1 00:00:00,901 --> 00:00:08,175 ♬~ 2 00:00:08,175 --> 00:00:11,378 1976年5月➡ 3 00:00:11,378 --> 00:00:17,050 東シナ海で ある画期的な工事が 始まろうとしていた。 4 00:00:17,050 --> 00:00:18,986 え~ ブリッジから…。 5 00:00:18,986 --> 00:00:29,596 日本と中国の間に通信用の海底ケーブルを 設置する工事である。 6 00:00:31,398 --> 00:00:36,603 この4年前 日本と中国は 国交を正常化。 7 00:00:36,603 --> 00:00:39,907 初めての 共同プロジェクトだった。 8 00:00:41,742 --> 00:00:49,750 3か月間をかけて 850キロの距離を 1本のケーブルで結んだ。 9 00:00:53,086 --> 00:01:02,296 それは 中国が 日本を経由して 国際通信網とつながる手段となった。 10 00:01:16,243 --> 00:01:18,645 いやぁ おめでとう 今日は。 11 00:01:18,645 --> 00:01:26,553 国際社会に 新たな巨大国家が 現れた瞬間だった。 12 00:01:30,691 --> 00:01:34,695 離れた場所と場所とをつなぐ。 13 00:01:34,695 --> 00:01:42,903 人類は 新たな つながりを求め 世界各地で巨大工事を推し進めてきた。 14 00:01:45,606 --> 00:01:48,909 太平洋と大西洋を結んだ… 15 00:01:53,347 --> 00:02:00,120 2つの海を移動する手段を手に入れた アメリカは 覇権国家へと上り詰めた。 16 00:02:00,120 --> 00:02:05,726 ♬~ 17 00:02:05,726 --> 00:02:09,129 ユーラシア大陸を横断する… 18 00:02:13,266 --> 00:02:20,273 ヨーロッパとアジアが結ばれ 巨大国家ソビエトの支配を広げた。 19 00:02:23,443 --> 00:02:26,647 イギリスとフランスをつないだ… 20 00:02:31,818 --> 00:02:39,626 イギリスとヨーロッパ大陸とを地続きにし EUの拡大を後押しした。 21 00:02:41,595 --> 00:02:43,997 ⚟発破! (爆発音) 22 00:02:43,997 --> 00:02:49,736 離れた場所と場所とをつなげるという 人類の夢。 23 00:02:49,736 --> 00:02:57,811 その夢を実現するために 巨大工事は 世界の難所に挑んできた。 24 00:02:57,811 --> 00:03:01,114 ♬~ 25 00:03:01,114 --> 00:03:06,453 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 26 00:03:06,453 --> 00:03:11,892 巨大工事によって 世界は どう つながってきたのか。 27 00:03:11,892 --> 00:03:16,696 夢と欲望の100年の 記録である。 28 00:03:16,696 --> 00:03:28,608 ♬~ 29 00:03:30,243 --> 00:03:34,614 これは 古代ギリシャを描いた アニメーション。 30 00:03:34,614 --> 00:03:40,320 運搬船は 時に陸路を使い 目的地に向かうことがあった。 31 00:03:42,289 --> 00:03:47,894 一刻も早く物資を届けるために 大回りとなる水路ではなく➡ 32 00:03:47,894 --> 00:03:54,167 労力をかけても 陸路で最短距離を行くためだった。 33 00:03:54,167 --> 00:04:02,075 水路と水路をつなげる運河は 「より早く 移動したい」と願う 人類の夢だった。 34 00:04:03,910 --> 00:04:11,218 1年に航行する船舶 1万4,000隻 太平洋と大西洋を結ぶ… 35 00:04:13,820 --> 00:04:21,928 全長80キロのパナマ運河が 太平洋と 大西洋との往来を可能にしている。 36 00:04:26,066 --> 00:04:33,373 20世紀初頭 運河ができる前の パナマの 山地を撮影した映像である。 37 00:04:35,075 --> 00:04:41,381 放置されているのは 19世紀末 運河建設に挑んだものの挫折した➡ 38 00:04:41,381 --> 00:04:45,986 フランスによる工事の残骸である。 39 00:04:45,986 --> 00:04:49,723 工事は 8年続けられたが➡ 40 00:04:49,723 --> 00:04:55,328 熱帯の感染症の猛威も加わり 2万人余りが命を落とした。 41 00:04:56,963 --> 00:04:59,900 画家のゴーギャンも この工事に従事し➡ 42 00:04:59,900 --> 00:05:02,602 マラリアを 患っていた。 43 00:05:24,424 --> 00:05:31,298 実現不可能と思われていた運河建設に 新たに挑戦したのが アメリカだった。 44 00:05:31,298 --> 00:05:33,600 決断を下したのは… 45 00:05:37,837 --> 00:05:44,711 きっかけは キューバをめぐって争った スペインとの戦争だった。 46 00:05:44,711 --> 00:05:48,481 アメリカは 太平洋にいた戦艦が➡ 47 00:05:48,481 --> 00:05:51,952 大西洋側の キューバでの決戦に遅れるという➡ 48 00:05:51,952 --> 00:05:55,655 苦い経験を していた。 49 00:06:21,414 --> 00:06:28,221 工事は 山々を削り取り そこに 全長80キロの水路を通すという➡ 50 00:06:28,221 --> 00:06:33,026 途方もないものだった。 51 00:06:33,026 --> 00:06:35,929 (爆発音) 52 00:06:37,597 --> 00:06:42,702 山を崩すのは 大量のダイナマイト。 53 00:06:44,437 --> 00:06:49,943 流れ出た土砂を 蒸気ショベルが 取り除いていく。 54 00:06:49,943 --> 00:06:54,047 1日に100台以上 稼働させた。 55 00:06:59,386 --> 00:07:04,391 フランス時代の10倍以上の数だった。 56 00:07:08,428 --> 00:07:12,999 更に 土砂運搬用の鉄道も整備した。 57 00:07:12,999 --> 00:07:20,006 毎日500本が運行され 廃棄場所までピストン輸送した。 58 00:07:25,011 --> 00:07:33,720 過酷な現場で働く労働者には 賃金や住宅など 手厚い待遇で応えた。 59 00:07:33,720 --> 00:07:39,225 10年にわたる工事で 中南米やヨーロッパ アジアなど➡ 60 00:07:39,225 --> 00:07:46,232 延べ33万4,000人を雇い入れる 巨大国家プロジェクトであった。 61 00:08:06,286 --> 00:08:11,491 しかし工事には 難所が立ちはだかった。 62 00:08:11,491 --> 00:08:18,264 断層が多く 地層も複雑に重なる クレブラ山地である。 63 00:08:18,264 --> 00:08:24,070 土砂崩れや地滑りで 作業員は次々に命を落とした。 64 00:08:24,070 --> 00:08:29,576 フランスが 建設を断念した理由でもあった。 65 00:08:48,228 --> 00:08:54,534 アメリカがとったのは 水門式という方法だった。 66 00:08:56,369 --> 00:08:59,973 運河を区画ごとに 水門で仕切り➡ 67 00:08:59,973 --> 00:09:03,743 水の力で 船を エレベーターのように持ち上げ➡ 68 00:09:03,743 --> 00:09:05,945 山を越えさせる。 69 00:09:07,714 --> 00:09:14,521 高い技術は求められるが 山の全てを海面まで削る必要がなくなり➡ 70 00:09:14,521 --> 00:09:18,425 工事のリスクは下がった。 71 00:09:20,193 --> 00:09:23,696 更に 感染症対策も進めた。 72 00:09:23,696 --> 00:09:32,205 感染を広げる蚊が生息する やぶや沼を 大規模に清掃した。 73 00:09:32,205 --> 00:09:37,043 パナマ市全ての家庭にも殺虫剤をまいた。 74 00:09:37,043 --> 00:09:41,548 2年間で患者は激減した。 75 00:09:43,249 --> 00:09:46,252 そして 開始から10年目の… 76 00:09:49,856 --> 00:09:52,859 工事は最終段階を迎えた。 77 00:09:54,527 --> 00:10:00,333 これは 運河の太平洋側と大西洋側が 合流する地点。 78 00:10:00,333 --> 00:10:06,539 2つの海を隔てる堤防の爆破が 総仕上げだった。 79 00:10:08,475 --> 00:10:13,046 午後2時。 新たに大統領となっていた ウィルソンが➡ 80 00:10:13,046 --> 00:10:17,450 爆破ボタンをワシントンで押した。 81 00:10:19,152 --> 00:10:23,890 (爆破音) 82 00:10:23,890 --> 00:10:32,465 その電信が 3,000キロ離れたパナマに届き 運河は つながった。 83 00:10:32,465 --> 00:10:40,206 ♬~ 84 00:10:40,206 --> 00:10:45,211 巨大な水門を閉じ 水を満たしていくと…。 85 00:10:48,915 --> 00:10:54,487 船は エレベーターのように 押し上げられていく。 86 00:10:54,487 --> 00:11:01,294 工事期間10年3か月。 5,609人の犠牲者。 87 00:11:01,294 --> 00:11:07,534 アメリカの国家予算の半分に匹敵する 3億5,000万ドルを費やし➡ 88 00:11:07,534 --> 00:11:11,938 パナマ運河は完成した。 89 00:11:38,097 --> 00:11:40,700 (発射音) 90 00:11:40,700 --> 00:11:46,706 パナマ運河が真価を発揮したのは 第二次世界大戦の時だった。 91 00:12:00,353 --> 00:12:05,124 アメリカは ヨーロッパとアジア 両面で戦ったが➡ 92 00:12:05,124 --> 00:12:11,898 運河を活用して 戦力を短時間に移動させ 戦争に勝利した。 93 00:12:11,898 --> 00:12:20,106 ♬~ 94 00:12:23,276 --> 00:12:31,985 19世紀末 ユーラシア大陸では 世界最長の 距離をつなぐ鉄道工事が始まっていた。 95 00:12:31,985 --> 00:12:37,290 これは ロシア極東の建設現場を記録した映像。 96 00:12:37,290 --> 00:12:44,297 清朝 中国から来た辮髪の働き手など さまざまな人々が従事していた。 97 00:12:46,599 --> 00:12:49,369 モスクワとウラジオストクを結ぶ➡ 98 00:12:49,369 --> 00:12:51,704 全長9,300キロの➡ 99 00:12:51,704 --> 00:12:55,508 シベリア鉄道の建設である。 100 00:12:55,508 --> 00:13:00,113 帝政ロシアのもとで始まった工事は➡ 101 00:13:00,113 --> 00:13:05,985 アジアとの交易やシベリア開発を目的に 25年がかりで進められ➡ 102 00:13:05,985 --> 00:13:10,690 1916年に完成した。 103 00:13:12,558 --> 00:13:20,433 ところが よくとし 帝政ロシアは 革命によって崩壊する。 104 00:13:20,433 --> 00:13:24,604 国内は内戦状態に陥った。 105 00:13:24,604 --> 00:13:29,442 レーニン率いるボリシェビキは 鉄道を駆使して➡ 106 00:13:29,442 --> 00:13:35,248 東部のシベリア方面へ 支配地域を広げていった。 107 00:13:35,248 --> 00:13:40,453 革命に揺れるロシアを描いた映画 「ドクトル・ジバゴ」。 108 00:13:40,453 --> 00:13:46,893 革命軍を表す赤色に装飾された機関車が 登場する。 109 00:13:46,893 --> 00:13:52,665 列車内部は 作戦司令室として使われた。 110 00:13:52,665 --> 00:13:58,471 鉄道で長距離移動を繰り返しながら 内戦を戦った。 111 00:14:01,240 --> 00:14:08,748 勝敗の決め手となるのは 駅や線路を制圧することだった。 112 00:14:24,764 --> 00:14:30,370 そして 1922年 ソビエト連邦が誕生。 113 00:14:30,370 --> 00:14:33,806 最高指導者となったスターリンは➡ 114 00:14:33,806 --> 00:14:36,709 新たに シベリア鉄道と接続する➡ 115 00:14:36,709 --> 00:14:40,113 支線の建設を進める。 116 00:14:41,948 --> 00:14:43,916 農作物や鉱物資源などの➡ 117 00:14:43,916 --> 00:14:49,021 輸送ルートを作るためだった。 118 00:14:50,690 --> 00:14:55,261 これは ある支線の工事を記録した映画。 119 00:14:55,261 --> 00:14:59,499 シベリア鉄道のノボシビルスクから➡ 120 00:14:59,499 --> 00:15:05,004 中央アジア タシケントにつながる 支線だった。 121 00:15:06,639 --> 00:15:12,645 この沿線は 綿花や羊毛の一大生産地だった。 122 00:15:15,381 --> 00:15:19,218 工事には別の思惑もあった。 123 00:15:19,218 --> 00:15:26,993 多くの民族を強引に統合した国家への 忠誠心を植え付けることだった。 124 00:15:26,993 --> 00:15:32,698 沿線沿いの住民たちが 団結して働く様子が描かれている。 125 00:15:34,700 --> 00:15:38,271 ♬~ 126 00:15:38,271 --> 00:15:44,677 映画では ソビエトの技術力の高さも 強調されている。 127 00:15:44,677 --> 00:15:58,057 ♬~ 128 00:15:58,057 --> 00:16:01,961 住民たちが 馬で機関車を追いかけるが…。 129 00:16:01,961 --> 00:16:05,131 ♬~ 130 00:16:05,131 --> 00:16:08,067 追いつかない。 131 00:16:08,067 --> 00:16:12,338 ♬~ 132 00:16:12,338 --> 00:16:15,842 中央アジアの人々が 初めて触れる文明だった。 133 00:16:17,543 --> 00:16:20,746 映画は ソビエト各地で 上映され➡ 134 00:16:20,746 --> 00:16:28,354 連邦の一員としての意識を高めることに つながったといわれる。 135 00:16:33,259 --> 00:16:38,064 スターリンは 更なる支線の建設に乗り出す。 136 00:16:38,064 --> 00:16:41,567 理由は 日本への警戒だった。 137 00:16:47,640 --> 00:16:53,279 1932年 日本は満州国を建国する。 138 00:16:53,279 --> 00:16:58,618 シベリア鉄道は 満州国の国境と接することになった。 139 00:16:58,618 --> 00:17:02,889 すると ソビエトは シベリア鉄道の北側に➡ 140 00:17:02,889 --> 00:17:04,824 4,000キロを 超える➡ 141 00:17:04,824 --> 00:17:07,727 バム鉄道を 建設し始めた。 142 00:17:07,727 --> 00:17:12,031 沿線には軍需工場を 造る予定だった。 143 00:17:13,100 --> 00:17:21,007 しかし 未開のシベリアの荒野に 鉄道を敷くのは 困難を極めた。 144 00:17:22,708 --> 00:17:31,317 沿線で労働者を確保できず 政治犯など 大量の囚人が動員された。 145 00:17:34,620 --> 00:17:43,462 更に 第二次世界大戦で勝利したあとも スターリンは バム鉄道建設を続けた。 146 00:17:43,462 --> 00:17:50,036 動員したのは 満州などで捕らえられた 日本軍捕虜や民間人だった。 147 00:17:50,036 --> 00:17:55,908 バム鉄道建設で働いたのは 15万人以上。 148 00:17:55,908 --> 00:18:00,913 命を落とす者も数多くいた。 149 00:18:31,243 --> 00:18:37,350 バム鉄道が開通したのは 1984年のことである。 150 00:18:37,350 --> 00:18:40,319 ソビエトのシベリア開発を担い➡ 151 00:18:40,319 --> 00:18:47,226 木材や鉱物資源を運び続けた。 152 00:18:51,664 --> 00:18:54,900 (爆発音) 153 00:18:54,900 --> 00:19:02,908 第二次世界大戦が終わると 各国で復興工事が始まった。 154 00:19:06,012 --> 00:19:10,316 敗戦国日本の電力不足は深刻だった。 155 00:19:10,316 --> 00:19:14,754 復興をかけた巨大工事が 始まろうとしていた。 156 00:19:14,754 --> 00:19:17,657 (爆発音) 157 00:19:17,657 --> 00:19:25,464 黒部川第四水力発電所。 黒部ダム建設である。 158 00:19:27,333 --> 00:19:33,739 富山県 北アルプス立山連峰の黒部峡谷。 159 00:19:33,739 --> 00:19:36,542 そこに 水力発電用の➡ 160 00:19:36,542 --> 00:19:40,346 巨大なダムを建設する計画だった。 161 00:19:42,348 --> 00:19:50,356 しかし現場は 断崖絶壁に囲まれた 人跡未踏の地。 162 00:19:52,024 --> 00:20:00,232 ダム建設に必要な 大量のコンクリートや 重機などの運搬ルートなど なかった。 163 00:20:03,669 --> 00:20:11,277 そこで 建設予定地に直結する 5.4キロのトンネルを掘ることになった。 164 00:20:14,046 --> 00:20:17,917 工事を担ったのは 若者たち。 165 00:20:17,917 --> 00:20:22,088 炭鉱や農業からの産業転換が 図られていた時代➡ 166 00:20:22,088 --> 00:20:27,093 働き場所を求めて やって来た。 167 00:20:31,497 --> 00:20:38,804 厳冬の黒部に住み込み 24時間3交代で働いた。 168 00:20:40,272 --> 00:20:43,609 しかし 着工から9か月。 169 00:20:43,609 --> 00:20:49,715 トンネルの半分まで掘り進んだ時 最大の事故が起きる。 170 00:20:51,350 --> 00:20:58,090 事故の様子が 劇映画「黒部の太陽」で 描かれている。 171 00:20:58,090 --> 00:21:03,429 実際に事故を経験した作業員が監修した。 172 00:21:03,429 --> 00:21:07,032 (物音) 173 00:21:09,235 --> 00:21:12,705 (物音) 174 00:21:12,705 --> 00:21:16,275 退避~! 全員 退避~! 175 00:21:16,275 --> 00:21:23,382 (水音) 176 00:21:23,382 --> 00:21:28,254 岩盤の先から 突然 水が大量に流れだした。 177 00:21:28,254 --> 00:21:32,591 (水音) 178 00:21:32,591 --> 00:21:40,099 雪解け水が 破砕帯と呼ばれる もろい地層から噴き出したのだ。 179 00:21:45,171 --> 00:21:52,478 巨大な断層帯のリスクは分かってはいたが 想像をはるかに超えるものだった。 180 00:21:54,280 --> 00:21:57,683 トンネルを掘り進めることはできず➡ 181 00:21:57,683 --> 00:22:02,988 ひたすら水を抜く作業を 続けるしかなかった。 182 00:22:20,840 --> 00:22:29,381 山の圧力で 岩盤を支える木や鉄の枠は 押し潰された。 183 00:22:29,381 --> 00:22:31,984 お~い 大変だ! お~い! 184 00:23:04,216 --> 00:23:10,522 工事が停滞して 5か月。 岩盤から噴き出す水が減った。 185 00:23:12,324 --> 00:23:18,130 気温が氷点下を下回り 水が凍りついたのである。 186 00:23:18,130 --> 00:23:22,635 ひたすら水を抜く作業も 効果をあげていた。 187 00:23:22,635 --> 00:23:25,938 このタイミングで工事を再開。 188 00:23:25,938 --> 00:23:28,774 一気に掘り抜いた。 189 00:23:28,774 --> 00:23:41,353 ♬~ 190 00:23:41,353 --> 00:23:45,658 1958年2月25日。 191 00:23:45,658 --> 00:23:51,297 最後の壁は取り除かれ トンネルは貫通した。 192 00:23:51,297 --> 00:23:56,602 ♬~ 193 00:23:56,602 --> 00:23:59,905 やったぞ~! 194 00:24:01,573 --> 00:24:08,681 ダムの建設資材が トンネルで届けられるようになった。 195 00:24:11,684 --> 00:24:14,420 万歳!(一同)万歳! 万歳! 196 00:24:14,420 --> 00:24:18,524 (一同)万歳! 万歳!万歳! 197 00:24:44,249 --> 00:24:49,488 そして 本格的なダム建設が始まった。 198 00:24:49,488 --> 00:24:53,359 作業は 昼夜兼行で進められた。 199 00:24:53,359 --> 00:25:00,733 ♬~ 200 00:25:00,733 --> 00:25:02,668 「スイッチは押された」。 201 00:25:02,668 --> 00:25:07,606 ♬~ 202 00:25:07,606 --> 00:25:14,680 1961年 黒部ダムは発電を開始した。 203 00:25:14,680 --> 00:25:16,949 ♬~ 204 00:25:16,949 --> 00:25:24,156 工事では 171人が亡くなっていた。 205 00:25:24,156 --> 00:25:31,930 難工事を成し遂げた日本は 高度成長へ踏み出していく。 206 00:25:31,930 --> 00:25:36,135 ♬~ 207 00:25:36,135 --> 00:25:39,738 「ハイウエー時代を象徴する 名神高速道路が➡ 208 00:25:39,738 --> 00:25:43,909 9月5日 全長180キロが 開通しました」。 209 00:25:43,909 --> 00:25:51,917 「昭和39年10月1日 ついに 営業開始の日が来ました」。 210 00:25:53,585 --> 00:26:00,592 東京オリンピックを目指して 日本各地がつながった 1964年。 211 00:26:02,895 --> 00:26:10,702 北海道と本州を結ぶ 青函トンネル工事が 始まった。 212 00:26:15,040 --> 00:26:22,714 長さ54キロのトンネルを 掘るのは 津軽海峡の海の下。 213 00:26:22,714 --> 00:26:27,319 ここは 船の墓場と 呼ばれるほどの荒海で➡ 214 00:26:27,319 --> 00:26:32,524 連絡船の沈没事故も起こっていた。 215 00:26:34,092 --> 00:26:36,695 予定された工期は 8年。 216 00:26:36,695 --> 00:26:39,598 青函トンネルに新幹線を通し➡ 217 00:26:39,598 --> 00:26:45,204 東京 札幌間を 5時間50分で結ぼうという計画だった。 218 00:26:46,939 --> 00:26:53,846 本州と地続きになることは 北海道の人々の悲願でもあった。 219 00:26:55,647 --> 00:27:03,355 しかし この海底は 断層が複雑に重なる 世界屈指の難所だった。 220 00:27:05,390 --> 00:27:11,597 技術者たちは 土木立国の威信をかけ 最新技術で挑んだ。 221 00:27:13,499 --> 00:27:21,907 これは 2,000メートル先の地質を調査し 早期に危険を察知する 水平ボーリング。 222 00:27:23,775 --> 00:27:32,784 漏水を確認すると特殊な液体を流し込み 掘削を始める前に岩盤を補強した。 223 00:27:46,932 --> 00:27:49,768 コンクリートを 霧状にして吹きつけ➡ 224 00:27:49,768 --> 00:27:55,474 岩肌を固めて出水を防ぐ 吹付コンクリート。 225 00:27:55,474 --> 00:28:02,881 後にトンネル工事の標準技術となる 革新的なものだった。 226 00:28:05,184 --> 00:28:09,154 それでも 工事は難航した。 227 00:28:09,154 --> 00:28:12,424 海底の高い圧力➡ 228 00:28:12,424 --> 00:28:15,761 度々起きる 出水事故。 229 00:28:15,761 --> 00:28:19,865 予定の8年が過ぎていった。 230 00:28:28,106 --> 00:28:33,245 その間に 空では大型旅客機が飛び始める。 231 00:28:33,245 --> 00:28:36,682 北海道路線が相次いで就航。 232 00:28:36,682 --> 00:28:42,087 青函トンネルの意義が 疑問視されるようになる。 233 00:28:44,056 --> 00:28:51,163 更に 1976年5月 工事最大の出水事故が起きる。 234 00:28:51,163 --> 00:28:57,369 防壁は破壊され トンネルは 1.5キロにわたって水没。 235 00:28:57,369 --> 00:29:02,074 工事は 長期間の中断を余儀なくされた。 236 00:29:18,123 --> 00:29:28,333 1982年 国は財政悪化を理由に 新幹線を走らせる目標を棚上げした。 237 00:29:28,333 --> 00:29:34,039 工事では 34人が命を落としていた。 238 00:29:52,958 --> 00:29:54,960 このね… 239 00:30:08,807 --> 00:30:11,743 それでも工事は 続けられた。 240 00:30:11,743 --> 00:30:16,548 貫通は 工事開始から 21年後のことだった。 241 00:30:16,548 --> 00:30:18,483 ⚟発破! 242 00:30:18,483 --> 00:30:21,153 (爆発音) 243 00:30:21,153 --> 00:30:24,823 (一同)万歳! 万歳! 244 00:30:24,823 --> 00:30:27,492 (拍手) 245 00:30:27,492 --> 00:30:33,298 その3年後の 1988年。 246 00:30:33,298 --> 00:30:37,803 一番列車がトンネルを走った。 247 00:30:37,803 --> 00:30:44,910 総工費6,900億円。 予定を大幅に上回った。 248 00:30:46,511 --> 00:30:50,749 当初期待されていた旅客輸送は 飛行機が担い➡ 249 00:30:50,749 --> 00:30:56,421 鉄道は もう一つの目的 物流で貢献することになる。 250 00:30:56,421 --> 00:31:05,063 ♬~ 251 00:31:05,063 --> 00:31:09,901 新幹線が 実際に青函トンネルを 走り始めたのは➡ 252 00:31:09,901 --> 00:31:13,805 開通から更に28年後だった。 253 00:31:13,805 --> 00:31:20,278 工事は今も行われ 将来的には札幌まで延びる予定である。 254 00:31:20,278 --> 00:31:26,885 しかし 開業から現在まで 赤字が続いている。 255 00:31:30,956 --> 00:31:39,164 つながりを求めた人類が 200年にわたり 実現できずにいた巨大工事があった。 256 00:31:44,169 --> 00:31:47,072 これは 1880年➡ 257 00:31:47,072 --> 00:31:54,079 イギリスからフランスに向けて掘られた 海底トンネル工事 中断の跡。 258 00:31:55,781 --> 00:32:01,086 両国の間にある英仏海峡を つなぐ予定だった。 259 00:32:04,322 --> 00:32:12,130 この海峡をつなげる夢は 19世紀 ナポレオンの時代から始まっている。 260 00:32:13,965 --> 00:32:16,868 フランスは 島国イギリスが➡ 261 00:32:16,868 --> 00:32:21,373 ヨーロッパ大陸の一部となることを 望んできた。 262 00:32:21,373 --> 00:32:24,676 ♬~ 263 00:32:24,676 --> 00:32:32,384 一方 イギリスでは 大陸で 争いが起こる度に 反対の声が上がった。 264 00:32:48,300 --> 00:32:57,709 工事が開始される度に反対意見が出て 計画は 20回以上にわたって頓挫した。 265 00:33:00,712 --> 00:33:04,916 この論争に終止符を打ったのが イギリスのサッチャー首相だった。 266 00:33:07,819 --> 00:33:15,126 1980年代 イギリスは 企業の競争力が 失われ 打開策を探していた。 267 00:33:19,531 --> 00:33:23,301 そのころ フランスや 西ドイツなどは➡ 268 00:33:23,301 --> 00:33:27,706 国境の検問を段階的に 廃止する協定を結び➡ 269 00:33:27,706 --> 00:33:31,576 ヨーロッパ統合の機運が高まっていた。 270 00:33:31,576 --> 00:33:33,512 サッチャー首相は➡ 271 00:33:33,512 --> 00:33:38,817 200年間 見送られ続けた計画の実現を 決断した。 272 00:34:01,239 --> 00:34:09,347 1987年。 工事は イギリスとフランス 両側から始まった。 273 00:34:12,250 --> 00:34:18,123 建設を請け負ったのは 英仏合弁の民間会社だった。 274 00:34:18,123 --> 00:34:24,930 費用を少しでも抑えるため 工事は急ピッチで進められた。 275 00:34:24,930 --> 00:34:30,435 導入されたのは 最新鋭のシールドマシン。 276 00:34:30,435 --> 00:34:37,142 鋭い刃先で岩盤を削り 同時にトンネルの壁を築いていった。 277 00:34:48,653 --> 00:34:55,060 工事開始から4年で 全長50キロを掘り抜いた。 278 00:35:03,201 --> 00:35:08,006 そして 2年後 EUが創設された。 279 00:35:08,006 --> 00:35:16,915 イギリスにはトンネルを通って EU圏の 国々から 出稼ぎ労働者が押し寄せた。 280 00:35:18,583 --> 00:35:25,190 低迷していた経済は 安い労働力を得て 息を吹き返す。 281 00:35:28,760 --> 00:35:33,898 ヨーロッパ大陸とイギリスを地続きにした 英仏海峡トンネルは➡ 282 00:35:33,898 --> 00:35:40,105 EU拡大を推し進める力となった。 283 00:36:03,528 --> 00:36:09,034 しかし その後 トンネルは 想定外の事態を引き起こす。 284 00:36:18,076 --> 00:36:22,547 2015年以降 アラブの春に端を発し➡ 285 00:36:22,547 --> 00:36:31,556 EUに逃れてきた難民がトンネルを通って イギリスに密入国する事態が頻発した。 286 00:36:33,725 --> 00:36:35,660 不法移民の流入が➡ 287 00:36:35,660 --> 00:36:42,767 イギリスの治安と雇用を悪化させている という声が高まってゆく。 288 00:36:42,767 --> 00:36:48,239 その声は EUからの離脱を求める叫びとなった。 289 00:36:48,239 --> 00:36:50,642 (歓声) 290 00:36:50,642 --> 00:36:56,748 2020年 イギリスはEUを離脱。 291 00:36:59,751 --> 00:37:07,759 イギリスとフランスの間では 再び入国審査が始まることとなった。 292 00:37:09,427 --> 00:37:19,337 英仏海峡トンネルにできる長い渋滞の列は つながることの難しさを語っている。 293 00:37:22,974 --> 00:37:28,279 21世紀。 最大のつながりは インターネットである。 294 00:37:39,758 --> 00:37:45,764 情報を瞬時に運ぶのは 海底ケーブル。 295 00:37:47,432 --> 00:37:53,304 世界の海には 19世紀の半ばから ケーブルが通っていた。 296 00:37:53,304 --> 00:37:59,310 最初は 文字を符号化して 電気信号で送る 電信だった。 297 00:38:00,979 --> 00:38:04,749 1本のケーブルで扱える情報量が 増えると➡ 298 00:38:04,749 --> 00:38:10,855 音声を 世界中に届けられるようになった。 299 00:38:13,391 --> 00:38:18,997 海底ケーブルは 漁船の底引き網などに 引っ掛かり よく断線する。 300 00:38:25,103 --> 00:38:30,809 その度に 海上に引きあげ 手作業で修復した。 301 00:38:34,145 --> 00:38:39,250 これが ケーブルでつながる宿命だった。 302 00:38:44,789 --> 00:38:53,264 そして 1980年代 光ファイバー製の 海底ケーブルが登場する。 303 00:38:53,264 --> 00:39:00,271 髪の毛ほどの細さで伝えられる情報量は 膨大なものだった。 304 00:39:03,408 --> 00:39:11,416 それは インターネットを普及させ 巨大なデジタル空間を出現させた。 305 00:39:16,888 --> 00:39:22,527 今や海底ケーブルの 総延長は 140万キロ。 306 00:39:22,527 --> 00:39:26,731 地球35周分が 海底で つながっている。 307 00:39:28,333 --> 00:39:36,107 中でも アメリカは ヨーロッパやアジアと 30本以上のケーブルで結ばれている。 308 00:39:36,107 --> 00:39:38,910 幾重にも張り巡らされたケーブルは➡ 309 00:39:38,910 --> 00:39:44,916 簡単には遮断されないネットワークを 構築している。 310 00:39:46,584 --> 00:39:52,190 その力は 東日本大震災でも発揮された。 311 00:39:53,925 --> 00:39:56,327 10か所以上 切れたものの➡ 312 00:39:56,327 --> 00:39:58,263 代わりとなるルートが確保され➡ 313 00:39:58,263 --> 00:40:01,766 通信への支障はなかった。 314 00:40:05,536 --> 00:40:11,643 しかし 一方で こんなことも起こっている。 315 00:40:21,019 --> 00:40:25,456 2013年 CIAの元職員が➡ 316 00:40:25,456 --> 00:40:28,493 アメリカ 国家安全保障局などが➡ 317 00:40:28,493 --> 00:40:34,198 秘密裏に個人情報を入手していたことを 暴露した。 318 00:40:36,100 --> 00:40:39,070 世界の通信データの 8割以上が➡ 319 00:40:39,070 --> 00:40:42,874 海底ケーブルを通って アメリカを経由していることを➡ 320 00:40:42,874 --> 00:40:47,078 利用していた。 321 00:41:05,229 --> 00:41:11,736 ♬~ 322 00:41:11,736 --> 00:41:16,074 2019年 アフリカ。 323 00:41:16,074 --> 00:41:18,042 アンゴラとタンザニアを 結ぶ➡ 324 00:41:18,042 --> 00:41:22,447 4,000キロの大陸横断鉄道が 誕生した。 325 00:41:24,282 --> 00:41:28,720 工事を請け負ったのは 中国企業。 326 00:41:28,720 --> 00:41:33,558 鉄道は 豊かな天然資源を運ぶ 貿易ルートとなり➡ 327 00:41:33,558 --> 00:41:39,664 人々の生活も向上させている。 328 00:41:49,407 --> 00:41:52,310 ♬~ 329 00:41:52,310 --> 00:41:59,717 ロシアでは スターリンの時代に始まった バム鉄道の工事が今も続いている。 330 00:41:59,717 --> 00:42:06,357 線路を複線にすることで より早く より多くの列車を走らせ➡ 331 00:42:06,357 --> 00:42:10,361 巨大な物流ルートを構築する ねらいである。 332 00:42:34,185 --> 00:42:39,891 パナマ運河では 拡張工事が行われた。 333 00:42:42,460 --> 00:42:50,268 年間1万4,000隻の船舶が航行する パナマ運河は 世界の物流の生命線である。 334 00:42:51,969 --> 00:42:56,641 アメリカから穀物などを載せ アジアに向かう船が➡ 335 00:42:56,641 --> 00:43:02,246 帰りには 電化製品や雑貨品を載せて ここを通る。 336 00:43:03,915 --> 00:43:07,919 究極のつながりの夢もある。 337 00:43:10,721 --> 00:43:16,360 2050年実現の構想である。 338 00:43:16,360 --> 00:43:23,968 私たちは未来に向け どんな つながりを求めていくだろうか。 339 00:44:08,546 --> 00:44:39,644 ♬~ 340 00:44:39,644 --> 00:44:41,846 万歳! (一同)万歳!