1 00:00:00,901 --> 00:00:07,908 ♬~ 2 00:00:10,143 --> 00:00:12,379 延びる砂浜。 3 00:00:12,379 --> 00:00:15,749 広がる海は 大西洋。 4 00:00:15,749 --> 00:00:19,720 対岸のイギリスまでは 僅か150キロ。 5 00:00:19,720 --> 00:00:24,024 フランス北西部の ノルマンディー海岸である。 6 00:00:28,929 --> 00:00:31,832 今から ちょうど80年前。 7 00:00:31,832 --> 00:00:37,738 この海岸で 世界の行く末をかけた戦いが 繰り広げられた。 8 00:00:39,473 --> 00:00:43,343 (砲撃音) 9 00:00:43,343 --> 00:00:49,149 「史上最大の作戦」と呼ばれた ノルマンディー上陸作戦である。 10 00:00:55,989 --> 00:00:59,693 アメリカ イギリスを中心とした 連合軍が➡ 11 00:00:59,693 --> 00:01:02,996 フランス ノルマンディーの海岸を奇襲。 12 00:01:07,267 --> 00:01:12,472 ナチスドイツからヨーロッパを奪還する 足がかりを築いた。 13 00:01:15,642 --> 00:01:20,147 5,000隻の大艦隊 1万2,000の軍用機➡ 14 00:01:20,147 --> 00:01:25,953 そして 15万の兵員が投入された 史上最大の作戦だった。 15 00:01:40,167 --> 00:01:46,974 最前線の兵士たちの中には 初めて戦場を経験する者も数多くいた。 16 00:01:49,576 --> 00:01:54,181 扉が開いた瞬間 ドイツ軍の銃弾が襲う。 17 00:01:54,181 --> 00:01:56,883 身を守るものなどない。 18 00:01:56,883 --> 00:02:00,787 それでも兵士たちは 飛び出していった。 19 00:02:03,957 --> 00:02:07,160 (銃撃音) 20 00:02:49,102 --> 00:02:51,972 ♬~ 21 00:02:51,972 --> 00:02:56,309 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 22 00:02:56,309 --> 00:03:01,581 史上最大の作戦成功の陰に 何があったのか。 23 00:03:01,581 --> 00:03:09,022 情報戦と偶然 そして 名もなき人々の犠牲の記録である。 24 00:03:09,022 --> 00:03:19,633 ♬~ 25 00:03:21,334 --> 00:03:27,040 ♬~(ニュース音声) 26 00:03:34,714 --> 00:03:39,653 1944年1月 イギリスの港は➡ 27 00:03:39,653 --> 00:03:42,756 アメリカ軍の将兵であふれていた。 28 00:03:44,725 --> 00:03:50,330 ナチスドイツに占領されたフランスへの 上陸作戦の準備が始まった。 29 00:03:53,400 --> 00:03:58,271 イギリスに送り込まれた将兵は 総勢150万。 30 00:03:58,271 --> 00:04:03,777 大量の軍事物資も運ばれ 一大軍事基地と化す。 31 00:04:08,515 --> 00:04:10,450 この作戦を望んだのは➡ 32 00:04:10,450 --> 00:04:13,553 アメリカでも イギリスでもなかった。 33 00:04:15,255 --> 00:04:18,191 独ソ戦を戦っていたスターリンが➡ 34 00:04:18,191 --> 00:04:22,996 西側からドイツを攻撃し ドイツの兵力を二分するよう➡ 35 00:04:22,996 --> 00:04:25,499 2人に要請していた。 36 00:04:27,567 --> 00:04:30,904 チャーチルは反対だった。 37 00:04:30,904 --> 00:04:35,809 ソ連のために 危険な作戦に打って出る気はなかった。 38 00:04:37,444 --> 00:04:42,582 ところが ルーズベルトは スターリンの要求をのんだ。 39 00:04:42,582 --> 00:04:47,788 対日参戦を約束するソ連との関係を 重視した。 40 00:05:14,114 --> 00:05:19,119 作戦には さまざまな国の部隊が 参加することになった。 41 00:05:20,887 --> 00:05:24,257 イギリスやカナダ そして➡ 42 00:05:24,257 --> 00:05:28,461 ドイツに占領されたフランスの 将兵たちもいた。 43 00:05:34,234 --> 00:05:37,037 最高司令官に選ばれたのは➡ 44 00:05:37,037 --> 00:05:41,141 アメリカの ドワイト・アイゼンハワーだった。 45 00:06:00,126 --> 00:06:02,863 実戦経験は浅かったが➡ 46 00:06:02,863 --> 00:06:07,968 多国籍軍をまとめ上げる 高い調整能力を買われた。 47 00:06:11,037 --> 00:06:14,441 「アイク」の愛称で親しまれ➡ 48 00:06:14,441 --> 00:06:19,646 柔和な笑顔で 誰とでも良好な関係を築いた。 49 00:06:25,118 --> 00:06:30,223 アイゼンハワーを間近で見ていた イギリス人女性がいた。 50 00:06:32,692 --> 00:06:35,228 ケイ・サマーズビー。 51 00:06:35,228 --> 00:06:39,733 運転手兼秘書で 愛人でもあった。 52 00:06:42,969 --> 00:06:48,475 大統領との食事に同席を許されるほど 信頼されていた。 53 00:07:35,155 --> 00:07:40,460 連合軍は 上陸地点を ノルマンディーに決定した。 54 00:07:44,464 --> 00:07:48,268 まず 落下傘部隊が 東西に降下し➡ 55 00:07:48,268 --> 00:07:52,138 沿岸部の拠点や道路を 確保する。 56 00:07:52,138 --> 00:07:58,044 さらに 爆撃と艦砲射撃で 海岸にいるドイツ軍を無力化。 57 00:08:00,213 --> 00:08:04,484 ユタ オマハなどと名付けた 5つの砂浜に分かれ➡ 58 00:08:04,484 --> 00:08:06,986 上陸する計画だった。 59 00:08:10,223 --> 00:08:12,158 ♬~ 60 00:08:12,158 --> 00:08:16,663 上陸のための さまざまな新兵器も開発された。 61 00:08:20,767 --> 00:08:26,106 これは 水陸両用戦車の実験映像。 62 00:08:26,106 --> 00:08:30,710 戦車のまわりに 防水性の布を取り付けた。 63 00:08:53,700 --> 00:08:58,038 これは 砂浜の上を車両が通れるように➡ 64 00:08:58,038 --> 00:09:00,840 カーペットを敷く戦車。 65 00:09:05,712 --> 00:09:10,984 回転する鎖で地面をたたき 地雷を除去する戦車など➡ 66 00:09:10,984 --> 00:09:14,954 さまざまなアイデアが考案された。 67 00:09:14,954 --> 00:09:18,224 (爆発音) 68 00:09:18,224 --> 00:09:22,629 海岸から 敵陣を直接攻撃する➡ 69 00:09:22,629 --> 00:09:25,532 自走式の爆弾も 研究されたが➡ 70 00:09:25,532 --> 00:09:30,136 使い物にならず 実戦投入はされなかった。 71 00:09:41,714 --> 00:09:46,920 連合軍の動きは ドイツ側も察知していた。 72 00:09:46,920 --> 00:09:53,026 ヒトラーは 上陸を防ぐため 防衛拠点の建設を指示した。 73 00:09:57,697 --> 00:10:02,435 通称「大西洋の壁」。 74 00:10:02,435 --> 00:10:06,039 ノルウェーから フランスまでの海岸線に➡ 75 00:10:06,039 --> 00:10:08,908 南北2,700キロにわたって➡ 76 00:10:08,908 --> 00:10:12,712 コンクリート製のトーチカや 砲台を建設し➡ 77 00:10:12,712 --> 00:10:15,815 上陸を阻止しようとした。 78 00:10:54,988 --> 00:10:59,292 連合軍は ドイツに上陸地点を 悟られないようにする➡ 79 00:10:59,292 --> 00:11:02,729 情報戦を開始する。 80 00:11:02,729 --> 00:11:06,699 ドイツ側は 連合軍上陸の候補地の一つとして➡ 81 00:11:06,699 --> 00:11:09,502 ノルマンディーも警戒していた。 82 00:11:11,471 --> 00:11:15,141 連合軍は ドイツをかく乱し➡ 83 00:11:15,141 --> 00:11:18,578 イギリスから最も至近距離にある パ・ド・カレーに➡ 84 00:11:18,578 --> 00:11:21,581 警戒を集中させようとした。 85 00:11:23,383 --> 00:11:27,754 これは 偽装工作に使われた➡ 86 00:11:27,754 --> 00:11:32,358 空気で膨らむゴム製の兵器や戦車の映像。 87 00:11:35,495 --> 00:11:40,767 これを パ・ド・カレーの対岸に 大量に配置。 88 00:11:40,767 --> 00:11:43,503 偽の暗号通信を飛び交わせ➡ 89 00:11:43,503 --> 00:11:47,106 架空の大軍団をでっちあげた。 90 00:11:54,514 --> 00:11:59,385 情報戦のカギを握ったのは スパイたちだった。 91 00:11:59,385 --> 00:12:02,922 イギリスは 数多くのスパイを動員し➡ 92 00:12:02,922 --> 00:12:06,826 ドイツ占領下の国に送り込んでいた。 93 00:12:06,826 --> 00:12:09,929 最も活躍したといわれるスパイが… 94 00:12:16,436 --> 00:12:20,940 彼は 二重スパイだった。 95 00:12:20,940 --> 00:12:24,143 ドイツのスパイとして 活動するふりをしながら➡ 96 00:12:24,143 --> 00:12:28,648 実は イギリスの指示を受けて 偽の情報を流していた。 97 00:12:30,383 --> 00:12:33,953 戦後 初めて公の場に出た際の➡ 98 00:12:33,953 --> 00:12:36,556 インタビューが残されている。 99 00:13:11,791 --> 00:13:16,596 ガルボの偽情報は ドイツ軍に浸透していった。 100 00:13:20,733 --> 00:13:26,906 軍上層部は 連合軍の上陸地点の 第1候補をパ・ド・カレーとし➡ 101 00:13:26,906 --> 00:13:30,243 軍備を重点的に増強した。 102 00:13:30,243 --> 00:13:36,649 だが 最高司令官であるヒトラーの考えは 定まらなかった。 103 00:13:40,053 --> 00:13:46,159 そして 最も信頼する名将を 現地に派遣した。 104 00:13:57,003 --> 00:13:59,372 エルヴィン・ロンメル元帥。 105 00:13:59,372 --> 00:14:02,909 北アフリカ戦線で 連合軍を翻弄し➡ 106 00:14:02,909 --> 00:14:05,812 「砂漠の狐」の異名をとった。 107 00:14:08,748 --> 00:14:14,554 ロンメルは パ・ド・カレー以外の 地点からの上陸も警戒していた。 108 00:14:18,157 --> 00:14:21,561 ある日 連合軍は➡ 109 00:14:21,561 --> 00:14:25,965 ノルマンディーの海岸に 見慣れぬものを発見した。 110 00:14:28,034 --> 00:14:33,439 これは 偵察機が撮影した ノルマンディー海岸の写真。 111 00:14:35,141 --> 00:14:40,847 砂浜に 横一列に 黒い点が並んでいる。 112 00:14:42,882 --> 00:14:49,389 連合軍の上陸を阻止するため ロンメルが設置した障害物だった。 113 00:14:51,090 --> 00:14:54,961 棒の先には 爆弾が取り付けられ➡ 114 00:14:54,961 --> 00:14:58,631 満潮時に 海面の下に隠れ➡ 115 00:14:58,631 --> 00:15:03,736 上陸艇が接触すると 爆発する仕組みだった。 116 00:15:05,705 --> 00:15:10,910 さらに 沖合には無数の機雷を設置した。 117 00:15:13,413 --> 00:15:19,218 ロンメルは 空挺部隊による攻撃も 想定していた。 118 00:15:19,218 --> 00:15:21,721 川をせき止め➡ 119 00:15:21,721 --> 00:15:26,826 パラシュート降下に適した陸地を 水浸しにした。 120 00:16:04,397 --> 00:16:06,566 さらにロンメルは➡ 121 00:16:06,566 --> 00:16:11,003 ノルマンディー沿岸に置く 戦車部隊を増強しようとした。 122 00:16:11,003 --> 00:16:15,508 しかし 身内から異論があがった。 123 00:16:15,508 --> 00:16:19,512 陸軍首脳部は 戦車を内陸部に温存し➡ 124 00:16:19,512 --> 00:16:25,885 敵の上陸地点が判明してから 撃破すべきだと主張した。 125 00:16:25,885 --> 00:16:29,255 ヒトラーは 沿岸部と内陸部に分けて➡ 126 00:16:29,255 --> 00:16:32,925 戦車部隊を配置するという 妥協案を出す。 127 00:16:32,925 --> 00:16:34,927 そして 内陸部の戦車は➡ 128 00:16:34,927 --> 00:16:39,131 自分の命令なしでは 動かせないことにした。 129 00:16:39,131 --> 00:16:44,036 この決定が 後に 破滅をもたらすことになる。 130 00:17:12,031 --> 00:17:16,002 いつ 上陸作戦を決行すべきか。 131 00:17:16,002 --> 00:17:18,905 いくつかの条件があった。 132 00:17:21,407 --> 00:17:25,011 飛行機が敵陣に向かうときは暗く➡ 133 00:17:25,011 --> 00:17:29,415 兵士がパラシュートで降下するときには 月明かりがあること。 134 00:17:29,415 --> 00:17:33,119 つまり 月の出が遅いこと。 135 00:17:35,021 --> 00:17:37,990 ロンメルが設置した障害物を 避けるために➡ 136 00:17:37,990 --> 00:17:43,095 上陸作戦が始まる夜明けに 潮が引いていること。 137 00:17:45,665 --> 00:17:52,672 これらの条件に当てはまるのは 6月5日から7日の3日間だけだった。 138 00:17:54,740 --> 00:17:58,044 アイゼンハワーは 6月5日を➡ 139 00:17:58,044 --> 00:18:02,348 作戦決行日「Dデイ」と決めた。 140 00:18:08,421 --> 00:18:11,090 決行予定日前日。 141 00:18:11,090 --> 00:18:14,894 兵士たちは イギリス南部の港に集結。 142 00:18:14,894 --> 00:18:18,397 作戦開始の号令を待つばかりだった。 143 00:18:22,134 --> 00:18:28,541 しかし 連合軍司令部には 重苦しい空気が流れていた。 144 00:18:31,310 --> 00:18:33,612 気象予報によると➡ 145 00:18:33,612 --> 00:18:39,418 6月5日から 季節外れの悪天候になると分かったのだ。 146 00:18:43,222 --> 00:18:50,930 延期した場合 次に作戦が実施できるのは 最短でも2週間後。 147 00:18:50,930 --> 00:18:57,036 開始が遅れれば遅れるほど ドイツに情報が漏れる危険があった。 148 00:19:24,196 --> 00:19:26,198 ドイツ軍首脳部は➡ 149 00:19:26,198 --> 00:19:30,836 この悪天候の予報に警戒を緩めた。 150 00:19:30,836 --> 00:19:35,841 6月に入って 1機の哨戒機も出さないほどだった。 151 00:19:37,610 --> 00:19:41,347 ヒトラーも ノルマンディーから1,000キロ離れた➡ 152 00:19:41,347 --> 00:19:45,317 ドイツ南部の別荘に 滞在していた。 153 00:19:45,317 --> 00:19:50,022 愛人エヴァ・ブラウンの妹の 結婚パーティーに➡ 154 00:19:50,022 --> 00:19:52,425 出席するためだった。 155 00:19:56,228 --> 00:20:01,967 ロンメルは ノルマンディー近郊の 司令部を離れ ドイツに向かった。 156 00:20:01,967 --> 00:20:06,972 戦車の配置について ヒトラーと直談判するためだった。 157 00:20:10,676 --> 00:20:17,550 ここで 吉報がアイゼンハワーのもとに届く。 158 00:20:17,550 --> 00:20:20,419 低気圧の速度が落ち➡ 159 00:20:20,419 --> 00:20:26,826 36時間程度 天候が回復する可能性が出てきたのだ。 160 00:20:33,499 --> 00:20:36,469 アイゼンハワーは 賭けに出た。 161 00:20:36,469 --> 00:20:39,371 イギリス気象班の天気予報を信じ➡ 162 00:20:39,371 --> 00:20:42,641 予定より1日遅れの 6月6日に➡ 163 00:20:42,641 --> 00:20:46,145 作戦を決行すると 決断した。 164 00:20:47,980 --> 00:20:52,818 ドイツは この天候回復の予報を つかんでいなかった。 165 00:20:52,818 --> 00:20:57,223 原因は はるか北西の グリーンランドにあった。 166 00:21:08,300 --> 00:21:15,074 連合軍は グリーンランドに設置された ドイツ軍の観測所を破壊していた。 167 00:21:15,074 --> 00:21:20,479 そのため ドイツの予報は 精度を欠いていたのだ。 168 00:21:22,715 --> 00:21:29,555 天候回復の見通しを知らないロンメルは 帰国の途中 パリに立ち寄り➡ 169 00:21:29,555 --> 00:21:35,961 6月6日に誕生日を迎える妻のため 靴を購入した。 170 00:21:40,232 --> 00:21:45,504 同じ日 フランスに向けて イギリスBBCラジオから➡ 171 00:21:45,504 --> 00:21:48,807 奇妙なメッセージが放送された。 172 00:22:05,724 --> 00:22:10,663 詩人ヴェルレーヌの「秋の歌」の一節。 173 00:22:10,663 --> 00:22:15,467 48時間以内の上陸開始を 伝える暗号だった。 174 00:22:18,137 --> 00:22:22,841 フランスのレジスタンスは 一斉に行動を開始した。 175 00:22:26,912 --> 00:22:28,914 ♬~ 176 00:22:28,914 --> 00:22:35,854 これは 1946年に公開された 映画「鉄路の闘い」。 177 00:22:35,854 --> 00:22:39,558 レジスタンスたち自身が出演している。 178 00:22:54,240 --> 00:22:58,410 レジスタンスは イギリスの情報機関の指示のもと➡ 179 00:22:58,410 --> 00:23:01,714 鉄道や道路を破壊していった。 180 00:23:06,919 --> 00:23:12,925 ノルマンディーに向かう輸送路のうち 500か所以上が通行不能になった。 181 00:23:20,366 --> 00:23:24,770 実は ドイツ軍も この暗号を解読していた。 182 00:23:28,807 --> 00:23:32,711 しかし 悪天候を信じ込んでいた 司令官たちは➡ 183 00:23:32,711 --> 00:23:35,948 この情報を軽視する。 184 00:23:35,948 --> 00:23:42,054 ロンメルやノルマンディー地方の部隊に 警告を発することはなかった。 185 00:23:49,895 --> 00:23:56,902 これは 出発直前の空挺部隊を アイゼンハワーが訪れた映像である。 186 00:24:03,475 --> 00:24:09,615 先陣を切り 真夜中に敵地に降り立つ空挺部隊。 187 00:24:09,615 --> 00:24:12,017 決死の覚悟だった。 188 00:25:07,573 --> 00:25:13,245 Dデイの6月6日 0時15分。 189 00:25:13,245 --> 00:25:16,148 空挺部隊が降下を開始。 190 00:25:16,148 --> 00:25:20,119 ノルマンディー上陸作戦が始まった。 191 00:25:20,119 --> 00:25:24,623 これは Dデイを伝えた イギリスのニュース映像。 192 00:25:24,623 --> 00:25:28,494 敵陣での撮影など不可能な状況。 193 00:25:28,494 --> 00:25:32,398 訓練映像が多く混じっていると思われる。 194 00:25:36,135 --> 00:25:41,940 一方 これは ドイツ側が撮影した実際の映像。 195 00:25:41,940 --> 00:25:46,378 空挺部隊のパラシュートが 木に引っ掛かっている。 196 00:25:46,378 --> 00:25:50,315 風に流され 予定した位置への降下に失敗して➡ 197 00:25:50,315 --> 00:25:52,484 不時着。 198 00:25:52,484 --> 00:25:58,090 ロンメルがつくった沼に落ち 溺れ死んだ者も多くいた。 199 00:26:07,566 --> 00:26:09,568 無事に降り立った兵士たちは➡ 200 00:26:09,568 --> 00:26:14,339 一部の拠点や砲台を占拠することには 成功したが➡ 201 00:26:14,339 --> 00:26:17,709 大きな戦果はあげられなかった。 202 00:26:17,709 --> 00:26:23,015 初日だけで 2,500人以上が死傷した。 203 00:26:25,851 --> 00:26:29,521 沿岸部への爆撃も始まった。 204 00:26:29,521 --> 00:26:36,128 2,200機の爆撃機が 1万2,000トンの爆弾を投下。 205 00:26:36,128 --> 00:26:39,631 海岸のドイツ軍陣地のみならず➡ 206 00:26:39,631 --> 00:26:43,469 近隣の市街地もろとも破壊した。 207 00:26:43,469 --> 00:26:53,779 (爆撃音) 208 00:27:25,777 --> 00:27:31,617 (砲撃音) 209 00:27:31,617 --> 00:27:35,821 5,000隻の艦船が集結。 210 00:27:35,821 --> 00:27:40,225 夜明けとともに 艦砲射撃が始まった。 211 00:27:45,497 --> 00:27:49,168 しかし 霧のため視界が悪く➡ 212 00:27:49,168 --> 00:27:53,372 ドイツ軍陣地への打撃は 限定的だった。 213 00:27:58,277 --> 00:28:02,080 ドイツ軍に 十分な損害を与えられないまま➡ 214 00:28:02,080 --> 00:28:05,918 6時30分 アメリカ軍部隊が➡ 215 00:28:05,918 --> 00:28:10,822 最初の上陸地点 オマハビーチへの上陸を開始する。 216 00:28:14,326 --> 00:28:18,897 これは 上陸開始15分後に 撮影されたと思われる➡ 217 00:28:18,897 --> 00:28:20,899 オマハビーチの映像。 218 00:28:22,568 --> 00:28:25,337 (銃撃音) 219 00:28:25,337 --> 00:28:29,508 銃弾の雨が降り注ぐ中 船から飛び出し➡ 220 00:28:29,508 --> 00:28:32,911 兵士たちは海岸を目指す。 221 00:28:32,911 --> 00:28:38,350 爆弾が仕掛けられた障害物を避けるために 干潮時を選んだことで➡ 222 00:28:38,350 --> 00:28:42,154 海岸までは 数百メートルもあった。 223 00:28:47,593 --> 00:28:49,528 (銃撃音) 224 00:28:49,528 --> 00:28:55,334 重い荷物は 水を含んで さらに重さを増す。 225 00:28:55,334 --> 00:29:02,541 身動きが取れず 兵士たちは次々と銃弾の餌食となった。 226 00:29:07,546 --> 00:29:12,651 兵士たちが砂浜に倒れる様子も 捉えられている。 227 00:29:20,525 --> 00:29:22,527 (銃撃音) 228 00:29:50,922 --> 00:29:56,128 オマハビーチの惨状を目の当たりにした 写真家がいる。 229 00:29:56,128 --> 00:29:58,430 ロバート・キャパ。 230 00:30:00,699 --> 00:30:06,304 従軍カメラマンとして 兵士たちと共に オマハに上陸した。 231 00:30:12,144 --> 00:30:16,748 恐怖に震える手で シャッターを切り続けた。 232 00:30:57,422 --> 00:31:00,926 オマハビーチの攻撃第1波の死傷率は➡ 233 00:31:00,926 --> 00:31:04,763 実に90%に達した。 234 00:31:04,763 --> 00:31:09,468 「ブラッディ・オマハ 血まみれのオマハ」と呼ばれた。 235 00:31:12,537 --> 00:31:15,140 オマハの隣の ユタビーチでも➡ 236 00:31:15,140 --> 00:31:17,342 同時に戦闘が始まった。 237 00:31:20,479 --> 00:31:26,485 これは 機雷によって破壊された 駆逐艦コリーの映像。 238 00:31:28,920 --> 00:31:32,824 真っ二つに折れて 沈没した。 239 00:31:38,397 --> 00:31:45,003 ユタビーチで戦うアメリカ軍の新兵の中に 駆け出しの小説家がいた。 240 00:31:47,172 --> 00:31:51,309 戦後「ライ麦畑でつかまえて」を発表する➡ 241 00:31:51,309 --> 00:31:54,813 J・D・サリンジャーである。 242 00:31:54,813 --> 00:31:59,317 これが 初めて経験する戦場だった。 243 00:32:41,259 --> 00:32:44,729 一方 ドイツ軍の高官たちは➡ 244 00:32:44,729 --> 00:32:52,037 ノルマンディー攻撃の知らせが届いても 連合軍の陽動作戦であると信じ続けた。 245 00:32:54,105 --> 00:32:57,876 警戒態勢に入った パ・ド・カレー守備隊は➡ 246 00:32:57,876 --> 00:33:03,682 来ることのない連合軍主力部隊を 待ち続けていた。 247 00:33:07,552 --> 00:33:10,422 アメリカ軍から1時間ほど遅れて➡ 248 00:33:10,422 --> 00:33:14,726 イギリスとカナダの上陸部隊が 攻撃を始めた。 249 00:33:14,726 --> 00:33:18,730 これは ジュノービーチと思われる映像。 250 00:33:20,932 --> 00:33:25,136 海岸の建物は ドイツ軍によって要塞化されており➡ 251 00:33:25,136 --> 00:33:27,739 激しい戦闘が続いた。 252 00:33:32,878 --> 00:33:38,350 しかし 艦砲射撃と爆撃で 要塞の無力化に成功し➡ 253 00:33:38,350 --> 00:33:41,720 順調に上陸が進んだ。 254 00:33:41,720 --> 00:33:48,460 水陸両用戦車や地雷除去戦車が活躍し 内陸部へと進出していった。 255 00:33:48,460 --> 00:33:50,762 (銃撃音) 256 00:33:52,330 --> 00:33:56,134 (砲撃音) 257 00:33:58,236 --> 00:34:03,542 陽動作戦ではないことに気付いた ドイツ軍の現場指揮官たちは➡ 258 00:34:03,542 --> 00:34:07,445 内陸部の戦車部隊の出動を要請した。 259 00:34:10,882 --> 00:34:15,720 だが 戦車部隊は ヒトラーの命令がない限り動けない。 260 00:34:15,720 --> 00:34:18,456 不眠症に苦しんでいたヒトラーは➡ 261 00:34:18,456 --> 00:34:21,860 午前3時ごろに 眠りについたばかりだった。 262 00:34:23,628 --> 00:34:26,531 側近たちは起こすのをためらい➡ 263 00:34:26,531 --> 00:34:31,937 ヒトラーは何も知らされないまま 眠り続けた。 264 00:34:34,172 --> 00:34:39,010 これが 致命的な遅れとなった。 265 00:34:39,010 --> 00:34:45,617 内陸部の戦車部隊は この日 何の反撃もできなかった。 266 00:34:49,621 --> 00:34:54,459 このころ ロンメルは 妻とドイツの自宅にいた。 267 00:34:54,459 --> 00:35:00,365 急いでノルマンディーに向かったが 到着したのは夜更けだった。 268 00:35:14,446 --> 00:35:17,248 5つの海岸のうち オマハビーチは➡ 269 00:35:17,248 --> 00:35:19,551 苦戦を続けていた。 270 00:35:19,551 --> 00:35:25,657 艦砲射撃の効果が上がらず ドイツの兵力が健在だった。 271 00:35:25,657 --> 00:35:33,264 次々と増援を送り込んだが その度に救助船は死傷者であふれた。 272 00:35:34,933 --> 00:35:42,040 甚大な損害に 司令部は オマハからの撤退も考え始めた。 273 00:35:47,045 --> 00:35:51,649 戦局を動かしたのは 海軍の奮闘だった。 274 00:35:55,387 --> 00:35:59,357 (砲撃音) 275 00:35:59,357 --> 00:36:03,995 駆逐艦が 被弾覚悟で海岸に接近。 276 00:36:03,995 --> 00:36:07,499 ドイツの主力砲台を撃破した。 277 00:36:12,737 --> 00:36:17,242 上陸部隊も 決死の突撃を繰り返した。 278 00:36:49,607 --> 00:36:53,478 オマハビーチは ついに陥落。 279 00:36:53,478 --> 00:36:58,883 連合軍は 1日で 全ての海岸を制圧した。 280 00:37:07,826 --> 00:37:11,096 翌日 連合軍は➡ 281 00:37:11,096 --> 00:37:16,668 港のないノルマンディーに 人工の港をつくり始めた。 282 00:37:16,668 --> 00:37:22,273 瞬く間に 組み立て式の桟橋が つくられていった。 283 00:37:31,116 --> 00:37:33,918 圧倒的な物量を前に➡ 284 00:37:33,918 --> 00:37:39,424 ドイツ軍に もはや挽回の手だてはなかった。 285 00:37:39,424 --> 00:37:43,728 第二次世界大戦の趨勢は決した。 286 00:37:58,143 --> 00:38:02,313 アイゼンハワーは 5万人の損害も覚悟していたが➡ 287 00:38:02,313 --> 00:38:06,217 想定をはるかに下回る結果となった。 288 00:38:13,091 --> 00:38:17,395 上陸の成功は すぐさま世界に伝えられ➡ 289 00:38:17,395 --> 00:38:20,398 連合国は喜びに沸いた。 290 00:38:29,007 --> 00:38:35,313 しかし 勝利の陰で ほとんど語られなかった事実がある。 291 00:38:38,783 --> 00:38:46,691 連合軍は ドイツ軍の拠点を破壊するため 近隣の地区全体を爆撃していた。 292 00:38:51,329 --> 00:38:58,036 ノルマンディー上陸に伴う連合軍の攻撃で 亡くなったフランスの民間人は➡ 293 00:38:58,036 --> 00:39:01,239 3万5,000人に上った。 294 00:39:57,729 --> 00:39:59,731 ♬~ 295 00:40:06,271 --> 00:40:12,076 アイゼンハワーは 一躍 国民的英雄となった。 296 00:40:12,076 --> 00:40:14,345 妻と離婚し➡ 297 00:40:14,345 --> 00:40:17,649 サマーズビーと結婚しようとしたと いわれるが➡ 298 00:40:17,649 --> 00:40:22,553 政界進出の邪魔になると 周囲が反対した。 299 00:40:25,757 --> 00:40:32,964 8年後の1953年 アイゼンハワーは大統領に就任。 300 00:40:32,964 --> 00:40:37,769 共和党と民主党 双方から立候補の打診が来るほどの➡ 301 00:40:37,769 --> 00:40:40,772 圧倒的な人気を誇った。 302 00:40:45,610 --> 00:40:48,980 ノルマンディー上陸を果たした サリンジャーは➡ 303 00:40:48,980 --> 00:40:51,649 その後もドイツまで進軍。 304 00:40:51,649 --> 00:40:55,353 ドイツ降伏まで戦い続けた。 305 00:41:00,925 --> 00:41:06,664 しかし 戦闘は その精神を追い詰めていた。 306 00:41:06,664 --> 00:41:11,169 戦後 PTSDを発症し入院。 307 00:41:12,904 --> 00:41:18,543 アメリカに帰国後 有名作家となっても 人けのない郊外に住み➡ 308 00:41:18,543 --> 00:41:21,045 人を遠ざけた。 309 00:41:24,349 --> 00:41:28,653 サリンジャーは ノルマンディー上陸の1か月後に➡ 310 00:41:28,653 --> 00:41:31,255 短編を発表している。 311 00:41:32,990 --> 00:41:38,162 主人公は 出征直前の兵士。 312 00:41:38,162 --> 00:41:45,570 第一次世界大戦の思い出を 誇らしげに語る父親に こう反論する。 313 00:42:50,401 --> 00:42:53,938 ♬~ 314 00:42:53,938 --> 00:42:59,177 2023年7月 ノルマンディーの砂浜に➡ 315 00:42:59,177 --> 00:43:04,682 フランス大統領と 政府・軍関係者が集まった。 316 00:43:07,351 --> 00:43:10,588 かつて「ソードビーチ」と 呼ばれた海岸で➡ 317 00:43:10,588 --> 00:43:14,992 一人の元兵士の葬儀が執り行われた。 318 00:43:18,963 --> 00:43:22,867 レオン・ゴーティエさん 100歳。 319 00:43:25,837 --> 00:43:32,343 ノルマンディー上陸作戦に参加した フランス兵最後の生き残りだった。 320 00:43:37,915 --> 00:43:41,819 戦後 平和活動家となった ゴーティエさんは➡ 321 00:43:41,819 --> 00:43:46,324 次の世代に向けて こう語っていた。 322 00:44:07,078 --> 00:44:16,354 ♬~ 323 00:44:16,354 --> 00:44:37,341 ♬~