1 00:00:05,505 --> 00:00:08,308 ♬~ 2 00:00:26,193 --> 00:00:32,499 1972年 アメリカで 一人の男が国葬で弔われた。 3 00:00:32,499 --> 00:00:36,503 大統領でも軍人でもない 一介の公務員に対する➡ 4 00:00:36,503 --> 00:00:39,006 異例の扱いであった。 5 00:00:46,880 --> 00:00:50,517 アメリカ連邦捜査局 FBI長官の座に➡ 6 00:00:50,517 --> 00:00:54,154 実に48年の長きにわたって君臨した➡ 7 00:00:54,154 --> 00:00:56,924 ジョン・エドガー・フーバー。 8 00:00:56,924 --> 00:00:59,559 (発砲音) 9 00:00:59,559 --> 00:01:05,198 その生涯は 栄光と闇に包まれている。 10 00:01:05,198 --> 00:01:10,904 フーバーは 強力な捜査権限を武器に 全米で凶悪犯を検挙し➡ 11 00:01:10,904 --> 00:01:14,174 国民的英雄となった。 12 00:01:14,174 --> 00:01:18,378 (歓声) 13 00:01:27,721 --> 00:01:31,525 しかし フーバーには裏の顔があった。 14 00:01:33,193 --> 00:01:38,532 盗聴 盗撮など違法な捜査によって 市民の個人情報を集め➡ 15 00:01:38,532 --> 00:01:42,436 危険人物と見なした者を監視し続けた。 16 00:01:46,006 --> 00:01:50,444 その監視の目は 歴代のアメリカ大統領にも向けられ➡ 17 00:01:50,444 --> 00:01:52,412 そこで握った秘密を➡ 18 00:01:52,412 --> 00:01:55,015 フーバーは保身に利用した。 19 00:01:58,018 --> 00:02:02,022 女性関係を赤裸々に記した 極秘ファイルの存在に➡ 20 00:02:02,022 --> 00:02:04,925 大統領たちは おびえ続けた。 21 00:02:26,947 --> 00:02:30,283 ♬~ 22 00:02:30,283 --> 00:02:34,955 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 23 00:02:34,955 --> 00:02:39,526 大統領が恐れたモンスターは なぜ生まれたのか。 24 00:02:39,526 --> 00:02:45,198 自由の国アメリカの 秘密と嘘の物語である。 25 00:02:45,198 --> 00:02:57,411 ♬~ 26 00:02:59,212 --> 00:03:05,619 1932年 ある誘拐事件に アメリカは騒然となった。 27 00:03:31,678 --> 00:03:35,882 赤ん坊の父親は 大西洋横断飛行を成し遂げた… 28 00:03:39,386 --> 00:03:43,390 犯人は5万ドルの身代金を要求した。 29 00:03:52,499 --> 00:03:58,138 しかし 地元ニュージャージー州の警察は 身代金を奪われた上➡ 30 00:03:58,138 --> 00:04:01,541 犯人を取り逃がす大失態を演ずる。 31 00:04:04,377 --> 00:04:07,681 2か月後 リンドバーグ夫妻の赤ちゃんは➡ 32 00:04:07,681 --> 00:04:11,985 自宅近くの林の中から 遺体で見つかった。 33 00:04:16,490 --> 00:04:19,292 もはや州警察には任せられない。 34 00:04:19,292 --> 00:04:22,496 人々は 強力な捜査機関を求めた。 35 00:04:24,564 --> 00:04:26,933 その責任者に 抜てきされたのが➡ 36 00:04:26,933 --> 00:04:32,038 当時37歳 司法省捜査局長の フーバーだった。 37 00:04:36,009 --> 00:04:40,680 苦学して大学に進み 司法試験に合格したフーバーにとって➡ 38 00:04:40,680 --> 00:04:44,084 この事件はビッグチャンスだった。 39 00:04:50,724 --> 00:04:55,562 フーバーは 画期的な科学捜査を導入する。 40 00:04:55,562 --> 00:04:59,332 犯人が侵入に使ったハシゴの 製材のしかたから➡ 41 00:04:59,332 --> 00:05:02,135 持ち主を特定。 42 00:05:02,135 --> 00:05:07,040 筆跡鑑定も導入し 脅迫状を分析した。 43 00:05:10,610 --> 00:05:16,116 そして身代金の紙幣番号を調べ上げ その行方を追った。 44 00:05:21,588 --> 00:05:26,726 2年後 大工のハウプトマンが逮捕される。 45 00:05:26,726 --> 00:05:30,730 身代金に使われた紙幣を持っていた 疑いからだった。 46 00:05:34,301 --> 00:05:40,207 えん罪を疑う声も上がり 全米が裁判の行方に注目した。 47 00:05:53,186 --> 00:05:55,856 (木づちの音) 48 00:05:55,856 --> 00:05:59,626 判決は死刑。 49 00:05:59,626 --> 00:06:03,029 声が犯人に似ているという リンドバーグの証言が➡ 50 00:06:03,029 --> 00:06:05,432 重視された判決だった。 51 00:06:17,844 --> 00:06:22,949 この活躍が認められ 捜査局はFBIに格上げされる。 52 00:06:26,186 --> 00:06:29,990 フーバーは初代長官に就任した。 53 00:06:53,913 --> 00:06:58,318 当時は 大恐慌の直後で治安が悪化。 54 00:07:00,253 --> 00:07:04,557 ギャングが暗躍し 凶悪犯罪が多発していた。 55 00:07:10,997 --> 00:07:16,036 「社会の敵は我々が倒す」と フーバーは宣言。 56 00:07:16,036 --> 00:07:19,739 一人の大物ギャングに狙いを定めた。 57 00:07:28,615 --> 00:07:31,952 アメリカ中西部で 10以上の銀行を襲った➡ 58 00:07:31,952 --> 00:07:33,954 凶悪ギャングである。 59 00:07:37,190 --> 00:07:42,896 ディリンジャーは逮捕されるも脱獄し 警察を翻弄していた。 60 00:07:45,498 --> 00:07:54,107 ♬~ 61 00:08:08,655 --> 00:08:11,358 フーバーは執念深く捜査を続け➡ 62 00:08:11,358 --> 00:08:15,562 ついに 売春宿の経営者から 居場所をつかむ。 63 00:08:20,433 --> 00:08:24,137 映画館から出てくるディリンジャーを 待ち伏せし 射殺。 64 00:08:24,137 --> 00:08:27,741 遺体を市民に公開した。 65 00:08:30,010 --> 00:08:34,748 (歓声) 66 00:08:34,748 --> 00:08:38,351 ここから FBIの伝説が始まる。 67 00:08:40,053 --> 00:08:49,863 ♬~ 68 00:09:02,142 --> 00:09:04,077 Gメン! 69 00:09:04,077 --> 00:09:07,414 フーバーは自ら監修して➡ 70 00:09:07,414 --> 00:09:13,219 FBI捜査官 Gメンの活躍を描く PR映画を製作している。 71 00:09:13,219 --> 00:09:16,423 主役は フーバー自身である。 72 00:09:50,924 --> 00:09:55,195 正義の味方 FBIの顔を演じる フーバーは➡ 73 00:09:55,195 --> 00:09:57,697 子供が好きな有名人の 第2位に➡ 74 00:09:57,697 --> 00:09:59,999 ランクイン するまでになった。 75 00:10:20,587 --> 00:10:31,297 ♬~ 76 00:10:31,297 --> 00:10:36,703 しかしフーバーは 組織の内部には 全く別の顔を見せている。 77 00:10:38,972 --> 00:10:41,875 部下には絶対の忠誠を誓わせ➡ 78 00:10:41,875 --> 00:10:45,478 意見した者は たちまち冷遇された。 79 00:10:47,447 --> 00:10:51,351 そして 秘密のルールが数多く作られた。 80 00:11:22,282 --> 00:11:27,287 この時期 一人の若者が FBIに志願してきた。 81 00:11:31,591 --> 00:11:34,694 後に大統領になる人物である。 82 00:11:36,329 --> 00:11:39,198 しかし 結果は不採用。 83 00:11:39,198 --> 00:11:43,303 理由は 積極性に欠けるというものだった。 84 00:11:49,776 --> 00:11:53,146 フーバーは 更なる野望を膨らませていく。 85 00:11:53,146 --> 00:11:57,884 1936年 大統領ルーズベルトは➡ 86 00:11:57,884 --> 00:12:00,286 2選目を目指していた。 87 00:12:04,691 --> 00:12:08,361 FBIでフーバーの側近だった ウィリアム・サリバンは➡ 88 00:12:08,361 --> 00:12:10,964 こんな回想を残している。 89 00:12:58,678 --> 00:13:02,248 フーバーは 目標を切り替えた。 90 00:13:02,248 --> 00:13:08,054 目指したのは FBIを 絶対的な力を持つ存在にすることだった。 91 00:13:13,693 --> 00:13:16,496 まず推進したのは… 92 00:13:19,966 --> 00:13:22,468 全ての指紋を把握すれば➡ 93 00:13:22,468 --> 00:13:26,439 どんな犯人も たちどころに割り出せ 国を守れると➡ 94 00:13:26,439 --> 00:13:29,642 国民に指紋登録を呼びかけた。 95 00:13:36,916 --> 00:13:38,885 これは フーバーが➡ 96 00:13:38,885 --> 00:13:41,187 ガーナー副大統領ら 有名人から➡ 97 00:13:41,187 --> 00:13:43,389 指紋の提供を受ける映像である。 98 00:14:06,045 --> 00:14:08,581 PR効果は絶大。 99 00:14:08,581 --> 00:14:12,385 たちまち 800万を超える指紋情報が集められた。 100 00:14:21,728 --> 00:14:27,266 1940年 前の年に始まった第2次世界大戦が➡ 101 00:14:27,266 --> 00:14:30,169 フーバーをエスカレートさせていく。 102 00:14:30,169 --> 00:14:36,876 このとき ルーズベルト大統領は ナチスドイツとの戦いを見据えていた。 103 00:14:41,681 --> 00:14:47,220 しかし アメリカ国内に ナチスを礼賛する組織が相次いで生まれ➡ 104 00:14:47,220 --> 00:14:51,624 国内に多くのスパイが潜んでいることが 懸念されていた。 105 00:14:58,664 --> 00:15:01,634 FBIは 危険人物を監視し➡ 106 00:15:01,634 --> 00:15:06,439 その出自や思想 交友関係を調べ始める。 107 00:15:16,449 --> 00:15:20,720 フーバーがアメリカ国民に スパイの恐ろしさを呼びかける➡ 108 00:15:20,720 --> 00:15:23,923 スピーチのNG素材が残っている。 109 00:15:52,418 --> 00:15:57,723 威厳のある態度に見えるよう ディレクターのアドバイスに従っている。 110 00:16:01,828 --> 00:16:03,830 (スピーチ) 111 00:16:05,798 --> 00:16:09,068 (スピーチ) 112 00:16:09,068 --> 00:16:12,004 ♬~ 113 00:16:12,004 --> 00:16:15,708 こうして撮られたスピーチ映像である。 114 00:16:40,132 --> 00:16:43,035 このとき 国家の危機を理由に➡ 115 00:16:43,035 --> 00:16:47,840 フーバーはルーズベルトから 特別な捜査手法を許可された。 116 00:16:51,110 --> 00:16:54,614 電話の盗聴である。 117 00:16:54,614 --> 00:16:57,083 法律に抵触する違法捜査だが➡ 118 00:16:57,083 --> 00:17:02,388 スパイの疑いがある者に対しては 誰であれ盗聴が認められた。 119 00:17:09,662 --> 00:17:14,133 しかし 盗聴の対象は ルーズベルトの想定を超え➡ 120 00:17:14,133 --> 00:17:16,636 際限なく広がった。 121 00:17:22,808 --> 00:17:25,811 リベラルな活動で知られた大統領夫人➡ 122 00:17:25,811 --> 00:17:29,415 エレノア・ルーズベルトまでが 標的となった。 123 00:17:33,586 --> 00:17:39,091 これは FBIが極秘で開封していた エレノアの手紙である。 124 00:17:41,961 --> 00:17:46,866 送った相手は 25歳年下の左翼運動家。 125 00:17:48,501 --> 00:17:50,870 交友を危険視する 捜査は やがて➡ 126 00:17:50,870 --> 00:17:53,172 2人が不倫関係か どうかまで➡ 127 00:17:53,172 --> 00:17:55,574 執ように 探るようになる。 128 00:17:58,911 --> 00:18:04,717 エレノアは抗議したが ルーズベルト大統領が急死。 129 00:18:04,717 --> 00:18:09,822 そして 盗聴を行う権限は 戦後も残された。 130 00:18:16,262 --> 00:18:19,899 新たに大統領に就任した ハリー・トルーマンは➡ 131 00:18:19,899 --> 00:18:22,902 FBIの暴走を懸念していた。 132 00:18:48,260 --> 00:18:51,163 FBIの肥大化を恐れたトルーマンは➡ 133 00:18:51,163 --> 00:18:57,870 FBIに代わり 海外で諜報活動を行う CIAを新たに設立した。 134 00:19:00,806 --> 00:19:05,411 ライバル組織 CIAに 捜査記録を引き渡すよう求められると➡ 135 00:19:05,411 --> 00:19:10,316 フーバーは憤慨し 部下に記録を渡さないよう命じた。 136 00:19:14,653 --> 00:19:19,458 FBIの活動範囲は アメリカ国内に縮小された。 137 00:19:19,458 --> 00:19:24,363 しかし またしても フーバーに追い風が吹く。 138 00:19:27,233 --> 00:19:29,235 赤狩りである。 139 00:19:31,137 --> 00:19:34,273 冷戦の敵 ソ連が送り込むスパイが➡ 140 00:19:34,273 --> 00:19:37,376 新たな脅威として 浮上したのである。 141 00:19:43,015 --> 00:19:47,119 時代は再び フーバーの強権を求めた。 142 00:20:10,576 --> 00:20:15,815 FBIは 政府職員についても 身辺調査を開始。 143 00:20:15,815 --> 00:20:18,184 それに対し 連邦議会で➡ 144 00:20:18,184 --> 00:20:21,987 フーバーに 捜査内容の公開を求める声が上がった。 145 00:20:23,989 --> 00:20:27,493 しかしフーバーは 拒否した。 146 00:20:54,453 --> 00:20:59,258 このとき フーバーに急接近した人物がいた。 147 00:21:07,366 --> 00:21:10,369 赤狩りを牽引した… 148 00:21:12,772 --> 00:21:17,176 FBIを不採用になった男は 下院議員になっていた。 149 00:21:18,677 --> 00:21:23,115 ニクソンは FBIから提供された情報を利用して➡ 150 00:21:23,115 --> 00:21:26,118 赤狩りで全国に名をはせた。 151 00:21:52,211 --> 00:21:56,982 赤狩りが続く中 大統領はアイゼンハワーに代わる。 152 00:21:56,982 --> 00:21:59,885 アイゼンハワーは フーバーと➡ 153 00:21:59,885 --> 00:22:03,589 異例ともいえる蜜月関係を築いた。 154 00:22:26,011 --> 00:22:28,981 アイゼンハワーは フーバーの力を➡ 155 00:22:28,981 --> 00:22:32,284 政敵打倒のために利用しようとした。 156 00:23:05,284 --> 00:23:09,288 一方 フーバーも ただ利用されていたわけではない。 157 00:23:13,826 --> 00:23:19,164 アイゼンハワーが 運転手の女性と 不倫関係にあることを突き止め➡ 158 00:23:19,164 --> 00:23:23,168 ホテルの滞在記録を調べ上げていた。 159 00:23:29,642 --> 00:23:34,613 大統領についての秘密ファイルは フーバーの秘書が厳重に保管し➡ 160 00:23:34,613 --> 00:23:40,319 その存在を知る者は FBI内部でも ごく限られていたという。 161 00:23:45,624 --> 00:23:47,993 (歓声) 162 00:23:47,993 --> 00:23:52,431 1960年 史上最年少 43歳で➡ 163 00:23:52,431 --> 00:23:56,035 大統領に ジョン・F・ケネディが当選する。 164 00:23:59,938 --> 00:24:02,808 若きエリート大統領に フーバーは➡ 165 00:24:02,808 --> 00:24:06,512 当初から敵対心を隠さなかった。 166 00:24:14,420 --> 00:24:17,289 これは 第2次世界大戦中➡ 167 00:24:17,289 --> 00:24:21,593 FBIが ナチスのスパイ容疑で 監視していた女性である。 168 00:24:23,729 --> 00:24:28,567 海軍時代 ケネディは この女性と密会していた。 169 00:24:28,567 --> 00:24:32,871 FBIは 2人の会話を録音していた。 170 00:25:03,235 --> 00:25:06,238 ケネディは フーバーと二人きりの対話を避け➡ 171 00:25:06,238 --> 00:25:10,943 指示は 弟で司法長官の ロバートを通じて伝えた。 172 00:25:44,843 --> 00:25:50,416 ケネディは フーバーを 解任したがっていたといわれている。 173 00:25:50,416 --> 00:25:55,120 しかし 任期途中で暗殺された。 174 00:25:57,489 --> 00:26:00,059 ここからFBIの活動は➡ 175 00:26:00,059 --> 00:26:03,062 更にエスカレートしていく。 176 00:26:04,897 --> 00:26:07,266 1960年代➡ 177 00:26:07,266 --> 00:26:10,169 人種差別撤廃を目指す公民権運動が➡ 178 00:26:10,169 --> 00:26:13,172 全国的な高まりを見せていた。 179 00:26:16,341 --> 00:26:21,046 デモは時に過激化し 警官隊との衝突を繰り返した。 180 00:26:23,949 --> 00:26:28,353 フーバーは この運動は 共産主義者による扇動と考え➡ 181 00:26:28,353 --> 00:26:31,857 徹底的に弾圧しようとする。 182 00:26:35,661 --> 00:26:41,166 後に情報公開で明らかになった FBIの内部文書である。 183 00:26:43,202 --> 00:26:46,104 フーバーは 危険と見なしたグループには➡ 184 00:26:46,104 --> 00:26:49,908 FBIの側から 破壊工作を仕掛けるよう命じている。 185 00:26:51,743 --> 00:26:56,048 法を犯していなくても 危険と見なせば 破壊の対象となる。 186 00:27:00,018 --> 00:27:01,954 この極秘計画は➡ 187 00:27:01,954 --> 00:27:05,257 「コインテルプロ」と呼ばれた。 188 00:27:05,257 --> 00:27:08,026 FBIの活動は 脅迫や➡ 189 00:27:08,026 --> 00:27:10,262 スパイによる かく乱にまで➡ 190 00:27:10,262 --> 00:27:12,364 広がっていった。 191 00:27:15,100 --> 00:27:18,036 このコインテルプロの標的となったのが➡ 192 00:27:18,036 --> 00:27:22,341 公民権運動のリーダー キング牧師だった。 193 00:27:57,209 --> 00:28:01,847 ノーベル平和賞授賞式の直前 キング牧師のもとには➡ 194 00:28:01,847 --> 00:28:06,852 受賞の辞退を促す 差出人不明の脅迫状が送られた。 195 00:28:22,167 --> 00:28:26,038 手紙を送ったのは FBIだった。 196 00:28:26,038 --> 00:28:30,842 女性との密会を捉えた録音テープが 同封されていた。 197 00:28:32,711 --> 00:28:34,646 キングは この4年後➡ 198 00:28:34,646 --> 00:28:38,350 白人の狙撃犯により暗殺された。 199 00:28:43,355 --> 00:28:45,624 ♬~ 200 00:28:45,624 --> 00:28:47,559 更に FBIは➡ 201 00:28:47,559 --> 00:28:53,265 過激な主張をする黒人政治組織 ブラックパンサー党の壊滅をはかる。 202 00:28:57,369 --> 00:29:01,673 標的は 若者の間で カリスマとなっていたリーダーであった。 203 00:29:04,343 --> 00:29:09,214 (演説) 204 00:29:09,214 --> 00:29:13,418 (歓声) 205 00:29:15,420 --> 00:29:20,125 FBIは ブラックパンサーに スパイを送り込んだ。 206 00:29:24,763 --> 00:29:28,266 19歳の ウィリアム・オニールという若者が➡ 207 00:29:28,266 --> 00:29:31,169 車の窃盗の罪を 見逃す見返りに➡ 208 00:29:31,169 --> 00:29:34,172 リーダーの行動を 報告させられた。 209 00:29:38,910 --> 00:29:42,781 警察は 潜伏先のアパートで リーダーを射殺。 210 00:29:42,781 --> 00:29:45,784 正当防衛だったと発表した。 211 00:29:49,988 --> 00:29:52,891 このあと ブラックパンサーは➡ 212 00:29:52,891 --> 00:29:55,894 大きく弱体化する。 213 00:30:01,300 --> 00:30:03,335 20年後➡ 214 00:30:03,335 --> 00:30:07,472 そのいきさつを明かした オニールのインタビュー映像である。 215 00:30:07,472 --> 00:30:11,977 彼は 本当の目的を 知らされていなかった。 216 00:30:34,100 --> 00:30:38,003 インタビューで全てを暴露したあと➡ 217 00:30:38,003 --> 00:30:41,006 オニールは自殺した。 218 00:30:47,012 --> 00:30:50,882 ケネディ亡きあと 大統領に就任したジョンソンは➡ 219 00:30:50,882 --> 00:30:53,885 フーバーに 異例の待遇を与えた。 220 00:30:56,688 --> 00:31:02,494 70歳の定年を超えても 留任を認める大統領令を出した。 221 00:31:04,262 --> 00:31:07,766 ジョンソンもまた 過去の女性関係を➡ 222 00:31:07,766 --> 00:31:10,769 フーバーに握られていた。 223 00:31:29,921 --> 00:31:32,591 ♬~ 224 00:31:32,591 --> 00:31:35,994 そして 1969年➡ 225 00:31:35,994 --> 00:31:38,997 リチャード・ニクソンが大統領に就任する。 226 00:31:54,146 --> 00:31:56,214 (笑い声) 227 00:31:56,214 --> 00:31:59,818 FBIの最大の支持者が大統領となり➡ 228 00:31:59,818 --> 00:32:05,056 もはやフーバーの敵は 誰もいなくなったように見えた。 229 00:32:05,056 --> 00:32:07,058 しかし…。 230 00:32:09,561 --> 00:32:14,266 市民の中から フーバーに敢然と挑戦する者が現れた。 231 00:32:15,967 --> 00:32:18,937 フーバーが弾圧を続ける ベトナム反戦運動に➡ 232 00:32:18,937 --> 00:32:21,239 参加していた夫婦だった。 233 00:32:27,479 --> 00:32:29,881 大学で宗教学を教える… 234 00:32:32,184 --> 00:32:35,687 そして 保育園で働く… 235 00:32:38,957 --> 00:32:40,892 デモに行く度➡ 236 00:32:40,892 --> 00:32:44,329 誰かに 監視されていると感じていた2人は➡ 237 00:32:44,329 --> 00:32:48,333 それがFBIの仕業だと考えていた。 238 00:33:15,260 --> 00:33:20,165 2人は大胆にも 地元のFBI支部に忍び込む計画を練った。 239 00:33:26,204 --> 00:33:31,176 これは 2人の証言に基づいて 再現された映像である。 240 00:33:31,176 --> 00:33:36,882 妻のボニーが 就職希望者を装って 事務所を下見した。 241 00:34:12,284 --> 00:34:15,987 作戦決行には 特別な夜を選んだ。 242 00:34:17,956 --> 00:34:21,960 世紀の一戦 モハメド・アリ対 ジョー・フレージャーの生中継。 243 00:34:23,628 --> 00:34:28,133 誰もがテレビにかじりつき 街から人影が消える夜だった。 244 00:34:30,969 --> 00:34:33,872 試合が始まる夜10時すぎ。 245 00:34:33,872 --> 00:34:37,842 8人の市民が FBIのオフィスに侵入し➡ 246 00:34:37,842 --> 00:34:41,546 極秘ファイルを盗み出すことに成功した。 247 00:34:53,992 --> 00:34:56,895 ファイルは ワシントン・ポスト社に持ち込まれ➡ 248 00:34:56,895 --> 00:35:01,199 記者たちの取材によって 衝撃の事実が明らかとなる。 249 00:35:29,361 --> 00:35:34,199 1971年3月24日➡ 250 00:35:34,199 --> 00:35:38,903 FBIの違法捜査の内実が 克明に報道された。 251 00:35:44,642 --> 00:35:49,481 大学などの電話交換手には FBIの協力者が送り込まれ➡ 252 00:35:49,481 --> 00:35:54,285 急進的な考えの持ち主を 徹底マークしていた。 253 00:35:56,621 --> 00:36:02,027 ヒッピーの格好をしているだけで 反社会的な人物として監視されていた。 254 00:36:05,130 --> 00:36:08,033 FBIの監視の実態が次々と暴かれ➡ 255 00:36:08,033 --> 00:36:11,036 人々の怒りは爆発した。 256 00:36:28,987 --> 00:36:33,825 ♬~(「サンタが街にやってくる」の替え歌) 257 00:36:33,825 --> 00:36:49,641 ♬~ 258 00:36:49,641 --> 00:36:51,576 (拍手と歓声) 259 00:36:51,576 --> 00:36:56,881 アメリカ中で フーバーの辞任を求める声が上がった。 260 00:37:10,795 --> 00:37:21,506 ♬~ 261 00:37:26,411 --> 00:37:28,880 その1年後。 262 00:37:28,880 --> 00:37:32,684 フーバーは 突然 心臓発作で この世を去った。 263 00:37:34,385 --> 00:37:39,090 違法捜査については ついに何も語らなかった。 264 00:37:40,859 --> 00:37:42,794 ニクソンは 葬儀を➡ 265 00:37:42,794 --> 00:37:46,598 一介の公務員としては異例の国葬とした。 266 00:37:53,171 --> 00:37:56,875 ひつぎを運ぶために 屈強な軍人が選ばれたが➡ 267 00:37:56,875 --> 00:38:00,345 足元が ふらついている。 268 00:38:00,345 --> 00:38:03,248 共産主義者による攻撃に備え➡ 269 00:38:03,248 --> 00:38:07,051 ひつぎには 450キロの鉛が使われた。 270 00:38:15,927 --> 00:38:20,431 2人の軍人が ヘルニアになったと伝えられている。 271 00:38:38,049 --> 00:38:39,984 そのニクソンは➡ 272 00:38:39,984 --> 00:38:44,189 フーバーの死から2年後 辞任に追い込まれた。 273 00:38:45,790 --> 00:38:49,394 ライバル民主党の本部に 盗聴器を仕掛けた➡ 274 00:38:49,394 --> 00:38:52,597 ウォーターゲート事件が 発覚したのである。 275 00:38:55,099 --> 00:38:58,970 大統領執務室に ニクソンが 自ら仕掛けていたテープには➡ 276 00:38:58,970 --> 00:39:04,576 皮肉にも FBIに捜査の中止を命じる声が 録音されていた。 277 00:39:19,858 --> 00:39:24,662 しかし フーバーなきFBIは 応じなかった。 278 00:39:24,662 --> 00:39:27,565 この録音が司法妨害の証拠となり➡ 279 00:39:27,565 --> 00:39:30,568 ニクソンの政治生命は尽きた。 280 00:39:32,337 --> 00:39:34,973 フーバーの死から3年後➡ 281 00:39:34,973 --> 00:39:38,576 連邦議会で FBIへの追及が始まった。 282 00:39:40,278 --> 00:39:42,947 特に問題となったのは➡ 283 00:39:42,947 --> 00:39:46,951 法を犯してもいない市民を 攻撃していた極秘計画➡ 284 00:39:46,951 --> 00:39:49,153 コインテルプロである。 285 00:40:51,349 --> 00:40:53,851 新たな法律が定められ➡ 286 00:40:53,851 --> 00:40:58,222 今後 FBIが盗聴などで 個人情報を収集する場合には➡ 287 00:40:58,222 --> 00:41:02,226 裁判所の令状を取ることが 義務付けられた。 288 00:41:08,833 --> 00:41:11,502 ♬~ 289 00:41:11,502 --> 00:41:14,205 しかし 2013年。 290 00:41:23,848 --> 00:41:27,185 アメリカ国家安全保障局 NSAが➡ 291 00:41:27,185 --> 00:41:32,190 テロ対策の名目で 無許可で 盗聴を行っていたことが明らかになった。 292 00:41:39,897 --> 00:41:42,033 …を合言葉に➡ 293 00:41:42,033 --> 00:41:46,437 一般市民のメールや電話が 政府に監視されていた。 294 00:41:48,439 --> 00:41:51,342 IT企業も協力したといわれるが➡ 295 00:41:51,342 --> 00:41:54,345 詳細は分かっていない。 296 00:41:58,449 --> 00:42:01,185 (拍手) 297 00:42:01,185 --> 00:42:05,056 事件発覚直後 NSA長官が市民に➡ 298 00:42:05,056 --> 00:42:09,260 情報収集の必要性を訴える映像である。 299 00:42:40,324 --> 00:42:43,361 現在まで アメリカの政府機関は➡ 300 00:42:43,361 --> 00:42:47,498 市民の情報を どの範囲まで収集しているのか➡ 301 00:42:47,498 --> 00:42:50,301 明らかにしていない。 302 00:42:52,336 --> 00:42:57,442 フーバーの死後 FBI本部ビルには 新たな名前が付けられた。 303 00:42:59,877 --> 00:43:04,081 「J・エドガー・フーバー FBIビル」。 304 00:43:12,490 --> 00:43:15,493 フーバーは 亡くなる直前のインタビューで➡ 305 00:43:15,493 --> 00:43:18,996 こんな言葉を残している。 306 00:43:53,998 --> 00:43:58,836 ところで 歴代大統領の情報を集めた トップシークレット・ファイルは➡ 307 00:43:58,836 --> 00:44:01,806 どうなったのか? 308 00:44:01,806 --> 00:44:06,911 フーバーの死後 秘書が数日がかりで 処分したともいわれるが➡ 309 00:44:06,911 --> 00:44:12,717 その多くは 行方知れずである。 310 00:44:12,717 --> 00:44:38,910 ♬~