1 00:00:00,934 --> 00:00:07,841 ♬~ 2 00:00:10,377 --> 00:00:15,983 その日 長野県の山あいの村で 農作業をしていた女性は➡ 3 00:00:15,983 --> 00:00:20,988 突然 上空に現れた飛行機に目を奪われた。 4 00:00:23,390 --> 00:00:30,197 飛行機は旋回した後 群馬側の山の向こうに落ちた。 5 00:00:42,242 --> 00:00:51,852 墜落したのは 東京発大阪行きの 日本航空123便。 6 00:00:54,821 --> 00:00:58,825 科学技術の粋を集めた ジャンボジェット機の墜落は➡ 7 00:00:58,825 --> 00:01:03,397 社会を震撼させた。 8 00:01:03,397 --> 00:01:06,800 ブラックボックスには 墜落9分前の➡ 9 00:01:06,800 --> 00:01:11,204 機長と管制官との やり取りが記録されていた。 10 00:01:17,311 --> 00:01:25,919 事故の翌日 破損した尾翼の一部が 飛行経路の途中で見つかった。 11 00:01:42,035 --> 00:01:46,340 事故当日 NHKの特設ニュースに➡ 12 00:01:46,340 --> 00:01:50,544 ノンフィクション作家の 柳田邦男が出演していた。 13 00:02:21,074 --> 00:02:29,316 20世紀 人類は科学技術の力で 夢を実現させてきた。 14 00:02:29,316 --> 00:02:33,754 海 空 宇宙というフロンティアを開拓し➡ 15 00:02:33,754 --> 00:02:38,458 人間の営みを支える エネルギーも生み出した。 16 00:02:45,365 --> 00:02:51,872 しかし 未知への挑戦には 巨大事故が付きまとう。 17 00:03:00,847 --> 00:03:09,156 事故は 高度で複雑化した科学技術の 死角が現れる瞬間でもあった。 18 00:03:11,391 --> 00:03:15,696 人間は 同じ過ちを繰り返さないために➡ 19 00:03:15,696 --> 00:03:22,502 原因を究明し 安全を目指す闘いを続けてきた。 20 00:03:22,502 --> 00:03:27,808 それは 時に命を救う力ともなった。 21 00:04:01,975 --> 00:04:07,347 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 22 00:04:07,347 --> 00:04:10,250 私たちは巨大事故の悲劇と➡ 23 00:04:10,250 --> 00:04:15,956 どのように向き合い 乗り越えようとしてきたのか。 24 00:04:15,956 --> 00:04:21,461 夢と安全の間を揺れてきた 人間の葛藤の記録である。 25 00:04:31,371 --> 00:04:38,078 20世紀初め 客船「タイタニック号」が沈没した。 26 00:04:39,779 --> 00:04:48,488 これは 初の航海を前に撮影された タイタニック号の貴重な映像である。 27 00:04:48,488 --> 00:04:58,298 全長269m 総トン数4万6,000tは 世界最大であった。 28 00:04:58,298 --> 00:05:05,805 この13日後 不沈船と呼ばれた船は 大西洋に沈むことになる。 29 00:05:07,841 --> 00:05:12,646 これは 1等客専用の大階段。 30 00:05:12,646 --> 00:05:19,886 タイタニック号の内装には 贅の限りが尽くされていた。 31 00:05:19,886 --> 00:05:26,993 ジムも用意され 優雅で快適な船旅が売りだった。 32 00:05:28,595 --> 00:05:36,069 タイタニック号が就航するのは イギリスとアメリカを結ぶ 大西洋航路。 33 00:05:36,069 --> 00:05:41,975 姉妹船オリンピック号が 一足早く 運航していた。 34 00:05:43,610 --> 00:05:46,379 当時 毎年100万人が➡ 35 00:05:46,379 --> 00:05:54,187 成長著しい新興国アメリカに 新天地を求め 海を渡っていた。 36 00:05:56,790 --> 00:06:06,466 その需要に応えるため 船会社は 船を大型化していた。 37 00:06:06,466 --> 00:06:13,073 大型化を可能にしたのは エンジンや 精錬技術の発達だった。 38 00:06:13,073 --> 00:06:19,279 船体を形づくるのは しなやかで 強度の高い 鋼鉄の板。 39 00:06:19,279 --> 00:06:26,052 このころ 大量生産の技術が生まれ 広く使われるようになっていた。 40 00:06:26,052 --> 00:06:29,956 だが まだ溶接技術が未熟で➡ 41 00:06:29,956 --> 00:06:36,863 板と板は 鉄製の「リベット」という 鋲で留められていた。 42 00:06:41,835 --> 00:06:46,006 高度な安全対策も 施されていた。 43 00:06:46,006 --> 00:06:49,209 船底は 16区画に分けられ➡ 44 00:06:49,209 --> 00:06:55,315 連続4区画までの浸水に 耐えられる構造だった。 45 00:07:22,108 --> 00:07:28,381 1912年4月10日。 2,200人余りを乗せ➡ 46 00:07:28,381 --> 00:07:32,285 タイタニック号は アメリカに向け出航した。 47 00:07:34,154 --> 00:07:41,594 大西洋航路では この年 流氷の目撃が 相次いでいた。 48 00:07:41,594 --> 00:07:45,799 出港から4日目の 深夜のことだった。 49 00:07:47,400 --> 00:07:53,206 これは タイタニック号の悲劇を描いた 劇映画である。 50 00:07:57,143 --> 00:07:59,946 (氷山との接触音) 51 00:08:05,885 --> 00:08:13,893 氷山に接触した直後 事態は 深刻に受け止められてはいなかった。 52 00:08:28,775 --> 00:08:34,080 しかし 浸水は6区画に及んでいた。 53 00:08:38,051 --> 00:08:42,255 船は 徐々に沈み始める。 54 00:08:48,061 --> 00:08:53,366 甲板には 避難を求める乗客があふれた。 55 00:08:55,201 --> 00:08:59,072 ところが 不沈船と考えられていた船は➡ 56 00:08:59,072 --> 00:09:04,444 全員が乗るだけの救命ボートを 積んでいなかった。 57 00:09:04,444 --> 00:09:09,549 脱出は 女性と子どもを 優先することとなった。 58 00:09:12,519 --> 00:09:18,925 飛び交う絶叫の中で 音楽が奏でられたと伝えられている。 59 00:09:18,925 --> 00:09:22,629 船の楽団員だった。 60 00:09:54,060 --> 00:09:57,597 事故から2時間40分後。 61 00:09:57,597 --> 00:10:02,936 タイタニック号は 暗く冷たい海の中に消えた。 62 00:10:02,936 --> 00:10:08,341 そして 1,500人以上が犠牲となった。 63 00:10:14,614 --> 00:10:19,919 これは 事故から生還した人たちが 取材に応える映像。 64 00:10:19,919 --> 00:10:23,323 700人余りが救助された。 65 00:10:23,323 --> 00:10:29,129 救ったのは 当時 登場したばかりの ある技術だった。 66 00:10:31,030 --> 00:10:33,666 「無線電信」である。 67 00:10:33,666 --> 00:10:39,072 普及間もない電信装置が 船に備え付けられていた。 68 00:10:40,773 --> 00:10:43,977 タイタニック号からの遭難信号を受け➡ 69 00:10:43,977 --> 00:10:50,884 100キロ離れた所にいたカルパチア号が 全速力で救助に向かった。 70 00:10:52,519 --> 00:11:00,226 そして 流氷の海を漂う 救命ボートの人々を引き上げていった。 71 00:11:08,001 --> 00:11:11,504 無線電信を開発したマルコーニに➡ 72 00:11:11,504 --> 00:11:15,108 称賛の声が集まった。 73 00:11:34,193 --> 00:11:38,798 事故後 国際条約で 無線電信の設置と➡ 74 00:11:38,798 --> 00:11:43,636 24時間の通信対応が 義務付けられた。 75 00:11:43,636 --> 00:11:50,743 そして 全員が乗船できるだけの 救命ボートを設置することとなった。 76 00:11:56,816 --> 00:12:00,153 後に 事故原因も分かってきた。 77 00:12:00,153 --> 00:12:07,894 これは 沈没から74年後に 撮影されたタイタニック号。 78 00:12:07,894 --> 00:12:14,300 鋼鉄製の板は 氷山との接触でも 割れてはいなかった。 79 00:12:14,300 --> 00:12:18,905 原因は 板と板を留める リベットと考えられた。 80 00:12:20,707 --> 00:12:23,509 冷たい海水で折れやすくなった状態で➡ 81 00:12:23,509 --> 00:12:28,381 氷山と接触し 外れたのではと 見られている。 82 00:12:28,381 --> 00:12:35,288 ただ 当時の科学技術では どうすることも できなかった。 83 00:12:40,493 --> 00:12:46,499 20世紀 人類の夢は空にも向かった。 84 00:12:51,004 --> 00:12:58,011 東京の上空に全長230mを超える 巨大物体が現れた。 85 00:12:59,712 --> 00:13:08,921 空飛ぶ船 ドイツの「飛行船」である。 世界一周飛行中の寄港だった。 86 00:13:11,157 --> 00:13:15,928 軽くて 強度もある新素材 ジュラルミンを使った骨組みを➡ 87 00:13:15,928 --> 00:13:19,332 水素で浮かび上がらせていた。 88 00:13:21,167 --> 00:13:28,675 乗員乗客60人が くつろげる広さも 兼ね備えていた。 89 00:13:31,377 --> 00:13:36,582 飛行機が まだ少人数しか 乗れなかった時代。 90 00:13:36,582 --> 00:13:43,389 多くの人を乗せて 空を旅するという 夢の実現だった。 91 00:13:43,389 --> 00:13:48,795 船長は ドイツ飛行船の生みの親 ツェッペリンから託された… 92 00:13:51,664 --> 00:13:56,369 5日間で30万人が集まった。 93 00:13:59,138 --> 00:14:08,147 1936年には 世界最大の飛行船 ヒンデンブルク号が誕生する。 94 00:14:09,749 --> 00:14:15,355 ヨーロッパとアメリカを結ぶ 空の定期船だった。 95 00:14:44,083 --> 00:14:46,652 ところが ヒンデンブルク号は➡ 96 00:14:46,652 --> 00:14:53,993 ナチスが台頭すると プロパガンダへの協力を強いられる。 97 00:14:53,993 --> 00:15:01,901 ♬~ 98 00:15:16,582 --> 00:15:22,288 ヒンデンブルク号の不幸は ドイツに生まれたことだった。 99 00:15:24,624 --> 00:15:29,462 エッケナーは このころ 燃えやすい水素ではなく➡ 100 00:15:29,462 --> 00:15:34,267 燃えないヘリウムで 浮力を得ようとしていた。 101 00:15:35,968 --> 00:15:40,306 しかし ヘリウムの 一大生産地のアメリカは➡ 102 00:15:40,306 --> 00:15:45,178 ナチスへの警戒から ドイツへの輸出を禁止。 103 00:15:45,178 --> 00:15:48,481 ヘリウムは 入手できなかった。 104 00:15:51,083 --> 00:15:55,321 1937年5月6日。 105 00:15:55,321 --> 00:16:00,293 ニューヨーク摩天楼の上空に現れた ヒンデンブルク号。 106 00:16:00,293 --> 00:16:06,699 定期船として ドイツから 97人の乗員乗客を乗せていた。 107 00:16:10,903 --> 00:16:15,808 ニューヨーク郊外の基地に 降り立とうとしたときだった。 108 00:16:19,946 --> 00:16:22,849 (燃える音) 109 00:16:40,700 --> 00:16:52,078 ♬~ 110 00:16:52,078 --> 00:16:59,185 36人が亡くなり 50人以上が けがを負う 大惨事となった。 111 00:17:03,122 --> 00:17:11,831 事故は 静電気によって発生した火花が 水素に引火したことが原因とみられた。 112 00:17:11,831 --> 00:17:25,745 ♬~ 113 00:17:27,346 --> 00:17:30,049 アメリカでの事故調査委員会には➡ 114 00:17:30,049 --> 00:17:34,153 ドイツから駆けつけた エッケナーの姿もあった。 115 00:18:03,849 --> 00:18:09,755 空に向かった人類の夢は 「速さ」も求めていく。 116 00:18:15,161 --> 00:18:18,798 1952年 イギリスは➡ 117 00:18:18,798 --> 00:18:25,571 世界初のジェット旅客機「コメット」の 運航を始めた。 118 00:18:25,571 --> 00:18:31,777 搭載されたのは 戦闘機用に 開発されたジェットエンジン。 119 00:18:33,346 --> 00:18:38,150 強力な推進力で 高高度での飛行を実現。 120 00:18:38,150 --> 00:18:44,457 空気抵抗が減るため スピードは 時速700キロまで伸びた。 121 00:18:46,025 --> 00:18:51,731 「世界は近くなった」。 人々の胸は躍った。 122 00:18:54,500 --> 00:18:57,203 ところが…。 123 00:19:07,713 --> 00:19:11,917 運航開始から2年後の 1954年。 124 00:19:11,917 --> 00:19:17,523 コメットは 続けて 2度の墜落事故を起こした。 125 00:19:24,063 --> 00:19:28,234 原因究明が始まる。 126 00:19:28,234 --> 00:19:32,104 これは 高高度と地上を 行き来する飛行機が➡ 127 00:19:32,104 --> 00:19:37,943 急激な気圧の変化で受ける 影響を調べる実験。 128 00:19:37,943 --> 00:19:44,150 水槽の中で 機体にかかる圧力を変えていく。 129 00:19:46,752 --> 00:19:51,557 1万8,000回の離着陸に 耐えられるはずだった機体は➡ 130 00:19:51,557 --> 00:19:55,661 3,000回で亀裂が生じた。 131 00:19:57,363 --> 00:20:01,167 圧力が繰り返し変化することで 強度が下がる➡ 132 00:20:01,167 --> 00:20:04,870 「金属疲労」を起こしていた。 133 00:20:04,870 --> 00:20:10,876 亀裂が きっかけとなり 機体は空中分解した。 134 00:20:12,912 --> 00:20:18,317 この実験後 機体の構造の見直しが始まる。 135 00:20:23,556 --> 00:20:28,661 これは アメリカ ボーイング社の 実験映像。 136 00:20:33,232 --> 00:20:36,435 金属疲労が 一部で起こったとしても➡ 137 00:20:36,435 --> 00:20:42,141 機体全体の破壊には 至らない構造を 模索していった。 138 00:20:46,512 --> 00:20:52,318 考えられたのは 骨組みと外板を 直接貼り付けていた構造に➡ 139 00:20:52,318 --> 00:20:58,124 アルミ合金の補強材を挟むことだった。 140 00:20:58,124 --> 00:21:05,931 装置は いつか必ず壊れることを前提とし 安全対策を二重三重に行う➡ 141 00:21:05,931 --> 00:21:10,536 「フェール・セーフ」という 設計手法が定着してゆく。 142 00:21:14,273 --> 00:21:20,079 コメット事故の教訓は 新たな発明も生んだ。 143 00:21:20,079 --> 00:21:23,082 「ブラックボックス」である。 144 00:21:25,484 --> 00:21:28,387 機内での音声を記録。 145 00:21:28,387 --> 00:21:34,093 飛行データとあわせて 事故の解明に 役立てることを目指した。 146 00:21:56,315 --> 00:22:01,220 これは1984年 アメリカで行われた➡ 147 00:22:01,220 --> 00:22:06,292 遠隔操作による 飛行機の墜落実験の映像である。 148 00:22:06,292 --> 00:22:25,644 ♬~ 149 00:22:25,644 --> 00:22:28,414 機械は必ず壊れる。 150 00:22:28,414 --> 00:22:35,821 そのときに いかに人命を 危険にさらさないか人智を尽くしてきた。 151 00:22:43,896 --> 00:22:48,400 それでも飛行機事故は ゼロには ならなかった。 152 00:22:50,603 --> 00:22:54,540 人間のミスである。 153 00:22:54,540 --> 00:23:03,315 1977年 スペインの空港で 2機の飛行機が衝突した。 154 00:23:03,315 --> 00:23:06,986 合わせて583人の 犠牲者を出す➡ 155 00:23:06,986 --> 00:23:12,191 航空機史上 最悪の事故だった。 156 00:23:16,061 --> 00:23:21,867 事故は 深い霧に覆われた 滑走路で起こった。 157 00:23:21,867 --> 00:23:27,306 待機するオランダ機と 移動するアメリカ機。 158 00:23:27,306 --> 00:23:29,975 C1出口に さしかかったとき➡ 159 00:23:29,975 --> 00:23:32,678 アメリカ機は 管制官から➡ 160 00:23:32,678 --> 00:23:36,582 3つ目の出口から 出るよう指示を受ける。 161 00:23:36,582 --> 00:23:40,386 アメリカ機は C3出口を目指す。 162 00:23:40,386 --> 00:23:43,289 しかし 霧で出口を確認できず➡ 163 00:23:43,289 --> 00:23:48,794 C4出口を 3つ目と勘違いしてしまった。 164 00:23:48,794 --> 00:23:51,430 そのとき 待機するオランダ機は➡ 165 00:23:51,430 --> 00:23:55,401 「離陸を開始する」と 管制官に伝えた。 166 00:23:55,401 --> 00:23:58,203 管制官は 離陸を許可せず➡ 167 00:23:58,203 --> 00:24:02,041 「OK… 次の指示を待て」と 返答した。 168 00:24:02,041 --> 00:24:03,976 しかし オランダ機は➡ 169 00:24:03,976 --> 00:24:08,180 この「OK」だけに 反応してしまった。 170 00:24:08,180 --> 00:24:10,816 オランダ機は離陸を開始。 171 00:24:10,816 --> 00:24:16,021 そして 2機は衝突した。 172 00:24:18,190 --> 00:24:25,197 判断ミスと コミュニケーションの食い違いが 重なって起こった 大惨事だった。 173 00:24:28,934 --> 00:24:32,404 人間は 間違える。 174 00:24:32,404 --> 00:24:38,344 事故ゼロに向けた最後の壁は 人間である。 175 00:24:38,344 --> 00:24:41,180 (爆発音) 176 00:24:41,180 --> 00:24:46,585 同時に 事故をゼロにできるのも また 人間しかない。 177 00:24:54,960 --> 00:25:01,333 1960年代に入ると 人類は 宇宙にも飛び出してゆく。 178 00:25:01,333 --> 00:25:04,303 しかし 宇宙は未知の世界。 179 00:25:04,303 --> 00:25:07,940 さまざまな事故が起こった。 180 00:25:07,940 --> 00:25:12,378 最も悲惨な事故が 1986年の➡ 181 00:25:12,378 --> 00:25:17,316 スペースシャトル 「チャレンジャー号」だった。 182 00:25:17,316 --> 00:25:24,356 スペースシャトル 25回目の打ち上げは 特別な挑戦になるはずだった。 183 00:25:24,356 --> 00:25:29,728 搭乗する7人の中に 初めて一般の高校教師が選ばれ➡ 184 00:25:29,728 --> 00:25:36,635 宇宙から 地球の子どもたちに向け 30分の授業を行う予定だった。 185 00:25:56,755 --> 00:26:00,259 子どもたちが見守っていた。 186 00:26:00,259 --> 00:26:03,162 「3 2 1…」。 187 00:26:08,333 --> 00:26:14,540 午前11時38分。 チャレンジャー号が飛び立った。 188 00:26:14,540 --> 00:26:20,045 (歓声) 189 00:26:23,549 --> 00:26:30,155 左右の補助ロケットの 推進力で 宇宙空間へ乗り出そうとした そのとき。 190 00:26:39,898 --> 00:26:42,835 (爆発音) 191 00:26:42,835 --> 00:26:50,142 打ち上げから 73秒後 機体は空中分解を起こし 炎上した。 192 00:26:53,946 --> 00:26:58,750 7人の乗組員 全員が死亡した。 193 00:27:02,688 --> 00:27:05,557 事故から5日。 194 00:27:05,557 --> 00:27:12,831 原因究明が進められる中 ある箇所に注目が集まった。 195 00:27:12,831 --> 00:27:16,735 補助ロケットの上に見えた炎だった。 196 00:27:20,706 --> 00:27:25,377 実は 打ち上げ前 補助ロケットの製造メーカーが➡ 197 00:27:25,377 --> 00:27:30,182 ある部品についての懸念を NASAに伝えていた。 198 00:27:32,551 --> 00:27:37,055 その部品は 補助ロケットの接合部にある。 199 00:27:40,292 --> 00:27:46,832 その中の「Oリング」という ゴム素材についての懸念だった。 200 00:27:46,832 --> 00:27:51,670 Oリングは 熱で膨張する 接合部の隙間を埋め➡ 201 00:27:51,670 --> 00:27:55,274 燃料漏れを防ぐ役割を果たす。 202 00:27:57,075 --> 00:28:04,783 打ち上げ当日の朝 寒波に見舞われた フロリダの気温は マイナス2度。 203 00:28:04,783 --> 00:28:12,558 寒さで ゴムの弾力性が失われ 役割を果たせない危険性があった。 204 00:28:12,558 --> 00:28:15,928 メーカーは 気温12度になるまで➡ 205 00:28:15,928 --> 00:28:20,332 打ち上げを延期するよう NASAに求めていた。 206 00:28:22,167 --> 00:28:26,038 それでも なぜ打ち上げられたのか。 207 00:28:26,038 --> 00:28:31,143 事故調査委員会の公聴会で 経緯が 明らかにされた。 208 00:28:33,545 --> 00:28:35,881 NASAはメーカー側に➡ 209 00:28:35,881 --> 00:28:42,621 低温が Oリングに もたらす危険性を データで示すよう求めていた。 210 00:28:42,621 --> 00:28:44,990 ところが メーカー側には➡ 211 00:28:44,990 --> 00:28:49,094 安全でないことを証明する データは なかった。 212 00:28:52,297 --> 00:28:54,633 最終的に メーカーは➡ 213 00:28:54,633 --> 00:28:59,037 打ち上げ延期の訴えを 取り下げていた。 214 00:29:22,261 --> 00:29:32,871 17年後 NASAは またしても技術陣の懸念に 十分対応できず 事故を起こす。 215 00:29:32,871 --> 00:29:40,545 地球への帰還のため 大気圏に突入した 「コロンビア号」が 空中分解した。 216 00:29:40,545 --> 00:29:46,652 その後 スペースシャトル計画は 幕を閉じた。 217 00:30:01,600 --> 00:30:04,936 1986年4月。 218 00:30:04,936 --> 00:30:11,410 ソビエト チェルノブイリ原子力発電所が 爆発した。 219 00:30:11,410 --> 00:30:15,380 現場は 4つある原子炉のうちの1つ。 220 00:30:15,380 --> 00:30:22,487 訓練で緊急停止ボタンを入れたとき 暴走 爆発に至った。 221 00:30:24,289 --> 00:30:34,299 おびただしい量の放射性物質が放出され 北半球全域に及ぶ範囲に広がった。 222 00:30:38,670 --> 00:30:45,744 エネルギーの安定供給を求め 人類がたどりついた 原子力発電。 223 00:30:45,744 --> 00:30:52,651 この巨大な力との 壮絶な闘いが始まった。 224 00:30:57,355 --> 00:30:59,891 (無線の声) 225 00:30:59,891 --> 00:31:02,828 危険な炉心を封じ込めるため➡ 226 00:31:02,828 --> 00:31:10,035 放射性物質を吸収するホウ素や砂など 5,000tが投下された。 227 00:31:12,170 --> 00:31:22,314 これは 爆発直後 大量に被ばくした 原発運転員や消防士の映像である。 228 00:31:22,314 --> 00:31:31,123 ソビエトは後に 急性の放射線障害で 28人が死亡したと公表した。 229 00:31:36,695 --> 00:31:42,300 それでも 拡散した核燃料や がれきを撤去するため➡ 230 00:31:42,300 --> 00:31:46,705 生身の人間が 送り込まれた。 231 00:32:03,622 --> 00:32:10,128 身を守るのは 鉛で作られた 重さ20キロの防護服。 232 00:32:23,575 --> 00:32:31,583 1回の作業時間は 僅か90秒。 決死の作業が続いた。 233 00:32:36,988 --> 00:32:44,596 彼らは「リクビダートル」 後始末をする人と呼ばれた。 234 00:32:44,596 --> 00:32:49,534 軍人だけでなく 民間人も 全土から動員された。 235 00:32:49,534 --> 00:32:55,240 その数は 53万人に上った。 236 00:33:26,972 --> 00:33:29,374 (扉が閉まる音) 237 00:33:29,374 --> 00:33:32,377 事故対策を 最前線で指揮したのは➡ 238 00:33:32,377 --> 00:33:38,984 原子力研究者の ワレリー・レガソフ博士である。 239 00:33:38,984 --> 00:33:43,989 事故の収束に 大きな役割を果たした。 240 00:33:55,433 --> 00:34:02,641 2か月後 博士は 事故調査の結果を ソ連当局に提出した。 241 00:34:05,610 --> 00:34:09,948 報告書には 原子炉を停止させる際➡ 242 00:34:09,948 --> 00:34:14,819 核分裂反応を抑える「制御棒」の欠陥が 記されていた。 243 00:34:14,819 --> 00:34:21,126 ソビエトの原子炉が 技術的に 不完全であったことを示していた。 244 00:34:23,495 --> 00:34:29,801 ソビエトの原発政策の根底を揺るがす 報告だった。 245 00:35:01,232 --> 00:35:07,606 その後 レガソフは IAEA 国際原子力機関の会議に➡ 246 00:35:07,606 --> 00:35:12,277 ソビエト代表として出席した。 247 00:35:12,277 --> 00:35:15,947 国内での報告から 一転し➡ 248 00:35:15,947 --> 00:35:20,952 原発技術に問題はなかったと主張した。 249 00:35:39,971 --> 00:35:47,679 そして 事故原因を 「原発運転員の規則違反」などと報告した。 250 00:35:50,315 --> 00:35:57,022 レガソフには ソビエトの中枢から 大きな圧力が かかっていた。 251 00:35:58,657 --> 00:36:03,662 ソ連崩壊後 当時の首相が語った。 252 00:36:29,954 --> 00:36:37,295 ♬~ 253 00:36:37,295 --> 00:36:39,631 事故から 2年後。 254 00:36:39,631 --> 00:36:44,969 レガソフは 自ら命を絶った。 255 00:36:44,969 --> 00:36:50,675 死の直前 共産党の機関誌に 文章を寄せていた。 256 00:37:16,901 --> 00:37:21,606 チェルノブイリの事故から 25年後。 257 00:37:21,606 --> 00:37:28,313 今度は日本で 原発の巨大事故が発生した。 258 00:37:30,949 --> 00:37:38,957 万全と考えていた安全対策は 「想定外」という事態に無力だった。 259 00:37:41,593 --> 00:37:45,497 津波に備えた防潮堤はあった。 260 00:37:45,497 --> 00:37:48,500 しかし 想定は 5.7メートル。 261 00:37:48,500 --> 00:37:53,638 そこに 15メートル前後の津波が襲った。 262 00:37:53,638 --> 00:38:02,647 非常用電源など 原子炉を守る 二重三重の安全設備は失われた。 263 00:38:04,582 --> 00:38:11,890 原子炉や非常用冷却装置の状態を 把握できない事態に陥った。 264 00:38:13,591 --> 00:38:20,465 原子炉内では 核燃料が溶け出す メルトダウンが起こっていた。 265 00:38:20,465 --> 00:38:25,937 そして 原子炉も 突き破った。 266 00:38:25,937 --> 00:38:31,809 放射性物質の大量流出を防ぐ砦 格納容器を守るために➡ 267 00:38:31,809 --> 00:38:37,515 放射性物質を含んだ気体を放出する ベントを余儀なくされた。 268 00:38:42,287 --> 00:38:47,158 それでも 3つの原子炉建屋で 水素爆発が起こり➡ 269 00:38:47,158 --> 00:38:51,963 放射性物質は流出した。 270 00:38:51,963 --> 00:38:57,268 16万を超える人々が避難するという 事態となった。 271 00:39:02,240 --> 00:39:07,579 「安全性には万全を期している」と 考えられていた日本で起こった➡ 272 00:39:07,579 --> 00:39:11,249 原発の巨大事故。 273 00:39:11,249 --> 00:39:17,555 その衝撃は チェルノブイリ以上に 世界を震撼させた。 274 00:39:19,123 --> 00:39:22,827 (拍手と歓声) 275 00:39:32,270 --> 00:39:38,610 ドイツで稼働する最後の原発が 停止した。 276 00:39:38,610 --> 00:39:44,482 物理学者でもあった メルケル首相は どんなに安全対策を講じても➡ 277 00:39:44,482 --> 00:39:49,787 原発のリスクは 完全には 消しきれないと判断した。 278 00:40:14,312 --> 00:40:19,183 (拍手) 279 00:40:19,183 --> 00:40:24,956 全く新しい考えに基づいて生まれた 原発もある。 280 00:40:24,956 --> 00:40:29,661 フィンランドでは 「事故は起きうるもの」 という前提で➡ 281 00:40:29,661 --> 00:40:35,333 放射性物質を閉じ込める設計が あらかじめ されている。 282 00:40:35,333 --> 00:40:39,003 世界では 2050年までに➡ 283 00:40:39,003 --> 00:40:44,709 原発の規模が 現在の3倍に増える見込みである。 284 00:40:48,012 --> 00:40:55,353 今年1月 世界最大 1万人収容可能な 旅客船が就航した。 285 00:40:55,353 --> 00:41:00,959 それは まるで 動く巨大なテーマパーク。 286 00:41:00,959 --> 00:41:07,665 最適な航路を選ぶのは 人工知能 AIである。 287 00:41:09,634 --> 00:41:16,507 今や 世界の在り方を 大きく変えつつある AI。 288 00:41:16,507 --> 00:41:20,278 中国やアメリカでは 既に公道を➡ 289 00:41:20,278 --> 00:41:25,983 AIを活用した 無人タクシーが走っている。 290 00:41:30,922 --> 00:41:36,627 一方で 事故も起こっている。 291 00:41:38,997 --> 00:41:44,669 テスラ社の自動運転支援システム使用中の 事故である。 292 00:41:44,669 --> 00:41:49,006 アメリカでは 死亡事故も発生した。 293 00:41:49,006 --> 00:41:55,680 テスラ社は 350万台のリコールに追い込まれた。 294 00:41:55,680 --> 00:42:00,952 テスラ社CEO イーロン・マスクの掲げる もう一つのミッションは➡ 295 00:42:00,952 --> 00:42:04,622 宇宙開発である。 296 00:42:04,622 --> 00:42:11,295 これは 100人乗りの巨大宇宙船を 着陸させる実験。 297 00:42:11,295 --> 00:42:14,198 失敗は織り込み済み。 298 00:42:14,198 --> 00:42:18,169 2026年には 人間を乗せ➡ 299 00:42:18,169 --> 00:42:23,875 その先には 火星移住の未来も描いている。 300 00:42:48,100 --> 00:42:57,308 39年前 日航機が墜落し 520人が亡くなった御巣鷹の尾根。 301 00:42:59,944 --> 00:43:06,617 最近では 列車事故や災害で 大切な人を失った人も訪れ➡ 302 00:43:06,617 --> 00:43:12,924 巨大事故の犠牲者を悼む 象徴的な場所となっている。 303 00:43:16,961 --> 00:43:20,965 あの日 事故を伝えた… 304 00:43:23,301 --> 00:43:30,007 87歳の今も 8月の慰霊登山を続けている。 305 00:44:07,278 --> 00:44:37,975 ♬~