1 00:00:02,202 --> 00:00:09,209 ♬~ 2 00:00:16,283 --> 00:00:20,153 (天地)<白い夜があった。➡ 3 00:00:20,153 --> 00:00:26,293 夜が消えた。 昼も消えた。➡ 4 00:00:26,293 --> 00:00:32,966 時が流れた。 流れて過ぎた。➡ 5 00:00:32,966 --> 00:00:36,637 永劫の時が…> 6 00:00:36,637 --> 00:00:41,975 (声 A)もういいかい? (声 B)もういいよ。 7 00:00:41,975 --> 00:00:45,846 (声 A)手落ちはないな。 (声 B)ないと思う。 8 00:00:45,846 --> 00:00:50,984 (声 B)起こそう。 (声 A)じゃあ 起こそう。 9 00:00:50,984 --> 00:00:56,990 お~い 起きろや 天地。 朝だぞ。 10 00:01:27,821 --> 00:01:30,624 誰と話してた? 11 00:01:30,624 --> 00:01:34,328 は? 何のこと? 12 00:01:37,965 --> 00:01:40,968 いや 何でもない。 13 00:01:48,308 --> 00:01:53,313 また見たな。 例の白い夜の夢を。 14 00:02:09,930 --> 00:02:14,635 あなた 起きて。 会社に遅れるわよ。 15 00:02:24,277 --> 00:02:28,982 どうしたの? 顔に何か付いてる? 16 00:02:48,969 --> 00:02:54,674 (妻)よしっ できた できた。 17 00:02:56,643 --> 00:02:59,312 ねえ どうしたの? 18 00:02:59,312 --> 00:03:01,615 いや 別に。 19 00:03:04,584 --> 00:03:12,292 どことなく なんとなく。 20 00:03:22,936 --> 00:03:25,272 (子どもの泣き声) 21 00:03:25,272 --> 00:03:28,608 えっ ちょっと… 何やってんの? 22 00:03:28,608 --> 00:03:33,313 ちょちょちょ… ちょっと! ねえ 離してあげて。 23 00:03:35,949 --> 00:03:39,286 <どこが どうってことはない。➡ 24 00:03:39,286 --> 00:03:45,959 これまでと まったく同じ生活圏で まったく同じ人々と 顔を突き合わせ➡ 25 00:03:45,959 --> 00:03:52,265 詰まるところ 何の変化もない毎日が過ぎていく> 26 00:03:54,634 --> 00:03:57,537 <でも… やはり どこか…> 27 00:03:57,537 --> 00:04:00,907 (インターホン) 28 00:04:00,907 --> 00:04:07,781 <何かが変わった。 あの夜を境に…。➡ 29 00:04:07,781 --> 00:04:14,788 初めて あの夢を見た夜… 白い夜…> 30 00:04:22,195 --> 00:04:27,134 どこが どう変わったのか 具体的に説明してくれよ。 31 00:04:27,134 --> 00:04:32,839 強いて言えば…➡ 32 00:04:32,839 --> 00:04:36,610 そうだ 実在感だ! 33 00:04:36,610 --> 00:04:40,280 例えば 君だ。 それから あの空だ。 雲だ。 34 00:04:40,280 --> 00:04:47,954 山も 林も 草原も 何もかも実在感がないんだよ。 35 00:04:47,954 --> 00:04:52,292 冗談じゃねえ 俺は ちゃ~んと ここに存在してる。 36 00:04:52,292 --> 00:04:56,296 そう思ってるだけかもしれない。 誰が? 37 00:04:59,633 --> 00:05:02,903 僕が。 38 00:05:02,903 --> 00:05:07,240 つまり この世に実在するのは 僕の意識だけで➡ 39 00:05:07,240 --> 00:05:13,914 周りを取り巻くもの一切が 僕の意識が生み出した妄想じゃないかと。 40 00:05:13,914 --> 00:05:18,585 君の生まれる何十億年も昔から 地球は回ってる。 41 00:05:18,585 --> 00:05:20,520 それも妄想だとしたら? 42 00:05:20,520 --> 00:05:23,456 ありもしない歴史や それを証明する科学や一切合財が➡ 43 00:05:23,456 --> 00:05:27,160 僕の意識の でっち上げだとしたら? 44 00:05:31,598 --> 00:05:36,937 じゃあ 俺が こうして生きてるのも 君が そう思ってるおかげだってのか? 45 00:05:36,937 --> 00:05:40,640 君の意識がなくなれば 俺たち 宇宙ぐるみ パーになるわけか。 46 00:05:43,276 --> 00:05:47,147 目を開いて 辺りを見回せよ。 47 00:05:47,147 --> 00:05:50,150 無心な大自然の広がりを。 48 00:05:50,150 --> 00:05:55,856 10年前 君と来た時と ちっとも変わっちゃいない。 49 00:05:55,856 --> 00:05:58,858 そこが おかしいんだ。 50 00:06:02,762 --> 00:06:08,435 <変わらなさすぎるんだよ すべてが。 まったく!➡ 51 00:06:08,435 --> 00:06:13,907 判で押したような毎日の 繰り返しになっちまった。➡ 52 00:06:13,907 --> 00:06:18,578 あの夜を境に…> 53 00:06:18,578 --> 00:06:23,917 (友人)<だって君 サラリーマンの日常って そんなもんだろ?> 54 00:06:23,917 --> 00:06:28,588 <いや そんな なまやさしいもんじゃない。➡ 55 00:06:28,588 --> 00:06:32,259 意外性が なくなっちゃったんだ。➡ 56 00:06:32,259 --> 00:06:34,194 あらゆる出来事が➡ 57 00:06:34,194 --> 00:06:38,899 僕が 今までに持っていた イメージの範囲を出ないんだ> 58 00:06:44,604 --> 00:06:46,539 そればかりじゃない。 59 00:06:46,539 --> 00:06:53,246 最近は 思ったことが そのまま 現実化されるようにさえなったんだ。 60 00:06:55,949 --> 00:06:59,286 <例えば…> 61 00:06:59,286 --> 00:07:04,891 予報じゃ降らないって言ってたわよ。 いや 降られそうな気がするから。 62 00:07:04,891 --> 00:07:08,595 じゃ いってきます。 (2人)いってらっしゃい。 63 00:07:12,232 --> 00:07:14,567 ほら。 64 00:07:14,567 --> 00:07:20,240 (友人)<そりゃ 便利でいいじゃないか> <逆の場合もあるんだ> 65 00:07:20,240 --> 00:07:23,910 じゃあ いってきます。 (2人)いってらっしゃい。 66 00:07:23,910 --> 00:07:27,213 <傘を持たずに出た日…> 67 00:07:29,249 --> 00:07:32,252 雨 降るか…。 68 00:07:35,588 --> 00:07:38,258 あっ! 69 00:07:38,258 --> 00:07:40,560 思ってしまった。 70 00:07:44,931 --> 00:07:47,600 <ある日 ふと考えた。➡ 71 00:07:47,600 --> 00:07:51,471 僕も そろそろ課長ぐらいには なってもいいころだと> 72 00:07:51,471 --> 00:07:54,941 ああ 天地くん。 ちょっと ちょっと。何ですか? 部長。 73 00:07:54,941 --> 00:07:58,611 次の人事で 課長に決まったよ。 74 00:07:58,611 --> 00:08:03,616 えっ? ほんとですか? まだ内定だがね。 75 00:08:09,889 --> 00:08:11,825 (インターホン) 76 00:08:11,825 --> 00:08:19,899  心の声 待てよ。 まだ内定なんだ。 年の順から言えば 山口さんが先だしな。➡ 77 00:08:19,899 --> 00:08:23,236 今夜のところは 言わずにおこう。 78 00:08:23,236 --> 00:08:26,573 あ~。山口さん おめでとう 山口さん。 79 00:08:26,573 --> 00:08:30,910 ダメよ 山口課長って言わなきゃ。 山口課長。 80 00:08:30,910 --> 00:08:35,915 <思ったとおりだ… と思った> 81 00:08:42,922 --> 00:08:45,225 アホらしい…。 82 00:08:47,794 --> 00:08:53,500 だろうな。 結局 僕は1人なんだ。 83 00:08:59,939 --> 00:09:02,642 <白い夜があった…> 84 00:09:06,212 --> 00:09:09,916 <時が流れた…> 85 00:09:17,557 --> 00:09:22,862 あなた起きて。 会社に遅れるよ。 86 00:09:24,431 --> 00:09:28,735 どうしたのよ ジロジロ見て。 87 00:09:32,906 --> 00:09:35,241 あっ ねっ ねえ ちょっと…。 88 00:09:35,241 --> 00:09:37,911 どうしたの? 朝から。 89 00:09:37,911 --> 00:09:43,216 分かった。 分かったから もう… しょうがないな。 90 00:09:45,251 --> 00:09:51,925 <何かに すがりつきたかった。 生身の人間を感じたかった。➡ 91 00:09:51,925 --> 00:09:56,629 この世が実在することを 自分の肌で確かめたかったんだ> 92 00:10:01,601 --> 00:10:04,904 ママ~ ごはん まだ? 93 00:10:09,476 --> 00:10:12,245 あなた 近頃 変よ。 94 00:10:12,245 --> 00:10:17,951 さあね 変なのは どっちかな? 95 00:10:26,626 --> 00:10:34,334 ねえ どうしたの? 何かあったの? 96 00:10:40,640 --> 00:10:42,942 助けてくれ。 97 00:10:44,511 --> 00:10:46,980 えっ? 98 00:10:46,980 --> 00:10:49,883 ア~ッ アアアア…。 99 00:10:49,883 --> 00:10:55,321 (泣き声) 100 00:10:55,321 --> 00:10:58,658 ア~ッ ア~ッ ア~ッ…。 101 00:10:58,658 --> 00:11:04,364 (泣き声) 102 00:11:05,932 --> 00:11:09,802 奥さんが心配して 俺んとこへ電話くれたんだ。 103 00:11:09,802 --> 00:11:13,273 俺なら ガキの頃からのつきあいで 気心も…。 104 00:11:13,273 --> 00:11:16,176 だから 山へでも誘ってくれと 言うんだろ? 105 00:11:16,176 --> 00:11:21,481 分かってる。 僕の考えたとおりの筋書きだから。 106 00:11:27,620 --> 00:11:29,556 いいかげんにしろ! 107 00:11:29,556 --> 00:11:34,961 俺はな お前のために 自分の意思で 自分の足で ここへ来たんだ。 108 00:11:34,961 --> 00:11:38,631 お前が 天地創造の造物主だって? 109 00:11:38,631 --> 00:11:42,335 ふざけんじゃねえ! 思い上がりも大概にしろ! 110 00:11:43,970 --> 00:11:49,309 じゃ お前 俺が消せるか? 111 00:11:49,309 --> 00:11:54,180 俺をつくったのが お前なら 消すことだって できるだろう。 112 00:11:54,180 --> 00:11:56,182 そんなこと…。 113 00:11:58,985 --> 00:12:01,287 何をするんだ! 114 00:12:03,256 --> 00:12:07,260 どうせ その痛みも妄想だろう。 115 00:12:16,603 --> 00:12:20,273 やめろ バカなまねは。 116 00:12:20,273 --> 00:12:28,147 さあ 俺を消せ。 やってみろ。 どうした? ほら。 117 00:12:28,147 --> 00:12:30,283 おい! 消してみろよ。 118 00:12:30,283 --> 00:12:32,218 やめろ! おい! 119 00:12:32,218 --> 00:12:35,154 どうした? 消せないのか? 120 00:12:35,154 --> 00:12:37,957 危ないから おい! ほら さっさと消してみろよ。 121 00:12:37,957 --> 00:12:41,294 消せないなら くだらん妄想なんか捨てろ! 122 00:12:41,294 --> 00:12:44,964 危ないから。 待てよ。 ほら。 123 00:12:44,964 --> 00:12:50,303 おい 待て! やめろ おい! ほら どうした? 124 00:12:50,303 --> 00:12:52,972 落ち着け ほんとに危ないから。 消せるんだろ? 125 00:12:52,972 --> 00:12:55,308 消してみろよ。 待て! 126 00:12:55,308 --> 00:12:58,645 ほら やってみろ。 待て ほんとに落ち着け。 127 00:12:58,645 --> 00:13:04,250 頼むから 落ち着け。 なあ 危ない ほんとに…。 128 00:13:04,250 --> 00:13:09,122 うわ~! 頼む… おい 落ち着け 待て。 129 00:13:09,122 --> 00:13:11,591 おい 待て! 待て 落ち着け。 130 00:13:11,591 --> 00:13:13,926 落ち着け! ほら 消してみろよ。 131 00:13:13,926 --> 00:13:15,862 頼むから 落ち着け。 132 00:13:15,862 --> 00:13:19,799 なあ 危ない ほんとに 待て! やってみろ~! 133 00:13:19,799 --> 00:13:21,801 うわ~! 134 00:13:24,570 --> 00:13:29,475 ♬~ 135 00:13:29,475 --> 00:13:32,945 (声 A)試みは 無駄に終わった。 136 00:13:32,945 --> 00:13:38,618 (声 B)昔々の大昔 地球という星があったという。 137 00:13:38,618 --> 00:13:43,289 (声 A)一発の核ミサイルの誤射が 引き金となり➡ 138 00:13:43,289 --> 00:13:47,960 あっという間に 数十億の住民は 何が起きたかを知る間もなく➡ 139 00:13:47,960 --> 00:13:50,863 虚空のチリとなった。 140 00:13:50,863 --> 00:13:55,835 (声 B)我々が 地球遺跡の探査で採取した たった一個の細胞を➡ 141 00:13:55,835 --> 00:14:00,540 クローン培養によって 元の生命体に復元させた。➡ 142 00:14:00,540 --> 00:14:07,447 生命体の記憶の底にあった 地球人の生活圏を再現してやったのだが➡ 143 00:14:07,447 --> 00:14:12,752 地球人は あまりにも疑い深く 気弱だった。 144 00:14:15,588 --> 00:14:20,593 (声 A) では そろそろ帰るとしようか…。 145 00:14:30,136 --> 00:14:57,130 ♬~