1 00:00:01,168 --> 00:00:07,074 ♬~ 2 00:00:07,074 --> 00:00:11,211 (うなり声) 3 00:00:11,211 --> 00:00:18,919 これは 1954年に公開された 1作目の「ゴジラ」。 4 00:00:21,221 --> 00:00:29,229 ゴジラが破壊するのは 戦争の焼け跡から 復興を遂げた銀座である。 5 00:00:32,232 --> 00:00:37,571 (ゴジラの うなり声) 6 00:00:37,571 --> 00:00:43,243 ゴジラは ある建物に向かった。 7 00:00:43,243 --> 00:00:48,582 銀座のランドマーク 和光の時計塔である。 8 00:00:48,582 --> 00:00:51,485 ゴジラの巨大さを強調するために➡ 9 00:00:51,485 --> 00:00:57,791 身長は 時計塔の高さに合わせて 設定されたといわれる。 10 00:01:15,542 --> 00:01:20,213 破壊と創造を繰り返してきた 銀座。 11 00:01:20,213 --> 00:01:25,519 時代は常に この街を追いかけてきた。 12 00:01:29,890 --> 00:01:31,825 明治時代。 13 00:01:31,825 --> 00:01:39,132 いち早く 西洋化を遂げた銀座は 文明開化の発信地となった。 14 00:01:40,901 --> 00:01:47,908 しかし 大正末期 未曽有の震災が街を襲う。 15 00:01:50,243 --> 00:01:56,550 危機から立ち上がった銀座は 最先端のモダン都市へと 変貌を遂げる。 16 00:02:00,053 --> 00:02:07,060 自由と美をまとった モダンガールが 日本の女性像を塗り替えた。 17 00:02:09,730 --> 00:02:17,037 しかし やがて モダンガールの姿は 街から消える。 18 00:02:20,874 --> 00:02:26,580 そして 再び 銀座は灰じんに帰した。 19 00:02:33,220 --> 00:02:38,892 かろうじて残った建物は 占領軍専用の施設となる。 20 00:02:38,892 --> 00:02:44,564 銀座の主役は アメリカ人に交代した。 21 00:02:44,564 --> 00:02:50,437 しかし 銀座は その苦難を 新たなエネルギーに変える。 22 00:02:50,437 --> 00:02:58,445 ♬~ 23 00:03:06,820 --> 00:03:11,191 夜の銀座では 名だたる大物たちをとりこにする➡ 24 00:03:11,191 --> 00:03:15,195 伝説のマダムたちが 火花を散らした。 25 00:03:17,531 --> 00:03:22,202 高度成長の光を浴びて 輝きを増した銀座は➡ 26 00:03:22,202 --> 00:03:28,542 数々のスターを生み出し 大衆文化をけん引していく。 27 00:03:28,542 --> 00:03:38,852 ♬~ 28 00:04:14,855 --> 00:04:20,727 ♬~ 29 00:04:20,727 --> 00:04:25,866 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 30 00:04:25,866 --> 00:04:31,204 変わることで 変わらない街であり続けた 銀座。 31 00:04:31,204 --> 00:04:34,541 度重なる悲劇を 力に変えてきた➡ 32 00:04:34,541 --> 00:04:40,413 唯一無二の街 銀座百年の記憶をひもといてゆく。 33 00:04:40,413 --> 00:04:48,121 ♬~ 34 00:04:49,890 --> 00:04:55,228 これは 明治31年に フランスのリュミエール社が撮影した➡ 35 00:04:55,228 --> 00:04:58,565 最も古い 銀座の映像である。 36 00:04:58,565 --> 00:05:03,170 ガス灯や人力車 更に 馬車鉄道など➡ 37 00:05:03,170 --> 00:05:06,873 当時 最先端の文化があふれていた。 38 00:05:14,781 --> 00:05:20,720 撮影されたのは 街の メインストリート「銀座通り」。 39 00:05:20,720 --> 00:05:26,193 明治5年の大火を契機に 近代的な都市計画が導入され➡ 40 00:05:26,193 --> 00:05:33,200 日本で初めての 煉瓦造りの街並みが築かれていた。 41 00:05:36,203 --> 00:05:43,543 明治初頭 新橋と横浜を結ぶ 日本初の鉄道が開通。 42 00:05:43,543 --> 00:05:47,414 東京の新たな 玄関口となった 銀座には➡ 43 00:05:47,414 --> 00:05:50,116 最新の西洋文化が流れ込んだ。 44 00:05:51,885 --> 00:05:57,557 日本初の西洋式調剤薬局 「資生堂」➡ 45 00:05:57,557 --> 00:06:01,428 あんぱんを考案した 「木村屋」など➡ 46 00:06:01,428 --> 00:06:06,433 文明開化の到来を告げる 商店が 店を構えた。 47 00:06:08,501 --> 00:06:11,404 リュミエール社の映像には➡ 48 00:06:11,404 --> 00:06:17,110 銀座のシンボルとなっていた 建物が映り込んでいた。 49 00:06:21,514 --> 00:06:26,386 「HATTORI」という文字が見える。 50 00:06:26,386 --> 00:06:34,094 明治27年に完成した「服部時計店」 現在の「和光」である。 51 00:06:59,552 --> 00:07:04,391 これは 創業者 服部金太郎の姿を捉えた➡ 52 00:07:04,391 --> 00:07:06,693 貴重な映像である。 53 00:07:09,162 --> 00:07:13,833 昭和5年ごろ 錦糸町の時計工場➡ 54 00:07:13,833 --> 00:07:18,138 「精工舎」を訪れた際の 様子である。 55 00:07:20,707 --> 00:07:30,183 13歳で時計技術を学び始めた服部は 31歳の時 国産時計の製造に着手。 56 00:07:30,183 --> 00:07:36,489 工場を次々に増設し 大量生産に成功した。 57 00:07:38,525 --> 00:07:42,862 1日を 24時間と定めたばかりの日本に➡ 58 00:07:42,862 --> 00:07:48,568 「時間」という新たな制度を 浸透させていった。 59 00:08:16,496 --> 00:08:20,834 これは 大正末期の銀座通りの映像。 60 00:08:20,834 --> 00:08:23,169 馬車鉄道に代わって➡ 61 00:08:23,169 --> 00:08:28,041 明治末期に開通した 路面電車が見える。 62 00:08:28,041 --> 00:08:32,846 しかし あるはずの時計塔は見えない。 63 00:08:32,846 --> 00:08:38,184 この時 服部は 時計塔の建て替え工事に 取りかかっていた。 64 00:08:38,184 --> 00:08:42,055 その さなかのことだった。 65 00:08:42,055 --> 00:08:44,057 (ごう音) 66 00:08:44,057 --> 00:08:52,532 大正12年9月1日 未曽有の震災が 関東地方を襲った。 67 00:08:52,532 --> 00:09:00,807 地震によって発生した火災で 銀座は ほぼ全域が焼失した。 68 00:09:00,807 --> 00:09:09,149 ♬~ 69 00:09:09,149 --> 00:09:15,155 服部時計店の建て替え工事は 中止を余儀なくされた。 70 00:10:05,205 --> 00:10:08,541 全てを失った 銀座。 71 00:10:08,541 --> 00:10:14,214 だからこそ 街は 大胆に生まれ変わってゆく。 72 00:10:14,214 --> 00:10:18,551 震災から僅か2か月後の 11月10日➡ 73 00:10:18,551 --> 00:10:25,225 銀座通りの商店は 一斉に 店開きに踏み切った。 74 00:10:25,225 --> 00:10:31,931 焼け跡には モダンなデザインの バラックが姿を現した。 75 00:10:34,234 --> 00:10:40,573 震災の翌年には 銀座初のデパート 松坂屋がオープン。 76 00:10:40,573 --> 00:10:48,915 これは 松坂屋が 日本で初めて実施した 「屋上動物園」の映像である。 77 00:10:48,915 --> 00:10:53,253 街なかに突然現れた サルやライオンを 一目見ようと➡ 78 00:10:53,253 --> 00:10:56,956 家族連れの客で にぎわった。 79 00:10:58,591 --> 00:11:06,900 それまで百貨店には 「下足番」が置かれ 靴を脱いで入るのが一般的だった。 80 00:11:08,868 --> 00:11:15,542 しかし 松坂屋は 日本初の「全館土足入場」を実施。 81 00:11:15,542 --> 00:11:20,246 敷居の高かったデパートに 庶民を引き込んだ。 82 00:11:21,881 --> 00:11:28,221 震災後の銀座に 他にも 次々と デパートが姿を現す。 83 00:11:28,221 --> 00:11:33,226 その活気が 街を 再び動かし始めた。 84 00:11:39,566 --> 00:11:42,902 ♬~ 85 00:11:42,902 --> 00:11:53,246 復興に向かう銀座の顔となったのは 新しい時代をまとう女性たちだった。 86 00:11:53,246 --> 00:12:01,521 ♬~ 87 00:12:01,521 --> 00:12:07,393 洋装に身を包み 髪を短く切った 断髪の女性たち。 88 00:12:07,393 --> 00:12:14,534 伝統を脱ぎ捨て さっそうと歩く姿は 「モダンガール」と呼ばれた。 89 00:12:14,534 --> 00:12:21,407 ♬ 青い眸で 恋さがす 90 00:12:21,407 --> 00:12:26,145 モダンガールの存在に 企業も目を付けた。 91 00:12:26,145 --> 00:12:33,553 これは 昭和7年に撮影された 資生堂の街頭広告の映像。 92 00:12:33,553 --> 00:12:37,223 商品名を書いたパラソルを差した モダンガールが➡ 93 00:12:37,223 --> 00:12:39,559 1か月にわたって➡ 94 00:12:39,559 --> 00:12:43,563 東京の盛り場を練り歩いた。 95 00:12:50,903 --> 00:12:54,240 街にあふれる モダンガールは➡ 96 00:12:54,240 --> 00:12:59,946 流行に敏感な若者たちを 銀座に引き寄せた。 97 00:13:02,515 --> 00:13:08,388 旧制専門学校で絵を学んでいた 絵本作家 やなせたかしも➡ 98 00:13:08,388 --> 00:13:12,091 そんな若者の一人だった。 99 00:13:53,232 --> 00:13:57,904 華麗な復興を遂げる銀座で 全盛期を迎えたのが➡ 100 00:13:57,904 --> 00:14:01,207 カフェー文化である。 101 00:14:05,511 --> 00:14:09,182 明治末期 銀座に誕生した カフェーは➡ 102 00:14:09,182 --> 00:14:14,187 文化人が集う 静かなサロンだった。 103 00:14:15,855 --> 00:14:24,197 震災後 「女給」と呼ばれる女性の接待を 売りにする店がはやり 店舗数が激増。 104 00:14:24,197 --> 00:14:28,067 昭和3年には カフェーなどの飲食店は➡ 105 00:14:28,067 --> 00:14:33,773 銀座界隈に 1,000軒以上あったといわれる。 106 00:14:38,544 --> 00:14:41,447 一日に稼ぐチップの額が➡ 107 00:14:41,447 --> 00:14:46,219 公務員の初任給を上回る 人気女給も現れ➡ 108 00:14:46,219 --> 00:14:49,922 空前の女給ブームが巻き起こった。 109 00:14:56,863 --> 00:15:03,503 昭和7年 2代目の時計塔が完成。 110 00:15:03,503 --> 00:15:08,808 大震災を乗り越えた 銀座のシンボルとなった。 111 00:15:53,219 --> 00:16:01,527 昭和12年 日中戦争が始まると 街の風景は変わり始める。 112 00:16:07,733 --> 00:16:15,441 流行の発信地・銀座は その影響力ゆえに プロパガンダの最前線となった。 113 00:16:17,176 --> 00:16:23,850 ファッションショーの舞台だった デパートに 軍用機が現れた。 114 00:16:23,850 --> 00:16:28,554 カフェーも 軍旗であふれていく。 115 00:16:42,201 --> 00:16:48,074 敵機来襲に備え 街の明かりを消す 「灯火管制」が始まると➡ 116 00:16:48,074 --> 00:16:53,079 自慢のネオン街は 闇に包まれた。 117 00:16:58,217 --> 00:17:03,823 銀座通りの主役は 洋装に身を包んだ モダンガールから➡ 118 00:17:03,823 --> 00:17:09,128 かっぽう着姿の国防婦人に 取って代わった。 119 00:17:10,696 --> 00:17:16,168 出征する兵士に贈る お守り 「千人針」を縫う女性たちが➡ 120 00:17:16,168 --> 00:17:20,873 銃後の模範となっていった。 121 00:17:23,843 --> 00:17:29,849 しかし 銀座は 精いっぱいの抵抗を見せた。 122 00:17:32,852 --> 00:17:37,723 配給パンの製造指定工場と なった木村屋は➡ 123 00:17:37,723 --> 00:17:43,496 小麦粉の輸入が激減する中で 混ぜものを使った パン作りを研究し➡ 124 00:17:43,496 --> 00:17:47,800 伝統の味を守ろうとした。 125 00:17:50,403 --> 00:17:54,874 資生堂は 和装の改良着を考案し➡ 126 00:17:54,874 --> 00:17:59,879 女性たちの おしゃれ心を 支えようとした。 127 00:18:33,713 --> 00:18:39,385 しかし 昭和16年 太平洋戦争が開戦すると➡ 128 00:18:39,385 --> 00:18:46,392 資生堂の建物にも 戦意高揚の言葉が掲げられた。 129 00:18:48,527 --> 00:18:53,833 時計塔にも 勝利を祝う垂れ幕が下ろされた。 130 00:19:04,810 --> 00:19:06,746 (爆発音) 131 00:19:06,746 --> 00:19:14,053 昭和20年1月27日 銀座は 初めて空襲に見舞われた。 132 00:20:16,415 --> 00:20:22,221 関東大震災を乗り越え モダン都市として輝いた銀座は➡ 133 00:20:22,221 --> 00:20:25,925 再び 焦土となった。 134 00:20:27,560 --> 00:20:31,897 時計塔も爆風を受け 損傷。 135 00:20:31,897 --> 00:20:34,900 針は止まった。 136 00:20:38,571 --> 00:20:45,277 9月8日 連合国軍による 占領が始まった。 137 00:21:00,192 --> 00:21:09,201 隣接する有楽町に GHQ本部が置かれ 銀座の主役は アメリカ人となった。 138 00:21:19,211 --> 00:21:28,220 かろうじて残った建物は 次々と接収され 占領軍専用の商店に生まれ変わった。 139 00:21:39,231 --> 00:21:46,572 服部時計店は 「オフリミット」 日本人立ち入り禁止の購買所となり➡ 140 00:21:46,572 --> 00:21:54,880 店は 土産物や日用品を買い求める 占領軍の兵士たちで あふれ返った。 141 00:22:39,792 --> 00:22:44,763 占領軍専用の売春施設も作られた。 142 00:22:44,763 --> 00:22:49,235 占領軍の性犯罪を恐れた 日本政府の主導で➡ 143 00:22:49,235 --> 00:22:55,574 特殊慰安施設協会 「R.A.A.」が設立された。 144 00:22:55,574 --> 00:23:03,282 松坂屋の地下は 占領軍専用のキャバレー オアシス・オブ・ギンザとなった。 145 00:23:04,850 --> 00:23:10,522 しかし 性病のまん延と 占領軍の家族からの猛反対で➡ 146 00:23:10,522 --> 00:23:16,228 R.A.A.の慰安所は 半年で閉鎖された。 147 00:23:18,197 --> 00:23:24,069 仕事を失った女性たちは 占領軍相手の街娼となり➡ 148 00:23:24,069 --> 00:23:30,209 銀座や 隣の有楽町に あふれた。 149 00:23:30,209 --> 00:23:35,881 「パンパン」と蔑まれても 路上に立つしかなかった女性たち。 150 00:23:35,881 --> 00:23:42,888 苦しい境遇にあって 彼女たちは 一人の女性に心を寄せていた。 151 00:23:45,891 --> 00:23:54,900 ♬~ 152 00:23:54,900 --> 00:24:02,708 ♬~ 153 00:24:02,708 --> 00:24:08,847 戦後 有楽町の日劇で 「ブギの女王」と呼ばれた笠置シヅ子は➡ 154 00:24:08,847 --> 00:24:14,853 終戦直後 婚約者を病で失っていた。 155 00:24:16,722 --> 00:24:21,427 笠置は 残された娘を 女手一つで育てながら➡ 156 00:24:21,427 --> 00:24:24,430 ステージに上がっていた。 157 00:24:47,219 --> 00:24:50,522 ♬「東京ブギウギ」 158 00:24:52,558 --> 00:24:59,898 笠置は 日劇に通い詰める彼女たちと 交流を深めていく。 159 00:24:59,898 --> 00:25:03,502 これは 街娼たちの更生組織➡ 160 00:25:03,502 --> 00:25:07,373 「白鳥会」の結成パーティーの写真。 161 00:25:07,373 --> 00:25:10,175 笠置は後援者となり➡ 162 00:25:10,175 --> 00:25:13,879 女性たちの再出発を支えた。 163 00:25:16,048 --> 00:25:22,755 昭和25年 笠置は活動の場を アメリカへと広げるため➡ 164 00:25:22,755 --> 00:25:26,058 日本を離れることになった。 165 00:25:27,726 --> 00:25:33,399 日劇で行われた送別コンサートには 女性たちが詰めかけ➡ 166 00:25:33,399 --> 00:25:38,404 ホール1階の半分 800席を買い占めた。 167 00:25:40,873 --> 00:25:47,579 ひときわ大きく 豪華な花束を贈り 門出を祝った。 168 00:26:17,709 --> 00:26:24,183 昭和27年4月 サンフランシスコ平和条約が発効し➡ 169 00:26:24,183 --> 00:26:29,054 占領軍は 街から去った。 170 00:26:29,054 --> 00:26:35,194 これは 服部時計店が制作したテレビCMである。 171 00:26:35,194 --> 00:26:40,866 服部時計店は 戦後間もなく開始された テレビ放送に目を付け➡ 172 00:26:40,866 --> 00:26:44,203 再建に向け 動きだす。 173 00:26:44,203 --> 00:26:47,906 (時計のチャイム) 174 00:26:55,547 --> 00:27:01,153 そして 店舗は 「日本の光を届ける」という願いを込め➡ 175 00:27:01,153 --> 00:27:05,824 「和光」と 名前を変えた。 176 00:27:05,824 --> 00:27:10,496 空襲で破損した時計盤は 修復された。 177 00:27:10,496 --> 00:27:15,834 新たな鐘の音は ロンドンのビッグベンと同じもの。 178 00:27:15,834 --> 00:27:22,140 銀座は その音とともに 復興への歩みを始める。 179 00:27:24,510 --> 00:27:32,384 占領時代は 銀座に エンターテインメント という副産物を残していた。 180 00:27:32,384 --> 00:27:37,089 音楽 映画 ダンス ファッション。 181 00:27:37,089 --> 00:27:45,531 欧米文化を吸収した銀座は 新たな大衆文化の発信地となる。 182 00:27:45,531 --> 00:27:49,868 日本初のシャンソン喫茶 「銀巴里」では➡ 183 00:27:49,868 --> 00:27:57,576 専属第1号の歌手として まだ17歳の丸山明宏が デビューした。 184 00:28:10,489 --> 00:28:19,831 「神武以来の美少年」と称された丸山は たちまち 時代の寵児となった。 185 00:28:19,831 --> 00:28:25,704 ♬ 若き日の涙 186 00:28:25,704 --> 00:28:31,176 三島由紀夫など 銀巴里に集った 文化人に才能を見いだされ➡ 187 00:28:31,176 --> 00:28:34,179 歌謡界に衝撃を与える。 188 00:28:35,847 --> 00:28:48,160 ♬~ 189 00:28:57,536 --> 00:29:05,811 復興の足音が聞こえ始めた銀座に 高級クラブも 次々と開店した。 190 00:29:05,811 --> 00:29:11,149 夜の銀座では 後に 伝説として 語り継がれる2人のマダムが➡ 191 00:29:11,149 --> 00:29:15,020 火花を散らしていた。 192 00:29:15,020 --> 00:29:22,027 これは 1953年に公開された 映画「プーサン」。 193 00:29:24,162 --> 00:29:28,834 出演しているのは 銀座のバー 「エスポワール」のマダム➡ 194 00:29:28,834 --> 00:29:32,137 川辺るみ子である。 195 00:29:41,847 --> 00:29:45,517 戦前は バーの女給として➡ 196 00:29:45,517 --> 00:29:50,188 終戦直後は 占領軍専用クラブのダンサーとして➡ 197 00:29:50,188 --> 00:29:53,492 夜の銀座を生き抜いてきた。 198 00:29:55,861 --> 00:30:00,198 教養と気配り 洗練された話術で➡ 199 00:30:00,198 --> 00:30:04,202 名だたる政治家や 文化人をとりこにした。 200 00:30:36,568 --> 00:30:40,439 そして もう一人の伝説のマダムが➡ 201 00:30:40,439 --> 00:30:43,442 京都から 銀座に進出した… 202 00:30:48,180 --> 00:30:51,883 秀も 映画に出演している。 203 00:30:54,586 --> 00:30:56,588 やあ。 204 00:31:01,193 --> 00:31:03,195 今日 来てるか? 205 00:31:05,864 --> 00:31:11,536 京都の芸妓出身の秀は 華やかな るみ子とは対照的に➡ 206 00:31:11,536 --> 00:31:16,875 おっとりとした 素朴な たたずまいで 人気を集めた。 207 00:31:16,875 --> 00:31:21,747 田中角栄や川端康成 小津安二郎など➡ 208 00:31:21,747 --> 00:31:24,750 大物たちを魅了した。 209 00:31:28,487 --> 00:31:34,426 るみ子と秀は 一人の男を奪い合った。 210 00:31:34,426 --> 00:31:39,131 吉田 茂の側近 白洲次郎である。 211 00:31:39,131 --> 00:31:42,567 2人の店の常連だった。 212 00:31:42,567 --> 00:31:47,439 白洲は 秀の銀座出店を支援。 213 00:31:47,439 --> 00:31:52,244 るみ子の激しい嫉妬を買った。 214 00:31:52,244 --> 00:31:54,579 2人の ライバル関係は➡ 215 00:31:54,579 --> 00:31:57,883 小説や映画の モデルにもなった。 216 00:32:00,185 --> 00:32:06,858 銀座の夜には 時代を動かす者たちの 野心が あふれていた。 217 00:32:06,858 --> 00:32:14,566 この場所で認められることが 男の信用と地位を示す証しとなった。 218 00:32:54,573 --> 00:33:02,280 復興した銀座は 高度成長の光を浴び またも姿を変えていく。 219 00:33:19,197 --> 00:33:22,868 最先端のファッションビルが出現。 220 00:33:22,868 --> 00:33:29,174 街は 人々の膨れ上がる消費欲で 輝きを増していく。 221 00:33:50,095 --> 00:33:54,232 (鐘の音) 222 00:33:54,232 --> 00:34:01,940 日本中の憧れを集める銀座は 数々の名作映画の舞台となった。 223 00:34:08,513 --> 00:34:12,817 石原裕次郎主演の大ヒット映画… 224 00:34:17,188 --> 00:34:21,526 街並みを 緻密に再現した 巨大オープンセットに➡ 225 00:34:21,526 --> 00:34:25,196 実景を交えて 撮影された。 226 00:34:25,196 --> 00:34:37,542 ♬~ 227 00:34:37,542 --> 00:34:42,213 日本に 夢と希望が満ちていた時代。 228 00:34:42,213 --> 00:34:47,886 若者たちは スクリーンの中の2人に 未来を重ねた。 229 00:34:47,886 --> 00:34:56,895 ♬~ 230 00:34:58,897 --> 00:35:01,166 1970年。 231 00:35:01,166 --> 00:35:05,036 銀座に 新しい顔が現れた。 232 00:35:05,036 --> 00:35:08,740 日本初の歩行者天国である。 233 00:35:36,067 --> 00:35:39,871 銀座といえば 柳と言われるほど…。 234 00:35:39,871 --> 00:35:44,209 1975年 変貌する銀座を➡ 235 00:35:44,209 --> 00:35:48,913 作家 井上ひさしが レポートした番組がある。 236 00:35:56,788 --> 00:36:00,692 この時代 ビルの建設ラッシュによって➡ 237 00:36:00,692 --> 00:36:06,998 戦前2万人以上いた銀座住民の数は 減り続けていた。 238 00:36:39,397 --> 00:36:43,201 暮らしの気配は 確かに薄れた。 239 00:36:43,201 --> 00:36:47,872 しかし 変化の中にこそ銀座らしさがある。 240 00:36:47,872 --> 00:36:51,576 銀座住民の美学だった。 241 00:37:06,825 --> 00:37:10,695 1980年代半ば。 242 00:37:10,695 --> 00:37:18,837 バブルが到来すると 銀座は かつてない熱気に包まれた。 243 00:37:18,837 --> 00:37:25,143 貴金属や宝飾品など 高額商品が飛ぶように売れた。 244 00:37:48,199 --> 00:37:57,308 1985年 銀座の地価が 日本で初めて 1坪1億円を超えた。 245 00:37:57,308 --> 00:38:01,946 翌年 和光の時計塔前の路線価は➡ 246 00:38:01,946 --> 00:38:06,851 1平方メートル 830万円に達した。 247 00:38:09,154 --> 00:38:15,026 そして 書画用品などを扱う 老舗・鳩居堂前が➡ 248 00:38:15,026 --> 00:38:19,798 日本一地価の高い土地となった。 249 00:38:19,798 --> 00:38:25,803 銀座は 数字が躍る投機の場となり 街の姿を変えていく。 250 00:38:48,526 --> 00:38:54,832 相続税の負担は 店の経営を圧迫していった。 251 00:39:20,825 --> 00:39:29,834 戦後復興期に文化の担い手となった場所も このころ 次々と姿を消した。 252 00:39:44,849 --> 00:39:46,784 (拍手) 253 00:39:46,784 --> 00:39:53,892 娯楽の中心が テレビにかわり 日劇は解体を余儀なくされた。 254 00:39:57,862 --> 00:40:03,735 その さよならコンサートに かつて 街娼の女性たちと交流を重ねた➡ 255 00:40:03,735 --> 00:40:08,740 ブギの女王・笠置シヅ子の姿があった。 256 00:40:15,880 --> 00:40:17,882 そうですか。 257 00:40:32,430 --> 00:40:39,437 1990年 シャンソン喫茶 銀巴里も 最後の日を迎えた。 258 00:40:41,105 --> 00:40:48,780 地価高騰に伴う 家賃の値上がりによって 39年の歴史に幕を下ろした。 259 00:40:48,780 --> 00:40:51,249 (拍手) 260 00:40:51,249 --> 00:40:57,555 さよならコンサートのトリを務めたのは 美輪明宏だった。 261 00:40:59,590 --> 00:41:19,577 ♬~ 262 00:41:38,896 --> 00:42:05,523 ♬~ 263 00:42:05,523 --> 00:42:15,533 ♬~ (拍手) 264 00:42:20,538 --> 00:42:26,844 バブル崩壊後 銀座は またも姿を変える。 265 00:42:28,413 --> 00:42:36,087 バブル景気を目当てに店を構えた 金融機関などが 相次いで撤退。 266 00:42:36,087 --> 00:42:42,226 跡地に現れたのは 海外の高級ブランド店だった。 267 00:42:42,226 --> 00:42:49,233 銀座の主役は 海外から訪れる富裕層に代わった。 268 00:43:02,513 --> 00:43:07,385 一方 明治以来の老舗は➡ 269 00:43:07,385 --> 00:43:10,688 今も 健在である。 270 00:43:12,523 --> 00:43:18,830 変わり続けることで 変わらないものを守っている。 271 00:43:23,868 --> 00:43:31,742 破壊と創造の百年を見つめてきた 銀座のランドマーク 時計塔。 272 00:43:31,742 --> 00:43:37,048 今も 変わらぬ時を刻んでいる。 273 00:44:08,179 --> 00:44:37,208 ♬~ 274 00:44:37,208 --> 00:44:42,213 (鐘の音)