1 00:00:33,515 --> 00:00:45,093 ♬~ 2 00:00:45,093 --> 00:00:47,596 (清)大病? 3 00:00:47,596 --> 00:00:50,098 兄さんが? 4 00:00:50,098 --> 00:00:53,001 (熊吉) 話すかどうか迷ったけんど➡ 5 00:00:53,001 --> 00:00:56,872 ここまで一緒に来てよ 隠す訳にゃあいかにゃあ。 6 00:00:56,872 --> 00:01:03,612 先生は 立つこんもできにゃあ 大病にかかってるだ。 7 00:01:03,612 --> 00:01:09,484 (到)予定どおり 来年の春まで 観測は続けられる…。 8 00:01:09,484 --> 00:01:12,484 一生のお願いだ。 9 00:01:15,624 --> 00:01:18,527 元気でいたと言ってくれ。 10 00:01:18,527 --> 00:01:21,496 このとおり。 11 00:01:21,496 --> 00:01:24,633 (重三郎) 奥さんも 体壊してるだ。➡ 12 00:01:24,633 --> 00:01:29,137 なのに 無理してよ 気象観測 続けてるだ。 13 00:01:29,137 --> 00:01:32,574 (熊吉)先生と約束しただ。➡ 14 00:01:32,574 --> 00:01:37,574 このこん 山下りても 絶対 人に言わにゃあってよ。 15 00:01:43,585 --> 00:01:47,455 (和田)「野中 到氏慰問のため 富士登山敢行。➡ 16 00:01:47,455 --> 00:01:50,455 夫妻 健康に異常なし」。 17 00:01:52,594 --> 00:01:55,497 (勝良)ご心配をおかけしました。 18 00:01:55,497 --> 00:01:59,467 清君も 足の凍傷は 特に問題ないようです。 19 00:01:59,467 --> 00:02:03,605 御殿場の宿で しばし休養を。 20 00:02:03,605 --> 00:02:06,605 何よりです みんな 無事で…。 21 00:02:24,626 --> 00:02:30,498 ♬~ 22 00:02:30,498 --> 00:02:35,570 そうきゃ 旦那さんも 奥さんも。 23 00:02:35,570 --> 00:02:50,585 ♬~ 24 00:02:50,585 --> 00:02:56,091 元気にしとるそうよ 観測も順調にいきよるって。 25 00:02:56,091 --> 00:02:59,594 そげんなら よかった。 26 00:02:59,594 --> 00:03:05,467 園子 あとは あなたよ。 園子。 27 00:03:05,467 --> 00:03:19,467 ♬~ 28 00:03:28,623 --> 00:03:34,623 園子の事が 気がかりか? 29 00:03:37,432 --> 00:03:43,432 前は よく夢に出てきてくれたのに 今は 全く。 30 00:03:52,580 --> 00:03:59,580 帰ってやってくれ 園子のもとに。 31 00:04:02,090 --> 00:04:09,090 春になったら お前だけでも。 32 00:04:15,603 --> 00:04:23,478 ♬~ 33 00:04:23,478 --> 00:04:30,618 「明治の女は 強くあらねばならない」。 34 00:04:30,618 --> 00:04:33,521 ♬~ 35 00:04:33,521 --> 00:04:37,425 幼い頃から 母に そう教えられました。 36 00:04:37,425 --> 00:04:46,568 妻として強くあれ。 夫を支え 精いっぱい尽くせと。 37 00:04:46,568 --> 00:04:51,439 ♬~ 38 00:04:51,439 --> 00:04:57,439 あなたが ここで死ぬなら 私も死にます。 39 00:05:01,583 --> 00:05:07,583 あなたが生きるなら 私も。 40 00:05:10,592 --> 00:05:19,601 お前といると なかなか死ねそうにないな。 41 00:05:19,601 --> 00:05:45,601 ♬~ 42 00:05:56,437 --> 00:06:01,576 清さん みんなが お見送りに来てるだよ。 43 00:06:01,576 --> 00:06:03,576 ああ…。 44 00:06:11,586 --> 00:06:16,586 (けさ)あの~ これ 汽車ん中で食べてくんな。 45 00:06:18,459 --> 00:06:25,600 馬の用意は できてるだ。 どうかよう お体 大事に。 46 00:06:25,600 --> 00:06:29,600 皆さん ありがとうございます。 47 00:06:32,407 --> 00:06:36,044 地元の皆さんの 温かいご支援を受け➡ 48 00:06:36,044 --> 00:06:39,544 兄 野中 到は 無事…。 49 00:06:43,551 --> 00:06:47,051 現在も 気象観測を…。 50 00:06:50,058 --> 00:06:55,558 そして 姉 千代子も…。 51 00:07:17,585 --> 00:07:23,458 (千代子)今日は 晴れです。 気温は マイナス18度。 52 00:07:23,458 --> 00:07:28,458 随分暖かい いいお天気ですよ。 53 00:07:35,970 --> 00:07:38,907 重体です。 54 00:07:38,907 --> 00:07:42,543 兄は…。 55 00:07:42,543 --> 00:07:45,446 姉も 本当は重体です。 56 00:07:45,446 --> 00:07:50,418 このままにしておけば 必ず死にます。 57 00:07:50,418 --> 00:07:54,555 ♬~ 58 00:07:54,555 --> 00:08:00,428 すみません やっぱり 僕は家族なので➡ 59 00:08:00,428 --> 00:08:03,564 黙っている事はできません。 60 00:08:03,564 --> 00:08:07,435 早く 村長に知らせるだ。 おい。 61 00:08:07,435 --> 00:08:09,437 は… はい。 62 00:08:09,437 --> 00:08:17,578 ♬~ 63 00:08:17,578 --> 00:08:20,248 到君が 重体…。 64 00:08:20,248 --> 00:08:24,585 申し訳ありません 黙っておりまして。 65 00:08:24,585 --> 00:08:30,091 (勝良)今や 観測を一日12回 続けているのは 千代子で➡ 66 00:08:30,091 --> 00:08:36,898 それも ようやっと体にむち打って という事のようです。 67 00:08:36,898 --> 00:08:39,901 (清) 兄さんの気持ちは 分かります。➡ 68 00:08:39,901 --> 00:08:45,540 あれだけ時間をかけ 準備をして 今や 国中に期待されて➡ 69 00:08:45,540 --> 00:08:48,042 おめおめと 山を下りる事はできない。 70 00:08:48,042 --> 00:08:51,913 それは 分かります。 ですが➡ 71 00:08:51,913 --> 00:08:55,917 病気になったら 下山するのが 当たり前です。 72 00:08:55,917 --> 00:09:01,417 出直すのが 当たり前です。 これでは 犬死にも同然。 73 00:09:04,492 --> 00:09:09,430 元はといえば こちらが勝手に動いた事です。 74 00:09:09,430 --> 00:09:14,569 到を助けてくれと お頼みする訳にはまいりません。 75 00:09:14,569 --> 00:09:17,569 私たちは ただ 事実を。 76 00:09:28,082 --> 00:09:32,520 直ちに 御殿場へ向かいます。 77 00:09:32,520 --> 00:09:37,520 地元警察と協力し 救援隊の編成を。 78 00:09:39,394 --> 00:09:44,532 犬死になどさせません 必ず ご夫妻を助けます。 79 00:09:44,532 --> 00:09:49,404 この和田の首を懸けてでも。 80 00:09:49,404 --> 00:09:52,404 ありがとうございます。 81 00:09:57,545 --> 00:10:00,545 (只圓)ご苦労さん。 82 00:10:14,562 --> 00:10:16,562 千代子…。 83 00:10:18,900 --> 00:10:20,935 救援隊? 84 00:10:20,935 --> 00:10:29,077 やはり 千代子は 具合が…。 特に 到君は 重体のごたる。 85 00:10:29,077 --> 00:10:35,583 世間に騒がれんうちに 救援隊ば やって 下山させるらしか。 86 00:10:35,583 --> 00:10:38,486 (園子)ゴホッ ゴホッ…。 (只圓)おお 園子。 87 00:10:38,486 --> 00:10:40,455 早く とみ子に知らせんと…。 88 00:10:40,455 --> 00:10:43,458 さっき 出ていきよったが。 え? 89 00:10:43,458 --> 00:11:46,587 ♬~ 90 00:11:46,587 --> 00:11:49,490 (重三郎)あっ…。 91 00:11:49,490 --> 00:11:52,490 来なすったずら。 92 00:11:58,599 --> 00:12:02,470 ご苦労さんです。 御厨警察署長 筑紫であります。 93 00:12:02,470 --> 00:12:04,472 どうも 和田です。 94 00:12:04,472 --> 00:12:07,608 村長より 仰せつかって 代表で参りました さあ 早う中へ。 95 00:12:07,608 --> 00:12:10,108 人目に つかにゃあうちに。 96 00:12:12,113 --> 00:12:15,616 これか。 この かんじき。 97 00:12:15,616 --> 00:12:18,119 鍛冶屋は 何と? 98 00:12:18,119 --> 00:12:23,624 なんぼ腕のええ職人でも 1組作んにゃ 丸々一日かかんだ。 99 00:12:23,624 --> 00:12:29,497 急ぐんなら 何人かで 手分けしにゃあと 駄目だってよ。 100 00:12:29,497 --> 00:12:32,900 しかたない。 この辺りの鍛冶屋 全て当たってくれ。 101 00:12:32,900 --> 00:12:34,835 へえ 分かったずら。 102 00:12:34,835 --> 00:12:37,071 (筑紫)絶対 このこんは 漏らさんようにな。 103 00:12:37,071 --> 00:12:39,974 もし 新聞屋に嗅ぎつかれてよ 騒ぎになったら➡ 104 00:12:39,974 --> 00:12:43,474 救援活動どこじゃにゃあからよ。 へい。 105 00:12:45,580 --> 00:12:50,084 まず 何か所かに 基地を分ける。 (與平治)基地だ? 106 00:12:50,084 --> 00:12:53,588 1つは 御殿場口の太郎坊。➡ 107 00:12:53,588 --> 00:12:56,490 ここに 救援用の物資を集める。➡ 108 00:12:56,490 --> 00:12:59,490 次に 3合目。 109 00:13:01,462 --> 00:13:05,600 ここの小屋にも 燃料や食料を。 火も絶やさずに。 110 00:13:05,600 --> 00:13:09,470 3合目みゃでは 簡単な服装でも行けるだ。 111 00:13:09,470 --> 00:13:12,473 次に 8合目。➡ 112 00:13:12,473 --> 00:13:16,611 ここにも 食料と燃料。➡ 113 00:13:16,611 --> 00:13:19,611 そして 頂上にも。 114 00:13:21,482 --> 00:13:25,119 浅間神社前の石室小屋。 115 00:13:25,119 --> 00:13:27,622 浅間神社前? 116 00:13:27,622 --> 00:13:32,393 ほんまに小屋はあるけんど…。 無理だら 凍ってるだ。 117 00:13:32,393 --> 00:13:36,564 なんとかして 掘り砕く。 そこにも 食料と燃料。 118 00:13:36,564 --> 00:13:39,467 我々救援隊の 安全確保の意味もあります。 119 00:13:39,467 --> 00:13:43,437 とにかく 行って 状況を見ましょう。 120 00:13:43,437 --> 00:13:45,573 頼んだぞ。 121 00:13:45,573 --> 00:13:47,573 へえ。 122 00:13:49,443 --> 00:13:55,916 (助五郎)ほう~。 うめ~く作ったもんだあ。➡ 123 00:13:55,916 --> 00:13:59,253 これを 雪沓の底に くっつけたらよ➡ 124 00:13:59,253 --> 00:14:04,091 どんなに硬え氷の上でも 歩けるだら。 125 00:14:04,091 --> 00:14:09,597 (與平治)頼むわ。 お前ら 鍛冶屋の力が 絶対必要なんだ。 126 00:14:09,597 --> 00:14:13,100 お二人が死んじまったら 御殿場の恥だ。 127 00:14:13,100 --> 00:14:17,605 このかんじき見りゃよ 先生がどんな人だか分かるだ。 128 00:14:17,605 --> 00:14:22,476 絶対 人数分 仕上げてみせるだ。 なあ みんな。 129 00:14:22,476 --> 00:14:24,478 (一同)おう! 130 00:14:24,478 --> 00:14:27,478 やってやろうじゃねえか! 任しとけ! 131 00:14:29,617 --> 00:14:35,423 (とみ子)覚悟はしとったけど 救援隊が出るごとなるとは…。 132 00:14:35,423 --> 00:14:40,561 ばってん 考えようによっては これで助かるかもしれん。 133 00:14:40,561 --> 00:14:44,432 これだけ多くの人が ご心配下さっとる訳だから。 134 00:14:44,432 --> 00:14:49,070 でも 山は 登るとより 下りる方が難しかけん。 135 00:14:49,070 --> 00:14:54,575 そげな弱った体で 冬の山ば下りれるとでしょうか? 136 00:14:54,575 --> 00:14:57,478 救助の人にだって 何かあったら…。 137 00:14:57,478 --> 00:15:02,917 あなたは 昔から 物事ば 悪く悪く考える癖があるたいねえ。 138 00:15:02,917 --> 00:15:05,586 姉さんは 良く考え過ぎなんですよ。 139 00:15:05,586 --> 00:15:08,489 出来た。 (園子)ゴホッ ゴホッ…。 140 00:15:08,489 --> 00:15:12,460 どうしたの? えっ? 141 00:15:12,460 --> 00:15:15,596 あっ 血…。 142 00:15:15,596 --> 00:15:19,467 あ… あ… お医者さんば…。 お願い! 143 00:15:19,467 --> 00:15:24,271 園子 園子… 園子! 144 00:15:24,271 --> 00:15:33,547 ♬~ 145 00:15:33,547 --> 00:15:36,050 (井岡)失礼! 146 00:15:36,050 --> 00:15:39,553 私 東京日報記者の 井岡と申します。 147 00:15:39,553 --> 00:15:42,456 野中夫妻について 伺いたい事が。 148 00:15:42,456 --> 00:15:45,426 わしゃ 何も知らにゃあ。 149 00:15:45,426 --> 00:15:49,426 もう記事に出ています。 はあ? 150 00:15:51,565 --> 00:15:56,437 他社です。 やられました。 是非 何か情報を。 151 00:15:56,437 --> 00:15:58,437 はあ…。 152 00:16:00,574 --> 00:16:09,583 (重三郎)今頃よ 新聞記者が いっぴゃあ来てるだら。 153 00:16:09,583 --> 00:16:15,083 (恵造) だけんどよ かんじきがなきゃあ 登っちゃあこれにゃあだ。 154 00:16:17,458 --> 00:16:23,458 (和田)急がないと。 まず 目指すのは 8合目だ。 155 00:16:46,420 --> 00:16:48,420 千代子。 156 00:16:51,559 --> 00:16:55,559 今日は おじい様の命日だ。 157 00:17:00,568 --> 00:17:09,577 そうですね。 野中のおじい様 お懐かしいわ。 158 00:17:09,577 --> 00:17:12,480 [ 回想 ] (閑哉)おお 来よったか。 159 00:17:12,480 --> 00:17:15,449 いとこの千代子たい。 160 00:17:15,449 --> 00:17:18,449 こんにちは。 こんにちは。 161 00:17:22,590 --> 00:17:31,398 昔 父上が役人として 地方を転々としてた頃➡ 162 00:17:31,398 --> 00:17:41,398 預けられ さんざん叱られ 鍛えられた。 163 00:17:43,544 --> 00:17:47,544 厳しいお方でしたから。 164 00:17:55,556 --> 00:17:59,059 お好きだったお麩の吸い物。 165 00:17:59,059 --> 00:18:04,559 それに これは 氷砂糖の代わりです。 166 00:18:06,567 --> 00:18:10,070 あのキラキラした砂糖は➡ 167 00:18:10,070 --> 00:18:15,576 食べるより 見ている方がいい などと おっしゃっていたな。 168 00:18:15,576 --> 00:18:20,576 形ばかりのお供え物ですが。 169 00:18:29,590 --> 00:18:36,397 ♬~ 170 00:18:36,397 --> 00:18:42,397 何の話をしている? おじい様と。 171 00:18:44,538 --> 00:18:48,042 昔の話。 172 00:18:48,042 --> 00:18:54,915 おじい様 山に連れていったり 竹刀を振らせたり➡ 173 00:18:54,915 --> 00:18:59,553 天気の事を教えたり。 174 00:18:59,553 --> 00:19:04,425 今の到さんを作った方だから。 175 00:19:04,425 --> 00:19:11,565 どうか 観測が成功するよう お導き下さい。 176 00:19:11,565 --> 00:19:17,565 到さんをお守り下さいと。 177 00:19:22,576 --> 00:19:26,080 俺も 同じ事を。 178 00:19:26,080 --> 00:19:28,582 え? 179 00:19:28,582 --> 00:19:35,389 お前の具合が 少しでも よくなるよう➡ 180 00:19:35,389 --> 00:19:39,526 見ていて下さいと。 181 00:19:39,526 --> 00:19:52,539 ♬~ 182 00:19:52,539 --> 00:19:58,412 ≪(恵造)お~い! 聞こえるか~!?➡ 183 00:19:58,412 --> 00:20:03,550 野中さん 生きてるか!? 184 00:20:03,550 --> 00:20:06,453 野中さ~ん! 185 00:20:06,453 --> 00:20:09,423 ≪今 戸を開けますから。 186 00:20:09,423 --> 00:20:13,560 凍っちまってるから 開けるのは 大変だ! 187 00:20:13,560 --> 00:20:19,560 返事だけよ してくんなあ! 野中先生は 大丈夫か? 188 00:20:21,435 --> 00:20:26,435 ≪(恵造)声だけでもよ 聞かせてもらえにゃあか? 189 00:20:31,578 --> 00:20:37,451 おかげさまで 無事です。 けれど 今 休んでおりますので。 190 00:20:37,451 --> 00:20:42,589 (重三郎)おらっちは ゆうべ 浅間神社の前の小屋に泊まっただ。 191 00:20:42,589 --> 00:20:46,589 8合目にゃ 和田先生が来てるだ! 192 00:20:48,462 --> 00:20:53,100 用意ができ次第 明日の昼頃には みんなでよ➡ 193 00:20:53,100 --> 00:20:59,100 お二人を助けに来るだ。 それまでよ 待っててくんな! 194 00:21:13,487 --> 00:21:17,624 和田先生が見えるのか? 195 00:21:17,624 --> 00:21:26,633 ♬~ 196 00:21:26,633 --> 00:21:30,504 (和田)鶴吉君 熊吉君。➡ 197 00:21:30,504 --> 00:21:35,442 もし 野中夫妻を背負って 下りるとしたら➡ 198 00:21:35,442 --> 00:21:38,579 どこをどう通るか 考えてくれないか。 199 00:21:38,579 --> 00:21:41,081 背負うのかよ? 200 00:21:41,081 --> 00:21:45,586 もはや 自力で歩く事は 困難だと考えた方がいい。 201 00:21:45,586 --> 00:21:51,458 だから 背負って下りてもらう。 その際 道が出来ていないと➡ 202 00:21:51,458 --> 00:21:56,096 足でも滑らせたら 一巻の終わりだ。 203 00:21:56,096 --> 00:22:00,968 (恵造)そういやあ 9合目には 氷の斜面があるだ。 204 00:22:00,968 --> 00:22:03,971 あそこだけは しっかり足場切らにゃあと➡ 205 00:22:03,971 --> 00:22:06,771 とんでもにゃあこんに なるだ。 206 00:22:08,609 --> 00:22:11,512 よし。 では こうしよう。 207 00:22:11,512 --> 00:22:16,116 明日の朝 私と熊吉君たちは 山頂へ。➡ 208 00:22:16,116 --> 00:22:22,623 重三郎君は 残りの者を指揮し 9合目の氷に 足場を刻む作業。 209 00:22:22,623 --> 00:22:27,127 恵造さんは ここで 火を守り 食事の用意をしながら➡ 210 00:22:27,127 --> 00:22:30,030 皆が下りてくるのを待つ。 211 00:22:30,030 --> 00:22:34,935 必ず 明日のうちに 野中夫妻を救出する。 212 00:22:34,935 --> 00:22:37,571 (一同)へい! 213 00:22:37,571 --> 00:22:43,571 ♬~ 214 00:22:51,585 --> 00:22:59,459 和田先生なら… 話せば きっと分かって下さる。 215 00:22:59,459 --> 00:23:04,598 無理に下山しろとは おっしゃるまい。 216 00:23:04,598 --> 00:23:07,598 必ず 力になって下さる。 217 00:23:12,472 --> 00:23:19,472 俺には 何か 薬… 野菜や果物…。 218 00:23:21,615 --> 00:23:27,487 そのような物があれば 必ず治る。 219 00:23:27,487 --> 00:23:31,487 そうすれば 観測に戻れる。 220 00:23:33,560 --> 00:23:38,432 そうだ… そのご相談を…。 221 00:23:38,432 --> 00:23:43,570 (戸をたたく音) ≪(熊吉)旦那さん! 熊吉ずら!➡ 222 00:23:43,570 --> 00:23:46,570 和田先生が来なすってるだ! 223 00:23:50,444 --> 00:23:55,582 (戸をたたく音) ≪(熊吉)旦那さん! 224 00:23:55,582 --> 00:24:00,454 (戸をたたく音) 225 00:24:00,454 --> 00:24:04,091 ≪(熊吉)奥さん! 226 00:24:04,091 --> 00:24:08,591 今 開くようにします。 少々お待ち下さい。 227 00:24:40,560 --> 00:24:42,860 お願いします。 228 00:24:54,574 --> 00:24:57,477 ≪(熊吉)せ~の! 229 00:24:57,477 --> 00:25:11,591 (風の音) 230 00:25:11,591 --> 00:25:58,591 ♬~ 231 00:26:02,576 --> 00:26:06,076 ただいま お茶を。 232 00:26:11,585 --> 00:26:15,585 (和田)いや すぐにたつ。 233 00:26:23,597 --> 00:26:29,597 野中君 長い間 ご苦労だった。 234 00:26:31,405 --> 00:26:34,705 よく これまで頑張ってくれた。 235 00:26:36,877 --> 00:26:43,750 君が 富士山頂の冬季気象観測に 挑んだその功績は➡ 236 00:26:43,750 --> 00:26:47,521 多大なものがある。 237 00:26:47,521 --> 00:26:55,521 中央気象台長に代わって 心から お礼を申し上げる。 238 00:27:12,579 --> 00:27:20,579 だが その体では これ以上は無理だ。 239 00:27:23,590 --> 00:27:26,493 山を下りよう。➡ 240 00:27:26,493 --> 00:27:33,400 富士山は 決して逃げやしない。 来年も再来年も 冬は やって来る。 241 00:27:33,400 --> 00:27:37,537 今年は ひとまず取りやめて 体を治して➡ 242 00:27:37,537 --> 00:27:41,537 来年 改めて出直したまえ。 243 00:27:47,547 --> 00:27:54,888 ですが… その保証は? 244 00:27:54,888 --> 00:27:58,588 保証? 245 00:28:01,561 --> 00:28:08,435 来年 また できるという保証は あるのでしょうか? 246 00:28:08,435 --> 00:28:15,575 一度下山すれば ある事ない事 何らかの理由をつけて➡ 247 00:28:15,575 --> 00:28:24,584 この計画自体 流れるという事も 大いにあります。 248 00:28:24,584 --> 00:28:29,584 お役所とは そういうところです。 249 00:28:31,391 --> 00:28:37,531 だが 君は その役所の命を受け この任務に就いている。 250 00:28:37,531 --> 00:28:41,401 責任者である私も こうして来ている。 251 00:28:41,401 --> 00:28:45,405 計画は中止 直ちに下山。 252 00:28:45,405 --> 00:28:48,542 これは 官命だ。 253 00:28:48,542 --> 00:28:51,042 官命? 254 00:28:55,048 --> 00:28:57,951 和田先生。 255 00:28:57,951 --> 00:29:02,556 清たちが 何と言ったか知りませんが➡ 256 00:29:02,556 --> 00:29:06,426 私は 病気ではない。 257 00:29:06,426 --> 00:29:13,567 野菜や果物を食べれば すぐによくなる。 258 00:29:13,567 --> 00:29:19,439 私たちの事を 気遣って下さるなら➡ 259 00:29:19,439 --> 00:29:26,439 どうか… どうか そのような支援を…。 260 00:29:30,016 --> 00:29:34,521 君の気持ちは よく分かる。 261 00:29:34,521 --> 00:29:38,391 だが これは 官命だ。 262 00:29:38,391 --> 00:29:43,530 下山せよという 上からの命令なんだ。 263 00:29:43,530 --> 00:29:48,401 だったら その証拠を見せて頂きましょう。 264 00:29:48,401 --> 00:29:54,541 官命というぐらいなら ちゃんとした文書があるはずだ! 265 00:29:54,541 --> 00:30:00,046 ゴホッ ゴホッゴホッ…。 266 00:30:00,046 --> 00:30:02,949 野中君。 267 00:30:02,949 --> 00:30:06,449 君は 病気だ。 268 00:30:09,556 --> 00:30:13,059 この先 風が強くなる。 269 00:30:13,059 --> 00:30:17,564 ご夫妻を担ぎ下ろす 準備をして下さい。 270 00:30:17,564 --> 00:30:25,564 ♬~ 271 00:30:29,576 --> 00:30:34,447 お願いします 先生。 272 00:30:34,447 --> 00:30:39,586 どうか 観測を続けさせて下さい。 273 00:30:39,586 --> 00:30:44,586 このまま主人を ここに置いてやって下さい。 274 00:30:47,460 --> 00:30:52,599 続けさせて下さい お願いします 先生。 275 00:30:52,599 --> 00:30:55,599 これは 官命です。 276 00:31:06,613 --> 00:31:10,116 では 申し上げますが➡ 277 00:31:10,116 --> 00:31:15,989 その水銀晴雨計は 山頂の環境に 耐えられず 壊れてしまいました。 278 00:31:15,989 --> 00:31:21,127 ほかにも 気象台から借りた機器が 次々に壊れ➡ 279 00:31:21,127 --> 00:31:26,627 その負担が 主人の体力を奪いました。 280 00:31:28,635 --> 00:31:31,538 何が言いたい? 281 00:31:31,538 --> 00:31:35,075 苦情を申し上げているのでは ありません。 282 00:31:35,075 --> 00:31:39,946 そんな中でも 可能な限り 観測を続けてきたのです。 283 00:31:39,946 --> 00:31:44,084 その数字の変化は とても意味のあるものと…。 284 00:31:44,084 --> 00:31:48,584 直ちに ここを閉めます。 和田先生! 285 00:31:50,590 --> 00:31:53,093 あなたは 帰りたくないんですか? 286 00:31:53,093 --> 00:31:55,595 会いたくないんですか? 娘さんに。 287 00:31:55,595 --> 00:31:58,498 そばで 看病したくはないんですか? 288 00:31:58,498 --> 00:32:01,468 看病? 289 00:32:01,468 --> 00:32:07,107 看病って どういう事ですか? 園子に 何が…? 290 00:32:07,107 --> 00:32:14,607 いや 別に。 すまない ご主人の事と混同してしまって。 291 00:32:19,619 --> 00:32:23,619 どういう事ですか!? 教えて下さい! 292 00:32:26,493 --> 00:32:29,493 園子…。 293 00:32:31,564 --> 00:32:36,436 (熊吉)奥さん! 294 00:32:36,436 --> 00:32:40,436 おい! おい! 295 00:32:45,578 --> 00:32:48,481 園子が? 296 00:32:48,481 --> 00:32:53,981 病気だそうだ。 肺炎だと。 297 00:32:56,589 --> 00:33:00,460 (和田) すまない 口止めされていた。➡ 298 00:33:00,460 --> 00:33:07,460 だが こうなった以上 下山を勧める訳を分かってくれ。 299 00:33:09,602 --> 00:33:15,475 待っている人が いるんだよ 君や奥さんを。 300 00:33:15,475 --> 00:33:22,615 「助けてくれ」と言いに来た清君。 頭を下げられた お父上の心中。 301 00:33:22,615 --> 00:33:32,058 そして 何より 本当に 気象学を発展させたいなら➡ 302 00:33:32,058 --> 00:33:37,931 真に観測の成功を祈るなら➡ 303 00:33:37,931 --> 00:33:41,431 ここで死んでは駄目だ。 304 00:33:43,570 --> 00:33:50,443 犠牲者が出た そら見ろ やはり 高所観測など必要ない。 305 00:33:50,443 --> 00:33:55,582 そうして 研究が遅れる。 306 00:33:55,582 --> 00:34:01,454 それは 君も本望ではないはずだ。 307 00:34:01,454 --> 00:34:26,454 ♬~ 308 00:34:54,574 --> 00:34:57,574 千代子。 309 00:35:04,083 --> 00:35:09,583 ひとまず 山を下りよう。 310 00:35:24,470 --> 00:36:52,458 ♬~ 311 00:36:52,458 --> 00:36:55,458 (鶴吉)奥さん 行くだ。 312 00:36:57,230 --> 00:36:59,565 はい。 313 00:36:59,565 --> 00:37:43,543 ♬~ 314 00:37:43,543 --> 00:37:46,045 (重三郎)ふんばるだ~! 315 00:37:46,045 --> 00:37:48,948 引っ張られちゃ おしみゃあだ! 316 00:37:48,948 --> 00:37:52,448 野中君 もう少しだ 頑張れ! 317 00:37:54,554 --> 00:37:57,056 息が…。 318 00:37:57,056 --> 00:38:00,560 すまにゃあ 我慢してくんな。 319 00:38:00,560 --> 00:38:08,434 ♬~ 320 00:38:08,434 --> 00:38:12,572 寝んなよ 目ぇ開けるだ! 321 00:38:12,572 --> 00:38:39,532 ♬~ 322 00:38:39,532 --> 00:38:43,402 (園子)お母様! 323 00:38:43,402 --> 00:38:59,402 ♬~ 324 00:39:09,529 --> 00:39:16,529 あなた… あなた! 325 00:39:18,571 --> 00:39:21,474 到さんは どうしたんです? 326 00:39:21,474 --> 00:39:24,076 (恵造)気ぃ失ってるだ。➡ 327 00:39:24,076 --> 00:39:28,576 何ぼ呼んでもよ 何の反応もにゃあだ。 328 00:39:31,884 --> 00:39:36,522 あなた… ねえ あなた! 329 00:39:36,522 --> 00:39:38,522 あなた! 330 00:39:41,394 --> 00:39:44,394 (熊吉)うっ…。 331 00:39:52,004 --> 00:39:54,504 (床をたたく音) 332 00:39:56,542 --> 00:40:02,415 もっと温めよう。 体温が戻れば きっと 野中君は 目を覚ます。 333 00:40:02,415 --> 00:40:05,415 (重三郎)先生! 334 00:40:13,559 --> 00:40:16,462 先生! 335 00:40:16,462 --> 00:40:19,432 こうすりゃ ちょっとでもよ…。 336 00:40:19,432 --> 00:40:21,434 おい お前 足! 足 こすれ! 337 00:40:21,434 --> 00:40:24,070 先生! 目ぇ覚まして下さい! 338 00:40:24,070 --> 00:40:26,973 あなた! 石をぬくめるだ。 おう。 339 00:40:26,973 --> 00:40:29,942 毛布くんな! 俺の懐炉を使ってくんな! 340 00:40:29,942 --> 00:40:32,942 あなた… ねえ あなた! 341 00:40:37,583 --> 00:40:41,454 う… ゴホッ ゴホッ…。 342 00:40:41,454 --> 00:40:44,454 ゴホッ ゴホッ…。 343 00:40:52,598 --> 00:40:54,533 あなた…。 344 00:40:54,533 --> 00:40:57,533 おお 目覚めたか…。 345 00:41:04,610 --> 00:41:11,110 千代子? はい ここにいます。 346 00:41:15,121 --> 00:41:19,992 なぜ こんなに暗い? 347 00:41:19,992 --> 00:41:22,492 え? 348 00:41:24,630 --> 00:41:29,630 痛い… 目が。 349 00:41:35,574 --> 00:41:39,445 それに…➡ 350 00:41:39,445 --> 00:41:42,445 何も見えない。 351 00:41:44,583 --> 00:41:47,583 先生。 352 00:41:49,455 --> 00:41:55,594 もしかして 目に凍傷を受けたのかもしれない。 353 00:41:55,594 --> 00:41:58,497 (恵造)凍傷…。 354 00:41:58,497 --> 00:42:02,468 (和田)明日下山したら すぐに医者に診せよう。 355 00:42:02,468 --> 00:42:19,618 ♬~ 356 00:42:19,618 --> 00:42:22,521 あっ ねえ あれ! 357 00:42:22,521 --> 00:42:27,493 そうだよ 帰ってきただよ! 358 00:42:27,493 --> 00:42:33,566 ♬~ 359 00:42:33,566 --> 00:42:39,438 (重三郎)おじさん! (與平治)重三郎 大変だったな。 360 00:42:39,438 --> 00:42:43,576 ♬~ 361 00:42:43,576 --> 00:42:46,479 旦那さん! 旦那さん! えがった…。 362 00:42:46,479 --> 00:42:49,479 (つる)旦那さん。 (けさ)旦那さん! 363 00:42:51,450 --> 00:42:55,588 奥さん! よう頑張っただ。 364 00:42:55,588 --> 00:42:58,491 野中先生! 365 00:42:58,491 --> 00:43:01,460 野中先生だ! 先生が来たぞ! 366 00:43:01,460 --> 00:43:05,598 野中先生 帰ってきただよ! 野中先生! 367 00:43:05,598 --> 00:43:10,102 野中先生! 先生! 先生! 368 00:43:10,102 --> 00:43:13,005 こ… これは…。 369 00:43:13,005 --> 00:43:15,975 野中先生! よくぞ ご無事で! 370 00:43:15,975 --> 00:43:18,611 離れるだ ほら 離れるだ! 371 00:43:18,611 --> 00:43:21,113 (井岡) 野中先生 話を聞かせて下さい!➡ 372 00:43:21,113 --> 00:43:24,617 すいません すいません 野中さん。 私ですね➡ 373 00:43:24,617 --> 00:43:27,119 以前 取材をさせて頂いた…。 (和田)待った! 374 00:43:27,119 --> 00:43:30,022 取材は あとだ! ご夫妻を 早く医者に! 375 00:43:30,022 --> 00:43:31,957 そこを なんとか…。 376 00:43:31,957 --> 00:43:34,560 もう少しだ 頑張ってね 先生。 377 00:43:34,560 --> 00:43:41,434 お帰りなさい よくぞ ご無事で。 野中先生 よかったなあ! 378 00:43:41,434 --> 00:43:45,571 よう頑張ったなあ よう頑張ったなあ。 379 00:43:45,571 --> 00:43:50,571 ♬~ 380 00:43:54,580 --> 00:43:59,452 (三浦)やはり 栄養失調です。 381 00:43:59,452 --> 00:44:03,589 それに 過度の疲労。 382 00:44:03,589 --> 00:44:08,589 しばらく温かくして 寝ている方がいいでしょう。 383 00:44:10,262 --> 00:44:13,165 目は やはり 凍傷だと思われますが➡ 384 00:44:13,165 --> 00:44:17,603 そのうち 痛みが取れれば 見えるようになるでしょう。 385 00:44:17,603 --> 00:44:22,475 ありがとうございます。 386 00:44:22,475 --> 00:44:25,478 ≪(與平治)あの~ 野中先生。 387 00:44:25,478 --> 00:44:29,478 東京から お客さんずら。 388 00:44:39,558 --> 00:44:42,558 父上…。 389 00:44:44,430 --> 00:44:48,567 残念でした。 390 00:44:48,567 --> 00:44:52,438 何も言うな 到。 391 00:44:52,438 --> 00:44:57,576 今は 一日も早く体をよくする事だ。 392 00:44:57,576 --> 00:45:01,576 それが 世間様に対するお礼だ。 393 00:45:07,586 --> 00:45:11,586 千代子も ゆっくり休め。 394 00:45:16,595 --> 00:45:22,595 お母様… 園子は? 395 00:45:31,544 --> 00:45:37,416 園子に 何が? 396 00:45:37,416 --> 00:45:42,555 あの子は 無事ですか? 397 00:45:42,555 --> 00:45:44,555 それとも…。 398 00:45:46,425 --> 00:45:52,565 重い肺炎でした。 けれど 峠は越えました。 399 00:45:52,565 --> 00:45:57,436 ♬~ 400 00:45:57,436 --> 00:46:06,579 今は まだ 福岡の家にいます。 でも もう大丈夫。 401 00:46:06,579 --> 00:46:20,092 ♬~ 402 00:46:20,092 --> 00:46:24,597 お許し下さい…。 403 00:46:24,597 --> 00:46:28,100 お母様…。 404 00:46:28,100 --> 00:46:31,003 分かっています。 405 00:46:31,003 --> 00:46:35,541 本当に… 申し訳ないと。 406 00:46:35,541 --> 00:46:38,444 全て 私が…。 407 00:46:38,444 --> 00:46:41,046 分かっています。 408 00:46:41,046 --> 00:46:43,949 分かってますよ 千代子。 409 00:46:43,949 --> 00:46:49,555 ♬~ 410 00:46:49,555 --> 00:46:54,059 もし… あなたが後を追わなかったら➡ 411 00:46:54,059 --> 00:46:58,564 私は もう到と会えなかった。 412 00:46:58,564 --> 00:47:03,564 到を助けてくれて ありがとう。 413 00:47:05,437 --> 00:47:08,574 ありがとう 千代子。 414 00:47:08,574 --> 00:47:57,556 ♬~ 415 00:47:57,556 --> 00:48:00,459 (清)兄さん。 416 00:48:00,459 --> 00:48:03,429 どうですか? 目の方は。 417 00:48:03,429 --> 00:48:06,565 ああ もう だいぶ見えるように。 418 00:48:06,565 --> 00:48:12,438 しかし よかったですね 園子が無事で。 419 00:48:12,438 --> 00:48:17,438 今頃 姉さんも 福岡で涙の再会ですね。 420 00:48:19,578 --> 00:48:22,578 本当は…。 421 00:48:26,452 --> 00:48:31,690 分かっている。 俺のせいだ。 422 00:48:31,690 --> 00:48:34,490 何がですか? 423 00:48:38,464 --> 00:48:43,402 千代子に あれだけの苦労をかけた。 424 00:48:43,402 --> 00:48:46,402 園子にも。 425 00:48:48,540 --> 00:48:55,414 けれど 千代子は 決して 俺を責めない。 426 00:48:55,414 --> 00:48:58,414 ただの一度も文句を言わない。 427 00:49:00,552 --> 00:49:04,552 それが なんとも不憫で…。 428 00:49:08,427 --> 00:49:14,427 ですが 兄さんには やらなければならない事が。 429 00:49:16,568 --> 00:49:22,568 ここで 兄さんが諦めたら それこそ 報われない。 430 00:49:31,517 --> 00:49:58,544 ♬~ 431 00:49:58,544 --> 00:50:01,447 この後も 野中 到と千代子は➡ 432 00:50:01,447 --> 00:50:05,417 再び 富士山頂での 冬季観測を目指した。 433 00:50:05,417 --> 00:50:09,054 しかし 気象器械の問題➡ 434 00:50:09,054 --> 00:50:13,559 到自身の健康問題などから 断念せざるをえず➡ 435 00:50:13,559 --> 00:50:18,430 和田の助言もあって 地上で努力する事を決めた。 436 00:50:18,430 --> 00:50:23,569 まずは 東京を去り 佐藤茶屋の近くに居を構え➡ 437 00:50:23,569 --> 00:50:30,075 富士観象会を設立。 その拠点は 野中山と呼ばれた。 438 00:50:30,075 --> 00:50:35,581 これまでの功績をたたえ 褒章の話が持ち上がったが➡ 439 00:50:35,581 --> 00:50:41,581 「千代子と一緒でなければ」と 到は その栄誉を受けなかった。 440 00:50:46,592 --> 00:50:50,462 その後 千代子は 3男2女を産み➡ 441 00:50:50,462 --> 00:50:55,462 夫を助け 観測所設立に向け 尽力した。 442 00:50:59,605 --> 00:51:04,476 しかし 大正12年2月 悪性インフルエンザが流行。 443 00:51:04,476 --> 00:51:09,615 野中一家も これにかかり 病を押して 千代子が看病。 444 00:51:09,615 --> 00:51:16,488 家族たちが 快方に向かった頃 倒れる事となる。 445 00:51:16,488 --> 00:51:19,488 享年52。 446 00:51:22,628 --> 00:51:27,499 昭和7年 ようやく さまざまな条件がそろい➡ 447 00:51:27,499 --> 00:51:31,436 国立の気象観測所が建設された。 448 00:51:31,436 --> 00:51:41,580 ♬~ 449 00:51:41,580 --> 00:51:47,580 到は 3女 恭子を伴って 富士山頂に向かった。 450 00:51:50,589 --> 00:51:54,459 そして 再び出会う。 451 00:51:54,459 --> 00:52:01,600 ♬~ 452 00:52:01,600 --> 00:52:04,503 (恭子)あれが…。 453 00:52:04,503 --> 00:52:19,503 ♬~ 454 00:52:25,624 --> 00:52:30,624 (恭子)本当に ここで 気象観測をしていらしたなんて…。 455 00:52:56,588 --> 00:52:59,491 (恭子)ごめんなさい お父様。 456 00:52:59,491 --> 00:53:06,598 最初に このお話を聞いた時 信じられないって思いました。 457 00:53:06,598 --> 00:53:13,598 こんな大変な場所で まさか お母様が…。 458 00:53:17,609 --> 00:53:24,483 (恭子)そのあとも ずっと お父様の活動を支えて…。➡ 459 00:53:24,483 --> 00:53:28,483 愚痴も何もおっしゃらなくて。 460 00:53:30,622 --> 00:53:35,460 昔 聞いた事があるんです。 461 00:53:35,460 --> 00:53:40,432 「いつも お父様と一緒で 大変ではないの?➡ 462 00:53:40,432 --> 00:53:45,432 つらいって お思いになった事は?」って。 463 00:53:47,572 --> 00:53:50,475 一度もないわ。 464 00:53:50,475 --> 00:53:57,582 だって お父様は 私に夢をくれたのよ。 家族も。 465 00:53:57,582 --> 00:54:02,454 それ以上 必要なものって ある? 466 00:54:02,454 --> 00:54:19,604 ♬~ 467 00:54:19,604 --> 00:54:27,479 ♬「涙のような雨が降れば」 468 00:54:27,479 --> 00:54:35,554 ♬「私が傘を差しかける」 469 00:54:35,554 --> 00:54:44,563 ♬「風が泣いて寒い夜は」 470 00:54:44,563 --> 00:54:52,437 ♬「あなたが抱きしめてくれる」 471 00:54:52,437 --> 00:55:01,580 ♬「共に歩み共に生きて」 472 00:55:01,580 --> 00:55:10,088 ♬「ここまで来たけれど」 473 00:55:10,088 --> 00:55:14,593 ♬「二人でいられたから」 474 00:55:14,593 --> 00:55:18,463 ♬「怖いものはなかった」 475 00:55:18,463 --> 00:55:26,605 ♬「運命で結ばれた愛」 476 00:55:26,605 --> 00:55:42,888 ♬~ 477 00:55:42,888 --> 00:55:51,563 ♬「短すぎる秋の日差し」 478 00:55:51,563 --> 00:55:59,437 ♬「浴びて輝く横顔を」 479 00:55:59,437 --> 00:56:08,580 ♬「今まぶたに 焼き付けよう」 480 00:56:08,580 --> 00:56:16,454 ♬「二度と 忘れないために」 481 00:56:16,454 --> 00:56:25,030 ♬「嬉しいことも 悲しいことも」 482 00:56:25,030 --> 00:56:33,538 ♬「すべてが 愛しくて」 483 00:56:33,538 --> 00:56:38,043 ♬「二人にしかわからぬ」 484 00:56:38,043 --> 00:56:42,547 ♬「言葉を超えた言葉」 485 00:56:42,547 --> 00:56:50,055 ♬「今日もまた交し合うの」 486 00:56:50,055 --> 00:56:58,563 ♬「やがて長い冬が来ても」 487 00:56:58,563 --> 00:57:06,438 ♬「私のそばにいて」 488 00:57:06,438 --> 00:57:11,076 ♬「二人を 分かつ時が」 489 00:57:11,076 --> 00:57:15,580 ♬「たとえ 巡り来ようと」 490 00:57:15,580 --> 00:57:23,455 ♬「永遠に 生き続ける愛」 491 00:57:23,455 --> 00:57:28,093 ♬「二人を 分かつ時が」 492 00:57:28,093 --> 00:57:32,530 ♬「たとえ巡り来ようと」 493 00:57:32,530 --> 00:57:38,403 ♬「永遠に生き続ける愛」 494 00:57:38,403 --> 00:57:42,403 ♬~ 495 00:57:44,542 --> 00:57:49,414 野中 到は 89歳まで長寿を保ち➡ 496 00:57:49,414 --> 00:57:55,414 昭和30年2月 永遠の眠りについた。