1 00:00:12,112 --> 00:00:16,950 この映像は 謎に包まれた覆面アーティスト➡ 2 00:00:16,950 --> 00:00:21,255 バンクシーの姿を捉えた 貴重な映像である。 3 00:00:24,658 --> 00:00:29,496 平和への願いと➡ 4 00:00:29,496 --> 00:00:34,001 暴力による支配への批判が込められた 絵。 5 00:00:36,270 --> 00:00:40,207 描かれたのは 中東パレスチナ。 6 00:00:40,207 --> 00:00:47,014 イスラエルが建設した 分離壁である。 7 00:00:47,014 --> 00:00:51,685 全長700キロにも及ぶ 巨大な壁は➡ 8 00:00:51,685 --> 00:00:57,491 2つの民族の分断を 象徴している。 9 00:00:57,491 --> 00:01:00,294 (爆撃音) 10 00:01:02,629 --> 00:01:05,832 アラブ人とユダヤ人。 11 00:01:07,467 --> 00:01:13,974 報復が報復を呼び 今も 命が失われ続けている。 12 00:01:17,177 --> 00:01:22,482 その始まりは 100年前の第一次世界大戦。 13 00:01:22,482 --> 00:01:24,418 国家の密命を帯びた➡ 14 00:01:24,418 --> 00:01:29,222 一人のイギリス人将校の裏切りが きっかけだった。 15 00:01:37,331 --> 00:01:43,837 後に映画化された 砂漠の英雄 アラビアのロレンスである。 16 00:01:45,539 --> 00:01:48,342 (爆発音) 17 00:01:48,342 --> 00:01:52,679 多くの民族が 身を寄せ合って暮らしていた この地で➡ 18 00:01:52,679 --> 00:01:56,383 イギリスが焚きつけたのは… 19 00:01:58,151 --> 00:02:00,654 (砲声) 20 00:02:02,155 --> 00:02:07,294 アラブ人とユダヤ人 双方と密約を交わし➡ 21 00:02:07,294 --> 00:02:13,567 あなたたちの国づくりを支援すると 保証した。 22 00:02:13,567 --> 00:02:15,502 (爆発音) 23 00:02:15,502 --> 00:02:18,972 イギリスの この欺瞞に満ちた約束が➡ 24 00:02:18,972 --> 00:02:23,176 現在まで続く 対立の火種となった。 25 00:02:43,196 --> 00:02:47,834 私たちは なぜ こんな世界に住んでいるのか。 26 00:02:47,834 --> 00:02:54,608 歴史の連鎖をたどる 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 27 00:02:54,608 --> 00:02:59,346 今回は 一人の英雄の裏切りから始まる➡ 28 00:02:59,346 --> 00:03:04,051 憎しみの連鎖の物語である。 29 00:03:13,627 --> 00:03:16,530 (映写機の音) 30 00:03:16,530 --> 00:03:18,799 これは 映画の父➡ 31 00:03:18,799 --> 00:03:23,470 フランスのリュミエール兄弟が 製作した 記録映画。 32 00:03:23,470 --> 00:03:27,107 聖地エルサレムに 向かう人々を写した➡ 33 00:03:27,107 --> 00:03:29,910 最も古い映像である。 34 00:03:31,645 --> 00:03:36,516 エルサレムを含む この一帯は 古来 パレスチナと呼ばれ➡ 35 00:03:36,516 --> 00:03:40,220 民族と宗教の交差点であった。 36 00:03:45,192 --> 00:03:48,195 ターバン姿に トルコ帽。 37 00:03:48,195 --> 00:03:52,499 映像からは さまざまな民族が 共に暮らし➡ 38 00:03:52,499 --> 00:03:56,503 活況を呈していたことが うかがえる。 39 00:04:29,269 --> 00:04:33,774 これは 20世紀初めの結婚式の映像。 40 00:04:36,810 --> 00:04:40,113 将来を誓うユダヤ人カップルを➡ 41 00:04:40,113 --> 00:04:44,818 伝統にのっとって祝福するのは アラブ人である。 42 00:04:46,486 --> 00:04:52,125 エルサレムには イスラム教 キリスト教 ユダヤ教➡ 43 00:04:52,125 --> 00:04:54,828 3つの宗教の聖地があり➡ 44 00:04:54,828 --> 00:04:58,031 巡礼の対象となってきた。 45 00:05:01,268 --> 00:05:05,438 ユダヤ教の聖地 嘆きの壁。 46 00:05:05,438 --> 00:05:09,776 世界各地で迫害を受けてきた ユダヤの人々は➡ 47 00:05:09,776 --> 00:05:15,682 この地域を 神が与える約束の地と 信じてきた。 48 00:05:19,286 --> 00:05:23,790 20世紀初頭 中東の大部分を支配したのは➡ 49 00:05:23,790 --> 00:05:27,661 トルコ人が建国した オスマン帝国。 50 00:05:27,661 --> 00:05:32,966 その勢力は 現在のサウジアラビアやイラクに及び➡ 51 00:05:32,966 --> 00:05:37,671 多言語 多宗教を容認する国家であった。 52 00:05:40,640 --> 00:05:46,947 しかし 間もなく その隣人関係を壊す出来事が起きる。 53 00:05:52,118 --> 00:05:55,655 (爆撃音) 54 00:05:55,655 --> 00:06:01,461 1914年に勃発した 第一次世界大戦。 55 00:06:01,461 --> 00:06:05,265 列強は イギリスなどの連合国と➡ 56 00:06:05,265 --> 00:06:10,136 ドイツを中心とした同盟国の 2大陣営に分かれた。 57 00:06:10,136 --> 00:06:13,974 ドイツと軍事同盟を結んだ オスマン帝国は➡ 58 00:06:13,974 --> 00:06:17,177 ドイツ陣営に入った。 59 00:06:23,950 --> 00:06:26,620 オスマン帝国では 当時➡ 60 00:06:26,620 --> 00:06:31,424 新たなエネルギー源となる 石油が見つかっていた。 61 00:06:34,794 --> 00:06:41,101 後に その油田の規模は 世界有数であることが明らかになる。 62 00:06:44,971 --> 00:06:49,843 オスマン帝国に目を付けたのは イギリスだった。 63 00:06:49,843 --> 00:06:52,312 海軍大臣 チャーチルは➡ 64 00:06:52,312 --> 00:06:57,817 石油が これからの時代の 生命線になると にらんでいた。 65 00:07:01,921 --> 00:07:04,925 当時 オスマン帝国の内部では➡ 66 00:07:04,925 --> 00:07:11,431 アラブ人による 独立への機運が高まっていた。 67 00:07:11,431 --> 00:07:15,935 イギリスは それをあおって 内乱にしむけ… 68 00:07:25,278 --> 00:07:29,950 イギリスは 一人の情報将校に密命を託し➡ 69 00:07:29,950 --> 00:07:33,653 オスマン帝国に潜入させた。 70 00:07:39,659 --> 00:07:47,367 大学で考古学を修め アラビア語と その文化に精通した人物だった。 71 00:07:51,104 --> 00:07:55,976 ロレンスを オスマン帝国に潜入させるのに先立ち➡ 72 00:07:55,976 --> 00:08:00,680 上官がアラブ人指導者に送った 書簡である。 73 00:08:13,927 --> 00:08:19,232 ロレンスが アラブ人の指導者と 同乗する映像と言われる。 74 00:08:23,937 --> 00:08:27,273 預言者ムハンマドの血を引き➡ 75 00:08:27,273 --> 00:08:31,978 民衆の人望があつかった ファイサル。 76 00:08:34,147 --> 00:08:39,285 ロレンスは ファイサルに イギリスの資金と武器を使って➡ 77 00:08:39,285 --> 00:08:44,491 オスマン軍に対する ゲリラ戦を起こすよう持ちかけた。 78 00:08:48,962 --> 00:08:53,767 2人が同席する 貴重な映像が残っている。 79 00:08:56,636 --> 00:09:01,241 ロレンスを振り返るファイサルの にこやかな表情。 80 00:09:01,241 --> 00:09:05,545 信頼を寄せていたことが うかがえる。 81 00:09:31,604 --> 00:09:36,776 ファイサルとロレンスは アラブ人国家建設を目指し➡ 82 00:09:36,776 --> 00:09:43,450 オスマン帝国に向け ゲリラ戦を展開する。 83 00:09:43,450 --> 00:09:48,955 アラブの反乱軍が 鉄道を爆破した直後の映像。 84 00:09:52,091 --> 00:09:59,098 ロレンスは前線に立ち 港湾などの重要拠点を攻略していった。 85 00:10:02,101 --> 00:10:07,407 しかし イギリスには 更に裏の顔があった。 86 00:10:10,844 --> 00:10:13,112 外務大臣 バルフォアは➡ 87 00:10:13,112 --> 00:10:17,617 別の民族とも 同様の密約を交わしたのである。 88 00:10:19,652 --> 00:10:27,360 この書簡は バルフォアが ユダヤ系財閥 ロスチャイルド家に送ったものである。 89 00:10:41,908 --> 00:10:47,714 第一次世界大戦で 膨大な戦費を 必要としていたイギリスは➡ 90 00:10:47,714 --> 00:10:52,519 ユダヤ人とも 手を結ぼうとした。 91 00:10:52,519 --> 00:10:56,389 イギリスは オスマン帝国打倒の暁には➡ 92 00:10:56,389 --> 00:11:03,196 その地に ユダヤ人にも 国づくりを認めると約束したのである。 93 00:11:06,966 --> 00:11:13,740 その呼びかけに ユダヤ人も立ち上がった。 94 00:11:13,740 --> 00:11:19,979 これは イギリス軍内に作られた ユダヤ人部隊の結団式。 95 00:11:19,979 --> 00:11:26,686 ユニオンジャックの下に ダビデの紋章が掲げられている。 96 00:11:30,123 --> 00:11:35,428 イギリス政府の裏切りを知ったロレンスは 憤った。 97 00:11:37,497 --> 00:11:42,835 しかし 結局 その事実を公には伏せたまま➡ 98 00:11:42,835 --> 00:11:46,339 アラブの反乱を 鼓舞し続けた。 99 00:12:08,628 --> 00:12:14,500 国家建設の夢に燃える ユダヤ人とアラブ人の反乱で➡ 100 00:12:14,500 --> 00:12:19,205 オスマン帝国の都市は 次々に陥落した。 101 00:12:24,644 --> 00:12:31,117 1917年 エルサレムが陥落した時の映像である。 102 00:12:31,117 --> 00:12:36,656 意気揚々と入城するのは ユダヤ人。 103 00:12:36,656 --> 00:12:40,960 嘆きの壁に 祈りを捧げた。 104 00:12:45,665 --> 00:12:52,338 そして 1918年 重要拠点ダマスカスが陥落。 105 00:12:52,338 --> 00:12:55,742 オスマン帝国は降伏した。 106 00:12:59,679 --> 00:13:02,448 ファイサルを熱狂的に迎える➡ 107 00:13:02,448 --> 00:13:05,451 アラブ人の映像である。 108 00:13:25,304 --> 00:13:30,810 しかし 勝利後 イギリス軍の司令官 アレンビーは➡ 109 00:13:30,810 --> 00:13:35,615 ファイサルに アラブ人の国はつくれないことを伝えた。 110 00:13:38,317 --> 00:13:43,322 通訳を務めたのは ロレンスだった。 111 00:14:23,796 --> 00:14:28,634 戦後 イギリスは パレスチナ一帯を統治。 112 00:14:28,634 --> 00:14:34,440 もくろみどおり 周辺の石油の採掘権も獲得した。 113 00:14:41,981 --> 00:14:50,123 ロレンスは 砂漠の英雄として 持ち上げられることになった。 114 00:14:50,123 --> 00:14:53,826 その冒険を描いた 記録映画が作られ➡ 115 00:14:53,826 --> 00:14:57,630 世界中で上映された。 116 00:15:07,273 --> 00:15:09,942 中東での活躍を受け➡ 117 00:15:09,942 --> 00:15:15,448 ロレンスには ナイトの称号が 授与されることになった。 118 00:15:18,951 --> 00:15:23,156 しかし ロレンスは辞退した。 119 00:15:25,625 --> 00:15:31,831 アラブを裏切った罪の意識に 苦しみ続けていたのだ。 120 00:15:36,269 --> 00:15:43,075 戦後 ロレンスは名前を変え しばしば行方をくらませた。 121 00:16:20,613 --> 00:16:27,954 一方で イギリスは ユダヤ人との約束は守った。 122 00:16:27,954 --> 00:16:31,791 新たにパレスチナの統治者となった イギリスは➡ 123 00:16:31,791 --> 00:16:35,461 それまで アラブ人が多く住んでいた土地に➡ 124 00:16:35,461 --> 00:16:39,265 ユダヤ人の入植を認めたのである。 125 00:16:42,235 --> 00:16:47,974 これを機に パレスチナへの移住を目指す 動きが進んだ。 126 00:16:47,974 --> 00:16:54,180 僅か5年で 3万5,000人ものユダヤ人が移住した。 127 00:16:57,483 --> 00:17:01,254 これを支援したのが ユダヤ系財閥➡ 128 00:17:01,254 --> 00:17:05,558 ロスチャイルド家の一員 エドモンである。 129 00:17:08,127 --> 00:17:12,598 エドモンは 私財を投じて土地を購入し➡ 130 00:17:12,598 --> 00:17:16,903 ユダヤ人に農業を学ばせた。 131 00:17:21,774 --> 00:17:24,277 その一方で エドモンは➡ 132 00:17:24,277 --> 00:17:30,283 この地に暮らす アラブ人との融和も 繰り返し説いた。 133 00:17:54,106 --> 00:18:01,414 しかし間もなく そんな願いを打ち砕く 悲劇が ドイツで起こった。 134 00:18:04,250 --> 00:18:08,120 (歓声) 135 00:18:08,120 --> 00:18:11,591 1930年代 ドイツに➡ 136 00:18:11,591 --> 00:18:14,894 アドルフ・ヒトラーが台頭する。 137 00:18:22,935 --> 00:18:25,838 ナチスによる迫害を逃れようと➡ 138 00:18:25,838 --> 00:18:30,343 多くのユダヤ人が ドイツを脱出した。 139 00:18:34,080 --> 00:18:40,286 安住の地を求めて 人々が目指したのは パレスチナだった。 140 00:18:40,286 --> 00:18:49,095 こうして 1930年代 パレスチナへの ユダヤ人入植は急増していく。 141 00:19:02,541 --> 00:19:10,583 ユダヤ人とアラブ人の共存関係に 亀裂が広がり始める。 142 00:19:10,583 --> 00:19:19,258 貧しいアラブ人から土地を買い上げ 町をつくり替えていくユダヤ人たち。 143 00:19:19,258 --> 00:19:26,966 我が物顔に振る舞うユダヤ人に アラブ人は 憎悪を向けた。 144 00:19:30,870 --> 00:19:35,875 アラブ人による抗議や反乱も頻発。 145 00:19:38,277 --> 00:19:42,948 統治者であるイギリスの警官が 取り締まる中➡ 146 00:19:42,948 --> 00:19:47,653 反乱は 過激なものへと変貌していった。 147 00:20:10,976 --> 00:20:14,647 事態の収拾に追われたイギリスは➡ 148 00:20:14,647 --> 00:20:21,353 アラブとユダヤの代表を ロンドンに集め 和解させようとした。 149 00:20:31,997 --> 00:20:36,869 だが 両者は 対面することすら拒否。 150 00:20:36,869 --> 00:20:42,875 会談の様子を写した この写真に アラブ人の姿はない。 151 00:20:46,345 --> 00:20:53,219 調停に失敗したイギリスは 政策を大きく転換した。 152 00:20:53,219 --> 00:21:00,526 これまで認めていた ユダヤ人の入植を 制限すると発表したのだ。 153 00:21:22,648 --> 00:21:27,319 理由の一つは またしても石油だった。 154 00:21:27,319 --> 00:21:32,992 アラブ人勢力が 現地のパイプラインへの 攻撃を始めており➡ 155 00:21:32,992 --> 00:21:36,328 不満を抑えようとした。 156 00:21:36,328 --> 00:21:38,264 (汽笛) 157 00:21:38,264 --> 00:21:41,967 そして 悲劇が起きた。 158 00:21:43,669 --> 00:21:51,010 1939年 ドイツを出発した豪華客船 セントルイス号。 159 00:21:51,010 --> 00:21:57,016 乗客の多くは ドイツから逃れようとした ユダヤ人だった。 160 00:21:58,684 --> 00:22:01,587 その数 900人。 161 00:22:01,587 --> 00:22:07,293 2週間の航海を経て 目指したのは アメリカだった。 162 00:22:07,293 --> 00:22:14,633 財産をはたいて 高額の費用を工面した者も多かった。 163 00:22:14,633 --> 00:22:18,304 ところが 出航後 アメリカが➡ 164 00:22:18,304 --> 00:22:23,175 ユダヤ移民の急増を理由に 受け入れを拒否。 165 00:22:23,175 --> 00:22:28,180 他の国も 助けを差し伸べることはなかった。 166 00:22:32,651 --> 00:22:38,657 船は ヨーロッパへ引き返すしかなくなった。 167 00:22:40,526 --> 00:22:44,263 ユダヤ人団体の必死の陳情で➡ 168 00:22:44,263 --> 00:22:51,570 かろうじて乗客は ドイツ以外の 周辺4か国に受け入れが決まる。 169 00:22:54,340 --> 00:22:59,044 しかし 運命は残酷だった。 170 00:23:03,616 --> 00:23:09,622 2か月後 第二次世界大戦が勃発した。 171 00:23:12,625 --> 00:23:15,961 セントルイス号の 乗客を受け入れた➡ 172 00:23:15,961 --> 00:23:18,864 オランダ ベルギー フランスは➡ 173 00:23:18,864 --> 00:23:23,168 次々 ナチスの手に落ちた。 174 00:23:26,305 --> 00:23:33,646 ナチスから逃れたはずの乗客は 強制収容所へと送られた。 175 00:23:33,646 --> 00:23:49,995 ♬~ 176 00:23:49,995 --> 00:23:54,867 これは フランスに作られた ユダヤ人収容所。 177 00:23:54,867 --> 00:23:59,004 ここから アウシュビッツに送られた母親が➡ 178 00:23:59,004 --> 00:24:04,710 知人に託した 子どもたち宛ての手紙が残されている。 179 00:24:53,993 --> 00:24:56,295 (錠前が閉じられる音) 180 00:24:57,863 --> 00:25:15,147 ♬~ 181 00:25:27,626 --> 00:25:30,963 第二次世界大戦の悪夢は➡ 182 00:25:30,963 --> 00:25:37,302 生き延びたユダヤ人を 悲願の実現へと駆り立てた。 183 00:25:37,302 --> 00:25:43,642 約束の地 パレスチナでの 祖国建設である。 184 00:25:43,642 --> 00:25:51,650 しかし 統治するイギリスは 依然として ユダヤ人の移住制限を続けていた。 185 00:25:53,986 --> 00:25:59,691 これは パレスチナに密航する ユダヤ人を追ったニュース番組。 186 00:26:30,289 --> 00:26:37,596 イギリスは 大型の監視船で 密航船を厳しく取り締まった。 187 00:26:39,298 --> 00:26:45,304 捕らえた難民は 再び ヨーロッパへ送り返した。 188 00:26:55,647 --> 00:27:01,453 世界のユダヤ人の国家建設を求める声 シオニズムは➡ 189 00:27:01,453 --> 00:27:05,257 更に激しさを増していった。 190 00:27:05,257 --> 00:27:09,928 その中には あの巨大財閥の当主もいた。 191 00:27:09,928 --> 00:27:14,800 かつて 一族が唱えた アラブ人との融和ではなく➡ 192 00:27:14,800 --> 00:27:19,104 ユダヤ人による国家建設を訴えた。 193 00:27:51,970 --> 00:27:59,645 1947年 イギリスは パレスチナ統治を放棄すると表明。 194 00:27:59,645 --> 00:28:04,917 その地を分割し ユダヤ人国家を建設する案が➡ 195 00:28:04,917 --> 00:28:09,221 国連総会で 採決にかけられた。 196 00:28:28,941 --> 00:28:31,276 (拍手) 197 00:28:31,276 --> 00:28:33,946 (槌をたたく音) 198 00:28:33,946 --> 00:28:38,283 33対13。 199 00:28:38,283 --> 00:28:43,155 アメリカやソ連などの賛成で可決された。 200 00:28:43,155 --> 00:28:45,157 (拍手) 201 00:28:45,157 --> 00:28:52,864 ユダヤ人国家の建国は 1948年5月14日と決まった。 202 00:28:54,833 --> 00:28:57,836 その当日の 映像である。 203 00:28:59,571 --> 00:29:04,443 30年にわたった イギリスのパレスチナ統治は➡ 204 00:29:04,443 --> 00:29:08,146 ここに 終わりを迎えた。 205 00:29:10,215 --> 00:29:14,920 同じ日の午後 新たな旗が掲げられ➡ 206 00:29:14,920 --> 00:29:19,224 ユダヤ人の国家が誕生した。 207 00:29:38,610 --> 00:29:45,317 建国への希望をつないできた歌が 国の歌となった。 208 00:29:47,285 --> 00:29:57,295 ♬~ 209 00:29:57,295 --> 00:30:01,166 しかし このユダヤ人の喜びの日は➡ 210 00:30:01,166 --> 00:30:08,306 アラブ人の抱いてきた憎しみを 更に増幅させることとなった。 211 00:30:08,306 --> 00:30:15,647 同じ日 イスラエル建国に反対する 周辺国が宣戦布告。 212 00:30:15,647 --> 00:30:19,651 中東戦争が始まった。 213 00:30:24,990 --> 00:30:31,330 国外から兵器を買い付けたイスラエルは 戦いに勝利した。 214 00:30:31,330 --> 00:30:34,666 新たに領土を獲得した イスラエルは➡ 215 00:30:34,666 --> 00:30:41,373 そこに住んでいたアラブ人 75万人を追い払った。 216 00:30:46,011 --> 00:30:50,716 パレスチナ難民が生まれる。 217 00:30:54,352 --> 00:31:00,058 500以上の集落が 無残に破壊された。 218 00:31:03,161 --> 00:31:08,633 自分たちの国づくりという 悲願実現の前には➡ 219 00:31:08,633 --> 00:31:14,339 新たな犠牲者の存在は顧みられなかった。 220 00:31:56,014 --> 00:31:57,949 (歓声) 221 00:31:57,949 --> 00:32:01,820 イスラエル初代首相 ベングリオンは➡ 222 00:32:01,820 --> 00:32:08,960 アメリカ在住の高名なユダヤ人に 大統領就任を依頼した。 223 00:32:08,960 --> 00:32:13,632 アルバート・アインシュタインである。 224 00:32:13,632 --> 00:32:19,304 かつて シオニズム運動を支援していた アインシュタインだったが➡ 225 00:32:19,304 --> 00:32:23,008 その依頼を断った。 226 00:32:24,643 --> 00:32:32,651 彼が望んでいたのは ユダヤ人と アラブ人が共存する国家だった。 227 00:33:10,622 --> 00:33:15,627 これは 1970年代の イスラエルである。 228 00:33:18,296 --> 00:33:26,171 アメリカの企業が進出し イスラエルは大きく発展を遂げた。 229 00:33:26,171 --> 00:33:30,642 第一次大戦前 この地の人口の1割➡ 230 00:33:30,642 --> 00:33:34,312 僅か9万人にすぎなかった ユダヤ人は➡ 231 00:33:34,312 --> 00:33:38,984 この時期 250万を超えた。 232 00:33:38,984 --> 00:33:41,319 (爆発音) 233 00:33:41,319 --> 00:33:47,993 その陰で 土地を失ったアラブ人たちは ゲリラ組織を結成。 234 00:33:47,993 --> 00:33:55,300 テロリズムによって 自らの主張を国際社会に訴えようとした。 235 00:34:21,860 --> 00:34:29,568 1972年 世界を震撼させる テロ事件が起きた。 236 00:34:32,504 --> 00:34:39,277 24人が殺害された イスラエル・テルアビブ空港乱射事件。 237 00:34:39,277 --> 00:34:43,581 3人の実行犯は 日本人だった。 238 00:34:45,183 --> 00:34:50,655 後に 日本赤軍を名乗る 20代の日本人。 239 00:34:50,655 --> 00:34:57,963 更なる衝撃は 実行犯の一人が 手榴弾で自爆したことだった。 240 00:35:13,278 --> 00:35:19,985 自らの命をかける自爆テロは 大量殺戮を可能にした。 241 00:35:22,620 --> 00:35:27,959 自殺は イスラム教で 禁じられているにもかかわらず➡ 242 00:35:27,959 --> 00:35:35,967 このテロは英雄視され 「自爆テロ」は 新しい戦術として広まっていく。 243 00:36:00,859 --> 00:36:02,794 (歓声) 244 00:36:02,794 --> 00:36:08,099 不気味な予言は 3か月後 現実となった。 245 00:36:12,937 --> 00:36:21,246 ドイツ・ミュンヘン大会に イスラエルは 30人の選手団を派遣していた。 246 00:36:31,289 --> 00:36:37,162 イスラエル選手団の宿舎に 8人のパレスチナ・ゲリラが侵入。 247 00:36:37,162 --> 00:36:42,167 2人を殺害し 9人を人質にとった。 248 00:36:44,302 --> 00:36:51,309 当局に拘束されている 岡本公三ら 政治犯の釈放を要求。 249 00:36:52,977 --> 00:37:00,285 交渉に臨む その右手には 常に手榴弾が握られていた。 250 00:37:34,953 --> 00:37:40,625 事件は 最悪の結末を迎えた。 251 00:37:40,625 --> 00:37:43,962 実行犯5人は射殺されたが➡ 252 00:37:43,962 --> 00:37:51,302 死ぬ直前 人質が乗るヘリコプターを 手榴弾で爆破した。 253 00:37:51,302 --> 00:37:54,005 (爆発音) 254 00:37:56,641 --> 00:38:01,946 人質9人 全員が死亡した。 255 00:38:03,915 --> 00:38:10,622 これは 犯人たちの棺を出迎える アラブ人の映像である。 256 00:38:32,944 --> 00:38:40,818 以後 自爆テロという無差別攻撃は 弱者の戦術として定着。 257 00:38:40,818 --> 00:38:45,523 世界へ 恐怖をばらまいていった。 258 00:38:45,523 --> 00:38:54,532 ♬~ 259 00:38:56,167 --> 00:38:58,636 2002年。 260 00:38:58,636 --> 00:39:06,344 イスラエルは アラブ人居住区との境界に 巨大な壁の建設を始めた。 261 00:39:08,246 --> 00:39:13,551 高さ8メートル 全長700キロ。 262 00:39:15,119 --> 00:39:19,257 この100年 対立を繰り返してきた➡ 263 00:39:19,257 --> 00:39:24,963 ユダヤ人とアラブ人を分かつ 分離壁である。 264 00:39:29,901 --> 00:39:37,208 2005年 その分離壁に 一人のアーティストが よじ登った。 265 00:39:39,577 --> 00:39:42,947 イスラエル兵が監視する中➡ 266 00:39:42,947 --> 00:39:48,653 用意してきた型紙を使って 素早く作品を作っていく。 267 00:39:57,962 --> 00:40:06,971 時に銃口を向けられながら 今も度々訪れ 作品を描き続けている。 268 00:40:13,511 --> 00:40:18,816 分離壁をこじ開けようとする 2人の天使。 269 00:40:23,988 --> 00:40:30,695 火炎瓶ではなく 花束を投げようとする若者。 270 00:40:36,000 --> 00:40:43,007 作品に込めた思いを バンクシーは 自らの肉声で語っている。 271 00:41:05,630 --> 00:41:11,502 イギリスの アラブへの裏切りから 100年目の2017年➡ 272 00:41:11,502 --> 00:41:18,509 イギリス人であるバンクシーは 分離壁の前で ある催しを開いた。 273 00:41:20,178 --> 00:41:25,183 謝罪を意味する アポロジーパーティー。 274 00:41:26,918 --> 00:41:30,855 エリザベス女王のお面をかぶった役者に➡ 275 00:41:30,855 --> 00:41:37,161 イギリスの裏切りが対立を招いたことを 謝罪させた。 276 00:41:39,530 --> 00:41:44,001 この人形は 外務大臣バルフォアが➡ 277 00:41:44,001 --> 00:41:49,006 裏切りの書面に サインをする様子を再現している。 278 00:41:52,343 --> 00:41:58,015 バンクシーの活動がきっかけで 今 世界のアーティストが➡ 279 00:41:58,015 --> 00:42:02,854 分離壁を 巨大なキャンバスにし始めている。 280 00:42:02,854 --> 00:42:11,295 ♬~ 281 00:42:11,295 --> 00:42:19,303 それに惹かれ 世界から 多くの観光客も訪れるようになった。 282 00:42:25,309 --> 00:42:29,614 今も 衝突は続いている。 283 00:42:31,649 --> 00:42:34,552 (爆撃音) 284 00:42:34,552 --> 00:42:44,262 2021年には アラブ人が暮らす ガザ地区への空爆で 256人が亡くなった。 285 00:42:49,200 --> 00:42:57,675 100年前 中東に悲劇の種をまいた 砂漠の英雄 ロレンス。 286 00:42:57,675 --> 00:43:01,546 第一次世界大戦から 17年後➡ 287 00:43:01,546 --> 00:43:04,282 オートバイ事故で 亡くなった。 288 00:43:04,282 --> 00:43:06,984 46歳だった。 289 00:43:08,619 --> 00:43:11,289 英雄と呼ばれながら➡ 290 00:43:11,289 --> 00:43:16,961 罪悪感に さいなまれ続ける 後半生を送ったロレンスは➡ 291 00:43:16,961 --> 00:43:20,264 こんな言葉を残している。 292 00:44:09,614 --> 00:44:32,837 ♬~ 293 00:44:32,837 --> 00:44:40,845 ♬~