1 00:01:58,069 --> 00:02:02,069 (捕り方たち)御用だ! 御用だ! 御用だ! 御用だ! 御用だ! 2 00:02:04,075 --> 00:02:24,095 ♬~ 3 00:02:24,095 --> 00:02:44,115 ♬~ 4 00:02:44,115 --> 00:02:54,125 ♬~ 5 00:02:54,125 --> 00:03:06,125 ♬~ 6 00:03:08,072 --> 00:03:18,072 (ひぐらしの鳴き声) 7 00:03:23,087 --> 00:03:26,090 (江藤)<この年の残暑は めっぽう厳しく➡ 8 00:03:26,090 --> 00:03:33,097 江戸中が じりじりしながら 秋の 到来を待ち焦がれておりました> 9 00:03:33,097 --> 00:03:36,100 <この日も 蒸し蒸しするようなお天気で➡ 10 00:03:36,100 --> 00:03:39,103 そういう嫌なときには えてして➡ 11 00:03:39,103 --> 00:03:43,103 妙な事件が 出来するものでございます> 12 00:03:51,115 --> 00:03:55,119 (杉山)おい 鳥! 早くしろ 日が暮れちまうぞ! 13 00:03:55,119 --> 00:03:58,119 (鳥蔵) なんまいだぶ… なんまいだぶ… 14 00:04:07,065 --> 00:04:09,065 ウッ! ウッ! 15 00:04:16,074 --> 00:04:18,076 (町人たち)アーッ! 16 00:04:18,076 --> 00:04:20,078 アア… すいません 17 00:04:20,078 --> 00:04:23,081 馬鹿野郎! いきなり落とす奴があるか! 18 00:04:23,081 --> 00:04:25,081 野郎… 19 00:04:31,089 --> 00:04:34,092 (江藤)よう! 何か面白いもん 拾ったって? 20 00:04:34,092 --> 00:04:37,095 どれどれどれ… おお… 21 00:04:37,095 --> 00:04:40,098 調べに行き詰まって 人が悩んでるときに➡ 22 00:04:40,098 --> 00:04:42,100 面白半分は 御免こうむります 23 00:04:42,100 --> 00:04:45,103 なんだい 今日 手首拾って もう行き詰まっちゃってんのか 24 00:04:45,103 --> 00:04:48,106 じゃ お尋ねしますけど この手首の主を どうやって➡ 25 00:04:48,106 --> 00:04:51,109 割り出しゃいいんです? 顔の付いてる死骸なら ともかく 26 00:04:51,109 --> 00:04:54,109 手首だけじゃ 誰んだか見当もつかねえ 27 00:04:56,114 --> 00:04:59,050 (小室)こりゃ 太刀傷だ 武家の仕業に間違いない 28 00:04:59,050 --> 00:05:02,053 あ~ そうですか! それは凄いですねぇ! 29 00:05:02,053 --> 00:05:04,055 それぐらい 俺だって見りゃ分かるわ! 30 00:05:04,055 --> 00:05:09,060 相手が武家なら お前の なまくら刀では ちと心もとない 31 00:05:09,060 --> 00:05:13,060 もめそうなときは 俺を呼べ! 暑気払いに ひと汗かくぞ! 32 00:05:16,067 --> 00:05:19,070 (栗原)おおっ! これですか! 33 00:05:19,070 --> 00:05:22,073 また 暇なのが来やがった お前なぁ… 34 00:05:22,073 --> 00:05:25,076 ぷらぷらしてる暇があったら 盗っ人の1人も捕まえてこい! 35 00:05:25,076 --> 00:05:27,078 それが このところ廻り場に 盗みも けんかもなくて➡ 36 00:05:27,078 --> 00:05:31,082 もう 退屈で… いや こういうのを 見ると うらやましくなります 37 00:05:31,082 --> 00:05:35,086 まあ とにかく 片っ端から 医者でも当たってみるんだな 38 00:05:35,086 --> 00:05:38,089 手傷の主が 傷の 手当てしてねえとも限んねえぞ 39 00:05:38,089 --> 00:05:40,091 江戸中に 医者 何軒ありますかね 40 00:05:40,091 --> 00:05:43,094 とにかく やってみるこった すね毛が擦り切れるまで➡ 41 00:05:43,094 --> 00:05:46,097 歩き回んなかったら 一人前の同心とはいえねえんだよ 42 00:05:46,097 --> 00:05:49,100 なあ 栗原! (栗原)はっ! 全くそのとおりです 43 00:05:49,100 --> 00:05:52,103 うん! お前も 杉山 助て 医者当たれ! 44 00:05:52,103 --> 00:05:54,105 へっ? (江藤)お前 暇なんだろう? 45 00:05:54,105 --> 00:05:57,041 しかし わたしが首を突っ込んでは 杉山どのが迷惑を! 46 00:05:57,041 --> 00:06:00,041 かまうこたぁねえ どんどん… 遠慮なくやってくれ 47 00:06:03,047 --> 00:06:05,049 (夜盗)あのぅ 親分さん 48 00:06:05,049 --> 00:06:09,053 (政吉)なんだ? おら! (夜盗)あの… 新道の➡ 49 00:06:09,053 --> 00:06:13,057 廻船問屋 和泉屋から 手首が 出たってのは あれは本当ですかい 50 00:06:13,057 --> 00:06:16,060 本当らしいがな それが どうしたってんだい? 51 00:06:16,060 --> 00:06:19,063 いえね あっしは ちょくちょく 仕事に行くもんですから… 52 00:06:19,063 --> 00:06:22,066 ああ? (狩谷)お前 なかなかの働き者だな 53 00:06:22,066 --> 00:06:24,068 ヘッヘッヘ… そっちのほうは いくら稼いだ? 54 00:06:24,068 --> 00:06:27,071 いえいえ 冗談じゃねえ! 下見に行っただけですよ 55 00:06:27,071 --> 00:06:30,071 ≪(女性)誰かーっ! 56 00:06:32,076 --> 00:06:34,076 (悲鳴) 57 00:06:41,085 --> 00:06:43,087 (侍)ウワァ! 58 00:06:43,087 --> 00:06:47,091 まず 名を名乗れ! けんかは そのあとだ! 59 00:06:47,091 --> 00:06:57,034 ♬~ 60 00:06:57,034 --> 00:06:59,034 さあ ささあ! 61 00:07:02,039 --> 00:07:07,044 一体 どうしなすったんで? 62 00:07:07,044 --> 00:07:11,048 (お島)それが… 突然のことで… 63 00:07:11,048 --> 00:07:14,048 わたしにも一向に… 64 00:07:16,053 --> 00:07:22,059 それにしても こんな夜更けに ひとり歩きは不用心じゃねえか? 65 00:07:22,059 --> 00:07:26,063 病気のおばのお見舞いが 思いのほか手間取りまして… 66 00:07:26,063 --> 00:07:30,067 あ~! 若え女に お供もつけずに帰すなんて➡ 67 00:07:30,067 --> 00:07:33,070 そのおばさんも どうかしてるぜ! 68 00:07:33,070 --> 00:07:37,074 あ… いやいや 別に お前さんを 叱ったわけじゃねえんだよ 69 00:07:37,074 --> 00:07:40,077 なにも泣かなく… 70 00:07:40,077 --> 00:07:42,077 (ため息) 71 00:07:46,083 --> 00:07:49,086 あいつらに見覚えはないのか? 72 00:07:49,086 --> 00:07:51,086 ございません 73 00:07:53,090 --> 00:07:56,090 襲われるような 覚えもないのだな? 74 00:07:58,029 --> 00:08:00,029 ございません 75 00:08:12,043 --> 00:08:14,045 政吉 へい 76 00:08:14,045 --> 00:08:17,048 お前 あの女 送ってやってくれ へい お安いご用で 77 00:08:17,048 --> 00:08:21,052 それから 何か子細があるようなら 聞いてやってくれ 78 00:08:21,052 --> 00:08:23,054 アハッ… こりゃ どうも 79 00:08:23,054 --> 00:08:27,058 旦那 今夜 なんだか ご機嫌ですね ヘヘヘ… 80 00:08:27,058 --> 00:08:30,061 (  )旦那 これをお持ちください 81 00:08:30,061 --> 00:08:33,061 いや いい 月が出て明るくなったようだ 82 00:08:36,067 --> 00:08:39,070 ≪(冷や水売り) 冷えりゃ~ ひゃっこい! 83 00:08:39,070 --> 00:08:44,075 ひゃっこ~い! ひゃっこい! (杉山)おい! 84 00:08:44,075 --> 00:08:46,077 (冷や水売り)へい! (杉山)1杯くれ! 85 00:08:46,077 --> 00:08:49,077 へい! こりゃ旦那 暑いのに ご苦労さまです! 86 00:08:52,083 --> 00:08:55,086 へい どうぞ 87 00:08:55,086 --> 00:08:58,022 ひゃっこ~い! ひゃっこい 88 00:08:58,022 --> 00:09:00,024 あ~ もう1杯 (冷や水売り)へい! 89 00:09:00,024 --> 00:09:03,027 この先に 医者が1軒あるそうです 90 00:09:03,027 --> 00:09:06,030 しょうがない 行くか (鳥蔵)はい 91 00:09:06,030 --> 00:09:09,033 ありがとうございます! 92 00:09:09,033 --> 00:09:12,036 手首を落っことしちまった奴 治療に来てねえか? 93 00:09:12,036 --> 00:09:15,039 (医師) うちの専門は骨つぎでしてな 94 00:09:15,039 --> 00:09:18,042 あ~ 見当違いした 手間取らせた 95 00:09:18,042 --> 00:09:22,046 馬鹿野郎 ちゃんと聞いてこい ≪(悲鳴) 96 00:09:22,046 --> 00:09:25,049 ≪(悲鳴) 97 00:09:25,049 --> 00:09:28,052 アーッハッハッハ! 大分 はやってんな! 98 00:09:28,052 --> 00:09:31,055 (医師) いやぁ ハッハッハ… さよう 99 00:09:31,055 --> 00:09:35,059 いや 昨夜も鳥越さまのお屋敷より お迎えがまいってな➡ 100 00:09:35,059 --> 00:09:38,062 あ~… あばらを折られた武家を 手当てしたが➡ 101 00:09:38,062 --> 00:09:40,064 いやぁ もう こう繁盛しては➡ 102 00:09:40,064 --> 00:09:44,068 夜も おちおち 眠っとられませんわい! ハハ… 103 00:09:44,068 --> 00:09:47,071 そのお迎えが来たってのは 九つ過ぎのことじゃねえか? 104 00:09:47,071 --> 00:09:50,074 おう… 町木戸は 閉まっておりましたな 105 00:09:50,074 --> 00:09:53,077 その武家は あばらを ひどく折られてた そうだな? 106 00:09:53,077 --> 00:09:59,016 さよう 鮮やかな手並み… しかし よく またご存じですな 107 00:09:59,016 --> 00:10:03,020 まあな… やった奴の 見当もついてる 行くぞ 108 00:10:03,020 --> 00:10:05,020 (鳥蔵)へい 109 00:10:13,030 --> 00:10:15,032 あっ! ゆうべの泥棒が➡ 110 00:10:15,032 --> 00:10:18,032 手首の一件で 申し立てたいことが ありますそうで 111 00:10:22,039 --> 00:10:24,041 話を聞こう 112 00:10:24,041 --> 00:10:29,046 それが… ただでは話せねえんだ 113 00:10:29,046 --> 00:10:33,050 よし 値をつけてみろ 114 00:10:33,050 --> 00:10:37,054 あっしが お調べに手を貸したことを➡ 115 00:10:37,054 --> 00:10:42,054 旦那のほうから お吟味の方々に 口添えしていただけりゃ それで… 116 00:10:44,061 --> 00:10:48,065 随分 安く出たな …いいだろう 話せ 117 00:10:48,065 --> 00:10:50,067 ヘヘヘヘ… 118 00:10:50,067 --> 00:10:54,071 実は あの手首が斬られるところを あっしは見たんですよ 119 00:10:54,071 --> 00:10:56,071 ((ヤーッ!)) 120 00:11:02,012 --> 00:11:05,015 (侍)((冗談は よせ! アッ!)) 121 00:11:05,015 --> 00:11:10,020 屋根に落ちたのは 斬られた手首に 間違いありませんよ 122 00:11:10,020 --> 00:11:13,023 …で その若い侍 どうなった? へい 123 00:11:13,023 --> 00:11:16,026 こっから先が妙なんですがね… 124 00:11:16,026 --> 00:11:21,026 (うめき声) 125 00:11:35,045 --> 00:11:38,045 (侍)((お逃げください! 早く!)) 126 00:11:45,055 --> 00:11:47,055 ((ヤーッ!)) 127 00:11:51,061 --> 00:11:53,061 ((ウワーッ! タアッ!)) 128 00:11:57,067 --> 00:11:59,067 ((ウウッ!)) 129 00:12:01,071 --> 00:12:03,071 ((ウウッ!)) 130 00:12:07,077 --> 00:12:09,077 ((おい!)) 131 00:12:20,090 --> 00:12:23,093 すると 手首を斬られた侍は 落ち延びたのか? ええ… 132 00:12:23,093 --> 00:12:27,093 しかし あの深手じゃ とても助かりっこありませんや! 133 00:12:30,100 --> 00:12:34,104 だが どっからも 死骸が出てこねえな 134 00:12:34,104 --> 00:12:37,107 旦那 話は まだ終わってねえんですよ 135 00:12:37,107 --> 00:12:40,110 あっしはね その2人の討っ手の あとをつけていったんですよ 136 00:12:40,110 --> 00:12:44,114 ほう? フッ… いい度胸だな おぬし 岡っ引きになれるぞ 137 00:12:44,114 --> 00:12:48,118 ヘヘヘ… そうですかい? ヘヘヘ… 138 00:12:48,118 --> 00:12:50,120 …で その連中 どこ行った? 139 00:12:50,120 --> 00:12:54,124 へい 仲間の死骸を引っ担いで➡ 140 00:12:54,124 --> 00:12:57,061 千石取りの鳥越さまの お屋敷に入っていきました 141 00:12:57,061 --> 00:13:04,061 ♬~ 142 00:13:11,075 --> 00:13:14,078 (藤吉)近ごろ 何かご不幸でも? 143 00:13:14,078 --> 00:13:18,082 お線香のにおいがいたしますが… 144 00:13:18,082 --> 00:13:20,084 (伝右衛門)黙って結え! 145 00:13:20,084 --> 00:13:22,084 はい… 146 00:13:28,092 --> 00:13:34,098 この度は 大変 ご愁傷さまでございました 147 00:13:34,098 --> 00:13:37,101 いろいろ大変でございますなぁ 148 00:13:37,101 --> 00:13:41,105 (郎党)ああ しかし まあ 養子縁組みも 無事 済んで➡ 149 00:13:41,105 --> 00:13:43,107 お家も安泰だ 150 00:13:43,107 --> 00:13:47,111 …てえと 亡くなられたのは若殿さま? 151 00:13:47,111 --> 00:13:50,114 知らなかったのか? (藤吉)はい 152 00:13:50,114 --> 00:13:53,114 まさか 若殿さまだとは… 153 00:13:55,119 --> 00:14:00,057 急死なされてなぁ 一時は どうなることかと思った 154 00:14:00,057 --> 00:14:02,057 はい… 155 00:14:06,063 --> 00:14:08,063 ≪(足音) 156 00:14:17,074 --> 00:14:20,077 (  )あっ! 藤吉っつぁん! ご苦労さん 157 00:14:20,077 --> 00:14:23,080 金ちゃんも大変だなぁ なんだか騒々しいようだが… 158 00:14:23,080 --> 00:14:27,084 まったくよ! 開けたり閉めたり もう 忙しいっちゃありゃしねえ! 159 00:14:27,084 --> 00:14:29,084 あっ! ご苦労さまです 160 00:14:34,091 --> 00:14:36,093 つまり嫡男が頓死して➡ 161 00:14:36,093 --> 00:14:39,096 急場しのぎに 婿養子を 取ったってことだな はい 162 00:14:39,096 --> 00:14:45,102 話としちゃ それだけなんですが どうも この辺が むずむずと… 163 00:14:45,102 --> 00:14:48,105 (杉山)鼻くそでも 詰まってんじゃねえのか? 164 00:14:48,105 --> 00:14:51,108 いえ… それもありますが… 165 00:14:51,108 --> 00:14:55,112 なんとか もうちょっと 懐の奥まで 鼻 突っ込んでみます 166 00:14:55,112 --> 00:14:59,049 蹴っ飛ばされねえよう気をつけろ (藤吉)はい 167 00:14:59,049 --> 00:15:01,051 なあ 狩谷 うん… 168 00:15:01,051 --> 00:15:05,055 例の女な あれも調べて みたほうがいいんじゃねえのか? 169 00:15:05,055 --> 00:15:08,058 ああ… 一応 詮議してみるわ 170 00:15:08,058 --> 00:15:10,058 一応ってのは どういうことだ? 171 00:15:14,064 --> 00:15:21,071 ≪(貝売り)あさり~! 殻あさり! 172 00:15:21,071 --> 00:15:24,074 ≪(貝売り)あさり~! (男性)おはよう! 173 00:15:24,074 --> 00:15:26,076 (貝売り)あっ ご苦労さまです 174 00:15:26,076 --> 00:15:31,076 あさり~ しじみよ~ 175 00:15:33,083 --> 00:15:37,087 <八丁堀の連中は 朝湯が大好きで 176 00:15:37,087 --> 00:15:41,091 ひとっ風呂浴びて 仕事に かかるのがお定まりでしたが…> 177 00:15:41,091 --> 00:15:44,094 <何しろ 男湯は 朝っぱらから込んで➡ 178 00:15:44,094 --> 00:15:49,099 そこで 誰もいない 女湯のほうに入ります> 179 00:15:49,099 --> 00:15:53,103 <女湯に 刀掛けが置いてあるのが 妙だというんで➡ 180 00:15:53,103 --> 00:15:59,042 世間では 八丁堀の七不思議の ひとつに数え上げておりますが…> 181 00:15:59,042 --> 00:16:04,047 <考えてみれば なるほど 妙ちきりんです> 182 00:16:04,047 --> 00:16:09,052 例の女 絵草紙屋でした 絵草紙屋? 183 00:16:09,052 --> 00:16:11,054 へい 旦那持ちか? 184 00:16:11,054 --> 00:16:15,058 それに違えないでしょう 女ひとりの商いですから 185 00:16:15,058 --> 00:16:18,061 勘違いじゃねえだろうな? あの晩 あっしが➡ 186 00:16:18,061 --> 00:16:20,061 送ってったんだから 間違いっこありませんよ 187 00:16:22,065 --> 00:16:25,068 しかし 旦那持ちには 見えなかったな ヘッヘッヘ… 188 00:16:25,068 --> 00:16:28,071 あんなべっぴんじゃ 旦那が ひいきになさるのも➡ 189 00:16:28,071 --> 00:16:30,073 無理はありませんがね 何言ってやがんだい 190 00:16:30,073 --> 00:16:33,076 でれっとしてたのは お前のほうじゃねえかよ へっ? 191 00:16:33,076 --> 00:16:36,079 そうでござんすかね? ヘッヘッヘ… 192 00:16:36,079 --> 00:16:38,081 ところで その女に何か? 193 00:16:38,081 --> 00:16:41,084 うん… ちょっと怪しい筋があってな 194 00:16:41,084 --> 00:16:44,087 あんなべっぴんでも やっぱり 垢が付いておりますか 195 00:16:44,087 --> 00:16:47,090 それじゃ ご案内いたしやす 196 00:16:47,090 --> 00:16:52,095 あっ! いけね! 旦那 女が こっち入ってきた! 197 00:16:52,095 --> 00:16:56,099 えへへ… いらっしゃいやし! 198 00:16:56,099 --> 00:16:58,099 ヘヘッ… どうも! 199 00:17:01,038 --> 00:17:12,049 ♬~ 200 00:17:12,049 --> 00:17:14,051 <絵草紙屋というのは➡ 201 00:17:14,051 --> 00:17:20,057 黄表紙 赤本といった 庶民向けの読み物を売る店ですが 202 00:17:20,057 --> 00:17:24,061 裏通りに ちょいと小綺麗な店を 出しているようなものは➡ 203 00:17:24,061 --> 00:17:28,065 旦那に囲われている女が 商売に事寄せて➡ 204 00:17:28,065 --> 00:17:33,070 世間体を取り繕うといった類の ものが多かったようです> 205 00:17:33,070 --> 00:17:38,075 <女が 店先で物を売るなどと いうこと自体が稀なことですから 206 00:17:38,075 --> 00:17:41,078 旦那持ちの器量良しが きれいに お作りをして➡ 207 00:17:41,078 --> 00:17:45,082 店番をしていると来ては まあ たちまち評判になって➡ 208 00:17:45,082 --> 00:17:49,082 店の表には 人だかりができたものです> 209 00:17:56,093 --> 00:17:58,093 (政吉)はい ごめんよ ごめんよ 210 00:18:05,035 --> 00:18:09,039 いつぞやは お世話になりました 211 00:18:09,039 --> 00:18:11,041 いや 礼には及ばん 212 00:18:11,041 --> 00:18:14,044 今日は 少し尋ねたいことがあってな 213 00:18:14,044 --> 00:18:17,047 何でございましょう? 鳥越家という旗本に➡ 214 00:18:17,047 --> 00:18:20,050 何か心当たりはないか? 215 00:18:20,050 --> 00:18:22,052 いいえ ございません 216 00:18:22,052 --> 00:18:26,052 そなたを襲ったのは その屋敷の連中だ 217 00:18:33,063 --> 00:18:40,070 見ず知らずの武家が 訳もなく 女を襲うってのは妙な話だな 218 00:18:40,070 --> 00:18:45,075 きっと 人違いでも なさったのでございましょう 219 00:18:45,075 --> 00:18:49,079 なるほど… 酒でも入ってたかな? 220 00:18:49,079 --> 00:18:52,082 いいえ そのようにも 見えませんでしたが… 221 00:18:52,082 --> 00:18:56,086 うん… 確かにあれは酔狂ではない 222 00:18:56,086 --> 00:19:00,086 何かの訳があって そなたをかどわかそうとしたのだ 223 00:19:02,025 --> 00:19:06,029 その訳を そなたが 知らぬというのは理屈が通らん 224 00:19:06,029 --> 00:19:08,031 隠し立てをするな 225 00:19:08,031 --> 00:19:12,035 わたしは 何も隠しておりません 226 00:19:12,035 --> 00:19:17,035 わたしが 偽りを申していると おっしゃるのでございますか? 227 00:19:21,044 --> 00:19:26,044 もうよい そなたを信じよう 228 00:19:48,071 --> 00:19:50,073 (壷振り)勝負! 五二の半! 229 00:19:50,073 --> 00:19:53,073 (客)ああ~! ちきしょうめ! (客)あ~! そっちかよ! 230 00:19:55,078 --> 00:19:57,014 次 入ります 231 00:19:57,014 --> 00:20:00,017 (客)おい! (藤吉)あ… ごめんなすって! 232 00:20:00,017 --> 00:20:03,020 今度も半だい! ヒヒヒ… 233 00:20:03,020 --> 00:20:06,023 ちょ… ちょ… 金ちゃん! 234 00:20:06,023 --> 00:20:08,023 こんなとこへ来んのかい? ハハ… 235 00:20:10,027 --> 00:20:13,030 どうした? 金ちゃん さあ ひきねえ 236 00:20:13,030 --> 00:20:15,032 (ため息) 237 00:20:15,032 --> 00:20:19,036 頼むよ 藤吉っつぁん 見なかったことにしてくんねえか 238 00:20:19,036 --> 00:20:24,041 屋敷に分かったら おいら… 追い出されちまう 239 00:20:24,041 --> 00:20:29,046 大変だぁ 金ちゃんたちもよ あの屋敷 厳しそうだもんなぁ 240 00:20:29,046 --> 00:20:31,048 厳しいのなんのって! 241 00:20:31,048 --> 00:20:35,052 上から下まで 融通の利かねえのがそろってらぁ 242 00:20:35,052 --> 00:20:39,056 もっとも 死んだ弥九郎さんは別だが… 243 00:20:39,056 --> 00:20:42,059 弥九郎さんっつうのは あの… 若殿のことかい? 244 00:20:42,059 --> 00:20:44,059 うん… 245 00:20:46,063 --> 00:20:49,066 あ… 金ちゃん いいんだ いいんだ 246 00:20:49,066 --> 00:20:52,069 しゃべりたくなきゃ しゃべんなくったっていいんだ 247 00:20:52,069 --> 00:20:56,073 事情ってのは どこにだってあらぁな うん! 248 00:20:56,073 --> 00:20:59,009 いや 事情ったってな 藤吉っつぁん… 249 00:20:59,009 --> 00:21:03,013 なにも難しいことじゃねえんだが (藤吉)いいんだよ 金ちゃん 250 00:21:03,013 --> 00:21:06,016 何もかも 今夜は忘れてよ 1杯いこうじゃねえか 251 00:21:06,016 --> 00:21:08,018 なっ! いこう! 252 00:21:08,018 --> 00:21:12,022 まあ 藤吉っつぁんにしゃべっても ばちは当たるめえ! 253 00:21:12,022 --> 00:21:14,022 いいんだ いいんだ (笑い声) 254 00:21:18,028 --> 00:21:23,033 鳥越家ってのはな 武骨一辺倒の家柄で➡ 255 00:21:23,033 --> 00:21:27,037 代々の当主が豪傑ぞろいよ 256 00:21:27,037 --> 00:21:32,042 ところが そこに とんでもねえ 出来損ないが生まれちまったんだ 257 00:21:32,042 --> 00:21:36,046 フフフフ… その弥九郎さまのことかい? 258 00:21:36,046 --> 00:21:39,049 ああ 武芸はできねえばかりか➡ 259 00:21:39,049 --> 00:21:42,052 茶屋女に懸想しちまってな (藤吉)おお… 260 00:21:42,052 --> 00:21:46,056 朝帰りはするわ 門限破りはするわ もう めちゃくちゃだよ 261 00:21:46,056 --> 00:21:48,058 大変だ! 262 00:21:48,058 --> 00:21:53,063 俺もな 随分 泣かされた! (笑い声) 263 00:21:53,063 --> 00:21:57,067 それで ひと悶着あったってわけか 264 00:21:57,067 --> 00:22:01,071 お殿さまはな 組頭に呼びつけられて➡ 265 00:22:01,071 --> 00:22:06,076 こってり 油しぼられたそうだ (藤吉)御役御免になったとか? 266 00:22:06,076 --> 00:22:12,082 いやぁ! そうなる前に 当の若殿さまは… 267 00:22:12,082 --> 00:22:15,085 病死しちまった ククッ… 268 00:22:15,085 --> 00:22:18,088 おおっと~! そりゃ好都合じゃねえか! 269 00:22:18,088 --> 00:22:20,090 うん! (藤吉)うまくいったってわけか 270 00:22:20,090 --> 00:22:23,093 うん! (藤吉)へええ~! ヘヘヘ… 271 00:22:23,093 --> 00:22:26,096 おお! おお! へえ~! 272 00:22:26,096 --> 00:22:29,096 おい もう1杯くんねえか? (藤吉)うん いこいこ! 273 00:22:37,107 --> 00:22:42,112 すると 病死ってのは表向きで… 274 00:22:42,112 --> 00:22:45,115 実は 親父が 息子を殺したってわけか? 275 00:22:45,115 --> 00:22:50,120 討っ手を差し向けて ぐさり! あの手首は弥九郎のもんです 276 00:22:50,120 --> 00:22:53,120 う~ん… (舌打ち) 277 00:22:55,125 --> 00:22:58,061 弥九郎の葬儀は もう済んだんだよな? 278 00:22:58,061 --> 00:23:01,064 はい 届けも きちんと出して 遺漏なく 279 00:23:01,064 --> 00:23:04,067 墓も ちゃんとあったか? 280 00:23:04,067 --> 00:23:08,071 もちろんです 何かご不審ですか? 281 00:23:08,071 --> 00:23:12,075 いや 大したことじゃねえんだ 282 00:23:12,075 --> 00:23:16,075 絵草紙屋のお島のほうは どうだ? この一件とは無関係と思われます 283 00:23:18,081 --> 00:23:22,085 おい ちゃんと ほじくってみたのかよ? 284 00:23:22,085 --> 00:23:26,089 お島 旦那持ちだそうだな うむ… 285 00:23:26,089 --> 00:23:29,092 旦那取る前は 何やってたんだ? 茶屋勤めしてたんじゃねえのか? 286 00:23:29,092 --> 00:23:31,094 何が言いたいんだ? はっきり言え 287 00:23:31,094 --> 00:23:34,097 弥九郎が入れあげてた茶屋女って のが お島じゃねえかってこったよ 288 00:23:34,097 --> 00:23:38,097 だから 鳥越家の郎党が 口封じの ために襲ったんじゃねえのか? 289 00:23:41,104 --> 00:23:44,107 お島が 茶屋勤めをしていたのか? 290 00:23:44,107 --> 00:23:48,107 いや それが… もう一度 よく調べてみろ 291 00:23:50,113 --> 00:23:54,113 なんか お前らしくねえな ああいうの好みか? 292 00:23:57,053 --> 00:24:00,056 (ゆい)どうなさいましたの? 浮かぬ顔して 293 00:24:00,056 --> 00:24:06,062 フッフ~! 狩谷が 美人に化かされたらしくてな 294 00:24:06,062 --> 00:24:09,065 そんなぁ~! 私は➡ 295 00:24:09,065 --> 00:24:14,065 そんな 人を化かしたりなんか いたしませんよ~! ウフフ… 296 00:24:17,073 --> 00:24:21,077 フフ… 冗談ですよ 冗談! さあ! 297 00:24:21,077 --> 00:24:24,080 それが 冗談とばかり 言えぬ節がありましてな… 298 00:24:24,080 --> 00:24:28,084 (佳代)ほどほどになさいませ! いやらしい! 299 00:24:28,084 --> 00:24:39,095 ♬~ 300 00:24:39,095 --> 00:24:44,100 う~ん 団子汁か う~ん いいにおいだ! 301 00:24:44,100 --> 00:24:54,110 ♬~ 302 00:24:54,110 --> 00:25:05,055 ♬~ 303 00:25:05,055 --> 00:25:09,059 まあ! ご覧あそばせ! きれいなお月さま! 304 00:25:09,059 --> 00:25:11,059 まんまる! 305 00:25:15,065 --> 00:25:19,065 名月や! 名月や… 306 00:25:21,071 --> 00:25:24,071 あ… はい どうぞ 307 00:25:26,076 --> 00:25:28,076 名月… 308 00:25:34,084 --> 00:25:38,088 檜屋の奴 ゆうべ 出たきり まだ戻らねえそうです 309 00:25:38,088 --> 00:25:42,092 すると お島んとこへ泊まりか? いや! そうじゃねえようです 310 00:25:42,092 --> 00:25:44,092 ちょっと つきあっておくんなさい 311 00:25:52,102 --> 00:25:55,105 お島の世話をしてんのは お前だな 312 00:25:55,105 --> 00:25:59,042 (檜屋)はい… どこで見初めた? 313 00:25:59,042 --> 00:26:02,045 あのぅ… 両国の水茶屋で ございますが… 314 00:26:02,045 --> 00:26:05,048 あの… お島が何か? 315 00:26:05,048 --> 00:26:08,051 いえ! あのぅ… お島とは➡ 316 00:26:08,051 --> 00:26:11,054 ちょうど 縁を切ろうと 思っていたところで… 317 00:26:11,054 --> 00:26:14,057 でたらめを言うな! いえいえ めっそうもございません 318 00:26:14,057 --> 00:26:16,059 あのお島という奴は➡ 319 00:26:16,059 --> 00:26:19,062 とんでもない 恥知らずでございまして 320 00:26:19,062 --> 00:26:22,065 こちらに さんざん金を使わせたあげくに➡ 321 00:26:22,065 --> 00:26:25,068 若い男を くわえ込むというありさまで… 322 00:26:25,068 --> 00:26:28,071 その男 旗本の御曹司か? 323 00:26:28,071 --> 00:26:32,075 へい どうやら 二本差しのお方のようで… 324 00:26:32,075 --> 00:26:36,079 ケッ! まったく… 見境のない あばずれ女で➡ 325 00:26:36,079 --> 00:26:40,079 手前どもも あきれ果てて おりますようなしだいで… 326 00:26:52,095 --> 00:26:54,095 ケッ! 327 00:27:05,041 --> 00:27:10,046 お島が旦那を取ったのは 弥九郎と会うための方便です 328 00:27:10,046 --> 00:27:15,046 いっそのこと 囲われたほうが 自由に会えるってわけだな 329 00:27:17,053 --> 00:27:22,058 あの女 まだ 何か隠しているかもしれません 330 00:27:22,058 --> 00:27:27,063 隠すのは無理はねえ 弥九郎は生きてるんだ 331 00:27:27,063 --> 00:27:31,067 お島が どっかに かくまってる 332 00:27:31,067 --> 00:27:34,070 …はあ? 333 00:27:34,070 --> 00:27:37,073 死体を勘定してみろ 334 00:27:37,073 --> 00:27:39,073 どういうことです? 335 00:27:42,078 --> 00:27:47,078 弥九郎が死んだとすると 死体が 1つ足りなかねえか? 336 00:27:49,085 --> 00:27:51,087 はあ… 337 00:27:51,087 --> 00:27:54,090 お前が調べた夜盗は➡ 338 00:27:54,090 --> 00:27:57,026 討っ手の1人が 弥九郎を 逃がしたって言ってるよな? 339 00:27:57,026 --> 00:28:00,029 はい その家来は➡ 340 00:28:00,029 --> 00:28:05,034 土壇場に来て 若殿さまを 殺すに忍びず 落ち延びさせたが 341 00:28:05,034 --> 00:28:09,034 そのために 仲間に 斬り殺されてしまった 342 00:28:13,042 --> 00:28:18,047 そいつの死体は どこへ消えちまったんだ? 343 00:28:18,047 --> 00:28:21,050 弥九郎の代わりに 埋められたということですか? 344 00:28:21,050 --> 00:28:25,054 そういうことだよ 墓は1つしかねえからな 345 00:28:25,054 --> 00:28:29,054 弥九郎が死んだんじゃ 死体が1つ余る勘定だ 346 00:28:32,061 --> 00:28:37,066 何しろ 葬式まで 出しちまったんだからなぁ 347 00:28:37,066 --> 00:28:39,066 もう あとには引けねえ… 348 00:28:41,070 --> 00:28:46,075 敵は お島 締め上げて 弥九郎の居場所を聞き出す腹だ 349 00:28:46,075 --> 00:28:49,078 そうじゃねえか? はい… 350 00:28:49,078 --> 00:28:53,082 よし それが分かったら すぐ仕事にかかれ 351 00:28:53,082 --> 00:28:57,020 まず 弥九郎の居場所を 聞き出すんだな 352 00:28:57,020 --> 00:29:01,024 しかし あのお島が 素直に 口割るでしょうか? 353 00:29:01,024 --> 00:29:03,024 あいつは 死んでも口割らねえな 354 00:29:05,028 --> 00:29:10,033 まあ… ぼちぼち やれや 355 00:29:10,033 --> 00:29:14,033 おう! 鯉釣って待ってるからな 356 00:29:28,051 --> 00:29:31,054 どうか お見逃しください! 357 00:29:31,054 --> 00:29:36,059 弥九郎さまの傷が治りしだい 2人で江戸を立ち去ります! 358 00:29:36,059 --> 00:29:39,059 誰にも ご迷惑は おかけいたしません! 359 00:29:42,065 --> 00:29:44,067 今更 あの方を捕まえて➡ 360 00:29:44,067 --> 00:29:47,070 どうなさろうという おつもりでございますか!? 361 00:29:47,070 --> 00:29:50,073 お目付に引き渡して 鳥越家の一族郎党を➡ 362 00:29:50,073 --> 00:29:54,077 ことごとく 断罪なさるおつもりですか!? 363 00:29:54,077 --> 00:29:57,013 お願いでございます 狩谷さま! 364 00:29:57,013 --> 00:29:59,013 どうかご慈悲を! 365 00:30:02,018 --> 00:30:05,021 できれば 助けてやりたいが… 366 00:30:05,021 --> 00:30:09,021 しかし 俺が承知しても 鳥越家が承知すまい 367 00:30:17,033 --> 00:30:22,038 向こうが欲しがってるのは 理屈よりも首だ 368 00:30:22,038 --> 00:30:27,038 女の身ひとつで 1000石の旗本を 敵に回すつもりか? 369 00:30:29,045 --> 00:30:32,045 覚悟は いたしております 370 00:30:50,066 --> 00:30:53,069 おい 狩谷 見なかったか? 371 00:30:53,069 --> 00:30:57,006 あ~! どうしたどうしたぁ? 狩谷が 迷子にでもなったのか? 372 00:30:57,006 --> 00:31:00,009 いやぁ あんまり帰りが遅いんで おやじさんが心配してな 373 00:31:00,009 --> 00:31:02,011 迎えに行くとこだ 374 00:31:02,011 --> 00:31:05,014 あ~あ~あ~! 十や そこらの 小僧でもあるまいに! 375 00:31:05,014 --> 00:31:10,019 迎えは口実だ 佳代の小言が肴じゃ酒がまずいわ 376 00:31:10,019 --> 00:31:13,022 おうおうおう! 俺も一緒に連れてってくれよ 377 00:31:13,022 --> 00:31:15,024 いいよ 行かなくて (小室)行こう行こう! 378 00:31:15,024 --> 00:31:17,024 酔っ払いは寝てろよ! (小室)いいじゃねえか! 379 00:31:19,028 --> 00:31:21,028 (ため息) 380 00:31:24,033 --> 00:31:27,036 ひとつ聞いていいかい? 381 00:31:27,036 --> 00:31:29,036 何でございましょう? 382 00:31:31,040 --> 00:31:35,044 弥九郎どのは それほどのお方か? 383 00:31:35,044 --> 00:31:39,044 聞くところによると 随分 いいかげんな御仁のようだが 384 00:31:41,050 --> 00:31:46,050 武家の嫡男としては 確かに そのとおりかもしれません 385 00:31:48,057 --> 00:31:52,057 ですが ひとりの 人間としてなら どうでしょう? 386 00:31:54,063 --> 00:31:58,063 弥九郎さまは 最初は 毎日 通っていらっしゃいました 387 00:32:00,069 --> 00:32:05,074 それが 3日に一度になり 5日に一度になり… 388 00:32:05,074 --> 00:32:09,078 とうとう ばったり姿を 見せなくなったのです 389 00:32:09,078 --> 00:32:12,078 わたしは さして 気にも留めませんでした 390 00:32:14,083 --> 00:32:18,087 あるとき わたしは お客を帰したあとで➡ 391 00:32:18,087 --> 00:32:22,091 ふっと窓の外を見ました 392 00:32:22,091 --> 00:32:27,096 すると 川淵の柳の下に➡ 393 00:32:27,096 --> 00:32:31,100 あの方が立っていらっしゃるのが 見えました 394 00:32:31,100 --> 00:32:37,106 それから 気をつけておりますと あの方は 毎日 おいでになって➡ 395 00:32:37,106 --> 00:32:40,106 柳の下に立っていらっしゃる… 396 00:32:42,111 --> 00:32:46,115 あの方は 大殿さまのご勘気に触れて➡ 397 00:32:46,115 --> 00:32:49,115 銭1枚にも 不自由なさっていたのです 398 00:32:51,120 --> 00:32:54,123 店に上がることもできず➡ 399 00:32:54,123 --> 00:32:59,061 来る日も来る日も ただ わたしをひと目 見るために 400 00:32:59,061 --> 00:33:03,065 柳の下に 立っていたのでございます 401 00:33:03,065 --> 00:33:13,075 ♬~ 402 00:33:13,075 --> 00:33:24,086 ♬~ 403 00:33:24,086 --> 00:33:29,091 それが運命とは申せ 身に添わぬ武門に生まれついて➡ 404 00:33:29,091 --> 00:33:33,091 あの方は どんなにお悩みになったことか… 405 00:33:35,097 --> 00:33:41,097 このわたしだけが あの方の 身のよりどころなのでございます 406 00:33:46,108 --> 00:33:48,108 ≪(足音) 407 00:33:50,112 --> 00:33:53,112 (お松)表! ハァハァ… 408 00:34:30,086 --> 00:34:32,088 番屋まで走れるか? 409 00:34:32,088 --> 00:34:34,088 はい… 命懸けだぞ 410 00:34:36,092 --> 00:34:38,092 よし! 411 00:34:46,102 --> 00:34:48,102 (刺客)ウォーッ! 412 00:34:55,111 --> 00:34:58,047 走れ! 413 00:34:58,047 --> 00:35:12,061 ♬~ 414 00:35:12,061 --> 00:35:15,064 狩谷さま わたしのことは うっちゃってお逃げください! 415 00:35:15,064 --> 00:35:17,066 2階へ行け! でも 狩谷さま… 416 00:35:17,066 --> 00:35:19,068 2階へ行け! 417 00:35:19,068 --> 00:35:30,079 ♬~ 418 00:35:30,079 --> 00:35:34,083 神妙にしな! 俺は 北町奉行所 同心… 419 00:35:34,083 --> 00:35:36,085 ヤーッ! 420 00:35:36,085 --> 00:35:48,097 ♬~ 421 00:35:48,097 --> 00:35:51,100 助けて! (小室)なんだよ!? 422 00:35:51,100 --> 00:35:54,103 ハァハァ… (杉山)はっきり言え はっきり 423 00:35:54,103 --> 00:35:56,105 ハァハァ… 助けて! 424 00:35:56,105 --> 00:36:08,050 ♬~ 425 00:36:08,050 --> 00:36:11,053 ウォーッ! 426 00:36:11,053 --> 00:36:14,056 まだ やんのか! 疲れるばかりだぞ! 427 00:36:14,056 --> 00:36:16,058 ヤーッ! 428 00:36:16,058 --> 00:36:28,070 ♬~ 429 00:36:28,070 --> 00:36:31,073 狩谷! オオーッ!? 430 00:36:31,073 --> 00:36:39,081 ♬~ 431 00:36:39,081 --> 00:36:41,083 (小室)ウアーッ! 小室! 斬るな! 432 00:36:41,083 --> 00:36:44,086 いきなり どなる奴があるか!? 433 00:36:44,086 --> 00:36:47,089 逃がしちまったじゃないか! いいんだ! 434 00:36:47,089 --> 00:36:50,092 できれば 内聞に済ませたいと思ってな 435 00:36:50,092 --> 00:36:53,095 だから 1人も殺さずに 逃がしてやったんだ! 436 00:36:53,095 --> 00:36:57,095 嘘だろう!? ンン! 437 00:37:01,037 --> 00:37:06,042 狩谷さま! ああ お互い 無事で何よりだった 438 00:37:06,042 --> 00:37:10,046 お許しください! わたしをお許しください! 439 00:37:10,046 --> 00:37:13,046 ハァハァ… 440 00:37:17,053 --> 00:37:21,057 なるほど 大した腕前だな (小室)ウウ… ウウ… 441 00:37:21,057 --> 00:37:23,057 ずっと そうやってるか? 442 00:38:20,049 --> 00:38:40,069 ♬~ 443 00:38:40,069 --> 00:38:48,077 ♬~ 444 00:38:48,077 --> 00:38:52,081 おーい どこ行くんだ? お前 445 00:38:52,081 --> 00:38:55,084 話をつけに行く まずいぞ そりゃ! 446 00:38:55,084 --> 00:38:58,020 旗本屋敷は 町奉行の 縄張じゃねえんだからな 447 00:38:58,020 --> 00:39:00,020 これ 頼む 448 00:39:02,024 --> 00:39:06,028 こんなもん 2本持ってたって しょうがねえだろうが! 449 00:39:06,028 --> 00:39:10,032 (用人たち) お待ちください! 困ります! 450 00:39:10,032 --> 00:39:12,034 お待ちくだされ! 451 00:39:12,034 --> 00:39:16,038 伝右衛門どのは おられぬか! ご当主に話がある! 452 00:39:16,038 --> 00:39:19,038 伝右衛門どのは おられぬか! 453 00:39:23,045 --> 00:39:26,048 ゆうべ あれだけやって お前ら まだ懲りねえのか? 454 00:39:26,048 --> 00:39:28,050 タアーッ! 455 00:39:28,050 --> 00:39:30,050 ウワッ! 456 00:39:34,056 --> 00:39:36,056 刀を引けい! 457 00:39:46,068 --> 00:39:51,073 不始末の責めは すべて このわしにある! 458 00:39:51,073 --> 00:39:55,073 弥九郎を廃嫡すれば それで済んだものを… 459 00:39:57,012 --> 00:40:02,017 あれが不憫で… わしは どうしても できなかった 460 00:40:02,017 --> 00:40:07,022 その未練が 皆の者を 狂わせてしまったのだ 461 00:40:07,022 --> 00:40:11,026 すると 弥九郎どのを襲ったのは ご家来衆の独断ですか? 462 00:40:11,026 --> 00:40:14,029 そのような詮議は もはや無用 463 00:40:14,029 --> 00:40:17,029 狩谷どの お引き取りくだされ 464 00:40:19,034 --> 00:40:25,040 わしは これから ひと仕事 いたさねばならぬ 465 00:40:25,040 --> 00:40:27,040 腹を召されるおつもりか? 466 00:40:29,044 --> 00:40:36,051 それは ご短慮と申すもの この一件は 内聞に収める所存です 467 00:40:36,051 --> 00:40:42,057 その代わり 弥九郎どのは病死して 別の人間に生まれ変わった 468 00:40:42,057 --> 00:40:46,061 そう おぼし召して 一切を不問に付していただきたい 469 00:40:46,061 --> 00:40:49,064 弥九郎の不始末を 見逃せと申されるのか!? 470 00:40:49,064 --> 00:40:54,069 そうするよりほかに この場を 収める手だてはございません! 471 00:40:54,069 --> 00:40:57,006 もはや わしの覚悟は変わらん! 472 00:40:57,006 --> 00:41:01,010 腹を切って 事が明るみに出れば 取り潰しということも! 473 00:41:01,010 --> 00:41:05,010 それが正道… 致し方あるまい 474 00:41:11,020 --> 00:41:16,020 ≪ 親父どの! 腹を召してはなりませぬ! 475 00:41:20,029 --> 00:41:23,032 (弥九郎) 親父どのが ご自害なされては➡ 476 00:41:23,032 --> 00:41:26,032 この弥九郎も生きてはおれません 477 00:41:29,038 --> 00:41:31,038 (弥九郎)親父どの 478 00:41:33,042 --> 00:41:35,042 弥九郎を許してください 479 00:41:39,048 --> 00:41:43,052 もう ここへは二度とまいりません 480 00:41:43,052 --> 00:41:45,052 これが最後です! 481 00:41:49,058 --> 00:41:52,058 どうか お言葉を! 482 00:41:55,064 --> 00:41:59,068 されば せめて お顔を お見せください! 親父どの! 483 00:41:59,068 --> 00:42:03,072 それは ならん! 484 00:42:03,072 --> 00:42:08,072 わしと お前は もはや 他人同士! 485 00:42:10,079 --> 00:42:16,085 親でも… 子でもない! 486 00:42:16,085 --> 00:42:36,105 ♬~ 487 00:42:36,105 --> 00:42:56,105 ♬~ 488 00:42:59,061 --> 00:43:03,061 (用人)あっ! お待ちくだされ! お待ちくだされ! 489 00:43:06,068 --> 00:43:08,070 大殿さまが これを… 490 00:43:08,070 --> 00:43:11,070 言づかっていただきたいとの ことでございます! 491 00:43:13,075 --> 00:43:18,075 「若殿さまのご霊前に供えて」 いただきとうございます 492 00:43:29,091 --> 00:43:32,094 これ お前 届けてくれ 493 00:43:32,094 --> 00:43:35,097 お前の手柄じゃないか お島も喜ぶぞ 494 00:43:35,097 --> 00:43:39,101 それが困る また泣かれでもしたら かなわん 495 00:43:39,101 --> 00:43:41,103 そういうことか 496 00:43:41,103 --> 00:43:45,107 なあ つまんねえこと ひとつ 聞いていいか? うん… 497 00:43:45,107 --> 00:43:50,112 俺 あの手首 どうしたらいいんだ 持ち主 一生 現れねえぞ 498 00:43:50,112 --> 00:43:54,116 そうか… ハハッ… そこまでは考えなかったな 499 00:43:54,116 --> 00:43:56,118 考えてくれなきゃ困る! 500 00:43:56,118 --> 00:44:00,055 狩谷 これ持ってけ 重くてかなわねえ 501 00:44:00,055 --> 00:44:02,055 おお すまん 502 00:44:08,063 --> 00:44:10,065 (杉山)よっ! 503 00:44:10,065 --> 00:44:12,067 やっと見つけました! (杉山)何を? 504 00:44:12,067 --> 00:44:15,070 例の医者です! 手首を 斬られた男を治療したという… 505 00:44:15,070 --> 00:44:18,073 あれ… お前 まだ捜してたのか? (栗原)いやぁ 実に苦労しました 506 00:44:18,073 --> 00:44:22,077 ああ それはお手柄だったなぁ (栗原)ささあ 案内します! 507 00:44:22,077 --> 00:44:24,079 まいりましょう! 508 00:44:24,079 --> 00:44:27,082 さあ! (杉山)いや それ 凄いぞ お前 509 00:44:27,082 --> 00:44:29,082 ≪ はい! ≪(杉山)いやぁ よくやった! 510 00:44:31,086 --> 00:44:34,089 ああ… 兄上にご用か? 511 00:44:34,089 --> 00:44:37,092 いえ お昼を届けに まいっただけですから 512 00:44:37,092 --> 00:44:41,096 佳代さん …変だな 513 00:44:41,096 --> 00:44:43,096 どうした? 514 00:44:45,100 --> 00:44:47,102 狩谷さま うん… 515 00:44:47,102 --> 00:44:50,102 どなたか 意中のお方が おありなんですか? 516 00:44:52,107 --> 00:44:56,111 ああ あれは 兄上のくだらん悪ふざけだ 517 00:44:56,111 --> 00:44:58,046 本当でございますか? 518 00:44:58,046 --> 00:45:01,049 うん… これは わたしがいただこう 519 00:45:01,049 --> 00:45:05,049 せっかくの心づくしが無駄になる ウフッ… 520 00:45:08,056 --> 00:45:16,056 (風鈴の音) 521 00:45:24,072 --> 00:45:28,076 つい さっき 店じまいして出ていきました 522 00:45:28,076 --> 00:45:32,076 ああ… そうか はい 523 00:45:35,083 --> 00:45:41,083 あ~ なんだか 急に秋が来ちまいやがった 524 00:45:48,096 --> 00:45:50,098 あの… 525 00:45:50,098 --> 00:45:53,101 一杯 どうですか? 526 00:45:53,101 --> 00:45:57,039 うん… 飲むか そう来なくちゃ! 527 00:45:57,039 --> 00:46:02,044 あの… ここ あっしに持たせてくれませんか? 528 00:46:02,044 --> 00:46:07,049 どうしても 若旦那に 一杯おごりたくて… 529 00:46:07,049 --> 00:46:10,049 うん… ああ! どうぞ! 530 00:46:12,054 --> 00:46:14,056 (店主)いらっしゃい! 531 00:46:14,056 --> 00:46:28,070 ♬~ 532 00:46:28,070 --> 00:46:31,073 <秋風と共に この一件も片づいて➡ 533 00:46:31,073 --> 00:46:37,079 調べに協力した夜盗は お叱りだけで 無事 放免> 534 00:46:37,079 --> 00:46:43,085 <狩谷を助けた小女のお松は 銭2貫文のご褒美を賜りました> 535 00:46:43,085 --> 00:46:45,087 <あの手首は➡ 536 00:46:45,087 --> 00:46:50,092 のちに鳥越家の菩提寺に 手厚く葬られたということですが 537 00:46:50,092 --> 00:46:55,097 お島と 弥九郎は どこへ流れていったものやら…> 538 00:46:55,097 --> 00:46:57,032 <とんと 噂も聞きません> 539 00:46:57,032 --> 00:47:17,052 ♬~ 540 00:47:17,052 --> 00:47:37,072 ♬~ 541 00:47:37,072 --> 00:47:49,072 ♬~ 542 00:47:52,087 --> 00:47:54,089 <杉山のもとに舞い込んだ➡ 543 00:47:54,089 --> 00:47:56,089 不吉な花だよりが1通> 544 00:47:59,027 --> 00:48:03,031 <復讐に燃える 島抜けした男からでございます> 545 00:48:03,031 --> 00:48:07,035 <秋山 狩谷が仕組んだ 妹 佳代の囮作戦> 546 00:48:07,035 --> 00:48:12,035 <獲物を求め 男の背なの唐獅子が 朱に燃え上がったのでございます>