1 00:00:01,134 --> 00:00:08,041 ♬~ 2 00:00:08,041 --> 00:00:15,515 ♬~(歌声) 3 00:00:15,515 --> 00:00:17,951 中東 イラク。 4 00:00:17,951 --> 00:00:23,390 チグリス川と ユーフラテス川が 合流する湿地帯。 5 00:00:23,390 --> 00:00:26,593 5,500年前 ここで➡ 6 00:00:26,593 --> 00:00:30,464 人類最初の文明が生まれたといわれる。 7 00:00:30,464 --> 00:00:35,302 世界最古の文字の一つ「楔形文字」や➡ 8 00:00:35,302 --> 00:00:40,507 「ハンムラビ法典」で知られる メソポタミア文明である。 9 00:00:54,421 --> 00:01:00,827 2018年 冒険作家 高野秀行は 治安が不安定で➡ 10 00:01:00,827 --> 00:01:06,233 今や一般の人が足を踏み入れることがない この地を訪れた。 11 00:01:28,322 --> 00:01:34,428 始まりの地は 20世紀 苦難の歴史を刻むことになった。 12 00:01:41,969 --> 00:01:47,474 アメリカは戦後 中東への介入を繰り返してきた。 13 00:02:00,754 --> 00:02:05,759 アメリカは 中東を 「油田の国」と見なしてきた。 14 00:02:08,829 --> 00:02:16,103 1950年代 石油を国有化しようとした イランにCIAを送り込み➡ 15 00:02:16,103 --> 00:02:18,805 政権を転覆させた。 16 00:02:22,876 --> 00:02:29,082 そして イランを 中東屈指の親米国家につくりかえた。 17 00:02:35,455 --> 00:02:39,726 しかし その後 民衆が反旗を翻し➡ 18 00:02:39,726 --> 00:02:43,930 イスラム教が主導する反米国家に変わる。 19 00:02:49,136 --> 00:02:51,872 すると アメリカは 今度は➡ 20 00:02:51,872 --> 00:02:55,976 イランの敵対国 イラクを軍事支援した。 21 00:03:00,947 --> 00:03:05,252 (爆発音) 22 00:03:15,162 --> 00:03:22,769 しかし 支援したイラクが脅威となれば 容赦なく武力で抑え込んだ。 23 00:03:39,186 --> 00:03:41,188 (爆発音) 24 00:03:43,990 --> 00:03:51,898 介入は やがて報復を呼び 報復は さらなる介入を招いた。 25 00:04:24,631 --> 00:04:28,034 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 26 00:04:30,437 --> 00:04:37,177 文明発祥の地 中東に刻まれた 終わりなき流血の記録。 27 00:04:37,177 --> 00:04:44,017 正義の名のもとに介入が繰り返され 多くの血が流されていった。 28 00:04:44,017 --> 00:04:53,527 ♬~ 29 00:05:08,208 --> 00:05:10,977 20世紀初頭のイラン。 30 00:05:10,977 --> 00:05:14,981 中東で初めて 油田が発見された。 31 00:05:23,924 --> 00:05:26,259 (砲撃音) 32 00:05:26,259 --> 00:05:32,766 第一次世界大戦は 石油の時代の始まりを 告げる転換点となった。 33 00:05:34,601 --> 00:05:38,371 イギリス フランスなどを中心とする 連合国は➡ 34 00:05:38,371 --> 00:05:43,777 ドイツやオーストリア オスマン帝国と戦った。 35 00:05:43,777 --> 00:05:46,613 オスマン帝国は 現在のイラクや➡ 36 00:05:46,613 --> 00:05:48,548 サウジアラビアの 一部を含む➡ 37 00:05:48,548 --> 00:05:51,384 広大な領域を 支配していた。 38 00:05:51,384 --> 00:05:55,689 そこには無尽蔵の 石油が眠っていた。 39 00:05:57,190 --> 00:06:00,961 イギリスは 戦争に勝利するため➡ 40 00:06:00,961 --> 00:06:05,799 オスマン帝国の支配下にあった アラブ人に反乱を持ちかけ➡ 41 00:06:05,799 --> 00:06:09,302 その見返りに こう約束した。 42 00:06:24,751 --> 00:06:29,923 その言葉を信じ アラブ人は反乱を起こす。 43 00:06:29,923 --> 00:06:34,561 彼らの間で ある言葉が飛び交った。 44 00:06:34,561 --> 00:06:41,167 それぞれの民族が自らの運命を決める… 45 00:06:41,167 --> 00:06:45,705 (砲撃音) 46 00:06:45,705 --> 00:06:48,508 この言葉を唱えたのは➡ 47 00:06:48,508 --> 00:06:52,812 アメリカの大統領 ウッドロー・ウィルソンである。 48 00:07:12,699 --> 00:07:15,635 ウィルソンの言葉に希望を託し➡ 49 00:07:15,635 --> 00:07:21,174 アラブ人は オスマン帝国の都市を 次々に制圧。 50 00:07:21,174 --> 00:07:24,477 連合国の勝利に貢献した。 51 00:07:29,582 --> 00:07:34,688 しかし 約束は裏切られた。 52 00:07:37,157 --> 00:07:41,127 連合国は 地図を引き直す。 53 00:07:41,127 --> 00:07:43,930 オスマン帝国の領土を分割し➡ 54 00:07:43,930 --> 00:07:46,833 シリアやレバノンをフランスが➡ 55 00:07:46,833 --> 00:07:51,638 イラクなどをイギリスが 実質的な支配下においた。 56 00:07:55,575 --> 00:07:59,546 イギリスは 建国したイラクの国王に➡ 57 00:07:59,546 --> 00:08:04,150 反乱を率いたアラブ人 ファイサルを据えた。 58 00:08:30,844 --> 00:08:37,117 イラクは 国家を樹立したものの その後 40年近くにわたり➡ 59 00:08:37,117 --> 00:08:41,521 イギリスの強い影響下に おかれることになる。 60 00:08:46,493 --> 00:08:50,363 これは イラクの隣国イランについて➡ 61 00:08:50,363 --> 00:08:53,767 アメリカ軍が制作した 記録フィルムである。 62 00:09:22,228 --> 00:09:26,099 紀元前6世紀にペルシャ帝国を築き➡ 63 00:09:26,099 --> 00:09:32,405 悠久の歴史を持つイランは 独自の文化を守り続けていた。 64 00:09:34,674 --> 00:09:39,145 しかし 20世紀に入ると一変する。 65 00:09:39,145 --> 00:09:44,951 イギリスが石油の採掘権を獲得し その権益を独占。 66 00:09:44,951 --> 00:09:48,555 利益の9割近くを手に入れていた。 67 00:09:53,159 --> 00:09:59,966 1951年 イランは 石油を自らの手に取り戻そうとする。 68 00:10:06,673 --> 00:10:11,077 石油産業の国有化を宣言した。 69 00:10:16,149 --> 00:10:19,819 主導したのは 首相モサデク。 70 00:10:19,819 --> 00:10:23,089 大国の干渉に 反対し➡ 71 00:10:23,089 --> 00:10:25,892 国民の支持を 集めていた。 72 00:11:00,827 --> 00:11:04,364 イギリスは モサデク政権打倒の協力を➡ 73 00:11:04,364 --> 00:11:06,566 アメリカに求めた。 74 00:11:10,970 --> 00:11:14,707 モサデク支持者には 共産主義者も多く➡ 75 00:11:14,707 --> 00:11:18,878 放置すると ソビエトに石油を奪われかねない。 76 00:11:18,878 --> 00:11:23,283 そんな懸念が アメリカを動かした。 77 00:11:25,685 --> 00:11:27,987 任務を託された… 78 00:11:31,191 --> 00:11:36,296 第26代大統領 セオドア・ルーズベルトの 孫である。 79 00:11:38,064 --> 00:11:43,770 ルーズベルトは 軍高官や宗教指導者を 次々に買収➡ 80 00:11:43,770 --> 00:11:47,473 反モサデクを訴えるデモを組織する。 81 00:11:49,309 --> 00:11:54,013 群衆に ある人物の名を叫ばせた。 82 00:12:10,396 --> 00:12:12,832 CIAが担ぎ上げたのは➡ 83 00:12:12,832 --> 00:12:17,937 国外に退避していたイランの国王 パーレビである。 84 00:12:19,606 --> 00:12:24,377 パーレビは臆病で 見えっ張りな国王だったといわれる。 85 00:12:24,377 --> 00:12:30,984 背を高く見せるため 公の場では 常に底上げ靴を履いていた。 86 00:12:55,808 --> 00:13:01,714 CIAが味方に引き込んだ軍隊が モサデクを襲撃した。 87 00:13:12,258 --> 00:13:17,864 モサデクは 国家反逆罪に問われ 有罪判決を受けた。 88 00:13:30,109 --> 00:13:33,479 政権転覆の6年後➡ 89 00:13:33,479 --> 00:13:38,084 アメリカ大統領 アイゼンハワーが イランを訪れた。 90 00:13:52,832 --> 00:13:58,738 イランは 中東屈指の親米国家に 姿を変えた。 91 00:14:03,609 --> 00:14:07,346 アメリカは イランの石油利益の半分を➡ 92 00:14:07,346 --> 00:14:10,950 西欧諸国と分け合うことになった。 93 00:14:42,181 --> 00:14:46,686 (ファンファーレ) 94 00:14:53,693 --> 00:14:58,998 1956年 イラクの国王 ファイサル二世が➡ 95 00:14:58,998 --> 00:15:01,667 イギリスを訪れた時の映像。 96 00:15:01,667 --> 00:15:05,471 初代国王 ファイサルの孫である。 97 00:15:05,471 --> 00:15:13,980 建国以来 王政の続いていたイラクは 依然イギリスの強い影響下にあった。 98 00:15:13,980 --> 00:15:17,083 しかし この2年後。 99 00:15:28,094 --> 00:15:33,100 イラク軍の一部がクーデターを起こし ファイサル二世を銃殺した。 100 00:15:36,402 --> 00:15:40,706 主導したのは 陸軍将校のカセム。 101 00:15:43,242 --> 00:15:45,978 共和制を樹立したカセムは➡ 102 00:15:45,978 --> 00:15:50,683 欧米の支配から逃れるため ソビエトに接近する。 103 00:16:08,234 --> 00:16:10,203 (銃声) 104 00:16:10,203 --> 00:16:14,140 しかし 政権は5年で崩壊する。 105 00:16:14,140 --> 00:16:19,245 再び クーデターが起こり カセムは銃殺された。 106 00:16:19,245 --> 00:16:27,753 企てたのは 「アラブ民族の統一」を掲げて 躍進していた バース党である。 107 00:16:32,258 --> 00:16:36,128 アメリカの元外交官 ジェームズ・エイキンズは➡ 108 00:16:36,128 --> 00:16:41,634 このクーデターにも CIAが関わっていたと証言している。 109 00:17:03,523 --> 00:17:10,229 この6年後 一人の若者が 政権の中枢に現れる。 110 00:17:12,231 --> 00:17:16,636 32歳のサダム・フセインである。 111 00:17:20,373 --> 00:17:26,979 フセインは 1937年 イラク北部の貧しい農家に生まれ➡ 112 00:17:26,979 --> 00:17:31,083 義理の父親に虐待されながら育った。 113 00:17:58,077 --> 00:18:06,118 1979年 フセインは大統領に就任すると 恐怖政治を敷いた。 114 00:18:06,118 --> 00:18:09,989 これは就任直後 反対派の党幹部を捜し出し➡ 115 00:18:09,989 --> 00:18:12,992 粛清しようとする映像である。 116 00:18:33,212 --> 00:18:39,685 フセインは 政権転覆を企てた 政治犯の一人を壇上に上がらせ➡ 117 00:18:39,685 --> 00:18:45,091 共謀者の名前を 一人ずつ 列挙するよう命じた。 118 00:19:29,001 --> 00:19:33,572 名前を呼ばれた者は 60人以上。 119 00:19:33,572 --> 00:19:39,378 その多くが有罪となり 21人が銃殺された。 120 00:19:41,247 --> 00:19:45,685 (すすり泣き) 121 00:19:45,685 --> 00:19:51,991 名前を呼ばれずに済んだ党員は 恐怖と安堵の涙を拭った。 122 00:19:55,795 --> 00:20:06,205 (拍手と歓声) 123 00:20:28,694 --> 00:20:36,302 ♬~ 124 00:20:36,302 --> 00:20:41,841 このころ 国王パーレビの 親米政権が続くイランでは➡ 125 00:20:41,841 --> 00:20:47,246 都市部の富裕層が アメリカナイズされた 生活を謳歌していた。 126 00:20:52,051 --> 00:20:54,954 ソビエトと国境を接するイランは➡ 127 00:20:54,954 --> 00:21:00,860 アメリカにとって 共産主義の拡大を防ぐ「防波堤」だった。 128 00:21:04,630 --> 00:21:07,833 軍事力の強化を迫られたパーレビは➡ 129 00:21:07,833 --> 00:21:13,339 石油収入の多くをアメリカからの 兵器購入に充てた。 130 00:21:18,010 --> 00:21:21,113 (爆発音) 131 00:21:22,715 --> 00:21:26,986 軍事費は国家予算の3割に及んだ。 132 00:21:26,986 --> 00:21:33,292 石油の富は 兵器にかわり 人々には届かなかった。 133 00:21:33,292 --> 00:21:35,528 伝統的なイスラム文化も➡ 134 00:21:35,528 --> 00:21:40,332 近代化の名のもとに 軽視されるようになっていた。 135 00:21:43,803 --> 00:21:48,707 パーレビは CIAと イスラエル モサドの協力で➡ 136 00:21:48,707 --> 00:21:52,511 秘密警察 サヴァクを創設。 137 00:21:52,511 --> 00:21:57,716 反対派の人々を拷問し 徹底的に弾圧した。 138 00:22:31,183 --> 00:22:35,387 弾圧と貧困 富の独占。 139 00:22:35,387 --> 00:22:39,491 人々の怒りは 限界を超えた。 140 00:22:48,334 --> 00:22:53,138 沈黙を強いられていた人々が 声を上げた。 141 00:22:53,138 --> 00:22:56,041 革命の火が燃え始める。 142 00:23:04,483 --> 00:23:11,991 人々が指導者として掲げたのが イスラムの法学者 ホメイニ師である。 143 00:23:13,993 --> 00:23:19,899 この13年前に民衆を扇動したという理由で イランを追放され➡ 144 00:23:19,899 --> 00:23:24,103 亡命先から国王批判を続けていた。 145 00:23:45,724 --> 00:23:50,229 ホメイニは 国外から人々を鼓舞した。 146 00:23:52,498 --> 00:23:54,500 (銃声) 147 00:25:47,946 --> 00:25:55,187 9か月後 ホメイニを支持する学生たちが アメリカ大使館を占拠。 148 00:25:55,187 --> 00:25:59,525 アメリカに逃れたパーレビの身柄の 引き渡しを求め➡ 149 00:25:59,525 --> 00:26:05,063 大使館員など 50人以上を人質にとった。 150 00:26:05,063 --> 00:26:10,569 その期間は 444日間に及んだ。 151 00:26:22,147 --> 00:26:27,453 アメリカとイランは 国交を断絶するに至った。 152 00:26:38,363 --> 00:26:41,366 これは 人質事件のさなか➡ 153 00:26:41,366 --> 00:26:46,104 海外で撮影された パーレビのインタビュー。 154 00:26:46,104 --> 00:26:50,409 パーレビが取材にこたえる 最後の映像である。 155 00:27:36,421 --> 00:27:43,061 この半年後 パーレビは 失意のうちに息を引き取った。 156 00:27:43,061 --> 00:27:45,464 60歳だった。 157 00:28:09,188 --> 00:28:14,993 1980年9月 イスラム革命による混乱を 好機と見なし➡ 158 00:28:14,993 --> 00:28:17,896 イラクがイランに侵攻。 159 00:28:17,896 --> 00:28:19,898 戦争が始まった。 160 00:28:22,100 --> 00:28:27,406 イラクはイランと 国境線を巡る争いを抱えていた。 161 00:28:31,643 --> 00:28:36,248 イスラム革命が周辺国に 広がることを恐れたアメリカは➡ 162 00:28:36,248 --> 00:28:39,017 敵の敵は味方とばかりに➡ 163 00:28:39,017 --> 00:28:42,020 今度は イラクに接近した。 164 00:28:43,855 --> 00:28:46,592 米軍の持つ機密情報や➡ 165 00:28:46,592 --> 00:28:49,861 ミサイルやレーダーなどの 軍事技術を提供し➡ 166 00:28:49,861 --> 00:28:53,165 イラクを支援したといわれる。 167 00:28:59,171 --> 00:29:02,841 イラクは サリンやマスタードガスなど➡ 168 00:29:02,841 --> 00:29:07,546 国際条約に違反する 大量破壊兵器を使った。 169 00:29:09,214 --> 00:29:11,216 アメリカとヨーロッパの企業は➡ 170 00:29:11,216 --> 00:29:16,321 その原料となる化学物質を イラクに輸出していた。 171 00:29:21,660 --> 00:29:27,532 欧米を後ろ盾にしたイラクに対し イランは総力戦で応じる。 172 00:29:27,532 --> 00:29:30,369 宗教的使命感に燃え➡ 173 00:29:30,369 --> 00:29:35,474 40万の民間人が 義勇兵に志願したといわれる。 174 00:29:58,363 --> 00:30:00,766 (爆発音) 175 00:30:07,706 --> 00:30:14,479 戦争は8年に及び 推定で50万を超える命が失われた。 176 00:30:14,479 --> 00:30:19,284 勝者はなく ただ損失だけが広がっていった。 177 00:30:21,253 --> 00:30:25,123 即時停戦を求める 国連の決議を➡ 178 00:30:25,123 --> 00:30:28,994 ホメイニは 「毒を飲むよりもつらい」➡ 179 00:30:28,994 --> 00:30:31,997 そう語りながら受け入れた。 180 00:30:37,536 --> 00:30:43,742 その1年後 心臓発作を起こし 息を引き取った。 181 00:30:49,281 --> 00:30:56,888 テヘランで行われた葬儀には 実に1,000万人以上が集まった。 182 00:30:56,888 --> 00:31:01,293 人類史上 最大規模の集会となった。 183 00:31:11,703 --> 00:31:13,638 (砲撃音) 184 00:31:13,638 --> 00:31:17,109 停戦の2年後 イラクは➡ 185 00:31:17,109 --> 00:31:22,914 石油資源の豊富な隣国クウェートに侵攻し 全土を制圧した。 186 00:31:22,914 --> 00:31:25,917 (爆発音) 187 00:31:27,753 --> 00:31:33,058 フセインを支持していた アメリカの風向きが大きく変わる。 188 00:31:35,193 --> 00:31:37,629 そのきっかけの一つとなったのが➡ 189 00:31:37,629 --> 00:31:42,834 アメリカで行われた公聴会での ある少女の証言だった。 190 00:31:42,834 --> 00:31:49,341 その15歳の少女は 「クウェート難民のナイラ」と名乗った。 191 00:32:12,831 --> 00:32:17,502 ブッシュ大統領は その証言を繰り返し引用し➡ 192 00:32:17,502 --> 00:32:21,306 イラクへの軍事介入の正当性を訴えた。 193 00:32:32,717 --> 00:32:41,193 1991年 アメリカは国連の承認を得て 多国籍軍を結成。 194 00:32:41,193 --> 00:32:45,697 圧倒的な武力で イラクへの攻撃を始めた。 195 00:33:04,449 --> 00:33:06,451 (ミサイルの音) 196 00:33:16,995 --> 00:33:19,898 メディアの多くが退避する中➡ 197 00:33:19,898 --> 00:33:26,905 NHKの柳澤記者は 戦時下のイラクで 市民の声を拾い続けた。 198 00:34:01,172 --> 00:34:07,479 42日間の戦いの末 クウェートは解放された。 199 00:34:11,149 --> 00:34:17,489 しかし翌年 ニューヨークタイムズが 一つの記事を発表する。 200 00:34:17,489 --> 00:34:20,292 ナイラと名乗った難民の少女は➡ 201 00:34:20,292 --> 00:34:28,033 実はアメリカに住むクウェート大使の娘で 証言は うそだったと暴露した。 202 00:34:28,033 --> 00:34:32,504 クウェート政府がアメリカのPR会社に➡ 203 00:34:32,504 --> 00:34:37,809 1,000万ドル以上を支払って仕掛けた プロパガンダだった。 204 00:35:09,307 --> 00:35:12,177 2003年。 205 00:35:12,177 --> 00:35:16,548 911の記憶が まだ生々しく残るアメリカ。 206 00:35:16,548 --> 00:35:23,855 ブッシュ大統領はイラクのフセイン政権が アルカイダとつながっていると訴えた。 207 00:35:40,739 --> 00:35:47,412 湾岸戦争後 国連は イラクの化学兵器工場や核施設を査察し➡ 208 00:35:47,412 --> 00:35:51,616 大量破壊兵器の廃棄を進めた。 209 00:35:51,616 --> 00:35:56,021 だが フセイン政権は度々妨害していた。 210 00:36:08,833 --> 00:36:14,372 アメリカは イラク攻撃の根拠となる 情報を探していた。 211 00:36:14,372 --> 00:36:20,979 そして イラクが大量破壊兵器を 保有しているという情報を手に入れた。 212 00:36:24,349 --> 00:36:29,220 国連で 国務長官パウエルは イラクが秘密裏に➡ 213 00:36:29,220 --> 00:36:34,926 トレーラー型の施設で 生物兵器を製造していると主張した。 214 00:36:48,273 --> 00:36:51,109 その情報が引き金となり➡ 215 00:36:51,109 --> 00:36:55,947 アメリカ率いる有志連合軍は イラクを攻撃。 216 00:36:55,947 --> 00:36:58,550 首都 バグダッドを制圧した。 217 00:37:05,156 --> 00:37:07,659 (拍手と歓声) 218 00:37:09,627 --> 00:37:14,132 だが 攻撃の理由となった 大量破壊兵器は➡ 219 00:37:14,132 --> 00:37:18,036 どれだけ探しても 見つからなかった。 220 00:37:21,873 --> 00:37:27,779 パウエルが根拠にしていた証言は 作り話だったと判明する。 221 00:37:32,350 --> 00:37:38,857 うその証言をしたのは 化学エンジニアをしていた亡命イラク人。 222 00:37:38,857 --> 00:37:42,460 「カーブボール」というコードネームで 呼ばれていた。 223 00:37:47,165 --> 00:37:51,769 カーブボールが アメリカの番組に 出演した時の映像である。 224 00:38:32,143 --> 00:38:36,447 アルカイダとの関係を示す 証拠もなかった。 225 00:38:39,884 --> 00:38:44,589 それでもなお フセインは裁かれた。 226 00:38:44,589 --> 00:38:50,295 罪状は 独裁政権下の住民虐殺だった。 227 00:39:58,997 --> 00:40:02,200 アメリカ主導の連合軍による占領を➡ 228 00:40:02,200 --> 00:40:06,905 独裁に苦しんできた人々の多くは 歓迎した。 229 00:40:11,876 --> 00:40:15,146 しかし 駐留を続ける軍と➡ 230 00:40:15,146 --> 00:40:18,783 アメリカによる 一方的な民主化の押しつけは➡ 231 00:40:18,783 --> 00:40:22,086 国民の反発を強めていく。 232 00:40:37,268 --> 00:40:41,172 (爆発音) 233 00:40:45,943 --> 00:40:52,050 外国人を狙った 過激派による自爆攻撃が相次いだ。 234 00:40:52,050 --> 00:40:56,354 国連職員やジャーナリストが 犠牲となった。 235 00:41:00,892 --> 00:41:09,300 その後 過激派の一部は「IS」を名乗り イラクとシリアの一部を占領した。 236 00:41:23,915 --> 00:41:27,919 (銃声) 237 00:41:30,388 --> 00:41:37,495 ISは 国を越えて攻撃を行い 世界を恐怖で覆った。 238 00:41:46,838 --> 00:41:52,076 アメリカ軍は 2011年にイラクを撤退したが➡ 239 00:41:52,076 --> 00:41:56,914 ISの台頭を理由に 再び駐留した。 240 00:41:56,914 --> 00:42:02,920 ISを弱体化させた今 少しずつ撤退を始めている。 241 00:42:05,623 --> 00:42:11,429 現在イラクは アメリカと 協力関係を築いている。 242 00:42:11,429 --> 00:42:16,434 だが 依然として 不安定な情勢が続いている。 243 00:42:48,066 --> 00:42:50,635 (キャスターの声) 244 00:42:50,635 --> 00:42:54,539 (爆発音) 245 00:42:57,408 --> 00:43:02,346 今年6月 ホメイニの死後も 反米を貫くイランを➡ 246 00:43:02,346 --> 00:43:04,849 イスラエルが空爆した。 247 00:43:08,052 --> 00:43:11,155 (爆発音) 248 00:43:19,664 --> 00:43:22,567 アメリカも追撃した。 249 00:43:22,567 --> 00:43:28,372 文明の発祥地 中東で繰り返される 介入と衝突で➡ 250 00:43:28,372 --> 00:43:31,776 また多くの血が流された。 251 00:43:52,597 --> 00:43:56,801 (デモの声) 252 00:44:07,478 --> 00:44:40,177 ♬~