1 00:00:10,110 --> 00:00:14,314 「アメリカの宝」と呼ばれた女性がいる。 2 00:00:22,656 --> 00:00:25,359 (歓声) 3 00:00:30,531 --> 00:00:33,667 アメリカ人は 尊敬と愛着を込め➡ 4 00:00:33,667 --> 00:00:36,970 「RBG」と呼んだ。 5 00:00:43,010 --> 00:00:47,848 87歳で亡くなるまで 半世紀にわたり 法廷に立ち続け➡ 6 00:00:47,848 --> 00:00:53,153 性別に基づく不平等解消に力を尽くした。 7 00:01:09,169 --> 00:01:12,172 RBGの誕生に 至るまでには➡ 8 00:01:12,172 --> 00:01:15,876 百年にわたる 女性たちの闘いがあった。 9 00:01:27,120 --> 00:01:32,125 女性の生き方が 厳しく制限された 20世紀初頭。 10 00:01:34,328 --> 00:01:36,663 一人のイギリス人女性が➡ 11 00:01:36,663 --> 00:01:41,368 女性参政権を求め 命がけの抗議に出た。 12 00:01:47,841 --> 00:01:49,876 1920年代には➡ 13 00:01:49,876 --> 00:01:55,382 男性だらけの空の世界に 飛び込む女性が現れた。 14 00:01:59,953 --> 00:02:06,259 誰も成し遂げたことのない冒険に挑み 空に散った。 15 00:02:14,968 --> 00:02:17,871 自由と平等という ゴールを目指し➡ 16 00:02:17,871 --> 00:02:21,375 女性たちは バトンをつないできた。 17 00:02:43,330 --> 00:02:48,668 一人のささやかな営みが 時に世界を動かすことがある。 18 00:02:48,668 --> 00:02:53,006 「映像の世紀 バタフライエフェクト」。 19 00:02:53,006 --> 00:02:57,844 最強と呼ばれた女性判事は なぜ生まれたのか。 20 00:02:57,844 --> 00:03:04,151 希望の種をまいてきた女性たちの 信念の物語である。 21 00:03:13,093 --> 00:03:17,597 20世紀は ある女性の死で幕を開けた。 22 00:03:20,300 --> 00:03:23,336 大勢の兵隊に守られた ひつぎ。 23 00:03:23,336 --> 00:03:27,140 眠るのは イギリスのヴィクトリア女王。 24 00:03:30,310 --> 00:03:37,017 60年以上 君臨し 大英帝国の絶頂期を 築き上げた女性である。 25 00:03:41,655 --> 00:03:46,526 夫の死後は いつも喪服を着て 過ごしたといわれる女王は➡ 26 00:03:46,526 --> 00:03:50,931 貞淑と気品を体現する 保守的な女性だった。 27 00:03:54,000 --> 00:03:57,003 そんな女王が国を治めた時代➡ 28 00:03:57,003 --> 00:04:03,810 女性は夫に尽くし 子育てに専念すべき という価値観が 社会に定着した。 29 00:04:32,706 --> 00:04:38,912 しかし 女王の死と時を同じくして 女性たちが声を上げる。 30 00:04:41,114 --> 00:04:46,920 イギリス各地で 女性の地位向上を訴える デモが巻き起こった。 31 00:04:46,920 --> 00:04:51,124 求めたのは 女性が政治に参加する権利だった。 32 00:04:56,496 --> 00:05:00,066 この運動に身を投じた女性がいた。 33 00:05:00,066 --> 00:05:04,371 家庭教師を仕事にしていた エミリー・デイヴィソン。 34 00:05:08,275 --> 00:05:12,612 名門 オックスフォード大学で 優秀な成績を残しながらも➡ 35 00:05:12,612 --> 00:05:16,950 性別を理由に 学位を与えられなかった デイヴィソンは➡ 36 00:05:16,950 --> 00:05:20,654 理不尽さを訴える機会をうかがっていた。 37 00:05:23,290 --> 00:05:26,326 (鐘の音) 38 00:05:26,326 --> 00:05:28,628 デイヴィソンは 仲間と共に➡ 39 00:05:28,628 --> 00:05:32,832 女性参政権を求め 国会に陳情する。 40 00:05:34,434 --> 00:05:41,241 しかし 男性議員たちは法改正を拒否した。 41 00:05:43,176 --> 00:05:48,682 更に 女性たちの訴えを 警官は暴力で弾圧した。 42 00:05:51,985 --> 00:05:58,291 国会議事堂の前での暴行は 5時間に及び 亡くなった女性もいた。 43 00:06:05,265 --> 00:06:08,935 デイヴィソンは逮捕された。 44 00:06:08,935 --> 00:06:12,739 投獄中には ハンガーストライキで抵抗した。 45 00:06:15,809 --> 00:06:23,483 すると ゴムチューブで鼻から胃に 食料を流し込まれる 強制摂食を受けた。 46 00:06:23,483 --> 00:06:26,987 栄養補給の名を借りた拷問だった。 47 00:06:29,623 --> 00:06:34,928 この仕打ちで 多くの女性が 体や心を壊した。 48 00:06:36,963 --> 00:06:42,302 しかし 女性たちは屈しなかった。 49 00:06:42,302 --> 00:06:46,006 合言葉は 「言葉より行動を」。 50 00:06:48,108 --> 00:06:53,313 これは 女性たちが放火した 国会議員の邸宅の映像である。 51 00:06:54,881 --> 00:06:59,119 他にも 教会や施設などにも火を付けた。 52 00:06:59,119 --> 00:07:02,923 しかし 人を傷つけることは避けた。 53 00:07:06,259 --> 00:07:12,065 狙うのは あくまで 男性が大事にしていた資産だけだった。 54 00:07:29,482 --> 00:07:34,321 更に 暴力への対抗策も身につけた。 55 00:07:34,321 --> 00:07:39,959 ♬~ 56 00:07:39,959 --> 00:07:47,634 導入したのは 東洋の島国 日本から伝わった柔術。 57 00:07:47,634 --> 00:07:51,938 力の弱い女性にとって 格好の格闘技だった。 58 00:07:56,643 --> 00:08:00,246 30人の女性から成る 柔術部隊が組まれ➡ 59 00:08:00,246 --> 00:08:05,251 デモなどの際には 警官たちから仲間を守った。 60 00:08:09,923 --> 00:08:14,427 抗議運動は長期化し デイヴィソンの逮捕は9回。 61 00:08:14,427 --> 00:08:18,231 強制摂食は 49回に上った。 62 00:08:20,767 --> 00:08:23,803 何度 投獄されても 屈しないデイヴィソンに➡ 63 00:08:23,803 --> 00:08:28,508 仲間たちは 監獄をモチーフにしたバッジを贈った。 64 00:08:35,081 --> 00:08:38,084 そして 事件は起きる。 65 00:08:42,789 --> 00:08:46,960 この日 ロンドン郊外の競馬場で開かれたのは➡ 66 00:08:46,960 --> 00:08:52,298 イギリスで最も権威あるレース ダービー。 67 00:08:52,298 --> 00:08:58,705 国王が訪れ その持ち馬も参加することで 国中が注目していた。 68 00:09:01,908 --> 00:09:04,577 (ゲートの開く音) 69 00:09:04,577 --> 00:09:08,581 大歓声の中 レースが始まった。 70 00:09:16,189 --> 00:09:19,592 ゴール寸前の その時だった。 71 00:09:19,592 --> 00:09:23,463 国王の馬 目がけて 1人の女性が飛び出した。 72 00:09:23,463 --> 00:09:25,465 (衝突音) 73 00:09:27,267 --> 00:09:31,137 デイヴィソンだった。 74 00:09:31,137 --> 00:09:35,642 猛スピードで走る馬に はねられ 亡くなった。 75 00:09:43,450 --> 00:09:46,953 手には「女性に参政権を」と 書かれた➡ 76 00:09:46,953 --> 00:09:50,256 スカーフが握られていた。 77 00:09:54,461 --> 00:09:59,332 国王の馬の首に スカーフを掛け 直訴しようとしたといわれるが➡ 78 00:09:59,332 --> 00:10:02,335 真相は分かっていない。 79 00:10:07,640 --> 00:10:13,513 葬儀には 5,000人もの女性が参列した。 80 00:10:13,513 --> 00:10:15,515 しかし 男性からは➡ 81 00:10:15,515 --> 00:10:20,019 レースをご破算にした この行為を 罵る声が湧き上がった。 82 00:10:43,009 --> 00:10:46,346 (爆発音) 83 00:10:46,346 --> 00:10:51,150 皮肉なことに 女性たちの地位を 向上させることになったのは➡ 84 00:10:51,150 --> 00:10:54,654 運動ではなく 戦争だった。 85 00:11:02,629 --> 00:11:06,466 女性たちは 戦地に赴いた男性に代わって➡ 86 00:11:06,466 --> 00:11:09,502 その仕事に駆り出された。 87 00:11:09,502 --> 00:11:15,975 ♬~ 88 00:11:15,975 --> 00:11:20,813 軍需工場でも 砲弾などの製造を担った。 89 00:11:20,813 --> 00:11:26,119 女性の働きなしには 男たちは戦争を続けられなかった。 90 00:11:30,323 --> 00:11:35,528 このころ 女性の間で 急速に普及したのが ズボンだ。 91 00:11:39,666 --> 00:11:43,970 女性がはけば 罰されることもあった ズボン。 92 00:11:48,007 --> 00:11:51,878 戦争によって 堂々とはく機会を得た女性たちに➡ 93 00:11:51,878 --> 00:11:54,380 男性は困惑した。 94 00:12:24,310 --> 00:12:29,515 戦争は この世界が 女性なしには回らないことを示した。 95 00:12:36,322 --> 00:12:42,495 そして ついに女性参政権が イギリスで 1918年に➡ 96 00:12:42,495 --> 00:12:46,499 アメリカで 1920年に 認められた。 97 00:12:53,006 --> 00:12:58,011 アメリカで参政権運動を率いた 全国女性党。 98 00:12:59,679 --> 00:13:01,948 リーダーのアリス・ポールには➡ 99 00:13:01,948 --> 00:13:06,452 大切にしていたものがあった。 100 00:13:06,452 --> 00:13:09,622 (シャッター音) 101 00:13:09,622 --> 00:13:12,091 大学で博士号を取った時の ポール。 102 00:13:12,091 --> 00:13:17,597 その胸元には 監獄模様のバッジ。 103 00:13:21,467 --> 00:13:25,271 デイヴィソンが付けていた あのバッジである。 104 00:13:27,273 --> 00:13:31,177 20代の頃 ポールは 留学先のイギリスで➡ 105 00:13:31,177 --> 00:13:35,882 デイヴィソンたちの参政権運動に触れ 感銘を受けた。 106 00:13:38,651 --> 00:13:44,657 その経験が 帰国後に 全国女性党を率いるエネルギーとなった。 107 00:14:02,942 --> 00:14:09,282 その後 全国女性党に 一人の高名な女性が入党した。 108 00:14:09,282 --> 00:14:13,486 パイロットの アメリア・イアハートである。 109 00:14:30,470 --> 00:14:33,306 イアハートの名を 世界に知らしめたのは➡ 110 00:14:33,306 --> 00:14:37,710 女性で初めての 大西洋横断飛行だった。 111 00:14:43,950 --> 00:14:50,656 前の年 大西洋を渡ったリンドバーグに 並ぶ快挙に 人々は熱狂した。 112 00:14:55,995 --> 00:14:58,331 (シャッター音) 113 00:14:58,331 --> 00:15:04,337 しかし実際は 飛行機を操縦していたのは イアハートではなかった。 114 00:15:06,072 --> 00:15:10,176 操縦桿は 男性パイロットが 握っていた。 115 00:15:14,781 --> 00:15:19,485 それが明らかになると メディアは手のひらを返した。 116 00:15:40,640 --> 00:15:45,845 こうした嘲りを イアハートは 行動ではね返そうとする。 117 00:16:00,426 --> 00:16:06,933 1932年。 イアハートは 再び大西洋横断に挑戦する。 118 00:16:12,038 --> 00:16:14,740 今度は たった一人で。 119 00:16:16,442 --> 00:16:21,080 カナダを出た飛行機は 15時間で北アイルランドに到着。 120 00:16:21,080 --> 00:16:24,383 単独飛行を 見事成功させた。 121 00:16:41,500 --> 00:16:43,970 (歓声) 122 00:16:43,970 --> 00:16:48,975 ニューヨークでの凱旋パレードには 何万もの人々が押し寄せた。 123 00:17:07,593 --> 00:17:12,598 その後も イアハートは 次々に冒険を成功させた。 124 00:17:18,070 --> 00:17:23,276 イアハートには ささやかな夢があった。 125 00:17:23,276 --> 00:17:29,282 好きな仕事を選べない女性たちの夢を かなえる場をつくることだった。 126 00:18:04,750 --> 00:18:11,457 1937年。 イアハートは 前代未聞の挑戦を発表する。 127 00:18:16,929 --> 00:18:22,802 世界一周。 あえて赤道付近のコースを選んだ。 128 00:18:22,802 --> 00:18:27,106 成功すれば 世界最長記録となる。 129 00:18:39,952 --> 00:18:46,459 6月。 イアハートは航空士とともに アメリカ本土を飛び立った。 130 00:19:30,936 --> 00:19:37,243 ひとつき後 イアハートは 南太平洋のニューギニア島に到着。 131 00:19:40,613 --> 00:19:44,483 世界一周まで あと1万キロ。 132 00:19:44,483 --> 00:19:54,960 ♬~ 133 00:19:54,960 --> 00:20:01,734 しかし これが イアハートを捉えた 最後の映像となった。 134 00:20:01,734 --> 00:20:10,443 ♬~ 135 00:20:10,443 --> 00:20:15,948 飛行機は 太平洋上で こつ然と消息を絶った。 136 00:20:18,117 --> 00:20:20,186 国民的スターの失踪に➡ 137 00:20:20,186 --> 00:20:24,890 アメリカは 海軍を動員して 大捜索を行った。 138 00:20:29,728 --> 00:20:37,536 だが 現在に至るまで 遺体も 機体の一部さえも見つかっていない。 139 00:20:43,843 --> 00:20:47,680 大きな夢と共に消えた イアハート。 140 00:20:47,680 --> 00:20:52,885 しかし その生き方は 多くの書物となった。 141 00:20:56,856 --> 00:21:01,360 その一冊を ニューヨークの少女が手にした。 142 00:21:06,465 --> 00:21:09,101 後に 「RBG」と呼ばれ➡ 143 00:21:09,101 --> 00:21:12,304 連邦最高裁判事となる女性である。 144 00:21:27,987 --> 00:21:31,323 第二次世界大戦に勝利した アメリカでは➡ 145 00:21:31,323 --> 00:21:37,997 工場で働いていた女性たちが 再び 家庭に戻っていた。 146 00:21:37,997 --> 00:21:45,137 当時 アメリカでは 専業主婦の割合は 75%に上った。 147 00:21:45,137 --> 00:21:48,140 チャーリー! チャーリー! 148 00:21:49,975 --> 00:21:57,283 これは 1950年代に国が作った 「家族」というタイトルの映画。 149 00:22:18,037 --> 00:22:23,309 だが ルースが選んだのは イアハートのように 社会に出て➡ 150 00:22:23,309 --> 00:22:27,112 全力で取り組める仕事を 見つけることだった。 151 00:22:28,814 --> 00:22:31,851 目指したのは 弁護士。 152 00:22:31,851 --> 00:22:37,556 1956年 ルースは ハーバード・ロースクールに入学した。 153 00:22:41,393 --> 00:22:47,199 500人以上の新入生のうち 女性は僅か9人だった。 154 00:23:05,584 --> 00:23:09,088 常に上位の成績を取り続けた ルースは➡ 155 00:23:09,088 --> 00:23:14,893 1959年 ついに弁護士の資格を手に入れる。 156 00:23:16,795 --> 00:23:21,467 しかし 現実は厳しかった。 157 00:23:21,467 --> 00:23:25,671 97%を男性が占める 弁護士の世界。 158 00:23:28,641 --> 00:23:32,511 ルースは既に結婚し 子供もいた。 159 00:23:32,511 --> 00:23:36,515 そんなルースを雇う事務所は 一つもなかった。 160 00:23:40,352 --> 00:23:43,989 何とか 裁判所判事の助手の仕事を得た後➡ 161 00:23:43,989 --> 00:23:46,992 大学教員になるのが精いっぱいだった。 162 00:23:52,698 --> 00:24:00,439 しかし 1960年代 ルースに大きな追い風が吹いた。 163 00:24:00,439 --> 00:24:05,311 黒人への差別撤廃を求める 公民権運動が巻き起こり➡ 164 00:24:05,311 --> 00:24:09,448 女性も声を上げ 大きなうねりとなった。 165 00:24:09,448 --> 00:24:12,451 ウーマンリブである。 166 00:24:21,794 --> 00:24:25,965 これを機に アメリカ社会に 大きな影響力を持ってきた➡ 167 00:24:25,965 --> 00:24:33,272 NGO アメリカ自由人権協会は 女性の 権利を守るプロジェクトを始動させた。 168 00:24:35,975 --> 00:24:41,113 ルースは その法律顧問に抜てきされたのだ。 169 00:24:41,113 --> 00:24:45,617 ついに 弁護士として活躍する チャンスがやって来た。 170 00:25:06,605 --> 00:25:10,809 ルースは 早速 法廷で その手腕を発揮する。 171 00:25:12,478 --> 00:25:20,953 就任のよくとし 弁護したのは 職場での不平等に苦しむ 軍人の女性。 172 00:25:20,953 --> 00:25:24,456 既婚男性には出る 住宅補助などの手当が➡ 173 00:25:24,456 --> 00:25:27,459 女性には出ないことを訴えていた。 174 00:25:31,230 --> 00:25:35,167 その裁判の音声が残されている。 175 00:25:35,167 --> 00:25:37,169 (つちの音) 176 00:26:34,092 --> 00:26:38,597 ルースが目指したのは 女性の地位向上だけではない。 177 00:26:40,866 --> 00:26:43,769 高齢の母親を介護する男性や➡ 178 00:26:43,769 --> 00:26:49,575 妻に先立たれ 育児に 専念する男性も弁護。 179 00:26:49,575 --> 00:26:51,977 女性にしか認められていなかった➡ 180 00:26:51,977 --> 00:26:54,980 税の控除や保障を勝ち取った。 181 00:26:59,485 --> 00:27:06,291 社会の平等を目指す 揺るぎない信念。 理路整然とした論理展開。 182 00:27:07,926 --> 00:27:11,930 ルースは 連戦連勝を続けた。 183 00:27:15,434 --> 00:27:20,272 しかし 法廷は いまだに男社会だった。 184 00:27:20,272 --> 00:27:22,608 快進撃を続けるルースは➡ 185 00:27:22,608 --> 00:27:26,612 時に やっかみの言葉を 投げつけられることもあった。 186 00:27:59,111 --> 00:28:01,046 (拍手) 187 00:28:01,046 --> 00:28:06,752 そして 弁護士となって20年が過ぎた 1993年。 188 00:28:21,466 --> 00:28:26,972 ルースは 女性2人目の 連邦最高裁判所の判事となった。 189 00:29:12,417 --> 00:29:18,323 性別による差別撤廃の機運は高まり 法改正が一気に進んだ。 190 00:29:21,593 --> 00:29:27,299 アメリカでは この20年で 働く女性は2倍に増えた。 191 00:29:30,602 --> 00:29:35,307 しかし 最大の壁が残されていた。 192 00:29:37,275 --> 00:29:41,280 目には見えないが 高く分厚い壁だった。 193 00:29:45,951 --> 00:29:48,787 法律や制度が どれだけ整っても➡ 194 00:29:48,787 --> 00:29:53,625 組織でトップに立ち 社会を動かすのは 依然 男性。 195 00:29:53,625 --> 00:29:58,330 女性の昇進は ガラスの天井に阻まれていた。 196 00:30:21,119 --> 00:30:28,627 最高裁判事となったルースは 1996年 ガラスの天井に立ち向かった。 197 00:30:31,129 --> 00:30:36,668 発端は ある女子高校生が バージニア州の軍事大学から➡ 198 00:30:36,668 --> 00:30:39,671 入学を拒否されたことだった。 199 00:30:47,846 --> 00:30:54,352 この軍事大学は 150年以上の歴史を誇る 州立の男子校だった。 200 00:30:57,355 --> 00:31:02,094 アメリカ社会では 軍隊経験や 軍人教育を受けることは➡ 201 00:31:02,094 --> 00:31:05,397 社会のトップエリートへの近道である。 202 00:31:08,967 --> 00:31:12,304 女子高校生から陳情を受けた国は➡ 203 00:31:12,304 --> 00:31:16,641 大学を運営するバージニア州に対して 訴訟を起こし➡ 204 00:31:16,641 --> 00:31:19,644 全米を巻き込む議論となった。 205 00:31:40,866 --> 00:31:45,971 最高裁判所の判事の中でも 意見は分かれた。 206 00:31:48,140 --> 00:31:50,509 5か月に及ぶ審議の末➡ 207 00:31:50,509 --> 00:31:54,146 入学者を男性に限定していた 軍事大学の規定を➡ 208 00:31:54,146 --> 00:31:57,849 違憲とする判決が下された。 209 00:32:01,620 --> 00:32:07,092 9人の判事のうち 7人が賛同した。 210 00:32:07,092 --> 00:32:12,798 ルースが 判事代表として執筆した 法廷意見である。 211 00:32:59,344 --> 00:33:05,150 判決が出た よくとし 30人の女性が入学を果たした。 212 00:33:09,020 --> 00:33:11,623 以来 現在に至るまで➡ 213 00:33:11,623 --> 00:33:16,328 600人を超える女性が この大学を卒業した。 214 00:33:24,102 --> 00:33:29,808 2015年。 最も分厚いガラスの天井に挑んだ 女性がいた。 215 00:33:31,810 --> 00:33:36,014 (歓声) 216 00:33:39,985 --> 00:33:41,920 ファーストレディーを経て➡ 217 00:33:41,920 --> 00:33:44,923 女性初の大統領を目指した。 218 00:33:57,535 --> 00:34:00,305 (歓声) 219 00:34:00,305 --> 00:34:02,307 (シャッター音) 220 00:34:02,307 --> 00:34:06,511 ヒラリーに 大きな影響を与えたのが ルースだった。 221 00:34:10,282 --> 00:34:13,318 ロースクールの学生時代 ヒラリーは➡ 222 00:34:13,318 --> 00:34:19,324 男性だらけの法曹界に挑む ルースの姿に 胸を躍らせた。 223 00:34:45,483 --> 00:34:49,187 相手は ドナルド・トランプ。 224 00:35:20,285 --> 00:35:24,089 下馬評では ヒラリーの勝利が 予想されていたが➡ 225 00:35:24,089 --> 00:35:27,959 まさかの結果だった。 226 00:35:27,959 --> 00:35:33,098 (拍手) 227 00:35:33,098 --> 00:35:38,903 敗戦の弁は 後に続く女性たちの心を震わせた。 228 00:36:19,077 --> 00:36:21,146 Thank you! 229 00:36:21,146 --> 00:36:23,148 (歓声) 230 00:36:26,951 --> 00:36:30,622 トランプの勝利は 80歳を過ぎたルースにとっても➡ 231 00:36:30,622 --> 00:36:32,924 大きな意味を持っていた。 232 00:36:36,961 --> 00:36:39,297 もし トランプの任期中に倒れれば➡ 233 00:36:39,297 --> 00:36:44,302 大統領の権限で 後任に 保守派の判事が任命される。 234 00:36:49,307 --> 00:36:55,313 ヒラリーが勝利していれば 心おきなく 後任に道を譲れるはずだった。 235 00:36:58,483 --> 00:37:00,919 ヒラリーの勝利を願うあまりか➡ 236 00:37:00,919 --> 00:37:05,423 大統領選挙期間中には こんなミスも犯した。 237 00:37:20,271 --> 00:37:24,576 いつも冷静沈着なルースが犯した 失言だった。 238 00:37:53,638 --> 00:37:58,810 トランプ大統領誕生に ルースは覚悟を新たにした。 239 00:37:58,810 --> 00:38:04,015 次の大統領が生まれる4年後まで 倒れるわけにはいかない。 240 00:38:16,060 --> 00:38:21,266 3度のがんに侵されながらも 法廷に立ち続けた。 241 00:38:45,156 --> 00:38:49,160 しかし 運命は残酷だった。 242 00:38:58,970 --> 00:39:02,740 2020年9月18日。 243 00:39:02,740 --> 00:39:09,247 ルースは がんの合併症のため 87歳で この世を去った。 244 00:39:09,247 --> 00:39:14,252 次の大統領誕生まで あと4か月だった。 245 00:39:17,121 --> 00:39:23,628 トランプ大統領は ルースの死後 すぐに保守派の判事を後任に据えた。 246 00:39:26,798 --> 00:39:32,470 ♬~ 247 00:39:32,470 --> 00:39:38,576 ルースの遺体は 最高裁判所と連邦議会の 両方に安置された。 248 00:40:13,978 --> 00:40:16,314 アメリカのみならず 世界中から➡ 249 00:40:16,314 --> 00:40:19,017 追悼のメッセージが届けられた。 250 00:41:09,100 --> 00:41:14,605 死してなお ルースは 多くの女性に勇気を与え続けている。 251 00:41:19,477 --> 00:41:23,314 23年前 ルースの手がけた判決によって➡ 252 00:41:23,314 --> 00:41:28,186 軍事大学への入学を果たした女性がいる。 253 00:41:28,186 --> 00:41:30,188 (シャッター音) 254 00:42:00,084 --> 00:42:04,889 フォイは 卒業後 ルースと同じ弁護士の道に進んだ。 255 00:42:07,291 --> 00:42:12,597 2017年には バージニア州の下院議員に当選した。 256 00:42:16,000 --> 00:42:21,205 現在は 子育てをしながら 州知事を目指している。 257 00:42:37,121 --> 00:42:42,493 2021年。 ロンドン郊外の 競馬場から 程近い場所に➡ 258 00:42:42,493 --> 00:42:45,496 一体の像が建てられた。 259 00:42:52,136 --> 00:42:56,974 女性参政権を求めて 国王の馬の前に飛び込んだ➡ 260 00:42:56,974 --> 00:42:59,977 エミリー・デイヴィソンである。 261 00:43:04,282 --> 00:43:08,152 女性に参政権が認められてから 百年。 262 00:43:08,152 --> 00:43:12,056 それを記念して建てられた像である。 263 00:43:14,926 --> 00:43:22,633 そう 全ては 百年前の この女性の勇気から始まったのだった。 264 00:44:10,615 --> 00:44:39,911 ♬~