1 00:00:08,642 --> 00:00:14,815 1933年。 大統領就任を 半月後に控え➡ 2 00:00:14,815 --> 00:00:19,987 フランクリン・ルーズベルトが マイアミを訪れた。 3 00:00:19,987 --> 00:00:23,790 (拍手) 4 00:00:29,329 --> 00:00:34,201 即興のスピーチを終えた 直後のことだった。 5 00:00:34,201 --> 00:00:37,838 (銃声) 6 00:00:37,838 --> 00:00:43,644 突如 何者かがルーズベルトに向け発砲。 7 00:00:43,644 --> 00:00:48,849 銃弾はそれ 隣にいたシカゴ市長の命を奪ったが➡ 8 00:00:48,849 --> 00:00:51,852 ルーズベルトに けがはなかった。 9 00:00:54,521 --> 00:00:57,424 犯人は 取り調べに対し➡ 10 00:00:57,424 --> 00:01:02,629 「大統領と資本家を 皆殺しにするつもりだった」と答えた。 11 00:01:04,331 --> 00:01:06,466 銃弾がそれたのは➡ 12 00:01:06,466 --> 00:01:11,471 犯人のそばにいた女性の とっさの行動によるものだった。 13 00:01:25,819 --> 00:01:31,625 ルーズベルトは 彼女の勇気をたたえ 感謝状を贈った。 14 00:01:33,994 --> 00:01:36,897 その6年後 ルーズベルトは➡ 15 00:01:36,897 --> 00:01:42,402 アメリカの命運をかけた論争の 真っただ中にいた。 16 00:01:44,638 --> 00:01:48,542 ヨーロッパで始まった 第二次世界大戦に➡ 17 00:01:48,542 --> 00:01:52,446 アメリカは どう関わるべきか。 18 00:01:56,149 --> 00:01:59,353 ルーズベルトは イギリスを救うため➡ 19 00:01:59,353 --> 00:02:02,556 参戦を 視野に入れていた。 20 00:02:12,632 --> 00:02:17,838 しかし アメリカ最大の英雄が 立ちはだかった。 21 00:02:24,244 --> 00:02:28,115 リンドバーグは 参戦反対を唱え➡ 22 00:02:28,115 --> 00:02:32,119 ナチスドイツとの宥和を訴えた。 23 00:02:40,327 --> 00:02:42,329 (歓声) 24 00:02:43,997 --> 00:02:49,870 大統領と空の英雄は 真っ向から激突。 25 00:02:49,870 --> 00:02:55,375 アメリカ中を巻き込んだ 大論争が始まった。 26 00:03:23,670 --> 00:03:31,678 そして その論争に決着をつけたのは ドイツでもイギリスでもなかった。 27 00:03:36,116 --> 00:03:40,487 私たちは なぜ こんな世界に住んでいるのか。 28 00:03:40,487 --> 00:03:45,125 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 29 00:03:45,125 --> 00:03:49,996 世界の戦争に アメリカはどう関わるべきか。 30 00:03:49,996 --> 00:03:56,503 アメリカを二分した 80年前の大論争である。 31 00:04:04,945 --> 00:04:08,749 1927年 アメリカ。 32 00:04:12,285 --> 00:04:17,591 ある無名の若者に 世界の注目が集まっていた。 33 00:04:19,626 --> 00:04:24,798 25歳の郵便飛行士 チャールズ・リンドバーグが➡ 34 00:04:24,798 --> 00:04:28,602 命懸けの冒険に挑もうというのだ。 35 00:04:31,972 --> 00:04:38,645 ニューヨーク・パリ間 およそ6,000キロの無着陸飛行である。 36 00:04:38,645 --> 00:04:43,950 成功した者に 2万5,000ドルの賞金が 用意されていた。 37 00:04:46,820 --> 00:04:51,658 しかし 賞ができてから8年。 38 00:04:51,658 --> 00:04:57,464 有名な軍人や飛行家が挑戦するも ことごとく失敗。 39 00:04:57,464 --> 00:05:00,467 6人の死者を出していた。 40 00:05:38,638 --> 00:05:43,944 操縦かんを握り続けること 33時間30分。 41 00:06:02,829 --> 00:06:06,266 (歓声) 42 00:06:06,266 --> 00:06:11,972 前人未到の快挙に 世界中が沸き立った。 43 00:06:15,942 --> 00:06:21,281 これは リンドバーグを迎えた アメリカの戦艦の映像。 44 00:06:21,281 --> 00:06:27,287 クーリッジ大統領は 大船団で英雄の帰国を演出した。 45 00:06:28,955 --> 00:06:31,791 (歓声) 46 00:06:31,791 --> 00:06:35,629 ニューヨークでは 2,000トン近い紙吹雪が舞い➡ 47 00:06:35,629 --> 00:06:40,967 偉業をたたえる歌が 200曲以上作られた。 48 00:06:40,967 --> 00:06:57,684 ♬~ 49 00:07:04,758 --> 00:07:10,563 リンドバーグは アメリカ軍の 予備役大佐に任命された。 50 00:07:17,270 --> 00:07:22,475 その6年後。 後に アメリカ史上最長の任期➡ 51 00:07:22,475 --> 00:07:28,782 4選を果たすことになる 大統領が誕生した。 52 00:07:28,782 --> 00:07:33,954 暗殺の危機を 辛くも逃れた ルーズベルトである。 53 00:07:33,954 --> 00:07:36,656 この時 51歳。 54 00:07:38,792 --> 00:07:41,828 当時は 世界恐慌の真っただ中。 55 00:07:41,828 --> 00:07:47,634 不況にあえぐ国民を ルーズベルトは力強く鼓舞した。 56 00:08:00,914 --> 00:08:02,916 (拍手と歓声) 57 00:08:04,751 --> 00:08:10,256 ルーズベルトは アメリカ建国前から続く名家の出で➡ 58 00:08:10,256 --> 00:08:14,928 ハーバード大学出身のエリート。 59 00:08:14,928 --> 00:08:20,433 政治の道に入ると 一気に大統領まで 駆け上った。 60 00:08:25,572 --> 00:08:30,276 しかし ルーズベルトには 大きなハンデがあった。 61 00:08:30,276 --> 00:08:34,581 これは ルーズベルト家の プライベートフィルム。 62 00:08:37,784 --> 00:08:44,557 楽しげに遊ぶ人々を プールサイドで眺める ルーズベルト。 63 00:08:44,557 --> 00:08:47,260 車椅子に乗っている。 64 00:08:49,963 --> 00:08:55,769 39歳の時 ポリオに罹患し 下半身がまひ。 65 00:08:55,769 --> 00:09:01,975 懸命にリハビリを行ったが 自力での歩行が難しくなっていた。 66 00:09:05,245 --> 00:09:10,049 ルーズベルトは 歩いたり 車に乗り降りするところを➡ 67 00:09:10,049 --> 00:09:12,419 撮影させないようにした。 68 00:09:12,419 --> 00:09:17,257 ♬~ 69 00:09:17,257 --> 00:09:24,264 アメリカが求める 力強いリーダー像を 演出するためだった。 70 00:09:59,833 --> 00:10:03,102 リンドバーグとルーズベルト。 71 00:10:03,102 --> 00:10:08,608 この二人の英雄は その後 激しくいがみ合う。 72 00:10:10,310 --> 00:10:15,515 始まりは 1934年のある出来事だった。 73 00:10:17,984 --> 00:10:24,491 それは 当時普及し始めた 航空郵便を巡る対立だった。 74 00:10:24,491 --> 00:10:30,130 ルーズベルトは 民間航空会社の認可を 一方的に取り消し➡ 75 00:10:30,130 --> 00:10:34,434 陸軍航空隊に担当させると発表した。 76 00:10:38,872 --> 00:10:43,009 航空会社の顧問を務めていた リンドバーグは➡ 77 00:10:43,009 --> 00:10:47,347 真っ向から反論した。 78 00:10:47,347 --> 00:10:53,019 陸軍のパイロットは 夜間や悪天候での飛行経験が少なく➡ 79 00:10:53,019 --> 00:10:55,822 危険だと指摘したのだ。 80 00:11:19,112 --> 00:11:22,916 ルーズベルトは 意に介さなかった。 81 00:11:35,328 --> 00:11:37,263 しかし…。 82 00:11:37,263 --> 00:11:39,832 (墜落音) 83 00:11:39,832 --> 00:11:46,005 リンドバーグが指摘したとおり 陸軍航空隊に 事故が続出。 84 00:11:46,005 --> 00:11:50,009 その数 4か月間で66件。 85 00:11:50,009 --> 00:11:52,712 12人が死亡した。 86 00:11:55,682 --> 00:12:02,388 ルーズベルトは 民間航空会社との 再契約を余儀なくされた。 87 00:12:14,968 --> 00:12:17,870 大統領の決定を覆した➡ 88 00:12:17,870 --> 00:12:23,576 リンドバーグの政治的発言力は 一気に高まった。 89 00:12:28,815 --> 00:12:34,020 そのころ ヨーロッパでは ナチスが台頭していた。 90 00:12:35,588 --> 00:12:38,524 1935年 ヒトラーは➡ 91 00:12:38,524 --> 00:12:43,663 ベルサイユ条約を破り 再軍備を宣言。 92 00:12:43,663 --> 00:12:46,466 軍事力を増強し始める。 93 00:12:50,003 --> 00:12:55,508 アメリカは ベールに包まれていた ドイツの軍事力を探るために➡ 94 00:12:55,508 --> 00:12:58,411 リンドバーグを送り込んだ。 95 00:12:58,411 --> 00:13:05,118 世界的英雄 リンドバーグの名声を 利用しようと考えたのだ。 96 00:13:14,627 --> 00:13:18,498 本来 軍事施設や飛行機工場には➡ 97 00:13:18,498 --> 00:13:23,002 外国人の立ち入りが許されていなかった。 98 00:13:25,104 --> 00:13:29,976 しかし ヒトラーの右腕 ゲーリングは➡ 99 00:13:29,976 --> 00:13:34,180 リンドバーグならばと 特別に許可した。 100 00:13:36,316 --> 00:13:42,322 リンドバーグは ドイツの技術水準に 目をみはった。 101 00:14:14,153 --> 00:14:17,957 しかし 予期せぬことが起こった。 102 00:14:17,957 --> 00:14:23,463 これを機に リンドバーグが ナチスとの関係を深めていったのだ。 103 00:14:25,465 --> 00:14:30,336 ベルリンオリンピック開会式に 来賓として出席。 104 00:14:30,336 --> 00:14:35,041 ドイツ訪問は 3年間で6回に及んだ。 105 00:14:38,177 --> 00:14:43,816 1938年には ドイツに貢献した外国人に贈られる➡ 106 00:14:43,816 --> 00:14:47,019 勲章を授与された。 107 00:14:52,125 --> 00:14:58,998 一方のルーズベルトは ヒトラーを強く警戒していた。 108 00:14:58,998 --> 00:15:02,769 アメリカは 世界の平和維持のために➡ 109 00:15:02,769 --> 00:15:07,640 ヨーロッパ情勢に 介入するべきだと訴えた。 110 00:15:07,640 --> 00:15:14,847 大統領が 外国への介入を表明した 当時としては異例の演説だった。 111 00:15:40,506 --> 00:15:46,813 しかし この演説は 国民から予想外のバッシングを受けた。 112 00:15:48,815 --> 00:15:54,620 理由は アメリカ国内の 強い厭戦感情だった。 113 00:15:56,989 --> 00:16:00,760 20年前の第一次世界大戦で➡ 114 00:16:00,760 --> 00:16:05,965 イギリスやフランスを助けるために 参戦したアメリカ。 115 00:16:09,769 --> 00:16:17,443 勝利はしたものの 10万人以上の戦死者を出していた。 116 00:16:17,443 --> 00:16:19,479 アメリカの若者が➡ 117 00:16:19,479 --> 00:16:23,316 遠いヨーロッパの戦争で 犠牲になったことへの➡ 118 00:16:23,316 --> 00:16:27,119 後悔の念が 根強かった。 119 00:16:27,119 --> 00:16:31,290 (銃声) 120 00:16:31,290 --> 00:16:34,794 世論調査では 64%が➡ 121 00:16:34,794 --> 00:16:39,799 第一次大戦への参戦は 失敗だったと回答。 122 00:16:41,567 --> 00:16:45,104 赤十字の一員として 戦線に赴き➡ 123 00:16:45,104 --> 00:16:50,910 重傷を負った作家・ヘミングウェイは こう書いている。 124 00:17:12,064 --> 00:17:16,769 資本家たちも ナチスドイツの味方についた。 125 00:17:16,769 --> 00:17:22,275 第一次大戦後 ゼネラル・モーターズや スタンダード石油など➡ 126 00:17:22,275 --> 00:17:27,079 100社を超えるアメリカ企業が ドイツに進出。 127 00:17:28,948 --> 00:17:33,653 ヨーロッパ市場で 巨額の利益を上げていたのである。 128 00:17:39,091 --> 00:17:45,631 自動車王・フォードは 自身も熱烈な反ユダヤ主義者だった。 129 00:17:45,631 --> 00:17:52,972 ナチスに協力し ドイツに大規模な工場を建設。 130 00:17:52,972 --> 00:17:55,808 ナチスへの貢献をたたえられ➡ 131 00:17:55,808 --> 00:17:59,612 ヒトラーから勲章を授与されていた。 132 00:18:03,549 --> 00:18:08,254 国民 企業などからの 予想外の反発に➡ 133 00:18:08,254 --> 00:18:14,126 ルーズベルトは ドイツ批判の手を 緩めるほかなかった。 134 00:18:14,126 --> 00:18:18,130 彼は 側近にこう漏らしたという。 135 00:18:36,282 --> 00:18:40,453 1939年 ルーズベルトは➡ 136 00:18:40,453 --> 00:18:44,957 リンドバーグを ホワイトハウスに招待した。 137 00:18:44,957 --> 00:18:49,462 アメリカの 航空戦力のアドバイザーを依頼したのだ。 138 00:18:52,631 --> 00:18:58,304 二人が直接 顔を合わせるのは 初めてだった。 139 00:18:58,304 --> 00:19:03,142 ナチスドイツへの姿勢が 全く異なる二人の対面に➡ 140 00:19:03,142 --> 00:19:06,946 ホワイトハウスは緊張に包まれた。 141 00:19:11,584 --> 00:19:17,923 しかし 会談は 当たり障りのない話に終始したという。 142 00:19:17,923 --> 00:19:22,128 ルーズベルトは 極めて友好的に振る舞った。 143 00:19:53,292 --> 00:19:59,899 1939年9月。 ナチスドイツが ポーランドに侵攻。 144 00:20:04,637 --> 00:20:08,808 ポーランドと同盟関係にあった イギリスとフランスが➡ 145 00:20:08,808 --> 00:20:13,312 ドイツに宣戦布告。 146 00:20:13,312 --> 00:20:17,516 第二次世界大戦が始まった。 147 00:20:20,186 --> 00:20:24,990 イギリス政府は アメリカに戦争協力を求めた。 148 00:20:29,662 --> 00:20:33,833 ルーズベルトは ドイツの勢いを食い止めるため➡ 149 00:20:33,833 --> 00:20:37,136 イギリスへの支援を決める。 150 00:20:37,136 --> 00:20:43,676 交戦国への武器の輸出を禁じていた 中立法を修正。 151 00:20:43,676 --> 00:20:47,680 イギリスへの武器輸出に踏み切った。 152 00:21:10,636 --> 00:21:16,442 そんなルーズベルトに 強く異議を唱える人物が現れる。 153 00:21:16,442 --> 00:21:18,744 リンドバーグである。 154 00:21:28,053 --> 00:21:34,860 リンドバーグは ルーズベルトに 敵対する姿勢を 明確に打ち出した。 155 00:21:53,846 --> 00:21:59,351 「寡黙な冒険家」のイメージを払拭する 堂々たる演説は➡ 156 00:21:59,351 --> 00:22:02,354 アメリカ人の心をつかんだ。 157 00:22:05,090 --> 00:22:11,964 リンドバーグに賛同する手紙は 数千通に上った。 158 00:22:11,964 --> 00:22:17,102 世論調査でも イギリスへの軍事支援に賛成する人は➡ 159 00:22:17,102 --> 00:22:20,105 16%にとどまっていた。 160 00:22:47,100 --> 00:22:52,338 アメリカから十分な支援が得られない 連合軍は➡ 161 00:22:52,338 --> 00:22:56,542 ドイツに対し 敗退を繰り返していた。 162 00:23:01,614 --> 00:23:06,619 1940年6月には フランスが降伏。 163 00:23:09,288 --> 00:23:15,794 更に7月には ドイツによる イギリスへの攻撃が始まった。 164 00:23:19,632 --> 00:23:24,970 夜間爆撃は50回を超え 4万人が死亡。 165 00:23:24,970 --> 00:23:29,275 イギリスは もって半年といわれていた。 166 00:23:32,478 --> 00:23:40,119 更に アメリカから武器を 買い入れる資金も 底をついていた。 167 00:23:40,119 --> 00:23:46,125 チャーチルは ルーズベルトに 再三にわたって支援を要請した。 168 00:24:28,100 --> 00:24:31,804 パリ陥落と ロンドン空襲。 169 00:24:31,804 --> 00:24:35,607 さすがに アメリカ国民にも衝撃だった。 170 00:24:37,309 --> 00:24:44,183 イギリスへの支援賛成派が急増。 50%を超えた。 171 00:24:44,183 --> 00:24:48,821 ルーズベルトは ドイツとの直接対決に備え➡ 172 00:24:48,821 --> 00:24:51,623 防衛力強化に乗り出す。 173 00:25:01,266 --> 00:25:07,606 1940年9月 選抜徴兵法を成立させる。 174 00:25:07,606 --> 00:25:12,611 アメリカ初の 平時に行われた徴兵制度だった。 175 00:25:16,949 --> 00:25:21,954 これは 徴兵される人を選ぶ くじ引きの映像。 176 00:25:25,090 --> 00:25:30,396 くじに書かれた番号を ルーズベルト自ら発表した。 177 00:25:40,305 --> 00:25:44,476 徴兵された若者は およそ90万人。 178 00:25:44,476 --> 00:25:49,081 1年間だけの教育入隊という約束だった。 179 00:25:52,117 --> 00:25:56,822 しかし 徴兵制は参戦に直結すると➡ 180 00:25:56,822 --> 00:26:01,660 激しい抗議運動が巻き起こる。 181 00:26:01,660 --> 00:26:05,864 その先頭に立ったのが リンドバーグだった。 182 00:26:14,072 --> 00:26:19,445 そして リンドバーグは ドイツとの宥和を力説した。 183 00:26:19,445 --> 00:26:24,149 シカゴでは 4万の聴衆の喝采を浴びた。 184 00:26:50,976 --> 00:26:54,480 (拍手と歓声) 185 00:27:13,932 --> 00:27:19,638 アメリカ国内の親ナチ団体も 戦争反対を訴えていた。 186 00:27:21,440 --> 00:27:27,079 初めは 穏健なドイツ系移民の 親睦団体を装っていたが➡ 187 00:27:27,079 --> 00:27:31,083 次第に 親ナチの姿勢をあらわにした。 188 00:27:32,885 --> 00:27:38,891 これは 2万人が集まった 親ナチ団体の集会の映像。 189 00:27:53,205 --> 00:27:57,809 突如 壇上に ユダヤ人の男が乱入。 190 00:27:57,809 --> 00:28:01,513 激しくもみ合う様子が捉えられている。 191 00:28:05,250 --> 00:28:10,756 アメリカ国内のユダヤ系移民と ドイツ系移民との間でも➡ 192 00:28:10,756 --> 00:28:13,759 対立が激化していた。 193 00:28:17,930 --> 00:28:20,832 1940年 ルーズベルトは➡ 194 00:28:20,832 --> 00:28:25,537 前人未到の 3期目の大統領を目指していた。 195 00:28:27,439 --> 00:28:33,078 当時 現在のような 2期までという制限はなかった。 196 00:28:33,078 --> 00:28:40,786 世界大戦の中 アメリカのかじ取りが できるのは 自分しかいないと訴えた。 197 00:28:45,958 --> 00:28:50,829 しかし この時 ルーズベルトが最も警戒する➡ 198 00:28:50,829 --> 00:28:56,602 あの男の出馬が うわさされていた。 199 00:28:56,602 --> 00:28:59,304 リンドバーグである。 200 00:28:59,304 --> 00:29:03,742 戦争不介入を唱える 共和党の重鎮たちは➡ 201 00:29:03,742 --> 00:29:07,913 彼に出馬を勧めていた。 202 00:29:07,913 --> 00:29:11,583 リンドバーグは 孤立主義を掲げる➡ 203 00:29:11,583 --> 00:29:15,420 アメリカ・ファースト委員会の集会に参加。 204 00:29:15,420 --> 00:29:18,624 実質的なリーダーとなっていた。 205 00:29:45,951 --> 00:29:48,620 アメリカ・ファースト委員会は➡ 206 00:29:48,620 --> 00:29:53,959 全米に450支部 80万人の会員を集め➡ 207 00:29:53,959 --> 00:29:58,263 最大の参戦反対勢力に成長。 208 00:30:00,299 --> 00:30:04,970 フォードなど ナチスと つながりが深い資本家や➡ 209 00:30:04,970 --> 00:30:08,874 各界の名士が名を連ねた。 210 00:30:12,644 --> 00:30:16,314 大学生だった ジョン・F・ケネディも➡ 211 00:30:16,314 --> 00:30:22,020 リンドバーグの演説に感動し 100ドルの小切手を送った。 212 00:30:23,655 --> 00:30:28,960 しかし リンドバーグは 立候補の誘いを断り続けた。 213 00:31:02,494 --> 00:31:05,330 ルーズベルトは 選挙に勝利し➡ 214 00:31:05,330 --> 00:31:08,533 3期目に突入した。 215 00:31:11,169 --> 00:31:16,174 直ちに より強固なイギリス支援策を打ち出す。 216 00:31:18,310 --> 00:31:21,213 武器貸与法である。 217 00:31:21,213 --> 00:31:26,184 大統領の権限で 武器を無償で 貸し与えられるようにする➡ 218 00:31:26,184 --> 00:31:28,887 画期的な法律だった。 219 00:31:52,144 --> 00:31:57,349 この法律により イギリスへの武器供与が本格化。 220 00:31:59,851 --> 00:32:07,359 戦争終結までに 総額300億ドル分の 軍需物資が送られた。 221 00:32:09,294 --> 00:32:11,229 アメリカの支援のもと➡ 222 00:32:11,229 --> 00:32:16,935 イギリスは本土の守りを固め ようやく窮地を脱した。 223 00:32:20,639 --> 00:32:25,510 しかし リンドバーグの影響力は いまだ健在。 224 00:32:25,510 --> 00:32:29,815 ルーズベルトにとって いまいましい存在だった。 225 00:32:31,650 --> 00:32:38,356 ルーズベルト陣営は リンドバーグへの 直接攻撃を始めていく。 226 00:32:57,876 --> 00:33:01,613 リンドバーグは激怒し 抗議のため➡ 227 00:33:01,613 --> 00:33:05,317 アメリカ軍大佐の地位を返上した。 228 00:33:08,486 --> 00:33:12,791 しかし 大佐の地位は返上するのに➡ 229 00:33:12,791 --> 00:33:20,298 ナチスの勲章は返上しないのかと かえって攻撃が激化した。 230 00:33:20,298 --> 00:33:22,801 妻・アンや友人たちは➡ 231 00:33:22,801 --> 00:33:27,806 ヒトラーとのつながりを はっきり否定するべきだと勧めた。 232 00:33:29,474 --> 00:33:34,813 しかし リンドバーグは 公聴会での度重なる質問にも➡ 233 00:33:34,813 --> 00:33:38,817 明確なナチス批判は行わなかった。 234 00:34:07,445 --> 00:34:11,616 そして 1941年9月。 235 00:34:11,616 --> 00:34:18,957 リンドバーグは アメリカ中を敵に回す 大きなミスを犯す。 236 00:34:18,957 --> 00:34:23,461 アイオワ州デモインでの演説だった。 237 00:34:23,461 --> 00:34:28,300 アメリカを戦争に導く 3つの勢力を挙げたが➡ 238 00:34:28,300 --> 00:34:31,102 その1つが問題だった。 239 00:34:49,321 --> 00:34:53,191 (ブーイング) 240 00:34:53,191 --> 00:34:57,195 会場は ブーイングで埋め尽くされた。 241 00:35:00,599 --> 00:35:04,769 問題となったのは ルーズベルト批判ではなく➡ 242 00:35:04,769 --> 00:35:08,940 ユダヤ人への批判だった。 243 00:35:08,940 --> 00:35:14,279 ユダヤ人が戦争を扇動したというのは ヒトラーの常套句。 244 00:35:14,279 --> 00:35:21,086 更に ナチスによるユダヤ人迫害は アメリカにも知れ渡っていた。 245 00:35:25,890 --> 00:35:32,297 リンドバーグは ファシストで 差別主義者だと見なされた。 246 00:35:32,297 --> 00:35:35,200 名声は完全に失墜。 247 00:35:35,200 --> 00:35:40,205 アメリカ・ファースト委員会内部からも 批判が相次いだ。 248 00:35:53,118 --> 00:35:58,923 実は 演説の前日 原稿を見た妻・アンは➡ 249 00:35:58,923 --> 00:36:02,427 文面の変更を 懇願していた。 250 00:36:02,427 --> 00:36:06,431 しかし リンドバーグは 取り合わなかった。 251 00:36:28,086 --> 00:36:33,892 もはや ルーズベルトを阻む者は 誰もいなくなった。 252 00:36:33,892 --> 00:36:39,197 しかし 彼はまだ 参戦に踏み切ろうとはしなかった。 253 00:36:40,965 --> 00:36:43,968 世論は 複雑に割れていた。 254 00:36:43,968 --> 00:36:49,674 70%以上が いずれ参戦すべきとする一方➡ 255 00:36:49,674 --> 00:36:55,980 今 参戦すべきかとの問いには 80%が反対していた。 256 00:37:00,051 --> 00:37:04,255 ルーズベルトは 側近にこう語っていたという。 257 00:37:28,847 --> 00:37:31,950 (爆撃音) 258 00:37:39,290 --> 00:37:43,962 日本の真珠湾攻撃の報告を聞いた ルーズベルトは➡ 259 00:37:43,962 --> 00:37:46,965 側近に こう尋ねたという。 260 00:38:14,926 --> 00:38:22,267 これを受け 日本と同盟を結んでいた ドイツが宣戦布告。 261 00:38:22,267 --> 00:38:29,574 開戦からおよそ2年 アメリカは第二次世界大戦に参戦した。 262 00:38:33,444 --> 00:38:39,951 それを聞いたチャーチルは 思わず叫び声を上げたという。 263 00:38:50,962 --> 00:38:57,302 アメリカ国民は 一致団結し 戦争に まい進した。 264 00:38:57,302 --> 00:39:00,905 企業も ドイツから 工場を撤退し➡ 265 00:39:00,905 --> 00:39:04,776 国内に 軍需工場を次々と建設。 266 00:39:04,776 --> 00:39:10,582 アメリカは 世界一の軍事大国へと 変貌していった。 267 00:39:13,618 --> 00:39:20,592 戦争が始まり リンドバーグも 軍への復帰を申し出た。 268 00:39:20,592 --> 00:39:24,929 しかし ルーズベルトは許さなかった。 269 00:39:24,929 --> 00:39:27,832 リンドバーグが戦争で活躍し➡ 270 00:39:27,832 --> 00:39:32,537 英雄の人気が復活することを 恐れたのである。 271 00:39:46,217 --> 00:39:50,154 失意のリンドバーグは フォードの工場で➡ 272 00:39:50,154 --> 00:39:53,458 爆撃機の開発に携わる。 273 00:39:55,793 --> 00:40:02,600 更に 民間の軍事コンサルタントとして 太平洋戦線に加わった。 274 00:40:04,302 --> 00:40:10,174 正式な許可のないまま 戦闘機に乗り込み 日本軍と交戦。 275 00:40:10,174 --> 00:40:14,178 ラバウルの爆撃などに参加した。 276 00:40:19,183 --> 00:40:20,585 (砲声) 277 00:40:20,585 --> 00:40:24,322 アメリカの介入によって 形勢は逆転。 278 00:40:24,322 --> 00:40:30,528 ドイツを次第に追い詰め 連合軍の勝利は確実となった。 279 00:40:35,500 --> 00:40:40,371 1945年4月。 280 00:40:40,371 --> 00:40:48,079 ルーズベルトは 1か月後のドイツ降伏を 見ることなく この世を去った。 281 00:40:48,079 --> 00:40:54,085 実に12年もの間 大統領を務めた。 282 00:41:13,338 --> 00:41:20,845 ルーズベルトの死によって リンドバーグに名誉回復の道が開かれた。 283 00:41:29,988 --> 00:41:34,659 リンドバーグは 空軍の特別顧問に就任。 284 00:41:34,659 --> 00:41:43,001 アメリカの国防に尽力し 1974年 72歳で亡くなった。 285 00:41:43,001 --> 00:41:48,506 ♬~ 286 00:41:48,506 --> 00:41:53,678 戦後もアメリカは 世界の戦争に関わり続け➡ 287 00:41:53,678 --> 00:41:57,548 軍事介入を繰り返した。 288 00:41:57,548 --> 00:42:03,855 そのたびに 国内では 激しい反対運動が巻き起こった。 289 00:42:06,257 --> 00:42:13,631 世界の平和維持のため アメリカは どう振る舞うべきなのか。 290 00:42:13,631 --> 00:42:16,934 今も揺れ続けている。 291 00:42:18,970 --> 00:42:26,677 2022年5月 バイデン大統領は ある法律に署名した。 292 00:42:35,420 --> 00:42:39,424 ウクライナなどへの 武器貸与法。 293 00:42:42,994 --> 00:42:51,335 第二次世界大戦終結とともに失効していた 武器貸与法。 294 00:42:51,335 --> 00:42:56,607 77年ぶりの復活だった。 295 00:42:56,607 --> 00:42:59,210 (砲声) 296 00:43:01,279 --> 00:43:07,151 第二次世界大戦で アメリカの参戦を 求め続けたチャーチルは➡ 297 00:43:07,151 --> 00:43:14,358 アメリカの 世界における役割について こんな言葉を残している。 298 00:44:10,615 --> 00:44:38,910 ♬~