1 00:00:00,934 --> 00:00:09,109 ♬~ 2 00:00:09,109 --> 00:00:15,048 1956年のアメリカ映画 「ジャイアンツ」。 3 00:00:15,048 --> 00:00:18,652 ジェームズ・ディーンの遺作となった この映画では➡ 4 00:00:18,652 --> 00:00:22,856 テキサスの若者が ある日 石油を掘り当て➡ 5 00:00:22,856 --> 00:00:26,727 一夜にして 億万長者となる。 6 00:00:26,727 --> 00:00:30,731 (噴出音) 7 00:00:39,306 --> 00:00:41,408 ハハハハッ! 8 00:00:49,082 --> 00:00:54,855 実は この役には 実在するモデルがいた。 9 00:00:54,855 --> 00:00:57,858 伝説の石油成金… 10 00:01:10,704 --> 00:01:14,942 貧しい油田労働者の息子だった マッカーシーは➡ 11 00:01:14,942 --> 00:01:19,513 26歳で 石油を掘り当て 2億ドルを手にし➡ 12 00:01:19,513 --> 00:01:22,816 一躍 時の人となった。 13 00:01:24,685 --> 00:01:33,393 1949年 テキサスの牧草地に 巨大なホテルを建てた。 14 00:01:33,393 --> 00:01:38,031 その成金ぶりに 人々は 半ば皮肉を込め➡ 15 00:01:38,031 --> 00:01:41,735 テキサスの「巨人」と 呼んだ。 16 00:01:43,870 --> 00:01:48,775 これは マッカーシーが 72歳の時の映像。 17 00:01:48,775 --> 00:01:53,347 その後 石油ビジネスで失敗を繰り返し➡ 18 00:01:53,347 --> 00:01:58,752 ホテルは売却。 借金に追われる人生を送った。 19 00:02:00,687 --> 00:02:06,693 そして81歳で ひっそりと この世を去った。 20 00:02:16,637 --> 00:02:19,006 (噴出音) 21 00:02:19,006 --> 00:02:24,945 19世紀半ば アメリカ北東部 五大湖近くの田舎町で➡ 22 00:02:24,945 --> 00:02:29,316 大きな油田が発見された。 23 00:02:29,316 --> 00:02:32,252 地下から湧く 「燃える水」の存在は➡ 24 00:02:32,252 --> 00:02:34,655 古くから 知られていたが➡ 25 00:02:34,655 --> 00:02:39,159 大規模に見つかったのは これが初めてだった。 26 00:02:42,496 --> 00:02:46,700 町は 油田ラッシュに沸いた。 27 00:02:46,700 --> 00:02:53,974 だが 採掘に大金を投じても 必ずしも見つかるわけではない。 28 00:02:53,974 --> 00:02:58,278 石油は まさにギャンブルだった。 29 00:03:01,748 --> 00:03:08,355 そのギャンブルを ビジネスに変えたのが あのロックフェラーである。 30 00:03:11,291 --> 00:03:16,830 採掘には手を出さず 人が採掘した石油を買い集め➡ 31 00:03:16,830 --> 00:03:21,234 精製し 販売するビジネスを始めた。 32 00:03:23,270 --> 00:03:27,274 石炭に代わり 新たな動力源となった石油は➡ 33 00:03:27,274 --> 00:03:31,511 人々の生活様式を一変させる。 34 00:03:31,511 --> 00:03:36,116 石油なしには 世界は動かなくなった。 35 00:03:38,585 --> 00:03:41,188 そして…。 36 00:03:42,856 --> 00:03:46,426 石油は 「戦争の血」となる。 37 00:03:46,426 --> 00:03:49,129 (砲声) 38 00:03:51,098 --> 00:03:56,903 日本が あの悲惨な戦争を始め その戦争に敗れたのも➡ 39 00:03:56,903 --> 00:04:00,774 石油が原因だった。 40 00:04:00,774 --> 00:04:02,976 (爆発音) 41 00:04:05,946 --> 00:04:10,817 戦後も 石油は 争いの種となった。 42 00:04:10,817 --> 00:04:14,087 巨大な油田を抱える 中東。 43 00:04:14,087 --> 00:04:18,925 欧米は その利益を我が物としていた。 44 00:04:18,925 --> 00:04:23,330 だが アラブ諸国は反撃に出る。 45 00:04:43,016 --> 00:04:45,318 以来 石油は➡ 46 00:04:45,318 --> 00:04:48,221 宗教対立 大国の思惑と➡ 47 00:04:48,221 --> 00:04:50,590 複雑に絡み合いながら➡ 48 00:04:50,590 --> 00:04:53,693 紛争を巻き起こしてきた。 49 00:04:55,529 --> 00:05:01,835 石油は 20世紀を動かした 陰の支配者でもあった。 50 00:05:05,872 --> 00:05:11,278 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 51 00:05:11,278 --> 00:05:14,948 その一滴は 血の一滴と称された➡ 52 00:05:14,948 --> 00:05:21,555 「燃える黒い水」 石油をめぐる 争いの物語である。 53 00:05:21,555 --> 00:05:33,767 ♬~ 54 00:05:35,502 --> 00:05:38,305 これは 1908年➡ 55 00:05:38,305 --> 00:05:43,710 アメリカのライト兄弟が公開した 有人飛行の映像である。 56 00:05:46,980 --> 00:05:54,387 彼らは 12馬力のガソリンエンジンを 搭載した複葉機で 初飛行に成功。  57 00:05:56,656 --> 00:05:58,692 使用した ガソリンは➡ 58 00:05:58,692 --> 00:06:02,362 ロックフェラーが設立した スタンダード石油から➡ 59 00:06:02,362 --> 00:06:05,065 入手したものだった。 60 00:06:07,968 --> 00:06:12,772 このニュースに いち早く 目を付けた人物がいた。 61 00:06:12,772 --> 00:06:16,776 若き日の ウィンストン・チャーチルである。 62 00:06:32,993 --> 00:06:37,831 そして 飛行機の信頼性が まだ低かった時代に➡ 63 00:06:37,831 --> 00:06:42,435 自ら操縦桿を握り 空を飛んだ。 64 00:06:46,473 --> 00:06:52,379 これは 後年 チャーチルが 飛行機を操縦する映像である。 65 00:06:52,379 --> 00:06:55,882 妻は 何度も やめるよう懇願したが➡ 66 00:06:55,882 --> 00:06:58,985 チャーチルは 聞き入れなかった。 67 00:07:04,157 --> 00:07:12,365 チャーチルは 1911年 36歳で海軍大臣に任命された。 68 00:07:15,435 --> 00:07:22,842 大臣になって 最初に着手したのが イギリス海軍の改造計画だった。 69 00:07:26,780 --> 00:07:29,616 そのころ ドイツとイギリスは➡ 70 00:07:29,616 --> 00:07:32,952 大型戦艦の建造競争を 繰り広げ➡ 71 00:07:32,952 --> 00:07:36,456 二国間の緊張が高まっていた。 72 00:07:40,694 --> 00:07:45,165 世界一の海軍国だったイギリスに 肉薄するドイツを➡ 73 00:07:45,165 --> 00:07:47,867 チャーチルは警戒した。 74 00:07:50,971 --> 00:07:55,809 そこで 彼が提唱したのは 世界に先駆け➡ 75 00:07:55,809 --> 00:08:01,815 イギリス海軍の 軍艦の燃料を 全て石油化することだった。 76 00:08:03,550 --> 00:08:07,420 国内では 反対の声が上がった。 77 00:08:07,420 --> 00:08:10,690 イギリスでは 石炭は豊富に採れるが➡ 78 00:08:10,690 --> 00:08:15,462 石油は 当時 産出していなかったからである。 79 00:08:15,462 --> 00:08:22,168 燃料は 自国の石炭に頼るべきだという 考えが 大半を占めた。 80 00:08:55,168 --> 00:09:01,641 軍艦を石油燃料化するためには 石油の確保が前提となる。 81 00:09:01,641 --> 00:09:03,710 チャーチルが 目を付けたのは➡ 82 00:09:03,710 --> 00:09:08,314 当時 ペルシャとして 知られていた国 イラン。 83 00:09:11,918 --> 00:09:15,789 1908年 中東で初めて➡ 84 00:09:15,789 --> 00:09:19,392 巨大な油田が 発見されていた。 85 00:09:25,465 --> 00:09:27,734 発見の よくとしには➡ 86 00:09:27,734 --> 00:09:30,603 民間の石油会社が設立され➡ 87 00:09:30,603 --> 00:09:33,506 販路を拡大しようとしていた。 88 00:09:33,506 --> 00:09:38,411 そのチャンスを チャーチルは見逃さなかった。 89 00:09:40,413 --> 00:09:46,152 1914年6月 チャーチルの提案は 議会を通過。 90 00:09:46,152 --> 00:09:51,491 イギリスは イランの油田を手に入れる。 91 00:09:51,491 --> 00:09:55,361 それは 第一次世界大戦が始まる➡ 92 00:09:55,361 --> 00:09:58,264 1か月前のことだった。 93 00:10:02,235 --> 00:10:06,973 大戦が始まると 石油化された イギリス軍の戦艦は➡ 94 00:10:06,973 --> 00:10:11,878 21ノットから 24ノットに スピードアップ。 95 00:10:13,746 --> 00:10:20,753 走 攻 守のバランスに優れた これまでにない高速戦艦となった。 96 00:10:24,858 --> 00:10:31,664 更にチャーチルは 石油を燃料とした 新兵器の開発に取り組む。 97 00:10:35,201 --> 00:10:38,204 「戦車」である。 98 00:10:43,009 --> 00:10:50,316 戦車は 1916年 初めて 西部戦線に投入された。 99 00:10:53,586 --> 00:10:57,423 ガソリンのパワーで 急なスロープを乗り越え➡ 100 00:10:57,423 --> 00:11:00,660 塹壕や鉄条網も突破できる新兵器は➡ 101 00:11:00,660 --> 00:11:03,763 戦場の姿を変えた。 102 00:11:31,024 --> 00:11:32,959 そして 空では➡ 103 00:11:32,959 --> 00:11:37,197 飛行機が 初めて戦闘に参加する。 104 00:11:37,197 --> 00:11:40,967 将来の戦いでは 航空機が 重要になるという➡ 105 00:11:40,967 --> 00:11:45,271 チャーチルの 予言どおりになった。 106 00:12:17,737 --> 00:12:20,773 第一次世界大戦が終結し➡ 107 00:12:20,773 --> 00:12:25,078 アメリカ兵が 祖国に帰還した。 108 00:12:28,781 --> 00:12:35,888 疲弊したヨーロッパに代わって アメリカは 世界経済を牽引してゆく。 109 00:12:39,525 --> 00:12:45,832 アメリカ繁栄の象徴は 自動車の爆発的な普及だった。 110 00:12:48,868 --> 00:12:53,139 ライン生産によって 大量生産が可能となった自動車は➡ 111 00:12:53,139 --> 00:12:59,045 販売価格が下がり 庶民にも手が届く乗り物となった。 112 00:13:03,716 --> 00:13:09,489 そんな平和な時代に すっかり退屈していた男がいた。 113 00:13:09,489 --> 00:13:14,994 後に大統領となる 若き日のアイゼンハワーである。 114 00:13:17,163 --> 00:13:21,034 田舎に引っ込んで 商売を始めようとしていた時➡ 115 00:13:21,034 --> 00:13:25,038 あるイベントが 彼の目に留まった。 116 00:13:26,839 --> 00:13:32,312 1919年7月 アメリカ陸軍が主催した➡ 117 00:13:32,312 --> 00:13:38,117 81台の軍用車両による 「大陸横断キャラバン」。 118 00:13:40,720 --> 00:13:43,589 ワシントンから サンフランシスコまで➡ 119 00:13:43,589 --> 00:13:48,094 およそ5,200キロを 2か月かけて横断。 120 00:13:50,697 --> 00:13:54,600 戦争が終わり 余剰物となった軍用トラックの➡ 121 00:13:54,600 --> 00:13:57,904 耐久性を調べるためだった。 122 00:14:01,808 --> 00:14:06,346 だが 道中は トラブルの連続だった。 123 00:14:06,346 --> 00:14:11,351 参加した アイゼンハワーは 報告書に こう記している。 124 00:14:46,986 --> 00:14:49,389 浮かび上がった課題は➡ 125 00:14:49,389 --> 00:14:51,991 トラックの耐久性ではなく➡ 126 00:14:51,991 --> 00:14:55,595 舗装されていない道路だった。 127 00:15:13,079 --> 00:15:17,917 その後 全米各地で ハイウェイの整備が進んだ。 128 00:15:17,917 --> 00:15:22,555 1953年に アイゼンハワーが大統領になると➡ 129 00:15:22,555 --> 00:15:27,894 州をまたぐ ハイウェイの建設には 250億ドルが投じられ➡ 130 00:15:27,894 --> 00:15:32,398 アメリカ史上最大の 国家プロジェクトとなる。 131 00:15:34,167 --> 00:15:37,637 道が出来ると 車が増える。 132 00:15:37,637 --> 00:15:42,575 そして ガソリンの消費も 爆発的に増えた。 133 00:15:42,575 --> 00:15:45,778 人々は この新しい燃料が➡ 134 00:15:45,778 --> 00:15:48,080 間もなく尽きてしまうのではと➡ 135 00:15:48,080 --> 00:15:51,951 心配し始めた。 136 00:15:51,951 --> 00:15:56,389 1917年から20年までの アメリカでは➡ 137 00:15:56,389 --> 00:16:00,193 新しい油田の発見は ほとんど なかった。 138 00:16:02,061 --> 00:16:09,268 これは当時 アメリカの油田を調べた 地質調査官の報告である。 139 00:16:41,367 --> 00:16:45,238 だが それは杞憂だった。 140 00:16:45,238 --> 00:16:50,142 アメリカで 新たな油田が 次々に見つかったのだ。 141 00:16:53,679 --> 00:16:56,582 これは 1928年➡ 142 00:16:56,582 --> 00:17:01,787 東テキサスで大噴出した 油田の映像である。 143 00:17:03,890 --> 00:17:12,098 更に オクラホマで カリフォルニアで 次々と大油田が発見された。 144 00:17:16,369 --> 00:17:20,239 今度は 石油が余りだした。 145 00:17:20,239 --> 00:17:25,678 アメリカは 世界への石油輸出に力を入れてゆく。 146 00:17:25,678 --> 00:17:30,283 その主要な輸出先が 日本だった。 147 00:17:34,287 --> 00:17:38,190 ♬~ 148 00:18:00,313 --> 00:18:04,750 1937年 日中戦争が始まり➡ 149 00:18:04,750 --> 00:18:09,956 日本は 中国の都市を 無差別爆撃した。 150 00:18:12,525 --> 00:18:20,066 日本が アメリカの石油を使って 罪のない 多くの命を奪っている。 151 00:18:20,066 --> 00:18:23,769 アメリカ国内で 非難の声が上がった。 152 00:18:25,705 --> 00:18:30,276 当時の世論調査では 国民の72%が➡ 153 00:18:30,276 --> 00:18:35,281 日本への武器弾薬の禁輸を 支持していた。 154 00:18:38,384 --> 00:18:42,655 アメリカ合衆国大統領 フランクリン・ルーズベルトも➡ 155 00:18:42,655 --> 00:18:45,958 日本を強く牽制した。 156 00:18:57,670 --> 00:18:59,639 (拍手) 157 00:18:59,639 --> 00:19:06,746 だが ルーズベルトは 日本への 石油の全面禁輸には慎重だった。 158 00:19:08,414 --> 00:19:12,551 ヨーロッパでは 既に戦争が始まっていた。 159 00:19:12,551 --> 00:19:15,021 ルーズベルトは 禁輸をきっかけに➡ 160 00:19:15,021 --> 00:19:19,692 日本との戦争も始まることを 懸念していた。 161 00:19:19,692 --> 00:19:27,566 当時 内務長官だった ハロルド・イケスは 石油の禁輸に賛成だった。 162 00:19:27,566 --> 00:19:32,972 禁輸に反対する ルーズベルトと 激しく言い争った。 163 00:20:14,847 --> 00:20:18,384 アメリカの禁輸を危惧した日本は➡ 164 00:20:18,384 --> 00:20:23,689 フランス領 インドシナ南部へ 進駐を開始する。 165 00:20:25,257 --> 00:20:28,861 今後 禁輸品目が 増えることを想定し➡ 166 00:20:28,861 --> 00:20:33,666 必要となる資源を 東南アジアに求めたのだ。 167 00:20:38,571 --> 00:20:40,840 ついに ルーズベルトは➡ 168 00:20:40,840 --> 00:20:45,544 日本への 石油の全面禁輸を決めた。 169 00:20:49,014 --> 00:20:54,153 日本は 奇襲作戦に出た。 170 00:20:54,153 --> 00:20:59,158 (爆発音) 171 00:21:00,926 --> 00:21:04,797 1941年 12月8日。 172 00:21:04,797 --> 00:21:11,003 日本軍は ハワイ オアフ島にあった 真珠湾の海軍基地を攻撃。 173 00:21:14,173 --> 00:21:16,876 この作戦の指揮を執ったのは➡ 174 00:21:16,876 --> 00:21:20,746 連合艦隊司令長官 山本五十六。 175 00:21:20,746 --> 00:21:27,553 だが 彼は かねてより アメリカとの開戦に反対していた。 176 00:21:31,190 --> 00:21:34,093 太平洋戦争が始まる前➡ 177 00:21:34,093 --> 00:21:39,198 山本は アメリカに駐在した 経験があった。 178 00:21:44,837 --> 00:21:49,642 これは その時 テキサスで撮られた写真。 179 00:21:49,642 --> 00:21:53,112 滞在中 日本をはるかに上回る➡ 180 00:21:53,112 --> 00:21:56,015 アメリカの生産力と 豊富な資源を➡ 181 00:21:56,015 --> 00:21:58,317 目の当たりにした。 182 00:22:17,603 --> 00:22:19,638 ハワイ オアフ島には➡ 183 00:22:19,638 --> 00:22:25,211 軍艦や航空機に燃料を供給する 石油タンクがあった。 184 00:22:25,211 --> 00:22:30,115 それを たたけば アメリカの反撃は遅れていたはずだった。 185 00:22:31,884 --> 00:22:36,722 しかし日本軍は 軍艦や航空機は破壊したが➡ 186 00:22:36,722 --> 00:22:40,526 石油タンクは 攻撃しなかった。 187 00:22:44,196 --> 00:22:48,434 機動部隊の参謀長だった 草鹿龍之介は➡ 188 00:22:48,434 --> 00:22:51,837 その理由を こう語っている。 189 00:23:12,958 --> 00:23:17,563 ♬~ 190 00:23:44,890 --> 00:23:48,794 1942年 日本は➡ 191 00:23:48,794 --> 00:23:53,132 東南アジアの石油を 次々と確保する。 192 00:23:53,132 --> 00:23:55,601 イギリスやオランダが 開発した油田の➡ 193 00:23:55,601 --> 00:23:58,504 ほとんどを接収した。 194 00:24:00,539 --> 00:24:05,744 日本の石油備蓄は 日増しに増えていった。 195 00:24:10,449 --> 00:24:14,453 アメリカは 反撃を開始する。 196 00:24:16,855 --> 00:24:20,859 海軍作戦部長 アーネスト・キングの戦略は➡ 197 00:24:20,859 --> 00:24:23,862 早くから 決まっていた。 198 00:24:43,415 --> 00:24:48,987 そして 最終的には 100隻以上の潜水艦を送り込み➡ 199 00:24:48,987 --> 00:24:55,594 東南アジアから日本へ石油を運ぶ タンカーを狙い撃ちした。 200 00:24:57,796 --> 00:25:04,503 (爆発音) 201 00:25:07,072 --> 00:25:14,780 日本のタンカー 420隻のうち 306隻が失われた。 202 00:25:40,305 --> 00:25:45,010 (離陸音) 203 00:25:46,745 --> 00:25:51,750 アメリカは 空からもタンカーを狙った。 204 00:26:13,906 --> 00:26:17,176 1944年になると➡ 205 00:26:17,176 --> 00:26:21,747 アメリカ軍は 日本が奪った 東南アジアの石油タンクも➡ 206 00:26:21,747 --> 00:26:24,850 次々と潰していった。 207 00:26:30,355 --> 00:26:33,992 そして 1945年には➡ 208 00:26:33,992 --> 00:26:40,866 日本本土にあった石油施設も しらみつぶしに爆撃した。 209 00:26:40,866 --> 00:26:47,306 開戦前に 861万kℓあった 日本の石油備蓄は➡ 210 00:26:47,306 --> 00:26:52,111 僅か 4%にまで落ち込んだ。 211 00:26:54,646 --> 00:27:00,018 終戦間際 石油がなくなり 動けなくなった艦船は➡ 212 00:27:00,018 --> 00:27:02,454 砲台として使われたが➡ 213 00:27:02,454 --> 00:27:06,859 むなしく アメリカ軍の標的となった。 214 00:27:13,131 --> 00:27:15,601 これは 戦後➡ 215 00:27:15,601 --> 00:27:17,936 アメリカの調査団が➡ 216 00:27:17,936 --> 00:27:20,472 日本に 敗戦の理由を語らせた➡ 217 00:27:20,472 --> 00:27:23,175 貴重なフィルムである。 218 00:28:19,464 --> 00:28:23,235 1945年 2月➡ 219 00:28:23,235 --> 00:28:28,340 戦後処理の基本合意を協議する ヤルタ会談が行われた。 220 00:28:31,276 --> 00:28:34,246 勝利を確信していた 大国の興味は➡ 221 00:28:34,246 --> 00:28:39,051 既に 戦後の資源獲得に移っていた。 222 00:28:41,620 --> 00:28:45,991 会談に出席する… 223 00:28:45,991 --> 00:28:53,398 この直後 2人は ある国の石油をめぐって 争奪戦を繰り広げる。 224 00:28:56,602 --> 00:29:00,105 中東のサウジアラビア。 225 00:29:05,310 --> 00:29:11,216 1938年に 巨大な油田が発見された サウジアラビアは➡ 226 00:29:11,216 --> 00:29:17,823 世界最大と言われた埋蔵量で 大国の注目を集めていた。 227 00:29:20,659 --> 00:29:23,895 石油が出る前の アラビア半島は➡ 228 00:29:23,895 --> 00:29:29,001 いくつもの部族が乱立する 群雄割拠の時代だった。 229 00:29:30,802 --> 00:29:33,705 それを 平定したのが… 230 00:29:37,909 --> 00:29:42,614 身長2メートル近い 屈強な戦士であった。 231 00:29:44,683 --> 00:29:49,054 噴き出した石油の採掘を どこが担うかは➡ 232 00:29:49,054 --> 00:29:52,958 この サウードの一存にかかっていた。 233 00:29:54,860 --> 00:29:58,730 最初に動いたのは ルーズベルトだった。 234 00:29:58,730 --> 00:30:05,103 ヤルタ会談を終えると その足で サウードとの会談に臨んだ。 235 00:30:05,103 --> 00:30:11,710 場所は スエズ運河に停泊した 大型巡洋艦「クインシー」。 236 00:30:13,879 --> 00:30:19,685 その様子を 通訳のウィリアム・エディが 書き記している。 237 00:30:57,322 --> 00:31:01,960 ルーズベルトの 礼を尽くした態度が功を奏し➡ 238 00:31:01,960 --> 00:31:05,864 アメリカは 開発独占権を得た。 239 00:31:05,864 --> 00:31:08,734 巨額のオイルマネーを支払い➡ 240 00:31:08,734 --> 00:31:15,140 将来 採掘施設は サウジアラビアに 譲渡することが決まった。 241 00:31:17,442 --> 00:31:21,313 慌てたのは チャーチルである。 242 00:31:21,313 --> 00:31:25,484 ルーズベルトとサウードの 会談の結果も知らぬまま➡ 243 00:31:25,484 --> 00:31:30,188 3日後 自らも国王と面会。 244 00:31:31,957 --> 00:31:35,694 手土産には 香水を持参した。 245 00:31:35,694 --> 00:31:41,500 だが ルーズベルトは 国王に 飛行機も贈ったことを知らされ➡ 246 00:31:41,500 --> 00:31:47,606 急きょ その場で ロールスロイスの献上を約束する。 247 00:31:51,843 --> 00:31:56,681 だが チャーチルの尊大な態度は 相変わらずだった。 248 00:31:56,681 --> 00:32:02,053 ルーズベルトは 国王の前では 喫煙も飲酒も控えたが➡ 249 00:32:02,053 --> 00:32:05,957 チャーチルは 控えようともしなかった。 250 00:32:05,957 --> 00:32:09,761 利権は アメリカに持っていかれた。 251 00:32:09,761 --> 00:32:15,467 サウードは 2人の違いを 鋭く見抜いていた。 252 00:32:31,082 --> 00:32:35,420 アメリカからのオイルマネーを手にした サウジアラビアは➡ 253 00:32:35,420 --> 00:32:38,723 急速な近代化を遂げた。 254 00:32:41,293 --> 00:32:46,198 貧しかった砂漠の国は 豊かになった。 255 00:32:53,738 --> 00:32:57,108 だが 当時の原油価格は➡ 256 00:32:57,108 --> 00:33:01,947 欧米の「石油メジャー」と呼ばれる 国際石油資本によって➡ 257 00:33:01,947 --> 00:33:05,617 一方的に決められていた。 258 00:33:05,617 --> 00:33:08,820 このころの 原油価格は… 259 00:33:10,488 --> 00:33:13,792 驚くほど 低く抑えられていた。 260 00:33:17,095 --> 00:33:19,030 アメリカでは➡ 261 00:33:19,030 --> 00:33:23,034 中東から安く手に入れた石油を 湯水のように使い➡ 262 00:33:23,034 --> 00:33:28,173 大量生産・大量消費を おう歌していた。 263 00:33:28,173 --> 00:33:32,043 自動車は ガブガブとガソリンを飲み込み➡ 264 00:33:32,043 --> 00:33:34,379 石油メジャー各社は➡ 265 00:33:34,379 --> 00:33:38,683 ガソリンの安売り競争を 激化させていた。 266 00:33:40,886 --> 00:33:43,121 石油会社のCMには➡ 267 00:33:43,121 --> 00:33:46,324 あのマリリン・モンローも 登場した。 268 00:34:04,442 --> 00:34:10,849 なぜ 石油を提供する産油国側が 価格に口を出せないのか。 269 00:34:10,849 --> 00:34:13,752 不満が たまり続けていた。 270 00:34:13,752 --> 00:34:19,557 サウジアラビアの石油相 ヤマニも その一人だった。 271 00:34:55,360 --> 00:35:00,198 1960年 主要産油国5か国は➡ 272 00:35:00,198 --> 00:35:02,901 OPECを結成。 273 00:35:02,901 --> 00:35:08,506 欧米の石油メジャーに対し 原油価格の値上げ交渉を始めた。 274 00:35:10,175 --> 00:35:18,483 1971年 テヘランで行われた価格交渉は 1か月に及んだ。 275 00:35:18,483 --> 00:35:24,189 その結果 1バレル当たり 35セント引き上げることで妥結。 276 00:35:24,189 --> 00:35:30,095 この値上げで OPECとメジャーの力関係が 変わってゆく。 277 00:35:34,399 --> 00:35:40,005 そんな OPECの中心的存在が サウジアラビアだった。 278 00:35:41,973 --> 00:35:43,908 サウジアラビアは➡ 279 00:35:43,908 --> 00:35:49,114 サウード国王の息子 ファイサルが国王となっていた。 280 00:35:53,084 --> 00:35:58,056 ファイサルは アメリカに不信感を持っていた。 281 00:35:58,056 --> 00:36:03,461 アメリカが イスラエルを支持したことが原因だった。 282 00:36:07,599 --> 00:36:11,469 中東では ユダヤ人とアラブ人の対立が➡ 283 00:36:11,469 --> 00:36:14,873 年を経るごとに 深まっていた。 284 00:36:17,776 --> 00:36:22,947 1947年には アメリカをはじめ 欧米諸国が➡ 285 00:36:22,947 --> 00:36:29,154 国連で ユダヤ人国家 イスラエルの建国を 認めていた。 286 00:36:32,290 --> 00:36:36,795 (拍手) 287 00:36:55,580 --> 00:36:59,451 これは 1970年に行われた➡ 288 00:36:59,451 --> 00:37:05,023 イスラエル独立記念日パレードの 映像である。 289 00:37:05,023 --> 00:37:11,663 イスラエルの兵士たちが アラブ人の目の前を行進する。 290 00:37:11,663 --> 00:37:17,469 かつて ここは 自分たちの土地だった。 291 00:37:17,469 --> 00:37:22,674 アラブの イスラエルに対する憎しみは 深まっていった。 292 00:37:24,309 --> 00:37:31,015 1973年 イスラエルに財政援助を 与えていた アメリカに対し➡ 293 00:37:31,015 --> 00:37:34,219 ファイサルは警告した。 294 00:38:02,714 --> 00:38:08,920 その1か月後 第四次中東戦争が始まる。 295 00:38:08,920 --> 00:38:12,223 アラブの国 エジプトとシリアが➡ 296 00:38:12,223 --> 00:38:15,627 イスラエルに攻撃を始めた。 297 00:38:17,529 --> 00:38:23,968 この時 アメリカが イスラエルに 本格的な武器援助を行った。 298 00:38:23,968 --> 00:38:28,473 アラブ諸国は 強硬手段に踏み切った。 299 00:38:30,608 --> 00:38:35,013 OPECは 石油メジャーに事前交渉もせず… 300 00:38:41,252 --> 00:38:45,957 更に アラブ産油国は アメリカなど 5か国に➡ 301 00:38:45,957 --> 00:38:50,662 「非友好国」として 全面禁輸措置をとった。 302 00:38:56,000 --> 00:39:00,805 世界中が 混乱に陥った。 303 00:39:00,805 --> 00:39:05,777 アメリカ国民は 自分たちが 惜しげもなく使っていたガソリンが➡ 304 00:39:05,777 --> 00:39:09,681 中東から来ていることを 思い知った。 305 00:39:15,386 --> 00:39:19,757 ベルギーでは 日曜日のドライブが禁止となり➡ 306 00:39:19,757 --> 00:39:22,060 馬車が登場。 307 00:39:24,596 --> 00:39:30,702 韓国では 暖房器具として 練炭が 飛ぶように売れた。 308 00:39:34,639 --> 00:39:37,876 ファイサルは 30年前の➡ 309 00:39:37,876 --> 00:39:41,746 父・サウードと ルーズベルトの会談を 振り返り➡ 310 00:39:41,746 --> 00:39:44,849 辛辣な言葉を残した。 311 00:40:18,316 --> 00:40:23,187 1990年 イラクの指導者 サダム・フセインが➡ 312 00:40:23,187 --> 00:40:27,425 石油を狙って 隣国 クウェートに侵攻。 313 00:40:27,425 --> 00:40:32,263 その紛争は アメリカ率いる 多国籍軍の介入によって➡ 314 00:40:32,263 --> 00:40:36,067 「湾岸戦争」へと発展する。 315 00:40:39,938 --> 00:40:42,974 サウジアラビアの石油相 ヤマニは➡ 316 00:40:42,974 --> 00:40:47,779 アメリカの参戦を 冷ややかに見つめていた。 317 00:41:34,258 --> 00:41:38,663 その後も 人類は 石油を求め➡ 318 00:41:38,663 --> 00:41:40,999 極地から海底まで➡ 319 00:41:40,999 --> 00:41:44,802 あらゆる場所を掘り続けた。 320 00:41:48,806 --> 00:41:51,709 だが 20世紀末➡ 321 00:41:51,709 --> 00:41:55,513 石油は 突然 悪者となる。 322 00:41:55,513 --> 00:42:01,019 環境破壊の元凶と 位置づけられたのだ。 323 00:42:04,055 --> 00:42:07,825 石油を燃やして排出される 二酸化炭素が➡ 324 00:42:07,825 --> 00:42:11,829 地球温暖化を招いたと言われる。 325 00:42:16,167 --> 00:42:24,175 人類は今 石油に代わるエネルギーを 開発しようと模索している。 326 00:42:29,714 --> 00:42:33,384 しかし エネルギー源の主役は➡ 327 00:42:33,384 --> 00:42:36,687 今も 石油のままである。 328 00:42:36,687 --> 00:42:40,691 世界の エネルギー消費量に占める 石油の割合は➡ 329 00:42:40,691 --> 00:42:45,196 この15年 ほとんど 変わっていない。 330 00:42:47,732 --> 00:42:53,004 石油削減を打ち出していた イギリスの石油メジャー シェルは➡ 331 00:42:53,004 --> 00:42:57,108 去年 その方針を中止すると発表した。 332 00:42:58,843 --> 00:43:01,712 そして メキシコ湾で➡ 333 00:43:01,712 --> 00:43:05,316 石油の増産を始めた。 334 00:43:22,767 --> 00:43:26,170 (噴出音) 335 00:44:12,149 --> 00:44:38,743 ♬~