1 00:00:00,934 --> 00:00:07,641 ♬~ 2 00:00:09,309 --> 00:00:15,983 250年の歴史を誇る 世界最大のオークション。 3 00:00:15,983 --> 00:00:22,489 2021年。 一枚の絵画が出品された。 4 00:00:24,124 --> 00:00:27,661 著名なハリウッド女優が 出品したこともあり➡ 5 00:00:27,661 --> 00:00:30,163 12億円の値が付いた。 6 00:00:31,832 --> 00:00:36,737 描いたのは ウィンストン・チャーチル。 7 00:00:39,006 --> 00:00:42,843 第二次世界大戦で イギリスの首相として➡ 8 00:00:42,843 --> 00:00:46,847 戦争を勝利に導いた人物である。 9 00:00:49,616 --> 00:00:53,353 この絵は アメリカの ルーズベルト大統領に➡ 10 00:00:53,353 --> 00:00:57,157 会談の記念として贈られたものだった。 11 00:00:59,226 --> 00:01:03,630 この7年前 別のオークションに出品された絵画も➡ 12 00:01:03,630 --> 00:01:06,833 世界的な話題を呼んだ。 13 00:01:10,804 --> 00:01:14,308 作者は アドルフ・ヒトラー。 14 00:01:17,477 --> 00:01:21,081 2つの世界大戦で激突した2人には➡ 15 00:01:21,081 --> 00:01:23,984 多くの共通点があった。 16 00:01:26,987 --> 00:01:33,660 ともに好戦的な性格。 かたくななまでの 意志の強さ。 17 00:01:33,660 --> 00:01:36,463 演説の巧みさ。 18 00:02:12,099 --> 00:02:18,805 2人は お互いを激しく意識しながら 戦争を戦った。 19 00:02:22,743 --> 00:02:27,481 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 20 00:02:27,481 --> 00:02:34,121 今回は 恐れ合い 憎み合った 宿命のライバルの激突。 21 00:02:34,121 --> 00:02:39,826 2人のリーダーは 国家の命運を背負って 戦った。 22 00:02:53,006 --> 00:02:55,342 (砲声) 23 00:02:55,342 --> 00:03:00,480 1916年。 若き日のチャーチルとヒトラーは➡ 24 00:03:00,480 --> 00:03:04,885 ともに 第一次世界大戦の最前線に立っていた。 25 00:03:07,320 --> 00:03:12,626 両者が所属する部隊の間の距離は 僅か20キロだった。 26 00:03:14,461 --> 00:03:19,299 (爆発音) 27 00:03:19,299 --> 00:03:25,972 チャーチルは イギリス陸軍の 大隊長として従軍していた。 28 00:03:25,972 --> 00:03:28,809 悲惨を極めた 塹壕戦。 29 00:03:28,809 --> 00:03:33,513 しかし チャーチルの精神は むしろ高揚していた。 30 00:04:15,622 --> 00:04:19,960 チャーチルは 名門貴族の一族に生まれ➡ 31 00:04:19,960 --> 00:04:23,830 幼い頃から「イギリスが窮地に立てば➡ 32 00:04:23,830 --> 00:04:29,636 僕が国を守るリーダーになる」と 周囲に語っていた。 33 00:04:31,571 --> 00:04:38,345 陸軍士官学校を経て 25歳で政治家に転身。 34 00:04:38,345 --> 00:04:44,951 行動力と野心にあふれたチャーチルは 若くして閣僚のポストを歴任した。 35 00:04:47,988 --> 00:04:51,491 これは ロンドンで起きた 発砲事件で➡ 36 00:04:51,491 --> 00:04:57,130 現場に出て警官隊を指揮する チャーチルを捉えた映像である。 37 00:04:57,130 --> 00:05:01,134 事件現場で 大臣が指揮を執るなど 前代未聞。 38 00:05:01,134 --> 00:05:05,839 批判を浴びたが 全く意に介さなかった。 39 00:05:17,284 --> 00:05:25,025 第一次世界大戦が始まった当初 チャーチルは海軍大臣だった。 40 00:05:25,025 --> 00:05:29,296 開戦時 イギリスは中立の立場だったが➡ 41 00:05:29,296 --> 00:05:34,501 チャーチルら強硬派が押し切り 参戦となった。 42 00:06:03,296 --> 00:06:10,270 しかし チャーチルの作戦立案能力は 高いとは言えなかった。 43 00:06:10,270 --> 00:06:14,941 チャーチルは ドイツ側についた オスマン帝国を攻撃すべく➡ 44 00:06:14,941 --> 00:06:18,812 ガリポリ半島への上陸を強行する。 45 00:06:18,812 --> 00:06:21,615 ところが 予想外の抵抗に遭い➡ 46 00:06:21,615 --> 00:06:26,319 10万人以上の死傷者を出す 大敗に終わった。 47 00:06:29,956 --> 00:06:33,293 チャーチルは 海軍大臣を罷免され➡ 48 00:06:33,293 --> 00:06:38,498 40歳にして 政界に居場所を失った。 49 00:06:42,969 --> 00:06:48,308 これは 後年のチャーチルの 貴重なプライベートフィルム。 50 00:06:48,308 --> 00:06:51,611 もともと 気分の浮き沈みが激しい彼は➡ 51 00:06:51,611 --> 00:06:55,515 失意の時は 屋敷に引きこもった。 52 00:07:00,253 --> 00:07:05,458 海軍大臣を罷免された時 こんな言葉を残している。 53 00:07:31,217 --> 00:07:36,523 心を落ち着かせる手だては 絵を描くことだった。 54 00:07:41,795 --> 00:07:45,465 その腕前は あのピカソが➡ 55 00:07:45,465 --> 00:07:48,802 「画家を職業にしても 十分食っていけただろう」と➡ 56 00:07:48,802 --> 00:07:51,004 評するほどだった。 57 00:07:57,310 --> 00:08:04,617 失意のチャーチルは 再起を図ろうと あの塹壕生活に飛び込んだのだった。 58 00:08:09,923 --> 00:08:15,228 チャーチルの陣地から 僅か20キロ先には あの男がいた。 59 00:08:17,063 --> 00:08:20,266 アドルフ・ヒトラー 26歳。 60 00:08:20,266 --> 00:08:22,202 彼もまた 義勇兵として➡ 61 00:08:22,202 --> 00:08:25,205 自ら志願して この戦場に立っていた。 62 00:08:26,940 --> 00:08:32,145 もともと 画家や建築家を目指していたが 挫折していた。 63 00:08:58,471 --> 00:09:02,342 ヒトラーは 戦場に居場所を求めた。 64 00:09:02,342 --> 00:09:05,278 (爆発音) 65 00:09:05,278 --> 00:09:08,915 任されたのは伝令兵。 66 00:09:08,915 --> 00:09:13,019 危険を顧みず 戦場を飛び回った。 67 00:09:17,257 --> 00:09:23,963 第一次世界大戦 最大の激戦となった ソンムの戦いも経験している。 68 00:09:59,299 --> 00:10:05,638 ヒトラーは 命知らずの仕事ぶり 敵兵を捕まえた功績で➡ 69 00:10:05,638 --> 00:10:09,542 一級鉄十字勲章を授与された。 70 00:10:11,811 --> 00:10:17,016 そして この勲章を 生涯身に着け続けた。 71 00:10:23,990 --> 00:10:27,327 1917年 チャーチルは➡ 72 00:10:27,327 --> 00:10:29,829 戦場の実戦経験をひっ提げ➡ 73 00:10:29,829 --> 00:10:33,666 軍需大臣として閣僚復帰を果たした。 74 00:10:33,666 --> 00:10:39,873 彼は 戦場の様相を一変させる 新兵器の製造に注力した。 75 00:10:41,841 --> 00:10:43,843 戦車である。 76 00:10:46,346 --> 00:10:51,351 実戦に投入された 世界初の戦車… 77 00:10:53,119 --> 00:10:59,692 塹壕や鉄条網を突破できる 画期的な兵器だった。 78 00:10:59,692 --> 00:11:04,664 チャーチルには これからの戦争は 科学技術が雌雄を決するという➡ 79 00:11:04,664 --> 00:11:07,800 先見の明があった。 80 00:11:07,800 --> 00:11:13,806 数々の戦車開発を推進。 「戦車の父」とも呼ばれている。 81 00:11:42,502 --> 00:11:46,839 その後 ドイツ軍も戦車を投入。 82 00:11:46,839 --> 00:11:51,511 戦場は果てしなく激化する。 83 00:11:51,511 --> 00:11:54,013 (銃声) 84 00:11:55,682 --> 00:12:00,086 膠着状態が続く中 アメリカの参戦によって➡ 85 00:12:00,086 --> 00:12:04,624 戦局は連合国側に傾く。 86 00:12:04,624 --> 00:12:08,227 ドイツは 戦争に負けた。 87 00:12:12,098 --> 00:12:14,968 ドイツ兵200万人をはじめ➡ 88 00:12:14,968 --> 00:12:19,639 世界で1,500万人以上という 未曽有の死者を出して➡ 89 00:12:19,639 --> 00:12:22,642 戦争は終わった。 90 00:12:26,512 --> 00:12:33,820 ヒトラーも重傷を負い 野戦病院で生死の境をさまよった。 91 00:12:33,820 --> 00:12:38,124 復讐を誓ったのは この時だった。 92 00:12:57,010 --> 00:13:03,449 それから10年余り。 1929年に始まった世界恐慌で➡ 93 00:13:03,449 --> 00:13:06,953 2人の人生は 明暗を分ける。 94 00:13:09,255 --> 00:13:13,793 第一次大戦後 財務大臣を務めた チャーチルだったが➡ 95 00:13:13,793 --> 00:13:18,097 思うような成果は上げられなかった。 96 00:13:18,097 --> 00:13:21,834 その直後 世界恐慌が襲い➡ 97 00:13:21,834 --> 00:13:27,040 イギリスの失業者は 250万人と倍増した。 98 00:13:29,976 --> 00:13:36,482 無能な政治家の烙印を押された チャーチルは 再び失脚した。 99 00:13:41,487 --> 00:13:44,390 (歓声) 100 00:13:44,390 --> 00:13:50,997 一方 ヒトラーは この世界恐慌をばねに躍進する。 101 00:13:50,997 --> 00:13:58,337 一党独裁による国力の回復を訴え ナチスの勢力を拡大。 102 00:13:58,337 --> 00:14:03,176 1933年に 首相の座に就いた。 103 00:14:03,176 --> 00:14:07,880 (歓声) 104 00:14:30,803 --> 00:14:33,106 ハイル! 105 00:14:33,106 --> 00:14:38,978 ドイツが いち早く 恐慌から抜け出せたのは 再軍備だった。 106 00:14:38,978 --> 00:14:43,683 兵器の増産や徴兵制によって 失業率は減少。 107 00:14:45,485 --> 00:14:51,290 しかし それは 戦争を前提としたシステムだった。 108 00:14:51,290 --> 00:14:56,095 チャーチルは 当時 ヒトラーをこう評価している。 109 00:15:31,798 --> 00:15:37,403 実はこのころ 2人が実際に会うタイミングがあった。 110 00:15:39,972 --> 00:15:43,309 チャーチルが 旅行でドイツを訪れた時➡ 111 00:15:43,309 --> 00:15:48,181 ヒトラーの側近が 会談を申し込んできたのである。 112 00:15:48,181 --> 00:15:50,983 チャーチルという 有名政治家との会談で➡ 113 00:15:50,983 --> 00:15:54,854 ヒトラーに はくを付けるのが ねらいだった。 114 00:15:54,854 --> 00:15:57,557 チャーチルは快諾した。 115 00:15:59,325 --> 00:16:05,131 ところが ヒトラーは 直前になって 会談を取りやめた。 116 00:16:05,131 --> 00:16:08,434 チャーチルの 政治家としてのスケールの大きさに➡ 117 00:16:08,434 --> 00:16:13,239 おじけづいたからだと 側近は語っている。 118 00:16:40,800 --> 00:16:45,638 もし この時 2人が会っていたら➡ 119 00:16:45,638 --> 00:16:49,942 その後の歴史は変わっていただろうか。 120 00:16:53,980 --> 00:16:56,649 1938年。 121 00:16:56,649 --> 00:17:00,419 ヨーロッパの首脳が ミュンヘンに集まった。 122 00:17:00,419 --> 00:17:04,924 ドイツが引き起こした領土問題について 話し合うためだった。 123 00:17:08,294 --> 00:17:14,400 この半年前 ヒトラーは武力を背景に オーストリアを併合。 124 00:17:16,869 --> 00:17:21,607 更に チェコスロバキアに対し 領土の割譲を迫り➡ 125 00:17:21,607 --> 00:17:24,810 ヨーロッパの緊張が高まっていた。 126 00:17:26,479 --> 00:17:30,950 イギリスとフランスは ヒトラーの要求をのんだ。 127 00:17:30,950 --> 00:17:38,457 ドイツを 社会主義国ソビエトの 防波堤として利用しようと考えていた。 128 00:17:38,457 --> 00:17:44,463 ヒトラーも 領土の要求は これを最後にすると約束した。 129 00:17:47,166 --> 00:17:49,969 イギリス首相 チェンバレンは➡ 130 00:17:49,969 --> 00:17:55,675 平和が訪れたと胸を張り 国民は歓迎した。 131 00:18:19,966 --> 00:18:24,670 チェンバレンは ノーベル平和賞の候補に挙げられた。 132 00:18:28,074 --> 00:18:34,280 しかし チャーチルだけは ヒトラーの野望を見抜いていた。 133 00:18:34,280 --> 00:18:40,486 ヒトラーの約束は信用できず 更なる領土拡大に動くと断じた。 134 00:18:42,021 --> 00:18:47,226 ラジオ演説で ヒトラーの脅威を訴える 音声が残されている。 135 00:19:14,754 --> 00:19:18,624 チャーチルはこの時 閣僚でもなかった。 136 00:19:18,624 --> 00:19:25,331 そんな立場の人物の発言に対し ヒトラーは神経質なまでに反応した。 137 00:20:01,200 --> 00:20:04,403 チャーチルの懸念は当たった。 138 00:20:06,172 --> 00:20:11,310 ドイツは ポーランドに侵攻。 139 00:20:11,310 --> 00:20:15,181 イギリス フランスが ドイツへ宣戦布告し➡ 140 00:20:15,181 --> 00:20:18,784 第二次世界大戦が始まった。 141 00:20:24,657 --> 00:20:27,993 すると イギリス国民は一転して➡ 142 00:20:27,993 --> 00:20:32,331 ヒトラーにだまされた チェンバレンを非難。 143 00:20:32,331 --> 00:20:36,736 かわって求めたのは チャーチルだった。 144 00:20:55,154 --> 00:21:00,860 チャーチルは 65歳にして首相に就任した。 145 00:21:28,187 --> 00:21:30,956 チャーチルが首相になった 同じ日➡ 146 00:21:30,956 --> 00:21:35,261 ヒトラーは 西ヨーロッパへの侵攻を開始する。 147 00:21:39,331 --> 00:21:43,202 ドイツ軍は まず オランダなどを攻撃。 148 00:21:43,202 --> 00:21:45,671 イギリス フランスら 連合軍との➡ 149 00:21:45,671 --> 00:21:48,574 本格的な戦闘が始まった。 150 00:21:48,574 --> 00:21:55,381 ♬~ 151 00:21:55,381 --> 00:22:01,620 ドイツは 電撃戦と呼ばれる ハイスピードの侵攻を行う。 152 00:22:01,620 --> 00:22:07,826 戦争は長期化すると考えていた 英仏連合軍は 裏をかかれた。 153 00:22:21,807 --> 00:22:24,643 敗走を続けた英仏連合軍は➡ 154 00:22:24,643 --> 00:22:29,448 ドーバー海峡の港町 ダンケルクに 追い詰められた。 155 00:22:34,653 --> 00:22:39,325 その数 およそ40万人。 156 00:22:39,325 --> 00:22:46,332 この兵を失えば イギリスの戦争継続は絶望的となる。 157 00:22:50,336 --> 00:22:54,139 チャーチルは 大勝負に出た。 158 00:22:54,139 --> 00:22:59,445 ダンケルクから将兵を脱出させる ダイナモ作戦である。 159 00:23:02,615 --> 00:23:05,284 軍用船は不足している。 160 00:23:05,284 --> 00:23:10,789 それを補うため 民間船を徴用し 将兵を輸送させるという➡ 161 00:23:10,789 --> 00:23:13,826 前代未聞の作戦だった。 162 00:23:13,826 --> 00:23:19,298 イギリス各地から 漁船 遊覧船 小型の釣り船に至るまで➡ 163 00:23:19,298 --> 00:23:24,603 860隻が ダンケルクの対岸 ドーバーに集結した。 164 00:23:26,805 --> 00:23:30,643 1940年5月24日。 165 00:23:30,643 --> 00:23:33,112 この時 ドイツの戦車部隊は➡ 166 00:23:33,112 --> 00:23:37,616 ダンケルクから20キロの地点にまで 接近していた。 167 00:23:39,485 --> 00:23:45,291 しかし この時 不可解な命令が下された。 168 00:23:45,291 --> 00:23:51,196 ヒトラーが 戦車部隊の進軍を止めさせたのだ。 169 00:24:13,485 --> 00:24:20,793 撤退作戦 ダイナモ作戦が始まったのは その2日後の5月26日だった。 170 00:24:22,628 --> 00:24:27,499 船を提供するだけでなく 危険を覚悟で 自ら操縦し➡ 171 00:24:27,499 --> 00:24:32,304 作戦に参加する民間人も 少なくなかった。 172 00:25:11,777 --> 00:25:18,584 イギリスは 空からの攻撃を受けながらも 多くの船が 帰還に成功。 173 00:25:23,956 --> 00:25:28,761 34万の将兵が生還を果たした。 174 00:25:34,099 --> 00:25:37,970 ドイツの戦車部隊が ダンケルクに たどりついた時には➡ 175 00:25:37,970 --> 00:25:41,373 イギリス軍の姿は なかった。 176 00:25:43,308 --> 00:25:49,314 自らの判断ミスで勝機を逃したヒトラーは こう強がった。 177 00:26:28,787 --> 00:26:34,293 ダンケルクの奇跡に イギリス国民は沸いた。 178 00:26:34,293 --> 00:26:38,797 ♬~ 179 00:26:38,797 --> 00:26:42,301 この時 チャーチルは国民に向け➡ 180 00:26:42,301 --> 00:26:46,405 後世まで語り継がれる演説を行った。 181 00:27:21,139 --> 00:27:28,647 チャーチルの支持率は 実に88%に達した。 182 00:27:39,491 --> 00:27:43,295 ヒトラーは得意の絶頂だった。 183 00:27:45,097 --> 00:27:49,468 西ヨーロッパでの戦争は もはや勝負がついたと考え➡ 184 00:27:49,468 --> 00:27:52,771 チャーチルに和平を打診した。 185 00:27:55,807 --> 00:28:03,415 もともとヒトラーの狙いは ドイツの東側 ソビエトだった。 186 00:28:03,415 --> 00:28:07,619 イギリスとは共存できると 考えていたのだ。 187 00:28:41,954 --> 00:28:46,658 しかし チャーチルは 頑として和平の誘いに乗ってこない。 188 00:28:48,293 --> 00:28:52,965 ヒトラーは チャーチルを退陣させる 糸口を探ろうと➡ 189 00:28:52,965 --> 00:28:56,468 イギリスにスパイを送り込んだ。 190 00:28:56,468 --> 00:29:00,906 酒好きなチャーチルに アルコール中毒の疑いはないかと➡ 191 00:29:00,906 --> 00:29:06,411 首相官邸のごみの中の 酒瓶の数まで調べさせたという。 192 00:29:09,247 --> 00:29:13,585 側近は イギリスへの攻撃開始を主張したが➡ 193 00:29:13,585 --> 00:29:17,489 ヒトラーは和平を求め続けた。 194 00:29:42,614 --> 00:29:45,951 フランス降伏から1か月。 195 00:29:45,951 --> 00:29:52,257 ヒトラーは イギリスに和平を促す 最後の演説を行った。 196 00:30:34,666 --> 00:30:40,072 (歓声) 197 00:30:43,675 --> 00:30:49,548 しかし チャーチルが 和平に応じることはなかった。 198 00:30:49,548 --> 00:30:52,851 1940年8月 ヒトラーは➡ 199 00:30:52,851 --> 00:30:57,255 ついにイギリスへの侵攻を決断した。 200 00:31:17,175 --> 00:31:19,644 バトル・オブ・ブリテンと呼ばれる➡ 201 00:31:19,644 --> 00:31:23,749 史上最大の航空戦が繰り広げられた。 202 00:31:27,319 --> 00:31:31,189 軍需工場や飛行場を爆撃された イギリス軍は➡ 203 00:31:31,189 --> 00:31:34,593 次第に機能不全に陥った。 204 00:31:39,831 --> 00:31:43,668 しかし 計算外の出来事が起きる。 205 00:31:43,668 --> 00:31:47,773 ドイツ軍の ロンドン市街地への誤爆である。 206 00:31:49,841 --> 00:31:56,148 ロンドンの軍事施設を狙うはずが➡ 誤って市街地に爆弾を投下。 207 00:31:58,550 --> 00:32:03,488 チャーチルは これを市民への無差別爆撃だと捉え➡ 208 00:32:03,488 --> 00:32:07,993 報復として ベルリン市街地への 爆撃を指示した。 209 00:32:11,630 --> 00:32:15,934 首都を攻撃されたヒトラーは 激怒した。 210 00:32:53,138 --> 00:32:59,344 9月7日。 1,000機以上の大編隊が ロンドンを空襲。 211 00:33:00,879 --> 00:33:03,782 これは 爆撃直後のロンドンを➡ 212 00:33:03,782 --> 00:33:08,954 アマチュアカメラマンが撮影した カラーフィルムである。 213 00:33:08,954 --> 00:33:14,559 爆撃は 2か月の間 毎晩続いた。 214 00:33:18,630 --> 00:33:23,535 およそ2万のロンドン市民が 命を落とした。 215 00:33:30,976 --> 00:33:35,580 バッキンガム宮殿や国会議事堂も 被害を受けた。 216 00:33:40,986 --> 00:33:46,324 チャーチルは 国王から 郊外への退避を促された。 217 00:33:46,324 --> 00:33:52,430 しかし あくまでもロンドンにとどまり 市民を鼓舞し続けた。 218 00:34:25,997 --> 00:34:29,868 (歓声) 219 00:34:29,868 --> 00:35:27,359 ♬~ 220 00:35:32,831 --> 00:35:36,534 イギリスの反撃が始まった。 221 00:35:38,970 --> 00:35:42,640 イギリス軍は 最新鋭のレーダー網を整備し➡ 222 00:35:42,640 --> 00:35:45,644 敵機の位置を詳細に把握。 223 00:35:47,979 --> 00:35:51,483 更に 天才数学者 チューリングが➡ 224 00:35:51,483 --> 00:35:54,386 ドイツの暗号機 エニグマを解読し➡ 225 00:35:54,386 --> 00:35:57,889 敵の情報を丸裸にした。 226 00:36:02,427 --> 00:36:09,234 バトル・オブ・ブリテンは 次第にイギリス優位へと変わっていった。 227 00:36:17,909 --> 00:36:23,615 ヒトラーは イギリス本土への侵攻を断念する。 228 00:36:53,645 --> 00:36:57,816 1941年6月。 ヒトラーは➡ 229 00:36:57,816 --> 00:37:03,121 本来の敵と定めた ソビエトへの侵攻を開始した。 230 00:37:09,427 --> 00:37:11,930 その半年後だった。 231 00:37:17,302 --> 00:37:21,773 日本とアメリカが 第二次世界大戦に参戦。 232 00:37:21,773 --> 00:37:26,478 ヒトラーとチャーチルは ともに これを喜んだ。 233 00:37:58,977 --> 00:38:03,581 そして 1944年6月。 234 00:38:03,581 --> 00:38:10,922 米英を中心とした連合軍は ノルマンディー上陸作戦を敢行。 235 00:38:10,922 --> 00:38:14,125 ヒトラーを追い詰めていった。 236 00:38:18,263 --> 00:38:21,866 2か月後 パリを奪還。 237 00:38:23,935 --> 00:38:27,238 ソ連も猛反撃を開始。 238 00:38:29,274 --> 00:38:33,278 ドイツ軍は敗走を繰り返した。 239 00:38:35,647 --> 00:38:37,649 (砲声) 240 00:38:37,649 --> 00:38:41,085 ソ連軍は 首都ベルリンに迫り➡ 241 00:38:41,085 --> 00:38:45,690 ドイツの敗北は もはや決定的となった。 242 00:38:55,099 --> 00:38:59,304 1945年4月30日。 243 00:38:59,304 --> 00:39:03,575 ヒトラーは 地下壕で自殺。 244 00:39:03,575 --> 00:39:06,578 56歳だった。 245 00:39:12,584 --> 00:39:18,890 戦いに勝利したチャーチルは 国民の称賛を 一身に浴びた。 246 00:39:22,594 --> 00:39:29,901 ヒトラーは 最後の最後まで チャーチルを意識し続けていた。 247 00:40:04,202 --> 00:40:09,407 しかし チャーチルの栄光は 長くは続かなかった。 248 00:40:17,649 --> 00:40:23,454 対ドイツ戦勝利から2か月後 チャーチル率いる保守党は惨敗。 249 00:40:23,454 --> 00:40:26,157 野党に転落した。 250 00:40:28,293 --> 00:40:33,998 国民が求めたのは 戦争からの復興だった。 251 00:40:33,998 --> 00:40:37,602 チャーチルは 戦時のリーダーであって➡ 252 00:40:37,602 --> 00:40:42,006 平時のリーダーではないと 判断されたのだった。 253 00:40:46,010 --> 00:40:50,615 終戦から8年後の 1953年。 254 00:40:50,615 --> 00:40:57,388 第二次世界大戦の回顧録で ノーベル文学賞に輝いた。 255 00:40:57,388 --> 00:41:00,191 この知らせを聞いたチャーチルは… 256 00:41:05,096 --> 00:41:08,800 …と 冗談を飛ばしたという。 257 00:41:12,837 --> 00:41:20,345 1965年 チャーチルは 90歳でこの世を去った。 258 00:41:23,314 --> 00:41:28,653 国葬には エリザベス2世も参列した。 259 00:41:28,653 --> 00:41:34,359 国王が 臣下の葬儀に出席するのは 極めて異例のことだった。 260 00:41:36,527 --> 00:41:43,001 イギリスを守った 偉大なリーダーの死を 30万人が見送った。 261 00:41:43,001 --> 00:41:53,144 ♬~ 262 00:41:53,144 --> 00:41:57,982 2022年7月 一人の指導者に➡ 263 00:41:57,982 --> 00:42:01,986 チャーチルの名を冠した賞が贈られた。 264 00:42:24,642 --> 00:42:28,479 ロシアの侵攻に対し 首都キーウにとどまり➡ 265 00:42:28,479 --> 00:42:33,317 市民を鼓舞し続ける ゼレンスキー大統領。 266 00:42:33,317 --> 00:42:40,491 開戦前 20%台だった支持率は 90%を超えた。 267 00:42:40,491 --> 00:42:44,662 世界のメディアは こう評した。 268 00:42:44,662 --> 00:42:51,269 「プーチンの誤算は ウクライナに チャーチルがいると知らなかったことだ」。 269 00:42:53,671 --> 00:42:57,508 ゼレンスキー自身も イギリス議会での演説で➡ 270 00:42:57,508 --> 00:43:02,213 チャーチルの歴史的演説を 引用してみせた。 271 00:43:27,972 --> 00:43:34,178 (拍手) 272 00:43:34,178 --> 00:43:40,818 (歓声) 273 00:43:40,818 --> 00:43:44,655 戦後 チャーチルは新聞記者に➡ 274 00:43:44,655 --> 00:43:49,994 「もし 過去に戻れるなら いつがいいですか」と尋ねられた。 275 00:43:49,994 --> 00:43:54,098 すると 迷いなく こう答えたという。 276 00:44:11,282 --> 00:44:38,876 ♬~