1 00:00:00,934 --> 00:00:11,511 ♬~ 2 00:00:11,511 --> 00:00:17,651 宇宙に浮かぶ 国際宇宙ステーションや 人工衛星。 3 00:00:17,651 --> 00:00:24,057 そのカメラは この地球上で起きる 出来事を見つめている。 4 00:00:25,893 --> 00:00:32,399 2001年 アメリカ同時多発テロで倒壊した ビルの煙。 5 00:00:34,535 --> 00:00:36,770 2015年に襲った➡ 6 00:00:36,770 --> 00:00:40,173 観測史上最大と いわれる… 7 00:00:43,210 --> 00:00:49,750 人工衛星は 時代の全てを 記録するようになった。 8 00:00:49,750 --> 00:00:59,326 ♬~ 9 00:00:59,326 --> 00:01:01,595 2008年。 10 00:01:01,595 --> 00:01:06,934 国際宇宙ステーションに 一冊の本が届けられた。 11 00:01:06,934 --> 00:01:08,936 (シャッター音) 12 00:01:13,807 --> 00:01:19,012 150年以上前に書かれた このSF小説が➡ 13 00:01:19,012 --> 00:01:23,617 人々を 宇宙への夢に駆り立てた。 14 00:01:26,820 --> 00:01:33,493 ヴェルヌの小説のとりこになった一人 ドイツの科学者 フォン・ブラウン。 15 00:01:33,493 --> 00:01:38,231 ロケット開発の場を求め ナチスに入党。 16 00:01:38,231 --> 00:01:42,102 戦犯を免れ 戦後はアメリカに渡り➡ 17 00:01:42,102 --> 00:01:45,606 アポロ計画を指揮した。 18 00:01:53,847 --> 00:01:59,019 一方 アメリカと 激しくしのぎを削る ソ連には➡ 19 00:01:59,019 --> 00:02:04,725 生涯 その存在を隠され続けた 英雄がいた。 20 00:02:14,067 --> 00:02:19,873 2人の天才科学者の頭脳と執念が 国家を動かし➡ 21 00:02:19,873 --> 00:02:24,077 宇宙開発を 飛躍的に進歩させた。 22 00:02:28,081 --> 00:02:32,919 私たちは なぜ こんな世界に住んでいるのか。 23 00:02:32,919 --> 00:02:41,428 歴史の知られざる連鎖をたどる 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 24 00:02:41,428 --> 00:02:46,266 人類のフロンティアを 果てしなく広げることになった➡ 25 00:02:46,266 --> 00:02:50,370 2人の科学者の物語である。 26 00:03:01,481 --> 00:03:08,789 20世紀 飛行船や鉄道が登場し 科学技術が花開いた。 27 00:03:10,490 --> 00:03:15,996 出来たばかりの映画館で 一本の映画が公開された。 28 00:03:20,067 --> 00:03:23,770 世界初のSF映画… 29 00:03:27,174 --> 00:03:33,880 人間が 巨大な大砲に乗って 月を目指す物語である。 30 00:03:36,850 --> 00:03:39,653 見たこともない月の風景は➡ 31 00:03:39,653 --> 00:03:42,422 観客を熱狂させた。 32 00:03:42,422 --> 00:03:47,961 ♬~ 33 00:03:47,961 --> 00:03:50,831 原作となった小説を書いたのは➡ 34 00:03:50,831 --> 00:03:54,434 フランスの作家 ジュール・ヴェルヌ。 35 00:03:57,604 --> 00:04:01,007 …を書いたベストセラー作家である。 36 00:04:02,909 --> 00:04:05,178 その小説の魅力は➡ 37 00:04:05,178 --> 00:04:09,983 最先端の科学を 巧みに取り入れたことにある。 38 00:04:11,885 --> 00:04:15,589 これは ヴェルヌ直筆の… 39 00:04:18,091 --> 00:04:22,395 端々に 計算式が書き込まれている。 40 00:04:25,565 --> 00:04:30,203 地球の重力を脱するために 必要な速度は? 41 00:04:30,203 --> 00:04:33,907 月まで 何日かかるのか? 42 00:04:50,991 --> 00:04:56,796 「月世界旅行」は 若者を宇宙への夢に駆り立て➡ 43 00:04:56,796 --> 00:05:03,036 ロケットを 実際に作ろうとする者が 世界各地に現れた。 44 00:05:03,036 --> 00:05:08,275 これは アメリカで行われた ロケット実験の映像。 45 00:05:08,275 --> 00:05:11,244 世界で初めて 火薬ではなく➡ 46 00:05:11,244 --> 00:05:16,449 液体燃料を使ったロケットを製作した。 47 00:05:18,251 --> 00:05:22,055 (爆発音) 48 00:05:22,055 --> 00:05:27,294 達した高度は 僅か12mだったが➡ 49 00:05:27,294 --> 00:05:31,798 宇宙への第一歩が 刻まれた瞬間だった。 50 00:05:33,767 --> 00:05:36,169 (爆発音) 51 00:05:38,071 --> 00:05:40,774 最も大きなロケットブームが 起こったのは➡ 52 00:05:40,774 --> 00:05:42,776 ドイツだった。 53 00:05:48,548 --> 00:05:55,355 これは ロケットエンジンを搭載した車 ロケットカーの映像。 54 00:05:55,355 --> 00:06:00,260 最高時速は 230km。 55 00:06:02,028 --> 00:06:05,565 大手自動車会社 OPELの協力で➡ 56 00:06:05,565 --> 00:06:07,567 製造された。 57 00:06:09,502 --> 00:06:11,705 更に… 58 00:06:17,477 --> 00:06:21,581 ロケットアイススケートまで登場した。 59 00:06:24,651 --> 00:06:32,726 宇宙旅行を目指す研究者が集まり 宇宙旅行協会が設立された。 60 00:06:32,726 --> 00:06:40,934 当初7人だった会員は 僅か1年で 500人に膨れ上がった。 61 00:06:43,370 --> 00:06:46,973 アマチュアながら 手作りのロケットで➡ 62 00:06:46,973 --> 00:06:50,477 高度1,600mを記録した。 63 00:06:52,779 --> 00:06:57,751 その中に 人一倍 宇宙への情熱をたぎらせる➡ 64 00:06:57,751 --> 00:07:01,054 18歳の大学生がいた。 65 00:07:04,257 --> 00:07:09,663 彼もまた ヴェルヌの「月世界旅行」を 読んでいた。 66 00:07:31,051 --> 00:07:35,822 フォン・ブラウンは 当時 封切られた 一本の映画を見て➡ 67 00:07:35,822 --> 00:07:38,825 更に宇宙熱を高めた。 68 00:07:41,594 --> 00:07:47,534 ドイツで大ヒットした 本格的なSF映画である。 69 00:07:47,534 --> 00:07:50,837 この映画がきっかけで広まった➡ 70 00:07:50,837 --> 00:07:54,040 発射前のカウントダウン。 71 00:07:56,276 --> 00:08:01,781 未来を先取りした映画に フォン・ブラウンは夢中になった。 72 00:08:05,318 --> 00:08:08,855 宇宙旅行協会に入会すると➡ 73 00:08:08,855 --> 00:08:14,761 優れた頭脳と あふれる情熱で 中心メンバーとなった。 74 00:08:17,130 --> 00:08:24,938 このころ ドイツでは ナチスが 急速に勢力を拡大していた。 75 00:08:24,938 --> 00:08:28,375 若者たちの抱いた宇宙への夢は➡ 76 00:08:28,375 --> 00:08:32,278 国家の野望に のみ込まれていく。 77 00:08:34,948 --> 00:08:39,486 ロケットとミサイルは 原理的には ほとんど同じ。 78 00:08:39,486 --> 00:08:42,689 宇宙空間を そのまま飛び続けるか➡ 79 00:08:42,689 --> 00:08:47,527 敵地に落下させるかの 違いである。 80 00:08:47,527 --> 00:08:53,099 第一次大戦に敗れ 兵器開発を制限されていたドイツは➡ 81 00:08:53,099 --> 00:08:58,038 新技術 ロケットに 活路を見いだしたのだった。 82 00:08:58,038 --> 00:09:03,877 ドイツ陸軍は 宇宙旅行協会に 資金援助を申し出て➡ 83 00:09:03,877 --> 00:09:07,113 ミサイル開発を打診する。 84 00:09:07,113 --> 00:09:12,352 だが メンバーは兵器開発を拒否した。 85 00:09:12,352 --> 00:09:16,222 しかし ただ一人 フォン・ブラウンだけが➡ 86 00:09:16,222 --> 00:09:19,526 その申し出を受け入れた。 87 00:09:40,480 --> 00:09:45,618 1937年 ミサイル開発を専門とする➡ 88 00:09:45,618 --> 00:09:50,190 ペーネミュンデ実験場がつくられた。 89 00:09:50,190 --> 00:09:57,664 フォン・ブラウンは 25歳の若さで 技術責任者に就任した。 90 00:09:57,664 --> 00:10:01,101 これは 海に落下したロケットを回収する➡ 91 00:10:01,101 --> 00:10:04,137 技術者たちの映像。 92 00:10:04,137 --> 00:10:07,740 画面中央 ひときわ体格のいい男性が➡ 93 00:10:07,740 --> 00:10:10,710 フォン・ブラウンと見られる。 94 00:10:10,710 --> 00:10:12,712 (砲声) 95 00:10:12,712 --> 00:10:18,818 1939年 ナチスドイツは ポーランドに侵攻。 96 00:10:22,355 --> 00:10:29,429 ドイツ軍は 射程距離270kmを超える 強力なミサイル開発を➡ 97 00:10:29,429 --> 00:10:32,966 フォン・ブラウンに求めた。 98 00:10:32,966 --> 00:10:35,869 しかし 開発は難航した。 99 00:10:35,869 --> 00:10:39,739 出力の大きいエンジンの制御が難しく➡ 100 00:10:39,739 --> 00:10:43,943 数十回にわたって失敗。 101 00:10:43,943 --> 00:10:49,149 ついには 開発資金が削減される 事態となった。 102 00:10:51,684 --> 00:10:57,490 一計を案じた フォン・ブラウンは ヒトラーのもとを訪れた。 103 00:10:57,490 --> 00:11:02,862 成功した実験だけをまとめた映像を ヒトラーに見せ➡ 104 00:11:02,862 --> 00:11:06,966 開発の継続を 訴えた。 105 00:11:09,202 --> 00:11:14,507 これは その時 上映されたとみられる 貴重なフィルム。 106 00:11:14,507 --> 00:11:17,510 フォン・ブラウンは スクリーンの横に立ち➡ 107 00:11:17,510 --> 00:11:20,513 自ら ナレーションを読み上げた。 108 00:11:49,709 --> 00:11:52,111 映像を見終わったヒトラーは➡ 109 00:11:52,111 --> 00:11:55,114 興奮状態だったという。 110 00:12:20,673 --> 00:12:27,213 ヒトラーは 研究資金の継続を認め ミサイル兵器は完成した。 111 00:12:27,213 --> 00:12:29,182 (発射音) 112 00:12:29,182 --> 00:12:33,987 ミサイルは 「報復」 「Vergeltung」の頭文字を取り➡ 113 00:12:33,987 --> 00:12:37,624 V2ロケットと命名された。 114 00:12:37,624 --> 00:12:41,427 ♬~ 115 00:12:41,427 --> 00:12:48,501 その胴体に フォン・ブラウンは あるイラストを描かせた。 116 00:12:48,501 --> 00:12:53,640 月に腰掛ける女性と ロケットのイラスト。 117 00:12:53,640 --> 00:12:57,410 フォン・ブラウンを 宇宙へ駆り立てた映画➡ 118 00:12:57,410 --> 00:13:01,414 「月世界の女」のイラストだった。 119 00:13:05,084 --> 00:13:11,024 これは V2ロケットに カメラを取り付けて撮影した映像。 120 00:13:11,024 --> 00:13:14,861 到達高度は 100kmを超えた。 121 00:13:14,861 --> 00:13:17,964 V2は 世界で初めて➡ 122 00:13:17,964 --> 00:13:22,769 宇宙空間に到達した人工物となった。 123 00:13:47,960 --> 00:13:52,332 V2ロケットは ロンドンや パリなどに向け➡ 124 00:13:52,332 --> 00:13:58,237 3,000発が発射され 9,000の命を奪った。 125 00:14:09,082 --> 00:14:11,484 (爆発音) 126 00:14:17,757 --> 00:14:24,364 アメリカとソ連は ナチスドイツの 科学者の争奪戦を繰り広げる。 127 00:14:28,801 --> 00:14:32,572 フォン・ブラウンが選んだのは アメリカだった。 128 00:14:32,572 --> 00:14:38,378 降伏の3か月前 ミサイルの部品や 研究資料を列車に積み込み➡ 129 00:14:38,378 --> 00:14:41,380 ペーネミュンデを抜け出した。 130 00:14:46,652 --> 00:14:50,323 アメリカに投降した時の映像である。 131 00:14:50,323 --> 00:14:53,025 敗戦国の人間とは 思えない➡ 132 00:14:53,025 --> 00:14:56,629 不敵な笑みを 浮かべている。 133 00:15:23,790 --> 00:15:27,293 これは フォン・ブラウンが研究を行っていた➡ 134 00:15:27,293 --> 00:15:32,799 ペーネミュンデ実験場の 終戦直後の映像。 135 00:15:32,799 --> 00:15:35,835 フォン・ブラウンを アメリカに奪われたソ連は➡ 136 00:15:35,835 --> 00:15:41,307 この実験場を しらみつぶしに捜索した。 137 00:15:41,307 --> 00:15:43,242 捜査の責任者は➡ 138 00:15:43,242 --> 00:15:47,747 工学者 セルゲイ・コロリョフ 38歳。 139 00:15:49,482 --> 00:15:51,818 コロリョフは ソ連初の➡ 140 00:15:51,818 --> 00:15:55,988 液体燃料ロケットを 打ち上げた実績を持つ➡ 141 00:15:55,988 --> 00:15:58,991 この道の第一人者だった。 142 00:16:04,263 --> 00:16:08,935 しかし 大戦中は不遇だった。 143 00:16:08,935 --> 00:16:14,273 スターリンの大粛清の時代 コロリョフも標的にされ➡ 144 00:16:14,273 --> 00:16:20,079 6年間 強制収容所などでの生活を 余儀なくされた。 145 00:16:23,282 --> 00:16:27,453 これは… 146 00:16:27,453 --> 00:16:33,659 収容所でも 宇宙への夢を 諦めなかったことがうかがえる。 147 00:16:36,162 --> 00:16:42,468 終戦の前年 コロリョフは釈放され 研究に復帰した。 148 00:16:42,468 --> 00:16:48,274 V2ロケット分析のため 専門家が必要になったからだった。 149 00:16:50,109 --> 00:16:55,915 これは コロリョフが V2をソビエトに持ち帰る映像。 150 00:16:55,915 --> 00:17:02,121 ドイツ中から 部品や設計図を 根こそぎかき集め 帰国した。 151 00:17:03,789 --> 00:17:08,427 その情報をもとに V2をコピーしようとした。 152 00:17:08,427 --> 00:17:11,931 設計図がない部分は 独自に考え➡ 153 00:17:11,931 --> 00:17:17,136 部品も ソ連国内で調達できるよう 作り替えた。 154 00:17:19,071 --> 00:17:21,007 そして 僅か3年で➡ 155 00:17:21,007 --> 00:17:26,012 V2を改良したRー1ロケットを 作り上げた。 156 00:17:30,616 --> 00:17:34,487 一方 アメリカに渡った フォン・ブラウンは➡ 157 00:17:34,487 --> 00:17:38,090 思うような仕事に 恵まれなかった。 158 00:17:38,090 --> 00:17:43,896 ナチスに協力した科学者への警戒は 根強かった。 159 00:17:46,832 --> 00:17:49,302 アルバート・アインシュタインが➡ 160 00:17:49,302 --> 00:17:53,606 大統領に送った手紙が残されている。 161 00:18:17,263 --> 00:18:19,198 (砲声) 162 00:18:19,198 --> 00:18:22,601 そんなフォン・ブラウンに 追い風となったのは➡ 163 00:18:22,601 --> 00:18:25,504 朝鮮戦争の勃発だった。 164 00:18:25,504 --> 00:18:27,473 冷戦が激化する中➡ 165 00:18:27,473 --> 00:18:33,079 アメリカに 過去を問うている余裕はなかった。 166 00:18:33,079 --> 00:18:37,450 フォン・ブラウンは 陸軍のミサイル開発を任され➡ 167 00:18:37,450 --> 00:18:40,753 第一線に返り咲いたのである。 168 00:18:52,631 --> 00:18:57,803 フォン・ブラウンは この機を逃さず アメリカへの忠誠を誓い➡ 169 00:18:57,803 --> 00:19:00,773 イメージアップを図る。 170 00:19:00,773 --> 00:19:03,042 これは フォン・ブラウンが➡ 171 00:19:03,042 --> 00:19:07,647 アメリカ市民権を 獲得した時の映像。 172 00:19:22,261 --> 00:19:26,132 1954年に撮影された写真。 173 00:19:26,132 --> 00:19:30,636 一緒に写っているのは ウォルト・ディズニーである。 174 00:19:32,605 --> 00:19:35,508 これは 当時 建設中だった➡ 175 00:19:35,508 --> 00:19:39,211 ディズニーランドを宣伝する番組。 176 00:19:40,946 --> 00:19:44,784 ディズニーランドには 宇宙を題材にしたエリアが➡ 177 00:19:44,784 --> 00:19:47,820 建設されることになった。 178 00:19:47,820 --> 00:19:51,290 そのPRのために フォン・ブラウンは➡ 179 00:19:51,290 --> 00:19:56,095 番組出演に駆り出され 一躍 有名人になった。 180 00:20:13,546 --> 00:20:18,517 変わり身の早いフォン・ブラウンを 批判する者も多かった。 181 00:20:18,517 --> 00:20:23,222 ユダヤ系のシンガーソングライター トム・レーラーが歌う➡ 182 00:20:23,222 --> 00:20:26,225 その名も… 183 00:20:28,060 --> 00:20:55,020 ♬~ 184 00:20:55,020 --> 00:20:57,523 (拍手) 185 00:20:59,525 --> 00:21:05,965 ソ連のコロリョフは 兵器開発の中心人物となっていた。 186 00:21:05,965 --> 00:21:10,636 コロリョフの夢もまた 宇宙への挑戦だったが➡ 187 00:21:10,636 --> 00:21:15,307 開発したロケットには 核弾頭が搭載される。 188 00:21:15,307 --> 00:21:20,813 宇宙への夢は 大量破壊兵器に姿を変えた。 189 00:21:22,648 --> 00:21:28,320 更に 世界初の 大陸間弾道ミサイルを生み出した。 190 00:21:28,320 --> 00:21:30,990 射程距離は8,800km。 191 00:21:30,990 --> 00:21:34,693 アメリカ全土が 射程内だった。 192 00:21:37,663 --> 00:21:41,534 これは 当時の最高指導者 フルシチョフが➡ 193 00:21:41,534 --> 00:21:45,137 ミサイル基地を 訪れた時の映像。 194 00:21:45,137 --> 00:21:47,673 コロリョフは フルシチョフに➡ 195 00:21:47,673 --> 00:21:51,977 本来の夢実現のための 提案をした。 196 00:22:00,319 --> 00:22:05,090 フルシチョフは ミサイル研究が 遅れないことを条件に➡ 197 00:22:05,090 --> 00:22:07,993 打ち上げを許可した。 198 00:22:07,993 --> 00:22:13,299 世界初の人工衛星 スプートニク1号である。 199 00:22:15,301 --> 00:22:21,307 打ち上げの前日 コロリョフが 妻に宛てた手紙が残されている。 200 00:22:48,667 --> 00:22:54,006 スプートニク1号は 打ち上げに成功。 201 00:22:54,006 --> 00:22:55,941 (発信音) 202 00:22:55,941 --> 00:23:00,813 宇宙から送り出された この発信音を 人々が無線で聞き➡ 203 00:23:00,813 --> 00:23:04,817 ソ連の名声は 一夜にして高まった。 204 00:23:08,520 --> 00:23:14,026 しかし コロリョフの名が 世に知られることはなかった。 205 00:23:15,794 --> 00:23:22,301 暗殺を恐れたソ連が 正体を隠すように指示したのだ。 206 00:23:22,301 --> 00:23:26,805 コロリョフは 同志チーフデザイナー氏 と呼ばれ➡ 207 00:23:26,805 --> 00:23:31,810 ソ連の宇宙開発を 陰から指揮していくことになる。 208 00:23:34,113 --> 00:23:38,651 一方 アメリカでは ソ連に後れを取ったことに➡ 209 00:23:38,651 --> 00:23:41,353 激しい動揺が走った。 210 00:23:44,456 --> 00:23:47,993 フォン・ブラウンも 悔しさをあらわにして➡ 211 00:23:47,993 --> 00:23:51,196 上官にこう語った。 212 00:24:04,476 --> 00:24:09,281 これは キッチン・ディベートと呼ばれる 討論の映像。 213 00:24:09,281 --> 00:24:13,619 モスクワで行われた アメリカ産業博覧会で➡ 214 00:24:13,619 --> 00:24:16,455 資本主義の豊かさをアピールする➡ 215 00:24:16,455 --> 00:24:18,390 副大統領ニクソンを➡ 216 00:24:18,390 --> 00:24:21,193 フルシチョフは あざ笑った。 217 00:24:56,128 --> 00:24:59,331 遅れを挽回するために アメリカは➡ 218 00:24:59,331 --> 00:25:06,138 宇宙開発を一手に担う NASAを設立する。 219 00:25:06,138 --> 00:25:09,141 目標に掲げたのは… 220 00:25:13,445 --> 00:25:20,619 しかし 同じ頃 ソ連も着々と 有人宇宙飛行の準備を進めていた。 221 00:25:20,619 --> 00:25:25,457 宇宙飛行士が 宇宙船と共に 無事生還しなければ➡ 222 00:25:25,457 --> 00:25:28,093 成功とは認められない。 223 00:25:28,093 --> 00:25:31,897 候補生には 厳しい訓練が課せられた。 224 00:25:34,867 --> 00:25:41,306 宇宙船の開発を担ったのは もちろん コロリョフだった。 225 00:25:41,306 --> 00:25:46,111 コロリョフが 最もこだわったのは 自動化だった。 226 00:25:48,080 --> 00:25:51,984 不測の事態が起きた場合 飛行士に頼らず➡ 227 00:25:51,984 --> 00:25:56,488 自動的に生還させる仕組みを作った。 228 00:25:59,691 --> 00:26:03,929 1961年4月。 229 00:26:03,929 --> 00:26:07,933 先を行ったのは またしてもソ連だった。 230 00:26:09,802 --> 00:26:15,274 人類を宇宙に送りたいという コロリョフの夢。 231 00:26:15,274 --> 00:26:17,943 コロリョフは その夢を➡ 232 00:26:17,943 --> 00:26:23,082 宇宙飛行士ガガーリンに託した。 233 00:26:23,082 --> 00:26:29,788 生還の確率は 50%程度だったと言われている。 234 00:26:37,296 --> 00:26:41,166 午前9時7分 打ち上げ開始。 235 00:26:41,166 --> 00:26:44,169 ガガーリンは宇宙へ到達。 236 00:26:44,169 --> 00:26:47,372 地球周回軌道に入った。 237 00:27:04,923 --> 00:27:10,262 ガガーリンは 108分間かけて 地球を一周した。 238 00:27:10,262 --> 00:27:15,968 人類は 初めて宇宙から地球を目撃した。 239 00:27:21,773 --> 00:27:26,278 しかし実は ガガーリンは帰還の途中➡ 240 00:27:26,278 --> 00:27:30,782 知られざる危機に直面していた。 241 00:27:30,782 --> 00:27:34,086 当時の ガガーリンの音声が残されている。 242 00:27:58,810 --> 00:28:02,681 大気圏再突入の際 機体が回転。 243 00:28:02,681 --> 00:28:05,484 制御不能に陥ったのだ。 244 00:28:08,921 --> 00:28:13,792 さらに 摩擦熱で 機内は異常な高温状態となり➡ 245 00:28:13,792 --> 00:28:17,596 ガガーリンは 意識を失いかける。 246 00:28:17,596 --> 00:28:22,935 その時だった。 247 00:28:22,935 --> 00:28:27,606 コロリョフが開発した 自動脱出装置が作動。 248 00:28:27,606 --> 00:28:30,909 ガガーリンは 一命を取り留めた。 249 00:28:34,079 --> 00:28:36,081 これは… 250 00:28:38,917 --> 00:28:40,852 外壁は焼け焦げ➡ 251 00:28:40,852 --> 00:28:44,556 大気圏突入の壮絶さを物語っている。 252 00:28:47,092 --> 00:28:51,463 ガガーリンの姿は どこにも映っていない。 253 00:28:51,463 --> 00:28:56,668 彼が着地したのは ここから2キロ離れた地点だった。 254 00:28:59,104 --> 00:29:03,609 しかし ソ連はこの事実を隠蔽した。 255 00:29:05,410 --> 00:29:08,447 これは 着陸の様子を描いた絵。 256 00:29:08,447 --> 00:29:13,151 ガガーリンは 宇宙船とともに華々しく帰還したと➡ 257 00:29:13,151 --> 00:29:15,854 発表されたのだった。 258 00:29:20,892 --> 00:29:24,763 ガガーリンは 国民的英雄になる。 259 00:29:24,763 --> 00:29:30,936 モスクワで開かれたパレードには 数十万人が押し寄せた。 260 00:29:30,936 --> 00:29:35,941 (歓声) 261 00:29:38,610 --> 00:29:44,483 しかし 偉業の立て役者 コロリョフの姿はなかった。 262 00:29:44,483 --> 00:29:46,952 コロリョフは この日も➡ 263 00:29:46,952 --> 00:29:52,624 人々の前に姿を現すことが 許されなかった。 264 00:29:52,624 --> 00:29:55,961 生涯 影の存在だったコロリョフは➡ 265 00:29:55,961 --> 00:29:58,630 日記を一切残さなかった。 266 00:29:58,630 --> 00:30:03,969 そのため この時の思いは定かではない。 267 00:30:03,969 --> 00:30:09,975 しかし 一緒にパレードを見ていた 娘の音声がある。 268 00:30:47,546 --> 00:30:54,019 ガガーリンのセレモニーは 西側にも中継されていた。 269 00:30:54,019 --> 00:31:00,792 その熱狂を 苦々しい思いで見つめる人物がいた。 270 00:31:00,792 --> 00:31:04,629 宇宙開発の推進を 公約に掲げていた➡ 271 00:31:04,629 --> 00:31:07,332 ケネディ大統領である。 272 00:31:09,301 --> 00:31:12,971 ケネディは 先を行くソ連を追い抜くために➡ 273 00:31:12,971 --> 00:31:17,843 何をしたらいいか フォン・ブラウンに尋ねた。 274 00:31:17,843 --> 00:31:22,347 フォン・ブラウンは すかさず こう進言した。 275 00:31:47,506 --> 00:31:54,012 月面着陸を目指す アポロ計画が始動する。 276 00:31:54,012 --> 00:32:00,786 フォン・ブラウンは 史上最大のロケット サターンVを開発。 277 00:32:00,786 --> 00:32:05,624 更に 月面着陸船の開発にも着手。 278 00:32:05,624 --> 00:32:09,494 地球の¹/6の重力しかない月に➡ 279 00:32:09,494 --> 00:32:14,299 いかに安定して着陸させるか 検討が重ねられた。 280 00:32:16,334 --> 00:32:20,038 最も革新的だったのは… 281 00:32:22,641 --> 00:32:29,347 当時 アメリカで生産された集積回路の 実に60%が使われた。 282 00:32:31,316 --> 00:32:36,655 コンピューターのプログラムを 開発したのが… 283 00:32:36,655 --> 00:32:39,991 28歳で 責任者に抜擢された➡ 284 00:32:39,991 --> 00:32:44,696 MIT出身の 天才プログラマーだった。 285 00:32:56,541 --> 00:33:01,313 これは ハミルトンのプログラムを 組み上げている映像。 286 00:33:01,313 --> 00:33:04,783 ふだん 織物工場で働く女性が➡ 287 00:33:04,783 --> 00:33:08,587 一本一本 電線を編んで作った。 288 00:33:30,475 --> 00:33:34,346 着々と準備が進んでいた ちょうどそのころ➡ 289 00:33:34,346 --> 00:33:39,150 フォン・ブラウンのもとに ソ連から ニュースが飛び込んできた。 290 00:33:42,988 --> 00:33:48,660 ソ連の新聞が ある人物の死を報じたのだ。 291 00:33:48,660 --> 00:33:51,963 コロリョフだった。 292 00:33:54,533 --> 00:33:58,670 コロリョフの名が 初めて公になり➡ 293 00:33:58,670 --> 00:34:06,378 ソ連の宇宙開発は たった1人の人物が 成し遂げてきたことが明らかにされた。 294 00:34:11,783 --> 00:34:15,287 コロリョフは ガガーリンの宇宙飛行のあとも➡ 295 00:34:15,287 --> 00:34:18,990 ソ連の宇宙開発を けん引し続けた。 296 00:34:21,626 --> 00:34:27,098 ロケット開発の激務が コロリョフを死に追い込んだのか。 297 00:34:27,098 --> 00:34:32,304 死因は心不全。 59歳の若さだった。 298 00:34:34,472 --> 00:34:40,278 ソ連は 宇宙開発の英雄を 国葬で見送った。 299 00:34:40,278 --> 00:34:43,815 雪の中 集まった人々も➡ 300 00:34:43,815 --> 00:34:50,121 この時 初めて コロリョフの存在を知った。 301 00:34:50,121 --> 00:34:55,994 生前 姿を見せることすら 許されなかった 赤の広場に➡ 302 00:34:55,994 --> 00:34:58,997 コロリョフの遺影が掲げられた。 303 00:35:02,067 --> 00:35:09,374 遺骨は ソ連最高の栄誉とされる クレムリンの壁に納められた。 304 00:35:12,077 --> 00:35:15,780 ライバルの名を初めて知った フォン・ブラウンは➡ 305 00:35:15,780 --> 00:35:18,583 後に こう語っている。 306 00:35:42,640 --> 00:35:47,646 いよいよ 人類の歴史に 刻まれる日がやって来た。 307 00:35:53,284 --> 00:35:58,657 月面着陸を目指す アポロ11号の打ち上げ。 308 00:35:58,657 --> 00:36:02,527 世界が 固唾をのんで見守った。 309 00:36:02,527 --> 00:36:05,930 地球の中に住む人々が 同じ気持ちの中に➡ 310 00:36:05,930 --> 00:36:07,932 今日は立っていると思います。 311 00:36:17,642 --> 00:36:23,081 午後1時32分。 カウントダウンが始まった。 312 00:36:23,081 --> 00:36:27,886 フォン・ブラウンは 管制室から見守った。 313 00:36:30,955 --> 00:36:35,627 (発射音) 314 00:36:35,627 --> 00:36:40,498 フォン・ブラウンが アメリカにやって来て 24年。 315 00:36:40,498 --> 00:36:42,967 巨大ロケットのパワーは➡ 316 00:36:42,967 --> 00:36:48,973 ドイツ時代に開発したV2ロケットの 140倍に達していた。 317 00:36:54,579 --> 00:37:01,386 ロケットは 38万km先の月へと向かった。 318 00:37:04,289 --> 00:37:07,792 だが 打ち上げから4日後。 319 00:37:10,061 --> 00:37:14,933 月面着陸船イーグルが 降下を開始した時だった。 320 00:37:14,933 --> 00:37:18,236 深刻なトラブルが発生していた。 321 00:37:20,438 --> 00:37:22,941 (警告音) 322 00:37:22,941 --> 00:37:25,944 謎の警告音が鳴り響いた。 323 00:37:35,453 --> 00:37:39,324 原因は 宇宙飛行士の操作ミスだった。 324 00:37:39,324 --> 00:37:43,962 コンピューターに 月面との距離のデータだけでなく➡ 325 00:37:43,962 --> 00:37:48,767 司令船との距離まで 読み込ませてしまっていた。 326 00:37:52,637 --> 00:37:56,107 その結果 大量のデータが流れ込み➡ 327 00:37:56,107 --> 00:37:59,911 コンピューターが フリーズ状態に陥ったのである。 328 00:38:02,247 --> 00:38:09,921 管制室に緊張が走る中 ただ一人 冷静な人物がいた。 329 00:38:09,921 --> 00:38:16,728 着陸プログラムを開発した女性科学者 マーガレット・ハミルトンだった。 330 00:38:32,944 --> 00:38:36,814 ハミルトンは 宇宙飛行士のミスに備え➡ 331 00:38:36,814 --> 00:38:42,921 緊急時に再起動をかける プログラムを組み込んでいた。 332 00:38:55,800 --> 00:39:00,004 いよいよ その時が訪れた。 333 00:39:16,120 --> 00:39:20,825 ついに人類は 月へと降り立つ。 334 00:39:34,505 --> 00:39:37,408 (拍手と歓声) 335 00:39:37,408 --> 00:39:41,713 フォン・ブラウンの夢が 実現した。 336 00:39:44,182 --> 00:39:50,688 あのヴェルヌの小説を読んでから 半世紀がたっていた。 337 00:39:54,792 --> 00:40:02,800 アポロ11号の帰還を祝うパレードには 実に600万人が詰めかけた。 338 00:40:05,436 --> 00:40:12,644 スピーチを求められたフォン・ブラウンは 宇宙への次なる目標を語った。 339 00:40:23,855 --> 00:40:26,491 (歓声) 340 00:40:26,491 --> 00:40:34,699 しかし アメリカの宇宙開発は 月面着陸をピークに下火になっていく。 341 00:40:36,200 --> 00:40:40,505 米ソ対決の勝利が 決定的になった今➡ 342 00:40:40,505 --> 00:40:45,710 国民の興味は 宇宙開発から離れていった。 343 00:40:48,680 --> 00:40:52,550 そして 月面着陸から8年後。 344 00:40:52,550 --> 00:40:57,555 フォン・ブラウンは65歳でこの世を去った。 345 00:40:59,390 --> 00:41:06,164 ナチスへの入党 敵国アメリカに渡っての研究。 346 00:41:06,164 --> 00:41:12,303 悪魔に魂を売り渡してでも 月へ行きたいと考えた男は➡ 347 00:41:12,303 --> 00:41:15,807 その人生を全うした。 348 00:41:44,235 --> 00:41:48,673 そして今や 宇宙は夢をかなえる場所から➡ 349 00:41:48,673 --> 00:41:53,344 ビジネスとして利用する場所となった。 350 00:41:53,344 --> 00:41:59,150 現在 我々の頭上を回る人工衛星は 8,000基。 351 00:41:59,150 --> 00:42:05,156 宇宙から届くデータは 私たちの日常を支えている。 352 00:42:06,891 --> 00:42:12,630 そして 世界の視線が注がれているのが 火星である。 353 00:42:12,630 --> 00:42:16,634 各国が しのぎを削っている。 354 00:42:28,479 --> 00:42:34,652 アメリカの新たな競争相手として 台頭しているのが中国である。 355 00:42:34,652 --> 00:42:41,959 2033年を目標に 有人火星探査を行うと宣言した。 356 00:42:44,996 --> 00:42:48,866 アメリカも負けじと 民間企業と共に➡ 357 00:42:48,866 --> 00:42:52,870 火星移住計画を 推し進めている。 358 00:42:58,009 --> 00:43:04,315 宇宙は 現代の戦争の趨勢を 決する場にも なろうとしている。 359 00:43:06,617 --> 00:43:10,488 ウクライナに侵攻する ロシア軍の動きを➡ 360 00:43:10,488 --> 00:43:13,791 アメリカの人工衛星は 逐一伝え➡ 361 00:43:13,791 --> 00:43:17,995 情報戦を有利に展開している。 362 00:43:20,565 --> 00:43:25,970 150年前 宇宙旅行を夢みた ジュール・ヴェルヌは➡ 363 00:43:25,970 --> 00:43:31,275 科学の進歩について こう警告している。 364 00:44:07,945 --> 00:44:41,946 ♬~