1 00:00:30,397 --> 00:00:33,300 アメリカへの移民を乗せた船。 2 00:00:33,300 --> 00:00:38,739 マンハッタンの南に浮かぶ小さな島 エリス島へ向かいます。 3 00:00:38,739 --> 00:00:47,748 ♬~ 4 00:00:47,748 --> 00:00:50,350 第一次世界大戦が終わると➡ 5 00:00:50,350 --> 00:00:54,221 ヨーロッパから アメリカへの移民は 急増しました。 6 00:00:54,221 --> 00:00:56,223 戦場にならなかった アメリカは➡ 7 00:00:56,223 --> 00:01:02,362 彼らにとって よりよい生活を 約束してくれる新天地でした。 8 00:01:02,362 --> 00:01:06,233 ♬~ 9 00:01:06,233 --> 00:01:11,038 エリス島は 合衆国の移民局があった所です。 10 00:01:11,038 --> 00:01:14,708 移民たちは この島で アメリカに忠誠を誓い➡ 11 00:01:14,708 --> 00:01:18,045 入国検査に合格して 初めて➡ 12 00:01:18,045 --> 00:01:21,915 憧れのマンハッタンへ渡る事が できたのです。 13 00:01:21,915 --> 00:01:32,593 ♬~ 14 00:01:32,593 --> 00:01:39,733 既に 高層ビル 摩天楼が林立していた 1920年代のマンハッタン。 15 00:01:39,733 --> 00:01:43,403 そこでは 大量の情報が流れ始め➡ 16 00:01:43,403 --> 00:01:46,740 大衆の さまざまな欲望が 噴き出していました。 17 00:01:46,740 --> 00:01:50,611 人々は 富と快楽を求めて奔走し➡ 18 00:01:50,611 --> 00:01:55,349 ダイナミックな大衆社会が 形成されつつありました。 19 00:01:55,349 --> 00:02:08,895 ♬~ 20 00:02:08,895 --> 00:02:12,366 「映像の世紀」 3回目の今日は➡ 21 00:02:12,366 --> 00:02:19,706 現代の大衆社会のルーツともなった 1920年代のアメリカ社会の光と陰➡ 22 00:02:19,706 --> 00:02:24,378 その繁栄と奈落を描きます。 23 00:02:24,378 --> 00:04:00,674 ♬~ 24 00:04:02,676 --> 00:04:05,579 (歓声) 25 00:04:05,579 --> 00:04:11,685 1919年春。 第一次世界大戦が終わって半年。 26 00:04:11,685 --> 00:04:15,021 マンハッタンの目抜き通りでは 連日のように➡ 27 00:04:15,021 --> 00:04:21,328 ヨーロッパ大陸から帰還した兵士たちの 凱旋パレードが続いていました。 28 00:04:29,035 --> 00:04:33,707 アメリカの20年代を代表する作家 スコット・フィッツジェラルドは➡ 29 00:04:33,707 --> 00:04:38,011 当時のマンハッタンを こう描写しています。 30 00:04:42,382 --> 00:04:46,720 「ニューヨークの街は まるで 世界の誕生を思わせるような➡ 31 00:04:46,720 --> 00:04:52,526 虹色の輝きに むせていた。 帰還した連隊は5番街を行進し➡ 32 00:04:52,526 --> 00:04:56,329 若い娘たちは まるで それに引き寄せられるように➡ 33 00:04:56,329 --> 00:05:02,002 東や北に その足を向けた。 アメリカこそが最高の国であり➡ 34 00:05:02,002 --> 00:05:06,706 そこかしこに お祭り気分が満ちていた」。 35 00:05:10,677 --> 00:05:14,014 続々と帰還する兵士の中に➡ 36 00:05:14,014 --> 00:05:18,885 「地獄の勇者たち」と呼ばれた 黒人兵だけの部隊がありました。 37 00:05:18,885 --> 00:05:25,025 第369連隊です。 この隊に所属する軍楽隊は➡ 38 00:05:25,025 --> 00:05:28,695 戦地で ジャズを演奏して 一躍有名になりました。 39 00:05:28,695 --> 00:05:30,630 ことに フランスでは➡ 40 00:05:30,630 --> 00:05:34,568 「ドイツが毒ガスを使っても 占領できなかった フランスを➡ 41 00:05:34,568 --> 00:05:39,573 ジャズでもって征服した」と 称賛されました。 42 00:05:42,042 --> 00:05:46,913 この日のパレードには 100万人が 出迎えたと記録されています。 43 00:05:46,913 --> 00:05:49,649 アメリカの歴史上 黒人が➡ 44 00:05:49,649 --> 00:05:54,321 これほど大勢の大衆に 歓迎された事はありませんでした。 45 00:05:54,321 --> 00:05:59,626 しかし 以後 黒人への偏見が 消えた訳ではありません。 46 00:06:05,332 --> 00:06:10,203 帰国した黒人たちの多くは ハーレムに住んでいました。 47 00:06:10,203 --> 00:06:14,341 マンハッタン北部のハーレムは もともと 白人の街でしたが➡ 48 00:06:14,341 --> 00:06:20,213 戦争中 ニューヨークの労働力が不足し 各地から 黒人が流れ込みました。 49 00:06:20,213 --> 00:06:26,920 ハーレムは 活気ある 黒人たちの街になっていました。 50 00:06:26,920 --> 00:06:31,892 「ハーレム それは アメリカ中の黒人の憧れだった。➡ 51 00:06:31,892 --> 00:06:35,362 『ハーレムに行けば もう 何も恐れる事はない。➡ 52 00:06:35,362 --> 00:06:38,265 途方もない自由が約束されている』。➡ 53 00:06:38,265 --> 00:06:41,701 私は そう聞かされて育った。➡ 54 00:06:41,701 --> 00:06:47,374 初めて ハーレムに着いた時の事は 今でも 鮮明に覚えている。➡ 55 00:06:47,374 --> 00:06:50,977 125番通りと7番街の交差点で➡ 56 00:06:50,977 --> 00:06:54,648 見上げるような大男の 黒人の警察官が➡ 57 00:06:54,648 --> 00:06:59,319 交通整理をしていた。 『この俺の手の指図が➡ 58 00:06:59,319 --> 00:07:03,990 見えないとは言わせないぜ』とでも 言わんばかりだった。➡ 59 00:07:03,990 --> 00:07:06,326 私は感動した。➡ 60 00:07:06,326 --> 00:07:11,031 白人を思いどおりに 歩かせているのだから」。 61 00:07:16,002 --> 00:07:21,875 このころ ハーレムでは 黒人が 自分たちの育てた音楽 ジャズを➡ 62 00:07:21,875 --> 00:07:25,345 クラブやキャバレーで 演奏するようになります。 63 00:07:25,345 --> 00:07:29,215 黒人の綿を摘む労働に ちなんだ名前の コットン・クラブは➡ 64 00:07:29,215 --> 00:07:33,219 こうした黒人音楽のメッカでした。 65 00:07:33,219 --> 00:07:45,665 ♬~ 66 00:07:45,665 --> 00:07:48,568 歌って踊る キャブ・キャロウェイ。 67 00:07:48,568 --> 00:07:54,307 現代のスーパースター マイケル・ジャクソンにも 影響を与えました。 68 00:07:54,307 --> 00:08:14,995 ♬~ 69 00:08:14,995 --> 00:08:21,668 ジャズ界の大スター デューク・エリントン。 デビュー当時の映像です。 70 00:08:21,668 --> 00:08:48,895 ♬~ 71 00:08:48,895 --> 00:08:52,599 (拍手) 72 00:09:07,981 --> 00:09:12,852 マンハッタンの摩天楼建設は 1900年ごろに始まり➡ 73 00:09:12,852 --> 00:09:17,157 20年代には 建設ラッシュを迎えていました。 74 00:09:19,325 --> 00:09:22,228 あくまで 高くそびえる摩天楼は➡ 75 00:09:22,228 --> 00:09:27,200 第一次世界大戦を境に 急成長したアメリカの象徴でもあり➡ 76 00:09:27,200 --> 00:09:29,969 狭い土地を有効に利用する➡ 77 00:09:29,969 --> 00:09:34,340 20世紀の都市の原型にもなりました。 78 00:09:34,340 --> 00:09:40,680 その一方で あるイギリスの作家は マンハッタンの摩天楼群について➡ 79 00:09:40,680 --> 00:09:45,018 「どんな犠牲を払っても 利益を追求する 資本主義精神の➡ 80 00:09:45,018 --> 00:09:49,322 強欲さの象徴である」と 記述しています。 81 00:09:52,358 --> 00:10:06,372 ♬~ 82 00:10:09,375 --> 00:10:16,049 1919年1月。 第一次世界大戦の 戦後処理を行う ベルサイユ会議が➡ 83 00:10:16,049 --> 00:10:18,751 パリで始まりました。 84 00:10:22,388 --> 00:10:25,725 会議には 27か国が参加しましたが➡ 85 00:10:25,725 --> 00:10:32,599 実質的な主役は イギリス フランス そして アメリカでした。 86 00:10:32,599 --> 00:10:38,738 アメリカの第28代大統領 ウィルソンは 国際連盟という➡ 87 00:10:38,738 --> 00:10:44,077 世界の新秩序となる構想を抱えて パリに乗り込みました。 88 00:10:44,077 --> 00:10:46,980 「我々は 神の召し使いになって➡ 89 00:10:46,980 --> 00:10:50,884 人類に自由が確保されるかどうか 見届けるのだ」。 90 00:10:50,884 --> 00:10:55,188 ウィルソンは 厳格な理想主義者でした。 91 00:10:57,624 --> 00:11:00,360 連合国を勝利に導いた ウィルソンは➡ 92 00:11:00,360 --> 00:11:04,030 ヨーロッパの大衆には 大変 人気がありました。 93 00:11:04,030 --> 00:11:09,369 しかし アメリカの議会は 彼を支持しませんでした。 94 00:11:09,369 --> 00:11:14,040 「アメリカは世界の紛争に 関わるべきではない」とし➡ 95 00:11:14,040 --> 00:11:19,913 条約批准を否決。 国際連盟にも 参加しない事を決定します。 96 00:11:19,913 --> 00:11:26,619 以後 アメリカは 専ら 経済的な国力の増大に努めます。 97 00:11:26,619 --> 00:11:43,069 ♬~ 98 00:11:43,069 --> 00:11:47,941 巨額の賠償金を課せられ 急激なインフレに苦しむドイツ。 99 00:11:47,941 --> 00:11:52,679 工業生産力も低下。 失業者が増大しました。 100 00:11:52,679 --> 00:11:57,016 インフレの進行で 物価は 戦前に比べて1兆倍を超え➡ 101 00:11:57,016 --> 00:12:01,688 マルクは ただの紙切れとなりました。 102 00:12:01,688 --> 00:12:12,699 ♬~ 103 00:12:12,699 --> 00:12:16,569 1921年。 革命後のロシアは➡ 104 00:12:16,569 --> 00:12:19,572 干ばつによる 未曽有の飢きんに見舞われ➡ 105 00:12:19,572 --> 00:12:23,343 300万人の餓死者が出ます。 106 00:12:23,343 --> 00:12:26,245 ソビエト政府の援助要請に対して➡ 107 00:12:26,245 --> 00:12:30,049 いち早く立ち上がったのが アメリカでした。 108 00:12:30,049 --> 00:12:33,386 100万人分の食糧援助を 申し出ていますが➡ 109 00:12:33,386 --> 00:12:39,692 これは ソビエトに投獄されている アメリカ人の釈放が条件でした。 110 00:12:44,998 --> 00:12:49,869 1921年5月 大正10年。 111 00:12:49,869 --> 00:12:52,672 ヨーロッパ5か国訪問の旅で➡ 112 00:12:52,672 --> 00:12:55,008 イギリスに到着した皇太子➡ 113 00:12:55,008 --> 00:12:58,011 裕仁親王です。 114 00:13:02,882 --> 00:13:05,652 この皇太子訪欧は➡ 115 00:13:05,652 --> 00:13:09,555 世界に 日本の存在を誇示する 機会でもありました。 116 00:13:09,555 --> 00:13:13,693 昭和天皇は 後に この二十歳の時の旅を➡ 117 00:13:13,693 --> 00:13:16,362 「籠の鳥だった私にとって➡ 118 00:13:16,362 --> 00:13:20,233 初めて自由な生活という事を 体験したものだった」と➡ 119 00:13:20,233 --> 00:13:23,536 回顧しています。 120 00:13:26,039 --> 00:13:45,725 ♬~ 121 00:13:45,725 --> 00:13:48,628 戦場から引き揚げてきた若者たちは➡ 122 00:13:48,628 --> 00:13:52,999 マンハッタンを変えていきました。 彼らは スピードと興奮➡ 123 00:13:52,999 --> 00:13:56,669 現世を より楽しもうという 享楽的な気分を➡ 124 00:13:56,669 --> 00:13:59,572 アメリカに もたらしたのです。 125 00:13:59,572 --> 00:14:02,542 ♬~ 126 00:14:02,542 --> 00:14:05,678 若者たちの間で 爆発的に流行したのが➡ 127 00:14:05,678 --> 00:14:10,016 チャールストンでした。 白人にとっては 新しい音楽。 128 00:14:10,016 --> 00:14:13,352 ジャズに乗って 奔放に体を動かす チャールストンは➡ 129 00:14:13,352 --> 00:14:19,692 古いモラルからの解放と 新しい性意識を生みました。 130 00:14:19,692 --> 00:14:25,031 ♬~ 131 00:14:25,031 --> 00:14:30,703 こうした音楽やダンスの 急激な広まりの原因は ラジオでした。 132 00:14:30,703 --> 00:14:35,575 ラジオ放送は 1920年の秋 世界で初めて➡ 133 00:14:35,575 --> 00:14:39,712 アメリカ東部の町 ピッツバーグで始まりました。 134 00:14:39,712 --> 00:14:45,585 この年の 大統領選挙の開票速報に 合わせての開局でした。 135 00:14:45,585 --> 00:14:49,389 以後 ラジオからは スポーツ ニュース➡ 136 00:14:49,389 --> 00:14:54,093 そして ジャズ音楽などが あふれ出るようになります。 137 00:14:55,995 --> 00:14:59,866 「最近 忌まわしい ジャズ・オーケストラとやらが➡ 138 00:14:59,866 --> 00:15:05,004 その のたくるような音楽で 人の感覚を刺激しようとしている。➡ 139 00:15:05,004 --> 00:15:08,875 感覚中枢に 直接 訴えるような 耳障りな音楽を➡ 140 00:15:08,875 --> 00:15:11,344 まき散らしているのである。➡ 141 00:15:11,344 --> 00:15:14,680 若者たちが このような経験をしても➡ 142 00:15:14,680 --> 00:15:19,018 まだ 道を誤らずしていられると 信じる人がいるなら➡ 143 00:15:19,018 --> 00:15:24,690 神よ! 彼らを救いたまえ」。 144 00:15:24,690 --> 00:15:28,027 ♬~ 145 00:15:28,027 --> 00:15:31,697 「女の子は 昔より 大胆になっています。➡ 146 00:15:31,697 --> 00:15:36,035 彼女たちは 私の娘時代には 絶対できなかったような調子で➡ 147 00:15:36,035 --> 00:15:39,372 男の子に電話をかけて デートをしようとします。➡ 148 00:15:39,372 --> 00:15:44,710 私の息子は3人の女の子から ひっきりなしに ダンスに誘われて➡ 149 00:15:44,710 --> 00:15:47,613 生活を台なしにしています。➡ 150 00:15:47,613 --> 00:15:52,318 私の娘時代には お化粧なんて 不良少女のやる事でした。➡ 151 00:15:52,318 --> 00:15:55,221 でも このごろはね ご覧下さい。➡ 152 00:15:55,221 --> 00:15:59,992 これが良家の娘さんたちの する事ですから」。 153 00:15:59,992 --> 00:16:05,665 ♬~ 154 00:16:05,665 --> 00:16:10,336 とりわけ 時代の変化に 敏感だったのは女性でした。 155 00:16:10,336 --> 00:16:16,008 短い髪とスカートが流行。 美顔術やパーマネントの発明。 156 00:16:16,008 --> 00:16:19,879 美容師が高額納税者に 名を連ねるようになるのも➡ 157 00:16:19,879 --> 00:16:23,583 この時代の特徴です。 158 00:16:35,027 --> 00:16:40,900 マンハッタンの地下鉄工事です。 当時 地下鉄の工事は厳しい作業で➡ 159 00:16:40,900 --> 00:16:45,905 移民や黒人が その労働力でした。 160 00:16:50,309 --> 00:16:54,180 この時代には 都市に流入する移民があふれ➡ 161 00:16:54,180 --> 00:17:00,653 たとえ 仕事に携わる事ができても 賃金は驚くほど安いものでした。 162 00:17:00,653 --> 00:17:06,525 彼らが 繁栄の20年代の基盤を 支えていたのです。 163 00:17:06,525 --> 00:17:09,662 ♬~ 164 00:17:09,662 --> 00:17:13,332 マンハッタン南部のイタリア移民街です。 165 00:17:13,332 --> 00:17:18,004 エリス島を無事通過し マンハッタンに渡ってきた移民たちは➡ 166 00:17:18,004 --> 00:17:24,877 その大半が 祖国からの移民を頼って 住み着いていました。 167 00:17:24,877 --> 00:17:29,015 「私が育ったのは まるで映画の舞台になりそうな➡ 168 00:17:29,015 --> 00:17:32,351 地獄の台所と呼ばれる所だった。➡ 169 00:17:32,351 --> 00:17:37,023 アパートの住人たちは 皆 貧しくて 大変な生活だったが➡ 170 00:17:37,023 --> 00:17:40,359 助け合って暮らしていた。➡ 171 00:17:40,359 --> 00:17:44,030 私たちは ハドソン川で よく泳いだ。➡ 172 00:17:44,030 --> 00:17:46,365 いつも 20人くらいの子どもたちがいて➡ 173 00:17:46,365 --> 00:17:50,970 桟橋から飛び込んだり 本当に楽しかった。➡ 174 00:17:50,970 --> 00:17:56,676 思い返せば あのハドソン川の ゴミための中を泳いでいたんだ」。 175 00:17:58,311 --> 00:18:12,325 ♬~ 176 00:18:14,327 --> 00:18:19,665 ♬~ 177 00:18:19,665 --> 00:18:23,002 1926年までの7年間➡ 178 00:18:23,002 --> 00:18:25,671 世界ヘビー級のチャンピオンであり続けた➡ 179 00:18:25,671 --> 00:18:29,342 伝説的ボクサー ジャック・デンプシーです。 180 00:18:29,342 --> 00:18:33,679 アメリカの片田舎から 夢を抱いて ニューヨークに登場。 181 00:18:33,679 --> 00:18:37,016 栄光の座につきました。 182 00:18:37,016 --> 00:18:38,951 ♬~ 183 00:18:38,951 --> 00:18:44,357 ジャック・デンプシーは スポーツ興業の世界で 初めて 100万ドル試合を行い➡ 184 00:18:44,357 --> 00:18:51,163 以後 スポーツが大イベントの対象となる きっかけとなりました。 185 00:18:51,163 --> 00:18:54,967 「興業主のテックスが 試合の前に言った事が➡ 186 00:18:54,967 --> 00:18:57,870 今も記憶に残っている。 『いいか? ジャック。➡ 187 00:18:57,870 --> 00:19:01,307 チャンピオンをつくるのは 大衆だぞ!』。➡ 188 00:19:01,307 --> 00:19:04,643 宣伝も功を奏したのか 試合の頃には➡ 189 00:19:04,643 --> 00:19:08,981 信じられないような騒ぎになった。 『ジャック ジャック!➡ 190 00:19:08,981 --> 00:19:13,652 こんなのって初めてだぞ。 もう既に 100万ドルに達した上に➡ 191 00:19:13,652 --> 00:19:18,524 まだ どんどん 客がやって来る。 しかも その客だよ。 女だ。➡ 192 00:19:18,524 --> 00:19:21,827 上品なご婦人方が 何千人もだ』」。 193 00:19:26,666 --> 00:19:32,004 1926年秋の デンプシーの試合を伝えた ラジオ放送では➡ 194 00:19:32,004 --> 00:19:38,310 興奮した リスナー10人が 心臓まひで死亡したといいます。 195 00:19:44,016 --> 00:19:48,888 デンプシー・ロールと呼ばれる 腕を振り回す独特のスタイル。 196 00:19:48,888 --> 00:19:54,894 「リングの殺し屋」と呼ばれた デンプシーの勇姿がうかがえます。 197 00:19:58,030 --> 00:20:01,901 ♬~ 198 00:20:01,901 --> 00:20:08,040 狂乱の20年代を代表する もう一人のヒーロー ベーブ・ルース。 199 00:20:08,040 --> 00:20:16,382 1927年。 ホームラン60本 通算714本を記録しました。 200 00:20:16,382 --> 00:20:18,717 ♬~ 201 00:20:18,717 --> 00:20:23,589 ニューヨーク・ヤンキースで ベーブ・ルースと 3番4番を打ち 活躍した➡ 202 00:20:23,589 --> 00:20:27,393 もう一人のヒーローが ルー・ゲーリックです。 203 00:20:27,393 --> 00:20:32,698 ラジオで放送された2人の会話が 録音に残されています。 204 00:20:56,555 --> 00:21:00,693 「ラジオの世界 それは 私にとって➡ 205 00:21:00,693 --> 00:21:05,030 リアルそのものだった。 まるで 目の前に➡ 206 00:21:05,030 --> 00:21:09,702 映画スターやミュージシャンが いるかのように思えた。➡ 207 00:21:09,702 --> 00:21:13,572 ある日の事 私たちが ラジオを聴いている間に➡ 208 00:21:13,572 --> 00:21:17,376 女の子が 近くの井戸に 落ちた事があった。➡ 209 00:21:17,376 --> 00:21:20,045 誰も その事に気付かず➡ 210 00:21:20,045 --> 00:21:23,382 井戸に落ちてしまった女の子が 見つかるまで➡ 211 00:21:23,382 --> 00:21:26,051 3日も かかったのだ。➡ 212 00:21:26,051 --> 00:21:31,390 どこにいても 『何か 新しい事 聞いた?』 というのが➡ 213 00:21:31,390 --> 00:21:35,094 人々の合言葉だった」。 214 00:21:41,066 --> 00:21:43,736 ♬~ 215 00:21:43,736 --> 00:21:47,406 ブロードウェイが 世界の商業演劇➡ 216 00:21:47,406 --> 00:21:50,309 ことに ミュージカルの中心と なっていったのも➡ 217 00:21:50,309 --> 00:21:53,212 この時代です。 218 00:21:53,212 --> 00:21:57,016 ♬~ 219 00:21:57,016 --> 00:22:02,354 音楽を伴った演劇なら ラジオで流され レコードも売れる。 220 00:22:02,354 --> 00:22:08,694 この事によって ミュージカルが全盛期を迎えたのです。 221 00:22:08,694 --> 00:22:12,031 ♬~ 222 00:22:12,031 --> 00:22:16,902 ジョージ・ガーシュイン。 「ラプソディ・イン・ブルー」で名高いガーシュインは➡ 223 00:22:16,902 --> 00:22:21,040 ジャズと伝統的なヨーロッパ音楽を融合させた➡ 224 00:22:21,040 --> 00:22:23,375 天才作曲家でした。 225 00:22:23,375 --> 00:22:28,247 この ガーシュインが育っていったのも ブロードウェイのミュージカルでした。 226 00:22:28,247 --> 00:22:41,393 ♬~ 227 00:22:41,393 --> 00:22:45,064 ジャズ・エイジと呼ばれた 華やかな20年代。 228 00:22:45,064 --> 00:22:47,733 しかし こうした大衆社会は➡ 229 00:22:47,733 --> 00:22:52,338 もう一つ 陰の側面を抱えています。 230 00:22:52,338 --> 00:22:55,641 ♬~ 231 00:22:58,010 --> 00:23:12,024 ♬~ 232 00:23:15,027 --> 00:23:18,898 ニューヨークの労働者による デモの様子です。 233 00:23:18,898 --> 00:23:26,038 20年代の初めは アメリカ史上 最も ストライキの多い時期でした。 234 00:23:26,038 --> 00:23:31,377 ストライキの目的は 賃上げや労働条件の改善より➡ 235 00:23:31,377 --> 00:23:37,082 むしろ 産業の国営化を 求めるものが多かったのです。 236 00:23:39,051 --> 00:23:41,954 多くの大衆は 毎日のように伝えられる➡ 237 00:23:41,954 --> 00:23:44,924 労働者の過激な運動のニュースに➡ 238 00:23:44,924 --> 00:23:49,395 まるで ロシア革命が アメリカに上陸するかのような➡ 239 00:23:49,395 --> 00:23:53,399 不安を抱いたのです。 240 00:23:59,004 --> 00:24:03,876 1920年に起こった ウォール街でのテロ事件の映像です。 241 00:24:03,876 --> 00:24:08,681 ニューヨーク証券取引所の すぐそばにあった モルガン商会が➡ 242 00:24:08,681 --> 00:24:12,017 何者かに爆破された事件です。 243 00:24:12,017 --> 00:24:15,688 世界の金融資本の中枢を狙った 犯行は➡ 244 00:24:15,688 --> 00:24:19,024 証拠もなく 共産主義者のせいにされ➡ 245 00:24:19,024 --> 00:24:23,028 大衆の恐怖を駆り立てました。 246 00:24:26,699 --> 00:24:30,035 共産主義者追放の 先頭に立ったのが➡ 247 00:24:30,035 --> 00:24:34,340 時の司法長官 ミッチェル・パーマーでした。 248 00:24:36,375 --> 00:24:42,047 ♬~ 249 00:24:42,047 --> 00:24:45,384 「世界に 邪悪な思想を 広めようとしている➡ 250 00:24:45,384 --> 00:24:47,720 共産主義の運動家たち。➡ 251 00:24:47,720 --> 00:24:52,558 彼らの目には 残忍さ 狂気が 満ちている。➡ 252 00:24:52,558 --> 00:24:58,664 ロシア革命の炎は もう既に アメリカの 労働者に及んできている。➡ 253 00:24:58,664 --> 00:25:03,002 教会の祭壇を襲い 学校に入り込み➡ 254 00:25:03,002 --> 00:25:07,673 アメリカ人の神聖なる家庭にも 忍び込もうとしている。➡ 255 00:25:07,673 --> 00:25:13,012 やがては アメリカ全てを 焼き尽くすだろう」。 256 00:25:13,012 --> 00:25:15,681 ♬~ 257 00:25:15,681 --> 00:25:18,350 当時 名だたる反共主義者だった➡ 258 00:25:18,350 --> 00:25:20,686 ミッチェル・パーマー司法長官。 259 00:25:20,686 --> 00:25:23,589 彼は 1920年の元日に➡ 260 00:25:23,589 --> 00:25:29,027 合衆国全土で アナキストと目される人々 4,000人を検挙します。 261 00:25:29,027 --> 00:25:34,700 しかし 実際出てきたのは 僅か ピストル3丁でした。 262 00:25:34,700 --> 00:25:40,372 この映像は それより少し前に 彼が共産主義の指導者を検挙し➡ 263 00:25:40,372 --> 00:25:47,713 ソビエトの方舟と呼ばれた船に乗せて ソ連に一斉追放をした様子です。 264 00:25:47,713 --> 00:25:57,423 ♬~ 265 00:25:59,992 --> 00:26:04,863 クー・クルックス・クランは 19世紀 テネシー州に生まれた秘密結社で➡ 266 00:26:04,863 --> 00:26:08,333 白人のアメリカ人を 優秀な人種と考え➡ 267 00:26:08,333 --> 00:26:14,673 黒人 ユダヤ人 共産主義者 移民などを否定する組織でした。 268 00:26:14,673 --> 00:26:20,345 1922年ごろには あらゆる階層の白人 500万が➡ 269 00:26:20,345 --> 00:26:24,349 KKKの会員であったと いわれます。 270 00:26:26,685 --> 00:26:30,022 「黒人も ユダヤ人も 外国からの移民も➡ 271 00:26:30,022 --> 00:26:32,691 また ローマカトリック教徒も➡ 272 00:26:32,691 --> 00:26:36,028 それぞれに団結し 権力を持っている。➡ 273 00:26:36,028 --> 00:26:40,365 しかし 我々アメリカ生まれの 白人プロテスタントのみが➡ 274 00:26:40,365 --> 00:26:44,703 独自の組織を持っていない。 それゆえ 我々は➡ 275 00:26:44,703 --> 00:26:49,975 よそ者に財産を狙われ 搾取の対象となってきたのだ。➡ 276 00:26:49,975 --> 00:26:54,646 我々だけが 生っ粋のアメリカ人であり 人種的に すぐれているのは➡ 277 00:26:54,646 --> 00:26:57,649 明らかであるにも かかわらずである」。 278 00:26:59,318 --> 00:27:02,654 純粋なアメリカニズムを標榜する クランは➡ 279 00:27:02,654 --> 00:27:08,527 テロやデモで社会が騒然とし 移民が急増した 20年代前半に➡ 280 00:27:08,527 --> 00:27:14,233 大衆の不安感を うまく利用し 勢力を拡大したのでした。 281 00:27:22,674 --> 00:27:26,011 アメリカ中部 オクラホマのタルサで発生した➡ 282 00:27:26,011 --> 00:27:31,350 大規模な 黒人による暴動の映像です。 283 00:27:31,350 --> 00:27:34,253 第一次大戦後は 黒人の間に➡ 284 00:27:34,253 --> 00:27:37,689 平等を求める意識が 高まっていました。 285 00:27:37,689 --> 00:27:39,625 戦争で 白人と同じように➡ 286 00:27:39,625 --> 00:27:44,563 銃を持って戦ったという 誇りからくる 権利意識でした。 287 00:27:44,563 --> 00:27:48,033 しかし 多くのアメリカ大衆にとって➡ 288 00:27:48,033 --> 00:27:51,904 これまで おとなしく白人に 従ってきた黒人による暴動は➡ 289 00:27:51,904 --> 00:27:57,309 恐怖の対象でした。 各地で 黒人の弾圧や➡ 290 00:27:57,309 --> 00:28:01,613 クランによるリンチなどが 続いたのです。 291 00:28:03,649 --> 00:28:09,521 「私たち黒人は 公園にも レストランにも入れませんでした。➡ 292 00:28:09,521 --> 00:28:13,992 劇場にも入れなかった。 たとえ 入れたとしても➡ 293 00:28:13,992 --> 00:28:19,865 カラスの巣という特別な場所に 座らなければなりませんでした。➡ 294 00:28:19,865 --> 00:28:27,005 いつでも どこでも 私たちは 冷たい目で迎えられました。➡ 295 00:28:27,005 --> 00:28:34,880 リンチは 週に3~4回 新聞やラジオで よく報じられていました。➡ 296 00:28:34,880 --> 00:28:39,585 クランが 黒人を どんな目に遭わせたか?➡ 297 00:28:39,585 --> 00:28:42,354 父から聞いた事ですが➡ 298 00:28:42,354 --> 00:28:48,694 黒人と白人の間で暴動が起こると クランのやつらが やって来て➡ 299 00:28:48,694 --> 00:28:51,964 乳母車から 赤ん坊をつまみ出し➡ 300 00:28:51,964 --> 00:28:59,838 かかとをつかんで 電柱に ペシャンと 脳みそを たたき出した。➡ 301 00:28:59,838 --> 00:29:02,307 黒人だというだけで➡ 302 00:29:02,307 --> 00:29:08,313 殴る蹴るの暴力は 当たり前だったという事です」。 303 00:29:14,653 --> 00:29:17,990 大衆の中に 排他主義が渦巻いていた頃➡ 304 00:29:17,990 --> 00:29:23,662 ボストンで起きた小さな事件が やがて 世界の注目を浴びます。 305 00:29:23,662 --> 00:29:27,966 いわゆる サッコ バンゼッティの寃罪事件です。 306 00:29:30,002 --> 00:29:35,674 1920年の春。 ある殺人事件の 犯人にされたのが➡ 307 00:29:35,674 --> 00:29:40,345 靴職人 サッコと 魚の行商人 バンゼッティの➡ 308 00:29:40,345 --> 00:29:45,684 2人のイタリア移民でした。 彼らは 証拠不十分のまま 逮捕され➡ 309 00:29:45,684 --> 00:29:50,355 十分な審議を受けずに 死刑の判決を受けます。 310 00:29:50,355 --> 00:29:52,691 それは 2人が移民であり➡ 311 00:29:52,691 --> 00:29:57,029 また アナキスト 無政府主義者でもある という理由から➡ 312 00:29:57,029 --> 00:30:02,901 裁判長や陪審員の心証を 悪くした事が原因でした。 313 00:30:02,901 --> 00:30:06,705 ♬~ 314 00:30:06,705 --> 00:30:10,575 サッコとバンゼッティの 有罪判決と不当逮捕は➡ 315 00:30:10,575 --> 00:30:17,349 全世界の知識人の間に 強い抗議行動を巻き起こしました。 316 00:30:17,349 --> 00:30:21,720 ♬~ 317 00:30:21,720 --> 00:30:28,593 1920年代。 アメリカを巡って 世界が揺れた出来事でした。 318 00:30:28,593 --> 00:30:42,407 ♬~ 319 00:30:42,407 --> 00:30:44,342 この事件を きっかけに➡ 320 00:30:44,342 --> 00:30:47,746 排他主義を貫いてきた アメリカ国民の中にも➡ 321 00:30:47,746 --> 00:30:53,351 アメリカの人道主義を問う声が 出始めました。 322 00:30:53,351 --> 00:30:59,224 ♬~ 323 00:30:59,224 --> 00:31:03,995 「2人の無実のイタリア人を 苦境に おとしめた事は➡ 324 00:31:03,995 --> 00:31:07,899 ミッチェル・パーマーの 赤狩り時代を思い出させ➡ 325 00:31:07,899 --> 00:31:10,369 ずっと静まっていたはずの➡ 326 00:31:10,369 --> 00:31:13,705 恐怖と憎しみを かきたてるものだった。➡ 327 00:31:13,705 --> 00:31:17,576 自分たちは 自由主義者なのか 保守主義者なのか➡ 328 00:31:17,576 --> 00:31:19,578 ほとんど忘れかけていた人々が➡ 329 00:31:19,578 --> 00:31:25,884 再び 自分の立場について 議論を闘わし始めたのだ」。 330 00:31:29,721 --> 00:31:37,596 サッコとバンゼッティは 1927年8月 電気椅子で処刑されました。 331 00:31:37,596 --> 00:31:41,333 2人への裁判が 偏見と人種差別による➡ 332 00:31:41,333 --> 00:31:50,342 寃罪であった事が認められるのは 実に50年後の 1977年の事でした。 333 00:31:50,342 --> 00:32:05,657 ♬~ 334 00:32:10,028 --> 00:32:13,899 アメリカ全土に 禁酒法が施行されました。 335 00:32:13,899 --> 00:32:19,604 不道徳な行いの元凶となる酒は いらないという訳です。 336 00:32:21,640 --> 00:32:29,047 禁酒法は 1917年までに アメリカの 27の州に導入されていました。 337 00:32:29,047 --> 00:32:32,717 この時期に 全米で 施行される事になった理由は➡ 338 00:32:32,717 --> 00:32:39,391 戦争という非常時のために 穀物を節約しなければならなかった事➡ 339 00:32:39,391 --> 00:32:45,063 ビール業者の多くが 敵国 ドイツの出身者だった事などが➡ 340 00:32:45,063 --> 00:32:47,766 背景にあります。 341 00:33:15,360 --> 00:33:24,369 ♬~ 342 00:33:24,369 --> 00:33:28,240 しかし 当時の政治家にとって 禁酒法の真のねらいは➡ 343 00:33:28,240 --> 00:33:31,042 移民労働者の飲酒の習慣を➡ 344 00:33:31,042 --> 00:33:33,945 取り締まる事にあった といわれます。 345 00:33:33,945 --> 00:33:38,383 禁酒法も 排他主義の表れだったのです。 346 00:33:38,383 --> 00:33:41,052 ♬~ 347 00:33:41,052 --> 00:33:44,923 禁酒法は 実のところ 全くのザル法でした。 348 00:33:44,923 --> 00:33:48,727 こうした摘発の様子も 面白おかしく描かれて➡ 349 00:33:48,727 --> 00:33:53,331 当時のニュース映画に 登場したものです。 350 00:33:53,331 --> 00:33:59,004 ♬~ 351 00:33:59,004 --> 00:34:04,009 摘発されても すぐに釈放される業者たち。 352 00:34:10,348 --> 00:34:13,018 密造酒を製造する様子です。 353 00:34:13,018 --> 00:34:16,354 顔を隠して 撮影に協力しています。 354 00:34:16,354 --> 00:34:19,691 この時代 悪質な密造酒が出回り➡ 355 00:34:19,691 --> 00:34:24,996 1,500人以上が死んだと 記録されています。 356 00:34:27,032 --> 00:34:30,902 「みんな 酒の密造者を知っていました。➡ 357 00:34:30,902 --> 00:34:34,706 しかし 年頃の子をもつ 親のほとんどは➡ 358 00:34:34,706 --> 00:34:37,375 そんな変な酒を 子どもが飲まないように➡ 359 00:34:37,375 --> 00:34:41,046 ちゃんとした酒を 与えていました。➡ 360 00:34:41,046 --> 00:34:43,715 私も 友人たちと同じように➡ 361 00:34:43,715 --> 00:34:48,053 水筒の形をした銀製の酒瓶を 腰につけて➡ 362 00:34:48,053 --> 00:34:51,323 その酒を飲んでいたものです。➡ 363 00:34:51,323 --> 00:34:53,658 酒場にも 度々 出入りしましたが➡ 364 00:34:53,658 --> 00:34:57,996 警察の手入れを受けた事など 一度も ありませんでした。➡ 365 00:34:57,996 --> 00:35:03,301 誰も法律なんて 気にしていなかったのです」。 366 00:35:11,543 --> 00:35:17,349 「我が家は 禁酒法が施行されると 同時に もぐり酒場を始めた。➡ 367 00:35:17,349 --> 00:35:22,220 近くに ウイスキーを何千ケースも 持っている倉庫があった。➡ 368 00:35:22,220 --> 00:35:25,690 そのウイスキーを手に入れる 唯一の方法は➡ 369 00:35:25,690 --> 00:35:31,029 医療目的と称して 薬局を通す やり方だった。➡ 370 00:35:31,029 --> 00:35:33,698 医者は 簡単に処方箋を書いてくれた。➡ 371 00:35:33,698 --> 00:35:39,037 1枚につき 2ドルだった。 そのウイスキーを どうしたかって?➡ 372 00:35:39,037 --> 00:35:42,374 デルヴェ病院に売ったのさ。 医者は みんな➡ 373 00:35:42,374 --> 00:35:47,045 1ケース 90ドルで買って 救急車で それを取りに行かせたんだ。➡ 374 00:35:47,045 --> 00:35:51,883 警察も知っていたけれど 見て見ぬふりをしていた」。 375 00:35:51,883 --> 00:35:55,854 ♬~ 376 00:35:55,854 --> 00:36:01,993 古いモラルを否定し 奔放な生き方を 自ら実行した 若き作家➡ 377 00:36:01,993 --> 00:36:06,331 スコット・フィッツジェラルドのエッセーは この時代を描写する➡ 378 00:36:06,331 --> 00:36:10,201 最もすぐれたものの一つと されています。 379 00:36:10,201 --> 00:36:15,340 ♬~ 380 00:36:15,340 --> 00:36:19,010 「時代の流れは 確実に変わりつつあった。➡ 381 00:36:19,010 --> 00:36:22,347 明るさ 華やかさ 生命力➡ 382 00:36:22,347 --> 00:36:26,017 そんな さまざまな要素が 混じり合いながら➡ 383 00:36:26,017 --> 00:36:31,356 そこかしこに あふれ出し 一つの 空気をつくり上げ始めていた。➡ 384 00:36:31,356 --> 00:36:35,693 この時代で はっきり覚えている事がある。➡ 385 00:36:35,693 --> 00:36:39,564 私は タクシーに乗っていた。 車は ちょうど➡ 386 00:36:39,564 --> 00:36:42,567 藤色とバラ色に染まった 夕空の下➡ 387 00:36:42,567 --> 00:36:45,704 ビルの谷間を 滑るように進んでいた。➡ 388 00:36:45,704 --> 00:36:49,574 私は 言葉にならぬ声で 叫び始めていた。➡ 389 00:36:49,574 --> 00:36:52,977 そうだ! 私には分かっていたのだ。➡ 390 00:36:52,977 --> 00:36:57,649 自分が 望むもの全てを 手に入れてしまった人間であり➡ 391 00:36:57,649 --> 00:37:04,522 もう この先 これ以上 幸せには なれっこないんだという事が」。 392 00:37:04,522 --> 00:37:07,659 (銃声) 393 00:37:07,659 --> 00:37:10,562 禁酒法の施行によって始まった➡ 394 00:37:10,562 --> 00:37:14,332 密造酒の製造や もぐり酒場の経営は➡ 395 00:37:14,332 --> 00:37:19,671 都市に巣くう犯罪組織に ばく大な資金を もたらしました。 396 00:37:19,671 --> 00:37:25,009 禁酒法が ひいては 賭博 売春 殺人などの➡ 397 00:37:25,009 --> 00:37:28,346 ギャングの横行を許していきました。 398 00:37:28,346 --> 00:37:32,650 都市の陰の部分が 形づくられたのです。 399 00:37:34,686 --> 00:37:41,359 これは競馬場で撮影されたアル・カポネ。 彼は イタリア移民の家に生まれ➡ 400 00:37:41,359 --> 00:37:45,029 暗黒街の帝王に のし上がりました。 401 00:37:45,029 --> 00:37:49,367 20年代には 巧みに法の目を かいくぐってきた カポネが➡ 402 00:37:49,367 --> 00:37:54,639 ついに逮捕されたのは 1931年。 403 00:37:54,639 --> 00:38:01,346 脱税と 5,000件に上る 禁酒法違反容疑でした。 404 00:38:04,983 --> 00:38:19,297 ♬~ 405 00:38:23,334 --> 00:38:28,673 1923年 大正12年9月1日。 406 00:38:28,673 --> 00:38:34,012 関東大震災に襲われた 東京の映像です。 407 00:38:34,012 --> 00:38:39,884 東京の死者 行方不明者 合わせて 10万7,500人余り。 408 00:38:39,884 --> 00:38:45,890 全体の7割の家屋が焼失しました。 409 00:38:50,295 --> 00:38:52,630 混乱した情報の中で➡ 410 00:38:52,630 --> 00:38:57,969 「朝鮮人が暴動を起こす」という 流言飛語が大衆に伝わりました。 411 00:38:57,969 --> 00:39:00,872 その結果 恐怖心をあおられた 市民によって➡ 412 00:39:00,872 --> 00:39:05,176 多数の朝鮮人が殺害されました。 413 00:39:08,980 --> 00:39:14,652 1924年6月24日。 サンフランシスコに到着する➡ 414 00:39:14,652 --> 00:39:18,523 日本からの移民船 シベリア丸です。 415 00:39:18,523 --> 00:39:23,328 この年 アメリカでは 移民を制限する法律が制定され➡ 416 00:39:23,328 --> 00:39:27,665 日本人移民は 1週間後の7月1日をもって➡ 417 00:39:27,665 --> 00:39:31,970 実質的に全面禁止されます。 418 00:39:38,009 --> 00:39:49,020 ♬~ 419 00:39:49,020 --> 00:39:52,357 1925年のパリ。 420 00:39:52,357 --> 00:39:58,229 ここに アメリカの大衆文化を 強烈に印象づけた人物がいます。 421 00:39:58,229 --> 00:40:03,001 ♬~ 422 00:40:03,001 --> 00:40:06,704 黒人ダンサー… 423 00:40:06,704 --> 00:40:10,041 パリのシャンゼリゼ劇場に登場した ベーカーは➡ 424 00:40:10,041 --> 00:40:13,711 その褐色の裸体 扇情的な体の動きで➡ 425 00:40:13,711 --> 00:40:18,583 新しいアメリカニズムを パリっ子に見せつけたのです。 426 00:40:18,583 --> 00:40:25,323 ♬~ 427 00:40:25,323 --> 00:40:28,059 ベーカーの野性的な魅力は➡ 428 00:40:28,059 --> 00:40:31,396 パリを覆っていた 戦後の退廃的な空気を➡ 429 00:40:31,396 --> 00:40:36,067 一時的にせよ 吹き飛ばすものでした。 430 00:40:36,067 --> 00:40:55,353 ♬~ 431 00:40:55,353 --> 00:40:58,256 (拍手) メルシー! 432 00:40:58,256 --> 00:41:02,694 ♬~ 433 00:41:02,694 --> 00:41:08,700 ジョセフィン・ベーカーは アメリカが生んだ 最初のセックス・シンボルでした。 434 00:41:15,273 --> 00:41:18,242 1924年1月。 435 00:41:18,242 --> 00:41:24,949 ロシア革命の指導者 レーニンが 53歳で死去。 436 00:41:30,388 --> 00:41:33,057 レーニンの死を境に スターリンが➡ 437 00:41:33,057 --> 00:41:38,363 ソ連共産党の権力を 一手に握るようになります。 438 00:41:43,401 --> 00:41:46,304 1920年代後半のドイツでは➡ 439 00:41:46,304 --> 00:41:48,740 ナチス党を率いたヒトラーが➡ 440 00:41:48,740 --> 00:41:54,445 着実に 大衆の支持を 獲得しつつありました。 441 00:42:01,019 --> 00:42:06,023 イタリアのファシスト党党首 ムッソリーニです。 442 00:42:07,892 --> 00:42:11,028 ムッソリーニ内閣は この時 既に➡ 443 00:42:11,028 --> 00:42:16,034 一党独裁の政治体制を 確立していました。 444 00:42:21,039 --> 00:42:41,059 ♬~ 445 00:42:41,059 --> 00:42:48,399 1920年代も後半になると 人々は ラジオ 新聞 ニュース映画を通して➡ 446 00:42:48,399 --> 00:42:52,670 大量の情報を 同時に受け取るようになります。 447 00:42:52,670 --> 00:42:58,543 この事が 社会を動かす 決定的な要因となります。 448 00:42:58,543 --> 00:43:02,680 ♬~ 449 00:43:02,680 --> 00:43:06,551 「1927年のニューヨークの せわしなさは➡ 450 00:43:06,551 --> 00:43:10,555 ヒステリーの一歩手前とでも 表すべきものだった。➡ 451 00:43:10,555 --> 00:43:14,025 かくのごとく 浮かれ騒ぐ街にあっては➡ 452 00:43:14,025 --> 00:43:17,361 たゆまぬ努力など 一文の値打ちもない。➡ 453 00:43:17,361 --> 00:43:23,234 という訳で 稼業という言葉が からかい半分に使われ始めた。➡ 454 00:43:23,234 --> 00:43:28,372 手っ取り早く 金を稼げるもの これが全て稼業である。➡ 455 00:43:28,372 --> 00:43:30,708 私の行きつけの床屋は➡ 456 00:43:30,708 --> 00:43:35,046 株に 50万ドルばかり投資して 引退していたし➡ 457 00:43:35,046 --> 00:43:38,382 私のテーブルまで やって来て 挨拶したり➡ 458 00:43:38,382 --> 00:43:41,285 あるいは 挨拶し忘れたりする 給仕頭たちは➡ 459 00:43:41,285 --> 00:43:47,058 考えてみれば 私などより はるかに金持ちであった」。 460 00:43:47,058 --> 00:43:51,362 ♬~ 461 00:44:00,338 --> 00:44:05,209 20年代後半 アメリカ大衆の大きな関心の一つは➡ 462 00:44:05,209 --> 00:44:08,012 株式市場の動向でした。 463 00:44:08,012 --> 00:44:14,352 企業家から労働者 主婦に至るまで あらゆる階層の人々が株を買い➡ 464 00:44:14,352 --> 00:44:19,357 ラジオの株式市況に 耳を傾けていました。 465 00:44:22,226 --> 00:44:26,364 大衆が 株価の暴落など 予想もしなかった理由は➡ 466 00:44:26,364 --> 00:44:29,267 自分たちの周りに 満ちあふれていた➡ 467 00:44:29,267 --> 00:44:34,705 豊かな生活と 好景気への信頼でした。 468 00:44:34,705 --> 00:44:42,713 1927年の第1週には 株の取引高が 史上最高を記録しています。 469 00:44:44,715 --> 00:44:46,651 「株価を表示する黒板の前には➡ 470 00:44:46,651 --> 00:44:49,053 いつも 人だかりが出来ていました。➡ 471 00:44:49,053 --> 00:44:51,956 あまりに株価が乱高下するので➡ 472 00:44:51,956 --> 00:44:54,325 そこで 卒倒する人もいたほどです。➡ 473 00:44:54,325 --> 00:44:57,995 でも 彼らは そう心配していませんでした。➡ 474 00:44:57,995 --> 00:45:00,665 結局 株価は 上昇カーブを描き➡ 475 00:45:00,665 --> 00:45:04,535 実際 みんな もうけているから ますます 買おうとする。➡ 476 00:45:04,535 --> 00:45:07,338 実態は信用貸しでした。➡ 477 00:45:07,338 --> 00:45:12,009 10万ドルの現金しか 手元にないのに 100万ドルの株を買う。➡ 478 00:45:12,009 --> 00:45:17,715 90万ドルは ブローカーか銀行から 簡単に借りられたのです」。 479 00:45:22,353 --> 00:45:27,024 建築ブームは 大都市の郊外にも 及んできました。 480 00:45:27,024 --> 00:45:31,362 自動車の普及で 通勤圏や 行動範囲が広がった事が➡ 481 00:45:31,362 --> 00:45:34,031 主な理由でした。 482 00:45:34,031 --> 00:45:36,701 「ある ニューヨークの投資家のオフィスで➡ 483 00:45:36,701 --> 00:45:42,373 私は 壁に貼ってある地図を 指さして 彼に訪ねた。➡ 484 00:45:42,373 --> 00:45:45,276 空きと印のついた用地は 何ですか?➡ 485 00:45:45,276 --> 00:45:51,182 町のこの辺りに 空き地がこんなに あるとは思いませんでしたよ。➡ 486 00:45:51,182 --> 00:45:56,654 彼は愉快そうに言った。 4階より低い建物なら 何でも➡ 487 00:45:56,654 --> 00:46:01,993 私たちにとっては空き地ですよ。 それを買って 取り壊し➡ 488 00:46:01,993 --> 00:46:07,298 もっと高いものを建てれば もうかるのです」。 489 00:46:11,002 --> 00:46:17,675 家庭電化製品の発明によって 主婦に自由な時間が生まれました。 490 00:46:17,675 --> 00:46:21,012 ♬~ 491 00:46:21,012 --> 00:46:22,947 地方でも マンハッタンでも➡ 492 00:46:22,947 --> 00:46:26,884 同じファッションをする事が できるようになりました。➡ 493 00:46:26,884 --> 00:46:29,353 通信販売の登場です。➡ 494 00:46:29,353 --> 00:46:34,225 3万5,000もの商品を満載した このカタログは 当時➡ 495 00:46:34,225 --> 00:46:41,365 郵便箱に入った世界一の百貨店と 呼ばれたものです。 496 00:46:41,365 --> 00:46:46,704 「女の子が大喜びするのは 一緒に 映画を見終わったあとで➡ 497 00:46:46,704 --> 00:46:50,574 彼女を カフェーに誘う事だ」 などと言うのは➡ 498 00:46:50,574 --> 00:46:53,511 お話にならない古めかしさだ。➡ 499 00:46:53,511 --> 00:46:57,648 今日では 彼女をドライブに連れていくにも➡ 500 00:46:57,648 --> 00:47:00,985 6気筒7人乗りのセダンが 必要である。➡ 501 00:47:00,985 --> 00:47:05,323 その上 一番入場料の高い コンサートに行って➡ 502 00:47:05,323 --> 00:47:10,194 その夜の最後を飾るために 一番値段の張るレストランに➡ 503 00:47:10,194 --> 00:47:13,998 彼女を連れていかねば ならないのだ」。 504 00:47:13,998 --> 00:47:16,701 ♬~ 505 00:47:27,545 --> 00:47:32,016 一方 農村は 悲惨な状態にありました。 506 00:47:32,016 --> 00:47:34,685 戦争中の作物の増産のために➡ 507 00:47:34,685 --> 00:47:39,356 過剰な設備投資をしていた農家が 20年代になって➡ 508 00:47:39,356 --> 00:47:46,230 農産物価格の下落など 一気に不況に陥ったのです。 509 00:47:46,230 --> 00:47:49,033 地方銀行は 焦げ付いた貸し付けによって➡ 510 00:47:49,033 --> 00:47:51,936 経営危機に陥りました。 511 00:47:51,936 --> 00:47:59,310 20年代の後半には 7つの州で 銀行の40%が倒産しています。 512 00:47:59,310 --> 00:48:01,979 この映像は 30年代前半の➡ 513 00:48:01,979 --> 00:48:06,317 アメリカの農家が離農する様子を 記録したものです。 514 00:48:06,317 --> 00:48:10,654 20年代には こういった様子を カメラが とらえていませんが➡ 515 00:48:10,654 --> 00:48:15,993 実際には 同様な事態が 起きていたのです。 516 00:48:15,993 --> 00:48:23,868 ♬~ 517 00:48:23,868 --> 00:48:27,338 「合衆国の歴史上 今議会ほど➡ 518 00:48:27,338 --> 00:48:31,008 喜ばしい期待に満ちた議会は ないと申せましょう。➡ 519 00:48:31,008 --> 00:48:37,348 我が国の企業や産業が生み出し 経済が蓄えた ばく大な富は➡ 520 00:48:37,348 --> 00:48:40,251 国民の間に 広く分配される一方➡ 521 00:48:40,251 --> 00:48:44,221 生活必需品は 既に必要水準を満たし➡ 522 00:48:44,221 --> 00:48:48,959 ぜいたくの域に達しました。 我が国の現状は➡ 523 00:48:48,959 --> 00:48:53,631 まことに満足すべきものであり 将来に対しても➡ 524 00:48:53,631 --> 00:48:58,302 楽観的な期待を寄せる事が できるでありましょう」。 525 00:48:58,302 --> 00:49:03,641 ♬~ 526 00:49:03,641 --> 00:49:05,576 物質的に豊かになった大衆は➡ 527 00:49:05,576 --> 00:49:09,980 好奇心のはけ口を ラジオに求めるようになります。 528 00:49:09,980 --> 00:49:15,319 より刺激的な情報を 望むようになるのです。 529 00:49:15,319 --> 00:49:19,990 20年代後半に ラジオを通じて 大衆の好奇心を そそった➡ 530 00:49:19,990 --> 00:49:23,994 3つの出来事を紹介しましょう。 531 00:49:27,865 --> 00:49:32,002 1926年8月。 ブロードウェイに➡ 532 00:49:32,002 --> 00:49:36,006 10万人もの女性が集まっています。 533 00:49:38,342 --> 00:49:44,682 ハリウッドの名優 ルドルフ・バレンチノの葬儀に 集まった群衆でした。 534 00:49:44,682 --> 00:49:49,353 イタリアに生まれ 夢を抱いて ニューヨークに やって来たバレンチノは➡ 535 00:49:49,353 --> 00:49:56,360 そのエロチシズムで アメリカ中の女性を とりこにしたといわれています。 536 00:49:58,362 --> 00:50:01,265 「群衆は あまりにも大きく 膨れ上がって➡ 537 00:50:01,265 --> 00:50:06,237 葬儀場の前のビルのガラスを 割ってしまったほどです。➡ 538 00:50:06,237 --> 00:50:10,941 柩に横たわっているバレンチノは すぐそこに見えました。➡ 539 00:50:10,941 --> 00:50:16,380 私たちは 彼を ただ一目でも 見たかったのです。➡ 540 00:50:16,380 --> 00:50:20,251 でも 今思えば ほとんどの人が➡ 541 00:50:20,251 --> 00:50:25,256 ただの好奇心に すぎなかったのだと思います」。 542 00:50:27,992 --> 00:50:33,397 こちらは 全米が注目した ある遭難事件です。 543 00:50:33,397 --> 00:50:37,067 フロイド・コリンズという名前の ケンタッキーの若者が➡ 544 00:50:37,067 --> 00:50:40,938 洞窟を探検中に 落盤に見舞われ➡ 545 00:50:40,938 --> 00:50:46,410 足を岩に挟まれて 脱出できなくなりました。 546 00:50:46,410 --> 00:50:55,686 ♬~ 547 00:50:55,686 --> 00:50:59,557 全米のラジオや新聞は 20日間にわたって➡ 548 00:50:59,557 --> 00:51:04,695 彼が衰弱して 死に至る様子を 克明に伝え続けました。 549 00:51:04,695 --> 00:51:10,034 その結果 洞窟の周辺は 全米からの見物人で あふれ➡ 550 00:51:10,034 --> 00:51:12,937 屋台や大道芸人が出現。 551 00:51:12,937 --> 00:51:17,374 コリンズ宛ての激励の手紙には 「洞窟から出られたら➡ 552 00:51:17,374 --> 00:51:22,246 結婚しましょう」というものまで ある始末でした。 553 00:51:22,246 --> 00:51:24,715 ♬~ 554 00:51:24,715 --> 00:51:36,060 (鐘の音) 555 00:51:36,060 --> 00:51:39,930 洞窟での遭難事件から 5か月後。 556 00:51:39,930 --> 00:51:47,071 アメリカの歴史に残る一つの裁判が テネシー州の小さな町で始まりました。 557 00:51:47,071 --> 00:51:51,342 事の起こりは この ドラッグストアから始まります。 558 00:51:51,342 --> 00:51:58,015 当時 テネシー州では ダーウィンの進化論を 教える事を禁止していました。 559 00:51:58,015 --> 00:52:02,353 「聖書」の教えに反するというのが その理由でした。 560 00:52:02,353 --> 00:52:07,024 町のドラッグストアの主人と 高校教師 スコープスは➡ 561 00:52:07,024 --> 00:52:09,360 あえて この法律を犯せば➡ 562 00:52:09,360 --> 00:52:12,262 自分たちの小さな町 デイトンが➡ 563 00:52:12,262 --> 00:52:16,700 マスコミに取り上げられ 一躍有名になるに違いないと➡ 564 00:52:16,700 --> 00:52:19,036 画策したのです。 565 00:52:19,036 --> 00:52:21,705 ♬~ 566 00:52:21,705 --> 00:52:26,043 人間の先祖が 人間よりも下等な サルであるなどという➡ 567 00:52:26,043 --> 00:52:29,380 科学理論を受け入れる事は できないという人が➡ 568 00:52:29,380 --> 00:52:33,050 当時 多くいた時代でした。 569 00:52:33,050 --> 00:52:36,920 ♬~ 570 00:52:36,920 --> 00:52:40,924 裁判は イベントを仕掛けた スコープスたちの思惑を➡ 571 00:52:40,924 --> 00:52:45,396 はるかに超えて 全米の注目を集め始めました。 572 00:52:45,396 --> 00:52:52,669 町には 裁判を直接 傍聴しようと 多くの人が押しかけました。 573 00:52:52,669 --> 00:53:01,678 ♬~ 574 00:53:01,678 --> 00:53:04,014 彼らの関心は➡ 575 00:53:04,014 --> 00:53:07,684 「アメリカ人の心のよりどころである 『聖書』の教えが➡ 576 00:53:07,684 --> 00:53:10,354 進化論という科学によって➡ 577 00:53:10,354 --> 00:53:14,691 否定されるかもしれない」 という事にありました。 578 00:53:14,691 --> 00:53:23,700 ♬~ 579 00:53:23,700 --> 00:53:27,037 裁判が注目を集めた もう一つの理由は➡ 580 00:53:27,037 --> 00:53:33,711 弁護側 検察側に有名な大物が 名乗りを上げた事にあります。 581 00:53:33,711 --> 00:53:38,382 進化論の正しさを主張する クラレンス・ダロウ。 582 00:53:38,382 --> 00:53:41,718 労働争議の弁護士として 全米に知られた➡ 583 00:53:41,718 --> 00:53:45,422 進歩派の人物でした。 584 00:53:47,391 --> 00:53:51,995 「聖書」を擁護するのは 前国務長官の ブライアン。 585 00:53:51,995 --> 00:53:56,867 禁酒法を擁護した事でも 知られています。 586 00:53:56,867 --> 00:54:00,871 かくして 役者は そろいました。 587 00:54:18,222 --> 00:54:24,695 裁判は シカゴのWGN局によって 全米に中継放送されました。 588 00:54:24,695 --> 00:54:27,598 これが アメリカでの➡ 589 00:54:27,598 --> 00:54:32,903 裁判のマスメディア公開の 先駆けとなりました。 590 00:54:39,710 --> 00:54:44,047 「法廷内の暑さといったら まるで オーブンの中みたいだった。➡ 591 00:54:44,047 --> 00:54:46,717 あまり暑いので 裁判長が➡ 592 00:54:46,717 --> 00:54:51,321 裁判関係者と報道陣に コーラを売る事を許可した。➡ 593 00:54:51,321 --> 00:54:56,660 私一人が その売り子に 選ばれたという訳だ。➡ 594 00:54:56,660 --> 00:54:58,996 裁判を傍聴している人は➡ 595 00:54:58,996 --> 00:55:01,899 ほとんどが 検事のブライアンの味方だった。➡ 596 00:55:01,899 --> 00:55:05,335 弁護士のダロウが あまりにも ねちねちと➡ 597 00:55:05,335 --> 00:55:08,238 『聖書』の ささいなところを あげつらっては➡ 598 00:55:08,238 --> 00:55:11,208 ブライアンを追い詰めて 宗教をバカにするもんだから➡ 599 00:55:11,208 --> 00:55:14,912 みんな イライラしていたのだ」。 600 00:55:17,915 --> 00:55:21,685 「旧約聖書」には 地上の生物を懲らしめるため➡ 601 00:55:21,685 --> 00:55:25,022 神が大洪水を起こしたと 書かれています。 602 00:55:25,022 --> 00:55:27,691 その時 唯一 助かる道が➡ 603 00:55:27,691 --> 00:55:31,028 ノアの作った方舟に 乗る事でした。 604 00:55:31,028 --> 00:55:36,733 この部分に関する論争を 裁判記録から紹介しましょう。 605 00:55:38,368 --> 00:55:41,271 (ダロウ)あなたはノアの方舟に 乗らなかった生物は➡ 606 00:55:41,271 --> 00:55:43,240 全滅したと 信じていますか? 607 00:55:43,240 --> 00:55:46,710 (ブライアン)魚は 生き残ったでしょうね。 608 00:55:46,710 --> 00:55:49,379 (ダロウ)魚以外は? (ブライアン)さあ?どうなんです? 609 00:55:49,379 --> 00:55:51,315 (ブライアン)証拠はない。 そうだろう? 610 00:55:51,315 --> 00:55:53,250 (ダロウ)あなたは どう思うかと 聞いてるんです。 611 00:55:53,250 --> 00:55:56,186 (ブライアン)全滅した。 そう信じてる。 612 00:55:56,186 --> 00:56:01,325 (ダロウ)それでは これは どうです? ヘビは イブを誘惑して➡ 613 00:56:01,325 --> 00:56:04,661 知恵の実を食べさせ 神の怒りを買って以来➡ 614 00:56:04,661 --> 00:56:08,999 腹で はい回らなければ ならなくなったとされているが➡ 615 00:56:08,999 --> 00:56:12,669 それ以前のヘビは どのようにして 前へ進んでいたか➡ 616 00:56:12,669 --> 00:56:15,572 その点については ご存じですか? (ブライアン)いいえ。 617 00:56:15,572 --> 00:56:20,010 (ダロウ)はうようになる前は 尻尾で 立って 歩いていたとでも? 618 00:56:20,010 --> 00:56:22,346 (ブライアン)自分で この「聖書」を読みたまえ!➡ 619 00:56:22,346 --> 00:56:25,015 そうすれば分かるはずだ。 (ダロウ)結構ですとも!➡ 620 00:56:25,015 --> 00:56:26,950 今 ここで 読んで差し上げましょう。 621 00:56:26,950 --> 00:56:29,686 (ブライアン)裁判官! 早い話 ダロウ氏は➡ 622 00:56:29,686 --> 00:56:32,356 ただ 「聖書」を 冒とくしたいだけなのです。➡ 623 00:56:32,356 --> 00:56:34,291 この人は神を信じておらず➡ 624 00:56:34,291 --> 00:56:37,227 テネシー州の法廷という場を借りて…。 (ダロウ)異議あり! 625 00:56:37,227 --> 00:56:39,229 (ブライアン)「聖書」を 汚そうとしているのです! 626 00:56:39,229 --> 00:56:43,367 (ダロウ)ブライアン氏に異議あり! (木槌の音) 627 00:56:43,367 --> 00:56:48,038 12日間にわたった いわゆる サル裁判の顛末は➡ 628 00:56:48,038 --> 00:56:55,312 進化論を教えた教師は有罪。 100ドルの罰金で 幕を閉じました。 629 00:56:55,312 --> 00:57:00,183 進化論を教えてはならないという この法律が廃止にされるのは➡ 630 00:57:00,183 --> 00:57:07,190 なお 40年の年月を経た 1968年の事です。 631 00:57:10,327 --> 00:57:16,033 ♬~ 632 00:57:27,344 --> 00:57:32,015 1920年代後半の上海です。 633 00:57:32,015 --> 00:57:37,354 ♬~ 634 00:57:37,354 --> 00:57:41,024 欧米列強の租界地の にぎわい。 635 00:57:41,024 --> 00:57:45,896 それを乱す危険をはらんだ 事件が起こります。 636 00:57:45,896 --> 00:57:51,968 ♬~ 637 00:57:51,968 --> 00:57:57,307 1927年4月。 国民革命軍の指導者だった➡ 638 00:57:57,307 --> 00:58:04,981 蔣介石の起こした反共クーデターに 騒然とする上海です。 639 00:58:04,981 --> 00:58:10,654 市内では 労働者や共産党員が 多数 逮捕 殺害されました。 640 00:58:10,654 --> 00:58:13,323 この上海での騒乱に対して➡ 641 00:58:13,323 --> 00:58:19,997 アメリカをはじめとする列強諸国が 続々と軍隊を送り込みました。 642 00:58:19,997 --> 00:58:23,333 ♬~ 643 00:58:23,333 --> 00:58:26,003 「上海の租界の雰囲気は➡ 644 00:58:26,003 --> 00:58:29,339 ほとんど もう 戦争に突入したかのようで➡ 645 00:58:29,339 --> 00:58:34,678 何千人もの苦力が雇われ 夜昼の別なく 塹壕を堀り➡ 646 00:58:34,678 --> 00:58:38,015 有刺鉄線で バリケードを築いていた。➡ 647 00:58:38,015 --> 00:58:42,352 上海が興奮しきっていた時に 記者会見で 私は➡ 648 00:58:42,352 --> 00:58:45,021 アメリカ軍の指揮をしていた バトラー将軍に➡ 649 00:58:45,021 --> 00:58:50,293 『中国を武力でもって侵略して 国民運動を鎮圧するとしたら➡ 650 00:58:50,293 --> 00:58:54,164 どれだけの兵員が必要か』と 質問してみた。➡ 651 00:58:54,164 --> 00:59:00,937 彼は迷わず こう断言した。 『最低50万の兵員がいないと➡ 652 00:59:00,937 --> 00:59:05,642 私は中国を侵略しようと 夢にも考えないでしょう』。➡ 653 00:59:05,642 --> 00:59:10,981 バトラー将軍の断言は その後 日本軍が 200万もの軍隊で➡ 654 00:59:10,981 --> 00:59:15,685 ついに征服できなかった事で 証明される事になった」。 655 00:59:22,592 --> 00:59:24,995 昭和3年11月。 656 00:59:24,995 --> 00:59:29,699 昭和天皇の即位式 御大典です。 657 00:59:32,335 --> 00:59:39,676 (一同)万歳 万歳! 658 00:59:39,676 --> 00:59:48,685 ♬~ 659 00:59:48,685 --> 00:59:56,359 このころの東京を闊歩するモダンガール。 アメリカ式ショートヘアが流行しました。 660 00:59:56,359 --> 00:59:59,262 ♬~ 661 00:59:59,262 --> 01:00:04,701 1927年 昭和2年12月。 662 01:00:04,701 --> 01:00:09,573 日本で初めての地下鉄が 上野 浅草間に開通しました。 663 01:00:09,573 --> 01:00:12,375 不況と関東大震災のために➡ 664 01:00:12,375 --> 01:00:17,247 構想から 10年の歳月を要した 開通でした。 665 01:00:17,247 --> 01:00:19,716 ♬~ 666 01:00:19,716 --> 01:00:23,587 アメリカで発行されていた 上流階級向けの雑誌➡ 667 01:00:23,587 --> 01:00:27,057 「ヴァニティー・フェア」。 668 01:00:27,057 --> 01:00:29,960 「チャンスある土地 満州」と題して➡ 669 01:00:29,960 --> 01:00:34,731 アメリカから満州への海外投資を 呼びかけています。 670 01:00:34,731 --> 01:00:40,070 広告を出したのは 南満州鉄道株式会社でした。 671 01:00:40,070 --> 01:00:43,740 ♬~ 672 01:00:43,740 --> 01:00:48,078 満州の中心地 奉天。 673 01:00:48,078 --> 01:00:52,916 やがて 満州事変の発火点となる所です。 674 01:00:52,916 --> 01:01:04,561 ♬~ 675 01:01:04,561 --> 01:01:09,032 当時の満州に住む日本人は およそ23万人。 676 01:01:09,032 --> 01:01:12,903 日露戦争以後 移住した人たちでした。 677 01:01:12,903 --> 01:01:18,375 更に 関東軍が 1万人 駐屯していました。 678 01:01:18,375 --> 01:01:23,246 ♬~ 679 01:01:23,246 --> 01:01:26,716 満州は 日本にとって 資源の宝庫であり➡ 680 01:01:26,716 --> 01:01:31,388 「満蒙は日本の生命線である」 という スローガンを掲げて➡ 681 01:01:31,388 --> 01:01:36,259 国家戦略が進められようと していた時代です。 682 01:01:36,259 --> 01:01:43,266 ♬~ 683 01:01:46,937 --> 01:01:51,641 中華民国 陸海軍大元帥 張作霖。 684 01:01:54,344 --> 01:01:56,680 昭和3年6月に起きた➡ 685 01:01:56,680 --> 01:02:01,017 張作霖爆殺事件 発生直後の映像です。 686 01:02:01,017 --> 01:02:04,688 関東軍が 満蒙領有の障害となった 張作霖を➡ 687 01:02:04,688 --> 01:02:09,359 革命軍の仕業に見せかけて 殺害した事件でした。 688 01:02:09,359 --> 01:02:12,262 ♬~ 689 01:02:12,262 --> 01:02:16,032 世界最大の飛行船 ドイツのツェッペリン号が➡ 690 01:02:16,032 --> 01:02:19,903 世界一周飛行の途中 日本に やって来ました。 691 01:02:19,903 --> 01:02:25,375 霞ヶ浦での歓迎式典には 10万人の群衆が集まりました。 692 01:02:25,375 --> 01:02:27,377 (一同)万歳! 693 01:02:34,050 --> 01:02:39,923 昭和2年に撮影された 芥川龍之介と菊池 寛です。 694 01:02:39,923 --> 01:02:43,059 この年 芥川は➡ 695 01:02:43,059 --> 01:02:48,365 「ぼんやりした不安」という 言葉を残して 自殺します。 696 01:02:50,333 --> 01:02:57,674 「誰もまだ 自殺者自身の心理を ありのままに書いた者はいない。➡ 697 01:02:57,674 --> 01:03:02,012 君は 新聞の三面記事などに➡ 698 01:03:02,012 --> 01:03:08,685 生活難とか 病苦とか あるいは また 精神的苦痛とか➡ 699 01:03:08,685 --> 01:03:13,023 いろいろの自殺の動機を 発見するであろう。➡ 700 01:03:13,023 --> 01:03:19,696 しかし 僕の経験によれば それは 動機の全部ではない。➡ 701 01:03:19,696 --> 01:03:26,569 のみならず 大抵は動機に至る 道程を示しているだけである。➡ 702 01:03:26,569 --> 01:03:34,711 少なくとも 僕の場合は ただ ぼんやりした不安である。➡ 703 01:03:34,711 --> 01:03:43,019 何か 僕の将来に対する ただ ぼんやりした不安である」。 704 01:03:49,059 --> 01:04:05,075 ♬~ 705 01:04:09,012 --> 01:04:14,351 1927年5月20日 朝7時52分。 706 01:04:14,351 --> 01:04:18,221 チャールズ・リンドバーグ操縦する スピリット・オブ・セントルイス号が➡ 707 01:04:18,221 --> 01:04:23,693 今 まさに ニューヨーク パリ間の 大西洋横断無着陸飛行に➡ 708 01:04:23,693 --> 01:04:26,696 飛び立とうとしています。 709 01:04:28,565 --> 01:04:34,337 リンドバーグ出発のニュースが伝わると アメリカ中に興奮が沸き起こりました。 710 01:04:34,337 --> 01:04:39,709 誰もが 無名の郵便パイロットであった 一人の青年の冒険飛行が➡ 711 01:04:39,709 --> 01:04:43,580 成功する事を祈ったのです。 712 01:04:43,580 --> 01:04:48,385 睡魔と戦いながらの 33時間30分。 713 01:04:48,385 --> 01:04:54,190 大西洋を横断し 夜10時過ぎにパリに到着しました。 714 01:04:54,190 --> 01:05:03,666 ♬~ 715 01:05:03,666 --> 01:05:09,339 「1927年5月21日の夜 ル・ブールジェ飛行場で➡ 716 01:05:09,339 --> 01:05:15,011 私は こんなにも歓迎を受けるとは 全く予期していなかった。➡ 717 01:05:15,011 --> 01:05:19,349 私の飛行機の到着時間が これほど 正確に報道されていようとは➡ 718 01:05:19,349 --> 01:05:25,021 夢にも思わなかった。 私は 飛行機の扉を開けた。➡ 719 01:05:25,021 --> 01:05:29,893 何万もの手が 私の足を 腕を 体をつかんだ。➡ 720 01:05:29,893 --> 01:05:33,363 私の言う事など 誰の耳にも入らない。➡ 721 01:05:33,363 --> 01:05:37,033 私は 群衆の上に 頭の海の真っただ中に➡ 722 01:05:37,033 --> 01:05:40,703 力尽きて 横倒しにされていた」。 723 01:05:40,703 --> 01:05:47,710 ♬~ 724 01:05:49,979 --> 01:05:55,652 ♬~ 725 01:05:55,652 --> 01:05:59,522 リンドバーグを帰国させるために クーリッジ大統領が➡ 726 01:05:59,522 --> 01:06:04,327 合衆国海軍の巡洋艦を 差し向けました。 727 01:06:04,327 --> 01:06:07,997 一市民を迎えるために 軍艦を使った事に➡ 728 01:06:07,997 --> 01:06:09,933 異議を挟む者は いませんでした。 729 01:06:09,933 --> 01:06:17,006 ある新聞の日曜版は 100のコラムを 全て リンドバーグ特集に充てました。 730 01:06:17,006 --> 01:06:19,342 リンドバーグは 一夜にして➡ 731 01:06:19,342 --> 01:06:23,346 アメリカを代表する 英雄になっていたのです。 732 01:06:28,017 --> 01:06:33,723 チャールズ・A・リンドバーグ。 (拍手と歓声) 733 01:06:56,646 --> 01:06:58,982 リンドバーグの演説の内容は➡ 734 01:06:58,982 --> 01:07:02,986 自らの偉業を誇る事なく 控えめでした。 735 01:07:18,668 --> 01:07:24,007 (拍手) 736 01:07:24,007 --> 01:07:33,016 (拍手と歓声) 737 01:07:33,016 --> 01:07:36,686 ♬~ 738 01:07:36,686 --> 01:07:41,557 ニューヨークの5番街に降り注いだ リンドバーグをたたえる紙吹雪は➡ 739 01:07:41,557 --> 01:07:45,361 マッチ1本で マンハッタンが火事になると 言われたほどの➡ 740 01:07:45,361 --> 01:07:49,032 前例のないものでした。 741 01:07:49,032 --> 01:07:53,636 彼が大衆のスーパーヒーローとなったのは その偉業に加え➡ 742 01:07:53,636 --> 01:07:58,975 自らを宣伝する事のない 万事控えめな態度にありました。 743 01:07:58,975 --> 01:08:01,311 この事が 大衆の心に➡ 744 01:08:01,311 --> 01:08:06,983 一陣のすがすがしい風を 送り込んだのです。 745 01:08:06,983 --> 01:08:12,655 「数年にわたって アメリカ国民は 精神的飢餓状態にあった。➡ 746 01:08:12,655 --> 01:08:17,327 彼らは 次から次へと 以前の理想や幻想 希望が➡ 747 01:08:17,327 --> 01:08:20,229 壊されていく事に 気付きつつあった。➡ 748 01:08:20,229 --> 01:08:25,001 宗教の土台を崩し その感傷的な考えを嘲る➡ 749 01:08:25,001 --> 01:08:27,904 科学の教義と心理学説によって。➡ 750 01:08:27,904 --> 01:08:32,875 そして 猥雑と殺人とで 食っている新聞の傾向によって➡ 751 01:08:32,875 --> 01:08:35,345 壊されていくのだ。➡ 752 01:08:35,345 --> 01:08:38,681 人々の リンドバーグに対する気持ちが➡ 753 01:08:38,681 --> 01:08:43,353 巨大な宗教が復活したかのような 様相を呈した事に➡ 754 01:08:43,353 --> 01:08:46,255 何の不思議があろうか」。 755 01:08:46,255 --> 01:08:51,160 ♬~ 756 01:08:51,160 --> 01:08:55,298 当時 31歳になっていた 作家のフィッツジェラルドは➡ 757 01:08:55,298 --> 01:09:00,636 複雑な感情を こう表現しています。 758 01:09:00,636 --> 01:09:04,507 「何か 光り輝く異様なものが 空をよぎった。➡ 759 01:09:04,507 --> 01:09:09,645 同世代の人々とは 何も 共通点を持たないかに見えた➡ 760 01:09:09,645 --> 01:09:15,318 一人のミネソタ出身の若者が 英雄的行為を成し遂げた。➡ 761 01:09:15,318 --> 01:09:19,188 しばらくの間 人々は カントリー・クラブで もぐり酒場で➡ 762 01:09:19,188 --> 01:09:24,327 グラスを下に置き 最良の夢に思いをはせた。➡ 763 01:09:24,327 --> 01:09:28,664 そうか! 空を飛べば 抜け出せたのか。➡ 764 01:09:28,664 --> 01:09:33,536 我々の定まる事を知らない血は 果てしない大空になら➡ 765 01:09:33,536 --> 01:09:37,340 フロンティアを見つけられたかも しれなかったのだ。➡ 766 01:09:37,340 --> 01:09:42,011 しかし 我々は もう 引き返せなくなっていた。➡ 767 01:09:42,011 --> 01:09:49,685 『ジャズ・エイジ』は続いていた。 我々は また グラスを上げるのだった」。 768 01:09:49,685 --> 01:10:01,030 ♬~ 769 01:10:01,030 --> 01:10:08,371 20年代最後の年 1929年を迎えても 好景気は続いていました。 770 01:10:08,371 --> 01:10:10,707 「ニューヨーク・タイムズ」は 年頭に➡ 771 01:10:10,707 --> 01:10:14,577 「もし 過去をもって 将来を はかる方法があるとすれば➡ 772 01:10:14,577 --> 01:10:19,382 この新年は 慶賀と希望に満ちた 年となるであろう」と➡ 773 01:10:19,382 --> 01:10:22,051 社説を掲げています。 774 01:10:22,051 --> 01:10:24,954 ♬~ 775 01:10:24,954 --> 01:10:28,391 人々は 堅実な貯蓄には 見向きもせず➡ 776 01:10:28,391 --> 01:10:31,727 株を買い続けていました。 777 01:10:31,727 --> 01:10:34,063 ♬~ 778 01:10:34,063 --> 01:10:38,401 9月3日。 株価は史上最高値を記録します。 779 01:10:38,401 --> 01:10:43,272 ところが そのあとは小さな下落を 繰り返すようになります。 780 01:10:43,272 --> 01:10:45,274 しかし 人々は➡ 781 01:10:45,274 --> 01:10:50,980 好景気に支えられた強気相場は 永久に続くと信じていました。 782 01:10:50,980 --> 01:10:54,684 いわゆる バブル経済の崩壊を 予見する事など➡ 783 01:10:54,684 --> 01:10:57,386 不可能な事だったのです。 784 01:11:08,698 --> 01:11:15,571 1929年 10月24日。 株価は 突然に大暴落しました。 785 01:11:15,571 --> 01:11:20,309 5日後 それを上回る 株価の総崩れが起きたのです。 786 01:11:20,309 --> 01:11:23,713 恐慌の始まりでした。 787 01:11:23,713 --> 01:11:32,388 ♬~ 788 01:11:32,388 --> 01:11:37,727 10月30日。 取り付け騒ぎで 大混乱するウォール街です。 789 01:11:37,727 --> 01:11:41,397 新興国家 アメリカが ついに破綻した事を➡ 790 01:11:41,397 --> 01:11:46,068 世界に伝える映像となりました。 791 01:11:46,068 --> 01:11:57,013 ♬~ 792 01:11:57,013 --> 01:12:00,883 繁栄の極みから 奈落の底へ。 793 01:12:00,883 --> 01:12:06,355 この現代社会のルーツともいえる アメリカの1920年代は➡ 794 01:12:06,355 --> 01:12:11,227 大恐慌の始まりで 幕を閉じます。 795 01:12:11,227 --> 01:12:18,935 ♬~ 796 01:12:18,935 --> 01:12:23,706 アメリカから始まった恐慌は 第一次世界大戦の痛手から➡ 797 01:12:23,706 --> 01:12:27,376 ようやく 復興の兆しを見せ始めた世界に➡ 798 01:12:27,376 --> 01:12:31,047 瞬く間に広がっていきます。 799 01:12:31,047 --> 01:12:33,950 世界は 恐慌から 抜け出ようとしながら➡ 800 01:12:33,950 --> 01:12:41,390 やがて ファシズムが台頭する時代に 向かっていくのです。 801 01:12:41,390 --> 01:13:44,687 ♬~