1 00:00:00,934 --> 00:00:06,840 ♬~ 2 00:00:06,840 --> 00:00:11,945 (ブザー音) 3 00:00:19,086 --> 00:00:23,724 動きだした地面から現れたのは ミサイルの発射口。 4 00:00:23,724 --> 00:00:26,493 (ブザー音) 5 00:00:26,493 --> 00:00:28,428 1960年代。 6 00:00:28,428 --> 00:00:31,865 アメリカと東西冷戦を戦う ソビエト連邦は➡ 7 00:00:31,865 --> 00:00:35,102 核ミサイルの発射訓練を 繰り返していた。 8 00:00:35,102 --> 00:00:39,306 (ブザー音) 9 00:00:45,646 --> 00:00:52,920 (飛しょう音) 10 00:00:52,920 --> 00:00:59,626 (爆発音) 11 00:01:03,597 --> 00:01:07,401 そして 1962年10月。 12 00:01:07,401 --> 00:01:12,906 世界が最も核戦争に近づいた 13日間が訪れる。 13 00:01:24,818 --> 00:01:27,721 (シャッター音) 14 00:01:27,721 --> 00:01:30,490 カリブ海の島国 キューバ。 15 00:01:30,490 --> 00:01:35,495 アメリカの隣国に ひそかに ソ連の核ミサイルが持ち込まれていた。 16 00:01:37,264 --> 00:01:42,169 米ソが全面核戦争に迫った キューバ危機である。 17 00:01:43,904 --> 00:01:45,839 キューバに配備されたミサイルは➡ 18 00:01:45,839 --> 00:01:47,841 首都 ワシントンをはじめ➡ 19 00:01:47,841 --> 00:01:51,545 アメリカの主要都市を 射程に捉えていた。 20 00:01:55,215 --> 00:02:01,521 人々は 迫り来る核の脅威を前に 恐怖に包まれた。 21 00:02:04,791 --> 00:02:12,099 その裏側では 若き大統領が 先制攻撃を叫ぶ軍部に立ち向かっていた。 22 00:02:22,509 --> 00:02:26,079 世界を 破滅の危機から救ったのは➡ 23 00:02:26,079 --> 00:02:29,950 一人のソビエト軍人の判断。 24 00:02:29,950 --> 00:02:35,956 そして コードネーム「HERO」と 呼ばれたスパイがもたらした情報だった。 25 00:02:38,992 --> 00:02:43,764 一人のささやかな営みが 時に 世界を変えることがある。 26 00:02:43,764 --> 00:02:48,201 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 27 00:02:48,201 --> 00:02:53,707 今回は 世界が核戦争に最も近づいた 13日間。 28 00:02:53,707 --> 00:02:57,577 人々の勇気と決断の物語である。 29 00:02:57,577 --> 00:03:05,585 ♬~ 30 00:03:20,801 --> 00:03:25,605 キューバ危機が起きる3年前の 1959年。 31 00:03:27,274 --> 00:03:32,179 キューバの指導者 カストロは アメリカを訪れた。 32 00:03:34,014 --> 00:03:38,852 民衆の絶大な支持の下 キューバ革命を成功させたカストロを➡ 33 00:03:38,852 --> 00:03:41,755 アメリカ市民は 英雄視していた。 34 00:03:43,590 --> 00:03:47,327 (拍手) 35 00:03:47,327 --> 00:03:51,932 カストロは メディアの前で アメリカとの友好を訴えた。 36 00:04:13,954 --> 00:04:19,259 しかし アイゼンハワー大統領は カストロとの会談を拒否。 37 00:04:19,259 --> 00:04:21,461 理由は ゴルフだった。 38 00:04:24,664 --> 00:04:29,870 キューバで カストロが倒したのは アメリカが支援していた政権だった。 39 00:04:37,010 --> 00:04:40,113 アイゼンハワーから足蹴にされた カストロ。 40 00:04:41,815 --> 00:04:45,986 その後 急接近したのは…。 41 00:04:45,986 --> 00:04:51,791 アメリカ最大の敵国 ソ連の最高指導者 フルシチョフだった。 42 00:04:54,094 --> 00:04:56,963 そして…。 43 00:04:56,963 --> 00:05:02,669 世界が最も核戦争に近づいた 13日間が始まる。 44 00:05:05,672 --> 00:05:10,143 (時計の音) 45 00:05:10,143 --> 00:05:14,447 1962年10月16日。 46 00:05:16,550 --> 00:05:23,056 朝 若き大統領 ジョン・F・ケネディは 届いた情報に凍りついた。 47 00:05:26,593 --> 00:05:32,098 キューバへの警戒を強めていたアメリカは 偵察機U-2を飛ばしていた。 48 00:05:33,767 --> 00:05:38,305 この時 Uー2が持ち帰った写真に 信じられないものが写っていたのだ。 49 00:05:38,305 --> 00:05:41,174 (シャッター音) 50 00:05:41,174 --> 00:05:45,378 核弾頭が搭載可能なミサイルの 発射基地だった。 51 00:05:45,378 --> 00:05:50,083 ソ連が ひそかに 建設を進めていたものだと分かった。 52 00:05:54,087 --> 00:05:56,990 国家の安全を揺るがす緊急事態。 53 00:05:56,990 --> 00:06:00,994 ケネディは すぐさま最高幹部会議を招集した。 54 00:06:13,940 --> 00:06:18,745 ケネディが極秘に記録した 会議の音声が残されている。 55 00:07:08,028 --> 00:07:13,466 分析の結果 まだ基地は完成していなかった。 56 00:07:13,466 --> 00:07:16,036 だが ひとたび完成すれば➡ 57 00:07:16,036 --> 00:07:20,140 アメリカの都市の半数が 核ミサイルの射程に入ると分かった。 58 00:07:23,777 --> 00:07:26,079 偵察写真に写っていたのは➡ 59 00:07:26,079 --> 00:07:29,983 一見すると 何の変哲もない 平野と丘だった。 60 00:07:31,718 --> 00:07:34,621 ミサイル基地の存在を 見破ることができたのは➡ 61 00:07:34,621 --> 00:07:38,224 ソ連から ひそかに送られてきた情報だった。 62 00:07:40,961 --> 00:07:44,831 (鐘の音) 63 00:07:44,831 --> 00:07:50,637 その情報をもたらしたのは アメリカと内通する一人のスパイだった。 64 00:07:56,443 --> 00:08:00,246 ソビエト参謀本部大佐という 要職にあった。 65 00:08:02,849 --> 00:08:06,720 ミサイル基地の 建設マニュアルやミサイルの性能など➡ 66 00:08:06,720 --> 00:08:12,926 数千件もの最高機密を 1年半前から アメリカ政府に送り続けていた。 67 00:08:37,083 --> 00:08:43,089 ペンコフスキーがスパイの道を選んだのは 母国への絶望からだった。 68 00:08:44,824 --> 00:08:50,730 共産党一党独裁の下 恐怖によって 国民を支配してきた ソビエト政府。 69 00:08:52,565 --> 00:08:58,271 ペンコフスキーの父親も 共産党によって命を奪われていた。 70 00:09:31,271 --> 00:09:33,573 閣僚から 口々に上がったのは➡ 71 00:09:33,573 --> 00:09:39,579 発射準備が整う前に基地を空爆する 先制攻撃論だった。 72 00:09:43,683 --> 00:09:47,554 大統領の弟である 司法長官 ロバート・ケネディも➡ 73 00:09:47,554 --> 00:09:51,257 キューバへの実力行使に傾いていた。 74 00:10:23,122 --> 00:10:25,058 この日の午後。 75 00:10:25,058 --> 00:10:30,830 ケネディは 国民に危機を悟らせまいと 予定どおり 政務をこなした。 76 00:10:30,830 --> 00:10:34,534 ♬~ 77 00:10:40,507 --> 00:10:50,116 ♬~ 78 00:10:53,119 --> 00:10:55,121 翌日。 79 00:10:55,121 --> 00:11:00,827 ケネディは急きょ キューバに面する フロリダの基地の軍備の増強を指示した。 80 00:11:03,663 --> 00:11:09,469 キューバを狙うミサイルを増設し 先制攻撃の準備を進めた。 81 00:11:13,006 --> 00:11:14,941 (時計の音) 82 00:11:14,941 --> 00:11:18,144 キューバ危機 3日目。 83 00:11:21,714 --> 00:11:24,684 ホワイトハウスでは 先制攻撃をかけた場合➡ 84 00:11:24,684 --> 00:11:27,887 何が起こるかが話し合われていた。 85 00:12:06,793 --> 00:12:11,965 当時 米ソ対立の最前線となっていたドイツ。 86 00:12:11,965 --> 00:12:15,735 キューバを攻撃したら ソ連は ドイツで報復に出ると➡ 87 00:12:15,735 --> 00:12:18,137 ケネディは考えた。 88 00:12:19,739 --> 00:12:23,276 それに備え アメリカは トルコなど➡ 89 00:12:23,276 --> 00:12:27,580 北大西洋条約機構 NATOの同盟国に配備したミサイルを➡ 90 00:12:27,580 --> 00:12:30,783 ソ連に発射できる体制を整えていた。 91 00:12:33,086 --> 00:12:37,090 核による第三次世界大戦が 勃発しかねなかった。 92 00:12:41,194 --> 00:12:43,963 先制攻撃をためらうケネディに➡ 93 00:12:43,963 --> 00:12:48,368 キューバへの即時空爆を 主張した男たちがいた。 94 00:12:52,038 --> 00:12:54,340 軍部首脳である。 95 00:12:56,242 --> 00:12:58,211 中でも 強硬な姿勢を示したのが➡ 96 00:12:58,211 --> 00:13:03,216 空軍参謀総長の カーティス・ルメイだった。 97 00:13:29,509 --> 00:13:35,515 ルメイは 第二次世界大戦で 華々しく活躍した司令官だった。 98 00:13:39,686 --> 00:13:41,621 その功績を盾に➡ 99 00:13:41,621 --> 00:13:46,326 大統領であるケネディに対してすら 威圧的に振る舞っていた。 100 00:13:53,866 --> 00:13:59,372 ルメイは この時 ケネディの急所を突いてきた。 101 00:14:11,751 --> 00:14:17,090 「ミュンヘンの失敗」とは 1938年 イギリスとフランスが➡ 102 00:14:17,090 --> 00:14:19,659 ナチスドイツの領土拡大を認めた➡ 103 00:14:19,659 --> 00:14:22,862 ミュンヘン会談のことである。 104 00:14:24,497 --> 00:14:28,301 ヒトラーに譲歩することで その野望を抑える ねらいだったが➡ 105 00:14:28,301 --> 00:14:34,107 ナチスの更なる暴走を招き 第二次世界大戦の火種となった。 106 00:14:37,944 --> 00:14:41,814 この時 駐英アメリカ大使を務めていたのが➡ 107 00:14:41,814 --> 00:14:45,184 ケネディの父 ジョセフだった。 108 00:14:45,184 --> 00:14:48,688 ヒトラーへの譲歩を打ち出した 一人だった。 109 00:14:51,958 --> 00:14:56,162 ケネディ家の汚点を 容赦なく突く ルメイ。 110 00:14:57,897 --> 00:15:01,901 ケネディは その場を後にした。 111 00:15:10,143 --> 00:15:14,347 ケネディの退席後も テープは回っていた。 112 00:15:14,347 --> 00:15:18,851 そこで録音された ルメイたちの声である。 113 00:15:53,052 --> 00:15:59,192 (時計の音) 114 00:15:59,192 --> 00:16:02,128 キューバ危機 5日目。 115 00:16:02,128 --> 00:16:06,432 ケネディは 遊説のため シカゴを訪れていた。 116 00:16:08,034 --> 00:16:14,140 しかし朝 風邪のために 急きょホワイトハウスに戻ると発表した。 117 00:16:16,909 --> 00:16:19,145 仮病だった。 118 00:16:19,145 --> 00:16:24,650 キューバのミサイル基地が 更に拡大したという情報が入ったのだ。 119 00:16:26,552 --> 00:16:31,157 大事な中間選挙を目前にしての 異例の行動。 120 00:16:40,099 --> 00:16:44,103 メディアは 不審なにおいを嗅ぎ取った。 121 00:17:01,921 --> 00:17:04,357 (シャッター音) 122 00:17:04,357 --> 00:17:10,363 ソ連に対し どう出るべきか 息詰まる話し合いが続いていた。 123 00:17:12,131 --> 00:17:16,335 この時 一つの対応策が浮上した。 124 00:17:16,335 --> 00:17:21,641 提案したのは 国防長官の ロバート・マクナマラ。 125 00:17:23,209 --> 00:17:29,215 神童と呼ばれ 史上最年少の 44歳で国防長官に就任した。 126 00:17:34,053 --> 00:17:38,357 マクナマラが唱えたのは 「海上封鎖」だった。 127 00:17:41,661 --> 00:17:44,931 キューバ周辺の海上に封鎖ラインを設け➡ 128 00:17:44,931 --> 00:17:49,235 ソ連の貨物船に検査を行う という案である。 129 00:18:18,898 --> 00:18:24,570 海上封鎖は 国際法上 戦争行為と取られても おかしくない。 130 00:18:24,570 --> 00:18:29,942 だが 直接衝突を避けつつ アメリカの断固たる姿勢を示す➡ 131 00:18:29,942 --> 00:18:32,645 苦肉の策だった。 132 00:18:36,082 --> 00:18:38,017 (鐘の音) 133 00:18:38,017 --> 00:18:40,820 翌日は 日曜日だった。 134 00:18:43,389 --> 00:18:47,893 ケネディは いつものように 教会のミサに出席した。 135 00:18:53,065 --> 00:18:57,069 妻のジャクリーンを伴っていた。 136 00:19:02,308 --> 00:19:05,211 最悪の事態を覚悟していた ケネディは➡ 137 00:19:05,211 --> 00:19:09,615 妻と子どもたちに ワシントンを離れるよう言った。 138 00:19:09,615 --> 00:19:14,320 しかし ジャクリーンは かたくなに受け入れなかった。 139 00:19:48,754 --> 00:19:52,258 (時計の音) 140 00:19:52,258 --> 00:19:55,461 キューバ危機 7日目。 141 00:19:57,096 --> 00:20:01,801 この日の朝 国民は 新聞の見出しに驚がくした。 142 00:20:16,549 --> 00:20:21,353 午後7時。 全米への生中継が始まった。 143 00:20:53,319 --> 00:20:57,022 人々は ぼう然となった。 144 00:21:11,737 --> 00:21:17,443 刺激的な 「海上封鎖」という言葉を避け 「隔離」と発表した。 145 00:21:20,379 --> 00:21:24,083 開始は 2日後とした。 146 00:21:40,499 --> 00:21:46,805 そのころ ソ連では ケネディにとって 絶望的な事態が起きていた。 147 00:21:50,709 --> 00:21:54,580 情報を送り続けていたスパイ ペンコフスキーが➡ 148 00:21:54,580 --> 00:21:57,783 モスクワで 消息を絶ったのである。 149 00:22:01,353 --> 00:22:04,256 ソ連の秘密警察 KGBは➡ 150 00:22:04,256 --> 00:22:07,660 ペンコフスキーの不審な動きを 察知していた。 151 00:22:09,395 --> 00:22:14,400 徹底的な監視によって 裏切りの証拠をつかもうとしていた。 152 00:22:19,138 --> 00:22:24,343 これは KGBによる ペンコフスキーの自宅の監視映像である。 153 00:22:32,318 --> 00:22:36,422 小型カメラで何かを撮影する ペンコフスキー。 154 00:22:38,424 --> 00:22:43,629 政府の機密資料室から持ち出した 内部文書だと見られている。 155 00:22:46,165 --> 00:22:51,170 ペンコフスキーは 自分が 監視されていることに気付いていた。 156 00:23:21,667 --> 00:23:24,603 (シャッター音) 157 00:23:24,603 --> 00:23:29,875 ケネディが テレビで海上封鎖を発表した その日。 158 00:23:29,875 --> 00:23:33,178 ペンコフスキーは逮捕された。 159 00:23:34,747 --> 00:23:39,952 モスクワから情報が届くことは もう なかった。 160 00:23:45,190 --> 00:23:47,693 翌日。 161 00:23:50,029 --> 00:23:56,235 ケネディの海上封鎖宣言に フルシチョフは激しく反応した。 162 00:23:59,438 --> 00:24:02,474 ソ連と東ヨーロッパの ワルシャワ条約機構軍に➡ 163 00:24:02,474 --> 00:24:04,677 緊急動員を発令。 164 00:24:08,047 --> 00:24:11,450 (歓声) 165 00:24:11,450 --> 00:24:18,057 全軍が いつでもミサイル発射可能な 臨戦態勢に入ったのである。 166 00:24:22,161 --> 00:24:28,667 島国のキューバは 海上封鎖を 事実上の宣戦布告と受け止めた。 167 00:24:40,479 --> 00:24:42,414 アメリカの空爆に備えて➡ 168 00:24:42,414 --> 00:24:46,418 地対空ミサイルの配備が 急ピッチで進められた。 169 00:24:48,620 --> 00:24:54,626 病院は 兵士の負傷に備えて 献血をする市民であふれた。 170 00:24:58,831 --> 00:25:02,234 アメリカでは パニックが広がっていた。 171 00:25:04,670 --> 00:25:06,905 市民は買いだめに走り➡ 172 00:25:06,905 --> 00:25:11,710 スーパーマーケットからは 食料や医薬品が消えた。 173 00:25:15,914 --> 00:25:20,219 全米各地で 核シェルターの準備も進められた。 174 00:25:24,289 --> 00:25:30,462 しかし 政府の試算では ミサイルの射程にある9,200万人のうち➡ 175 00:25:30,462 --> 00:25:34,666 シェルターで守れるのは 半数にも満たなかった。 176 00:25:42,474 --> 00:25:49,681 この日の夜 ケネディが 弟のロバートに 心境を吐露した音声が残されている。 177 00:26:20,879 --> 00:26:24,183 (時計の音) 178 00:26:24,183 --> 00:26:27,186 キューバ危機 9日目。 179 00:26:28,987 --> 00:26:30,923 午前10時。 180 00:26:30,923 --> 00:26:33,325 海上封鎖が始まった。 181 00:26:35,861 --> 00:26:38,730 (ブザー音) 182 00:26:38,730 --> 00:26:44,470 アメリカ国防総省は 史上初めて 戦争への準備体制を示す➡ 183 00:26:44,470 --> 00:26:48,574 「ディフェンス・コンディション」を レベル2に引き上げた。 184 00:26:53,178 --> 00:26:59,184 この日 封鎖線を前に 20隻以上のソビエト船を停船させた。 185 00:27:08,627 --> 00:27:10,562 翌日。 186 00:27:10,562 --> 00:27:12,965 ニューヨークの国連本部。 187 00:27:14,566 --> 00:27:19,371 安全保障理事会で アメリカは さらなる揺さぶりをかけた。 188 00:27:42,494 --> 00:27:44,963 (笑い声) 189 00:27:44,963 --> 00:27:47,366 全世界が見守る中で あえて➡ 190 00:27:47,366 --> 00:27:51,069 キューバにおける ミサイルの有無を 問いかけた。 191 00:27:58,977 --> 00:28:02,481 予想どおり はぐらかすソビエト大使。 192 00:28:04,116 --> 00:28:07,319 アメリカ大使は あるものを突きつけた。 193 00:28:16,595 --> 00:28:21,066 スパイ・ペンコフスキーが 身を賭して もたらした情報により➡ 194 00:28:21,066 --> 00:28:25,771 ミサイル基地だと特定された あの航空写真である。 195 00:28:32,678 --> 00:28:36,982 国際世論は 一挙にアメリカに傾いた。 196 00:28:43,055 --> 00:28:44,990 同じ日。 197 00:28:44,990 --> 00:28:48,727 (歓声) 198 00:28:48,727 --> 00:28:54,433 モスクワでは バレーボール 女子世界選手権が最終日を迎えていた。 199 00:28:56,835 --> 00:28:59,137 (歓声) 200 00:29:00,706 --> 00:29:03,442 「東洋の魔女」と呼ばれた日本が➡ 201 00:29:03,442 --> 00:29:08,046 「回転レシーブ」を武器に初優勝を飾った。 202 00:29:08,046 --> 00:29:12,050 (歓声) 203 00:29:15,520 --> 00:29:19,324 キューバ危機 11日目。 204 00:29:20,926 --> 00:29:22,928 午後1時半。 205 00:29:22,928 --> 00:29:24,930 あるアメリカ人記者の元に➡ 206 00:29:24,930 --> 00:29:29,134 ソビエト大使館の職員から 電話が かかってきた。 207 00:29:38,977 --> 00:29:42,881 ABCの海外特派員 ジョン・スカリである。 208 00:29:44,916 --> 00:29:49,488 過去にはフルシチョフと ニクソン副大統領の会談にも同行した➡ 209 00:29:49,488 --> 00:29:52,824 敏腕記者である。 210 00:29:52,824 --> 00:29:58,230 米ソ双方に豊富な人脈を持ち ケネディとも親しかった。 211 00:30:00,966 --> 00:30:05,270 ソビエト大使館の職員は スカリに こう切り出した。 212 00:30:30,962 --> 00:30:35,667 スカリが得た情報は すぐに ケネディに届けられた。 213 00:30:37,335 --> 00:30:43,341 実は この時 ケネディの元にも フルシチョフから書簡が届いていた。 214 00:30:46,178 --> 00:30:50,682 その内容は スカリの報告と合致していた。 215 00:30:50,682 --> 00:30:54,553 「フルシチョフは 手を引きたがっている」。 216 00:30:54,553 --> 00:30:57,456 ケネディは確信した。 217 00:31:03,095 --> 00:31:06,932 しかし翌日 事態は暗転。 218 00:31:06,932 --> 00:31:11,636 ケネディは 「暗黒の土曜日」と呼ばれる 一日を迎えることになる。 219 00:31:13,305 --> 00:31:15,974 (時計の音) 220 00:31:15,974 --> 00:31:18,677 キューバ危機 12日目。 221 00:31:22,647 --> 00:31:26,351 フルシチョフから 新たな書簡が届いた。 222 00:31:30,322 --> 00:31:35,627 それは ケネディを 奈落に突き落とすものだった。 223 00:31:38,196 --> 00:31:42,901 トルコに配備されている アメリカのミサイル撤去の要求。 224 00:31:42,901 --> 00:31:47,205 到底 のむことのできない条件が 加わっていた。 225 00:31:50,642 --> 00:31:57,649 更に 時を同じくして入ってきた報告に ホワイトハウスは凍りついた。 226 00:32:32,250 --> 00:32:35,654 撃墜したのは ソビエト兵。 227 00:32:35,654 --> 00:32:41,660 だが フルシチョフは 命令を出してはいなかった。 228 00:32:43,328 --> 00:32:48,333 緊張に耐えかねた 現場の暴走だったと いわれている。 229 00:32:51,002 --> 00:32:55,874 先制攻撃派の急先鋒だった 空軍参謀総長のルメイは➡ 230 00:32:55,874 --> 00:32:59,177 ここぞとばかりに 反撃を叫んだ。 231 00:33:11,957 --> 00:33:16,828 アメリカ空軍は 大統領の命令が下れば すぐにでも攻撃可能な➡ 232 00:33:16,828 --> 00:33:20,298 臨戦態勢を取った。 233 00:33:20,298 --> 00:33:25,303 (ブザー音) 234 00:33:27,172 --> 00:33:31,910 緊迫した空気の中 ルメイと 対峙した閣僚がいた。 235 00:33:31,910 --> 00:33:35,614 国防長官 マクナマラである。 236 00:33:38,984 --> 00:33:43,688 この2人には 深い因縁があった。 237 00:33:45,323 --> 00:33:49,194 第二次世界大戦中の 20年前。 238 00:33:49,194 --> 00:33:52,898 マクナマラは ルメイの部下だった。 239 00:33:54,666 --> 00:33:59,337 マクナマラは ルメイが推し進めた 日本への無差別爆撃の➡ 240 00:33:59,337 --> 00:34:02,340 計画作りを担っていた。 241 00:34:04,943 --> 00:34:11,650 日本に大打撃を与えた この作戦は アメリカの勝利を決定づけた。 242 00:34:16,955 --> 00:34:23,962 だが マクナマラは あまりに多くの命を 奪ったことに苦しんだ。 243 00:35:01,933 --> 00:35:06,271 マクナマラは 20年前の無念を晴らすかのように➡ 244 00:35:06,271 --> 00:35:10,575 ルメイの叫ぶ爆撃案を押しとどめ続けた。 245 00:35:15,613 --> 00:35:23,321 ケネディも 反撃以外の道を 最後まで探ろうと 時間を稼いでいた。 246 00:36:22,480 --> 00:36:26,785 同じ頃 ソ連は 核のボタンに手をかけていた。 247 00:36:28,620 --> 00:36:32,957 封鎖線付近を航行していた ソ連の潜水艦。 248 00:36:32,957 --> 00:36:36,628 核魚雷を搭載していた。 249 00:36:36,628 --> 00:36:41,299 潜水艦を発見したアメリカ軍は 事前の取り決めどおり➡ 250 00:36:41,299 --> 00:36:47,305 浮上を求める合図として 演習用の爆雷を投下した。 251 00:36:49,174 --> 00:36:52,310 だが 潜水艦の艦長には➡ 252 00:36:52,310 --> 00:36:57,015 これが浮上を促す合図であるとは 伝わっていなかった。 253 00:37:00,118 --> 00:37:04,255 艦長は 戦争が始まったと思い込んだ。 254 00:37:04,255 --> 00:37:08,960 そして 核魚雷の担当者を呼びつけた。 255 00:37:20,605 --> 00:37:26,945 しかし 発射には もう一人の人物の同意が必要だった。 256 00:37:26,945 --> 00:37:29,614 副艦長である。 257 00:37:29,614 --> 00:37:32,951 ワシリー・アルヒーポフ という人物だった。 258 00:37:32,951 --> 00:37:36,654 彼は 勇み立つ艦長をなだめた。 259 00:37:51,636 --> 00:37:55,640 爆雷投下から 4時間後。 260 00:37:58,309 --> 00:38:01,913 潜水艦は 浮上した。 261 00:38:01,913 --> 00:38:06,918 ギリギリのところで 核魚雷の発射は回避された。 262 00:38:09,787 --> 00:38:12,257 (ブザー音) 263 00:38:12,257 --> 00:38:14,926 ほぼ同時に アメリカ側からも➡ 264 00:38:14,926 --> 00:38:20,598 ミサイルが発射されようとしていた という証言がある。 265 00:38:20,598 --> 00:38:24,936 アメリカ統治下に置かれていた 沖縄。 266 00:38:24,936 --> 00:38:27,839 (ブザー音) 267 00:38:27,839 --> 00:38:32,143 読谷村の ミサイル発射基地でのことだった。 268 00:38:35,580 --> 00:38:39,584 ここで技師として任務に当たっていた ジョン・ボードン。 269 00:38:42,954 --> 00:38:47,825 彼が 日本のジャーナリストに語った 証言によれば➡ 270 00:38:47,825 --> 00:38:52,630 核弾頭を備えた巡航ミサイル メースB 4基に➡ 271 00:38:52,630 --> 00:38:56,334 発射命令が下っていた。 272 00:39:31,469 --> 00:39:35,773 発射命令は 誤報だったという。 273 00:39:38,943 --> 00:39:46,651 世界中で 緊張が極限まで高まり 一触即発の状態だった。 274 00:39:49,954 --> 00:39:53,258 暗黒の土曜日の夜。 275 00:39:54,826 --> 00:40:00,531 ケネディは 世界の命運をかけた 一つの決断を下す。 276 00:40:02,533 --> 00:40:06,971 フルシチョフから突きつけられた トルコのミサイル撤去の要求を➡ 277 00:40:06,971 --> 00:40:09,974 のむことにしたのだ。 278 00:40:13,311 --> 00:40:18,650 閣僚の意見も聞かず トルコにも告げていなかった。 279 00:40:18,650 --> 00:40:23,521 世界のリーダーたる アメリカ大統領としての決断だった。 280 00:40:23,521 --> 00:40:31,229 ♬~ 281 00:40:31,229 --> 00:40:36,000 キューバ危機 13日目。 282 00:40:36,000 --> 00:40:39,003 朝9時。 283 00:40:55,353 --> 00:41:02,360 ラジオ放送の1時間後 ケネディは教会に向かい 祈りを捧げた。 284 00:41:17,308 --> 00:41:21,012 13日間の悪夢が終わった。 285 00:41:22,647 --> 00:41:28,953 翌年には アメリカも約束どおり トルコから ミサイルを撤去した。 286 00:41:34,258 --> 00:41:41,265 後に ケネディは キューバ危機から得た 教訓を こう語っている。 287 00:42:03,287 --> 00:42:05,623 7か月後。 288 00:42:05,623 --> 00:42:10,328 モスクワで ある男の裁判が行われた。 289 00:42:18,202 --> 00:42:21,172 1年半にわたり ソ連の最高機密を➡ 290 00:42:21,172 --> 00:42:23,875 アメリカに流し続けた スパイ… 291 00:43:16,260 --> 00:43:22,166 アメリカが ペンコフスキーに付けた コードネームは 「HERO」。 292 00:43:22,166 --> 00:43:26,904 命懸けで情報を送り続け 核戦争を食い止めた➡ 293 00:43:26,904 --> 00:43:32,210 「ヒーロー」と呼ばれた男は 銃殺刑に消えた。 294 00:43:34,378 --> 00:43:37,081 (銃声) 295 00:43:39,650 --> 00:43:42,553 ケネディ大統領は その後も➡ 296 00:43:42,553 --> 00:43:47,558 核軍縮を含めた 世界平和への道を探り続けた。 297 00:43:51,262 --> 00:43:54,565 キューバ危機の翌年。 298 00:43:58,669 --> 00:44:03,374 何者かの凶弾によって この世を去った。 299 00:44:05,276 --> 00:44:08,279 (銃声) 300 00:44:12,149 --> 00:44:33,638 (ブザー音) 301 00:44:33,638 --> 00:44:40,344 (ブザー音)