1 00:00:01,235 --> 00:00:09,943 ♬~ 2 00:00:15,716 --> 00:00:19,319 (旅人)<ここは… どこだろう…> 3 00:00:21,488 --> 00:00:25,692 <最後のコールドスリープの つもりだった。➡ 4 00:00:25,692 --> 00:00:29,596 いいかげん幕を下ろすつもりだった。➡ 5 00:00:29,596 --> 00:00:32,599 眠っていたのは何年か➡ 6 00:00:32,599 --> 00:00:40,407 いや 何千年 何万年 何億年…> 7 00:00:46,446 --> 00:00:48,749 <ここは…?> 8 00:00:53,053 --> 00:00:57,357 <どうやら まだ生きているようだ> 9 00:01:01,194 --> 00:01:05,065 現在位置は? (チクバ)現在位置 計測不能。 10 00:01:05,065 --> 00:01:10,037 計測のための回路を解除したのは あなた自身ではないですか? 11 00:01:10,037 --> 00:01:16,376 そうか… そうだったな。 12 00:01:16,376 --> 00:01:23,617 <地球からの距離。 出発してからの時間。 そんなものが意味を失って久しい。➡ 13 00:01:23,617 --> 00:01:28,488 いや そもそも この旅に 意味などあっただろうか…> 14 00:01:28,488 --> 00:01:33,026 (総裁)確かに疑問視されている… だが 申し上げたい!➡ 15 00:01:33,026 --> 00:01:34,962 この「フダラク計画」➡ 16 00:01:34,962 --> 00:01:37,698 大いに意味ありと!➡ 17 00:01:37,698 --> 00:01:40,033 これまで 大きく2つの壁が➡ 18 00:01:40,033 --> 00:01:42,970 人類の宇宙進出を阻んできました。➡ 19 00:01:42,970 --> 00:01:49,343 光の速度 そして あまりに はかない人間の寿命。➡ 20 00:01:49,343 --> 00:01:54,014 しかし いまや亜光速航行は可能なのです!➡ 21 00:01:54,014 --> 00:01:58,852 ウラシマ効果により 宇宙船と 地球時間のギャップが大きすぎるため➡ 22 00:01:58,852 --> 00:02:02,689 現行法では 航行距離は制限されています。➡ 23 00:02:02,689 --> 00:02:09,396 しかし「帰還」を考えなければ 地球に戻ること「さえ」考えなければ➡ 24 00:02:09,396 --> 00:02:11,465 コールドスリープの併用により➡ 25 00:02:11,465 --> 00:02:15,602 未知なる「宇宙の果て」に 到達可能なのです! 26 00:02:15,602 --> 00:02:18,505 (議員)待って下さい! 仮に一人のパイロットが➡ 27 00:02:18,505 --> 00:02:22,976 宇宙の果てを見たとして 彼はどうやって それを伝えるのです? 28 00:02:22,976 --> 00:02:27,814 百万光年先からのメッセージは 百万年かけて地球に届くのです。 29 00:02:27,814 --> 00:02:31,218 人類が存続している保証は…。 30 00:02:31,218 --> 00:02:33,620 (総裁)それでいいのです。 31 00:02:33,620 --> 00:02:39,292 われわれは いや 発生以来 全ての人類が➡ 32 00:02:39,292 --> 00:02:41,361 一人の旅人のために➡ 33 00:02:41,361 --> 00:02:45,432 前線基地を築いてきたのだと➡ 34 00:02:45,432 --> 00:02:48,135 そう考えましょう。 (拍手) 35 00:02:48,135 --> 00:02:51,505 (議員)いやいや そんな 途方もない片道旅行に誰を送りますか! 36 00:02:51,505 --> 00:02:53,840 これは人道問題です! 37 00:02:53,840 --> 00:02:56,243 (恋人)どうして? 38 00:02:56,243 --> 00:03:00,113 分かってほしい 誰かが行かなきゃ。 39 00:03:00,113 --> 00:03:04,051 その誰かが どうして あなたでなくちゃいけないの! 40 00:03:04,051 --> 00:03:08,822 行きたいんだよ。 矢もたてもたまらず行きたいんだよ! 41 00:03:08,822 --> 00:03:12,692 あなたが… 宇宙船が…➡ 42 00:03:12,692 --> 00:03:17,497 宇宙の果てに着いたとして もう誰も生きてないかもしれない。 43 00:03:19,132 --> 00:03:22,502 ぼくは わがままな男だ。 44 00:03:22,502 --> 00:03:26,106 君も ぼくのことは忘れて…。 45 00:03:27,808 --> 00:03:33,380 きっと見つかるよ ぼくよりも ずっといい人が。 46 00:03:33,380 --> 00:03:38,218 ♬~ 47 00:03:38,218 --> 00:03:42,089 (ロケットの発射音) 48 00:03:42,089 --> 00:03:48,295 出発したんだ。 二度と帰らない旅に…。 49 00:03:58,538 --> 00:04:01,208 <孤独は覚悟の上だ。➡ 50 00:04:01,208 --> 00:04:03,143 仕事は結構ある。➡ 51 00:04:03,143 --> 00:04:06,646 観測し データを送る。➡ 52 00:04:06,646 --> 00:04:08,582 地球との会話も可能だ> 53 00:04:08,582 --> 00:04:13,019 (総裁)「君は全人類の希望です。➡ 54 00:04:13,019 --> 00:04:16,056 道中の無事を祈ります」。 55 00:04:16,056 --> 00:04:19,793 <電波が往復するまで 間延びするが…。➡ 56 00:04:19,793 --> 00:04:23,396 今では メインコンピュータの 「チクバ」が親友だ> 57 00:04:23,396 --> 00:04:26,299 将棋の続きですね。 <会話も交わせるし➡ 58 00:04:26,299 --> 00:04:29,002 ゲームの相手もしてくれる> 59 00:04:29,002 --> 00:04:31,304 43桂馬。 60 00:04:31,304 --> 00:04:33,607 ま まいりました。 61 00:04:36,176 --> 00:04:39,045 <ランニングも日課の一つだ。➡ 62 00:04:39,045 --> 00:04:42,048 サボると 体がなまってしまう> 63 00:04:43,817 --> 00:04:47,921 <時々 地球の景色を楽しむ> 64 00:04:50,991 --> 00:04:54,728 <世界中の書物のデータもある。➡ 65 00:04:54,728 --> 00:04:58,331 生涯かかっても 読み切れないほどに> 66 00:05:00,534 --> 00:05:03,837 <冥王星を かすめて飛ぶ。➡ 67 00:05:03,837 --> 00:05:07,674 もう地球との会話は成り立たない。➡ 68 00:05:07,674 --> 00:05:11,378 一方的に通信を送るだけだ> 69 00:05:15,182 --> 00:05:18,919 <そろそろ太陽系とも お別れだ。➡ 70 00:05:18,919 --> 00:05:23,423 いよいよ第1回コールドスリープに入る> 71 00:05:29,462 --> 00:05:37,204 ♬~ 72 00:05:37,204 --> 00:05:39,406 待って。 73 00:05:43,710 --> 00:05:46,012 あっ…。 74 00:05:49,316 --> 00:05:52,586 待って… 待ってくれ! 75 00:05:52,586 --> 00:06:01,061 ♬~ 76 00:06:01,061 --> 00:06:04,431 <未練だ… 彼女を捨て➡ 77 00:06:04,431 --> 00:06:07,934 宇宙を選んだのは ぼくの方じゃないか> 78 00:06:11,571 --> 00:06:16,776 <アルデバランの惑星に 十字の光が認められた。➡ 79 00:06:16,776 --> 00:06:21,581 人類が 地球から 最も離れてしるした足跡だ> 80 00:06:23,250 --> 00:06:27,220 <この先 井の中のかわずは 井戸を出て➡ 81 00:06:27,220 --> 00:06:30,223 いよいよ大海に乗り出すわけだ> 82 00:06:37,597 --> 00:06:43,403 <無数の恒星系を通り過ぎ 無数の惑星を見た。➡ 83 00:06:43,403 --> 00:06:45,906 文明は なかった…> 84 00:06:47,674 --> 00:06:52,512 <一つの恒星系を過ぎるごとに コールドスリープに入る。➡ 85 00:06:52,512 --> 00:06:57,317 おかげで ぼくは ほとんど年をとらない> 86 00:06:59,352 --> 00:07:05,925 <だが 眠りの間にも 時は奔流のように過ぎ去っている。➡ 87 00:07:05,925 --> 00:07:11,131 船内と地球時間のギャップは どんどん広がる…> 88 00:07:14,067 --> 00:07:18,772 <データを送っても もはや無意味だ> 89 00:07:22,442 --> 00:07:27,013 運動は やめたのですか? 少しは体を動かさないと。 90 00:07:27,013 --> 00:07:29,582 余計な心配はするな。 91 00:07:29,582 --> 00:07:32,118 そうだ とっておきのホログラムがありますよ! 92 00:07:32,118 --> 00:07:36,790 いらない。 しょせんは虚像だ。 93 00:07:36,790 --> 00:07:39,893 むなしくなる。 94 00:07:42,362 --> 00:07:45,365 <窓からスターボウが見える。➡ 95 00:07:45,365 --> 00:07:50,170 船の速度が亜光速に近づいたのだ> 96 00:07:51,971 --> 00:07:54,507 起きて下さい 新たなセクターに入ります。 97 00:07:54,507 --> 00:07:58,211 <銀河系を抜けた時 ぼくは眠りこけていた> 98 00:07:58,211 --> 00:08:02,716 つまらないことで人を起こすな! 99 00:08:02,716 --> 00:08:05,552 す すみません…。 100 00:08:05,552 --> 00:08:09,422 <1千億以上の銀河の たった一つから➡ 101 00:08:09,422 --> 00:08:12,926 やっと抜け出しただけのことじゃないか> 102 00:08:15,295 --> 00:08:21,334 <新たな銀河に入る。 抜ける。 また入る。➡ 103 00:08:21,334 --> 00:08:24,003 果てしない繰り返し> 104 00:08:24,003 --> 00:08:30,343 ♬ むかし むかし 浦島は 105 00:08:30,343 --> 00:08:34,214 <無機物の のっぺらぼうの時の流れ> 106 00:08:34,214 --> 00:08:37,784 ♬ 助けた亀に 107 00:08:37,784 --> 00:08:41,688 ♬ 連れられて 108 00:08:49,929 --> 00:08:53,933 ついに ここまで来ました! 宇宙の地平線です。 109 00:08:53,933 --> 00:08:58,104 ここから先の星は 地球から観測できません。 110 00:08:58,104 --> 00:09:01,975 「ビッグバン」以降 宇宙は ずっと膨張を続けていて➡ 111 00:09:01,975 --> 00:09:06,312 離れた天体ほど 後退速度は著しくなります。 112 00:09:06,312 --> 00:09:11,618 光よりも速く遠ざかっているため その姿は捉えられないのです。 113 00:09:13,420 --> 00:09:18,658 あ そうだ 最後のお別れに 地球を見ませんか? 114 00:09:18,658 --> 00:09:21,161 地球? 115 00:09:21,161 --> 00:09:27,567 もっとも 針の先ほどの光を 最大限に増幅した映像になりますが…。 116 00:09:29,235 --> 00:09:32,338 ご覧下さい。 地球です。 117 00:09:34,107 --> 00:09:38,711 <おぼろげな緑色の光が浮かび上がった> 118 00:09:40,580 --> 00:09:46,386 <美しかった。 これまで見た どの星よりも> 119 00:09:46,386 --> 00:09:51,691 ご存じとは思いますが これは140億年前の姿で➡ 120 00:09:51,691 --> 00:09:55,495 現在の地球は 赤色巨星と化した太陽に焼かれ…。 121 00:09:55,495 --> 00:09:58,398 <泣いた> もう すでに人類は…。 122 00:09:58,398 --> 00:10:01,367 <意外だった。➡ 123 00:10:01,367 --> 00:10:05,371 ぼくに涙を流す機能が残っていたとは> 124 00:10:17,517 --> 00:10:21,020 最後のコールドスリープに入る。 125 00:10:21,020 --> 00:10:24,023 (船内アラート) 待って下さい! 異変が起きました。 126 00:10:24,023 --> 00:10:26,826 船の進路に狂いが生じています。 127 00:10:26,826 --> 00:10:28,761 (船内アラート) 128 00:10:28,761 --> 00:10:34,100 <チクバが言うには 膨張宇宙が「収縮」に転じたらしい。➡ 129 00:10:34,100 --> 00:10:39,906 収縮の果てに 宇宙は ついに無に帰るのか…> 130 00:10:39,906 --> 00:10:42,842 この先 どうなるのか見当がつきません。 131 00:10:42,842 --> 00:10:46,546 本船の安全についても 責任が取れません。 132 00:10:49,349 --> 00:10:55,154 もういい。 今後 一切の君の任務を解除する。 133 00:10:55,154 --> 00:10:58,024 長い間ご苦労だった。 134 00:10:58,024 --> 00:11:02,729 チクバ ありがとう。 135 00:11:06,466 --> 00:11:10,036 <これが最後のコールドスリープ。➡ 136 00:11:10,036 --> 00:11:12,906 全ては無に帰した。➡ 137 00:11:12,906 --> 00:11:16,209 時間も空間も➡ 138 00:11:16,209 --> 00:11:21,414 何もかもが無に帰したのだ> 139 00:11:39,432 --> 00:11:43,636 <全ては無に帰した…> 140 00:11:45,838 --> 00:11:48,308 現在位置 計測不能。 141 00:11:48,308 --> 00:11:53,613 計測のための回路を解除したのは あなた自身ではないですか? 142 00:11:53,613 --> 00:11:56,716 <…はずなのに> 143 00:11:58,484 --> 00:12:02,655 <すると これは何だ?➡ 144 00:12:02,655 --> 00:12:07,060 ぼくが さっきから眺めている これは…> 145 00:12:08,761 --> 00:12:32,652 ♬~ 146 00:12:37,824 --> 00:12:41,427 <脈動宇宙説というのがあった。➡ 147 00:12:41,427 --> 00:12:45,732 宇宙が収縮し 終えんを迎えたあと➡ 148 00:12:45,732 --> 00:12:48,735 再びビッグバンによって再生するという> 149 00:12:50,403 --> 00:12:54,907 <とすると これは再生された地球なのか。➡ 150 00:12:54,907 --> 00:12:57,710 素粒子一つ一つに至るまで➡ 151 00:12:57,710 --> 00:13:00,813 そっくりそのままの> 152 00:13:02,348 --> 00:13:06,252 <紛れもなく 地球の大気だ> 153 00:13:08,554 --> 00:13:10,957 ああ…。 154 00:13:12,792 --> 00:13:14,794 あっ…。 155 00:13:16,462 --> 00:13:18,898 寒い…。 156 00:13:18,898 --> 00:13:27,674 (ロケットの発射音) 157 00:13:27,674 --> 00:13:33,579 出発したんだ。 二度と帰らない旅に…。 158 00:13:37,016 --> 00:13:39,952 あれは…。 159 00:13:39,952 --> 00:14:25,565 ♬~ 160 00:14:30,236 --> 00:14:57,230 ♬~