1 00:00:01,235 --> 00:00:10,277 ♬~ 2 00:00:10,277 --> 00:00:22,723 (マシンの作動音) 3 00:00:22,723 --> 00:00:27,928 (正男)おい 鉄夫 いいのか? 煙が出てきてるけど。 4 00:00:30,964 --> 00:00:33,634 (せきこみ) 5 00:00:33,634 --> 00:00:38,205 (鉄夫)時間は? マシンが作動し始めてから現在まで。 6 00:00:38,205 --> 00:00:41,174 1時間と… 8分。 7 00:00:41,174 --> 00:00:46,446 えっ 俺の時計では1時間7分だぞ。 8 00:00:46,446 --> 00:00:49,249 ということは…➡ 9 00:00:49,249 --> 00:00:53,153 俺は 1分だけ未来の世界に来たんだ! 10 00:00:56,523 --> 00:01:00,127 よく見ろ。 この時計 止まってるよ。 11 00:01:05,799 --> 00:01:09,036 (マシンが壊れる音) 12 00:01:09,036 --> 00:01:10,971 おいおい 止めろ 止めろ。 13 00:01:10,971 --> 00:01:14,174 換気… 換気! 換気 換気! 14 00:01:14,174 --> 00:01:18,579 ♬~ 15 00:01:18,579 --> 00:01:21,148 どうかな? 16 00:01:21,148 --> 00:01:25,419 確かに 給料は ちょっと 安いかもしれないけど➡ 17 00:01:25,419 --> 00:01:29,723 このご時世じゃ いい話だと思うよ。 18 00:01:29,723 --> 00:01:35,228 お前も そろそろ ちゃんとした職に就いて 落ち着いたらどうだ? 19 00:01:42,369 --> 00:01:48,175 タイムマシンは もう… いいんじゃないか? 20 00:01:50,010 --> 00:01:52,512 確かに 俺たちは昔➡ 21 00:01:52,512 --> 00:01:57,751 将来きっとタイムマシンをつくろうって 2人で心に誓ったよ。 22 00:01:57,751 --> 00:02:02,923 でも あれは小学校5年生。 23 00:02:02,923 --> 00:02:06,927 子どもの頃の たあいのない夢だ。 24 00:02:09,796 --> 00:02:13,400 それなのに お前は いつまでも…。 25 00:02:13,400 --> 00:02:16,303 鏡で自分の顔 見たことあるか? 26 00:02:16,303 --> 00:02:21,208 正気の顔じゃないよ。 おかしいよ はっきり言って。 27 00:02:24,611 --> 00:02:26,813 今日は もう帰るわ。 28 00:02:30,917 --> 00:02:33,887 ごめん 言い過ぎた。 29 00:02:33,887 --> 00:02:38,992 でも 少し考えてみてくれ。 みっちゃんだって心配してるんだ。 30 00:02:38,992 --> 00:02:42,929 みっちゃん… あ いや➡ 31 00:02:42,929 --> 00:02:46,133 奥さん 元気か? 32 00:02:46,133 --> 00:02:48,068 ああ 元気だよ。 33 00:02:48,068 --> 00:02:50,404 お前に よろしくって。 34 00:02:50,404 --> 00:02:53,607 そうか。 35 00:02:53,607 --> 00:02:55,609 じゃあな。 36 00:03:01,148 --> 00:03:03,150 (ドアが閉まる音) 37 00:03:05,385 --> 00:03:07,788 (みっちゃん) で 鉄ちゃん 何て言ってた? 38 00:03:07,788 --> 00:03:10,991 残念ながら 就職話なんか まるっきり興味なし。 39 00:03:10,991 --> 00:03:15,829 タイムマシンの実験に夢中で 話もろくに聞いてくれなかったよ。 40 00:03:15,829 --> 00:03:18,298 ま 予想どおりではあったけどね。 41 00:03:18,298 --> 00:03:22,035 ごめんね 私の幼なじみのことで心配かけて。 42 00:03:22,035 --> 00:03:25,806 いやいや 全然。 俺も 鉄夫のことは心配だからさ。 43 00:03:25,806 --> 00:03:28,475 そう言ってくれると うれしいわ。 44 00:03:28,475 --> 00:03:33,346 それに ある意味では あいつは俺の恩人だし。 45 00:03:33,346 --> 00:03:35,982 どういうこと? だって そうじゃない。 46 00:03:35,982 --> 00:03:39,686 大学の夏休み 鉄夫が君を紹介してくれたから➡ 47 00:03:39,686 --> 00:03:42,956 君と出会えた。 そういう意味か。 48 00:03:42,956 --> 00:03:48,395 そうだよ。 君と会った瞬間 僕は「運命の人だ!」と思って➡ 49 00:03:48,395 --> 00:03:50,464 そのまま 君に告白して。 50 00:03:50,464 --> 00:03:53,733 あれは急すぎて驚いた。 だよね。 51 00:03:53,733 --> 00:03:59,539 告白した俺自身も驚いてたからね。 何よ それ! 52 00:03:59,539 --> 00:04:02,142 あっ。 はい できた~。 53 00:04:02,142 --> 00:04:04,778 わあ~。 お待たせしました。 54 00:04:04,778 --> 00:04:07,681 おいしそう! 写真撮ろう 写真。 55 00:04:07,681 --> 00:04:11,485 はい。 はい チーズ。 🖩(シャッター音) 56 00:04:11,485 --> 00:04:14,688 かわいく撮れました。 はい 食べるよ。 57 00:04:14,688 --> 00:04:18,225 うん! おいしそう。 おいしそう。 58 00:04:18,225 --> 00:04:24,965 (紺田)いや~ 予定していた作家さんが 急病で描けなくなってしまいまして。 59 00:04:24,965 --> 00:04:28,802 そこで急きょ 先生のお力を お借りしたいなと思いまして➡ 60 00:04:28,802 --> 00:04:31,238 連絡した次第です。 61 00:04:31,238 --> 00:04:34,141 お声かけて頂き うれしいです。 いえいえ。 62 00:04:34,141 --> 00:04:41,248 で 早速なんですが このテーマで 1本 読み切り お願いしたいんですよ。 63 00:04:44,317 --> 00:04:47,687 タイムマシン。 ええ。 しかも➡ 64 00:04:47,687 --> 00:04:52,259 リアリティーのある作品にしたいんです。 子どもだましでなくて。 65 00:04:52,259 --> 00:04:56,630 あ… リアリティーと言われましても➡ 66 00:04:56,630 --> 00:04:59,566 タイムマシンそのものが 架空の存在だと思うんですが。 67 00:04:59,566 --> 00:05:03,870 いやいや… 言いかえると 「もっともらしさ」と言ってもいいですよ。 68 00:05:03,870 --> 00:05:07,674 読者が納得して 話に ついてきてくれるようなね。 69 00:05:07,674 --> 00:05:15,248 うちの読者は大人ですからね 適当にというわけにもいかないんですよ。 70 00:05:15,248 --> 00:05:20,086 まあ 「ドラえもん」なら それでもいいんだけど。 フフフ…。 71 00:05:20,086 --> 00:05:23,690 どうです? お願いできますか? 72 00:05:25,692 --> 00:05:28,795 よりによってタイムマシンとは…。 73 00:05:31,231 --> 00:05:34,734 お疲れさま。 ありがとう。 74 00:05:36,703 --> 00:05:39,306 だいぶ苦戦してるわね。 75 00:05:39,306 --> 00:05:41,975 ハァ~。 76 00:05:41,975 --> 00:05:45,278 そりゃ 鉄夫のタイムマシンを さんざん けなしといて➡ 77 00:05:45,278 --> 00:05:47,781 自分もタイムマシンの漫画を描くなんて➡ 78 00:05:47,781 --> 00:05:49,716 気分が乗らないよ。 79 00:05:49,716 --> 00:05:53,486 そもそも こんな ありもしない話を描くのも気が引けて…。 80 00:05:53,486 --> 00:05:59,726 ありもしない話って SFなんて もともと絵空事でしょ。 81 00:05:59,726 --> 00:06:03,196 気軽に言ってくれるね。 82 00:06:03,196 --> 00:06:05,999 絵空事だからこそ ディティールを詰めないと➡ 83 00:06:05,999 --> 00:06:09,569 それこそ 子どもだましな漫画に なってしまうじゃないか。 84 00:06:09,569 --> 00:06:12,772 じゃあ 鉄ちゃんに相談したら? タイムマシンなら詳しいでしょ。 85 00:06:12,772 --> 00:06:15,875 だから! そんなの かっこつかないだろ! 86 00:06:20,013 --> 00:06:23,216 どならなくてもいいじゃない。 87 00:06:23,216 --> 00:06:26,086 ごめん…。 88 00:06:26,086 --> 00:06:28,889 鉄ちゃんは優しい子だったな~。 89 00:06:28,889 --> 00:06:32,092 私には特に親切にしてくれたわ。 90 00:06:32,092 --> 00:06:35,295 ひょっとして 私のこと好きだったんじゃないかしら。 91 00:06:35,295 --> 00:06:38,598 (洗濯機の電子音) 92 00:06:38,598 --> 00:06:46,339 ♬~ 93 00:06:46,339 --> 00:06:49,976 好きだって 鉄夫が君に言ったのか? 94 00:06:49,976 --> 00:06:53,280 言うわけないでしょ あんな内気な人が。 95 00:06:53,280 --> 00:07:03,089 ♬~ 96 00:07:03,089 --> 00:07:07,360 でも分かるのよ 目つきとか そぶりとかで。 97 00:07:07,360 --> 00:07:10,263 あんな無口な人じゃなかったら➡ 98 00:07:10,263 --> 00:07:14,668 あなたに紹介される前に 鉄ちゃんと結婚してたかもしれないわ。 99 00:07:14,668 --> 00:07:16,670 そんな…! 100 00:07:19,172 --> 00:07:22,375 バカね 冗談よ。 101 00:07:22,375 --> 00:07:25,178 ちょっと あなたを困らせたかっただけ。 102 00:07:29,482 --> 00:07:32,385 私の好きな人は あなただけ。 103 00:07:32,385 --> 00:07:35,388 俺もだよ~。 104 00:07:42,062 --> 00:07:48,902 ♬~ 105 00:07:48,902 --> 00:07:53,073 (紺田)ちょっと 分かりづらいですかね。 106 00:07:53,073 --> 00:07:55,809 分かりづらい… ですか。 あ いやいや➡ 107 00:07:55,809 --> 00:07:59,079 いろいろ リサーチして頂いたんでしょうが➡ 108 00:07:59,079 --> 00:08:05,218 どういう理屈でタイムスリップするのかが どうも のみこめないです。 109 00:08:05,218 --> 00:08:07,954 私の頭が悪いのもあるんでしょうが。 110 00:08:07,954 --> 00:08:10,857 いやぁ 僕です 頭悪いのは…。 111 00:08:17,630 --> 00:08:22,435 あの~ この際 ややこしい理論は抜きで➡ 112 00:08:22,435 --> 00:08:27,307 新しい角度から 方法論 考えてみませんか。 113 00:08:27,307 --> 00:08:32,112 というと? 例えば… 意志の力。 114 00:08:32,112 --> 00:08:35,048 意志の力? そうです。 115 00:08:35,048 --> 00:08:37,951 飛行機にしろ 宇宙ロケットにしろ➡ 116 00:08:37,951 --> 00:08:41,855 今は当たり前のものも 最初は夢物語でした。 117 00:08:41,855 --> 00:08:46,626 それを人間は現実のものにしたんです。 118 00:08:46,626 --> 00:08:49,396 じゃ その原動力は何か? 119 00:08:49,396 --> 00:08:55,034 そう! それこそ 人間の強い意志の力ですよ。 120 00:08:55,034 --> 00:08:58,905 そう考えると タイムスリップだって➡ 121 00:08:58,905 --> 00:09:04,077 意志の力があれば 必ずできる! 122 00:09:04,077 --> 00:09:06,813 …と思いませんか? 123 00:09:06,813 --> 00:09:12,552 はあ… 意志の力ですか。 124 00:09:12,552 --> 00:09:17,524 ちょっと 考えてみます。 うん。 125 00:09:17,524 --> 00:09:21,661 だいぶ難しいこと言われたわね。 126 00:09:21,661 --> 00:09:26,132 ああ 俺には さっぱりだよ。 127 00:09:26,132 --> 00:09:29,969 はぁ~ どうしよっかな~。 128 00:09:29,969 --> 00:09:35,375 あなたは嫌かもしれないけど やっぱり 鉄ちゃんに相談したら? 129 00:09:37,811 --> 00:09:41,448 そうだな。 背に腹は代えられないな。 130 00:09:41,448 --> 00:09:46,219 そうよ。 鉄ちゃんだって 頼られて うれしいと思うわよ。 131 00:09:46,219 --> 00:09:51,724 あいつには悪いが 早速 行ってくるかな。 132 00:09:54,494 --> 00:09:58,798 (ドアをたたく音) 鉄夫 いるのか? 133 00:10:00,600 --> 00:10:02,802 (ドアをたたく音) 鉄夫? 134 00:10:05,805 --> 00:10:07,807 入るぞ。 135 00:10:12,979 --> 00:10:14,948 急に来て 悪い。 136 00:10:14,948 --> 00:10:20,653 ちょっと… お前に知恵を借りたくて。 137 00:10:23,223 --> 00:10:25,725 新型をつくったのか? 138 00:10:29,629 --> 00:10:32,398 原理は? 139 00:10:32,398 --> 00:10:34,901 構造は? 140 00:10:34,901 --> 00:10:38,605 ちょ… ちょっと見せてくれ。 漫画のネタに使えるかも。 141 00:10:42,642 --> 00:10:45,545 何だこりゃ。 142 00:10:45,545 --> 00:10:48,448 チカチカしてるだけじゃないか。 143 00:10:48,448 --> 00:10:51,251 こんなのが新しいタイムマシンなのか? 144 00:10:51,251 --> 00:10:56,089 もう機械など どうでもいいのだ。 145 00:10:56,089 --> 00:10:59,492 ただ信ずることだ。 146 00:11:01,361 --> 00:11:05,865 何だ? どうした? 神がかりみたいなこと言って。 147 00:11:05,865 --> 00:11:07,800 しゃべるな。 148 00:11:07,800 --> 00:11:11,271 もうすぐ タイムトラベルの秘密を知るところだ。 149 00:11:11,271 --> 00:11:14,607 どうやって? 教えてくれるんだ。 150 00:11:14,607 --> 00:11:18,244 誰が? 未来の僕が➡ 151 00:11:18,244 --> 00:11:21,014 もうじき タイムマシンでやって来る。 152 00:11:21,014 --> 00:11:24,284 はあ⁉ どういう理屈だ? 153 00:11:24,284 --> 00:11:27,487 その… 未来のお前は➡ 154 00:11:27,487 --> 00:11:30,390 どうしてタイムトラベルの秘密を 知っているんだよ? 155 00:11:30,390 --> 00:11:34,727 現在の僕が知れば 未来の僕も知ってて当然だ。 156 00:11:34,727 --> 00:11:40,300 だって お前は今現在 何にも知らないじゃないか! 157 00:11:40,300 --> 00:11:43,636 もうすぐ 未来の僕が教えてくれる。 158 00:11:43,636 --> 00:11:46,239 いいかげんにしろよ! 159 00:11:46,239 --> 00:11:48,608 これじゃ 話が堂々巡りだ。 160 00:11:48,608 --> 00:11:50,543 そのとおり! え…。 161 00:11:50,543 --> 00:11:55,915 その堂々巡りの輪の中に 入り込みさえすればいいんだ。 162 00:11:55,915 --> 00:11:58,318 そうしようと決めたんだ。 163 00:11:58,318 --> 00:12:01,721 そうなると確信しているんだ! 164 00:12:03,957 --> 00:12:08,595 思念を凝らして…➡ 165 00:12:08,595 --> 00:12:11,297 信ずる。 166 00:12:13,232 --> 00:12:16,135 ただ信ずる! 167 00:12:20,306 --> 00:12:23,109 ハッ! そうなった!! 168 00:12:27,480 --> 00:12:29,916 表に 未来の僕が来ている。 169 00:12:29,916 --> 00:12:32,285 本人が言うのだから確かだ。 170 00:12:32,285 --> 00:12:35,188 鉄夫! どこ行くんだよ! 171 00:12:37,423 --> 00:12:39,425 鉄夫! 172 00:12:49,535 --> 00:12:56,142 しかし… あの執念は鬼気迫る迫力だったな。 173 00:12:56,142 --> 00:13:01,247 つい引き込まれて 「ひょっとしたら」なんて思っちゃ…。 174 00:13:04,851 --> 00:13:07,220 ん? 175 00:13:07,220 --> 00:13:09,155 何だろ…。 176 00:13:09,155 --> 00:13:12,558 何かが どうかなったような 気がしたけど…。 177 00:13:27,273 --> 00:13:29,375 (エアコンをつける音) 178 00:13:32,679 --> 00:13:34,681 🖩(振動音) 179 00:13:56,869 --> 00:14:15,154 ♬~ 180 00:14:15,154 --> 00:14:19,158 あ~あ 結婚したいな。 181 00:14:19,158 --> 00:14:22,962 鉄夫のやつが羨ましいよ。 182 00:14:27,233 --> 00:14:30,136 (電子レンジの ベル音) 183 00:14:30,136 --> 00:14:57,130 ♬~