1 00:00:01,168 --> 00:00:07,875 ♬~ 2 00:00:07,875 --> 00:00:12,179 アメリカ… 3 00:00:15,983 --> 00:00:19,620 世界で軍事力を展開するアメリカは➡ 4 00:00:19,620 --> 00:00:24,625 ここに 核戦略の司令塔を置いている。 5 00:00:27,427 --> 00:00:29,930 空➡ 6 00:00:29,930 --> 00:00:33,734 陸➡ 7 00:00:33,734 --> 00:00:36,637 海に配備された核戦力。 8 00:00:36,637 --> 00:00:39,840 それら全てを指揮する➡ 9 00:00:39,840 --> 00:00:42,542 「アメリカ戦略軍」である。 10 00:00:45,479 --> 00:00:48,081 2019年11月。 11 00:00:48,081 --> 00:00:53,287 ここに ある人物の名を冠した施設が オープンした。 12 00:01:15,943 --> 00:01:20,647 アメリカ空軍を 世界最強へと押し上げた立て役者… 13 00:01:29,356 --> 00:01:32,659 数々の異名を背負う男である。 14 00:01:35,896 --> 00:01:41,234 81年前の今日の深夜 3月10日未明。 15 00:01:41,234 --> 00:01:46,773 一夜にして10万の市民の命を奪った 東京大空襲。 16 00:01:46,773 --> 00:01:50,277 作戦を指揮したのは ルメイだった。 17 00:01:51,912 --> 00:02:00,120 さらに60以上の都市を焼け野原にし 日本中を恐怖に陥れた。 18 00:02:17,070 --> 00:02:22,609 朝鮮戦争では 南北ほとんどの主要都市を爆撃。 19 00:02:22,609 --> 00:02:25,712 100万人が 犠牲になったといわれる。 20 00:02:30,417 --> 00:02:34,221 そして 米ソ冷戦の真っただ中に➡ 21 00:02:34,221 --> 00:02:38,091 空軍トップの参謀総長に 上り詰める。 22 00:02:38,091 --> 00:02:42,929 冷徹な計算と鉄の意志で 軍拡を推し進め➡ 23 00:02:42,929 --> 00:02:47,667 アメリカは 世界の覇権を握るに至った。 24 00:02:47,667 --> 00:02:49,669 (爆撃音) 25 00:02:51,371 --> 00:02:55,142 主戦場は 地上から空へ。 26 00:02:55,142 --> 00:03:02,049 ルメイの登場によって アメリカの戦い方は 決定的に変わった。 27 00:03:02,049 --> 00:03:05,786 2026年2月28日。 28 00:03:05,786 --> 00:03:09,656 アメリカ軍は イランへの先制攻撃を開始。 29 00:03:09,656 --> 00:03:14,127 最初の24時間で 1,000以上の標的を攻撃したと発表。 30 00:03:14,127 --> 00:03:17,831 最高指導者 ハメネイ師らを 殺害した。 31 00:03:33,113 --> 00:03:38,552 徹底的な破壊で 戦意を奪い 一気に決着する。 32 00:03:38,552 --> 00:03:40,921 ルメイの思想は 今も➡ 33 00:03:40,921 --> 00:03:44,324 アメリカの軍事作戦の根幹である。 34 00:04:08,715 --> 00:04:12,119 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 35 00:04:12,119 --> 00:04:18,525 世界最強のアメリカ空軍を築き上げた 指揮官の生涯をたどる。 36 00:04:18,525 --> 00:04:25,866 力によって平和を保つという その思想の中に 今も世界はある。 37 00:04:25,866 --> 00:04:35,675 ♬~ 38 00:04:38,745 --> 00:04:43,316 1927年 一機の飛行機が➡ 39 00:04:43,316 --> 00:04:46,019 アメリカからパリに降り立った。 40 00:04:48,155 --> 00:04:55,862 チャールズ・リンドバーグによる 世界初の大西洋単独無着陸飛行。 41 00:04:55,862 --> 00:04:59,966 空の時代の到来を世界に告げた。 42 00:05:03,603 --> 00:05:08,475 アメリカ中で 飛行機やパイロットへの 関心が高まり➡ 43 00:05:08,475 --> 00:05:14,181 陸軍航空隊の野営地にも 数多くの見物客が集まった。 44 00:05:19,152 --> 00:05:23,723 オハイオ州生まれの20歳の カーティス・ルメイも➡ 45 00:05:23,723 --> 00:05:28,628 空を駆ける男たちに心奪われた 若者の一人だった。 46 00:05:51,818 --> 00:05:54,754 大空への夢に 突き動かされ➡ 47 00:05:54,754 --> 00:05:57,557 ルメイは 大学に通いながら➡ 48 00:05:57,557 --> 00:06:03,563 陸軍予備役訓練コースに入り パイロットへの第一歩を踏み出す。 49 00:06:05,599 --> 00:06:13,807 そして1930年 ルメイは念願の アメリカ陸軍航空隊に入隊を果たす。 50 00:06:16,076 --> 00:06:19,813 だが そこは陸軍の下部組織。 51 00:06:19,813 --> 00:06:26,586 当時 アメリカには 独立した空軍は存在していなかった。 52 00:06:26,586 --> 00:06:35,629 敵の偵察や兵器の輸送など あくまでも陸軍の支援が主な任務だった。 53 00:06:35,629 --> 00:06:39,132 予算も限られ 隊員たちは➡ 54 00:06:39,132 --> 00:06:43,837 専門外の 郵便配達までさせられることもあった。 55 00:06:48,341 --> 00:06:53,280 第2次世界大戦開戦の 1939年当時➡ 56 00:06:53,280 --> 00:07:01,288 アメリカの航空機の生産数は ドイツの4分の1 日本の半分以下だった。 57 00:07:03,823 --> 00:07:09,829 最新の爆撃機に至っては 僅か20機ほどしかなかった。 58 00:07:12,499 --> 00:07:17,203 このころ アメリカ陸軍航空隊の トップに立っていたのが➡ 59 00:07:17,203 --> 00:07:19,506 ヘンリー・アーノルド将軍。 60 00:07:21,174 --> 00:07:24,511 爽やかな笑顔がトレードマークの男は➡ 61 00:07:24,511 --> 00:07:27,714 大いなる野心を抱いていた。 62 00:07:45,598 --> 00:07:51,304 空軍独立の野心は 思わぬ形で動きだす。 63 00:08:05,352 --> 00:08:10,256 転機をもたらしたのは 日本だった。 64 00:08:10,256 --> 00:08:17,464 太平洋を渡ってきた350機もの 航空部隊による奇襲攻撃。 65 00:08:17,464 --> 00:08:21,368 アメリカは その衝撃に打ちのめされる。 66 00:08:21,368 --> 00:08:24,904 航空戦が 戦争の主役になる。 67 00:08:24,904 --> 00:08:28,208 その現実を突きつけられた。 68 00:08:30,143 --> 00:08:35,382 ルーズベルトは 陸軍航空隊に 一気に50倍もの予算を与え➡ 69 00:08:35,382 --> 00:08:38,885 日本への空爆を強く求めた。 70 00:09:05,278 --> 00:09:08,815 1942年。 71 00:09:08,815 --> 00:09:10,750 パイロットとして 着実に➡ 72 00:09:10,750 --> 00:09:15,088 実績を重ねていたルメイは 大佐に昇進。 73 00:09:15,088 --> 00:09:19,492 ドイツと戦うため ヨーロッパへ向かった。 74 00:09:25,064 --> 00:09:30,503 待ち受けていたのは 過酷な戦場だった。 75 00:09:30,503 --> 00:09:34,674 マイナス40度の 凍てつくヨーロッパ上空で➡ 76 00:09:34,674 --> 00:09:38,878 ドイツ空軍の精鋭たちの猛攻撃を受けた。 77 00:09:44,884 --> 00:09:50,190 強力な高射砲に撃ち落とされる機体も 続出した。 78 00:09:50,190 --> 00:09:53,393 (砲声) 79 00:09:53,393 --> 00:09:59,732 苦戦の中で ルメイは 革新的な戦術を思いつく。 80 00:09:59,732 --> 00:10:04,304 互いを守り合い 攻撃精度を高めるための編隊➡ 81 00:10:04,304 --> 00:10:07,207 コンバットボックスである。 82 00:10:08,875 --> 00:10:15,448 まず 3機が三角形の陣形を作る。 83 00:10:15,448 --> 00:10:25,091 その周辺の 右下 左上 そして下方へと 高さと距離をずらしながら編隊を組むと➡ 84 00:10:25,091 --> 00:10:27,994 12機による立体的な編隊➡ 85 00:10:27,994 --> 00:10:30,897 コンバットボックスができる。 86 00:10:32,832 --> 00:10:38,571 さらに この編隊を同じように 立体的に組むと…➡ 87 00:10:38,571 --> 00:10:44,477 総勢48機による コンバットボックス飛行群が完成する。 88 00:10:46,312 --> 00:10:49,849 爆撃機同士が互いの死角を補い合い➡ 89 00:10:49,849 --> 00:10:52,752 一斉攻撃も可能。 90 00:10:52,752 --> 00:10:57,757 攻撃と防御を両立させた 革新的な編隊だった。 91 00:11:01,494 --> 00:11:04,831 ルメイは 先導機に乗り込み➡ 92 00:11:04,831 --> 00:11:11,638 「コンバットボックスを崩すな」と 部下たちを無線で叱咤し続けた。 93 00:11:30,323 --> 00:11:33,326 (銃撃音) 94 00:11:35,061 --> 00:11:38,865 このころ ルメイに付けられた あだ名は… 95 00:11:41,234 --> 00:11:47,941 まるで 尻が鉄でできているかのように 何時間でも操縦席に座り続けられる➡ 96 00:11:47,941 --> 00:11:50,944 タフで頑固な男だった。 97 00:11:54,714 --> 00:12:00,520 これは ドイツ空爆を終え 帰還したばかりのルメイたちを捉えた➡ 98 00:12:00,520 --> 00:12:02,622 貴重な映像。 99 00:12:26,212 --> 00:12:28,214 (笑い声) 100 00:12:49,535 --> 00:12:52,438 1943年。 101 00:12:52,438 --> 00:12:56,075 太平洋戦争のさなか アメリカで➡ 102 00:12:56,075 --> 00:12:58,478 一本の アニメ映画が 公開された。 103 00:13:00,847 --> 00:13:04,384 製作したのは ウォルト・ディズニー。 104 00:13:04,384 --> 00:13:09,589 アメリカ軍が推し進める航空戦略を 後押しするための➡ 105 00:13:09,589 --> 00:13:12,392 プロパガンダ映画だった。 106 00:13:25,505 --> 00:13:33,079 映画には 当時まだ誰も見たことが なかった 超大型爆撃機が登場する。 107 00:13:33,079 --> 00:13:38,084 それは大編隊を組み 日本の都市に向かう。 108 00:13:40,553 --> 00:13:45,358 降りそそぐ爆弾が 街を破壊し尽くしていく。 109 00:13:48,227 --> 00:13:56,736 この光景は 2年後 東京大空襲として 現実の歴史に刻まれることになる。 110 00:14:02,742 --> 00:14:08,014 アメリカは 日本爆撃の準備を着々と進めていた。 111 00:14:08,014 --> 00:14:14,787 切り札が 新型の超大型爆撃機 B-29だった。 112 00:14:14,787 --> 00:14:19,992 航続距離は 従来の倍近い5,700km。 113 00:14:23,796 --> 00:14:28,434 敵の攻撃が届かない はるか上空から 爆撃をするという➡ 114 00:14:28,434 --> 00:14:32,138 戦争の常識を変える爆撃機だった。 115 00:14:59,432 --> 00:15:04,170 通常10年はかかる 爆撃機開発だが➡ 116 00:15:04,170 --> 00:15:06,906 日本との戦争に 間に合わせるため➡ 117 00:15:06,906 --> 00:15:10,510 僅か4年で完成にこぎつけた。 118 00:15:13,312 --> 00:15:18,785 そのころ アメリカ軍がマリアナ諸島を制圧。 119 00:15:18,785 --> 00:15:21,521 日本本土を直接攻撃するための➡ 120 00:15:21,521 --> 00:15:24,323 戦略拠点を手に入れた。 121 00:15:26,692 --> 00:15:33,900 これは 最高指揮官 アーノルド将軍が サイパン島の基地を訪れた時の映像。 122 00:16:11,270 --> 00:16:15,074 この時 B-29の指揮を任されていたのは➡ 123 00:16:15,074 --> 00:16:18,845 ヘイウッド・ハンセル将軍。 124 00:16:18,845 --> 00:16:24,650 長くアーノルドの参謀を務め 信頼も厚かった。 125 00:16:28,187 --> 00:16:32,525 1944年11月。 126 00:16:32,525 --> 00:16:38,331 B-29が 東京を目指し 次々に飛び立った。 127 00:16:43,002 --> 00:16:48,708 人類史上初めての高度1万mからの空爆。 128 00:16:48,708 --> 00:16:53,913 しかし 待っていたのは 想定を超える現実だった。 129 00:17:17,703 --> 00:17:24,076 当時 アメリカの航空隊に 義務付けられていたのは 「精密爆撃」。 130 00:17:24,076 --> 00:17:26,712 都市の人口密集地を避け➡ 131 00:17:26,712 --> 00:17:29,615 軍需工場などを ピンポイントで爆撃し➡ 132 00:17:29,615 --> 00:17:33,419 戦争遂行能力を奪う空爆である。 133 00:17:38,391 --> 00:17:45,097 大統領 ルーズベルトは あくまでも 「人道主義」に基づいた戦い方を訴え➡ 134 00:17:45,097 --> 00:17:50,703 他の連合国にも 無差別爆撃の自粛を要請していた。 135 00:17:54,206 --> 00:17:59,011 「精密爆撃」の困難さを示す映像がある。 136 00:17:59,011 --> 00:18:03,582 アメリカの爆撃機は 日本の軍事施設を狙って➡ 137 00:18:03,582 --> 00:18:06,786 爆弾を投下したと思われる。 138 00:18:09,822 --> 00:18:15,428 しかし 左下に大きく外れた。 139 00:18:18,531 --> 00:18:21,767 高度1万mの日本上空には➡ 140 00:18:21,767 --> 00:18:27,640 時に 時速300キロを超える ジェット気流が吹き荒れていた。 141 00:18:27,640 --> 00:18:32,945 目標を正確に捉えることは ほとんど不可能だった。 142 00:18:35,781 --> 00:18:40,620 人道的な精密爆撃を続けた 指揮官 ハンセルは➡ 143 00:18:40,620 --> 00:18:45,925 成果を上げられず 僅か3か月で更迭された。 144 00:18:50,062 --> 00:18:56,535 そして 白羽の矢が立ったのが 38歳のルメイだった。 145 00:18:56,535 --> 00:18:59,438 ドイツ戦線 中国戦線➡ 146 00:18:59,438 --> 00:19:02,141 常に結果を出し続け➡ 147 00:19:02,141 --> 00:19:05,344 当時 最年少の少将となっていた。 148 00:19:30,236 --> 00:19:34,940 アーノルドは ルメイに ある指令を与えた。 149 00:19:46,752 --> 00:19:51,057 家を焼き 人を焼く焼夷弾。 150 00:19:51,057 --> 00:19:53,325 精密爆撃の理想を捨て➡ 151 00:19:53,325 --> 00:19:58,030 市民を巻き込む無差別爆撃への 転換だった。 152 00:19:58,030 --> 00:20:05,037 アーノルドは 空軍独立を果たすための 決定的な成果をルメイに求めていた。 153 00:20:28,561 --> 00:20:37,136 ルメイは 日本上空からの偵察写真を 丹念に読み解き ある事実に気付く。 154 00:20:37,136 --> 00:20:43,542 ドイツでは無数にあった高射機関砲が ほとんど見当たらなかったのだ。 155 00:20:58,023 --> 00:21:02,995 高度を下げれば ジェット気流や 分厚い雲をかいくぐり➡ 156 00:21:02,995 --> 00:21:06,532 命中精度を高められる。 157 00:21:06,532 --> 00:21:11,403 ルメイは 一気に1,500mまで高度を下げ➡ 158 00:21:11,403 --> 00:21:19,411 高射砲や戦闘機による迎撃の少ない夜間に 爆撃する という作戦にたどりついた。 159 00:21:23,749 --> 00:21:28,888 これは アメリカ軍の記録映画 「ラストボム」。 160 00:21:28,888 --> 00:21:31,423 3月9日夕方➡ 161 00:21:31,423 --> 00:21:38,197 サイパンとテニアンの基地から 325機のB-29が飛び立った。 162 00:21:38,197 --> 00:21:41,066 できるかぎり多くの焼夷弾を 積み込むため➡ 163 00:21:41,066 --> 00:21:44,069 余分な装備は取り外していた。 164 00:21:46,906 --> 00:21:53,946 上空の無線士たちの耳に アメリカのあるポップソングが届いた。 165 00:21:53,946 --> 00:21:58,250 発信源は 連合国に向け プロパガンダ放送を行う➡ 166 00:21:58,250 --> 00:22:00,186 ラジオ・トウキョウ。 167 00:22:00,186 --> 00:22:04,623 DJ 東京ローズが大人気だった。 168 00:22:04,623 --> 00:22:27,213 ♬~ 169 00:22:56,775 --> 00:23:02,881 B-29に積まれた焼夷弾は 32万発に上った。 170 00:23:09,154 --> 00:23:13,325 真夜中に決行された東京大空襲。 171 00:23:13,325 --> 00:23:15,694 映像はない。 172 00:23:15,694 --> 00:23:17,630 残されているのは➡ 173 00:23:17,630 --> 00:23:21,734 焼夷弾に焼かれた下町の 写真だけである。 174 00:23:53,932 --> 00:24:02,341 その一夜で 10万以上の命が奪われ 100万人が家を失った。 175 00:24:05,110 --> 00:24:08,580 破壊は そこで終わらなかった。 176 00:24:08,580 --> 00:24:11,483 ルメイは その後も大都市を焼き払い➡ 177 00:24:11,483 --> 00:24:16,789 さらに60以上の地方都市にも 爆撃を重ねていく。 178 00:24:16,789 --> 00:24:22,995 犠牲者は 最終的に26万人を超えた。 179 00:24:47,252 --> 00:24:54,059 ルメイのもと作戦立案に携わったのは ロバート・マクナマラ中佐。 180 00:24:54,059 --> 00:24:58,630 後のアメリカ国防長官である。 181 00:24:58,630 --> 00:25:03,836 あまりにも多くの命を奪った罪悪感に 苦しんでいた。 182 00:25:50,983 --> 00:25:56,355 8月 日本は降伏。 183 00:25:56,355 --> 00:26:00,959 アメリカを勝利に導いたルメイは 英雄となっていた。 184 00:26:02,661 --> 00:26:05,564 葉巻をくわえた 仏頂面のルメイが➡ 185 00:26:05,564 --> 00:26:09,535 「TIME」誌の表紙を飾った。 186 00:26:09,535 --> 00:26:11,837 誌面には➡ 187 00:26:11,837 --> 00:26:15,340 若き将軍への 賛辞があふれた。 188 00:26:23,315 --> 00:26:25,951 これは 終戦後➡ 189 00:26:25,951 --> 00:26:32,157 焼け野原となった日本の都市を 上空から見下ろすルメイの映像である。 190 00:27:06,358 --> 00:27:12,231 太平洋戦争終結から 2年後の1947年9月➡ 191 00:27:12,231 --> 00:27:20,572 陸軍航空軍は ついに悲願の独立を果たし 「アメリカ空軍」が誕生した。 192 00:27:20,572 --> 00:27:27,913 その翌年 ルメイは 核兵器を扱い 世界の基地を動かす➡ 193 00:27:27,913 --> 00:27:32,150 「戦略空軍」の司令官に就任する。 194 00:27:32,150 --> 00:27:38,657 日本を焼いた男が 今度は 世界の核を握ることになった。 195 00:27:40,526 --> 00:27:45,030 ルメイ率いる戦略空軍が掲げた モットーがある。 196 00:27:49,701 --> 00:27:54,973 核を背後に置き 敵に攻撃を 思いとどまらせる。 197 00:27:54,973 --> 00:27:58,076 “力による平和”を 目指した。 198 00:28:01,246 --> 00:28:06,084 しかし その平和は長くは続かなかった。 199 00:28:06,084 --> 00:28:11,390 1950年6月 朝鮮戦争が勃発。 200 00:28:11,390 --> 00:28:18,397 アメリカとソ連 核を保有する大国同士が 初めて衝突した。 201 00:28:21,700 --> 00:28:28,307 ルメイは ソ連や中国への 核攻撃の計画を作り上げていた。 202 00:28:28,307 --> 00:28:34,112 しかし 全面核戦争を恐れた 大統領 トルーマンは➡ 203 00:28:34,112 --> 00:28:37,983 核の使用を一切認めなかった。 204 00:28:37,983 --> 00:28:45,090 核の代わりに選ばれたのは 焼夷弾による無差別爆撃だった。 205 00:28:47,593 --> 00:28:52,030 朝鮮半島の主要都市は ほとんどが焼き尽くされ➡ 206 00:28:52,030 --> 00:28:56,735 南北で100万もの民間人が 犠牲になったといわれる。 207 00:29:01,239 --> 00:29:07,913 アメリカ軍も3万以上の死者を出しながら 3年以上戦った。 208 00:29:07,913 --> 00:29:15,420 しかし 決着はつかないまま 1953年に休戦協定が結ばれた。 209 00:29:50,088 --> 00:29:55,193 1955年 一本の映画が公開された。 210 00:30:16,281 --> 00:30:20,185 映画「戦略空軍命令」は➡ 211 00:30:20,185 --> 00:30:25,457 冷戦下の世界平和を守る 戦略空軍の隊員たちの任務を描いた➡ 212 00:30:25,457 --> 00:30:27,759 ハリウッド映画である。 213 00:30:30,429 --> 00:30:34,066 映画を企画し 主人公を演じたのは➡ 214 00:30:34,066 --> 00:30:36,468 アカデミー賞俳優の… 215 00:30:42,240 --> 00:30:45,744 かつて 陸軍航空軍のパイロットで➡ 216 00:30:45,744 --> 00:30:48,647 ルメイとも顔見知りだった。 217 00:30:48,647 --> 00:30:54,152 戦略空軍は 映画製作に全面的に協力した。 218 00:30:56,788 --> 00:31:02,594 人気ハリウッド俳優を迎えた映画は 大ヒット。 219 00:31:02,594 --> 00:31:09,601 ルメイ率いる戦略空軍の知名度と人気は アメリカ中に広がった。 220 00:31:14,005 --> 00:31:23,014 そして 1961年7月 ルメイは アメリカ空軍参謀総長に就任。 221 00:31:23,014 --> 00:31:27,519 ついに空軍のトップに上り詰める。 222 00:31:49,141 --> 00:31:53,578 しかし その翌年10月。 223 00:31:53,578 --> 00:31:56,882 世界を震撼させる事態が起こった。 224 00:31:58,917 --> 00:32:06,625 ソ連が アメリカの喉元 キューバに 核ミサイルを配備していたことが判明。 225 00:32:06,625 --> 00:32:10,428 アメリカは ただちに海上封鎖を宣言し➡ 226 00:32:10,428 --> 00:32:14,733 ソ連との 全面核戦争の瀬戸際に立たされた。 227 00:32:16,735 --> 00:32:22,307 ルメイは キューバへの 先制攻撃をケネディに迫った。 228 00:32:22,307 --> 00:32:25,310 核の使用も視野に入れていた。 229 00:32:27,045 --> 00:32:32,150 これは その時の ホワイトハウスでの会話である。 230 00:32:58,977 --> 00:33:01,279 (笑い声) 231 00:33:05,417 --> 00:33:08,787 若き大統領に 先制攻撃を強く迫る➡ 232 00:33:08,787 --> 00:33:11,990 ルメイの前に 立ちはだかったのが➡ 233 00:33:11,990 --> 00:33:16,161 かつての部下 マクナマラだった。 234 00:33:16,161 --> 00:33:21,066 今では国防長官となり ルメイの上司となっていた。 235 00:33:59,437 --> 00:34:03,608 アメリカとソ連は ぎりぎりの駆け引きの末➡ 236 00:34:03,608 --> 00:34:08,446 破滅へ向かう事態を かろうじて回避した。 237 00:34:08,446 --> 00:34:12,851 しかし その後も ルメイは言い張った。 238 00:34:41,179 --> 00:34:48,320 もう一つ アメリカが抱えていた火種が ベトナムだった。 239 00:34:48,320 --> 00:34:55,226 軍事顧問団という名目で 多くの兵士を 南ベトナムに送り込んでいた。 240 00:34:57,128 --> 00:35:03,835 ベトナムを視察したルメイは 敵対勢力を壊滅させる空爆を主張する。 241 00:35:11,509 --> 00:35:14,112 アメリカは ルメイが開発させた➡ 242 00:35:14,112 --> 00:35:20,719 新型戦略爆撃機 B-52を 初めて実戦投入した。 243 00:35:46,878 --> 00:35:50,548 「石器時代に戻す」。 244 00:35:50,548 --> 00:35:57,655 この有名な言葉は 編集者の創作だったが 瞬く間に世界へ広がった。 245 00:35:59,991 --> 00:36:03,695 しかし 国防長官 マクナマラは➡ 246 00:36:03,695 --> 00:36:07,165 北ベトナムの補給ルートを中心にたたく➡ 247 00:36:07,165 --> 00:36:10,869 限定的な空爆しか許さなかった。 248 00:36:36,528 --> 00:36:41,199 ♬~ 249 00:36:41,199 --> 00:36:46,504 アメリカが ベトナム戦争に本格介入していく中➡ 250 00:36:46,504 --> 00:36:51,743 1965年2月 ルメイは 58歳で➡ 251 00:36:51,743 --> 00:36:54,446 ついに引退を迎える。 252 00:36:56,581 --> 00:37:02,153 その前の年 日本の佐藤栄作内閣は➡ 253 00:37:02,153 --> 00:37:08,860 ルメイに 勲一等旭日大綬章を 贈ることを決めていた。 254 00:37:12,197 --> 00:37:17,368 航空自衛隊の創設と発展 軍用機の供与などに➡ 255 00:37:17,368 --> 00:37:23,074 多大な貢献があったというのが その理由だった。 256 00:37:25,043 --> 00:37:28,046 しかし 東京大空襲をはじめ➡ 257 00:37:28,046 --> 00:37:30,682 日本中を焼き尽くした 指揮官への➡ 258 00:37:30,682 --> 00:37:34,986 勲章授与は 大きな議論を 呼んだ。 259 00:38:00,678 --> 00:38:06,084 これは ルメイへの 勲章授与式の映像。 260 00:38:06,084 --> 00:38:10,955 勲一等は 天皇から授与されるのが 通例だったが➡ 261 00:38:10,955 --> 00:38:15,660 航空自衛隊のトップ 航空幕僚長が手渡した。 262 00:38:18,663 --> 00:38:22,834 授与式の場所も 皇居ではなく➡ 263 00:38:22,834 --> 00:38:27,105 航空自衛隊 入間基地。 264 00:38:27,105 --> 00:38:30,708 人目を避けるように行われた。 265 00:38:50,795 --> 00:38:54,632 (拍手) 266 00:38:54,632 --> 00:38:57,602 引退していたルメイだが➡ 267 00:38:57,602 --> 00:39:04,509 1968年 副大統領候補として アメリカ大統領選に名を連ねた。 268 00:39:06,244 --> 00:39:13,384 誘ったのは 保守強硬派の政治家 ジョージ・ウォレス。 269 00:39:13,384 --> 00:39:21,392 かつて ルメイのもと B-29による 日本空爆にも参加していた人物だった。 270 00:39:23,127 --> 00:39:28,600 アメリカは ベトナムで 次々と兵士を失っていた。 271 00:39:28,600 --> 00:39:34,405 マクナマラの慎重な路線を引き継ぎ いつまでも決着をつけられない政権に➡ 272 00:39:34,405 --> 00:39:37,909 ルメイは 我慢できなかった。 273 00:40:07,305 --> 00:40:11,042 しかし 反戦運動が広がり➡ 274 00:40:11,042 --> 00:40:14,746 ベトナム戦争への支持が 失われていく中で➡ 275 00:40:14,746 --> 00:40:19,450 人々の心を ルメイがつかむことはなかった。 276 00:40:23,988 --> 00:40:29,093 大統領選に敗れてからは 表舞台から身を引いたルメイ。 277 00:40:30,762 --> 00:40:38,169 1978年 NHKの取材班が カリフォルニアの自宅を訪ねていた。 278 00:41:04,529 --> 00:41:07,298 ルメイは 何も語らず➡ 279 00:41:07,298 --> 00:41:11,903 ただ 勲章の撮影だけを許可した。 280 00:41:14,739 --> 00:41:19,210 数多くの勲章が並ぶ棚の中央に➡ 281 00:41:19,210 --> 00:41:26,017 日本政府が授与した 勲一等旭日大綬章が置かれていた。 282 00:41:39,063 --> 00:41:42,567 1990年10月1日。 283 00:41:42,567 --> 00:41:48,072 ルメイは 心臓発作のため この世を去った。 284 00:41:48,072 --> 00:41:50,742 83年の生涯は➡ 285 00:41:50,742 --> 00:41:54,746 常に戦争とともにあった。 286 00:42:00,318 --> 00:42:06,891 ルメイの死から35年後 2025年9月➡ 287 00:42:06,891 --> 00:42:10,695 トランプ大統領は 国防総省に➡ 288 00:42:10,695 --> 00:42:16,000 「戦争省」という名前を 77年ぶりに復活させた。 289 00:42:18,569 --> 00:42:26,611 そして 2026年度 アメリカの国防予算は ついに9,000億ドルを突破し➡ 290 00:42:26,611 --> 00:42:31,616 世界の軍事費の4割近くにまで 膨れ上がった。 291 00:42:50,334 --> 00:42:58,242 世界は 今も ルメイが掲げた “力による平和”という思想の中にある。 292 00:43:27,738 --> 00:43:31,742 東京大空襲から22年後。 293 00:43:31,742 --> 00:43:34,812 軍を去るにあたり ルメイは➡ 294 00:43:34,812 --> 00:43:41,119 空を志す空軍士官学校の若者たちに こう語っている。 295 00:44:12,016 --> 00:44:42,213 ♬~