1 00:00:27,495 --> 00:00:30,000 (蘭菜)「海から店を引き継いだ 直後の岳は」 2 00:00:30,000 --> 00:00:33,000 「あっという間に成功を収めた」 3 00:00:33,000 --> 00:00:36,660 「でも 私たちは疲れ切っていた」 4 00:00:36,660 --> 00:00:40,000 「この一年 岳をどれだけ支えようとしても」 5 00:00:40,000 --> 00:00:42,000 「意味はなかった」 6 00:00:42,000 --> 00:00:44,660 「あの時の コースターにあった言葉」 7 00:00:44,660 --> 00:00:47,330 「岳は その言葉どおりの道を」 8 00:00:47,330 --> 00:00:49,495 「突き進んでいった」 9 00:01:02,000 --> 00:01:04,825 (岳)作り直してください (蘭菜)えっ? 10 00:01:04,825 --> 00:01:07,000 味が違います すぐに 11 00:01:07,000 --> 00:01:09,000 味が違うって 味見もしてないのに… 12 00:01:09,000 --> 00:01:11,660 見えないんですか? 13 00:01:11,660 --> 00:01:13,660 見えるでしょ 14 00:01:14,660 --> 00:01:16,660 ほら… ほら! 15 00:01:18,000 --> 00:01:20,165 どうして見えないんだよ! 16 00:01:20,165 --> 00:01:22,330 (蘭菜)「見えない 調和が取れてない」 17 00:01:22,330 --> 00:01:24,330 「日を追うごとに岳の指示は」 18 00:01:24,330 --> 00:01:27,000 「どんどん感覚的になっていった」 19 00:01:27,000 --> 00:01:29,165 もう 限界 20 00:01:35,000 --> 00:01:37,825 北田岳から 21 00:01:37,825 --> 00:01:40,000 この店を取り戻すしかない 22 00:01:40,000 --> 00:01:42,000 (布袋)岳から店を取り戻す? 23 00:01:42,000 --> 00:01:44,000 (蘭菜)一年前の あの時は→ 24 00:01:44,000 --> 00:01:46,660 岳があんなふうになるなんて 思わなかった 違う? 25 00:01:46,660 --> 00:01:50,825 (布袋)俺たちが 岳を選んだんだ 26 00:01:50,825 --> 00:01:54,165 岳が ああなった責任は 俺たちにもある 27 00:01:56,165 --> 00:01:58,165 「ああなった」 28 00:02:04,825 --> 00:02:07,330 ディナーが始まります 29 00:02:08,660 --> 00:02:10,660 皆さん 準備を 30 00:02:26,000 --> 00:02:29,000 僕に不満があるなら 辞めればいい 31 00:02:29,000 --> 00:02:31,330 ホントに それでいいの? 32 00:02:31,330 --> 00:02:34,330 だって 見えないんでしょ? 33 00:02:36,660 --> 00:02:39,000 僕と あの人のところまで 34 00:02:39,000 --> 00:02:41,495 あなたたちは のぼってこれない どうして… 35 00:02:43,660 --> 00:02:46,330 目の前に 36 00:02:46,330 --> 00:02:48,495 扉があるんです 37 00:02:50,330 --> 00:02:55,000 もうすぐ 開くはずなんだ 38 00:02:55,000 --> 00:02:57,000 (蘭菜)「そして岳のほうも」 39 00:02:57,000 --> 00:02:59,330 「感覚が理解できない 私たちのことを」 40 00:02:59,330 --> 00:03:02,330 「諦めているようだった」 41 00:03:02,330 --> 00:03:05,660 「私は… 私たちは」 42 00:03:05,660 --> 00:03:08,330 「それが一番 悔しかった」 43 00:03:13,330 --> 00:03:16,825 それを突き詰めると 何が見えるの? 44 00:03:16,825 --> 00:03:21,000 今のあなたには 何が見えてるの? 45 00:03:21,000 --> 00:03:25,330 言っても分からないでしょう 何の用ですか? 46 00:03:27,495 --> 00:03:29,660 もう私は来ない 47 00:03:33,825 --> 00:03:35,825 どうぞ 48 00:03:43,495 --> 00:03:47,000 「私はただ あなたを探そうと思った」 49 00:03:47,000 --> 00:03:50,165 「店を救うには あなたが帰ってくるしかない」 50 00:03:55,000 --> 00:03:59,330 「海 このメールを読んだら 連絡が欲しい」 51 00:04:03,165 --> 00:04:05,330 「その夜の出来事については」 52 00:04:05,330 --> 00:04:08,330 「仲間たちから聞いたことが全て」 53 00:04:11,165 --> 00:04:13,165 お席 こちらのほうになります 54 00:04:13,165 --> 00:04:15,165 (男性客)すいません (アネット)はい 55 00:04:16,825 --> 00:04:19,165 (孫六)王さん お願いします (王)OK 56 00:04:24,165 --> 00:04:26,330 蘭菜は どうした? 57 00:04:30,000 --> 00:04:32,495 本日のお客様の アレルギー情報です 58 00:04:32,495 --> 00:04:36,000 9番テーブル 中山様 ナッツのアレルギーがございます 59 00:04:36,000 --> 00:04:38,000 お願いします 60 00:04:38,000 --> 00:04:40,330 アレルギー情報だ 61 00:04:40,330 --> 00:04:43,330 メインの鴨肉の付け合わせのピューレに ヘーゼルナッツが入ってる 62 00:04:43,330 --> 00:04:46,000 パプリカに変更するか? 63 00:04:46,000 --> 00:04:49,330 菊芋でお願いします そのほうが調和がとれる 64 00:04:49,330 --> 00:04:51,330 分かった (ダビド)NO NO NO NO NO! 65 00:04:51,330 --> 00:04:53,330 菊芋 在庫ないでしょう 66 00:04:53,330 --> 00:04:55,330 発注は? 67 00:04:55,330 --> 00:04:58,330 (孫六)菊芋は日ごろ 使わないんだから発注なんて… 68 00:04:59,660 --> 00:05:02,000 待ってください 69 00:05:13,000 --> 00:05:15,330 きたー 70 00:05:16,330 --> 00:05:19,165 本日のメイン 変更します 乳飲み仔豚に合わせて 71 00:05:19,165 --> 00:05:21,165 菊芋のピューレを作ります 72 00:05:21,165 --> 00:05:23,165 今まで作ったことないでしょう 73 00:05:23,165 --> 00:05:25,165 ないから意味があるんです 74 00:05:25,165 --> 00:05:28,000 これでまた一歩 料理の真理に近づける 75 00:05:28,000 --> 00:05:31,660 (王)どうやって作るんです レシピは これから考えます 76 00:05:37,000 --> 00:05:39,330 分かった ちょっと時間をください 77 00:05:39,330 --> 00:05:41,825 メインは全員分 変更します (ジャン)全員!? 78 00:05:41,825 --> 00:05:44,660 アレルギー以外のお客様も? 全員です 79 00:05:46,660 --> 00:05:48,825 菊芋 買ってきます 80 00:05:48,825 --> 00:05:50,825 前菜の仕上げは誰がやる? 81 00:05:50,825 --> 00:05:52,825 もちろん 僕がやります 82 00:05:52,825 --> 00:05:54,825 メインのレシピが完成してから 83 00:05:54,825 --> 00:05:57,330 前菜には取りかかります 84 00:06:00,825 --> 00:06:03,000 岳 85 00:06:03,000 --> 00:06:05,660 なあ 分かるだろ 86 00:06:05,660 --> 00:06:09,165 満席のお客様が待ってるんだ すぐに前菜を出すべきだろ 87 00:06:09,165 --> 00:06:12,000 何言ってるんですか 前菜は 88 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 メインの逆算で 考えるべきでしょう 89 00:06:16,660 --> 00:06:18,660 「岳が 度が過ぎるほどに」 90 00:06:18,660 --> 00:06:21,330 「自分を追い詰めるようになった きっかけは」 91 00:06:21,330 --> 00:06:25,165 「岳が店を受け継いで 初めてのミシュラン」 92 00:06:27,825 --> 00:06:30,660 「一つ星だった」 93 00:06:30,660 --> 00:06:34,330 「確かに海がいた時と比べて 星は一つ減ったけど」 94 00:06:34,330 --> 00:06:37,000 「岳の若さでは とんでもない快挙だったし」 95 00:06:37,000 --> 00:06:39,495 「私たちも誇らしかった」 96 00:06:40,660 --> 00:06:44,825 「でも 岳は違った」 97 00:06:46,000 --> 00:06:48,000 「海が作り上げたものを」 98 00:06:48,000 --> 00:06:51,000 「壊した感覚に なったのかもしれない」 99 00:06:51,000 --> 00:06:53,825 戻りました おう 100 00:07:14,000 --> 00:07:16,660 「ただ誤解してほしくないのは」 101 00:07:16,660 --> 00:07:19,000 「私たちは 一度たりとも」 102 00:07:19,000 --> 00:07:22,330 「岳の能力に疑問を抱いたことは ないってこと」 103 00:07:23,330 --> 00:07:27,495 「むしろ 「K」の料理は さらなる高みに到達した」 104 00:07:28,660 --> 00:07:31,000 「でも…」 105 00:07:38,825 --> 00:07:41,165 それじゃあ メインから逆算して 前菜を考えます 106 00:07:41,165 --> 00:07:43,825 今から? 今からです 107 00:07:43,825 --> 00:07:45,825 スープも 魚料理も考えます 108 00:07:47,330 --> 00:07:51,165 すぐにアイデアを出しますから ダメだ せめて前菜は出す 109 00:07:51,165 --> 00:07:54,330 待ってください 待ってるのは お客様だ 110 00:07:55,330 --> 00:07:58,000 3番テーブルのお客様から クレームです 111 00:07:58,000 --> 00:08:01,000 (麗子)4番テーブルと6番テーブルもです (鳥越)9番テーブルもです 112 00:08:01,000 --> 00:08:03,000 布袋さん 113 00:08:03,000 --> 00:08:06,660 みんな まず前菜仕上げるぞ ウイ! 114 00:08:07,660 --> 00:08:10,495 (孫六)すぐいけます 準備します (布袋)頼んだ 115 00:08:20,330 --> 00:08:23,825 何してるんですか 全員 手を止めてください 116 00:08:23,825 --> 00:08:26,660 俺たちがつなぐから 岳は レシピを考えることに集中しろ 117 00:08:26,660 --> 00:08:29,330 それでいいだろ よくない 全然よくない 118 00:08:29,330 --> 00:08:31,330 岳 119 00:08:31,330 --> 00:08:35,000 僕の店に来る人間は 最高の料理を待ってるんだ 120 00:08:35,000 --> 00:08:39,000 圧倒的で 完璧な フルコースを待ってるんだ 121 00:08:42,825 --> 00:08:45,000 こんなもの出せるわけない! 122 00:08:47,000 --> 00:08:49,660 たった今 たどりついた メイン料理と調和する 123 00:08:49,660 --> 00:08:53,495 前菜 スープ 魚料理を出さなきゃ 意味がない 124 00:08:53,495 --> 00:08:56,825 この先に もっと何かある 125 00:09:03,330 --> 00:09:07,165 真理の扉が今 126 00:09:07,165 --> 00:09:09,330 開きそうなんです 127 00:09:13,495 --> 00:09:16,660 なら一緒に考えよう 全員でアイデアを出したほうが→ 128 00:09:16,660 --> 00:09:18,825 時間を短縮できる 129 00:09:21,825 --> 00:09:25,660 一緒に? 言葉にして説明しろ 一緒に考える 130 00:09:25,660 --> 00:09:29,825 説明しろって それこそ 時間の無駄じゃないですか 131 00:09:30,825 --> 00:09:34,330 だって皆さんには 見えないんでしょ? 132 00:09:36,165 --> 00:09:39,825 それでも 説明してくれないと 133 00:09:47,825 --> 00:09:51,660 岳 この状況 初めてじゃないよな 134 00:09:51,660 --> 00:09:53,660 この一年で何度目だ 135 00:09:53,660 --> 00:09:56,000 そのたびに俺た… 僕はずっと 136 00:09:56,000 --> 00:09:59,165 当然のことをしてるだけですよ 137 00:09:59,165 --> 00:10:01,165 最高の さらにその先 138 00:10:01,165 --> 00:10:03,165 もっと上 もっと上 139 00:10:03,165 --> 00:10:06,330 もっと高いところにあるレシピを 考え続ける 140 00:10:06,330 --> 00:10:10,495 それが 本物のシェフでしょ? 141 00:10:12,330 --> 00:10:14,660 それでも客商売なんだよ 142 00:10:14,660 --> 00:10:16,660 料理を出さなきゃ何にもならない 143 00:10:16,660 --> 00:10:19,000 じゃあ その出す料理が 144 00:10:19,000 --> 00:10:21,000 完璧じゃなくてどうするんだ 145 00:10:21,000 --> 00:10:24,495 何言ってんだよ 俺たちが今 出そうとしてんのは 146 00:10:24,495 --> 00:10:26,660 これまでだって出してきた料理… うるせえ! 147 00:10:35,825 --> 00:10:39,825 海さんなら 分かってくれたんだけどな 148 00:10:54,825 --> 00:10:56,825 どうして泣くんだよ 149 00:10:59,825 --> 00:11:03,000 俺たちのこと何だと思ってんだ 150 00:11:03,000 --> 00:11:06,495 俺たちのこと 勝手に諦めて 俺たちのこと 無視して 151 00:11:11,660 --> 00:11:14,330 それが なりたかったお前なのか? 152 00:11:15,330 --> 00:11:19,660 特に布袋さんは 最後までお前のこと守ろうとした 153 00:11:25,165 --> 00:11:27,825 それは分かるだろ? 154 00:11:34,000 --> 00:11:36,660 分かんないのかよ 155 00:11:42,165 --> 00:11:46,825 みんな 付き合わせて悪かった 156 00:11:46,825 --> 00:11:48,825 もう終わりにしよう 157 00:11:50,495 --> 00:11:54,330 岳 俺たちは出ていく 158 00:12:05,330 --> 00:12:07,330 信じてた 159 00:12:11,330 --> 00:12:14,660 仕事中に出ていく? 160 00:12:14,660 --> 00:12:16,825 何で… 161 00:12:18,165 --> 00:12:21,000 仕事 続けましょう 162 00:12:34,330 --> 00:12:37,660 <僕は フェルマーになりたかった> 163 00:12:37,660 --> 00:12:40,330 <広瀬くんや海さんのような> 164 00:12:40,330 --> 00:12:43,330 <孤高を究める人間に なりたかった> 165 00:12:43,330 --> 00:12:46,330 <そして今 僕はまさに> 166 00:12:46,330 --> 00:12:48,330 <それになった> 167 00:12:56,660 --> 00:12:58,660 <…はずだった> 168 00:13:25,000 --> 00:13:30,165 まもなく前菜ができます (寧々)もう 必要ありませんよ 169 00:13:41,495 --> 00:13:45,660 アペリティフを提供してから 1時間以上が経過していました 170 00:13:45,660 --> 00:13:47,660 大変 不本意ですが 171 00:13:47,660 --> 00:13:51,000 お客様には帰っていただくしか ありませんでした 172 00:14:02,495 --> 00:14:06,495 最後まで頑張ってくれて ありがとう 173 00:14:17,660 --> 00:14:21,000 今夜の一件で 174 00:14:21,000 --> 00:14:24,330 店の評判は地に落ちると思います 175 00:14:24,330 --> 00:14:28,330 みんなは? 恐らく明日以降 出勤はないかと 176 00:14:28,330 --> 00:14:30,495 店の営業継続は困難です 177 00:14:30,495 --> 00:14:32,495 潰れるってことですか? 178 00:14:32,495 --> 00:14:35,825 法務上 岳くんが負債を背負うような 179 00:14:35,825 --> 00:14:38,165 事態にはならないので ご安心ください 180 00:14:42,495 --> 00:14:44,660 あれ… 181 00:14:45,660 --> 00:14:47,825 おかしいな 182 00:14:48,825 --> 00:14:51,495 これじゃあ 183 00:14:51,495 --> 00:14:55,825 僕が望んでた結果と 真逆じゃないか 184 00:14:55,825 --> 00:14:59,660 僕はただ 強い人間になって 185 00:14:59,660 --> 00:15:05,000 みんなを 守りたかっただけなのに 186 00:15:05,000 --> 00:15:07,165 挫折なんて二度としない 187 00:15:07,165 --> 00:15:09,660 圧倒的な強さを持つ人間になって 188 00:15:09,660 --> 00:15:11,660 みんなの道しるべとなって 189 00:15:11,660 --> 00:15:15,660 海さんが残したこの店と みんなを 190 00:15:15,660 --> 00:15:17,660 守りたくて 191 00:15:17,660 --> 00:15:22,000 その気持ち 192 00:15:22,000 --> 00:15:24,660 皆様にお伝えすればよかった 193 00:15:25,825 --> 00:15:29,825 私は 自ら望んで孤独になった海様が 194 00:15:29,825 --> 00:15:32,000 岳くんと出会って→ 195 00:15:32,000 --> 00:15:35,330 変化しつつあることが 嬉しかったんです→ 196 00:15:35,330 --> 00:15:38,825 海様と 岳くん 二人が歩んでいく未来を→ 197 00:15:38,825 --> 00:15:42,495 ずっと ずっと 見ていたかった 198 00:15:42,495 --> 00:15:48,000 ですから 海様が 岳くんの前から姿を消した時 199 00:15:48,000 --> 00:15:50,660 すごく悩みました 200 00:15:50,660 --> 00:15:55,330 《岳くんに何も言わなくて 本当にいいんですか?》 201 00:15:55,330 --> 00:15:59,165 《(海)あいつは一人でやれる》 202 00:15:59,165 --> 00:16:01,330 《やるべきだ》 203 00:16:02,825 --> 00:16:08,660 《私は 病気の海様を 放ってはおけないと》 204 00:16:08,660 --> 00:16:11,165 《ずっと思っていました》 205 00:16:11,165 --> 00:16:15,330 《でも 心がザワザワするんです→》 206 00:16:15,330 --> 00:16:21,000 《岳くんや「K」の皆さんを 置いていくのが正しいのか》 207 00:16:24,660 --> 00:16:26,660 《俺は一人で行く》 208 00:16:26,660 --> 00:16:30,000 《寧々が「K」に残ってくれたら》 209 00:16:30,000 --> 00:16:32,000 《俺も嬉しいよ》 210 00:16:32,000 --> 00:16:35,165 それで戻ってきたんです 211 00:16:35,165 --> 00:16:38,330 海様は 「K」が存続していれば 212 00:16:38,330 --> 00:16:40,330 いつか戻ってくるのではないか 213 00:16:40,330 --> 00:16:44,000 そんな夢を抱いておりました 214 00:16:44,000 --> 00:16:48,165 岳くんに希望を託したんです 215 00:16:48,165 --> 00:16:52,825 でも 現実は 望んだ未来にはならなかった 216 00:16:52,825 --> 00:16:58,165 お力になれず 申し訳ございませんでした 217 00:17:24,660 --> 00:17:28,165 開いた… 218 00:17:28,165 --> 00:17:32,825 ついに… ついに開いた 219 00:17:32,825 --> 00:17:36,825 海さん みんな 扉が開きましたよ 220 00:18:06,660 --> 00:18:10,330 はあ… 221 00:18:10,330 --> 00:18:24,330 (バイブレーター着信) 222 00:18:26,825 --> 00:18:30,000 もしもし (亜由)北田? 223 00:18:30,000 --> 00:18:33,495 魚見さん 久しぶり 224 00:18:33,495 --> 00:18:36,000 ☎うん 久しぶり 225 00:18:36,000 --> 00:18:39,000 どう? 元気? 頑張ってる? 226 00:18:39,000 --> 00:18:43,660 私は元気だし オーストラリアで 一人で頑張ってるよ 227 00:18:43,660 --> 00:18:46,825 そっか よかった 228 00:18:46,825 --> 00:18:49,165 私の身代わり 元気? 229 00:18:53,330 --> 00:18:55,330 《(亜由)どんなに忙しくても→》 230 00:18:55,330 --> 00:18:58,660 《サボテンは 育てることできるらしいからさ》 231 00:18:58,660 --> 00:19:02,000 《やるよ クリスマスプレゼント》 232 00:19:02,000 --> 00:19:05,000 ごめん ☎はあ? 233 00:19:05,000 --> 00:19:07,000 枯らしちゃった 234 00:19:07,000 --> 00:19:09,660 おーい マジかよ 水やんなかったの? 235 00:19:09,660 --> 00:19:14,330 毎日やってるよ 毎日? やりすぎだよ 236 00:19:14,330 --> 00:19:16,330 そうだったんだ 237 00:19:17,330 --> 00:19:21,000 忙しくても ちゃんと水あげてくれたんだな 238 00:19:21,000 --> 00:19:24,495 うん 大事にしたかったから 239 00:19:24,495 --> 00:19:26,660 でも やりすぎた 240 00:19:26,660 --> 00:19:28,825 何か 北田っぽい 241 00:19:30,165 --> 00:19:32,495 店はどう? 順調? 242 00:19:37,495 --> 00:19:39,825 ☎北田? 243 00:19:44,330 --> 00:19:48,000 ごめんな 近くにいたら 244 00:19:48,000 --> 00:19:51,000 その都度 話を聞いてやることも できたんだけど 245 00:19:51,000 --> 00:19:55,165 いいよ サボテン枯らしちゃったのに 246 00:19:55,165 --> 00:19:58,000 どんな顔して魚見さんに 会ったらいいか分からないし 247 00:20:00,000 --> 00:20:02,330 魚見さんにも 248 00:20:04,000 --> 00:20:06,495 「K」のみんなにも 249 00:20:09,000 --> 00:20:12,165 海さんにも 250 00:20:12,165 --> 00:20:14,165 合わす顔がない 251 00:20:15,165 --> 00:20:19,330 どこにいるか分かったわけ? 252 00:20:19,330 --> 00:20:21,660 分からないよ 253 00:20:22,660 --> 00:20:27,330 分かったところで 会えっこない 254 00:20:27,330 --> 00:20:31,825 ☎店をあんな状態にして 会えないよ 255 00:20:37,660 --> 00:20:42,825 海さんは 僕に何をさせたかったのかな 256 00:20:45,000 --> 00:20:47,330 北田 257 00:20:47,330 --> 00:20:51,330 私さ 今 毎日楽しいんだ 258 00:20:52,330 --> 00:20:55,330 ☎慣れない環境で大変だけど 259 00:20:55,330 --> 00:20:57,660 私は水泳が好きだから 260 00:20:57,660 --> 00:21:00,330 毎日楽しい 261 00:21:00,330 --> 00:21:04,330 それは みんな北田のおかげ 262 00:21:04,330 --> 00:21:08,330 ☎私は北田みたいになりたくて 北田に背中を押された 263 00:21:10,000 --> 00:21:12,330 北田は? 264 00:21:12,330 --> 00:21:14,660 料理 好き? 265 00:21:16,000 --> 00:21:18,330 ☎料理 楽しい? 266 00:21:20,660 --> 00:21:23,330 (着信が入る) 267 00:21:25,825 --> 00:21:28,660 ごめん 電話かかってきた 268 00:21:28,660 --> 00:21:30,660 北田 269 00:21:30,660 --> 00:21:33,000 うん? 270 00:21:33,000 --> 00:21:36,000 北田は私のヒーローだから 271 00:21:37,495 --> 00:21:39,660 じゃあ またな~ 272 00:21:47,660 --> 00:21:49,660 はい 273 00:21:51,000 --> 00:21:54,495 えっ… 事故!? 274 00:22:03,660 --> 00:22:06,165 父さん (勲)おう 岳 275 00:22:06,165 --> 00:22:08,660 あれ 息子さんですか? ええ 276 00:22:08,660 --> 00:22:11,660 有名な店でシェフやってるんですよ へえ~ 277 00:22:11,660 --> 00:22:15,165 カッコいいでしょ? 俺に似て あははははっ 278 00:22:15,165 --> 00:22:17,660 じゃあ 何かあれば呼んでくださいね 279 00:22:17,660 --> 00:22:19,660 スルーだよ 280 00:22:19,660 --> 00:22:22,330 そんなこと言ってる場合じゃ ないでしょう 281 00:22:22,330 --> 00:22:25,825 大丈夫なの? いや父さんもビックリだよ 282 00:22:25,825 --> 00:22:29,165 大げさに見えるけど軽傷だってよ そっか 283 00:22:29,165 --> 00:22:34,330 いやでも 一歩間違ったら 危なかったな~ 284 00:22:34,330 --> 00:22:37,330 縁起でもないこと言わないでよ 285 00:22:38,330 --> 00:22:42,660 これ お守り 286 00:22:42,660 --> 00:22:45,660 神様に守られちまったよ 287 00:22:48,165 --> 00:22:51,330 (勲)うちには まだまだあるんだけどな→ 288 00:22:51,330 --> 00:22:55,660 岳に渡すタイミングがなくてな 289 00:22:55,660 --> 00:22:57,660 岳が東京出てからも 290 00:22:57,660 --> 00:23:02,000 散歩がてらに 毎日神社に行って神頼みだ 291 00:23:02,000 --> 00:23:05,825 岳頑張れ 岳頑張れ 292 00:23:05,825 --> 00:23:08,660 岳頑張れって 293 00:23:13,330 --> 00:23:16,660 それなのに ごめんね 294 00:23:16,660 --> 00:23:18,825 うん 295 00:23:20,000 --> 00:23:23,495 自分の好きを究めてこいって 言ってくれたのに 296 00:23:24,495 --> 00:23:26,495 できなかった 297 00:23:32,825 --> 00:23:36,000 何があったか 聞かないの? 298 00:23:36,000 --> 00:23:38,000 言わないでいい 299 00:23:38,000 --> 00:23:42,825 何を言われたところで こうすることには変わりない 300 00:23:44,825 --> 00:23:46,825 ありがとう 301 00:23:52,000 --> 00:23:58,330 僕は フェルマーとか 広瀬くんとか海さんとか 302 00:23:58,330 --> 00:24:02,000 圧倒的な孤独の中に 自分を追い込んで 303 00:24:02,000 --> 00:24:05,165 真理を求める人間になりたかった 304 00:24:05,165 --> 00:24:07,330 どんなことがあっても 挫折なんてしない 305 00:24:07,330 --> 00:24:10,000 強い人間になりたかった 306 00:24:11,330 --> 00:24:15,495 でも僕は なれなかったよ 307 00:24:19,000 --> 00:24:22,330 確かに 岳の言うとおり 308 00:24:22,330 --> 00:24:25,825 孤独の中で答えを 見いだそうとする人間ってのは 309 00:24:25,825 --> 00:24:29,000 ホントに強いんだろうな 310 00:24:30,660 --> 00:24:35,000 でもな 違うぞ 岳 311 00:24:35,000 --> 00:24:38,660 お前の強さは そうじゃない 312 00:24:38,660 --> 00:24:43,330 お前はいつだって 好きなことに熱中して→ 313 00:24:43,330 --> 00:24:47,000 その楽しんでる姿を見た 友だちが→ 314 00:24:47,000 --> 00:24:49,000 仲間が→ 315 00:24:49,000 --> 00:24:52,000 いつの間にか集まってきて 316 00:24:52,000 --> 00:24:56,000 そしたらお前は その人たちを巻き込んで 317 00:24:56,000 --> 00:24:58,660 どんどん大きな力にして 318 00:24:59,660 --> 00:25:02,000 それが岳の強さだ 319 00:25:03,825 --> 00:25:07,165 そんなお前に 憧れた人間もいるはずだ 320 00:25:08,660 --> 00:25:11,825 (勲)とっくに強かったんだよ 321 00:25:13,330 --> 00:25:16,660 誰にも なる必要なんてない 322 00:25:16,660 --> 00:25:19,000 お前はお前だ 323 00:25:19,000 --> 00:25:22,000 お前だけの強さがあるんだよ 324 00:25:22,000 --> 00:25:26,000 ありのままのお前を 仲間は信じて→ 325 00:25:26,000 --> 00:25:28,330 支えてくれようとしてたんだろ? 326 00:25:30,330 --> 00:25:32,330 うん 327 00:25:37,000 --> 00:25:40,660 ありのままの僕でいれば よかったのに 328 00:25:41,660 --> 00:25:45,495 僕は… 何てことを 329 00:25:48,165 --> 00:25:51,660 信じてくれた仲間を 330 00:25:51,660 --> 00:25:54,000 僕は 331 00:25:55,660 --> 00:25:58,330 取り返しのつかないことを 332 00:25:58,330 --> 00:26:01,165 僕は… 333 00:26:02,660 --> 00:26:07,330 だったら もう一回 立ち上がればいいじゃないか 334 00:26:07,330 --> 00:26:11,165 挫折ができるのも 人生の素晴らしさだ 335 00:26:11,165 --> 00:26:13,660 何度だってやり直せる 336 00:26:13,660 --> 00:26:15,660 取り返せる 337 00:26:20,660 --> 00:26:24,000 岳 頑張れー 338 00:26:24,000 --> 00:26:26,000 頑張れ! 339 00:26:27,000 --> 00:26:29,000 うん 340 00:26:30,825 --> 00:26:34,660 何だよ こんなつっぱった髪して 341 00:26:56,825 --> 00:27:01,495 《その言葉に打ち勝つ人間だけが 真理にたどりつける》 342 00:27:01,495 --> 00:27:03,825 《俺は そう信じてる》 343 00:27:09,000 --> 00:27:12,495 《俺は これからも神に挑み続けたい》 344 00:27:12,495 --> 00:27:14,495 《お前と一緒に》 345 00:27:17,825 --> 00:27:20,495 《二人は戦うことをやめた》 346 00:27:20,495 --> 00:27:22,495 《お前はどうするんだ》 347 00:27:25,660 --> 00:27:29,330 《プロになれ 岳》 348 00:27:33,000 --> 00:27:35,000 《分かるように話せ》 349 00:27:36,660 --> 00:27:40,000 《分かるように説明しろ 分かるように話せ》 350 00:27:40,000 --> 00:27:43,495 《岳 分かるように話せ》 351 00:27:46,330 --> 00:27:49,660 《俺は料理の歴史を 分断するつもりだ》 352 00:27:49,660 --> 00:27:53,000 《俺以前と 俺以後で》 353 00:27:53,000 --> 00:27:56,000 《そのためにお前が必要なんだ》 354 00:28:01,330 --> 00:28:05,495 《楽しかったんだろ? なぜ素直に そう言わない》 355 00:28:08,330 --> 00:28:10,330 《お前は主人公だ》 356 00:28:10,330 --> 00:28:12,825 《物語はまだ続く》 357 00:28:12,825 --> 00:28:14,825 《料理人になるんだ》 358 00:28:14,825 --> 00:28:18,000 《俺とお前が組めば 誰も到達しない》 359 00:28:18,000 --> 00:28:20,660 《料理の真理に必ずたどりつく》 360 00:28:22,495 --> 00:28:26,000 <海さんは 何も言わずに 去ったわけじゃない> 361 00:28:26,000 --> 00:28:28,330 <僕に何をさせたかったのか> 362 00:28:30,330 --> 00:28:33,495 <その答えは とっくにもらっていた> 363 00:28:34,495 --> 00:28:37,825 <ずっと 僕の中にあったんだ> 364 00:29:02,000 --> 00:29:04,495 (淡島)ついに来たか 365 00:29:04,495 --> 00:29:08,660 ご無沙汰してます 色々と噂は耳に入っているが 366 00:29:08,660 --> 00:29:10,660 大丈夫か? 367 00:29:13,000 --> 00:29:16,660 海さんの居場所を教えてください 368 00:29:59,165 --> 00:30:01,330 えっ… 369 00:30:05,660 --> 00:30:08,330 覚えてますか? 僕のこと 370 00:30:11,330 --> 00:30:14,660 (渋谷)野生のイノシシと ここで丁寧に育てた 371 00:30:14,660 --> 00:30:17,330 最高の食材だけで作った 372 00:30:17,330 --> 00:30:19,330 イノシシのシヴェだ 373 00:30:23,330 --> 00:30:26,495 どうした? 374 00:30:26,495 --> 00:30:30,495 料理を食べに来たわけじゃ ないんです 375 00:30:30,495 --> 00:30:34,000 知ってますよね? 海さんの居場所 376 00:30:36,000 --> 00:30:38,495 海さんはどこですか? 377 00:30:41,330 --> 00:30:44,165 料理は好きか? 378 00:30:44,165 --> 00:30:46,330 はい 379 00:30:46,330 --> 00:30:49,330 もう一度 料理が好き 380 00:30:49,330 --> 00:30:52,825 そこから始めたいと思って ここに来ました 381 00:30:52,825 --> 00:30:56,000 だったら食べてくれないか? 382 00:30:56,000 --> 00:31:00,825 せっかく出された料理を 冷ましてしまうのは違うだろう 383 00:31:17,825 --> 00:31:21,495 (渋谷)ジビエというのは はかなくて美しい→ 384 00:31:21,495 --> 00:31:24,000 尊い命を奪う代わりに 385 00:31:24,000 --> 00:31:28,660 肉から内臓 骨や血液に至るまで 386 00:31:28,660 --> 00:31:32,330 全ての部位を 余すことなく 料理に使い→ 387 00:31:32,330 --> 00:31:34,660 生命への感謝をささげる→ 388 00:31:34,660 --> 00:31:38,000 気高くて 特別な料理だ 389 00:31:39,165 --> 00:31:42,495 君もこの一年で 理解できたんじゃないか? 390 00:31:44,000 --> 00:31:47,660 俺たち料理人はクリエイターだ 391 00:31:47,660 --> 00:31:51,660 孤独を突き詰めてこそ 一流になれる 392 00:31:55,000 --> 00:31:58,000 海もそれをよく分かっていて→ 393 00:31:58,000 --> 00:32:01,825 狂気に満ちた 素晴らしいシェフになってくれた 394 00:32:03,165 --> 00:32:05,330 俺の最高傑作だ 395 00:32:06,330 --> 00:32:09,825 でも あいつを見ていると 396 00:32:09,825 --> 00:32:13,000 まるで自分を鏡で見ているような 気がしてくる 397 00:32:15,000 --> 00:32:18,000 ひたすら真理を追い求めて 398 00:32:18,000 --> 00:32:21,165 料理そのものを 楽しむことができない 399 00:32:23,000 --> 00:32:26,000 あいつは 400 00:32:26,000 --> 00:32:28,000 俺だった 401 00:32:31,330 --> 00:32:33,660 それなのに 402 00:32:33,660 --> 00:32:36,825 どうして海さんの前から いなくなったんですか? 403 00:32:36,825 --> 00:32:40,000 海さんは悩んでいました あなたのせいで 404 00:32:40,000 --> 00:32:43,330 《一人は 子どものころから 俺の目標だった》 405 00:32:43,330 --> 00:32:47,330 《でもその人は 何も言わずに 一線から退いた》 406 00:32:47,330 --> 00:32:52,495 《俺は 超えるべき目標を失った》 407 00:32:52,495 --> 00:32:55,825 道しるべを失い それに戸惑って 408 00:32:55,825 --> 00:32:58,330 悲しかったんだと思います 409 00:32:58,330 --> 00:33:01,000 だから どんどん孤独に 410 00:33:02,000 --> 00:33:05,330 僕も 目の前から 411 00:33:05,330 --> 00:33:08,000 かつて憧れてた人がいなくなって 412 00:33:08,000 --> 00:33:12,495 さらに 海さんまでいなくなって 413 00:33:12,495 --> 00:33:15,495 僕は 414 00:33:15,495 --> 00:33:18,495 同じ孤独を味わいました 415 00:33:18,495 --> 00:33:20,660 それで君はどうなった? 416 00:33:20,660 --> 00:33:23,165 歩みを止めたのか? 417 00:33:23,165 --> 00:33:26,000 むしろ逆だったんじゃないか? 418 00:33:26,000 --> 00:33:29,660 狂ったように前に進み続けた 419 00:33:29,660 --> 00:33:33,165 その先に地獄が待っていることも 知らずに 420 00:33:34,825 --> 00:33:38,000 でもその間 421 00:33:38,000 --> 00:33:40,825 素晴らしい料理が作れたはずだ 422 00:33:43,495 --> 00:33:45,660 よかったじゃないか 423 00:33:48,495 --> 00:33:52,000 海もそうだった 424 00:33:52,000 --> 00:33:56,660 俺はあいつを 怪物にした 425 00:34:04,495 --> 00:34:07,000 病気にさえならなければな 426 00:34:08,165 --> 00:34:12,495 あいつの病気は 肉体だけじゃなく 427 00:34:12,495 --> 00:34:16,495 料理人の精神も むしばみ続けた 428 00:34:16,495 --> 00:34:20,330 俺はそのまま あいつが破滅していくのを 429 00:34:20,330 --> 00:34:22,825 見届けることもできた 430 00:34:22,825 --> 00:34:27,825 いや そうすべきだと思っていた 431 00:34:30,330 --> 00:34:34,660 でもなぜか 急に見るのが嫌になった→ 432 00:34:34,660 --> 00:34:38,000 自分でも よく分からない感情だ 433 00:34:38,000 --> 00:34:43,165 とにかく あいつを 料理から遠ざけてやりたくなった 434 00:34:46,660 --> 00:34:49,825 でもな 435 00:34:51,165 --> 00:34:56,495 料理人としての朝倉海を 決定的に終わらせたのは 436 00:34:56,495 --> 00:35:00,000 北田岳 君だよ 437 00:35:00,000 --> 00:35:02,000 えっ? 438 00:35:02,000 --> 00:35:04,825 何かを作り上げるということは 439 00:35:04,825 --> 00:35:07,330 受け継いでいくことだ 440 00:35:08,330 --> 00:35:12,330 北田岳という後継者ができた以上 441 00:35:12,330 --> 00:35:17,660 朝倉海は 料理の歴史において 442 00:35:17,660 --> 00:35:20,330 その役割を全うしたんだ 443 00:35:21,330 --> 00:35:25,330 俺から海へ 海から君へ 444 00:35:25,330 --> 00:35:27,660 理想的なかたちだ 445 00:35:27,660 --> 00:35:30,000 だからもう 446 00:35:31,000 --> 00:35:34,165 あいつは料理をする必要が ないんだよ 447 00:35:35,165 --> 00:35:37,330 (渋谷)違うか? 448 00:35:38,660 --> 00:35:41,330 違います 449 00:35:41,330 --> 00:35:43,330 そんなことありません 450 00:35:43,330 --> 00:35:46,000 海さんには 料理が必要です 451 00:35:47,000 --> 00:35:51,495 海さんから 料理を奪わないでください 452 00:35:53,825 --> 00:35:57,825 海さんの好きを 返してください 453 00:36:08,825 --> 00:36:11,825 海は この先にいる 454 00:36:13,000 --> 00:36:18,165 あいつが料理をすることは きっと もうない 455 00:36:50,825 --> 00:36:53,660 お体はどうですか? 456 00:36:53,660 --> 00:36:58,330 ああ 今は落ち着いてるよ 457 00:36:58,330 --> 00:37:01,495 ただ お前がなりたいと 言ってくれていた 458 00:37:01,495 --> 00:37:03,825 料理人としての俺は もういない 459 00:37:09,000 --> 00:37:13,660 ごめんな岳 店に戻れなくて 460 00:37:13,660 --> 00:37:17,330 違いますよ 461 00:37:17,330 --> 00:37:21,330 ずっと あんな そばにいたのに 462 00:37:21,330 --> 00:37:25,165 海さんの苦しさに 気づけなかったのは僕です 463 00:37:25,165 --> 00:37:27,165 それだけじゃない 464 00:37:27,165 --> 00:37:31,330 海さんが僕に伝え続けようと してくれたことに気づかず 465 00:37:31,330 --> 00:37:34,825 みんなに分かるように 話すこともしないで 466 00:37:34,825 --> 00:37:37,660 僕は 467 00:37:37,660 --> 00:37:40,660 海さんの… 468 00:37:40,660 --> 00:37:44,495 海さんの大事な店と 469 00:37:44,495 --> 00:37:46,660 仲間たちを 470 00:37:47,660 --> 00:37:50,165 台なしにしました 471 00:37:51,825 --> 00:37:54,330 そうか 472 00:37:54,330 --> 00:37:56,825 お前ならやれると思ったんだ 473 00:38:00,330 --> 00:38:05,330 でも僕は こんなかたちで 海さんと別れたくなかった 474 00:38:06,330 --> 00:38:11,000 僕は 海さんと一緒に 料理がしたかった 475 00:38:11,000 --> 00:38:13,330 海さんにもっと教えてほしかった 476 00:38:13,330 --> 00:38:17,660 もっとたくさんのことを 海さんから学びたかった 477 00:38:17,660 --> 00:38:22,825 僕も一緒に あらがいたかった 478 00:38:24,000 --> 00:38:28,495 そもそも俺が「K」を作った理由 分かるか? 479 00:38:32,660 --> 00:38:35,660 託すためなんだ 480 00:38:35,660 --> 00:38:39,000 俺が料理人として いられなくなって 481 00:38:39,000 --> 00:38:42,000 「K」のみんな そしてお前が 482 00:38:42,000 --> 00:38:45,000 俺の店をやっていてくれたら 483 00:38:45,000 --> 00:38:48,660 俺はずっと「K」の中で 生き続けられる 484 00:38:49,660 --> 00:38:52,330 それでいいと思ったんだ 485 00:38:53,660 --> 00:38:58,660 もちろん どうして俺が… 486 00:38:58,660 --> 00:39:02,000 料理のことだけを考えて 生きてきた俺が 487 00:39:02,000 --> 00:39:04,660 よりによってこんな病気に ならなきゃいけないんだって 488 00:39:04,660 --> 00:39:07,000 苦しんだこともあった 489 00:39:07,000 --> 00:39:11,330 だんだん味覚が変化していくのが 怖かった 490 00:39:11,330 --> 00:39:13,330 でも 491 00:39:15,000 --> 00:39:18,165 お前という料理人を 育てることができた 492 00:39:19,330 --> 00:39:21,660 俺の役目は終わったんだ 493 00:39:22,660 --> 00:39:28,660 この一年で 俺は料理との向き合い方を変えた 494 00:39:28,660 --> 00:39:31,000 味見ができないシェフでも 495 00:39:31,000 --> 00:39:33,000 できることはあった 496 00:39:34,330 --> 00:39:37,495 ここで育てたものが 世界中のシェフの手に渡り 497 00:39:37,495 --> 00:39:40,165 最高の料理になる 498 00:39:41,660 --> 00:39:44,330 俺は このやり方で満足してる 499 00:39:47,000 --> 00:39:50,330 ホントに? 500 00:39:50,330 --> 00:39:53,000 ホントにそうなんですか? 501 00:39:54,000 --> 00:39:58,495 海さんは 神にあらがっていました 502 00:39:58,495 --> 00:40:00,495 僕は… 503 00:40:02,165 --> 00:40:04,330 僕たちは 504 00:40:05,330 --> 00:40:08,165 そんな海さんに引っ張られて 集まったんです 505 00:40:12,165 --> 00:40:14,165 岳 506 00:40:16,660 --> 00:40:19,495 俺はお前が羨ましかったよ 507 00:40:21,000 --> 00:40:26,330 本当に 心から楽しんで料理をしてた 508 00:40:27,330 --> 00:40:30,495 本当の主人公はお前だった 509 00:40:30,495 --> 00:40:33,330 俺のほうが脇役だった 510 00:40:35,495 --> 00:40:40,330 おかげで 料理人を辞める決心がついたよ 511 00:40:42,330 --> 00:40:47,000 主人公とか 脇役とか 関係ありません 512 00:40:47,000 --> 00:40:51,495 僕が言ってるのは 海さんのもとで料理すること 513 00:40:51,495 --> 00:40:54,660 海さんと一緒に料理すること 514 00:40:54,660 --> 00:40:58,000 海さんの料理を食べることが 楽しかったってことなんです 515 00:41:03,495 --> 00:41:05,495 帰れ 海さん 516 00:41:05,495 --> 00:41:07,825 完璧じゃないと意味がないんだ 517 00:41:09,330 --> 00:41:13,330 皆を導き 答えを出す 518 00:41:13,330 --> 00:41:15,660 それがシェフだから 519 00:41:17,660 --> 00:41:19,825 僕がいるじゃないですか 520 00:41:25,825 --> 00:41:28,825 これも これも 521 00:41:28,825 --> 00:41:31,825 これもこれも… これも 522 00:41:33,000 --> 00:41:35,330 海さんと一緒に作りたいんです 523 00:41:38,000 --> 00:41:43,330 お願いです 僕と一緒に この料理を作ってください 524 00:41:47,495 --> 00:41:49,495 海さん 525 00:41:51,660 --> 00:41:57,330 海さんが 僕の感覚を理解してくれた 526 00:41:57,330 --> 00:42:01,330 導いてくれた唯一の存在でした 527 00:42:04,000 --> 00:42:07,165 海さんは一人じゃない 528 00:42:07,165 --> 00:42:10,000 海さんの感覚は 僕が理解できる 529 00:42:10,000 --> 00:42:15,495 味覚がなくても 僕たちは感覚で通じ合えます 530 00:42:15,495 --> 00:42:20,165 お互いの欠けてる部分を 二人で補えます 531 00:42:20,165 --> 00:42:25,000 二人でいれば 完璧になれます 532 00:42:29,000 --> 00:42:33,495 海さんの物語は 僕が終わらせない 533 00:43:26,495 --> 00:43:29,000 ありがとう 岳 534 00:43:33,825 --> 00:43:35,825 やろう 535 00:43:51,330 --> 00:43:54,495 <こうして 海さんは戻ってきた> 536 00:44:05,660 --> 00:44:08,000 <僕らは> 537 00:44:10,000 --> 00:44:12,165 <神に挑む> 538 00:44:14,000 --> 00:44:17,660 <でも すぐに気づくことになる> 539 00:44:17,660 --> 00:44:21,000 <二人だけでは神に挑めない> 540 00:44:22,000 --> 00:44:24,330 <挑んではいけない> 541 00:44:30,660 --> 00:44:33,165 ここで何してるの? 542 00:44:35,660 --> 00:44:40,330 もう二度と この店で 岳に料理はさせられない 543 00:44:48,052 --> 00:44:50,288 (ナレーション)次回 「フェルマーの料理」最終回 544 00:44:50,421 --> 00:44:51,389 (布袋)「K」は潰れた 545 00:44:51,522 --> 00:44:52,690 最後に頼みごとがある 546 00:44:52,823 --> 00:44:54,825 (ナレーション)料理… その向こうに何が見えるか 547 00:44:55,159 --> 00:44:57,695 (岳)僕がいれば 海さんは また料理ができるんです