1 00:00:03,710 --> 00:00:18,725 ♪ (テーマ曲) 2 00:00:18,725 --> 00:00:47,754 ♪ 3 00:00:47,754 --> 00:01:17,754 ♪ 4 00:02:47,673 --> 00:02:49,973 (斬九郎)暫時 お待ちを。 (犬の吠える声) 5 00:02:57,350 --> 00:02:59,350 ≪母上? 6 00:03:01,687 --> 00:03:04,287 母上! (麻佐女)何じゃ? 7 00:03:06,692 --> 00:03:10,029 この紙入れの中にあった 虎の子の二両。 8 00:03:10,029 --> 00:03:16,702 心当たり あるでしょう! その二両なら 拝借 致した。 9 00:03:16,702 --> 00:03:20,039 人に黙って 拝借するというのは そりゃ 猫ばばと言うんです! 10 00:03:20,039 --> 00:03:25,711 見苦しい。 やかましく騒ぐでない。 二両ぽっちのことで。 11 00:03:25,711 --> 00:03:29,382 ご返却 願いたい。 何に使うのじゃ? 12 00:03:29,382 --> 00:03:32,385 ≪(犬の吠える声) ですから 外に 犬…。 13 00:03:32,385 --> 00:03:34,387 どうだって いいじゃありませんか。 そんなことは! 14 00:03:34,387 --> 00:03:37,723 どうせ ろくなことではあるまい。 たまには 昼から 鰻でも食って⇒ 15 00:03:37,723 --> 00:03:39,725 きゅっと 一杯やろうかなと 思ったんですよ! 16 00:03:39,725 --> 00:03:43,396 「鰻」? 奇遇じゃな。 17 00:03:43,396 --> 00:03:45,996 ≪(よね)麻佐女様。 ご注文の品が 只今。 18 00:03:47,667 --> 00:03:50,670 あ あ… あとで 頂きましょう。 (よね)はい。 承知 致しました。 19 00:03:50,670 --> 00:03:52,670 ちょっと 待った。 ちょっと 待った。 20 00:03:57,343 --> 00:04:00,680 特上の 鰻重ではありませんか! 21 00:04:00,680 --> 00:04:04,684 さすが 母上。 私の気持ちなど 手に取るように。 ふふふ。 22 00:04:04,684 --> 00:04:08,020 よね。 早く おあがり。 はい はい。 とりあえず お釣りを。 23 00:04:08,020 --> 00:04:13,320 あれ? 母上の分は? 其方 蕎麦でも食べたら どうじゃ? 24 00:04:15,695 --> 00:04:19,365 あた… 私にはなくて よねには あるんですか!? 25 00:04:19,365 --> 00:04:24,704 よねは ろくに 給金ももらわず よく 働いてくれる。 26 00:04:24,704 --> 00:04:29,375 それに引き換え 其方はどうじゃ! 酒は食らう。 朝寝はする。 27 00:04:29,375 --> 00:04:32,378 稼ぎは ろくにない! 文句があるか? 28 00:04:32,378 --> 00:04:36,382 じゃあ 私は 鰻重など食べる 値打ちはないと⇒ 29 00:04:36,382 --> 00:04:38,718 そう おっしゃりたいのですか? 早く言えば そうじゃ。 30 00:04:38,718 --> 00:04:40,720 分かりました。 31 00:04:40,720 --> 00:04:43,723 母上が そういう お考えでしたら 私にも 考えがあります。 32 00:04:43,723 --> 00:04:46,392 何じゃ。 こんな家 出てってやる! 33 00:04:46,392 --> 00:04:48,661 待ちなさい! 九郎。 止めても 無駄です! 34 00:04:48,661 --> 00:04:52,661 止めはせぬ。 箸を置いていきなさい。 35 00:05:03,009 --> 00:05:06,345 (孫兵衛)お独り暮らしのな お武家様には格好の店が 一軒⇒ 36 00:05:06,345 --> 00:05:09,645 ちょうど 空いております。 ええ。 さあさあ どうぞ どうぞ。 37 00:05:14,353 --> 00:05:17,356 (おえん)こんな汚い所に 本気で お住みになるつもりですか? 38 00:05:17,356 --> 00:05:19,358 (斬九郎)ああ。 贅沢 言ってる 場合でもねえしな。 39 00:05:19,358 --> 00:05:21,360 佐次が ここって 推してくれたんだよな。 40 00:05:21,360 --> 00:05:24,363 (佐次)気に入って頂けるか どうか。 (おえん)およしなさいよ。⇒ 41 00:05:24,363 --> 00:05:27,033 蔦ちゃん 聞いたら ふん 鼻で笑われますよ。 42 00:05:27,033 --> 00:05:29,702 ふん! 鼻で笑われようが 何だろうがな⇒ 43 00:05:29,702 --> 00:05:32,705 二度と あの鰻婆あと 暮らせねえんだ! 44 00:05:32,705 --> 00:05:34,705 ≪(孫兵衛)こちらでございます。 45 00:05:41,714 --> 00:05:43,714 (斬九郎)ふうん。 46 00:05:47,319 --> 00:05:53,993 おう。 あれ? こいつぁ 恐れ入谷の鬼子母神だね。 えっ? 47 00:05:53,993 --> 00:05:55,995 ご丁寧に 何から何まで 揃ってやがる。 48 00:05:55,995 --> 00:05:58,998 (おえん)本当に 空き家なんでしょうね? 49 00:05:58,998 --> 00:06:01,333 (佐次)はい。 空き家でございますよ。 50 00:06:01,333 --> 00:06:05,337 店賃はな 月三百文で 結構でござります。 51 00:06:05,337 --> 00:06:08,674 (おえん)これで 「三百文」? 随分 安いじゃござんせんか。 52 00:06:08,674 --> 00:06:11,677 うむ。 まず ひと月 住んで頂いて⇒ 53 00:06:11,677 --> 00:06:17,349 何事もなければ 五百文に 値上げさせて頂くということで。 54 00:06:17,349 --> 00:06:19,685 ほう。 ≪(お染)南無阿弥陀仏。 南無阿弥陀仏。 55 00:06:19,685 --> 00:06:22,021 (お種)くわばら くわばら。 (お染) 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 56 00:06:22,021 --> 00:06:26,025 これ… これ! 縁起でもない。 やめとくれったら もう! 57 00:06:26,025 --> 00:06:32,698 早く 出てっとくれ! もう! 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 58 00:06:32,698 --> 00:06:36,368 何だ 今の!? あっ。 実は⇒ 59 00:06:36,368 --> 00:06:44,710 ここに 前 住んでた 独り暮らしの 婆さんが 去年の暮れに⇒ 60 00:06:44,710 --> 00:06:49,315 世をはかなんで く… 首…。 しいーっ。 61 00:06:49,315 --> 00:06:52,318 く… 首!? 首!? 首 吊ったのか!? 62 00:06:52,318 --> 00:06:58,657 はい。 ちょうど その お二人の いらっしゃる辺りで ぶらーんと。 63 00:06:58,657 --> 00:07:00,326 ひやーっ! 嫌だよ! 64 00:07:00,326 --> 00:07:01,994 けけけけけけ。 うわーっ! 65 00:07:01,994 --> 00:07:06,665 そ… それからというもの 妙な噂が立ちましてな。 66 00:07:06,665 --> 00:07:10,336 隣の内儀さんが 夜な夜な 不気味な 泣き声がすると。 67 00:07:10,336 --> 00:07:13,339 出るのか!? ですが まあ お武家様なら⇒ 68 00:07:13,339 --> 00:07:15,341 日頃から 修行も 積んでおいでで ございましょうから。 69 00:07:15,341 --> 00:07:17,676 冗談だろ! 幽霊は 斬れねえぜ。 70 00:07:17,676 --> 00:07:21,680 ですから 念のためにな そこに お札が貼ってございます。 71 00:07:21,680 --> 00:07:24,016 万一の場合には 茶箪笥の引き出しに⇒ 72 00:07:24,016 --> 00:07:26,352 お経と数珠も 入ってございます。 73 00:07:26,352 --> 00:07:29,688 私は 日が暮れませんうちに これで 失礼を致します。 74 00:07:29,688 --> 00:07:31,357 じゃ あっしも これで。 佐次! 75 00:07:31,357 --> 00:07:35,027 (おえん)ちょっと 待っておくれよ! 置いてかないでおくれよ! 76 00:07:35,027 --> 00:07:37,363 あっ。 ごゆっくり。⇒ 77 00:07:37,363 --> 00:07:39,698 ちょっと! 待っておくれよ! おい! 78 00:07:39,698 --> 00:07:47,640 (お染)南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 79 00:07:47,640 --> 00:07:53,240 あっ。 どこ!? どこ!? どこ!? どこ!? どこ!? 80 00:07:56,315 --> 00:08:02,321 はぁー。 ああー。 馬鹿馬鹿しい。 うわーっ! 81 00:08:02,321 --> 00:08:16,669 (夜回り)火の用心 さっさりましょう。⇒ 82 00:08:16,669 --> 00:08:34,669 火の用心 さっさりましょう。 火の用心~。 83 00:08:38,691 --> 00:08:46,691 ≪(すすり泣き) 出た!? 84 00:08:49,969 --> 00:08:53,305 ≪(千鶴)右近様。 お泣きになっては 嫌です。 85 00:08:53,305 --> 00:08:58,978 ≪(右近)はっ すいません。 泣くまいと思っても 自然に涙が。 86 00:08:58,978 --> 00:09:02,578 ≪(すすり泣き) 87 00:09:09,989 --> 00:09:14,994 (右近)これを。 醍醐に見つかっては おしまいです。 88 00:09:14,994 --> 00:09:17,663 なるべく 外へ出ないように。 89 00:09:17,663 --> 00:09:20,666 (千鶴) 醍醐三郎など 私 怖くありませぬ。 90 00:09:20,666 --> 00:09:23,669 見つかった時は 死ねばよいのですもの。 91 00:09:23,669 --> 00:09:28,674 千鶴殿。 その時は わたしも 生きてはおりませぬ。 92 00:09:28,674 --> 00:09:32,674 この世で 一緒になれぬものなら。 せめて あの世で一緒に。 93 00:09:35,347 --> 00:09:38,347 ≪こら。 おい。 94 00:09:41,020 --> 00:09:45,320 何者!? そいつは こっちが聞きてえよ。 95 00:09:47,026 --> 00:09:50,029 ここに 忍び込んで 何をなさっているのです? 96 00:09:50,029 --> 00:09:55,701 はあ? 住んでんのは俺だぜ。 忍び込んでるのは そっちだ。 97 00:09:55,701 --> 00:09:59,038 はぁー。 心中するんだったら ほかんとこで やってくんねえかな。 98 00:09:59,038 --> 00:10:03,042 ここは 人 一人 首くくって 死んでるんだぜ。 おい。 99 00:10:03,042 --> 00:10:05,642 来るでない。 来るな! 100 00:10:07,713 --> 00:10:14,053 ああっ! こら。 開けたら 閉めるだろ。 寒…。 101 00:10:14,053 --> 00:10:16,722 (右近)明日 参ります。 (千鶴)はい。 102 00:10:16,722 --> 00:10:19,322 作法ってもんがあるだろ。 作法ってもん…。 103 00:10:21,727 --> 00:10:23,727 (右近)うっ。 104 00:10:26,732 --> 00:10:31,737 あっ。 よっ! うわっ! 105 00:10:31,737 --> 00:10:33,737 ≪(物音) 106 00:10:36,742 --> 00:10:43,742 ≪(野菜売りの声) 107 00:10:45,417 --> 00:10:47,353 (斬九郎)なぁ 佐次。 (佐次)はい。 108 00:10:47,353 --> 00:10:50,689 店賃払ったら おけらになっちまった。 この分 貸しといて。 109 00:10:50,689 --> 00:10:54,360 あっ あのう 旦那。 それは いいんですけど⇒ 110 00:10:54,360 --> 00:10:58,364 昨夜 どうでした? 出たー! うわーっ! がっはは! 111 00:10:58,364 --> 00:11:00,699 で… 出ましたか!? やっぱり。 112 00:11:00,699 --> 00:11:03,369 年の頃なら 二十歳かそこいらの お姫さんがな。 113 00:11:03,369 --> 00:11:05,371 ひゃー! (梅吉)婆さんの幽霊じゃ なかったんすか? 114 00:11:05,371 --> 00:11:07,706 な? な? な? な? な? な? 115 00:11:07,706 --> 00:11:11,377 そこのお向かいの お嬢さんがさ ここが 空き家だと思って⇒ 116 00:11:11,377 --> 00:11:15,714 忍び込んで 逢引してやがったのよ。 117 00:11:15,714 --> 00:11:26,392 「逢引」!? な… 何。 そ… それが 幽霊の正体ですか。 ははは。 118 00:11:26,392 --> 00:11:29,061 梅。 大根のみそ汁は? (梅吉)はい。 119 00:11:29,061 --> 00:11:34,400 おはようございます。 昨夜は いかがでございました? 120 00:11:34,400 --> 00:11:36,068 ああ 出たよ。 (孫兵衛)えっ!? 121 00:11:36,068 --> 00:11:39,738 でもな おいらが ひと睨み してやったら 泡食って 逃げた。 122 00:11:39,738 --> 00:11:45,411 ふうん。 やっぱり お武家さんは 鍛え方がちがうんですな。 123 00:11:45,411 --> 00:11:48,680 まあな。 おう。 ときに 大家。 (孫兵衛)へい へい。 124 00:11:48,680 --> 00:11:51,350 あのお向かいの お嬢さん 何者なんだ? 125 00:11:51,350 --> 00:11:53,685 この長屋にしちゃ 随分と 似つかわしくねえじゃねえか。 126 00:11:53,685 --> 00:11:56,688 (孫兵衛)手前も 詳しい訳は 存じませんが。⇒ 127 00:11:56,688 --> 00:12:01,026 今月の初めに 若いお武家様が 見えられましてな⇒ 128 00:12:01,026 --> 00:12:03,695 しばらく ここに 置いてもらえぬかと。 129 00:12:03,695 --> 00:12:08,367 その若え奴の 名前は? さあ。 お名は 名乗られませんでした。 130 00:12:08,367 --> 00:12:11,703 が ただ お嬢様は さるお旗本の⇒ 131 00:12:11,703 --> 00:12:14,706 やんごとなきお姫様で あらせられるから⇒ 132 00:12:14,706 --> 00:12:17,376 構えて 粗相のないようにと。 133 00:12:17,376 --> 00:12:21,380 ≪(犬の鳴き声) 何だ? 134 00:12:21,380 --> 00:12:27,719 はい 庄太。 はい。 おいしい? ふふふ。 135 00:12:27,719 --> 00:12:34,719 うう… 鰻重! 鰻重! 136 00:12:37,729 --> 00:12:41,029 (斬九郎)帰って 寝な。 な? 137 00:12:51,009 --> 00:12:53,609 はぁ…。 うう…。 138 00:13:03,689 --> 00:13:07,289 かあーっ。 盛りのついた猫。 139 00:13:15,033 --> 00:13:18,370 (右近)おい 何をする!? (千鶴)きゃー! 140 00:13:18,370 --> 00:13:23,041 (右近)千鶴殿! (千鶴)右近様! 141 00:13:23,041 --> 00:13:25,641 (侍)うわーっ! 何やってんだ!? 142 00:13:29,715 --> 00:13:33,385 (醍醐)待て 待て 待て!⇒ 143 00:13:33,385 --> 00:13:38,724 お主 何奴だ? この長屋の住人だ。 144 00:13:38,724 --> 00:13:41,727 邪魔をすると ためにならんぞ。 145 00:13:41,727 --> 00:13:44,027 だからって うっちゃっときゃ いいってのかよ。 146 00:13:46,398 --> 00:13:50,998 これを受け取って 黙って 引き下がってくれんか。 147 00:13:53,338 --> 00:13:56,638 もらっても いいけど 言うことは聞かねえよ。 148 00:13:59,678 --> 00:14:05,350 お前 何者だ? 醍醐三郎と その一味の 悪人どもです。 149 00:14:05,350 --> 00:14:09,350 これは 手厳しいことを おっしゃる。 150 00:14:17,362 --> 00:14:23,662 いずれ 改めて 参上 致します。 その時は どうか よしなに。 151 00:15:51,723 --> 00:15:54,059 (千鶴)私 桜井千鶴と申します。 152 00:15:54,059 --> 00:15:57,729 父の頼母は 七千石の旗本で ございます。 153 00:15:57,729 --> 00:16:03,335 私は 宗近右近。 同じく父は 七千石を頂戴 致しております。 154 00:16:03,335 --> 00:16:06,672 ほう。 これは これは。 155 00:16:06,672 --> 00:16:09,675 おい おい。 聞いたかい? 婆さん。 156 00:16:09,675 --> 00:16:17,683 お二人 合わせれば 立派な お大名でございますねえ。 ほう。⇒ 157 00:16:17,683 --> 00:16:20,018 お口に合いますか どうか。 ははは。 へい。 158 00:16:20,018 --> 00:16:23,355 すまねえ すまねえ。 はい。 (右近)かたじけない。 159 00:16:23,355 --> 00:16:27,025 (お染)お邪魔 お邪魔。 さ さ さ。 160 00:16:27,025 --> 00:16:31,363 で その旗本の お坊ちゃん お嬢ちゃんが⇒ 161 00:16:31,363 --> 00:16:37,703 何の因果で 駆け落ちなど? 私達は 歴とした 許嫁者同士で⇒ 162 00:16:37,703 --> 00:16:41,373 本来ならば 先月の末に 結ばれていたはずなのです。 163 00:16:41,373 --> 00:16:46,044 ところが 千鶴殿に横恋慕する者が 現れまして。 164 00:16:46,044 --> 00:16:49,381 それが さっきの 醍醐三郎って奴か? 165 00:16:49,381 --> 00:16:55,053 いいえ。 醍醐は 端の者に すぎませぬ。 166 00:16:55,053 --> 00:16:57,723 相手は もっと 厄介なお人です。 167 00:16:57,723 --> 00:17:03,662 ですから 父は 右近様のことは あきらめて その方の所へ参れと。 168 00:17:03,662 --> 00:17:07,666 私 それが嫌で 家から 逃げて参りましたの。 169 00:17:07,666 --> 00:17:12,337 誰なんですか? その厄介な 奴ってのは。 それは申せませぬ。 170 00:17:12,337 --> 00:17:16,675 それを明かせば 貴方様は 私達の 敵に回ってしまわれましょう。 171 00:17:16,675 --> 00:17:19,344 今夜の事だけでも 貴方は すでに⇒ 172 00:17:19,344 --> 00:17:21,680 のっぴきならぬ立場に 追い込まれている。 173 00:17:21,680 --> 00:17:23,980 何を また 大袈裟な。 174 00:17:26,685 --> 00:17:30,285 そんなに 厄介な相手 なんですか? 175 00:17:32,357 --> 00:17:37,028 あっ。 あはは。 まあ 相手が 誰だって 構やしねえや。 176 00:17:37,028 --> 00:17:42,701 人の恋路を邪魔する奴は 馬に 蹴られて死んじめえだ。 な? はっ。 177 00:17:42,701 --> 00:17:45,704 何ですの それ? 178 00:17:45,704 --> 00:17:50,709 あっ。 ですから いにしえからの言い伝えで。 179 00:17:50,709 --> 00:17:54,379 「馬に 食われて」? 180 00:17:54,379 --> 00:17:57,382 蹴られて。 死んじめえ。 181 00:17:57,382 --> 00:18:00,982 あっ。 いいお言葉ですこと。 182 00:18:19,004 --> 00:18:22,674 ≪(家臣)失礼 致します。⇒ 183 00:18:22,674 --> 00:18:26,674 桜井頼母様 お見えになりました。 うむ。 184 00:18:33,018 --> 00:18:35,687 (頼母)娘は 連れ戻して 頂けましたか? 185 00:18:35,687 --> 00:18:38,690 それが 少々 面倒なことに なりましてな。 186 00:18:38,690 --> 00:18:43,028 「面倒」? お嬢様の側に 悪い男がついていて⇒ 187 00:18:43,028 --> 00:18:45,030 こちらに 引き渡そうとせんのです。 188 00:18:45,030 --> 00:18:51,630 その「悪い男」と申すのは? 松平斬九郎という 御家人です。 189 00:18:53,371 --> 00:18:56,708 (醍醐)何。 案ずることは ございません。 190 00:18:56,708 --> 00:19:00,378 その者にも すぐ 手を引かせます。 191 00:19:00,378 --> 00:19:04,678 つきましては 約束の物を。 ああ。 192 00:19:08,653 --> 00:19:13,253 事を丸く収めるには 何かと 物入りでしてな。 193 00:19:15,994 --> 00:19:18,594 遠慮なく 頂戴します。 はぁ。 194 00:19:46,024 --> 00:19:49,027 (お染)べっぴん! (女)奇麗だねえ! 195 00:19:49,027 --> 00:19:55,700 (蔦吉)ごめんなさいよ。 斬九郎の旦那 います? 196 00:19:55,700 --> 00:20:00,300 (斬九郎)おう。 お懐かしい声じゃ ござんせんか。 入れ 入れ。 197 00:20:06,378 --> 00:20:09,714 何だ。 冷やかしにでも来たのか? ええ。 198 00:20:09,714 --> 00:20:14,719 まあまあ 長屋暮らしが すっかり 板についちまって。 お陰さんで。 199 00:20:14,719 --> 00:20:19,057 そうやって 傘張りしてる姿なんざ 貧乏を絵に描いたようですよ。 200 00:20:19,057 --> 00:20:22,727 何。 貧乏は 前から ちっとも 変わっちゃいねえんだがな⇒ 201 00:20:22,727 --> 00:20:25,397 おふくろがいねえ分だけ 気が楽だ。 202 00:20:25,397 --> 00:20:30,735 はい。 おい。 気が利くじゃねえか。 ふふん。 203 00:20:30,735 --> 00:20:34,735 おう 時分時だ。 一緒に 飯でも食ってかねえか。 204 00:20:38,410 --> 00:20:43,415 こちらの 奇麗なお人。 ふふふ。 お内儀さんですか? 205 00:20:43,415 --> 00:20:45,715 そんな とんでもない。 とんでもない! 206 00:20:47,419 --> 00:20:51,423 (お種)旦那も 隅に置けないねぇ。 あははは。 よせよ。 207 00:20:51,423 --> 00:20:55,427 おや 赤くなっちゃって。 あははは。 208 00:20:55,427 --> 00:20:58,763 (お染)旦那も初心だね。 へへへ。⇒ 209 00:20:58,763 --> 00:21:04,703 お代は お米で 頂いていきますよ。 あっ はい。 210 00:21:04,703 --> 00:21:09,708 (お染) いやぁ これが わしの分。 211 00:21:09,708 --> 00:21:13,712 これが お種ちゃんの分だ。 (お種)はい どうも。 ははは。 212 00:21:13,712 --> 00:21:18,717 いやぁ。 ほらほら お邪魔だよ。 さ 行った 行った。⇒ 213 00:21:18,717 --> 00:21:22,017 ほら ほらほら。 ほら 行った。 どうも。 214 00:21:30,395 --> 00:21:32,397 あーっ。 215 00:21:32,397 --> 00:21:38,997 く… 食おうか。 うむ。 そうですね。 216 00:21:44,743 --> 00:21:46,743 いざ。 217 00:21:51,082 --> 00:21:54,082 あの。 あっ。 218 00:22:01,426 --> 00:22:08,700 いかがです? 結構なお手前で。 ええ。 219 00:22:08,700 --> 00:22:12,370 あっ。 まあ それにしても よく 揃えましたね。 220 00:22:12,370 --> 00:22:14,372 これだけの所帯道具。 221 00:22:14,372 --> 00:22:18,043 うん。 前に ここに住んでた 婆さんが 残してってくれたんだ。 222 00:22:18,043 --> 00:22:21,046 みんな 置きっぱなしで よそへ行っちまったんですか? 223 00:22:21,046 --> 00:22:24,382 だって あの世へ 所帯道具は 要らねえだろ? 「あの世」って? 224 00:22:24,382 --> 00:22:29,387 うん。 ちょうど その辺の梁に 首くくって 死んでたんだって。 225 00:22:29,387 --> 00:22:31,987 だから この箸と 茶碗と みんな 残してった。 226 00:22:33,725 --> 00:22:38,730 お前さん。 死んだ人の茶碗で よく 食べられますね。 227 00:22:38,730 --> 00:22:41,733 でも あ… 洗ったよ。 228 00:22:41,733 --> 00:22:47,333 それに 折角 残してくれてった物は 使わねえ手は ねえだろ。 えっ? 229 00:22:49,741 --> 00:22:53,745 長生きするわ。 ≪(戸を開ける音) 230 00:22:53,745 --> 00:22:57,415 死んだ婆さんが 化けて出たりしてな。 231 00:22:57,415 --> 00:23:00,415 ≪(麻佐女)幽霊ではない。 其方の母じゃ。 232 00:23:02,020 --> 00:23:04,020 幽霊より もっと怖えよ。 233 00:23:08,693 --> 00:23:10,993 あっ。 あっ。 234 00:23:15,700 --> 00:23:18,700 九郎? どこにおる? 235 00:23:22,040 --> 00:23:24,640 痛い! 痛たた。 ちょ… ちょっと。 236 00:23:27,045 --> 00:23:30,048 (るい)何をなさっているんです? 237 00:23:30,048 --> 00:23:34,048 ですから 押し入れの整理整頓とか いろいろ。 238 00:23:36,721 --> 00:23:40,725 何か 匂いませぬか? 239 00:23:40,725 --> 00:23:44,062 くん くん。 そうですか? えっ? 240 00:23:44,062 --> 00:23:47,065 もしかして 白粉の匂いとか。 ええっ!? ええっ!? 241 00:23:47,065 --> 00:23:49,067 女を連れ込んでいるのでは あるまいな。 242 00:23:49,067 --> 00:23:53,738 滅相もない。 この二人分の食事は 何じゃ? 243 00:23:53,738 --> 00:23:57,408 あっ あっ。 これは近所の内儀さんが 作ってくれたんですが⇒ 244 00:23:57,408 --> 00:24:01,408 わたしは大食らいなんで 二人分。 いかがですか? 245 00:24:04,349 --> 00:24:06,017 ≪(物音) 246 00:24:06,017 --> 00:24:08,353 鼠か? おう。 よ… 夜な夜な。 247 00:24:08,353 --> 00:24:11,356 では これは どなたの お履物でございます? 248 00:24:11,356 --> 00:24:13,691 あっ。 それは 前に住んでた 婆さんが。 249 00:24:13,691 --> 00:24:15,693 婆さんが こんな下駄 履くもんですか。 250 00:24:15,693 --> 00:24:19,693 いや…。 の孫が。 孫の話は もう よい。 251 00:24:24,702 --> 00:24:31,709 今朝方 大奥御添番の醍醐三郎なる お方が 訪ねて参られた。 252 00:24:31,709 --> 00:24:37,048 「醍醐」って。 あの男が 大奥 御添番!? 253 00:24:37,048 --> 00:24:42,053 先だっての夜 桜井家の姫君を 連れに参られた 醍醐殿に⇒ 254 00:24:42,053 --> 00:24:44,389 其方 無法にも 手向かい致したそうではないか。 255 00:24:44,389 --> 00:24:46,057 手向かいなどと。 256 00:24:46,057 --> 00:24:48,393 あれは 嫌がる千鶴殿を 無理やり かどわかそうと。 257 00:24:48,393 --> 00:24:50,728 「かどわかす」とは 何です。 畏れ多い。 258 00:24:50,728 --> 00:24:53,731 貴方は 醍醐殿が どなたのために 働いていらっしゃるのか⇒ 259 00:24:53,731 --> 00:24:55,733 ご存じなのですか? 知ってますよ。 260 00:24:55,733 --> 00:24:58,069 千鶴殿に 岡惚れした どっかの とんちきでしょう。 261 00:24:58,069 --> 00:25:01,072 その岡惚れのとんちきが 誰なのか 知っておるのか? 262 00:25:01,072 --> 00:25:03,341 とんちきは とんちきに 決まってますよ。 263 00:25:03,341 --> 00:25:08,346 将軍家じゃ。 えーっ? 264 00:25:08,346 --> 00:25:13,685 江戸城 本丸におわす 将軍 家慶公じゃ。 265 00:25:13,685 --> 00:25:17,689 お… お戯れを。 266 00:25:17,689 --> 00:25:22,989 旦那! 大変だ! お嬢様が侍に! ほら 早く 早く! 267 00:25:24,696 --> 00:25:27,365 九郎! 九郎! 268 00:25:27,365 --> 00:25:30,368 (千鶴)お願いです 父上! 堪忍してください。 (頼母)ならぬ。 269 00:25:30,368 --> 00:25:34,368 九郎! 手出しはならぬ! 270 00:25:47,051 --> 00:25:50,388 ご無体なこと なさると 私 自害 致します。 271 00:25:50,388 --> 00:25:52,390 千鶴。 お上の御意であるぞ。 272 00:25:52,390 --> 00:25:56,060 何とおっしゃろうと 嫌なものは嫌です! 何を申すか。 273 00:25:56,060 --> 00:25:59,063 父上は 私を お妾に献上して⇒ 274 00:25:59,063 --> 00:26:01,065 出世がなさりたいので ございましょう! 275 00:26:01,065 --> 00:26:05,670 千鶴! お上も父上も 大嫌い! 276 00:26:05,670 --> 00:26:10,670 人の恋路を邪魔する者は 馬に蹴られて 死んじめえだ! 277 00:26:12,677 --> 00:26:16,014 はしたない。 何たる じゃじゃ馬。 278 00:26:16,014 --> 00:26:18,349 お嬢様は だいぶ 取り乱しておいでのようだ。 279 00:26:18,349 --> 00:26:22,353 いや 決して…。 決して 怪しい者ではござらぬ。 280 00:26:22,353 --> 00:26:26,691 これ以上 ごり押しをなさいますと 取り返しのつかぬ事になりますぞ。 281 00:26:26,691 --> 00:26:29,691 困った お嬢様ですな。 282 00:26:45,043 --> 00:26:46,643 はっ。 はぁー はぁー。 283 00:28:50,701 --> 00:28:52,703 (千鶴)この秋 将軍様は にわかに 紅葉狩りを思い立たれ⇒ 284 00:28:52,703 --> 00:28:55,039 鴻の台に 御成に なられたのですが⇒ 285 00:28:55,039 --> 00:28:57,708 私 偶然 その場に 行き合わせてしまい⇒ 286 00:28:57,708 --> 00:29:00,378 お駕籠の中から 透き見を なされていた⇒ 287 00:29:00,378 --> 00:29:02,647 将軍様の お目に留まって しまったのでございます。 288 00:29:02,647 --> 00:29:06,317 将軍ともあろうお方が 透き見を? しょうがねえんだよ。 289 00:29:06,317 --> 00:29:08,319 男なんてものは いい女 見ると ひゅーと⇒ 290 00:29:08,319 --> 00:29:11,989 目が行っちまうもんなんだよ。 ご高説 痛み入ります。 291 00:29:11,989 --> 00:29:15,660 それで? 将軍様の御意は その日のうちに⇒ 292 00:29:15,660 --> 00:29:18,996 大奥 ご老女 姉小路様の許に 伝わり⇒ 293 00:29:18,996 --> 00:29:23,996 添番の醍醐三郎が 内密に 当家へ 打診に参りました。 294 00:29:26,003 --> 00:29:30,007 でも その時は もう 宗近家との結納も 済み⇒ 295 00:29:30,007 --> 00:29:34,679 私は 右近様の所へ お嫁に 行くばかりとなっておりました。 296 00:29:34,679 --> 00:29:38,683 ですから 私 仮病を使って ご飯を 十日間⇒ 297 00:29:38,683 --> 00:29:41,983 一切 口にしませんでしたの。 「十日」も!? 298 00:29:43,688 --> 00:29:48,025 あんなに お腹が空いたこと ございませんでしたわ。 299 00:29:48,025 --> 00:29:50,027 お陰で 本当に具合が悪くなって⇒ 300 00:29:50,027 --> 00:29:52,697 そのまま 死んでしまうかと 思いました。 301 00:29:52,697 --> 00:29:56,701 はぁー。 お父様は よく 平気で いらっしゃいましたね。 302 00:29:56,701 --> 00:30:01,706 いいえ。 父は心配して 病気の由を 申し立ててくれたのですが⇒ 303 00:30:01,706 --> 00:30:05,643 醍醐の返事は お上の御意であるの 一点張りで。 304 00:30:05,643 --> 00:30:08,312 はぁー。 305 00:30:08,312 --> 00:30:11,983 八丁堀の旦那が 木戸口に お見えですよ。 306 00:30:11,983 --> 00:30:16,988 (斬九郎)よう! 入れ。 (伝三郎)うん? おお… おい! 307 00:30:16,988 --> 00:30:19,657 そうもいかん。 どうして? 308 00:30:19,657 --> 00:30:21,659 斬九郎様の住まいには 近寄ってはならんと⇒ 309 00:30:21,659 --> 00:30:23,995 るいに 固く 戒められている。 はぁー。 ここまで来るんだって⇒ 310 00:30:23,995 --> 00:30:27,331 相当な 覚悟が要ったんだぞ。 意気地がねえなぁ。 311 00:30:27,331 --> 00:30:30,334 あばよ。 おい。 何だよ! 312 00:30:30,334 --> 00:30:32,670 妻との約束を違えてまで ここまで 来てやったんだぞ。 313 00:30:32,670 --> 00:30:35,970 それでも いいのか? ああ? 314 00:30:38,676 --> 00:30:41,679 醍醐三郎のこった。 どういう男か お前 知ってんのか? 315 00:30:41,679 --> 00:30:47,018 大奥 添番だって聞いたが。 あれは とんでもない 食わせ者だぞ。 316 00:30:47,018 --> 00:30:49,353 年百俵と 身分は軽いが⇒ 317 00:30:49,353 --> 00:30:52,690 大奥のお女中方の 引きで 方々のお家に 出入りして⇒ 318 00:30:52,690 --> 00:30:55,693 あこぎな商売をしてる。 「商売」? 319 00:30:55,693 --> 00:31:00,698 金をもらって縁組を請け負うんだ。 ってことは 仲人ってことか? 320 00:31:00,698 --> 00:31:05,036 ただの仲人とは 訳が違う。 何しろ 先方が要らぬっていうものを⇒ 321 00:31:05,036 --> 00:31:10,374 弱みを握って 無理やり 嫁 婿を 押しつけるんだからな。 質が悪い。 322 00:31:10,374 --> 00:31:14,045 身持ちの悪い 旗本の娘を 大名の側室に入れたり⇒ 323 00:31:14,045 --> 00:31:17,048 大名家の ぼんくら息子を 旗本の養子に入れたり⇒ 324 00:31:17,048 --> 00:31:21,719 とにかく 金次第で どんな 離れ業でもやってのけるんだ。 325 00:31:21,719 --> 00:31:23,721 折角だ。 うん? 一杯やってこうか。 326 00:31:23,721 --> 00:31:29,727 いや。 い… いや。 君子 危うきに 近寄らずっていうからな。 327 00:31:29,727 --> 00:31:33,731 それより お前。 あんまり 妙なことに 首 突っ込むと⇒ 328 00:31:33,731 --> 00:31:37,068 命が幾つあっても 足らんぞ。 気を付けろ。 ありがとよ。 329 00:31:37,068 --> 00:31:42,068 お陰さんで その醍醐って野郎の 影が ちょいと 見えてきた。 330 00:31:55,753 --> 00:32:01,425 何の用だ? こないだ すまなかったな。 331 00:32:01,425 --> 00:32:05,725 ちょいと 相談 乗ってもらおうと 思ってさ。 「相談」とは? 332 00:32:07,365 --> 00:32:12,365 百両で 俺を 味方に つけねえか? どういうことだ? 333 00:32:17,041 --> 00:32:19,377 下手に 手ぇ出して あの女 死なしちまったら⇒ 334 00:32:19,377 --> 00:32:21,712 あんた 困るんだろ? 335 00:32:21,712 --> 00:32:25,049 おいらなら 生かしたまま ふん縛ることもできらぁ。 336 00:32:25,049 --> 00:32:27,718 いや もしかして うまく いったら⇒ 337 00:32:27,718 --> 00:32:31,389 あの娘 心変わりさせることが できるかも。 338 00:32:31,389 --> 00:32:36,394 しかし 一度は 金を突っ返した お主が⇒ 339 00:32:36,394 --> 00:32:38,396 一体 どういう風の吹き回しだ。 340 00:32:38,396 --> 00:32:40,731 俺だって だてに 松平 名乗ってるわけじゃねえや。 341 00:32:40,731 --> 00:32:44,735 将軍様の おためとあれば 動かねばなるまい。 342 00:32:44,735 --> 00:32:48,739 それならば いっそ 金になるほうが。 343 00:32:48,739 --> 00:32:53,744 分かるだろ? 分からぬこともない。 344 00:32:53,744 --> 00:32:58,416 だが 百両となると すぐには 用意 出来かねる。 345 00:32:58,416 --> 00:33:02,687 いいよ。 別に こっちが 慌ててるわけじゃねえや。 346 00:33:02,687 --> 00:33:07,692 では 都合がつき次第 こちらから 連絡する。 347 00:33:07,692 --> 00:33:11,292 結構。 楽しみに待ってるよ。 348 00:33:51,068 --> 00:33:53,668 (戸を叩く音) 349 00:34:10,688 --> 00:34:14,692 多治見か…。 350 00:34:14,692 --> 00:34:20,364 (多治見)で 幾ら 出せと? 三百両。 金ばかりかかって⇒ 351 00:34:20,364 --> 00:34:23,367 話のほうは 一向に まとまる気配も ないではないか。 352 00:34:23,367 --> 00:34:29,039 桜井の娘が 屋敷を飛び出したのが けちのつき始めでしたな。 353 00:34:29,039 --> 00:34:31,375 お上の御意を持ってすれば⇒ 354 00:34:31,375 --> 00:34:35,379 泣き寝入りをすると 踏んだのですが。 355 00:34:35,379 --> 00:34:38,716 この始末 どうつけるつもりだ! 356 00:34:38,716 --> 00:34:41,719 そのようなご心配は なさらずとも⇒ 357 00:34:41,719 --> 00:34:46,390 多治見様は 出す物を出して 頂ければ よろしいのです。⇒ 358 00:34:46,390 --> 00:34:50,394 何しろ 相手は 旗本の中でも 名門中の名門。 359 00:34:50,394 --> 00:34:57,067 縁組さえ まとまれば 多治見様の ご出世も お望み次第でござる。 360 00:34:57,067 --> 00:35:02,667 うまい汁を吸おうと 思ったら 金を惜しまぬことです。 361 00:35:05,342 --> 00:35:09,013 よし。 定吉。 (定吉)ああ! 行くぜ! 362 00:35:09,013 --> 00:35:13,017 そら! あははは。 (子供達)わーい! わーい! 363 00:35:13,017 --> 00:35:17,354 旦那。 おう。 昨夜は どうだった? 364 00:35:17,354 --> 00:35:21,025 旦那がまいた 餌に 食いつきました。 365 00:35:21,025 --> 00:35:24,325 お前ら みんな 表で遊んでな。 (子供達)おう! 366 00:35:27,031 --> 00:35:32,369 おい 佐次。 やるよ。 ははは。 367 00:35:32,369 --> 00:35:35,706 お上手になられましたね。 ははは。 ははは。 368 00:35:35,706 --> 00:35:40,377 昨夜 旦那と別れた後に すぐに 動き出しましたよ。 369 00:35:40,377 --> 00:35:42,379 (梅吉)金策に出かけたに 違いありません。 370 00:35:42,379 --> 00:35:48,052 行き先は? 多治見兵部という旗本の お屋敷。 371 00:35:48,052 --> 00:35:50,054 「多治見」ね。 372 00:35:50,054 --> 00:35:55,354 いえ 多治見などという お名前に 心当たりはございませんけど。 373 00:35:58,062 --> 00:36:03,334 (定吉)おう。 おう。 あっ 竹とんぼ? 一緒に遊ぼう。 374 00:36:03,334 --> 00:36:05,669 お嬢様。 余り 遠くへは お出かけになりませんように。 375 00:36:05,669 --> 00:36:07,669 はい。 376 00:36:15,012 --> 00:36:24,012 (佐次)「金百両 都合つき申し候」 とりあえず もらっとこうか。 377 00:36:31,695 --> 00:36:33,697 (女)いらっしゃい。 378 00:36:33,697 --> 00:36:37,697 (斬九郎)こんなに とんとん拍子に 事が運ぶとは 思わなかったぜ。 379 00:36:40,371 --> 00:36:42,373 とりあえず 拝ましてもらおうか。 380 00:36:42,373 --> 00:36:48,373 そう慌てることもあるまい。 一杯 どうだ? 381 00:36:55,719 --> 00:36:59,056 (子供達)わーい! (千鶴)あーっ。 飛んだ 飛んだ! 382 00:36:59,056 --> 00:37:01,656 (子供達)わーい! わーい! 383 00:37:07,665 --> 00:37:09,665 (女)はい。 お待ちどお。 384 00:37:13,671 --> 00:37:17,341 あんまり呑むと 血の巡りが よくなりすぎてな。 385 00:37:17,341 --> 00:37:20,678 それよりも さっさと 片づけようぜ。 386 00:37:20,678 --> 00:37:22,678 何だったかな? 387 00:37:27,017 --> 00:37:37,361 ふふふ。 お主のお陰で 昨夜は 三百両 儲けさしてもらった。 388 00:37:37,361 --> 00:37:42,661 しかし お主には びた一文 くれてやる つもりはない。 389 00:38:04,655 --> 00:38:07,658 (斬九郎)千鶴殿! (蔦吉)旦那! 390 00:38:07,658 --> 00:38:09,660 (佐次)旦那。 面目ねえ!⇒ 391 00:38:09,660 --> 00:38:13,330 醍醐の手下どもに さらわれました! 何だって!? 392 00:38:13,330 --> 00:38:16,000 でも 醍醐って男も どうかしてますよ。 393 00:38:16,000 --> 00:38:18,669 千鶴様は いずれは 将軍家のご側室。 394 00:38:18,669 --> 00:38:21,005 自分の上に立つ人じゃ ありませんか。 それを⇒ 395 00:38:21,005 --> 00:38:25,342 乱暴に扱うなんて。 あの野郎。 よく 訳が分からねえな。 396 00:38:25,342 --> 00:38:27,011 佐次。 はい。 397 00:38:27,011 --> 00:38:31,682 とりあえず 昨夜の その多治見って 旗本 急いで 洗ってくれ。 398 00:38:31,682 --> 00:38:33,982 分かりました。 くっ。 399 00:38:39,356 --> 00:38:44,361 この件に 多治見が 絡んでいるのですか? 400 00:38:44,361 --> 00:38:47,698 何だ お前。 多治見 知ってんのか? はぁ。 401 00:38:47,698 --> 00:38:53,704 昨年来 多治見家より 再三に亘って 私への 縁組の申し入れが。 402 00:38:53,704 --> 00:38:57,041 お前さんに? はい。 403 00:38:57,041 --> 00:39:00,377 多治見ってのは そんなに 大層な家柄なのか? 404 00:39:00,377 --> 00:39:04,648 はぁ。 大身の旗本で 相当に 内福ではありますが⇒ 405 00:39:04,648 --> 00:39:07,651 血筋からいえば ずっと 格下です。 そのため⇒ 406 00:39:07,651 --> 00:39:13,323 当主の兵部殿は 閑職に甘んじて 肩身の狭い 思いをしておられる。 407 00:39:13,323 --> 00:39:21,623 そうか。 千鶴殿は…。 醍醐の野郎。 お前の腹は読めたぜ。 408 00:41:42,739 --> 00:41:46,076 かような真似をして 許しませぬぞ。 409 00:41:46,076 --> 00:41:50,414 「許さぬ」とは どうなさる おつもりかな? 410 00:41:50,414 --> 00:41:58,755 私 死にます。 ほう。 本当に 死ねますかな? 411 00:41:58,755 --> 00:42:06,755 死ねます。 私 本気です。 では そうして頂きましょう。 412 00:42:13,103 --> 00:42:20,103 どうなさいました? 何なら 拙者が お手伝い致しましょうか。 413 00:42:24,114 --> 00:42:31,788 きゃっ! きゃー! 嫌! あっ… ああっ! 414 00:42:31,788 --> 00:42:33,790 あっ! ああっ! 415 00:42:33,790 --> 00:42:39,390 (家臣)大奥から 使いの方が お見えに。 何だと!? 416 00:42:42,466 --> 00:42:45,466 嫌ーっ! むっ! 嫌っ! 417 00:42:47,804 --> 00:42:55,104 大奥お年寄 姉小路様の お使者として参った 蔦山と申す。 418 00:43:14,431 --> 00:43:19,770 蔦山とは 初めて聞く お名前でございますな。 419 00:43:19,770 --> 00:43:24,775 其方の如き 卑しき輩が 妾の名を 存じていようはずもない。 420 00:43:24,775 --> 00:43:27,075 控えなさい。 ははっ。 421 00:43:28,779 --> 00:43:36,453 して 今宵はまた いかがな ご用向きで? 422 00:43:36,453 --> 00:43:42,459 これなる 桜井殿の娘御を 受け取りに参りました。 423 00:43:42,459 --> 00:43:48,465 しかし 娘御が ここに おわすことを 何故? 424 00:43:48,465 --> 00:43:55,806 其方の動きは 見張りの者を通じて 逐一 妾の耳に入っておる。 425 00:43:55,806 --> 00:44:04,748 まさか…!? それにしても 解せませぬな。 426 00:44:04,748 --> 00:44:08,348 「解せぬ」とは? はっ。 427 00:44:13,757 --> 00:44:19,763 千鶴様を お上に献上しようという 一件は 千鶴様 御病のみぎり⇒ 428 00:44:19,763 --> 00:44:23,433 ご病弱にては 側室の任に 堪えず ということで⇒ 429 00:44:23,433 --> 00:44:28,438 姉小路様からは 既に 断りの お返事を賜っておりますが。 430 00:44:28,438 --> 00:44:30,438 それは 初耳。 431 00:44:32,109 --> 00:44:35,445 すると 其方は 既に 立ち消えになった⇒ 432 00:44:35,445 --> 00:44:38,115 将軍家側室の一件を 利用して⇒ 433 00:44:38,115 --> 00:44:42,786 千鶴殿と右近殿の縁組を 阻もうと 企てたのであるな。 434 00:44:42,786 --> 00:44:47,457 何故 それを!? ああ もう じれったいね。 435 00:44:47,457 --> 00:44:50,794 お前さんは 多治見の殿様から 金をもらって⇒ 436 00:44:50,794 --> 00:44:54,131 宗近家との縁組を 請け負った。 ところが⇒ 437 00:44:54,131 --> 00:44:57,134 千鶴様がいたんじゃ 右近様は とても 承諾しそうにない。 438 00:44:57,134 --> 00:45:00,134 そこで 思いついたのが この悪だくみ。 439 00:45:01,805 --> 00:45:05,409 やることが 汚すぎやしませんか。 貴様! 440 00:45:05,409 --> 00:45:10,080 私をだましたのですね!? よくも! 441 00:45:10,080 --> 00:45:15,752 お嬢様が 素直に 身を引いて くだされば 何事もなかったのです。 442 00:45:15,752 --> 00:45:18,422 しかし 今となっては⇒ 443 00:45:18,422 --> 00:45:24,428 お上の思し召しを拒んで 自害して頂かねば⇒ 444 00:45:24,428 --> 00:45:28,098 収まりがつかんのです。 ≪(家臣)うわーっ! 445 00:45:28,098 --> 00:45:30,767 蔦山殿。 ご首尾は? 446 00:45:30,767 --> 00:45:34,104 お上の御意を謀る 不届き者じゃ。 残らず 成敗 致せ! 447 00:45:34,104 --> 00:45:37,107 調子に乗りやがって。 千鶴殿を頼んだぜ! 448 00:45:37,107 --> 00:45:39,107 あいよ! 449 00:46:07,737 --> 00:46:15,078 何とか 金で片をつけぬか。 もう 片はついてるだろ。 450 00:46:15,078 --> 00:46:19,416 やはりな。 そう言うと 思ったぜ。 451 00:46:19,416 --> 00:46:22,016 やあー! うっ! 452 00:46:24,087 --> 00:46:26,387 うっ! うわーっ! うっ。 453 00:46:35,765 --> 00:46:38,435 ご苦労。 はぁ…。 454 00:46:38,435 --> 00:46:45,108 「蔦山」? 関取みてえだったな。 ははは。 455 00:46:45,108 --> 00:46:49,446 お嬢さんは? お取り込み中。 456 00:46:49,446 --> 00:46:54,117 右近様! 千鶴殿! 457 00:46:54,117 --> 00:46:58,121 (うれし泣き) 458 00:46:58,121 --> 00:47:04,060 (子供達)来たよー! (孫兵衛)お戻りになったようだ。⇒ 459 00:47:04,060 --> 00:47:08,398 おう おう おう。 お帰んなさい。 460 00:47:08,398 --> 00:47:10,400 (斬九郎)ああ。 (孫兵衛) いかがでござりました? 461 00:47:10,400 --> 00:47:13,403 さすが 七千石同士の祝言だ。 豪勢だったぜ。 462 00:47:13,403 --> 00:47:17,073 千鶴様の花嫁姿 お奇麗で ござんしたよ。 (お染)ひゃー。 463 00:47:17,073 --> 00:47:20,076 これは お嬢さんから。 めでたい めで鯛だ。 464 00:47:20,076 --> 00:47:25,415 (お染)あれ。 わしらにまで? ああ。 まぁ 何て お優しい。 465 00:47:25,415 --> 00:47:27,083 鯛だ! (女)ああ!? 466 00:47:27,083 --> 00:47:30,754 さ さ さ さ。 誰か 「三河屋」へ 行ってな 酒を買うてきなされ。 467 00:47:30,754 --> 00:47:33,089 お代は わしが持とうじゃないか。 468 00:47:33,089 --> 00:47:36,426 今夜は ひとつ ばぁーっと どんちゃん騒ぎを やらかそう。 469 00:47:36,426 --> 00:47:38,426 (歓声) 470 00:47:42,432 --> 00:47:44,732 ああー。 熱っ…。 471 00:47:48,104 --> 00:47:50,404 ついたぜ ついたぜ。 ああ。 472 00:47:57,447 --> 00:48:00,450 ほんとに お幸せそうでしたねぇ。 473 00:48:00,450 --> 00:48:05,050 何たって 将軍様を袖にしてまで 一緒になった 二人だからな。 474 00:48:12,729 --> 00:48:15,029 ああーっ。 ああーっ。 475 00:48:16,733 --> 00:48:21,071 あ~あ。 何だか うらやましく なっちゃった。 476 00:48:21,071 --> 00:48:23,073 婆さん なって もらい手がなくなったら⇒ 477 00:48:23,073 --> 00:48:26,743 おいらが 面倒 見てやっても いいぜ。 えっ? 478 00:48:26,743 --> 00:48:31,748 いやさ 気の合う者同士 こうやって 貧乏長屋で さしつ さされつ⇒ 479 00:48:31,748 --> 00:48:34,084 暮らしていくってのも 乙なもんだぜ。 480 00:48:34,084 --> 00:48:36,419 うーん まぁ 悪かないですね。 481 00:48:36,419 --> 00:48:39,756 その頃にはさ ほら うちの あれも⇒ 482 00:48:39,756 --> 00:48:43,426 あの世にいっちまってる頃だろう。 ははは。 483 00:48:43,426 --> 00:48:45,426 ≪(麻佐女)お邪魔 致す。 484 00:48:48,098 --> 00:48:52,769 母上!? しばし…。 しばし… しばし お待ちを。 485 00:48:52,769 --> 00:48:55,069 あたしは 別に 構いませんけど。 しーっ。 486 00:48:56,773 --> 00:48:59,773 はい はい はい はい。 ああ。 487 00:49:05,382 --> 00:49:10,387 九郎。 其方 いつ 家に帰るのじゃ? 488 00:49:10,387 --> 00:49:14,391 まだ 当分。 しばらくは…。 (るい)そんな 無責任な。 489 00:49:14,391 --> 00:49:18,395 麻佐女様は このところ 毎日 粥を すすっておられるのですよ。 490 00:49:18,395 --> 00:49:21,731 ああ! それは お体に よい。 491 00:49:21,731 --> 00:49:28,405 毎日のおかずの目刺しも よねと 半分ずつ。 昨日は頭のほう。 492 00:49:28,405 --> 00:49:31,705 今日は…。 (麻佐女・斬九郎)尻尾。 結構 結構。 493 00:49:33,410 --> 00:49:37,414 其方の稼ぎが 絶えてからというもの⇒ 494 00:49:37,414 --> 00:49:41,751 母は ろくに 物も食べておらぬ。 495 00:49:41,751 --> 00:49:46,756 帰っておいで。 嫌です! 496 00:49:46,756 --> 00:49:54,431 さようか。 其方が その所存なら 母にも 考えがある。 497 00:49:54,431 --> 00:49:58,435 ここで 母も一緒に暮らす。 えっ!? よね。 入っておいで。 498 00:49:58,435 --> 00:50:01,735 (よね)はい。 ああ。 えーっ!? 499 00:50:05,375 --> 00:50:07,377 (よね)ああ! (るい)ご苦労様。 500 00:50:07,377 --> 00:50:11,677 位牌は… ここ。 ここは 駄目ですよ。 押し入れですから。 501 00:50:26,062 --> 00:50:29,362 蔦吉。 乙な暮らしは? 502 00:50:31,401 --> 00:50:35,739 いいですよ! みんなで楽しく 一緒に ここで暮らしましょ! 503 00:50:35,739 --> 00:50:37,739 鼠も?