1 00:00:01,168 --> 00:00:07,674 ♬~ 2 00:00:09,409 --> 00:00:17,417 2024年12月 イギリスBBCが あるニュースを報じた。 3 00:00:26,660 --> 00:00:34,101 イギリスで2年連続 最も多い男の子の 名前となっているのが 「ムハンマド」。 4 00:00:34,101 --> 00:00:39,239 言わずと知れた イスラム教の預言者の名前である。 5 00:00:39,239 --> 00:00:41,975 つづりの違うものも含めると➡ 6 00:00:41,975 --> 00:00:46,980 9,000人を超える赤ん坊に その名が授けられた。 7 00:00:49,349 --> 00:00:58,659 イギリスでは 20年前に比べ イスラム教徒の数が 倍以上に増えている。 8 00:01:01,895 --> 00:01:07,301 長きにわたり 移民を受け入れてきたヨーロッパ。 9 00:01:08,969 --> 00:01:16,510 ドイツでは 現在3人に1人が 移民の背景を持つといわれる。 10 00:01:16,510 --> 00:01:21,415 世界の中で アメリカに次ぐ 移民大国である。 11 00:01:23,050 --> 00:01:30,757 フランスでも現在 移民が 総人口の1割を超えている。 12 00:01:34,728 --> 00:01:41,768 しかし 移民が増えれば増えるほど 反発の声も高まっている。 13 00:01:41,768 --> 00:01:47,374 反移民を掲げる右派勢力が 支持を集めている。 14 00:02:10,797 --> 00:02:18,405 2016年 イギリスで行われた EU離脱を問う国民投票。 15 00:02:20,207 --> 00:02:28,315 ここでも 反移民を訴えの一つに掲げる 離脱派が 勝利を収めた。 16 00:02:34,554 --> 00:02:37,557 (歓声) 17 00:02:39,226 --> 00:02:47,034 世界が揺れるたびに ヨーロッパは 新たな人の流れを受け止めてきた。 18 00:02:49,536 --> 00:02:56,343 戦後復興の労働力として求められたのは アフリカや中東の人々。 19 00:02:58,045 --> 00:03:00,714 (爆撃音) 20 00:03:00,714 --> 00:03:07,521 冷戦が崩壊すると 東ヨーロッパから 人々が押し寄せる。 21 00:03:10,157 --> 00:03:12,726 そして アラブの春。 22 00:03:12,726 --> 00:03:20,033 変革は混乱へ転じ 中東から大勢の難民が ヨーロッパを目指した。 23 00:03:41,121 --> 00:03:44,558 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 24 00:03:44,558 --> 00:03:51,732 寛容と排斥の間で揺れた 戦後ヨーロッパ 80年の記録。 25 00:03:51,732 --> 00:03:58,939 その問いの答えを 世界もまた 探し続けている。 26 00:04:11,718 --> 00:04:18,024 1998年 FIFAワールドカップ フランス大会。 27 00:04:27,834 --> 00:04:33,940 フランス代表が自国開催で 初めての優勝を果たした。 28 00:04:39,813 --> 00:04:45,318 注目されたのが 選手たちの「ルーツ」だった。 29 00:04:50,423 --> 00:04:57,164 アルジェリア人の両親のもとに生まれた 移民二世のジネディーヌ・ジダンをはじめ➡ 30 00:04:57,164 --> 00:05:03,970 メンバー22人のうち 半数以上が 移民系の選手だった。 31 00:05:09,876 --> 00:05:13,680 この偉業を フランスの新聞各紙は➡ 32 00:05:13,680 --> 00:05:20,086 多様性の国 フランスの 「民族戦術の勝利」とたたえた。 33 00:05:50,417 --> 00:05:55,655 ドイツ占領から解放された パリの映像である。 34 00:05:55,655 --> 00:06:00,360 敵は去ったが 国土は荒れ果てていた。 35 00:06:01,928 --> 00:06:06,733 ♬~ 36 00:06:23,350 --> 00:06:28,889 復興を担ったのは アルジェリアをはじめ 植民地からやって来た➡ 37 00:06:28,889 --> 00:06:32,592 出稼ぎの労働者たちだった。 38 00:06:34,728 --> 00:06:43,937 彼らの汗が 「栄光の30年」と呼ばれる 戦後フランスの好景気を下支えしていく。 39 00:06:47,140 --> 00:06:54,714 スーパースター ジダンの父 スマイルも そんな出稼ぎ労働者の一人だった。 40 00:06:54,714 --> 00:07:01,621 17歳でアルジェリアを離れ パリで肉体労働に従事した。 41 00:07:45,031 --> 00:07:53,440 敗戦国 西ドイツが復興を急ぐために 労働力を求めたのは トルコだった。 42 00:07:55,508 --> 00:08:01,781 1961年 イスタンブールから 西ドイツへ向かう特別列車が➡ 43 00:08:01,781 --> 00:08:05,485 週2回 走り始める。 44 00:08:08,355 --> 00:08:14,494 高い失業率の解消と 外貨を必要としていたトルコ。 45 00:08:14,494 --> 00:08:20,700 ベルリンの壁が築かれ 東ドイツからの 労働者が途絶えた西ドイツ。 46 00:08:20,700 --> 00:08:23,303 両国の思惑が一致した。 47 00:08:25,038 --> 00:08:31,044 90万を超すトルコ人が 西ドイツの戦後復興を支えた。 48 00:08:32,712 --> 00:08:38,918 (祈りの時間を知らせる声) 49 00:09:12,952 --> 00:09:18,792 西ドイツは やがてモロッコやポルトガル チュニジアからも➡ 50 00:09:18,792 --> 00:09:22,295 働き手を呼び寄せるようになる。 51 00:09:24,197 --> 00:09:30,603 だが あくまで帰国を前提とした 一時的な受け入れだった。 52 00:09:30,603 --> 00:09:37,811 移民ではなく 「ガストアルバイター」 「出稼ぎ労働者」と呼ばれた。 53 00:09:37,811 --> 00:09:43,616 彼らが社会に根を下ろすことは 想定していなかった。 54 00:10:07,440 --> 00:10:10,543 (汽笛) 55 00:10:23,056 --> 00:10:30,029 戦後 イギリスが受け入れたのは 世界各地に広がる「コモンウェルス」➡ 56 00:10:30,029 --> 00:10:33,633 かつての大英帝国の人々だった。 57 00:10:53,253 --> 00:10:56,990 戦後すぐに制定された「国籍法」により➡ 58 00:10:56,990 --> 00:11:04,397 イギリス連邦下の すべての国民に 本国と同じ市民権が与えられていた。 59 00:11:08,067 --> 00:11:14,207 帝国が支配した インドやパキスタンの人々も イギリスに渡り➡ 60 00:11:14,207 --> 00:11:19,612 労働力として 国の再建を支えていった。 61 00:11:29,122 --> 00:11:33,026 だが 積極的な移民受け入れは➡ 62 00:11:33,026 --> 00:11:36,329 やがてイギリス社会に 軋轢を生み始める。 63 00:11:50,410 --> 00:11:58,318 1958年。 白人の若者たちが 黒人移民を襲撃する事件が起こる。 64 00:12:00,019 --> 00:12:06,726 衝突は瞬く間に広がり 黒人と白人 100人を超える逮捕者を出す➡ 65 00:12:06,726 --> 00:12:10,930 大規模な暴動へ エスカレートした。 66 00:12:13,333 --> 00:12:17,837 さらに イギリス保守党議員の演説が➡ 67 00:12:17,837 --> 00:12:22,141 移民を巡る議論を過熱させる。 68 00:13:04,083 --> 00:13:09,689 (拍手) 69 00:13:17,964 --> 00:13:25,705 危機の拡大を恐れるイギリス政府は 1971年 「移民法」を制定。 70 00:13:25,705 --> 00:13:32,312 移民受け入れの制限へと 本格的に舵を切った瞬間だった。 71 00:13:36,149 --> 00:13:43,256 その後 ドイツとフランスも 移民政策の見直しを迫られる。 72 00:13:49,662 --> 00:13:55,468 1973年の石油危機から始まった 長い不況の波は➡ 73 00:13:55,468 --> 00:13:59,138 フランス経済を直撃した。 74 00:13:59,138 --> 00:14:04,777 失業率が 10年余りで3倍に増加。 75 00:14:04,777 --> 00:14:10,283 150万を超す失業者が 街にあふれた。 76 00:14:13,186 --> 00:14:20,193 ドイツとフランスは 外国人労働者の新規受け入れを停止。 77 00:14:22,528 --> 00:14:29,602 既に働いていた人たちには 奨励金を支給して 帰国を促した。 78 00:14:29,602 --> 00:14:32,438 戦後の繁栄を支えた人々が➡ 79 00:14:32,438 --> 00:14:38,244 不況とともに 厄介者として 扱われるようになった。 80 00:14:56,329 --> 00:15:01,167 しかし流入は 止めようとしても 止め切れない。 81 00:15:01,167 --> 00:15:04,604 人権への配慮から 移民に対して➡ 82 00:15:04,604 --> 00:15:09,409 定住も家族の呼び寄せも 禁じることができなかった。 83 00:15:09,409 --> 00:15:13,513 移民政策は 深い矛盾を抱え始めていた。 84 00:15:15,181 --> 00:15:21,087 ジダンの一家もアルジェリアには帰らず フランスに残った。 85 00:15:21,087 --> 00:15:24,624 四男のジネディーヌが フランスに生まれたのは➡ 86 00:15:24,624 --> 00:15:30,630 石油危機の前の年 1972年だった。 87 00:15:33,633 --> 00:15:41,207 ジダンが生まれた 1972年 フランスで ある右派政党が誕生する。 88 00:15:41,207 --> 00:15:44,410 現在 フランス議会の野党第一党➡ 89 00:15:44,410 --> 00:15:50,116 「国民連合」の前身 「国民戦線」である。 90 00:16:07,967 --> 00:16:12,805 国民戦線は 反共産主義と反ユダヤ主義を➡ 91 00:16:12,805 --> 00:16:16,375 掲げて結成された。 92 00:16:16,375 --> 00:16:19,378 戦時中のナチ協力者などを含む➡ 93 00:16:19,378 --> 00:16:24,484 右翼系の人物や団体が結集していた。 94 00:16:29,622 --> 00:16:38,331 石油危機後の景気低迷の中 国民戦線が 票になると踏み とった戦略が➡ 95 00:16:38,331 --> 00:16:41,534 移民批判だった。 96 00:16:43,736 --> 00:16:48,040 結党初期の幹部たちが 党の方針について話し合う➡ 97 00:16:48,040 --> 00:16:51,244 貴重な映像である。 98 00:17:35,922 --> 00:17:40,826 80年代に入ると 国民戦線に追い風となる➡ 99 00:17:40,826 --> 00:17:44,630 新たな移民問題が噴き出した。 100 00:17:51,504 --> 00:17:59,512 定住した外国人労働者の子どもたち 移民二世の若者たちによる暴動が多発。 101 00:17:59,512 --> 00:18:03,516 治安の悪化が深刻化した。 102 00:18:06,285 --> 00:18:11,757 背景には 移民二世たちが抱える 疎外感があった。 103 00:18:11,757 --> 00:18:17,563 「出生地主義」をとるフランスでは 移民二世は フランス国籍を持っている。 104 00:18:17,563 --> 00:18:23,469 だが 社会の中に 居場所を見いだせずにいた。 105 00:18:53,966 --> 00:19:00,673 移民二世の存在は やがて宗教を巡る問題にも発展する。 106 00:19:00,673 --> 00:19:06,278 パリ郊外の公立中学校で イスラム教徒の女子生徒3人が➡ 107 00:19:06,278 --> 00:19:09,982 退学処分を言い渡された。 108 00:19:12,585 --> 00:19:20,393 宗教的なシンボルであるスカーフを 教室に持ち込んでいたのが 問題視された。 109 00:19:32,371 --> 00:19:37,677 フランスの憲法には 政教分離や宗教的中立を掲げる➡ 110 00:19:37,677 --> 00:19:40,980 「ライシテ」の原則がある。 111 00:19:40,980 --> 00:19:46,919 しかし スカーフの着用に関する 明確な解釈はなく➡ 112 00:19:46,919 --> 00:19:53,225 この問題は 国を挙げての大論争へと 発展していく。 113 00:20:36,035 --> 00:20:40,473 事件から15年後 議会は➡ 114 00:20:40,473 --> 00:20:45,311 公立学校でのスカーフを含む 宗教的シンボルの着用を➡ 115 00:20:45,311 --> 00:20:50,015 「全面禁止」とする法律を制定した。 116 00:20:53,385 --> 00:21:00,493 拒否した生徒は例外なく 退学処分となった。 117 00:21:22,515 --> 00:21:30,756 2001年 移民二世たちが抱えてきた不満が 表面化する事件が起こる。 118 00:21:30,756 --> 00:21:36,462 これは サッカーフランス代表の 親善試合の映像。 119 00:21:40,232 --> 00:21:45,104 対戦相手は フランスに長らく 労働者を送り出してきた➡ 120 00:21:45,104 --> 00:21:48,841 旧植民地 アルジェリア。 121 00:21:48,841 --> 00:21:53,479 独立後 フランスで初めて実現した この対戦に➡ 122 00:21:53,479 --> 00:22:00,286 アルジェリア移民二世のジダンは 特別な思いで臨んでいた。 123 00:22:18,404 --> 00:22:22,608 試合前 フランス国歌が流れると➡ 124 00:22:22,608 --> 00:22:28,113 移民二世の若者たちから 大ブーイングが起こる。 125 00:22:28,113 --> 00:22:35,221 (ブーイングの声) 126 00:22:35,221 --> 00:22:39,725 国歌が かき消されるほどのブーイング。 127 00:22:39,725 --> 00:22:44,330 この試合で起こる混乱を予感させた。 128 00:22:50,102 --> 00:22:55,708 フランスリードで迎えた 後半 31分のことだった。 129 00:23:15,060 --> 00:23:18,931 アルジェリア国旗を掲げる若者が乱入。 130 00:23:18,931 --> 00:23:24,637 それをきっかけに 数百人が なだれ込んだ。 131 00:23:41,987 --> 00:23:49,995 試合後 ジダンは何も語らず スタジアムを後にした。 132 00:23:56,936 --> 00:24:03,075 東西冷戦の終結を境に 新たな人の大移動が始まる。 133 00:24:03,075 --> 00:24:06,512 ユーゴスラビアでは 独裁体制が崩れ➡ 134 00:24:06,512 --> 00:24:11,417 押し込められていた民族対立が 一気に噴き出した。 135 00:24:13,152 --> 00:24:17,990 紛争から逃れようと 人々が難民となって➡ 136 00:24:17,990 --> 00:24:21,860 西側諸国に押し寄せた。 137 00:24:21,860 --> 00:24:29,668 1992年 難民の数は 67万に達した。 138 00:24:32,504 --> 00:24:39,211 その6割以上を受け入れたのが 統一したばかりのドイツだった。 139 00:24:39,211 --> 00:24:45,017 ユダヤ人を迫害し 多くの難民を生んだ 歴史への深い反省から➡ 140 00:24:45,017 --> 00:24:52,224 戦後のドイツは 難民の庇護を 国の基本法に定めていた。 141 00:25:28,594 --> 00:25:36,301 さらに2004年 東欧の8か国が EUに加盟した。 142 00:25:36,301 --> 00:25:43,008 国境間の移動が自由になり 人々の往来が活発化する。 143 00:25:47,546 --> 00:25:52,518 好景気だったイギリスは 人手不足を解消するため➡ 144 00:25:52,518 --> 00:25:57,523 東欧 ポーランドからの 移民受け入れを決める。 145 00:26:18,177 --> 00:26:24,516 これは ロンドンの領事館前に並ぶ ポーランド移民の映像。 146 00:26:24,516 --> 00:26:29,388 子どもの誕生の届け出に来た 夫婦たちである。 147 00:26:29,388 --> 00:26:37,896 イギリスへ出稼ぎに来たポーランド人は 2004年だけで 10万以上に上った。 148 00:26:57,216 --> 00:27:01,854 しかし政府は 移民急増の対策を打たなかった。 149 00:27:01,854 --> 00:27:08,961 このことが 後に国を二分する 議論の一端となっていく。 150 00:27:15,767 --> 00:27:21,106 2015年 ヨーロッパは 大きな試練に直面した。 151 00:27:21,106 --> 00:27:24,510 「欧州難民危機」である。 152 00:27:24,510 --> 00:27:27,212 アラブの春が きっかけだった。 153 00:27:27,212 --> 00:27:33,619 独裁は倒れたが その後に広がったのは 内戦と無秩序だった。 154 00:27:35,320 --> 00:27:44,229 中東から大勢の難民が押し寄せ ヨーロッパ全土が 機能不全に陥った。 155 00:27:48,200 --> 00:27:54,973 これは 難民危機のさなか ドイツで開かれた市民集会。 156 00:27:54,973 --> 00:27:57,643 これまで積極的に難民を受け入れていた➡ 157 00:27:57,643 --> 00:28:03,048 ドイツだったが 今回は慎重だった。 158 00:28:50,395 --> 00:28:54,132 首相 メルケルは すべての難民を➡ 159 00:28:54,132 --> 00:28:59,037 無条件に受け入れることは できないと語った。 160 00:29:02,741 --> 00:29:07,546 だが 危機は深刻さを増す。 161 00:29:10,082 --> 00:29:16,288 西ヨーロッパへの通り道 ハンガリーが 押し寄せる難民に対処しきれなくなり➡ 162 00:29:16,288 --> 00:29:19,791 国境を封鎖した。 163 00:29:25,964 --> 00:29:34,573 国際列車の運行も停止され 難民たちは 行き場を失った。 164 00:29:59,831 --> 00:30:05,737 メルケルは これ以上 事態を 見過ごすわけにはいかないと考え➡ 165 00:30:05,737 --> 00:30:08,040 覚悟を決めた。 166 00:30:09,941 --> 00:30:17,649 8月31日 難民の 全面的な受け入れを表明する。 167 00:30:46,344 --> 00:30:53,552 これは ドイツに到着した シリア難民たちの映像である。 168 00:31:09,601 --> 00:31:18,076 難民の受け入れに消極的だった イギリスやフランスも 態度を変える。 169 00:31:18,076 --> 00:31:24,182 その きっかけとなったのは 一つの映像だった。 170 00:31:26,718 --> 00:31:35,127 トルコの海岸の波打ち際に横たわる 3歳のシリア難民の男の子の遺体。 171 00:31:37,095 --> 00:31:42,000 乗っていたボートが 沈没したと考えられる。 172 00:32:00,218 --> 00:32:10,629 この年 ヨーロッパ各国が受け入れた難民は 130万に達し 戦後最大の規模となった。 173 00:32:14,432 --> 00:32:17,035 (銃撃音) 174 00:32:18,737 --> 00:32:25,243 だが 難民への歓迎ムードは ある事件を境に崩れ去る。 175 00:32:25,243 --> 00:32:30,649 130人の犠牲者を出した パリ同時多発テロ。 176 00:32:33,952 --> 00:32:42,260 ISの戦闘員と見られる自爆犯は シリア難民を装い フランスに入国していた。 177 00:32:48,433 --> 00:32:52,337 実行犯の一人 移民二世のフランス人は➡ 178 00:32:52,337 --> 00:32:58,143 EU圏内を自由に移動し ベルギーに逃亡していた。 179 00:33:04,883 --> 00:33:11,289 ルペンの後を継ぎ 国民戦線の 党首となった娘 マリーヌは➡ 180 00:33:11,289 --> 00:33:19,197 国民の怒りの矛先を 国内のイスラム過激派や 不法移民に向けた。 181 00:33:41,119 --> 00:33:49,828 ドイツでも 難民申請中の男性による 集団暴行や窃盗事件が多発する。 182 00:33:54,432 --> 00:33:59,271 人々が 心の内に抱えていた 難民受け入れへの反発が➡ 183 00:33:59,271 --> 00:34:01,973 一気に噴き出した。 184 00:34:24,496 --> 00:34:33,872 反EUを掲げ結党された政党 AfDは 難民危機後 移民排斥の主張を加え➡ 185 00:34:33,872 --> 00:34:38,076 ドイツ第三党に躍進する。 186 00:35:05,136 --> 00:35:12,344 イギリスでも反移民感情が 国の行方を揺さぶっていた。 187 00:35:24,889 --> 00:35:30,996 EUへの 残留か離脱かを問う国民投票。 188 00:35:35,667 --> 00:35:39,204 ナイジェル・ファラージ率いる 「イギリス独立党」が➡ 189 00:35:39,204 --> 00:35:45,910 争点の一つとして持ち出したのが 移民・難民問題だった。 190 00:35:51,216 --> 00:35:56,655 このままEUにとどまれば 流入を止められず➡ 191 00:35:56,655 --> 00:36:03,261 社会保障費と雇用が脅かされる という訴えだった。 192 00:36:18,910 --> 00:36:24,416 結果は僅差で 離脱派が勝利。 193 00:36:24,416 --> 00:36:30,121 その背景の一つが 移民対策を求める声だった。 194 00:36:32,524 --> 00:36:38,930 投票の3日後 ポーランドの文化施設が入った ロンドンのビルで➡ 195 00:36:38,930 --> 00:36:43,034 差別的な落書きが見つかった。 196 00:36:55,980 --> 00:37:01,553 EUが開いた扉から入ってきた ポーランド移民。 197 00:37:01,553 --> 00:37:09,661 国民投票を境に ヘイトが公然と行われる 空気が広がっていった。 198 00:37:15,100 --> 00:37:22,474 ヨーロッパは 今も年間400万を超す人々を迎えている。 199 00:37:22,474 --> 00:37:27,779 その多くは ウクライナからの難民である。 200 00:37:34,152 --> 00:37:38,590 しかし その寛容は揺らぎ始めている。 201 00:37:38,590 --> 00:37:45,497 反移民政党の支持拡大を受け ドイツ政府は 国境の管理を復活させた。 202 00:37:47,198 --> 00:37:52,036 イギリス政府も 移民の受け入れ制限へ 舵を切り➡ 203 00:37:52,036 --> 00:37:59,844 移民の数は コロナ禍の移動禁止措置以来 初めての減少に転じている。 204 00:38:05,283 --> 00:38:14,292 しかし 議論の行方とは別に 移民は確実に社会に根づいている。 205 00:38:34,913 --> 00:38:42,153 シリア難民出身の人物が ドイツの小さな町の町長となった。 206 00:38:42,153 --> 00:38:45,056 アルシェブルさんが ドイツに たどりついたのは➡ 207 00:38:45,056 --> 00:38:49,627 2015年の難民危機のさなか。 208 00:38:49,627 --> 00:38:54,465 必死にドイツ語を学び 職業訓練制度を修了。 209 00:38:54,465 --> 00:38:58,903 その後 地方自治体の職員として 勤務する中で➡ 210 00:38:58,903 --> 00:39:03,107 町長への立候補を思い立った。 211 00:39:29,500 --> 00:39:38,209 当選直後 アルシェブルさんは 町民に向け こう語った。 212 00:39:56,961 --> 00:40:01,866 (拍手) 213 00:40:12,443 --> 00:40:15,847 (拍手) 214 00:40:18,182 --> 00:40:21,753 移民を巡る議論が続くヨーロッパ。 215 00:40:21,753 --> 00:40:29,494 自国優先の空気が広がる世界で ヨーロッパもまた 針路を変えつつある。 216 00:40:29,494 --> 00:40:35,900 反移民を掲げるファラージが立ち上げた 新党 「リフォームUK」。 217 00:40:35,900 --> 00:40:42,907 2大政党を抜き 現在 支持率トップに浮上している。 218 00:40:59,157 --> 00:41:06,164 フランスでも 国民連合が 支持率首位を走る。 219 00:41:20,845 --> 00:41:27,018 ドイツでは 去年2月の選挙で AfDが議席を倍増させ➡ 220 00:41:27,018 --> 00:41:31,222 野党第一党へと躍進している。 221 00:41:42,500 --> 00:41:48,606 これは 移民排斥を訴える AfDが公開した広報動画。 222 00:41:52,243 --> 00:41:56,914 登場するのは 移民系のドイツ人。 223 00:41:56,914 --> 00:41:59,784 既に定住している移民たちが➡ 224 00:41:59,784 --> 00:42:05,490 新たな移民の流入を 反対する主張を 紹介している。 225 00:42:05,490 --> 00:42:10,895 移民同士の対立を生み出そうとする 戦略とみられる。 226 00:42:38,322 --> 00:42:46,898 去年10月 一人の移民三世の選択が 注目を浴びた。 227 00:42:46,898 --> 00:42:50,802 ジダンの息子 ルカ・ジダン。 228 00:42:50,802 --> 00:42:53,771 ゴールキーパーとして活躍するルカは➡ 229 00:42:53,771 --> 00:42:59,577 祖父母の祖国 アルジェリアの代表入りを 決断した。 230 00:43:17,495 --> 00:43:21,466 ジダンの4人の息子は 皆 サッカー選手。 231 00:43:21,466 --> 00:43:25,736 一人 アルジェリアから 代表招集の声がかかり➡ 232 00:43:25,736 --> 00:43:29,207 ルカは それに応じた。 233 00:43:29,207 --> 00:43:35,613 その決断を 父も祖父も とても喜んだ。 234 00:44:05,042 --> 00:44:40,244 ♬~