1 00:00:01,168 --> 00:00:09,476 ♬~ 2 00:00:27,661 --> 00:00:30,898 2023年3月➡ 3 00:00:30,898 --> 00:00:36,103 30代の男性の自殺が ベルギーのメディアで報じられた。 4 00:00:38,005 --> 00:00:40,007 男性は 死の直前まで➡ 5 00:00:40,007 --> 00:00:44,144 オンラインチャットの会話に のめり込んでいた。 6 00:00:44,144 --> 00:00:48,115 会話の相手は 「Eliza」。 7 00:00:48,115 --> 00:00:52,819 アメリカの新興企業が開発した 人工知能だった。 8 00:01:14,074 --> 00:01:17,978 6週間チャットでのやり取りを続けた末➡ 9 00:01:17,978 --> 00:01:21,882 男性は妻子を残し 命を絶った。 10 00:01:40,200 --> 00:01:46,773 75年前 イギリスの天才数学者 アラン・チューリングは➡ 11 00:01:46,773 --> 00:01:51,778 「考える機械 人工知能」が 生まれる未来を夢みた。 12 00:01:54,514 --> 00:01:57,417 その夢を引き継いだのは➡ 13 00:01:57,417 --> 00:01:59,987 「人間のフリをした悪魔」と呼ばれた➡ 14 00:01:59,987 --> 00:02:04,191 天才数学者 ジョン・フォン・ノイマン。 15 00:02:06,760 --> 00:02:10,330 (爆発音) 16 00:02:10,330 --> 00:02:16,503 ノイマンは マンハッタン計画に参加し 原爆をこの世に生み出すとともに➡ 17 00:02:16,503 --> 00:02:21,408 現在までつながる コンピューターの基本設計を考案した。 18 00:02:39,226 --> 00:02:44,097 ふたりが描いた未来は コンピューターの爆発的進化とともに➡ 19 00:02:44,097 --> 00:02:46,967 現実に近づいていく。 20 00:02:46,967 --> 00:02:50,537 開発者たちは 困難の壁を打ち破り➡ 21 00:02:50,537 --> 00:02:55,042 「考える機械 AI」の可能性を 切り開いていった。 22 00:03:25,372 --> 00:03:28,608 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 23 00:03:28,608 --> 00:03:35,515 私たちの世界を一変させつつある 人工知能 AI。 24 00:03:35,515 --> 00:03:41,855 ふたりの天才がいなければ きっと 今はなかった。 25 00:03:41,855 --> 00:03:53,667 ♬~ 26 00:03:59,272 --> 00:04:02,709 映画「イミテーション・ゲーム」。 27 00:04:02,709 --> 00:04:07,080 第2次世界大戦下のイギリスで 極秘任務に従事した➡ 28 00:04:07,080 --> 00:04:10,050 一人の数学者を描いている。 29 00:04:10,050 --> 00:04:14,955 与えられたミッションは ドイツ軍の暗号の解読だった。 30 00:04:17,290 --> 00:04:22,262 史上最強の暗号機といわれた エニグマ。 31 00:04:22,262 --> 00:04:27,968 それを解読できるとしたら 彼しかいないと考えられていた。 32 00:04:31,938 --> 00:04:36,209 27歳のアラン・チューリング。 33 00:04:36,209 --> 00:04:39,546 後に 「コンピューター科学の父」と呼ばれる➡ 34 00:04:39,546 --> 00:04:42,849 天才数学者だった。 35 00:04:48,121 --> 00:04:52,325 ドイツは 潜水艦 Uボートによる奇襲攻撃で➡ 36 00:04:52,325 --> 00:04:56,029 民間の商船を次々と撃沈➡ 37 00:04:56,029 --> 00:05:00,033 イギリスは物資の補給を断たれ 苦戦を強いられていた。 38 00:05:01,935 --> 00:05:04,738 (砲撃音) 39 00:05:06,573 --> 00:05:11,178 ドイツ軍は エニグマを使って 通信を暗号化し➡ 40 00:05:11,178 --> 00:05:13,580 Uボートの位置を知られることなく➡ 41 00:05:13,580 --> 00:05:17,184 縦横無尽に攻撃を展開していた。 42 00:05:21,321 --> 00:05:26,526 エニグマは 解読不可能といわれた 暗号機だった。 43 00:05:30,030 --> 00:05:32,732 アルファベットの26文字から➡ 44 00:05:32,732 --> 00:05:38,839 3枚の歯車と10本のケーブルを 組み合わせて 暗号文を生成する。 45 00:05:40,841 --> 00:05:44,611 さらに毎日設定を変えることで➡ 46 00:05:44,611 --> 00:05:49,816 その組み合わせは 1京の1万倍以上となっていた。 47 00:05:52,319 --> 00:05:55,989 イギリスにとって エニグマの暗号解読は➡ 48 00:05:55,989 --> 00:06:00,393 戦争の行方を左右する 重要なミッションだった。 49 00:06:11,004 --> 00:06:17,010 チューリングが足がかりとしたのは ポーランドで開発されていた暗号解読機。 50 00:06:20,814 --> 00:06:26,286 チューリングは この機械の改良に半年間を費やし➡ 51 00:06:26,286 --> 00:06:30,724 36機のエニグマの動作を 同時に再現することで➡ 52 00:06:30,724 --> 00:06:35,629 自動的に暗号を解読する装置 「ボンブ」を作り上げた。 53 00:06:54,648 --> 00:07:00,553 通信文の解読によって 連合国軍はUボートの動きを把握➡ 54 00:07:00,553 --> 00:07:04,891 次々と撃沈することに成功した。 55 00:07:04,891 --> 00:07:10,897 一人の天才が 戦争の流れを大きく変えた。 56 00:07:44,564 --> 00:07:49,069 そのころ 大西洋の向こうでも➡ 57 00:07:49,069 --> 00:07:54,574 一人の天才科学者が 戦争の行方を 決定づける発明に取り組んでいた。 58 00:07:59,546 --> 00:08:04,017 (爆発音) 59 00:08:04,017 --> 00:08:07,687 世界初の原子爆弾を 完成に導いた➡ 60 00:08:07,687 --> 00:08:10,990 ジョン・フォン・ノイマンである。 61 00:08:14,160 --> 00:08:20,400 数学 物理学 流体力学 あらゆる分野で才能を発揮し➡ 62 00:08:20,400 --> 00:08:23,203 天才の名をほしいままにしていた。 63 00:08:25,005 --> 00:08:33,313 ノイマンは プルトニウム型原子爆弾の 最大の難関だった爆薬の配置を設計し➡ 64 00:08:33,313 --> 00:08:39,119 核分裂を制御する複雑な計算を 半年かけて導き出した。 65 00:09:08,681 --> 00:09:11,584 (爆発音) 66 00:09:11,584 --> 00:09:14,487 ノイマンが開発した原子爆弾は➡ 67 00:09:14,487 --> 00:09:18,458 完成の1か月後 長崎に落とされ➡ 68 00:09:18,458 --> 00:09:21,961 7万人以上の命を奪った。 69 00:09:33,807 --> 00:09:37,710 アメリカ陸軍は 原子爆弾と並行して➡ 70 00:09:37,710 --> 00:09:43,483 世界初となる 電子コンピューターの開発を進めていた。 71 00:09:43,483 --> 00:09:49,122 1946年 砲弾の弾道計算のための コンピューター➡ 72 00:09:49,122 --> 00:09:52,592 「ENIAC」が完成する。 73 00:09:52,592 --> 00:09:59,732 1万8,000本の真空管を制御して 毎秒5,000回の演算処理が可能だった。 74 00:09:59,732 --> 00:10:04,437 ノイマンは エニアックに大きな可能性を見いだした。 75 00:10:25,725 --> 00:10:28,128 ノイマンは戦前➡ 76 00:10:28,128 --> 00:10:31,831 プリンストン大学に留学していた チューリングと出会い➡ 77 00:10:31,831 --> 00:10:35,535 その論文に 大きな影響を受けていた。 78 00:10:37,203 --> 00:10:44,344 チューリングは「チューリング・マシン」と 呼ばれる 仮想の機械を提唱していた。 79 00:10:44,344 --> 00:10:47,881 与えたプログラムに応じて さまざまな計算ができる➡ 80 00:10:47,881 --> 00:10:50,383 万能計算機である。 81 00:10:53,987 --> 00:11:00,693 仮想にすぎなかったチューリングの概念を 形にしたのが ノイマンだった。 82 00:11:03,329 --> 00:11:08,535 ノイマンは エニアックの致命的な欠点を 解決しようとした。 83 00:11:10,803 --> 00:11:14,007 エニアックは 計算の内容に応じて➡ 84 00:11:14,007 --> 00:11:19,445 6,000個のスイッチやケーブルを 人の手で切り替える必要があり➡ 85 00:11:19,445 --> 00:11:24,250 人為的ミスで計算間違いを しばしば引き起こしていた。 86 00:11:29,122 --> 00:11:36,362 ノイマンは 計算の命令を手動ではなく プログラムとして内蔵できる➡ 87 00:11:36,362 --> 00:11:39,666 新しいコンピューターを設計する。 88 00:11:45,071 --> 00:11:49,475 ソフトウェアを入れ替えて あらゆる用途に利用できる➡ 89 00:11:49,475 --> 00:11:55,682 現在のコンピューターにつながる設計図が この時 生まれた。 90 00:12:04,824 --> 00:12:11,731 同じ頃 イギリスでも コンピューターの開発が進められていた。 91 00:12:30,450 --> 00:12:37,056 しかし その開発の主役は 天才チューリングではなかった。 92 00:12:39,759 --> 00:12:45,164 1952年 あるニュースが報じられた。 93 00:12:45,164 --> 00:12:50,036 チューリングは 男性と わいせつな行為をしたという理由で➡ 94 00:12:50,036 --> 00:12:54,207 同性愛の罪で逮捕された。 95 00:12:54,207 --> 00:12:59,712 有罪となったチューリングは ホルモン治療を受けることを強制された。 96 00:13:02,415 --> 00:13:07,253 チューリングと共に エニグマ暗号の解読に関わった同僚は➡ 97 00:13:07,253 --> 00:13:10,757 当時をこう振り返っている。 98 00:13:28,941 --> 00:13:35,381 逮捕の2年後 チューリングが 自宅で死亡しているのが発見された。 99 00:13:35,381 --> 00:13:38,718 部屋には 青酸カリの入った瓶と➡ 100 00:13:38,718 --> 00:13:42,121 かじりかけのリンゴが残されていた。 101 00:13:45,491 --> 00:13:49,662 死の4年前 チューリングは➡ 102 00:13:49,662 --> 00:13:54,133 重要な論文を残している。 103 00:13:54,133 --> 00:13:58,438 人間の思考は 数学的な計算に置き換えることができ➡ 104 00:13:58,438 --> 00:14:04,711 高性能のコンピューターができれば 考える機械が誕生すると予見した。 105 00:14:04,711 --> 00:14:10,616 チューリングの遺産が 人工知能研究への扉を開くこととなる。 106 00:14:44,951 --> 00:14:48,154 スリー ツー ワン…。 107 00:14:48,154 --> 00:14:51,057 (爆発音) 108 00:14:51,057 --> 00:14:59,232 戦後 広島型原爆の数百倍の破壊力を持つ 水爆の開発を主導したのも➡ 109 00:14:59,232 --> 00:15:02,135 ノイマンだった。 110 00:15:33,966 --> 00:15:38,738 スタンリー・キューブリック監督の 「博士の異常な愛情」。 111 00:15:38,738 --> 00:15:40,740 登場する科学者は➡ 112 00:15:40,740 --> 00:15:43,543 ノイマンをモデルにしたともいわれる。 113 00:15:43,543 --> 00:15:46,746 天才的な頭脳と冷酷さ。 114 00:15:46,746 --> 00:15:52,351 ノイマンは「人間のフリをした悪魔」と 呼ばれるようになっていた。 115 00:16:06,899 --> 00:16:13,406 これは 1952年にノイマンが完成に導いた 新型コンピューターを➡ 116 00:16:13,406 --> 00:16:17,977 共同開発者が解説する映像。 117 00:16:17,977 --> 00:16:20,513 ノイマンの設計したコンピューターは➡ 118 00:16:20,513 --> 00:16:26,219 水爆の核融合反応を計算するために 重要な役割を果たした。 119 00:17:10,596 --> 00:17:18,404 しかし ノイマンの興味は このころすでに 新たなフィールド「脳」へと移っていた。 120 00:17:22,875 --> 00:17:27,079 脳の神経による 情報伝達の基本的な仕組みが➡ 121 00:17:27,079 --> 00:17:30,082 解明されようとしていた。 122 00:17:31,918 --> 00:17:35,187 ノイマンは 脳の神経細胞➡ 123 00:17:35,187 --> 00:17:38,858 ニューロンのネットワークが 情報を伝える手段が➡ 124 00:17:38,858 --> 00:17:41,961 電気信号であることに注目した。 125 00:18:05,685 --> 00:18:10,489 ノイマンは 脳を計算機として捉え➡ 126 00:18:10,489 --> 00:18:15,695 その機能を数学的に分析しようとした。 127 00:18:15,695 --> 00:18:20,600 しかし その研究は未完に終わる。 128 00:18:23,302 --> 00:18:27,039 1956年 ノイマンは➡ 129 00:18:27,039 --> 00:18:30,409 アメリカの安全保障への 貢献を認められ➡ 130 00:18:30,409 --> 00:18:34,013 大統領から 自由勲章を授与された。 131 00:18:51,297 --> 00:18:56,936 この時 ノイマンの体は がんに侵されていた。 132 00:18:56,936 --> 00:19:02,041 翌年 すい臓がんにより息を引き取った。 133 00:19:03,776 --> 00:19:07,580 ともに水爆を開発した エドワード・テラーが➡ 134 00:19:07,580 --> 00:19:10,683 ノイマンの最期を語っている。 135 00:19:58,397 --> 00:20:03,869 ノイマンの姿を記録した 唯一の映像が残されている。 136 00:20:03,869 --> 00:20:09,475 亡くなる前の年に放送された 子ども向けのテレビ番組だった。 137 00:20:47,246 --> 00:20:53,052 チューリングとノイマン ふたりの未完の研究は➡ 138 00:20:53,052 --> 00:20:58,357 数十年後 世界を大きく変えることになる。 139 00:21:08,067 --> 00:21:13,973 1950年代 コンピューターの進化に 革命をもたらす重要な発明が➡ 140 00:21:13,973 --> 00:21:17,743 商業化されようとしていた。 141 00:21:17,743 --> 00:21:20,446 「トランジスタ」である。 142 00:21:23,149 --> 00:21:27,620 それまで電気信号の制御に使われていた 「真空管」が➡ 143 00:21:27,620 --> 00:21:31,824 指先ほどの大きさのトランジスタに 置き換わった。 144 00:21:44,036 --> 00:21:48,240 かつて部屋を埋め尽くすほど巨大だった コンピューターは➡ 145 00:21:48,240 --> 00:21:50,943 小さく高性能になり➡ 146 00:21:50,943 --> 00:21:54,346 研究機関で使われ始めた。 147 00:21:57,082 --> 00:22:01,921 1956年 アメリカ ダートマス大学に➡ 148 00:22:01,921 --> 00:22:05,191 新進気鋭の科学者たちが集い➡ 149 00:22:05,191 --> 00:22:07,993 ある会議を開いた。 150 00:22:10,629 --> 00:22:17,736 彼らは ここで「人工知能 AI」という 言葉を初めて提案し➡ 151 00:22:17,736 --> 00:22:21,240 その研究が 始まったのである。 152 00:22:26,445 --> 00:22:34,353 研究目標はチューリングが可能性を示した 「考える機械」を作り出すことだった。 153 00:23:06,719 --> 00:23:11,924 人工知能研究の中心人物の一人 マービン・ミンスキー。 154 00:23:14,994 --> 00:23:20,399 人間の子どもが 経験を通して 世界を認識していくプロセスを➡ 155 00:23:20,399 --> 00:23:23,602 機械で再現しようとした。 156 00:23:40,786 --> 00:23:44,456 これは 人間が操作するのではなく➡ 157 00:23:44,456 --> 00:23:48,460 コンピューターに自ら 積み木をさせる実験。 158 00:23:53,198 --> 00:23:55,901 子どもが積み木を学ぶように➡ 159 00:23:55,901 --> 00:24:01,006 失敗を繰り返しながら 学習する機械を作ろうとした。 160 00:24:16,922 --> 00:24:19,525 さらに 研究者たちが注目したのは➡ 161 00:24:19,525 --> 00:24:25,130 脳の神経「ニューロン」のネットワークが 学習する仕組みだった。 162 00:24:52,992 --> 00:24:57,663 脳の神経回路が学ぶ仕組みを コンピューターで模倣する➡ 163 00:24:57,663 --> 00:25:01,567 「ニューラル・ネットワーク」と呼ばれる 研究が始まった。 164 00:25:10,976 --> 00:25:13,712 たくさんの写真を読み込ませ➡ 165 00:25:13,712 --> 00:25:18,083 男性か女性かの正解を 人間が教えることで➡ 166 00:25:18,083 --> 00:25:21,687 機械がその特徴を学んでいく。 167 00:25:23,389 --> 00:25:30,295 学習を重ねて 人間が教えなくても 性別を判断できる機械を目指した。 168 00:25:34,533 --> 00:25:41,640 しかし こんな写真を見せると…➡ 169 00:25:41,640 --> 00:25:45,644 機械は手も足も出なかった。 170 00:25:48,514 --> 00:25:54,319 60年代後半 順風満帆に見えた 人工知能の研究に➡ 171 00:25:54,319 --> 00:25:57,322 限界がささやかれ始めた。 172 00:25:59,992 --> 00:26:02,294 当時のコンピューターでは➡ 173 00:26:02,294 --> 00:26:08,100 複雑な問題を解決するための計算能力が 不足していたのである。 174 00:26:20,145 --> 00:26:24,349 人間相手にチェスをすることのできる コンピューター。 175 00:26:27,519 --> 00:26:33,826 しかし そのレベルは アマチュアの大会で善戦する程度だった。 176 00:26:53,645 --> 00:26:57,182 莫大な政府予算が投じられたにも かかわらず➡ 177 00:26:57,182 --> 00:27:01,153 期待されたほどの進展を見せない 人工知能の研究は➡ 178 00:27:01,153 --> 00:27:03,956 批判の対象となっていく。 179 00:27:50,135 --> 00:27:54,740 人工知能など夢物語。 180 00:27:54,740 --> 00:28:00,245 研究は 長きにわたる冬の時代を迎えた。 181 00:28:09,354 --> 00:28:12,157 計算能力を飛躍的に向上させた➡ 182 00:28:12,157 --> 00:28:14,960 スーパーコンピューターが登場する。 183 00:28:29,174 --> 00:28:32,477 IBMが開発した チェス用… 184 00:28:35,948 --> 00:28:41,653 コンピューターの計算能力は 半世紀で数百万倍に進化していた。 185 00:28:43,789 --> 00:28:49,995 チェスの対局で考えられるゲーム展開は 10の120乗通り。 186 00:28:53,398 --> 00:28:57,202 ディープ・ブルーは その圧倒的な計算能力で➡ 187 00:28:57,202 --> 00:29:02,040 1秒間に2億通りの手を 検索することができた。 188 00:29:02,040 --> 00:29:04,943 次の手をしらみつぶしに調べることで➡ 189 00:29:04,943 --> 00:29:09,948 最も勝率の高い手を 導くことができるようになっていた。 190 00:29:14,186 --> 00:29:17,789 そして迎えた 世紀の対決。 191 00:29:33,272 --> 00:29:37,609 ディープ・ブルーは 驚異の計算能力を駆使して➡ 192 00:29:37,609 --> 00:29:41,313 最強のチャンピオンを翻弄した。 193 00:29:57,295 --> 00:29:59,731 歴史的な勝利だった。 194 00:29:59,731 --> 00:30:05,003 しかし それは 機械の圧倒的な計算速度を示すにすぎず➡ 195 00:30:05,003 --> 00:30:09,608 「考える機械」としての人工知能とは 程遠いものだった。 196 00:30:11,209 --> 00:30:17,849 長年コンピューターが知性を持つ可能性に 関心を持ってきたカスパロフは➡ 197 00:30:17,849 --> 00:30:21,853 対局をこう振り返っている。 198 00:30:54,986 --> 00:30:57,289 This is… 199 00:30:58,957 --> 00:31:04,129 それから14年後 IBMの開発者たちは➡ 200 00:31:04,129 --> 00:31:08,934 ついに人間のような知性を持つ 「人工知能」を送り出した。 201 00:31:20,345 --> 00:31:22,881 人工知能「ワトソン」が➡ 202 00:31:22,881 --> 00:31:26,685 人気クイズ番組の チャンピオン2人に挑んだ。 203 00:31:30,188 --> 00:31:34,860 ケン・ジェニングスは 74連勝という記録を打ち立て➡ 204 00:31:34,860 --> 00:31:37,262 大スターとなっていた。 205 00:31:55,547 --> 00:32:01,853 IBMは 人間の言葉を理解できる 人工知能開発を目指した。 206 00:32:25,544 --> 00:32:31,817 ウェブサイトや書籍など ページ数にして 2億枚に相当するさまざまな画像を➡ 207 00:32:31,817 --> 00:32:34,519 ワトソンに読み込ませる。 208 00:32:36,421 --> 00:32:43,028 そして 過去に出題された 数十万の問題を使って猛特訓を行った。 209 00:33:00,011 --> 00:33:03,582 ワトソンは 間違いを繰り返す中で➡ 210 00:33:03,582 --> 00:33:07,419 しらみつぶしではなく 重要なキーワードを見つけ➡ 211 00:33:07,419 --> 00:33:10,422 答えにたどりつけるようになっていた。 212 00:33:18,530 --> 00:33:21,032 そして…。 213 00:33:34,079 --> 00:33:36,181 (拍手) 214 00:33:45,624 --> 00:33:51,062 (拍手) 215 00:33:51,062 --> 00:33:56,568 全米最強のクイズ王に勝利した 人工知能 ワトソン。 216 00:33:56,568 --> 00:34:04,075 しかしそれは 人間が手取り足取り 教育を重ねた末 手に入れた勝利だった。 217 00:34:06,244 --> 00:34:11,850 自ら進化していく人工知能を目指して 開発は続いていく。 218 00:34:21,726 --> 00:34:25,830 異次元の進化を遂げた 人工知能が登場した。 219 00:34:35,874 --> 00:34:42,080 世界最強の囲碁棋士の一人 イ・セドルに挑戦状をたたきつけたのは➡ 220 00:34:42,080 --> 00:34:44,883 グーグルが開発した… 221 00:34:48,653 --> 00:34:50,989 開発を指揮したのは➡ 222 00:34:50,989 --> 00:34:53,425 この8年後 ノーベル賞を受賞する➡ 223 00:34:53,425 --> 00:34:57,228 イギリス人科学者 デミス・ハサビスだった。 224 00:34:58,930 --> 00:35:03,268 10代の頃から 天才プログラマーとして名をはせ➡ 225 00:35:03,268 --> 00:35:08,073 チューリングと同じ ケンブリッジ大学を卒業。 226 00:35:08,073 --> 00:35:12,677 その後 人工知能の研究に没頭した。 227 00:35:16,681 --> 00:35:22,787 囲碁は 人類が生み出した 最も難解なゲームといわれる。 228 00:35:25,857 --> 00:35:32,931 1回の対局で考えられるゲーム展開は 10の360乗通り。 229 00:35:32,931 --> 00:35:37,769 これは宇宙に存在する原子の数より多い。 230 00:35:37,769 --> 00:35:40,338 スーパーコンピューターをもってしても➡ 231 00:35:40,338 --> 00:35:44,142 全ての局面を調べ 最適な手を見つけ出すことは➡ 232 00:35:44,142 --> 00:35:47,345 不可能に近かった。 233 00:36:05,964 --> 00:36:07,966 ハサビスが目指したのは➡ 234 00:36:07,966 --> 00:36:14,372 人間ならではの「直感力」を 人工知能に持たせることだった。 235 00:36:14,372 --> 00:36:18,843 直感力は 多くの経験を積むからこそ育つ。 236 00:36:18,843 --> 00:36:24,015 まずアルファ碁に 過去16万局の盤面を学習させた。 237 00:36:24,015 --> 00:36:28,520 すると 勝ちにつながる石の並び方を 自ら発見し➡ 238 00:36:28,520 --> 00:36:31,823 選択肢を絞ることができるようになった。 239 00:36:44,969 --> 00:36:49,541 さらに アルファ碁同士で 対戦を繰り返させた。 240 00:36:49,541 --> 00:36:52,844 実に 3000万手。 241 00:36:52,844 --> 00:36:58,650 人間が毎日対局しても 400年以上かかる経験を積ませた。 242 00:36:58,650 --> 00:37:01,152 囲碁の歴史で まだ見つかっていない➡ 243 00:37:01,152 --> 00:37:04,756 未知の戦法を発見させるのが ねらいだった。 244 00:37:11,496 --> 00:37:16,000 人工知能と人間による 5番勝負が始まった。 245 00:37:36,521 --> 00:37:38,590 第一局。 246 00:37:38,590 --> 00:37:42,994 アルファ碁は次々に 定石から外れた手を繰り出していく。 247 00:37:44,829 --> 00:37:47,031 (驚く声) 248 00:37:58,209 --> 00:38:03,114 接戦の末 アルファ碁が一局目を制した。 249 00:38:09,154 --> 00:38:14,058 アルファ碁が真価を見せたのは 第二局だった。 250 00:38:24,068 --> 00:38:30,275 イ・セドルが休憩をとっている間に その瞬間は訪れた。 251 00:38:46,124 --> 00:38:49,727 アルファ碁の打った37手目は➡ 252 00:38:49,727 --> 00:38:53,531 これまで誰も見たことのない 未知の一手。 253 00:39:07,779 --> 00:39:13,084 その英知を読み取ったのは イ・セドルだけだった。 254 00:40:00,398 --> 00:40:04,102 (拍手) 255 00:40:33,431 --> 00:40:40,571 2024年 デミス・ハサビスは AIの開発者として初めて➡ 256 00:40:40,571 --> 00:40:43,541 ノーベル化学賞を受賞した。 257 00:40:43,541 --> 00:40:50,014 (拍手) 258 00:40:50,014 --> 00:40:53,384 受賞理由は アミノ酸の配列から➡ 259 00:40:53,384 --> 00:40:58,222 タンパク質の立体構造を予測する AIの開発。 260 00:40:58,222 --> 00:41:05,830 タンパク質の複雑な構造も 囲碁と同様 小宇宙ともいうべき膨大な空間。 261 00:41:05,830 --> 00:41:12,070 ハサビスは 数年かかっていた構造解析を 数時間で可能にするAIを作り➡ 262 00:41:12,070 --> 00:41:15,573 新薬やワクチンの開発につなげた。 263 00:41:40,898 --> 00:41:44,435 今 世界では米中を中心に➡ 264 00:41:44,435 --> 00:41:48,940 しれつなAI開発競争が 繰り広げられている。 265 00:41:52,543 --> 00:41:57,348 AIを制する者が未来を制する といわれる中➡ 266 00:41:57,348 --> 00:42:01,452 AIは日々 爆発的な進化を 遂げている。 267 00:42:03,254 --> 00:42:11,763 2022年 グーグルが開発した 人工知能「LaMDA」が 物議を醸した。 268 00:42:27,945 --> 00:42:32,417 開発者が LaMDAには感情や知性があり➡ 269 00:42:32,417 --> 00:42:36,053 人間のような意識も持っていると主張。 270 00:42:36,053 --> 00:42:39,657 LaMDAとの会話記録を公開した。 271 00:44:06,177 --> 00:44:39,877 ♬~