1 00:00:00,868 --> 00:00:06,874 ♬~ 2 00:00:08,575 --> 00:00:12,546 アメリカ ジョージ・ワシントン大学の中にある➡ 3 00:00:12,546 --> 00:00:15,949 「国家安全保障アーカイブ」。 4 00:00:18,785 --> 00:00:25,025 アメリカの情報機関 CIAに関する 機密文書の収集と分析を➡ 5 00:00:25,025 --> 00:00:28,028 39年間にわたって重ねてきた。 6 00:00:46,413 --> 00:00:51,885 情報公開法によって入手した 機密文書から浮かび上がったのは➡ 7 00:00:51,885 --> 00:00:57,491 アメリカ外交政策の中で CIAが果たした役割である。 8 00:01:25,752 --> 00:01:28,055 通称「CIA」。 9 00:01:30,591 --> 00:01:34,227 大統領直轄の情報機関であるCIAは➡ 10 00:01:34,227 --> 00:01:40,033 極秘に職員や工作員を他国へ派遣。 11 00:01:40,033 --> 00:01:43,904 情報活動のみならず 秘密工作を仕掛け➡ 12 00:01:43,904 --> 00:01:48,408 戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。 13 00:01:51,645 --> 00:01:55,515 70年前 中東 イランでは➡ 14 00:01:55,515 --> 00:01:59,686 巧みな世論操作で 政権を転覆させ➡ 15 00:01:59,686 --> 00:02:04,391 ばく大な石油利権を アメリカにもたらした。 16 00:02:15,002 --> 00:02:19,206 冷戦の時代には ソ連の衛星国の市民に向け➡ 17 00:02:19,206 --> 00:02:23,043 ラジオを使って反体制運動をあおった。 18 00:02:23,043 --> 00:02:27,748 ハンガリーでは 自由を求める市民の蜂起が起きた。 19 00:02:29,649 --> 00:02:31,651 (銃声) 20 00:02:33,520 --> 00:02:38,725 1973年に起こった 南米チリの軍事クーデター。 21 00:02:41,161 --> 00:02:46,700 社会主義政権を親米政権に転換させた クーデターの裏側には➡ 22 00:02:46,700 --> 00:02:52,105 執ように仕掛けられた CIAの秘密工作があった。 23 00:02:57,344 --> 00:03:02,182 アメリカは 民主化を支援するという大義のもと➡ 24 00:03:02,182 --> 00:03:07,888 CIAを懐刀として この世界を つくりかえようとしてきた。 25 00:03:24,237 --> 00:03:29,543 しかし世界は必ずしも アメリカの意図どおりには➡ 26 00:03:29,543 --> 00:03:31,845 変わらなかった。 27 00:03:34,748 --> 00:03:38,618 2022年に就任したチリの新大統領は➡ 28 00:03:38,618 --> 00:03:43,623 50年前のCIAの秘密工作を非難した。 29 00:04:03,310 --> 00:04:06,313 「映像の世紀バタフライエフェクト」。 30 00:04:07,981 --> 00:04:11,318 CIA そしてアメリカは➡ 31 00:04:11,318 --> 00:04:14,721 世界をどう変えようとしたのか。 32 00:04:14,721 --> 00:04:18,558 公開された文書と 残された映像をもとに➡ 33 00:04:18,558 --> 00:04:22,429 ベールに閉ざされた歴史に肉薄する。 34 00:04:22,429 --> 00:04:31,638 ♬~ 35 00:04:34,674 --> 00:04:45,886 これは 第2次世界大戦中に活躍した CIAの前身組織「戦略情報局」OSSの映像。 36 00:04:45,886 --> 00:04:50,190 極秘施設での訓練の様子である。 37 00:05:04,971 --> 00:05:08,708 OSSは敵国に潜入し➡ 38 00:05:08,708 --> 00:05:10,977 情報収集や秘密工作など➡ 39 00:05:10,977 --> 00:05:15,482 スパイ行為を担う対外情報機関である。 40 00:05:18,618 --> 00:05:25,525 日本軍の真珠湾攻撃に関する情報を つかめなかったことを教訓に設立された。 41 00:05:43,777 --> 00:05:45,779 (木の枝を折る音) 42 00:05:47,681 --> 00:05:50,684 訓練では 実戦そのままに➡ 43 00:05:50,684 --> 00:05:54,988 敵国の軍服や言語が再現されていた。 44 00:05:58,325 --> 00:06:01,728 (爆発音) 45 00:06:03,697 --> 00:06:10,270 OSSは 秘密工作のための 特殊な機器の開発も行っていた。 46 00:06:10,270 --> 00:06:14,274 これは 無線機や武器を隠す… 47 00:06:17,544 --> 00:06:21,348 スパイ映画さながらの任務に 当たっていた。 48 00:06:28,889 --> 00:06:32,092 文書の偽造も お手のものだった。 49 00:06:41,568 --> 00:06:45,939 そして終戦後の1947年➡ 50 00:06:45,939 --> 00:06:50,644 中央情報局 CIAが誕生した。 51 00:06:50,644 --> 00:06:56,750 前身組織のOSS関係者を中心に 2,000人が集められた。 52 00:07:01,187 --> 00:07:04,090 当時 アメリカが懸念していたのは➡ 53 00:07:04,090 --> 00:07:08,094 ヨーロッパに影響力を拡大していた 共産主義勢力だった。 54 00:07:11,398 --> 00:07:14,301 戦後 ポーランドやブルガリアなど➡ 55 00:07:14,301 --> 00:07:19,205 東欧諸国では相次いで 社会主義化が進んでいた。 56 00:07:23,710 --> 00:07:26,212 フランスやイタリアでも➡ 57 00:07:26,212 --> 00:07:30,116 共産党支持者によるデモや ストライキが頻発していた。 58 00:07:34,921 --> 00:07:40,226 CIAの最初の秘密工作は イタリアで行われた。 59 00:07:50,003 --> 00:07:56,443 総選挙を控えるイタリアでは 戦後 共産党員の数が爆発的に増え➡ 60 00:07:56,443 --> 00:08:00,747 社会主義政権の誕生が 現実味を帯びていた。 61 00:08:04,484 --> 00:08:09,756 アメリカは 親米派のキリスト教民主党を 味方につけ➡ 62 00:08:09,756 --> 00:08:14,060 イタリアを 西側陣営にとどめる作戦を仕掛ける。 63 00:08:17,197 --> 00:08:19,566 これはトルーマン大統領が➡ 64 00:08:19,566 --> 00:08:25,071 イタリアへの秘密工作を CIAに指示した極秘文書である。 65 00:08:27,207 --> 00:08:33,713 「市民に共産主義への 嫌悪を植え付けよ」という指示だった。 66 00:08:37,317 --> 00:08:41,988 CIAは 秘密裏に選挙に介入していく。 67 00:08:41,988 --> 00:08:44,958 まずキリスト教民主党に対し➡ 68 00:08:44,958 --> 00:08:48,161 巨額の活動資金を提供した。 69 00:08:54,300 --> 00:08:59,506 その資金は 党を支持する市民団体にも流された。 70 00:09:05,011 --> 00:09:11,618 その団体は 共産主義者を ひぼう中傷する映画を製作した。 71 00:09:48,488 --> 00:09:52,125 イタリアに向けた「秘密の心理作戦」は➡ 72 00:09:52,125 --> 00:09:55,428 アメリカ本国からも仕掛けられた。 73 00:09:58,498 --> 00:10:03,136 アメリカに住む 140万人を超えるイタリア系移民が➡ 74 00:10:03,136 --> 00:10:09,142 イタリアの親族へ向けて 共産党に 投票しないよう手紙で呼びかけた。 75 00:10:10,810 --> 00:10:14,447 海の向こうから届いた 祖国を心配する手紙を➡ 76 00:10:14,447 --> 00:10:17,550 無視することはできなかった。 77 00:10:50,049 --> 00:10:55,855 CIAの思惑どおり キリスト教民主党が議会で多数派となり➡ 78 00:10:55,855 --> 00:11:00,860 イタリアは 西側陣営にとどまることとなった。 79 00:11:02,629 --> 00:11:08,434 翌年 アメリカは イギリスなどとともにNATOを設立。 80 00:11:12,438 --> 00:11:17,210 イタリア フランスを含む 12か国と軍事同盟を結び➡ 81 00:11:17,210 --> 00:11:21,014 ソ連との対決姿勢を 鮮明にしていく。 82 00:11:26,819 --> 00:11:32,258 イタリアでの成功後 CIA法が制定される。 83 00:11:32,258 --> 00:11:34,727 正式な予算がついて➡ 84 00:11:34,727 --> 00:11:36,663 その予算執行状況や➡ 85 00:11:36,663 --> 00:11:40,667 組織概要を開示する義務も免除された。 86 00:11:42,435 --> 00:11:46,306 CIAは 秘密工作を含む情報活動を➡ 87 00:11:46,306 --> 00:11:51,311 議会に 報告せずに遂行できるようになった。 88 00:11:55,982 --> 00:11:58,918 こうした行政特権を背景に➡ 89 00:11:58,918 --> 00:12:03,189 CIAを世界有数の情報機関へ 押し上げたのが➡ 90 00:12:03,189 --> 00:12:07,293 長官 アレン・ダレスである。 91 00:12:11,798 --> 00:12:17,670 ダレスは第2次大戦中 前身組織 OSSの工作員として➡ 92 00:12:17,670 --> 00:12:22,575 ナチスドイツに対する スパイ活動を指揮していた。 93 00:12:24,410 --> 00:12:28,247 スパイという仕事に強い誇りを抱き➡ 94 00:12:28,247 --> 00:12:33,253 スパイ小説 ジェームズ・ボンドシリーズを こよなく愛した。 95 00:13:08,421 --> 00:13:12,659 ダレスがCIA長官になって 初めて指揮したのが➡ 96 00:13:12,659 --> 00:13:16,562 中東イランに対する秘密工作だった。 97 00:13:21,301 --> 00:13:26,205 きっかけは 長年イギリスが 支配していた石油利権を➡ 98 00:13:26,205 --> 00:13:30,209 イランが 突如 国有化したことだった。 99 00:13:34,213 --> 00:13:36,282 国有化を主導したのは➡ 100 00:13:36,282 --> 00:13:40,987 国民から支持を集めていた モサデク首相だった。 101 00:13:42,922 --> 00:13:46,793 石油を取り戻すため イギリスは➡ 102 00:13:46,793 --> 00:13:50,997 モサデク政権打倒の手助けを アメリカに要請した。 103 00:13:52,932 --> 00:13:56,269 「モサデク支持者には 共産主義者も多く➡ 104 00:13:56,269 --> 00:14:02,475 放置するとソ連に石油を 奪われかねない」とアメリカに訴えた。 105 00:14:06,279 --> 00:14:13,886 ダレスは 政権転覆のための秘密工作 「エイジャックス作戦」を開始した。 106 00:14:19,392 --> 00:14:25,631 CIAの機密文書によると CIAは100万ドルをばらまいて➡ 107 00:14:25,631 --> 00:14:29,335 ギャングや宗教関係者を買収。 108 00:14:32,105 --> 00:14:37,310 モサデク支持者を装った彼らに 暴動や破壊行動を行わせ➡ 109 00:14:37,310 --> 00:14:41,214 市民のモサデク離れを狙った。 110 00:14:45,118 --> 00:14:50,256 さらに CIAは 人気のスポーツ選手なども買収。 111 00:14:50,256 --> 00:14:54,660 反モサデクを訴えるデモを扇動した。 112 00:15:26,392 --> 00:15:29,095 (砲撃音) 113 00:15:29,095 --> 00:15:31,998 1953年8月。 114 00:15:31,998 --> 00:15:37,804 CIAが味方に引き込んだ国王の警護隊と デモ隊 軍の一部が➡ 115 00:15:37,804 --> 00:15:41,007 モサデクの自宅を襲撃した。 116 00:15:43,543 --> 00:15:47,847 モサデクは 国王に背いた容疑で逮捕された。 117 00:15:49,348 --> 00:15:54,654 これは 軍事法廷にかけられた時の映像である。 118 00:15:57,190 --> 00:16:00,393 モサデクは無罪を訴えたが➡ 119 00:16:00,393 --> 00:16:04,897 13件もの罪状により有罪となった。 120 00:16:17,710 --> 00:16:21,214 クーデター後 イランの石油は➡ 121 00:16:21,214 --> 00:16:24,250 アメリカやイギリスなどの 石油メジャー8社が➡ 122 00:16:24,250 --> 00:16:26,953 共同開発することになった。 123 00:16:28,721 --> 00:16:33,926 アメリカは 石油利権の4割を 手に入れるに至った。 124 00:16:36,028 --> 00:16:40,500 イランは アメリカの援助のもとで 経済開発に取り組み➡ 125 00:16:40,500 --> 00:16:44,303 中東随一の親米国家に姿を変えた。 126 00:16:50,710 --> 00:16:56,015 CIA長官ダレスは イランの政権転覆は➡ 127 00:16:56,015 --> 00:17:01,921 共産主義打倒を求める イラン国民自身によるものだと語った。 128 00:17:19,071 --> 00:17:21,974 CIAの次なるターゲットは➡ 129 00:17:21,974 --> 00:17:26,479 ソ連の衛星国 東欧諸国だった。 130 00:17:30,316 --> 00:17:35,154 1956年 絶好のチャンスが訪れる。 131 00:17:35,154 --> 00:17:38,557 ソ連で行われた… 132 00:17:40,893 --> 00:17:43,896 フルシチョフが スターリンへの 個人崇拝や➡ 133 00:17:43,896 --> 00:17:49,101 当時の体制を批判する いわゆる「スターリン批判」を行った。 134 00:18:21,534 --> 00:18:25,471 ソ連の指導体制を 揺るがしかねない発言だったが➡ 135 00:18:25,471 --> 00:18:30,276 党大会参加者以外は知らないはずだった。 136 00:18:34,714 --> 00:18:39,218 しかし この発言は イスラエルの情報機関から➡ 137 00:18:39,218 --> 00:18:43,522 CIA長官アレン・ダレスのもとに 届けられた。 138 00:18:47,493 --> 00:18:52,098 CIAは東欧諸国へ向け ラジオ放送を使って➡ 139 00:18:52,098 --> 00:18:55,401 フルシチョフの秘密の演説を暴露した。 140 00:18:58,871 --> 00:19:01,774 「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」は➡ 141 00:19:01,774 --> 00:19:07,179 CIAが設立した非営利団体が運営する ラジオ局である。 142 00:19:10,616 --> 00:19:13,052 西ドイツに拠点を持ち➡ 143 00:19:13,052 --> 00:19:17,356 東欧諸国向けの プロパガンダ放送を行っていた。 144 00:19:33,105 --> 00:19:37,877 スターリン批判の放送から 4か月後のことだった。 145 00:19:37,877 --> 00:19:42,615 ハンガリーの首都ブダペストで 大規模なデモが起きた。 146 00:19:42,615 --> 00:19:49,321 学生たちが 首相交代と ソ連軍撤退を求めて立ち上がった。 147 00:19:56,896 --> 00:20:00,866 そこに一般市民も合流。 148 00:20:00,866 --> 00:20:06,872 街の中心部の広場には 20万人近い人々が集まった。 149 00:20:13,913 --> 00:20:20,219 国旗から共産主義を象徴する国章を 切り取る市民たち。 150 00:20:22,655 --> 00:20:27,560 穴の開いた国旗が 街のあちこちで掲げられた。 151 00:21:02,628 --> 00:21:06,499 デモの拡大を恐れたソ連と ハンガリー政府は➡ 152 00:21:06,499 --> 00:21:10,903 3万を超える部隊を ブダペストに送り込んだ。 153 00:21:14,540 --> 00:21:20,412 (銃声) 市民たちは 軍の倉庫から奪った銃で応戦。 154 00:21:20,412 --> 00:21:22,414 抵抗を続ける。 155 00:21:22,414 --> 00:21:27,887 (銃声) 156 00:21:27,887 --> 00:21:30,890 ラジオ・フリー・ヨーロッパは➡ 157 00:21:30,890 --> 00:21:34,260 火炎瓶の作り方まで放送し➡ 158 00:21:34,260 --> 00:21:38,564 市民の抵抗運動をたきつけた。 159 00:22:14,533 --> 00:22:20,706 これは火炎瓶を作る市民の映像である。 160 00:22:20,706 --> 00:22:26,912 実際に 火炎瓶で ソ連軍を迎え撃つ市民も現れた。 161 00:22:30,716 --> 00:22:35,354 (火炎瓶が爆発する音) 162 00:22:35,354 --> 00:22:41,861 CIA長官ダレスは 想定以上の作戦成功を喜んだ。 163 00:23:04,116 --> 00:23:09,588 CIAは 市民の抵抗運動を さらに大規模にするため➡ 164 00:23:09,588 --> 00:23:14,693 武器や通信装置など 物資の投下も検討していた。 165 00:23:18,097 --> 00:23:21,433 しかし アイゼンハワー大統領は➡ 166 00:23:21,433 --> 00:23:24,403 これ以上の介入は望まなかった。 167 00:23:24,403 --> 00:23:29,708 ソ連との武力衝突に 発展しかねないからである。 168 00:23:31,510 --> 00:23:36,916 (拍手) アメリカは東欧の民主化は支援するが➡ 169 00:23:36,916 --> 00:23:41,020 軍事同盟国ではないと明言した。 170 00:24:05,377 --> 00:24:08,881 2,500両を超えるソ連の戦車が➡ 171 00:24:08,881 --> 00:24:12,184 ブダペストに なだれ込んできた。 172 00:24:16,655 --> 00:24:20,993 アメリカの支援は もう届かない。 173 00:24:20,993 --> 00:24:23,329 それでも ラジオ・フリー・ヨーロッパは➡ 174 00:24:23,329 --> 00:24:27,132 市民の抵抗を あおり続けた。 175 00:25:24,223 --> 00:25:28,427 これは 隣国オーストリアへ逃れようとする➡ 176 00:25:28,427 --> 00:25:32,431 ハンガリーの人々を捉えた映像である。 177 00:25:34,666 --> 00:25:38,537 ハンガリーでは 抵抗運動に参加した人々は➡ 178 00:25:38,537 --> 00:25:42,741 投獄され 処刑された。 179 00:25:46,245 --> 00:25:52,251 国外へ逃れ 難民となった人は 20万を超えた。 180 00:26:00,659 --> 00:26:03,295 その後 西側諸国では➡ 181 00:26:03,295 --> 00:26:09,601 「アメリカのラジオ・フリー・ヨーロッパが 人々を扇動した」と批判の声があがった。 182 00:26:14,273 --> 00:26:18,911 アメリカ政府は ハンガリー国民を扇動したり➡ 183 00:26:18,911 --> 00:26:23,415 抵抗運動を誘発したりするような行為は 行っていないと➡ 184 00:26:23,415 --> 00:26:26,518 知らぬふりを決め込んだ。 185 00:26:31,290 --> 00:26:38,063 これは 亡くなる2年前に放送された ダレスのインタビューである。 186 00:26:38,063 --> 00:26:42,367 CIAの活動について ダレスは こう振り返った。 187 00:27:16,768 --> 00:27:20,839 CIAの秘密工作は続く。 188 00:27:20,839 --> 00:27:22,774 次なるターゲットは➡ 189 00:27:22,774 --> 00:27:27,079 同じアメリカ大陸 南米のチリだった。 190 00:27:33,886 --> 00:27:37,589 大統領となったのは富の再分配を訴え➡ 191 00:27:37,589 --> 00:27:40,592 国民の支持を集めた… 192 00:27:42,227 --> 00:27:48,734 世界で初めて 民主的な選挙によって 生まれた社会主義政権だった。 193 00:27:53,205 --> 00:27:55,140 アジェンデ大統領は➡ 194 00:27:55,140 --> 00:28:00,746 それまでアメリカの影響下にあった 銅鉱山を完全国有化。 195 00:28:03,015 --> 00:28:06,518 さらに民間企業の国有化も進めた。 196 00:28:13,525 --> 00:28:17,763 アメリカは危機感を募らせる。 197 00:28:17,763 --> 00:28:21,967 この9年前には キューバが社会主義化していた。 198 00:28:21,967 --> 00:28:26,371 大統領ニクソンと 右腕キッシンジャーは➡ 199 00:28:26,371 --> 00:28:30,375 CIAにアジェンデ政権打倒を 指示した。 200 00:28:35,881 --> 00:28:40,085 その時 ニクソンが CIA長官に発した言葉が➡ 201 00:28:40,085 --> 00:28:42,788 メモに残されている。 202 00:28:51,096 --> 00:28:53,165 このころ チリでは➡ 203 00:28:53,165 --> 00:28:58,070 アメリカや国際機関からの融資が 滞るようになっていた。 204 00:29:02,708 --> 00:29:07,613 経済不安が広がる中 CIAが動き始めた。 205 00:29:14,052 --> 00:29:17,923 まずCIAは 社会主義政権に不満を持つ➡ 206 00:29:17,923 --> 00:29:22,027 富裕層や経営者らを味方に取り込んだ。 207 00:29:25,664 --> 00:29:30,202 これは 物流・運送業界の経営陣が呼びかけた➡ 208 00:29:30,202 --> 00:29:34,006 国有化に反対する ストライキの様子である。 209 00:29:45,517 --> 00:29:50,088 1か月にわたるストによって 物流網が麻痺。 210 00:29:50,088 --> 00:29:55,594 チリは極端な物不足とインフレに陥った。 211 00:30:00,732 --> 00:30:06,038 さらにCIAは 資金提供していた チリの大手新聞社に➡ 212 00:30:06,038 --> 00:30:09,508 経済危機をあおるよう指示する。 213 00:30:09,508 --> 00:30:14,112 新聞社は 連日 アジェンデ政権を批判した。 214 00:30:16,948 --> 00:30:18,884 (抗議の声) 215 00:30:18,884 --> 00:30:22,821 物不足 食糧難を訴え➡ 216 00:30:22,821 --> 00:30:28,660 鍋を叩いて経済政策に抗議する 「鍋叩きデモ」も頻発した。 217 00:30:28,660 --> 00:30:34,466 (鍋を叩く音) 218 00:30:36,401 --> 00:30:43,709 しかし 貧富の差の解消を目指す アジェンデ政権の人気は依然根強かった。 219 00:30:45,544 --> 00:30:50,982 これは アジェンデを支持する人々が ストで交通網が麻痺する中➡ 220 00:30:50,982 --> 00:30:56,388 国営バスや支持者のトラックに乗り 出勤する映像である。 221 00:31:00,392 --> 00:31:05,297 当時チリは 一部の富裕層が富を独占。 222 00:31:05,297 --> 00:31:09,901 国民の大多数は低所得者だった。 223 00:31:09,901 --> 00:31:14,706 彼らは 富の再分配を掲げた アジェンデ大統領に➡ 224 00:31:14,706 --> 00:31:17,809 大きな期待をかけていた。 225 00:31:22,013 --> 00:31:25,884 物不足の中 アジェンデを支持する労働者は➡ 226 00:31:25,884 --> 00:31:30,489 足りない部品を自分で作って 生産を続けた。 227 00:31:56,381 --> 00:32:02,754 チリへの工作開始から3年がたっても 人気が衰えないアジェンデ政権に対し➡ 228 00:32:02,754 --> 00:32:07,092 CIAは ダイレクトに政権転覆を起こす方法を➡ 229 00:32:07,092 --> 00:32:09,694 探るようになった。 230 00:32:11,429 --> 00:32:14,900 チリのCIA支局から 本部へ宛てたメッセージには➡ 231 00:32:14,900 --> 00:32:17,502 こう書かれている。 232 00:32:28,013 --> 00:32:36,321 これは 1973年9月 大統領就任3年を祝う集会の映像である。 233 00:32:38,957 --> 00:32:42,794 この日 10万を超える人々が参加。 234 00:32:42,794 --> 00:32:46,698 アジェンデ支持を叫んだ。 235 00:33:02,480 --> 00:33:04,449 アジェンデ! アジェンデ! 236 00:33:04,449 --> 00:33:07,252 その7日後のことだった。 237 00:33:09,621 --> 00:33:12,624 (爆撃音) 238 00:33:14,426 --> 00:33:18,196 1973年9月11日。 239 00:33:18,196 --> 00:33:20,498 軍事クーデターが勃発。 240 00:33:22,067 --> 00:33:26,071 アジェンデ政権が 政情不安を引き起こしたという理由で➡ 241 00:33:26,071 --> 00:33:32,477 チリの陸海空 全ての軍と 国家憲兵隊が大統領府を襲撃した。 242 00:33:34,646 --> 00:33:37,549 (爆撃音) 243 00:33:41,786 --> 00:33:48,193 アジェンデ大統領は 僅かな護衛や仲間と共に抵抗した。 244 00:33:51,563 --> 00:33:57,269 CIAは この軍事クーデターに どこまで関与したのか? 245 00:33:59,204 --> 00:34:02,107 公開された機密文書によると➡ 246 00:34:02,107 --> 00:34:08,313 CIAは 前日に軍事クーデターが 起こることを知っていた。 247 00:34:09,948 --> 00:34:13,084 さらに チリ軍関係者から➡ 248 00:34:13,084 --> 00:34:17,489 クーデターが失敗した場合の 支援要請が入っていた。 249 00:34:20,825 --> 00:34:24,496 当日には クーデターの進捗情報も➡ 250 00:34:24,496 --> 00:34:26,898 逐一伝えられていた。 251 00:34:30,201 --> 00:34:33,538 チリ軍から猛攻撃を受ける中➡ 252 00:34:33,538 --> 00:34:39,244 アジェンデは 国民に向け ラジオで語りかけた。 253 00:35:26,124 --> 00:35:32,530 そして アジェンデ大統領は 自ら命を絶った。 254 00:35:35,867 --> 00:35:38,603 その後 政権を握ったのは➡ 255 00:35:38,603 --> 00:35:42,907 軍事クーデターを指揮した ピノチェト将軍だった。 256 00:35:45,377 --> 00:35:49,114 アジェンデ政権を支持していた 市民や活動家を➡ 257 00:35:49,114 --> 00:35:53,618 次々と逮捕 処刑した。 258 00:36:09,434 --> 00:36:11,369 クーデターから3年。 259 00:36:11,369 --> 00:36:15,974 キッシンジャー国務長官が チリを訪問した。 260 00:36:17,776 --> 00:36:21,079 人権を弾圧する 独裁者ピノチェトに➡ 261 00:36:21,079 --> 00:36:26,084 世界から批判が集まる中で 支持を表明した。 262 00:36:31,089 --> 00:36:36,895 ピノチェト大統領は それまでの社会主義政策を一掃した。 263 00:36:36,895 --> 00:36:44,402 自由貿易 民営化 規制緩和を軸にした 経済政策「新自由主義経済」を➡ 264 00:36:44,402 --> 00:36:47,906 世界に先駆け導入した。 265 00:36:52,043 --> 00:36:54,946 新自由主義経済を提唱したのが➡ 266 00:36:54,946 --> 00:36:57,649 アメリカの経済学者… 267 00:37:03,655 --> 00:37:07,525 1950年代から アメリカ政府は➡ 268 00:37:07,525 --> 00:37:13,731 フリードマンが籍を置くシカゴ大学に チリのエリート学生を留学させていた。 269 00:37:17,569 --> 00:37:21,406 「シカゴ・ボーイズ」と 呼ばれた留学生たちは➡ 270 00:37:21,406 --> 00:37:24,742 チリに戻ると 軍事政権下で➡ 271 00:37:24,742 --> 00:37:29,214 経済大臣 財務大臣 中央銀行総裁など➡ 272 00:37:29,214 --> 00:37:32,517 重要ポストで 活躍した。 273 00:37:36,755 --> 00:37:39,657 フリードマンも チリを訪れた際➡ 274 00:37:39,657 --> 00:37:44,162 改革について ピノチェトにアドバイスを送った。 275 00:37:47,866 --> 00:37:51,136 新自由主義経済を掲げるチリに➡ 276 00:37:51,136 --> 00:37:55,406 アメリカなど外国資本が一気に流入した。 277 00:37:55,406 --> 00:37:59,377 チリは中南米で最速の経済成長を遂げ➡ 278 00:37:59,377 --> 00:38:03,181 「チリの奇跡」と称賛された。 279 00:38:10,789 --> 00:38:16,895 1976年 フリードマンは ノーベル経済学賞を受賞した。 280 00:38:18,530 --> 00:38:21,833 授賞式での出来事だった。 281 00:38:23,735 --> 00:38:25,837 (笛の音) 282 00:38:31,409 --> 00:38:37,115 突然 会場の人物が フリードマンに声を上げた。 283 00:38:45,924 --> 00:38:50,195 この時 会場の外では フリードマンに対して➡ 284 00:38:50,195 --> 00:38:56,100 「人権弾圧を行う政権を助けている」と 訴える 抗議デモが起こっていた。 285 00:39:10,515 --> 00:39:13,952 同じ頃「ニューヨーク・タイムズ」が➡ 286 00:39:13,952 --> 00:39:21,192 CIAのチリでの秘密工作や 国内での盗聴について暴露記事を掲載。 287 00:39:21,192 --> 00:39:24,195 大きなスキャンダルへと発展していた。 288 00:39:26,731 --> 00:39:35,039 これを機に アメリカ議会で初めて CIAの活動全体に及ぶ調査が行われた。 289 00:39:37,709 --> 00:39:43,514 CIAが行った拷問や 外国の要人暗殺計画など➡ 290 00:39:43,514 --> 00:39:48,620 秘密工作が 初めて国民の知るところとなった。 291 00:39:59,864 --> 00:40:04,769 以後 CIAに対して 監視委員会が設置され➡ 292 00:40:04,769 --> 00:40:10,275 活動内容について 報告する義務が課されることとなった。 293 00:40:15,346 --> 00:40:18,716 CIAの秘密工作から 70年。 294 00:40:18,716 --> 00:40:23,421 中東随一の親米国家だったイランは 今。 295 00:40:28,726 --> 00:40:32,163 1979年のイスラム革命以降➡ 296 00:40:32,163 --> 00:40:38,002 イランは強硬な反米国家に転じた。 297 00:40:38,002 --> 00:40:45,209 両国は断交し アメリカは イランでの石油ビジネスを失った。 298 00:40:53,451 --> 00:40:59,757 社会主義政権から 親米軍事政権となった 南米チリ。 299 00:40:59,757 --> 00:41:04,595 2022年 新しい大統領が登場した。 300 00:41:04,595 --> 00:41:09,867 ♬~ 301 00:41:09,867 --> 00:41:15,373 軍事クーデターに倒れた アジェンデに敬意を抱くボリッチである。 302 00:41:17,008 --> 00:41:23,614 行き過ぎた新自由主義経済を是正し 社会保障の拡充を掲げている。 303 00:41:26,584 --> 00:41:32,990 新大統領は就任演説で アジェンデの最期の言葉を引用した。 304 00:42:00,118 --> 00:42:03,021 (歓声) 305 00:42:04,722 --> 00:42:10,828 CIAが今 情報活動を 活発化させているのがロシアである。 306 00:42:14,399 --> 00:42:22,306 これは CIAがSNS上で公開した ロシア人向けのスパイ勧誘動画である。 307 00:42:33,451 --> 00:42:36,854 ロシアの不満分子を 味方に引き込むことで➡ 308 00:42:36,854 --> 00:42:40,758 プーチン政権を揺さぶろうとしている。 309 00:43:00,077 --> 00:43:06,384 2022年 CIAは設立75周年を迎えた。 310 00:43:08,186 --> 00:43:14,192 記念式典でバイデン大統領は 職員に向け こう語った。 311 00:44:00,905 --> 00:44:03,841 Thank you. Thank you. Thank you. Thank you. 312 00:44:03,841 --> 00:44:08,980 (拍手) 313 00:44:08,980 --> 00:44:39,777 ♬~