1 00:00:00,934 --> 00:00:07,374 ♬~ 2 00:00:07,374 --> 00:00:13,080 1933年 ヒトラー政権 誕生の年。 3 00:00:19,686 --> 00:00:27,194 宣伝大臣 ゲッベルスは 国際連盟の会議に出席した。 4 00:00:27,194 --> 00:00:34,001 ドイツの領土拡大の野心を懸念する 世界に向け こう答えた。 5 00:00:49,149 --> 00:00:54,955 この会議を取材した ドイツ人カメラマンがいた。 6 00:00:54,955 --> 00:00:59,726 ゲッベルスは 終始 笑顔で取材に応じていたが➡ 7 00:00:59,726 --> 00:01:02,162 カメラマンが ユダヤ系だと分かると➡ 8 00:01:02,162 --> 00:01:05,832 表情は一変する。 9 00:01:05,832 --> 00:01:09,269 後に 「憎しみの目」と 呼ばれる➡ 10 00:01:09,269 --> 00:01:12,873 世紀の一枚が撮影された。 11 00:01:24,751 --> 00:01:26,987 希代の扇動家として➡ 12 00:01:26,987 --> 00:01:31,491 ヒトラーの右腕に 上り詰めた ゲッベルス。 13 00:01:33,126 --> 00:01:36,763 注目を集めるためには 手段を選ばず➡ 14 00:01:36,763 --> 00:01:38,999 弱小政党だった ナチ党を➡ 15 00:01:38,999 --> 00:01:42,402 政権の座に押し上げた。 16 00:01:44,137 --> 00:01:49,943 そして 世界初の国家機関 「宣伝省」を設立。 17 00:01:49,943 --> 00:01:55,349 フェイク 炎上商法 陰謀論。 18 00:01:55,349 --> 00:02:00,587 今も 世界にばっこする手法の有効性に いち早く気付き➡ 19 00:02:00,587 --> 00:02:03,790 縦横無尽に繰り出した。 20 00:02:19,940 --> 00:02:22,175 (砲声) 21 00:02:22,175 --> 00:02:25,746 ドイツの敗北が 決定的となってもなお➡ 22 00:02:25,746 --> 00:02:30,951 国民をあおり続け 死のふちへと駆り立てた。 23 00:03:06,420 --> 00:03:08,722 ♬~ 24 00:03:08,722 --> 00:03:13,593 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 25 00:03:13,593 --> 00:03:15,796 プロパガンダによって➡ 26 00:03:15,796 --> 00:03:18,398 人が 心の奥底にしまっていた➡ 27 00:03:18,398 --> 00:03:20,967 ヘイトや恐怖心を引きずり出し➡ 28 00:03:20,967 --> 00:03:26,840 国民を洗脳した男の 戦慄の記録である。 29 00:03:26,840 --> 00:03:36,049 ♬~ 30 00:03:49,429 --> 00:03:54,134 1992年 ソ連軍が押収していた➡ 31 00:03:54,134 --> 00:03:58,004 ゲッベルスの日記が発見された。 32 00:03:58,004 --> 00:04:00,907 実に 8万ページ。 33 00:04:00,907 --> 00:04:04,277 ナチの台頭から 壊滅に至るまでの日々が➡ 34 00:04:04,277 --> 00:04:07,981 マイクロフィルムに記録されていた。 35 00:04:27,200 --> 00:04:29,469 ヨーゼフ・ゲッベルスは➡ 36 00:04:29,469 --> 00:04:33,573 ドイツ西部の小都市 ライトで生まれた。 37 00:04:35,275 --> 00:04:37,978 少年時代は 体が弱く➡ 38 00:04:37,978 --> 00:04:39,946 小児まひの影響で➡ 39 00:04:39,946 --> 00:04:43,216 右足が 不自由だった。 40 00:04:43,216 --> 00:04:49,422 これは 後に 国会議員となった ゲッベルスの映像である。 41 00:04:49,422 --> 00:04:53,827 生涯 右足に 特殊な装具をつけていた。 42 00:05:00,433 --> 00:05:02,369 (鐘の音) 43 00:05:02,369 --> 00:05:07,574 ゲッベルスは ドイツの名門 ハイデルベルク大学で 文学を学び➡ 44 00:05:07,574 --> 00:05:10,076 博士号を取得。 45 00:05:10,076 --> 00:05:14,281 憧れだった 文筆家の道を目指した。 46 00:05:16,283 --> 00:05:20,554 当時のドイツは ワイマール憲法の下➡ 47 00:05:20,554 --> 00:05:26,560 全国民の平等がうたわれ ユダヤ人も活躍していた。 48 00:05:29,696 --> 00:05:34,067 ゲッベルスの希望する 報道・出版業界の多くは➡ 49 00:05:34,067 --> 00:05:37,871 ユダヤ人経営者で占められていた。 50 00:05:40,307 --> 00:05:46,112 ゲッベルスは 何度も原稿を執筆し 愛読する新聞社に投稿するも➡ 51 00:05:46,112 --> 00:05:48,381 採用されなかった。 52 00:05:48,381 --> 00:05:52,719 経営者は ユダヤ人だった。 53 00:05:52,719 --> 00:05:56,089 プライドを傷つけられた ゲッベルスの失望は➡ 54 00:05:56,089 --> 00:06:01,194 やがて ユダヤ人への憎悪へと 変わってゆく。 55 00:06:02,863 --> 00:06:05,265 後に執筆した自伝的小説で➡ 56 00:06:05,265 --> 00:06:09,269 主人公に こう 語らせている。 57 00:06:30,423 --> 00:06:33,360 (演説する声) 58 00:06:33,360 --> 00:06:35,595 失意のゲッベルスの心を➡ 59 00:06:35,595 --> 00:06:39,466 高揚させるニュースが 飛び込んできた。 60 00:06:39,466 --> 00:06:41,401 ミュンヘンで➡ 61 00:06:41,401 --> 00:06:48,174 反ユダヤ主義 大ドイツ復活を掲げる ナチ党が武装蜂起。 62 00:06:48,174 --> 00:06:53,079 政権打倒を訴え クーデターを決行したのだ。 63 00:06:54,948 --> 00:06:58,218 武装蜂起は 一晩で鎮圧されたが➡ 64 00:06:58,218 --> 00:07:01,588 ゲッベルスは 首謀者 ヒトラーなる人物の➡ 65 00:07:01,588 --> 00:07:04,891 主張に魅了された。 66 00:07:26,713 --> 00:07:31,051 ゲッベルスは 直ちに 政治家への転身を決め➡ 67 00:07:31,051 --> 00:07:34,888 ナチ党に入党する。 68 00:07:34,888 --> 00:07:42,495 ゲッベルスには 聴衆を熱狂させ 敵を論破する 演説の才があった。 69 00:07:42,495 --> 00:07:48,001 これは 後に録音された演説音声である。 70 00:07:59,312 --> 00:08:06,219 言葉だけではなく 全身を使って 聴衆の感情を揺さぶった。 71 00:08:22,469 --> 00:08:26,973 1926年 ヒトラーは ゲッベルスを➡ 72 00:08:26,973 --> 00:08:31,378 ナチ党の ベルリン地区の指導者に任命する。 73 00:08:33,780 --> 00:08:37,617 当時のベルリンは 労働者の支持を背景に➡ 74 00:08:37,617 --> 00:08:41,154 共産党など 左派勢力が拡大。 75 00:08:41,154 --> 00:08:45,058 「赤のベルリン」と 呼ばれていた。 76 00:08:46,726 --> 00:08:50,597 首都では ほぼ無名だった ナチ党の知名度を上げるために➡ 77 00:08:50,597 --> 00:08:54,901 ゲッベルスは 手段を選ばなかった。 78 00:08:57,704 --> 00:09:02,108 あえて 共産党の地盤で集会を開き➡ 79 00:09:02,108 --> 00:09:06,913 共産党支持者を 過激な演説で挑発した。 80 00:09:08,615 --> 00:09:11,317 会場の緊張が高まったところに➡ 81 00:09:11,317 --> 00:09:15,822 ナチ党の準軍事組織 「突撃隊」を送り込み➡ 82 00:09:15,822 --> 00:09:19,225 大乱闘を巻き起こした。 83 00:09:19,225 --> 00:09:21,194 (指笛) 84 00:09:21,194 --> 00:09:24,597 (騒ぎ声) 85 00:09:37,343 --> 00:09:41,214 事件は 新聞各紙を飾った。 86 00:09:41,214 --> 00:09:47,821 すると 党の事務所には 2,600通の入党志願が届いた。 87 00:09:47,821 --> 00:09:51,624 ゲッベルスの読みどおりの展開だった。 88 00:09:58,965 --> 00:10:03,403 その後も 共産党との乱闘騒ぎは続き➡ 89 00:10:03,403 --> 00:10:08,007 その度に ナチ党員は増えていった。 90 00:10:26,526 --> 00:10:35,235 翌年 ドイツ全土で国政選挙が行われ ナチ党は 12の議席を獲得。 91 00:10:35,235 --> 00:10:40,507 ヒトラーは ドイツ国籍がなく 議員には なれなかった。 92 00:10:40,507 --> 00:10:45,011 国会での活動は ゲッベルスらに託された。 93 00:10:45,011 --> 00:10:48,882 しかし おおかたの国民は➡ 94 00:10:48,882 --> 00:10:55,522 ナチ党を 一過性のブーム 際物扱いしていた。 95 00:10:55,522 --> 00:11:00,360 当時の有力新聞の一つ 「ベルリン日刊新聞」は➡ 96 00:11:00,360 --> 00:11:04,264 ナチ党について このように断じている。 97 00:11:34,861 --> 00:11:39,532 ♬~ 98 00:11:39,532 --> 00:11:45,939 国会進出から 4年後 ゲッベルスの手腕が試される時が来た。 99 00:11:45,939 --> 00:11:51,844 ナチ党の命運をかけた 一大選挙戦の指揮を任された。 100 00:11:54,447 --> 00:11:56,983 ゲッベルスの最重要課題は➡ 101 00:11:56,983 --> 00:11:59,953 際物政党と思われていた ナチ党を➡ 102 00:11:59,953 --> 00:12:02,388 あらゆる階層に支持される➡ 103 00:12:02,388 --> 00:12:07,093 国民政党へと発展させることだった。 104 00:12:09,262 --> 00:12:16,269 ゲッベルスは 有権者に向け 実現不可能な公約を連発する。 105 00:12:18,371 --> 00:12:22,275 富裕層には 共産党からの保護を。 106 00:12:22,275 --> 00:12:28,014 農家には 農産物 買い上げ価格の引き上げを。 107 00:12:28,014 --> 00:12:34,654 労働者には 農産物価格の引き下げを約束した。 108 00:12:34,654 --> 00:12:40,293 そして 全ての宣伝装置を大回転させる。 109 00:12:40,293 --> 00:12:42,295 大量のビラをまき➡ 110 00:12:42,295 --> 00:12:46,299 街頭を ヒトラーのポスターで埋め尽くした。 111 00:12:49,002 --> 00:12:51,771 更に ドイツで初めて➡ 112 00:12:51,771 --> 00:12:55,274 選挙戦に 飛行機を導入。 113 00:12:57,010 --> 00:13:03,516 ヒトラーは 地方都市を飛び回り 一日に 何度も集会を開いた。 114 00:13:05,385 --> 00:13:09,188 空から降り立つパフォーマンスは 話題を呼び➡ 115 00:13:09,188 --> 00:13:12,692 物珍しさに 聴衆が押しかけた。 116 00:13:39,986 --> 00:13:43,856 宣伝戦は 大成功を収めた。 117 00:13:43,856 --> 00:13:51,264 ナチ党は 230議席を獲得し 議会第一党となった。 118 00:13:53,866 --> 00:13:57,103 そして 1933年。 119 00:13:57,103 --> 00:14:00,907 ヒトラーが ついに 首相に任命される。 120 00:14:00,907 --> 00:14:05,478 前の年に ドイツ国籍を取得したばかりだった。 121 00:14:05,478 --> 00:14:09,148 ♬~ 122 00:14:09,148 --> 00:14:12,785 ゲッベルスは 突撃隊を動員し➡ 123 00:14:12,785 --> 00:14:15,722 たいまつを掲げて行進させ➡ 124 00:14:15,722 --> 00:14:20,126 偉大な指導者の誕生を演出した。 125 00:14:43,750 --> 00:14:46,586 ヒトラー政権の誕生は➡ 126 00:14:46,586 --> 00:14:49,922 世界に 衝撃を与えた。 127 00:14:49,922 --> 00:14:51,891 好戦的で➡ 128 00:14:51,891 --> 00:14:54,293 ユダヤ人差別を むき出しにする ヒトラーに➡ 129 00:14:54,293 --> 00:14:58,664 抗議するデモが 世界各地で行われた。 130 00:14:58,664 --> 00:15:04,237 ゲッベルスは 積極的に 外国メディアの取材に応じ➡ 131 00:15:04,237 --> 00:15:09,041 ヒトラーの領土拡大の野望を 否定し続けた。 132 00:15:24,056 --> 00:15:26,292 一方 国内では➡ 133 00:15:26,292 --> 00:15:29,695 ヒトラー独裁を 盤石なものとするため➡ 134 00:15:29,695 --> 00:15:36,068 世界初の国家機関 「国民啓蒙・宣伝省」を設立。 135 00:15:36,068 --> 00:15:40,473 そのトップ 大臣の座に就いた。 136 00:16:03,129 --> 00:16:05,465 (拍手) 137 00:16:05,465 --> 00:16:11,971 ゲッベルスの目標は 多様な考えを持つ大衆を統一し➡ 138 00:16:11,971 --> 00:16:15,741 国民を ナチの思想一色に染まった➡ 139 00:16:15,741 --> 00:16:21,547 「民族共同体」に つくり変えることだった。 140 00:16:21,547 --> 00:16:26,385 そのために 新聞 出版 映画➡ 141 00:16:26,385 --> 00:16:29,722 全てのメディアを管理下に置いた。 142 00:16:29,722 --> 00:16:31,657 なかでも 目を付けたのが➡ 143 00:16:31,657 --> 00:16:36,362 急速に影響力を増していた ラジオだった。 144 00:16:46,606 --> 00:16:49,175 ラジオは 家庭だけでなく➡ 145 00:16:49,175 --> 00:16:53,513 職場や街頭にも設置された。 146 00:16:53,513 --> 00:16:56,415 ナチの思想が垂れ流され➡ 147 00:16:56,415 --> 00:17:00,519 批判する勢力は 国家の敵と見なされた。 148 00:17:28,047 --> 00:17:32,385 (ラジオ音声・歓声) 149 00:17:32,385 --> 00:17:37,056 全ての映画館で 宣伝省製作の➡ 150 00:17:37,056 --> 00:17:42,461 ニュース映画の上映が 義務づけられた。 151 00:17:42,461 --> 00:17:49,635 ♬~ 152 00:17:49,635 --> 00:17:52,538 (鐘の音) 153 00:17:52,538 --> 00:17:56,742 これは 結婚を奨励するニュース。 154 00:17:56,742 --> 00:18:01,647 結婚すれば 生活資金として 貸付金が与えられ➡ 155 00:18:01,647 --> 00:18:05,751 子どもを産めば 返済が免除となった。 156 00:18:09,155 --> 00:18:12,058 新婚夫婦には 漏れなく➡ 157 00:18:12,058 --> 00:18:17,163 ヒトラーの著書 「わが闘争」が贈られた。 158 00:18:19,899 --> 00:18:23,536 ナチの 理想の女性を体現したのが➡ 159 00:18:23,536 --> 00:18:27,773 ゲッベルスの妻 マクダだった。 160 00:18:27,773 --> 00:18:34,046 ブロンドの髪に 青い目 上流社会出身のマクダは➡ 161 00:18:34,046 --> 00:18:38,851 ドイツ女性の模範と 盛んに宣伝された。 162 00:18:40,953 --> 00:18:46,158 式典では 妻をもたない ヒトラーの横に立ち➡ 163 00:18:46,158 --> 00:18:49,462 ファーストレディーの役目を担った。 164 00:18:53,632 --> 00:18:58,971 マクダは ゲッベルスとの間に 6人の子どもを産んだ。 165 00:18:58,971 --> 00:19:01,340 ナチの掲げる理想の妻を➡ 166 00:19:01,340 --> 00:19:03,409 演じきってみせた。 167 00:19:03,409 --> 00:19:10,416 ♬~ 168 00:19:12,451 --> 00:19:14,854 政権の最重要課題は➡ 169 00:19:14,854 --> 00:19:21,060 世界恐慌によって生まれた 600万の失業者の解消だった。 170 00:19:21,060 --> 00:19:24,597 アウトバーン建設など 大規模公共事業が➡ 171 00:19:24,597 --> 00:19:29,802 失業問題を解決したと 大々的に報じた。 172 00:19:46,919 --> 00:19:49,388 (爆破音) 173 00:19:49,388 --> 00:19:54,060 しかし 実際には 大きな効果はなかった。 174 00:19:54,060 --> 00:19:59,265 だが 労働者が 一丸となって 国づくりに向かう映像は➡ 175 00:19:59,265 --> 00:20:01,734 ナチの経済政策の先進性を➡ 176 00:20:01,734 --> 00:20:04,837 国内外にアピールした。 177 00:20:08,507 --> 00:20:14,380 ナチ政権は 労働者へ 豊かさの夢も振りまいた。 178 00:20:14,380 --> 00:20:17,083 余暇と娯楽の機会を与える➡ 179 00:20:17,083 --> 00:20:20,786 「歓喜力行団」という組織が作られた。 180 00:20:23,189 --> 00:20:26,192 富裕層のシンボルだった バカンスを➡ 181 00:20:26,192 --> 00:20:28,327 労働者の 手の届きやすい➡ 182 00:20:28,327 --> 00:20:32,331 パッケージ旅行として提供した。 183 00:21:06,899 --> 00:21:10,636 ゲッベルスの 数々の功績に対し➡ 184 00:21:10,636 --> 00:21:14,940 ヒトラーは 最大級の賛辞を贈った。 185 00:21:31,390 --> 00:21:34,994 (歓声と拍手) 186 00:21:36,962 --> 00:21:39,398 ハイル! (聴衆)ハイル!➡ 187 00:21:39,398 --> 00:21:43,235 ハイル! ハイル! 188 00:21:43,235 --> 00:21:47,740 (歓声と拍手) 189 00:21:49,642 --> 00:21:51,677 ゲッベルスのプロパガンダは➡ 190 00:21:51,677 --> 00:21:56,482 戦争への道を突き進む日本も 注目していた。 191 00:21:58,884 --> 00:22:04,390 首相 近衛文麿が総裁を務める 日本放送協会は➡ 192 00:22:04,390 --> 00:22:09,695 ナチの手法を 長年にわたって研究していた。 193 00:22:12,498 --> 00:22:15,534 ゲッベルスの作り上げた宣伝戦略は➡ 194 00:22:15,534 --> 00:22:18,904 国民の戦意高揚を図るための➡ 195 00:22:18,904 --> 00:22:22,107 格好の 手本となった。 196 00:22:25,511 --> 00:22:33,819 近衛は特に ラジオの効果に目を付け ラジオでの演説を盛んに行った。 197 00:22:38,824 --> 00:22:41,627 (拍手) 198 00:22:41,627 --> 00:22:46,031 これは 日中戦争勃発 2か月後に行われた➡ 199 00:22:46,031 --> 00:22:48,934 演説会の映像である。 200 00:22:51,770 --> 00:22:56,609 近衛の勇ましい言葉に 観客の喝采が巻き起こり➡ 201 00:22:56,609 --> 00:23:02,114 その興奮が ラジオ中継によって 全国に届けられた。 202 00:23:12,625 --> 00:23:15,527 (ラジオ音声・歓声と拍手) 203 00:23:15,527 --> 00:23:21,967 日本は ドイツ イタリアとともに 三国同盟を締結。 204 00:23:21,967 --> 00:23:27,172 ナチ政権との協力体制を 一層 深めてゆく。 205 00:23:33,412 --> 00:23:38,984 1938年 権力の絶頂にあった ゲッベルスが➡ 206 00:23:38,984 --> 00:23:43,088 ヒトラーの怒りを買う出来事があった。 207 00:23:45,190 --> 00:23:48,427 映画業界のトップに君臨していた ゲッベルスは➡ 208 00:23:48,427 --> 00:23:54,533 気に入った女優がいると 出演を餌に 関係を迫っていた。 209 00:23:56,735 --> 00:24:01,940 だが ある女優との出会いが 運命を狂わせた。 210 00:24:08,814 --> 00:24:10,849 この映画で 主演を務めた➡ 211 00:24:10,849 --> 00:24:14,653 チェコ人俳優… 212 00:24:14,653 --> 00:24:18,090 ゲッベルスは 20歳近く年の離れた➡ 213 00:24:18,090 --> 00:24:21,593 バーロヴァに 夢中になった。 214 00:24:21,593 --> 00:24:27,533 これを知った 妻 マクダは 離婚を決意する。 215 00:24:27,533 --> 00:24:36,141 そして 結婚の立会人を務めた ヒトラーに 離婚の承諾を迫った。 216 00:24:36,141 --> 00:24:39,978 激怒したヒトラーは ゲッベルスを呼びつけ➡ 217 00:24:39,978 --> 00:24:42,982 マクダとの和解を命じた。 218 00:25:06,138 --> 00:25:11,377 ベネチア映画祭に参加する ゲッベルス夫妻の映像。 219 00:25:11,377 --> 00:25:16,682 2人の関係は すっかり冷え切っていた。 220 00:25:16,682 --> 00:25:20,252 バーロヴァは 国外へ追放され➡ 221 00:25:20,252 --> 00:25:25,257 ゲッベルスは ヒトラーからの信頼を失った。 222 00:25:39,304 --> 00:25:41,240 (汽笛) 223 00:25:41,240 --> 00:25:44,743 ゲッベルスは 挽回の機会を うかがっていた。 224 00:25:44,743 --> 00:25:47,513 3か月後 パリで➡ 225 00:25:47,513 --> 00:25:49,448 ドイツ人外交官が➡ 226 00:25:49,448 --> 00:25:53,285 ユダヤ人に殺害される 事件が起こる。 227 00:25:53,285 --> 00:25:58,991 ゲッベルスは ドイツ国内に暮らす ユダヤ人への報復を➡ 228 00:25:58,991 --> 00:26:01,894 大々的に呼びかけた。 229 00:26:04,797 --> 00:26:08,434 ユダヤ人商店や教会が 破壊され➡ 230 00:26:08,434 --> 00:26:12,738 およそ100人のユダヤ人が 殺された。 231 00:26:44,970 --> 00:26:47,072 (崩落音) 232 00:26:52,077 --> 00:26:56,415 第二次世界大戦の始まる 1週間前。 233 00:26:56,415 --> 00:27:02,221 一本のニュースを見た ドイツ国民は 怒りに震えた。 234 00:27:15,367 --> 00:27:20,038 ゲッベルスは ポーランドの ドイツ系住民が迫害されているという➡ 235 00:27:20,038 --> 00:27:23,041 プロパガンダを展開した。 236 00:27:31,783 --> 00:27:39,291 国民の怒りと 同情を集めたところで 全国のメディアに 号令が かけられた。 237 00:27:55,574 --> 00:27:57,509 (飛行音) 238 00:27:57,509 --> 00:28:01,747 そして ドイツは ポーランドへ侵攻する。 239 00:28:01,747 --> 00:28:05,851 ドイツ系住民の保護が目的だと 言い張った。 240 00:28:14,259 --> 00:28:19,131 ゲッベルスは 宣伝省出身者の部隊を 戦場に送り込み➡ 241 00:28:19,131 --> 00:28:23,035 ニュース映画で 侵攻の正当性を主張した。 242 00:28:37,516 --> 00:28:39,751 一方 こちらは➡ 243 00:28:39,751 --> 00:28:44,256 ポーランドに残った アメリカ人が撮影した映像。 244 00:29:25,530 --> 00:29:29,501 ポーランド侵攻の 8日後。 245 00:29:29,501 --> 00:29:34,506 アメリカで 一本の映画の撮影が始まった。 246 00:29:47,285 --> 00:29:51,823 ヒトラー独裁を 真っ向から風刺 非難した映画➡ 247 00:29:51,823 --> 00:29:54,826 「独裁者」である。 248 00:29:56,595 --> 00:30:03,902 映画には ゲッベルスを思わせる 冷酷な宣伝大臣 ガービッチが登場する。 249 00:30:08,173 --> 00:30:10,275 Yes. 250 00:30:13,478 --> 00:30:16,181 What? 251 00:30:24,156 --> 00:30:28,427 映画は 世界中で大ヒットを記録する。 252 00:30:28,427 --> 00:30:30,395 ヒトラー➡ 253 00:30:30,395 --> 00:30:32,664 そして 自分を笑い者にされ➡ 254 00:30:32,664 --> 00:30:36,535 ゲッベルスは 報復に出る。 255 00:30:36,535 --> 00:30:44,142 映画は 興行的に大失敗していると ネガティブキャンペーンを展開した。 256 00:30:45,911 --> 00:30:49,348 このキャンペーンを知った アメリカの配給会社は➡ 257 00:30:49,348 --> 00:30:55,554 ゲッベルスに 反論の電報を打ち その全文を公開した。 258 00:31:15,807 --> 00:31:18,009 (笑い声) 259 00:31:33,091 --> 00:31:40,332 ゲッベルスにとって 情報の正しさなど 問題ではなかった。 260 00:31:40,332 --> 00:31:43,602 うそと憎悪で 塗り固めた➡ 261 00:31:43,602 --> 00:31:47,005 プロパガンダ映画を 次々と製作し➡ 262 00:31:47,005 --> 00:31:49,608 国内外に まき散らした。 263 00:32:27,612 --> 00:32:30,916 ゲッベルスの プロパガンダ哲学が➡ 264 00:32:30,916 --> 00:32:34,019 映画の中で語られている。 265 00:32:50,936 --> 00:32:55,106 (砲声) 266 00:32:55,106 --> 00:32:57,609 開戦から 4年後。 267 00:32:57,609 --> 00:33:02,614 ドイツ軍は スターリングラードで 大敗を喫する。 268 00:33:04,282 --> 00:33:08,153 国内に 敗戦ムードが漂い始めると➡ 269 00:33:08,153 --> 00:33:13,492 ヒトラーは 公の場に 姿を現さなくなった。 270 00:33:13,492 --> 00:33:17,429 ゲッベルスは ヒトラーに代わり➡ 271 00:33:17,429 --> 00:33:23,735 国民を 再び戦争へと奮い立たせるための 大演説を決行する。 272 00:33:26,171 --> 00:33:29,941 会場は 1万4,000の聴衆で 埋め尽くされ➡ 273 00:33:29,941 --> 00:33:33,278 異様な熱気に包まれた。 274 00:33:33,278 --> 00:33:35,514 (拍手) 275 00:33:35,514 --> 00:33:39,784 この演説は ラジオで全国に中継され➡ 276 00:33:39,784 --> 00:33:47,993 戦争に 全国民の参加を求める 総力戦の実行が訴えられた。 277 00:34:03,775 --> 00:34:07,279 (拍手) 278 00:34:07,279 --> 00:34:13,051 ゲッベルスは 会場に 大量のサクラを仕込んでいた。 279 00:34:13,051 --> 00:34:16,454 作り出された熱狂が 聴衆を巻き込み➡ 280 00:34:16,454 --> 00:34:19,257 恍惚へと向かう。 281 00:34:53,191 --> 00:34:56,394 (歓声と拍手) 282 00:35:05,570 --> 00:35:13,578 演説終了後 ゲッベルスは 部下に向け 満足げに こう言い放った。 283 00:35:27,459 --> 00:35:32,597 ヒトラーは ゲッベルスを 総力戦の指導者に任命。 284 00:35:32,597 --> 00:35:38,536 市民生活は 全面的な戦時体制となった。 285 00:35:38,536 --> 00:35:41,940 16歳から60歳までの市民が➡ 286 00:35:41,940 --> 00:35:44,843 深刻な兵員不足を 打開するため➡ 287 00:35:44,843 --> 00:35:49,214 「国民突撃隊」として組織された。 288 00:35:49,214 --> 00:35:53,084 寄せ集めの制服が支給され➡ 289 00:35:53,084 --> 00:35:58,890 武器も訓練も不足した市民が 戦場へと送られた。 290 00:36:08,633 --> 00:36:14,372 しかし 戦局は変わらなかった。 291 00:36:14,372 --> 00:36:19,144 連合軍は ドイツの占領地を 次々と奪還。 292 00:36:19,144 --> 00:36:21,212 ドイツ国境に迫り➡ 293 00:36:21,212 --> 00:36:25,517 投降する部隊や兵士が 相次いだ。 294 00:36:30,655 --> 00:36:37,062 ゲッベルスのプロパガンダは 更なる狂気を帯びてゆく。 295 00:36:54,512 --> 00:36:59,384 ゲッベルスは ソ連兵による ドイツ人への虐殺行為を➡ 296 00:36:59,384 --> 00:37:02,487 あえて 大々的に報じた。 297 00:37:04,189 --> 00:37:07,025 国民に 降伏への恐怖を植え付け➡ 298 00:37:07,025 --> 00:37:12,030 最後まで 徹底抗戦を続けさせるためだった。 299 00:37:14,766 --> 00:37:17,268 (砲声) 300 00:37:19,237 --> 00:37:23,241 ベルリンに 250万の ソ連軍が迫る中➡ 301 00:37:23,241 --> 00:37:28,580 ゲッベルスは 一本の劇映画を完成させた。 302 00:37:28,580 --> 00:37:32,817 ♬~ 303 00:37:32,817 --> 00:37:34,753 (砲声) 304 00:37:34,753 --> 00:37:37,655 (破壊音) 305 00:37:37,655 --> 00:37:46,164 19世紀 ナポレオン軍に包囲され 不屈の抵抗を見せた ドイツの街が舞台。 306 00:37:46,164 --> 00:37:48,099 ゲッベルスは➡ 307 00:37:48,099 --> 00:37:56,407 前線から 18万の兵と 6,000頭の馬を動員した大作と うたった。 308 00:37:56,407 --> 00:37:59,711 ♬~ 309 00:37:59,711 --> 00:38:06,317 劇中 登場人物は ゲッベルスの総力戦スローガンを叫ぶ。 310 00:38:13,925 --> 00:38:18,363 映画は ベルリンの劇場で公開された。 311 00:38:18,363 --> 00:38:25,170 しかし 敵が目前に迫る中で 映画を見る者など いなかった。 312 00:38:27,906 --> 00:38:34,045 これは ヒトラーの 生前 最後の姿を捉えた写真である。 313 00:38:34,045 --> 00:38:37,849 ヒトラー 56歳の誕生日を祝うため➡ 314 00:38:37,849 --> 00:38:42,287 総統官邸に ナチ幹部が集まった。 315 00:38:42,287 --> 00:38:45,190 しかし 祝賀会が終わると➡ 316 00:38:45,190 --> 00:38:50,495 幹部たちは ヒトラーを見限り ベルリンを脱出した。 317 00:38:50,495 --> 00:38:53,898 総統官邸の地下壕で➡ 318 00:38:53,898 --> 00:38:56,301 最後まで付き従ったのは➡ 319 00:38:56,301 --> 00:38:59,737 ゲッベルスだった。 320 00:38:59,737 --> 00:39:08,546 ヒトラーは ゲッベルスを 次の首相に任命し 翌日 命を絶った。 321 00:39:44,148 --> 00:39:48,119 その翌日 ゲッベルスは➡ 322 00:39:48,119 --> 00:39:54,125 妻 マクダと 6人の子どもたちを 道連れに 後を追った。 323 00:39:56,828 --> 00:40:03,501 戦争によって犠牲となった ドイツの民間人は およそ200万。 324 00:40:03,501 --> 00:40:06,070 その半数以上が➡ 325 00:40:06,070 --> 00:40:08,506 総力戦体制をとった➡ 326 00:40:08,506 --> 00:40:12,210 最後の10か月の犠牲者だった。 327 00:40:19,150 --> 00:40:24,956 これは 1943年 ドイツと戦う中➡ 328 00:40:24,956 --> 00:40:28,326 アメリカ軍が製作した教育映画である。 329 00:40:28,326 --> 00:40:31,229 タイトルは… 330 00:40:35,633 --> 00:40:39,504 多様な人種で構成される アメリカにあって➡ 331 00:40:39,504 --> 00:40:45,310 ナチのような思想が上陸することの 危険性を訴えている。 332 00:40:45,310 --> 00:40:49,714 映画は ナチの支配から逃れ➡ 333 00:40:49,714 --> 00:40:54,519 アメリカに移住した人物の視線で 語られる。 334 00:41:17,608 --> 00:41:20,511 ささいな うそでも広がっていけば➡ 335 00:41:20,511 --> 00:41:26,517 多民族国家 アメリカは 分断に陥るという警告だった。 336 00:41:54,846 --> 00:41:59,684 それから 75年後の2018年。 337 00:41:59,684 --> 00:42:05,289 アメリカで 再び この映画が注目を集めた。 338 00:42:22,673 --> 00:42:24,976 このころ アメリカでは➡ 339 00:42:24,976 --> 00:42:28,413 ナチの思想復活を掲げる ネオナチが➡ 340 00:42:28,413 --> 00:42:32,784 盛んに デモ活動を行っていた。 341 00:42:32,784 --> 00:42:38,990 政治思想 宗教 民族間の対立と分断を あおる動きが➡ 342 00:42:38,990 --> 00:42:41,893 各地で始まっていた。 343 00:42:45,530 --> 00:42:48,499 分断を食い止めようとする人々が掲げた➡ 344 00:42:48,499 --> 00:42:52,670 スローガンが 「DON’T BE A SUCKER」。 345 00:42:52,670 --> 00:42:55,573 「だまされるな」。 346 00:43:11,055 --> 00:43:17,261 新聞 映画 ラジオ 全てのメディアを手中に収め➡ 347 00:43:17,261 --> 00:43:21,933 国民を意のままに操ろうとした ゲッベルス。 348 00:43:21,933 --> 00:43:29,941 政権獲得 前夜 ナチ党員に向け プロパガンダ哲学を語っている。 349 00:44:09,647 --> 00:44:41,946 ♬~