1 00:00:16,016 --> 00:00:21,355 1983年 アメリカ・ニューヨーク。 2 00:00:21,355 --> 00:00:27,561 人々の視線の先で 一人の男が 超高層ビルによじ登っていた。 3 00:00:33,934 --> 00:00:39,706 地上110階 高さ417メートル。 4 00:00:39,706 --> 00:00:45,012 アメリカ繁栄の象徴といわれた ワールドトレードセンターである。 5 00:00:48,048 --> 00:00:53,720 3時間半かけて 屋上に到達。 6 00:00:53,720 --> 00:00:59,059 (歓声) 7 00:00:59,059 --> 00:01:04,865 スパイダーマンは 不法侵入と 危険行為を理由に逮捕された。 8 00:01:15,142 --> 00:01:21,648 それから20年後。 人々は再び このビルを見上げた。 9 00:01:30,624 --> 00:01:36,330 3,000人の命が奪われた 9.11同時多発テロである。 10 00:01:54,181 --> 00:01:58,552 標的となったワールドトレードセンターの 建設を推し進めたのは➡ 11 00:01:58,552 --> 00:02:03,156 石油で巨万の富を築いた ロックフェラー財閥だった。 12 00:02:05,125 --> 00:02:09,830 ロックフェラー家と サウジのテロリスト オサマ・ビンラディンには➡ 13 00:02:09,830 --> 00:02:13,633 石油を通した 深い因縁があった。 14 00:02:16,603 --> 00:02:20,841 今から80年前 アメリカは石油を求めて➡ 15 00:02:20,841 --> 00:02:24,711 サウジアラビア王家に急接近した。 16 00:02:24,711 --> 00:02:30,350 その親密な関係は 砂漠の国に 富と亀裂をもたらし➡ 17 00:02:30,350 --> 00:02:35,055 巨大な憎悪となって アメリカへ降りかかることになる。 18 00:02:39,693 --> 00:02:44,998 No! No! No! 19 00:02:47,567 --> 00:02:52,172 私たちは なぜ こんな世界に住んでいるのか。 20 00:02:52,172 --> 00:02:58,712 歴史の連鎖をたどる 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 21 00:02:58,712 --> 00:03:06,019 偶然と必然が交錯し 悲劇へと向かう 連鎖の物語である。 22 00:03:16,196 --> 00:03:21,501 1929年 世界恐慌に見舞われた ニューヨーク。 23 00:03:24,337 --> 00:03:29,342 失業者があふれる中 ある建設プロジェクトが進められていた。 24 00:03:48,361 --> 00:03:51,064 ロックフェラーセンターである。 25 00:03:54,868 --> 00:03:58,171 財閥の2代目 ロックフェラー・ジュニアは➡ 26 00:03:58,171 --> 00:04:01,641 大恐慌で揺らいでいた 資本主義の優越性を➡ 27 00:04:01,641 --> 00:04:05,846 このビルによって いま一度 世界に示そうとした。 28 00:04:25,832 --> 00:04:30,704 ロックフェラー家が掲げた理念は 「ワールド・ピース・スルー・トレード」。 29 00:04:30,704 --> 00:04:36,910 自由な貿易こそが 世界を豊かにし 平和をもたらすという哲学である。 30 00:04:45,018 --> 00:04:49,322 財閥の基礎を築いた 初代 ジョン・ロックフェラー。 31 00:04:54,694 --> 00:05:00,400 情け容赦のない経営姿勢から 「悪魔」とまで呼ばれた人物である。 32 00:05:04,104 --> 00:05:06,807 目を付けたのは 石油。 33 00:05:09,643 --> 00:05:12,479 当時 アメリカは 油田ラッシュに沸いていたが➡ 34 00:05:12,479 --> 00:05:16,183 大金を投じても 必ずしも見つかるわけではない。 35 00:05:19,653 --> 00:05:23,990 そこで ロックフェラーは リスクの高い採掘には手を出さず➡ 36 00:05:23,990 --> 00:05:29,296 人が採掘した石油を買い集め 精製するビジネスを始めた。 37 00:05:31,731 --> 00:05:34,334 自社製品こそが 世界標準だと➡ 38 00:05:34,334 --> 00:05:38,038 設立した会社の名は スタンダード石油。 39 00:05:43,343 --> 00:05:50,650 ライバル企業を次々と潰し 全米の石油精製事業の90%を支配した。 40 00:05:55,522 --> 00:05:58,858 新たな時代の動力源を 一手に握ることで➡ 41 00:05:58,858 --> 00:06:04,965 ロックフェラーは アメリカ一の富豪へと 上り詰めたのだった。 42 00:06:04,965 --> 00:06:11,771 ♬~ 43 00:06:42,669 --> 00:06:45,572 ロックフェラー家が創設した スタンダード石油が➡ 44 00:06:45,572 --> 00:06:48,541 1930年代に進出したのが➡ 45 00:06:48,541 --> 00:06:52,545 当時 建国されたばかりの サウジアラビアだった。 46 00:06:57,150 --> 00:07:01,955 国をまとめたのは 身長2メートル近い 屈強な男。 47 00:07:01,955 --> 00:07:05,759 初代国王 イブン・サウードである。 48 00:07:09,829 --> 00:07:15,635 アラビア半島に群雄割拠していた いくつもの部族を 武力で統一した。 49 00:07:21,107 --> 00:07:27,113 建国当初は 水さえ満足に確保できない 貧しい砂漠の国。 50 00:07:30,850 --> 00:07:37,157 聖地巡礼に訪れるイスラム教徒が 落とす金が 最大の収入源だった。 51 00:07:42,529 --> 00:07:48,335 しかし 全ては スタンダード石油の進出で激変する。 52 00:07:54,007 --> 00:07:59,813 1938年 スタンダード石油が派遣した 地質学者によって➡ 53 00:07:59,813 --> 00:08:03,316 巨大な油田が発見されたのである。 54 00:08:09,456 --> 00:08:15,962 よくとし5月 石油の初出荷は 国を挙げての式典となった。 55 00:08:44,290 --> 00:08:50,830 巨大油田の出現に 世界が色めき立ち 各国のサウジ詣でが始まる。 56 00:08:50,830 --> 00:08:55,335 アメリカは 石油利権の独占を狙った。 57 00:08:59,339 --> 00:09:04,778 国王との交渉には 大統領ルーズベルト 自ら乗り出した。 58 00:09:04,778 --> 00:09:10,083 国王を出迎えるために 巡洋艦を派遣する 熱の入れようだった。 59 00:09:18,792 --> 00:09:23,296 サウード国王は アメリカに 開発独占権を認めるにあたり➡ 60 00:09:23,296 --> 00:09:26,633 巨額のオイルマネーを王家に支払うこと➡ 61 00:09:26,633 --> 00:09:32,639 油田施設を将来的に 全てサウジに 引き渡すことなどの条件をのませた。 62 00:09:52,325 --> 00:09:56,329 オイルマネーは 砂漠の国を劇的に変えた。 63 00:09:58,198 --> 00:10:02,702 ビルが立ち並び 都市が次々出現する。 64 00:10:07,874 --> 00:10:11,377 冷蔵庫に 自動車。 65 00:10:15,548 --> 00:10:21,354 中でも水道の普及は 人々を歓喜させた。 66 00:10:21,354 --> 00:10:29,095 ♬~ 67 00:10:29,095 --> 00:10:33,933 これは 石油会社の駐在員が 撮影した映像である。 68 00:10:33,933 --> 00:10:40,373 7月4日 アメリカ独立記念日が サウジアラビアで祝われている。 69 00:10:40,373 --> 00:10:46,713 厳格なイスラム教の国に アメリカと見まがう光景が出現していた。 70 00:10:46,713 --> 00:10:54,587 ♬~ 71 00:10:54,587 --> 00:10:58,725 好景気が続き 建設ラッシュも到来した。 72 00:10:58,725 --> 00:11:02,495 その中で チャンスをつかんだ男がいる。 73 00:11:02,495 --> 00:11:07,667 ♬~ 74 00:11:07,667 --> 00:11:10,503 国際空港の設計を任された➡ 75 00:11:10,503 --> 00:11:15,008 日系アメリカ人の建築家 ミノル・ヤマサキである。 76 00:11:15,008 --> 00:11:20,346 ♬~ 77 00:11:20,346 --> 00:11:23,149 ヤマサキのデザインは 国王から➡ 78 00:11:23,149 --> 00:11:26,853 これこそアラビア建築であると 絶賛される。 79 00:11:33,793 --> 00:11:36,029 このヤマサキが 後に➡ 80 00:11:36,029 --> 00:11:40,333 ワールドトレードセンターを 設計することになる。 81 00:11:45,038 --> 00:11:46,973 サウジアラビアの建設ラッシュで➡ 82 00:11:46,973 --> 00:11:50,677 チャンスをつかんだ男が もう一人いる。 83 00:11:54,714 --> 00:11:59,719 その姿を捉えた 貴重な映像が ロシアで見つかった。 84 00:12:09,662 --> 00:12:13,833 ムハンマドは1908年 イエメンに生まれ➡ 85 00:12:13,833 --> 00:12:17,637 貧しい移民として サウジアラビアにやって来た。 86 00:12:19,706 --> 00:12:21,708 建設会社を立ち上げると➡ 87 00:12:21,708 --> 00:12:25,845 スタンダード石油がもたらした好景気で 急成長。 88 00:12:25,845 --> 00:12:30,650 ビンラディングループは 中東有数の財閥となる。 89 00:12:40,860 --> 00:12:46,566 ビンラディングループが 聖地メッカで モスクを改修する映像である。 90 00:12:54,040 --> 00:12:58,378 ムハンマドが並んで歩くのは 2代目サウード国王。 91 00:12:58,378 --> 00:13:02,682 国王は 敬けんなムハンマドを ちょう愛した。 92 00:13:37,684 --> 00:13:42,555 そう 父の思い出を語ったのは 17番目の息子。 93 00:13:42,555 --> 00:13:45,358 名は オサマ。 94 00:13:45,358 --> 00:13:49,028 ムハンマドが 22人の妻との間にもうけた➡ 95 00:13:49,028 --> 00:13:52,031 50人を超える子の一人である。 96 00:13:57,737 --> 00:14:01,974 子供たちがそろった 家族旅行の写真。 97 00:14:01,974 --> 00:14:08,981 30年後 世界に恐怖をばらまく男は 端の方に控えめに写っている。 98 00:14:12,685 --> 00:14:17,457 父を尊敬し きょうだいの中でも ひときわ信仰心があつく➡ 99 00:14:17,457 --> 00:14:19,959 真面目だったという。 100 00:14:24,997 --> 00:14:31,704 1958年 ロックフェラー家は 新しいビルの建設に着手する。 101 00:14:47,019 --> 00:14:49,922 ワールドトレードセンターである。 102 00:14:49,922 --> 00:14:54,761 ニューヨークの古い通りを壊し 資本主義の中心地にふさわしい➡ 103 00:14:54,761 --> 00:14:58,264 巨大な2棟のビルを建設する計画だった。 104 00:15:01,300 --> 00:15:05,104 名前の由来はもちろん ロックフェラー家の理念➡ 105 00:15:05,104 --> 00:15:08,408 「ワールド・ピース・スルー・トレード」 である。 106 00:15:20,119 --> 00:15:23,990 計画を推し進めたのは 初代ジョンの孫に当たる➡ 107 00:15:23,990 --> 00:15:26,993 ニューヨーク州知事 ネルソンと…。 108 00:15:29,495 --> 00:15:34,333 巨大銀行 チェース・マンハッタンを率いる 弟デイビッド。 109 00:15:34,333 --> 00:15:38,337 強引なビジネスは 祖父譲りだった。 110 00:15:55,154 --> 00:15:57,223 突然 巨大ビルの予定地となり➡ 111 00:15:57,223 --> 00:15:59,859 立ち退きを要請された店主たちは➡ 112 00:15:59,859 --> 00:16:02,361 怒りの声を上げる。 113 00:16:06,632 --> 00:16:11,971 だが デイビッドたちは 裁判を利用して 立ち退きを強行。 114 00:16:11,971 --> 00:16:15,675 ラジオ通りは あっけなく破壊された。 115 00:16:54,013 --> 00:16:55,948 設計を任されたのは➡ 116 00:16:55,948 --> 00:17:01,821 サウジの国際空港を手がけた 日系建築家 ミノル・ヤマサキ。 117 00:17:01,821 --> 00:17:05,625 高さも規模も 全てに世界一が求められたが➡ 118 00:17:05,625 --> 00:17:07,560 ヤマサキが目指したのは➡ 119 00:17:07,560 --> 00:17:11,264 自分が抱いてきた理想を 形にすることだった。 120 00:17:15,334 --> 00:17:18,337 シアトルのスラムで生まれた ヤマサキ。 121 00:17:18,337 --> 00:17:20,973 戦時中には 厳しい差別で➡ 122 00:17:20,973 --> 00:17:25,478 収容所に送られる日系人の姿も 目の当たりにしてきた。 123 00:17:59,812 --> 00:18:08,487 ♬~ 124 00:18:08,487 --> 00:18:11,290 世界平和の願いを 形にしようと➡ 125 00:18:11,290 --> 00:18:14,093 ヤマサキは サウジ時代に親しんだ➡ 126 00:18:14,093 --> 00:18:18,931 イスラム建築のデザインを 取り入れている。 127 00:18:18,931 --> 00:18:25,471 ♬~ 128 00:18:25,471 --> 00:18:29,809 しかし ピラミッド以来最大といわれた この工事には➡ 129 00:18:29,809 --> 00:18:32,812 ある懸念が表明されていた。 130 00:18:40,319 --> 00:18:42,822 これは ビル建設中➡ 131 00:18:42,822 --> 00:18:47,493 ニューヨークタイムズに掲載された 全面広告。 132 00:18:47,493 --> 00:18:53,799 超高層ビルに 飛行機が衝突する 危険はないのか という警告である。 133 00:19:04,777 --> 00:19:09,081 実際に戦時中 ニューヨークで事故が起きていた。 134 00:19:19,625 --> 00:19:25,297 1945年 当時 世界一の高さを誇った エンパイアステートビルに➡ 135 00:19:25,297 --> 00:19:27,967 爆撃機が激突した。 136 00:19:27,967 --> 00:19:32,638 霧で視界を失ったための事故だった。 137 00:19:32,638 --> 00:19:37,943 ビルは無事だったが 乗組員ら14人が死亡した。 138 00:19:41,981 --> 00:19:47,119 その事故から20年。 石油は増産され続け➡ 139 00:19:47,119 --> 00:19:50,322 飛行機は ますます巨大化していた。 140 00:19:56,128 --> 00:19:58,664 ボーイング707。 141 00:19:58,664 --> 00:20:04,470 ヤマサキたちは 万が一に備え この最新ジェット機の衝突を想定した。 142 00:20:04,470 --> 00:20:10,676 ♬~ 143 00:20:23,689 --> 00:20:28,994 ジェット機の衝突に備える秘策は… 144 00:20:33,365 --> 00:20:39,872 壁全体でビルを支える独自の工法を ヤマサキは編み出した。 145 00:21:05,998 --> 00:21:13,305 こうして 1970年に北棟 72年に南棟が完成。 146 00:21:16,709 --> 00:21:20,146 双子のビルは ロックフェラー兄弟にちなみ➡ 147 00:21:20,146 --> 00:21:23,949 「ネルソン」と「デイビッド」と呼ばれた。 148 00:21:29,688 --> 00:21:34,026 (銃声) 149 00:21:34,026 --> 00:21:37,830 このころ サウジアラビアで事件が起きた。 150 00:21:40,800 --> 00:21:44,370 サウード王家に反逆するテロだった。 151 00:21:44,370 --> 00:21:48,374 銃撃戦の末 2週間後に鎮圧。 152 00:21:53,045 --> 00:21:57,750 しかし 王族への激しい怒りが あらわになった。 153 00:22:01,754 --> 00:22:06,158 イスラム原理主義を掲げる 実行犯の映像である。 154 00:22:13,999 --> 00:22:17,336 イスラム教の聖地を守るべき サウジの王家が➡ 155 00:22:17,336 --> 00:22:20,239 異教徒であるアメリカとの 利権にまみれるなど➡ 156 00:22:20,239 --> 00:22:23,042 許し難いと訴えた。 157 00:23:00,646 --> 00:23:05,484 そのころ ソビエトによる アフガン侵攻が始まった。 158 00:23:05,484 --> 00:23:09,121 サウジ政府は これを 王族への怒りを外に向ける➡ 159 00:23:09,121 --> 00:23:12,324 絶好の機会と考えた。 160 00:23:16,862 --> 00:23:21,500 同じイスラム教の国 アフガンを 共産主義から救えと➡ 161 00:23:21,500 --> 00:23:24,403 大々的なキャンペーンを主導する。 162 00:23:29,375 --> 00:23:32,011 (銃声) 163 00:23:32,011 --> 00:23:37,316 イスラム原理主義に燃える多くの若者が アフガンに向かった。 164 00:23:56,702 --> 00:23:59,038 サウジアラビアの この動きを➡ 165 00:23:59,038 --> 00:24:02,908 ソ連と冷戦を戦う アメリカが支援した。 166 00:24:02,908 --> 00:24:06,478 これは レーガン大統領が イスラム義勇兵を➡ 167 00:24:06,478 --> 00:24:09,815 ホワイトハウスに招いた時の映像である。 168 00:24:09,815 --> 00:24:14,019 (拍手) 169 00:24:45,150 --> 00:24:49,988 イスラム義勇兵の訓練には アメリカCIAが協力。 170 00:24:49,988 --> 00:24:54,793 総額60億ドルの資金と武器も提供した。 171 00:24:58,364 --> 00:25:03,669 映像は偶然にも 訓練に参加した あの男を捉えている。 172 00:25:14,313 --> 00:25:19,518 大富豪の息子は 正義感に燃える 義勇兵となっていた。 173 00:25:48,680 --> 00:25:53,352 アフガニスタン侵攻は ソ連の撤退で終わった。 174 00:25:53,352 --> 00:25:58,657 しかし サウジに凱旋帰国したオサマは 怒りに震えた。 175 00:26:02,628 --> 00:26:04,963 オサマが故郷で目にしたのは➡ 176 00:26:04,963 --> 00:26:09,168 我が物顔に振る舞う 50万もの アメリカ兵だった。 177 00:26:15,107 --> 00:26:20,813 湾岸戦争で イラクから国を守るために サウジ国王が頼ったのは➡ 178 00:26:20,813 --> 00:26:24,016 異教徒アメリカの軍隊だった。 179 00:26:50,676 --> 00:26:53,512 王族に向けられていた ビンラディンの怒りは➡ 180 00:26:53,512 --> 00:26:57,816 この時から アメリカへと向けられる。 181 00:27:06,158 --> 00:27:10,462 そして オサマはサウジから姿を消した。 182 00:27:17,302 --> 00:27:23,976 (サイレン) 183 00:27:23,976 --> 00:27:28,847 再び その影がちらついたのは 1993年。 184 00:27:28,847 --> 00:27:32,551 ニューヨークで発生した 爆破テロである。 185 00:27:37,322 --> 00:27:43,195 狙われたのは ワールドトレードセンターだった。 186 00:27:43,195 --> 00:27:46,999 ビルの倒壊を狙って 地下駐車場を爆破。 187 00:27:46,999 --> 00:27:50,836 6人が死亡 60メートルもの穴が空いたが➡ 188 00:27:50,836 --> 00:27:55,340 頑丈に設計されたビルは びくともしなかった。 189 00:28:14,960 --> 00:28:17,296 実行犯のイスラム原理主義者は➡ 190 00:28:17,296 --> 00:28:22,601 アメリカの象徴であるビルを これからも狙い続けると語った。 191 00:28:51,997 --> 00:28:56,501 このテロの陰で オサマ・ビンラディンが 暗躍していると にらんだのは➡ 192 00:28:56,501 --> 00:29:01,506 FBIでテロ対策責任者を務めた ジョン・オニールである。 193 00:29:05,944 --> 00:29:12,251 オサマは 犯行への関与を否定したが テロリストに資金を流した疑いがあった。 194 00:29:21,493 --> 00:29:25,297 必ず 次の攻撃が来る。 195 00:29:25,297 --> 00:29:29,101 オニールは公聴会で テロ対策が十分でないことに➡ 196 00:29:29,101 --> 00:29:31,603 危機感を訴えている。 197 00:29:49,421 --> 00:29:52,824 不穏な動きは 続いていた。 198 00:29:52,824 --> 00:29:55,661 これは 爆破テロの4か月後➡ 199 00:29:55,661 --> 00:30:01,333 実行犯の仲間を FBIのスパイが盗撮した映像である。 200 00:30:01,333 --> 00:30:04,670 爆薬を作っていたと見られている。 201 00:30:04,670 --> 00:30:09,975 彼らが探していたのは より強力な破壊手段だった。 202 00:30:36,601 --> 00:30:41,206 航空業界では 更なる機体の大型化が進んでいた。 203 00:30:44,710 --> 00:30:49,414 主力となっていたのは ボーイング767。 204 00:30:56,722 --> 00:31:02,994 ワールドトレードセンターの設計時に 想定されていた707より 一回り大型で➡ 205 00:31:02,994 --> 00:31:06,698 大量の燃料を搭載できる機体が 生まれていた。 206 00:31:12,003 --> 00:31:19,711 1998年 アメリカABCのインタビューに ビンラディンが登場した。 207 00:31:57,482 --> 00:32:02,354 アメリカへの 宣戦布告だった。 208 00:32:02,354 --> 00:32:05,223 (シャッター音) 209 00:32:05,223 --> 00:32:09,661 FBI上層部は ようやく オニールたちの進言を聞き入れ➡ 210 00:32:09,661 --> 00:32:12,497 ビンラディンに懸賞金をかけた。 211 00:32:12,497 --> 00:32:16,501 しかし 捜査は難航した。 212 00:32:38,723 --> 00:32:43,562 オニールは部下を連れ 自ら中東各地に ビンラディンを追ったが➡ 213 00:32:43,562 --> 00:32:46,264 行方はつかめなかった。 214 00:32:49,167 --> 00:32:51,536 恋人のヴァレリー・ジェームズは➡ 215 00:32:51,536 --> 00:32:54,840 オニールが こう こぼしたのを 記憶している。 216 00:33:19,698 --> 00:33:25,704 1年後 組織に失望したオニールは FBIを退職した。 217 00:33:31,209 --> 00:33:36,514 転職先は ワールドトレードセンターの警備責任者。 218 00:33:36,514 --> 00:33:39,417 ビンラディンは 必ずここを狙う。 219 00:33:39,417 --> 00:33:42,921 テロリストに 一人で立ち向かおうとしたのだった。 220 00:33:45,690 --> 00:33:51,997 着任したのは 2001年8月23日だった。 221 00:34:01,640 --> 00:34:05,944 その日は いつもと変わらない 静かな朝だった。 222 00:34:21,660 --> 00:34:25,330 朝6時。 ローカルニュースが捉えた➡ 223 00:34:25,330 --> 00:34:28,833 ワールドトレードセンターの 最後の姿である。 224 00:34:37,342 --> 00:34:41,680 既に 事件は始まっていた。 225 00:34:41,680 --> 00:34:45,850 これは 当日の朝 空港の監視カメラが捉えた➡ 226 00:34:45,850 --> 00:34:50,155 テロリストたちの映像である。 227 00:34:50,155 --> 00:34:54,459 彼らは 保安ゲートを悠々と通過した。 228 00:34:57,696 --> 00:35:02,534 8時13分 オニールは 恋人ヴァレリーを送ったあと➡ 229 00:35:02,534 --> 00:35:05,537 自らの職場に向かった。 230 00:35:10,275 --> 00:35:17,282 そして 8時24分。 悲劇の幕が上がる。 231 00:35:37,335 --> 00:35:41,339 航空管制官は 直ちに軍に連絡した。 232 00:36:03,495 --> 00:36:09,334 その瞬間を記録したのは 街で偶然 新人消防士の密着取材をしていた➡ 233 00:36:09,334 --> 00:36:12,704 フランスの撮影クルーである。 234 00:36:12,704 --> 00:36:20,512 (飛行機の音) 235 00:36:20,512 --> 00:36:23,815 Oh! Shit! 236 00:36:23,815 --> 00:36:27,318 (爆発音) 237 00:36:33,992 --> 00:36:39,998 テレビ局は CMを中止。 緊急ニュースが始まる。 238 00:36:49,908 --> 00:36:52,143 (サイレン) 239 00:36:52,143 --> 00:36:57,949 北棟96階に激突したのは ボーイング767だった。 240 00:36:57,949 --> 00:37:02,287 機体から燃料が漏れ出し 火災が発生。 241 00:37:02,287 --> 00:37:07,492 800度を超える熱は ビルを支える耐力壁を 破壊し始める。 242 00:37:10,028 --> 00:37:15,467 オニールは 同じ北棟 34階にいた。 243 00:37:15,467 --> 00:37:20,672 直ちにビル内の保育所に向かい 子供たちを ビルの外へ誘導した。 244 00:37:25,176 --> 00:37:30,949 9時3分。 再び ボーイング767。 245 00:37:30,949 --> 00:37:33,251 (爆発音) 246 00:37:37,322 --> 00:37:42,827 南棟81階に激突し 大破させた。 247 00:37:51,002 --> 00:37:55,607 子供たちを避難させたオニールは 南棟に飛び込んだ。 248 00:37:59,711 --> 00:38:03,214 途中 恋人のヴァレリーに… 249 00:38:05,083 --> 00:38:08,620 …と 電話で告げた。 250 00:38:08,620 --> 00:38:12,624 それが 最後の会話となった。 251 00:38:25,069 --> 00:38:30,675 衝突から56分 南棟が崩壊。 252 00:38:35,313 --> 00:38:38,116 その29分後。 Oh my god! 253 00:38:38,116 --> 00:38:44,622 Oh! No! No! 254 00:38:46,324 --> 00:38:52,230 「ネルソン」と「デイビッド」と呼ばれた 双子のビルは 崩れ落ちた。 255 00:38:57,335 --> 00:39:00,939 その光景を デイビッド・ロックフェラーは 6キロ離れた➡ 256 00:39:00,939 --> 00:39:06,444 ロックフェラーセンター56階の オフィスから ぼう然と見ていた。 257 00:40:20,018 --> 00:40:26,157 同時多発テロで失われた命は 2,977。 258 00:40:26,157 --> 00:40:32,030 負傷者は 6,000以上に上る。 259 00:40:32,030 --> 00:40:41,172 ♬~ 260 00:40:41,172 --> 00:40:47,545 信念を懸けてテロと戦い 人々を救おうとした ジョン・オニール。 261 00:40:47,545 --> 00:40:53,051 遺体は10日後 がれきの中から発見された。 262 00:42:41,692 --> 00:42:43,728 (シャッター音) 263 00:42:43,728 --> 00:42:47,565 これは ワールドトレードセンターで 救出に当たり➡ 264 00:42:47,565 --> 00:42:52,370 殉職した消防士を悼む 家族の写真である。 265 00:42:55,239 --> 00:42:58,142 撮影したのは ピュリツァー賞を受賞した➡ 266 00:42:58,142 --> 00:43:02,013 報道写真家 タロー・ヤマサキ。 267 00:43:02,013 --> 00:43:06,217 ビルを設計した ミノル・ヤマサキの息子である。 268 00:43:09,654 --> 00:43:15,993 パレスチナなどの紛争地で 平和を願う人々を撮影し続けている。 269 00:43:15,993 --> 00:43:20,865 9.11の直後 タローは 父親が世界平和への願いを込めた➡ 270 00:43:20,865 --> 00:43:24,502 ビルの跡地を訪ねた。 271 00:43:24,502 --> 00:43:30,007 ♬~ 272 00:44:08,980 --> 00:44:38,976 ♬~