法がね。 300 00:35:33,365 --> 00:36:43,134 ♬~ 301 00:36:43,134 --> 00:36:49,374 (風鈴の音) 302 00:36:49,374 --> 00:36:54,112 「夏休みの終わりごろ テレビ放映される 『火垂るの墓』を➡ 303 00:36:54,112 --> 00:36:58,283 ほかのジブリ映画と よく似たものだと 間違えて鑑賞し➡ 304 00:36:58,283 --> 00:37:02,153 幼心には処理しきれない ほどのトラウマを背負う➡ 305 00:37:02,153 --> 00:37:04,856 日本の小学生は少なくない」。 306 00:37:12,263 --> 00:37:16,034 (取材者)この作品 書いたときには ほたるは さぁっと出てきたんですか? 307 00:37:16,034 --> 00:37:18,770 そうですね… やっぱりすごい その➡ 308 00:37:18,770 --> 00:37:24,075 記憶の奥底に刻み込まれるタイプの 映画なんじゃないんですかね。 309 00:37:24,075 --> 00:37:27,445 子どもで観たときは うん➡ 310 00:37:27,445 --> 00:37:33,251 自分が こう 清太とおんなじ気持ちになって➡ 311 00:37:33,251 --> 00:37:37,222 なんとかサバイブして生きていきたいな っていうような気持ちで➡ 312 00:37:37,222 --> 00:37:40,625 ある意味ちょっとワクワクして 観てたんですけど。 313 00:37:43,928 --> 00:37:45,930 ⚟(すさまじい音) 314 00:37:47,699 --> 00:37:51,236 (轟音) 315 00:37:51,236 --> 00:37:53,171 やれやれ! わーい! 316 00:37:53,171 --> 00:37:57,809 私もなんか こういうときになったら 着物とか盗んでやるとか➡ 317 00:37:57,809 --> 00:38:03,214 畑でも 絶対に野菜盗んでやるとか 結構 決心固めたっていうか。 318 00:38:03,214 --> 00:38:07,085 あのシーンとかも 結構ワクワクしながら観てました。 319 00:38:07,085 --> 00:38:11,923 子どものときは うまく立ち回れば 清太みたいに死なずに済んだし➡ 320 00:38:11,923 --> 00:38:17,162 妹も 死なさずに済んだはずって思ってたけど➡ 321 00:38:17,162 --> 00:38:21,032 大人になってから 多分無理っていうのが やっぱり わかってきて。 322 00:38:21,032 --> 00:38:22,967 う~ん なんか➡ 323 00:38:22,967 --> 00:38:28,273 子どもの力で解決できる問題ではない っていうのが すごいわかるっていうか。 324 00:38:28,273 --> 00:38:33,178 こんな状況を この年の子が うまく 切り抜けられるわけがないっていう。 325 00:38:39,684 --> 00:38:43,221 戦争が どれだけ悲惨だったかっていうより➡ 326 00:38:43,221 --> 00:38:48,993 こういうふうな極限の状態に置かれた 人間は こういうふうになっていく。 327 00:38:48,993 --> 00:38:50,995 パーン! 328 00:38:52,864 --> 00:38:55,366 クククッ… プフッ…。 329 00:38:55,366 --> 00:38:57,602 ハハハハッ ハハハハッ➡ 330 00:38:57,602 --> 00:39:00,605 アハハハハッ ハハハ…。 331 00:39:03,208 --> 00:39:06,845 (綿矢)本当に自然に こんなふうに 悲惨なことになっていく➡ 332 00:39:06,845 --> 00:39:10,515 悲惨な状況下では っていうようなことは➡ 333 00:39:10,515 --> 00:39:14,886 戦争を知ってる知らない関係なく➡ 334 00:39:14,886 --> 00:39:18,856 大人でも 子どもでも伝わると思うから➡ 335 00:39:18,856 --> 00:39:22,560 そういう人間の本質みたいなものを➡ 336 00:39:22,560 --> 00:39:28,266 うん 今現代の世の中でも あの映画は 伝え続けるんじゃないかなって思います。 337 00:39:30,768 --> 00:39:34,706 お母さんの着物な いうてはわるいが もう用もないんやし➡ 338 00:39:34,706 --> 00:39:39,344 お米に替えたらどう? これで一斗にはなる思うよ。 339 00:39:39,344 --> 00:39:41,279 一斗! 340 00:39:41,279 --> 00:39:44,782 あかん! なんや節ちゃん 起きてたんかいな。 341 00:39:44,782 --> 00:39:47,118 お母ちゃんのおべべ あかん! 342 00:39:47,118 --> 00:39:49,487 お母ちゃんのおべべ あかん! 343 00:39:49,487 --> 00:39:51,422 いやや いやや! 344 00:39:51,422 --> 00:39:54,792 いやや! いやや いやや いやや!節子! 345 00:39:54,792 --> 00:39:57,462 いやや いやや いやや! 節子! 節子! 346 00:39:57,462 --> 00:40:01,432 (節子の泣き声) 節子! 347 00:40:01,432 --> 00:40:04,235 いやや いやや いやや! 348 00:40:04,235 --> 00:40:08,940 (節子の泣き声) 349 00:40:10,808 --> 00:40:15,680 清太自身は すごく この映画の中で未熟な存在ですよね。 350 00:40:15,680 --> 00:40:21,452 で ただ 実を言うと未熟なのは 清太だけじゃないと思うんですよ。 351 00:40:21,452 --> 00:40:24,222 やっぱり この映画に出てくる大人たちも➡ 352 00:40:24,222 --> 00:40:26,491 自分とこの子どもは何とかできても➡ 353 00:40:26,491 --> 00:40:31,296 よその子を どうにかしてあげるとか そういうことまでは手が全然回らない。 354 00:40:31,296 --> 00:40:33,264 やっぱ大人も未熟なんですよね。 355 00:40:33,264 --> 00:40:37,835 あの映画 こう 人によっては怖いなと思ったり➡ 356 00:40:37,835 --> 00:40:41,439 うわあ 1回観たらもう たまらなくなっちゃうって思ったりする。 357 00:40:45,043 --> 00:40:48,046 何しとんねん。 お墓つくってんねん。 358 00:40:48,046 --> 00:40:51,249 お母ちゃんも お墓に入ってんねんやろ。 359 00:40:55,787 --> 00:40:58,323 そのグロテスクさっていうのは ただ その➡ 360 00:40:58,323 --> 00:41:00,792 グロテスクなものが 映ってるってことじゃなくて➡ 361 00:41:00,792 --> 00:41:05,730 私たち自身がああいうグロテスクなものを 生み出してる存在なんだ というのを➡ 362 00:41:05,730 --> 00:41:09,734 突きつけられてるようで そこがやっぱ怖いんじゃないですかね。 363 00:41:13,371 --> 00:41:15,473 またか…。 364 00:41:19,577 --> 00:41:21,579 ん? 365 00:41:25,383 --> 00:41:28,619 あっ! チッ あ~…。 366 00:41:28,619 --> 00:41:30,655 なんやこれ。 367 00:41:30,655 --> 00:41:33,758 ほっとけほっとけ 捨てといたらええねや。 368 00:41:36,361 --> 00:41:38,363 ん? 369 00:41:47,005 --> 00:41:49,006 んっ! 370 00:41:52,210 --> 00:42:45,096 ♬~ 371 00:43:08,219 --> 00:43:42,920 ♬~ 372 00:43:47,625 --> 00:43:49,694 (缶の中の水音) 373 00:43:49,694 --> 00:43:51,896 うちがやるぅ。 374 00:43:53,898 --> 00:43:57,902 (缶の中の水音) 375 00:44:02,039 --> 00:44:08,546 (菅原) あの時代はサクマのドロップいうのが あって うちにもあってね。 376 00:44:08,546 --> 00:44:12,350 それで 最後はほんと お水入れてね➡ 377 00:44:12,350 --> 00:44:15,987 何にも えらい味はしないんだけど➡ 378 00:44:15,987 --> 00:44:20,858 先ほどまで もうだんだん食べていって 最後に残って➡ 379 00:44:20,858 --> 00:44:25,029 なんぼか 3つか4つか残ったところへ お水入れて➡ 380 00:44:25,029 --> 00:44:28,065 ジャーってやってね。 381 00:44:28,065 --> 00:44:35,373 まあ ゼロよりは 1か1.5ぐらい あるかと思って飲んだ覚えはあります。 382 00:44:35,373 --> 00:44:37,308 (取材者)映画で あの場面を観たときは…。 383 00:44:37,308 --> 00:44:40,344 や~ あら!って ははは…。 384 00:44:40,344 --> 00:44:45,850 勲も 勲さんも やっぱりあれやったんやな と思って観ましたけどね。 385 00:44:47,685 --> 00:44:49,687 (高畑)実際飲んでみると 全然おいしくないですよ。 386 00:44:49,687 --> 00:44:53,157 もう 薄くなりすぎててですね なんの…。 387 00:44:53,157 --> 00:44:57,995 だから 期待があって。 だからその期待は十分描いたつもりです。 388 00:44:57,995 --> 00:45:01,566 振りながらね 歩いてくとこね。 (聞き手)ええ 味がするんじゃないか。 389 00:45:01,566 --> 00:45:06,404 (高畑)だけど実際には 飲んだら 幻滅も大きいんです すごく。 390 00:45:06,404 --> 00:45:08,439 だけどあそこは そうやって➡ 391 00:45:08,439 --> 00:45:11,242 そういうものを 大事にしながらやる あの2人。 392 00:45:11,242 --> 00:45:14,545 しかも お兄ちゃんとしては 気遣いながらという➡ 393 00:45:14,545 --> 00:45:17,748 それを 一貫したシーンに したかったもんですからね。 394 00:45:17,748 --> 00:45:20,184 やっぱりその 幻滅させたくなかったんです。 395 00:45:20,184 --> 00:45:23,588 あの 状況は深刻なんだけど 外から見れば。 396 00:45:23,588 --> 00:45:27,959 でも 日々の営みを こう➡ 397 00:45:27,959 --> 00:45:32,196 たのしめるなら たのしんでいきたい という気持ちのあるような➡ 398 00:45:32,196 --> 00:45:34,599 人として描きたいと思ったんですね。 399 00:45:41,372 --> 00:45:44,275 最後の土壇場 これ間に合わないと。 400 00:45:44,275 --> 00:45:47,578 どうしたらいいんだろうって。 そうするとさ➡ 401 00:45:47,578 --> 00:45:50,481 出来上がったコンテあるんだけど それを全部やろうとしたら➡ 402 00:45:50,481 --> 00:45:54,352 映画の公開に間に合わない さあどうするっつって。 403 00:45:54,352 --> 00:45:58,623 高畑さんの場合ね 常にそれが つきまとったんですよ。 404 00:45:58,623 --> 00:46:00,958 ね。 (村瀬)はい。 覚えてます。 405 00:46:00,958 --> 00:46:05,563 これはね どこをね 絵コンテの中から➡ 406 00:46:05,563 --> 00:46:09,367 まあ 減らすか カットするかは 2人で相談したよね。 407 00:46:09,367 --> 00:46:11,869 (村瀬)はい しました。 はっははは…。 408 00:46:11,869 --> 00:46:13,804 (取材者)この2人で。 (村瀬)はい。そうそうそう。 409 00:46:13,804 --> 00:46:15,740 (村瀬)あれ1月か2月ぐらいでしたね。 そう。 410 00:46:15,740 --> 00:46:18,643 「自分ではできないから やってみてください」なの。 411 00:46:18,643 --> 00:46:22,346 (取材者) 公開4月の1月か2月 あと3か月? 412 00:46:22,346 --> 00:46:26,150 (村瀬)そのぐらいです。 そのぐらいでしたね 確かね。 413 00:46:26,150 --> 00:46:28,119 (取材者) どのぐらい できてなかったんですか? 414 00:46:28,119 --> 00:46:31,756 (村瀬)いや 絶対に間に合わなかった。 絶対に間に合わない。 415 00:46:31,756 --> 00:46:33,758 秒数で言うと どのくらいか もう忘れたけど。 416 00:46:33,758 --> 00:46:37,194 (村瀬)結構 7~8分切らないと ダメだったぐらい。そう。 417 00:46:37,194 --> 00:46:43,000 それで鈴木さんと一緒にそう。 地下室に籠もってですね。やったね。 418 00:46:43,000 --> 00:46:46,871 絵コンテ… 絵コンテを 描いてある尺の長さだけ➡ 419 00:46:46,871 --> 00:46:49,140 ビデオでコマ撮りしてくわけですよ。 420 00:46:49,140 --> 00:46:51,809 そうするとトータルで 絵コンテを撮ったやつが➡ 421 00:46:51,809 --> 00:46:55,813 約1時間40分ぐらいの映像になって それを全部撮り終わった後➡ 422 00:46:55,813 --> 00:47:01,085 見て… やっぱここですかね いらないのは とか言いながら。 (鈴木)あはははっ。 423 00:47:01,085 --> 00:47:05,589 (取材者)じゃあ あの 観ている映画は お二人が切った…。 切った後です。 424 00:47:17,635 --> 00:47:20,037 (清太)節子! 節子来てみ。 425 00:47:23,908 --> 00:47:26,010 んん…。 426 00:47:29,647 --> 00:47:32,983 (節子) わー お池 広うなったみたいやねえ。 427 00:47:32,983 --> 00:47:53,604 ♬~ 428 00:47:53,604 --> 00:47:55,806 あっ なんかはねた。 429 00:47:58,376 --> 00:48:00,478 魚や! 430 00:48:03,280 --> 00:48:05,883 よーし 今日は忙しなるぞ。 431 00:48:09,553 --> 00:48:21,198 ♬~ 432 00:48:21,198 --> 00:48:23,234 (節子)あ~ うふふっ。 433 00:48:23,234 --> 00:48:25,369 (水音) 434 00:48:25,369 --> 00:48:27,371 (節子)あっ。 435 00:48:34,945 --> 00:48:39,049 だけれども 高畑さんの演出も もちろん そうだけども… 436 00:48:46,557 --> 00:48:53,697 ♬~(鳴き声) 437 00:48:53,697 --> 00:49:03,307 ♬~ 438 00:49:19,924 --> 00:49:22,193 ウォーッ! 439 00:49:22,193 --> 00:49:24,995 待てーっ! ウォーッ! キャーッ! アハハッ! 440 00:49:24,995 --> 00:49:28,966 待てー! ハハッ 待てー! 441 00:49:28,966 --> 00:49:32,069 アハハッ! 食うてまうどー! 442 00:49:32,069 --> 00:49:34,672 アハハハッ!ウォーッ! 443 00:49:34,672 --> 00:49:47,251 ♬~ 444 00:49:47,251 --> 00:49:53,023 ♬「はしっても はしっても おわらない 花の波」 445 00:49:53,023 --> 00:49:59,797 ♬「みずうみは遠く もえるくもは もっと遠く」 446 00:49:59,797 --> 00:50:18,182 ♬~ 447 00:50:18,182 --> 00:50:21,619 やはり 高畑監督が ずっとやってきたことは➡ 448 00:50:21,619 --> 00:50:25,823 子どもの 本当に生き生きとした姿というのを➡ 449 00:50:25,823 --> 00:50:29,693 ある種の誇張とか 喜怒哀楽の記号化ではなくて➡ 450 00:50:29,693 --> 00:50:33,330 本当の生々しい子ども そのものを描く というようなことを➡ 451 00:50:33,330 --> 00:50:35,266 アニメーションで やろうとしたっていうのは➡ 452 00:50:35,266 --> 00:50:38,168 非常に大きな挑戦だったと 思いますけどね。 453 00:51:13,137 --> 00:51:15,539 設計を据えたことで… 454 00:51:21,712 --> 00:51:27,484 その ただ清太っていうのは 自分で生きて 自分で死んでいく存在じゃなくて➡ 455 00:51:27,484 --> 00:51:30,721 その清太を見る存在が 生まれたってことですよね。 456 00:51:30,721 --> 00:51:36,327 もう1つ重要なポイントは この幽霊って ただ清太見てるんじゃなくて➡ 457 00:51:36,327 --> 00:51:40,064 映画が始まると いきなりこう ボーッと現れるんですけど➡ 458 00:51:40,064 --> 00:51:44,868 明らかに 観客を見てるんですよね。 映画を観てる人を見てる。 459 00:51:59,850 --> 00:52:04,388 これ明らかに こっちを一瞬見るっていう 演出が入ってる。 460 00:52:04,388 --> 00:52:11,161 だから その 赤い清太がいるおかげで その 僕らが見られてる存在になる。 461 00:52:11,161 --> 00:52:15,065 僕ら自身が 何か問いかけられてる存在として➡ 462 00:52:15,065 --> 00:52:17,067 浮かび上がると思うんですよね。 463 00:52:19,370 --> 00:52:21,338 (節子)兄ちゃーん。 464 00:52:21,338 --> 00:52:38,589 ♬~ 465 00:52:38,589 --> 00:52:41,191 もうおそいからおやすみ。 うん。 466 00:52:43,060 --> 00:52:45,996 あと その 幽霊が…。 467 00:52:45,996 --> 00:52:51,135 まあ 幽霊なんだから 成仏できてないわけですよね。 468 00:52:51,135 --> 00:52:56,640 その 成仏できてないっていうのって➡ 469 00:52:56,640 --> 00:53:01,945 清太とかね 節子だけじゃないわけ あの当時のこと思うと。 470 00:53:03,747 --> 00:53:08,585 この作品が 昔こういうことがありました っていう ていじゃなくて➡ 471 00:53:08,585 --> 00:53:13,524 やっぱりね 今も やっぱりそれって 続いてるんだよねっていうか。 472 00:53:13,524 --> 00:53:15,693 まあ忘れさせないというかさ。 473 00:53:15,693 --> 00:53:19,897 そういうなんか 強いこう…。 474 00:53:19,897 --> 00:53:26,503 心揺さぶるような 何かを与えてくれてる 仕掛けだと思いますよね。 475 00:53:32,042 --> 00:53:37,514 まあ 昭和20年と全く違う 都会の風景というのがボンと映って➡ 476 00:53:37,514 --> 00:53:41,085 そこに赤い清太が はっと現れるので 僕らは➡ 477 00:53:41,085 --> 00:53:44,955 あ これ ぐるぐる回ってるのは よそごとじゃなくて➡ 478 00:53:44,955 --> 00:53:50,494 私たちの今 のことでもあるんだ っていうふうに思わされますね。 479 00:53:50,494 --> 00:53:55,733 それが この映画の ちょっと恐ろしいところだと思いますね。 480 00:53:55,733 --> 00:54:47,818 ♬~ 481 00:54:52,789 --> 00:54:55,526 やっぱり苦しい 映画だったかなっていうのは。 482 00:54:55,526 --> 00:54:57,461 かなり重い。 483 00:54:57,461 --> 00:55:03,634 すごい せ… 清太君も節ちゃんも よく頑張ったなと思って。 484 00:55:03,634 --> 00:55:06,436 ふだんだったら助けてあげられる人も➡ 485 00:55:06,436 --> 00:55:11,308 絶対助けてあげられなくなってしまうとか そういうことが➡ 486 00:55:11,308 --> 00:55:14,311 ほんとに…➡ 487 00:55:14,311 --> 00:55:16,413 こんなふうに表現できるんだなって。 488 00:55:18,682 --> 00:55:21,451 映画で 「火垂るの墓」というのを作りました。 489 00:55:21,451 --> 00:55:24,855 それを作ったときに いろいろ 反戦映画と言われたんですね。 490 00:55:24,855 --> 00:55:29,059 で 僕は あれは反戦映画じゃない ということを ずっと主張してきました。 491 00:55:36,466 --> 00:55:39,369 (笑い声) 492 00:55:39,369 --> 00:55:41,705 いや~ ちょっとも変わっとらんわ。 493 00:55:41,705 --> 00:55:44,007 やっぱり わが家はええなあ。 494 00:55:44,007 --> 00:55:47,244 ♬~(笑い声) 495 00:55:47,244 --> 00:55:51,114 ♬~久しぶりやわ 蓄音機! 496 00:55:51,114 --> 00:55:54,618 ♬~あ~…! 497 00:55:54,618 --> 00:55:57,588 ♬~懐かしい景色やわあ。 498 00:55:57,588 --> 00:56:01,825 ♬~(笑い声) 499 00:56:01,825 --> 00:56:17,674 ♬「Mid pleasures and palaces though we may room,」 500 00:56:17,674 --> 00:56:33,090 ♬「Be it ever so humble, there’s no place like home.」 501 00:56:33,090 --> 00:56:37,461 映画の舞台が 昭和20年の夏だっていうだけであって➡ 502 00:56:37,461 --> 00:56:43,800 清太みたいな子は 今も昔も現代でも 必ずいるし。 503 00:56:43,800 --> 00:56:49,740 決して この場面が 戦時中であっても 反戦ではない。 504 00:56:49,740 --> 00:56:53,143 どうやって生き どうやって守るか。 505 00:56:53,143 --> 00:57:00,217 これを観たときに 「ああ戦争って嫌だな」 と思うと思うんですよ。 506 00:57:00,217 --> 00:57:04,087 それは 大きな意味で 反戦映画だと思うんですよね。 507 00:57:04,087 --> 00:57:08,325 あの時代にもさ 要するに その戦火の中を生きた➡ 508 00:57:08,325 --> 00:57:13,930 兄貴と妹がいたって話じゃない。 そしたら当然 きょうだい愛でしょ。 509 00:57:13,930 --> 00:57:18,769 子どもたちが ああいう状況に置かれたら どうなっちゃうのかなっていうのを➡ 510 00:57:18,769 --> 00:57:20,704 描いてたんだと思うんですけど。 511 00:57:20,704 --> 00:57:26,176 あの 反戦ではない。 ただ 知ってほしい 現実を。 512 00:57:26,176 --> 00:57:28,845 やっぱり そういう時代があったんだっていう➡ 513 00:57:28,845 --> 00:57:31,782 事実を残したかったんじゃないのかな。 514 00:57:31,782 --> 00:57:37,187 高畑さんが よくおっしゃってたように➡ 515 00:57:37,187 --> 00:57:42,793 それを観ることで 戦争を止める力がなければ➡ 516 00:57:42,793 --> 00:57:45,696 反戦映画じゃないんだって。 517 00:57:45,696 --> 00:57:48,565 じゃあ反戦映画って 世の中にあるのかなと思ったら➡ 518 00:57:48,565 --> 00:57:52,269 1本も今まで ないじゃないですか。 519 00:57:52,269 --> 00:58:04,314 ♬~ 520 00:58:04,314 --> 00:58:14,891 ♬「There’s no place like home,」 521 00:58:14,891 --> 00:58:34,311 ♬「there’s no place like home!」 522 00:58:34,311 --> 00:58:43,453 ♬~ 523 00:58:43,453 --> 00:58:56,266 (雑踏の音)