1 00:01:27,238 --> 00:01:31,109 2 00:01:31,109 --> 00:01:36,114 (捕り方たち)御用だ! 御用だ! 御用だ! 御用だ! 御用だ! 3 00:01:36,114 --> 00:01:43,121 ・~ 4 00:01:43,121 --> 00:01:46,124 (狩谷)すまんな (佳代)いいえ 5 00:01:46,124 --> 00:01:52,130 ・~ 6 00:01:52,130 --> 00:01:56,134 (江藤)ほどほどにせい ほどほどに (ゆい)分かってますよ 7 00:01:56,134 --> 00:01:59,137 (妙)うちの旦那さまが あそこで 剣のお稽古してるでしょう 8 00:01:59,137 --> 00:02:01,139 ねっ 一緒にやろうね 9 00:02:01,139 --> 00:02:13,151 ・~ 10 00:02:13,151 --> 00:02:16,154 (鳥蔵)親分! 出てきました! 11 00:02:16,154 --> 00:02:18,156 (政吉)ごちそうさん 12 00:02:18,156 --> 00:02:36,156 ・~ 13 00:02:42,113 --> 00:02:47,118 (江藤)<狩谷と佳代どのの 縁組みも相整いまして・ 14 00:02:47,118 --> 00:02:51,122 2人の婚礼も しだいに近づいてまいりました> 15 00:02:51,122 --> 00:02:59,130 (ゆい)するめ 昆布 塩鯛 のしあわびに末広と小袖と帯と 16 00:02:59,130 --> 00:03:03,134 ああ ちょっと待て 何か ひと品 足りぬぞ 17 00:03:03,134 --> 00:03:09,140 えっ? するめ 昆布 塩鯛 のしあわび… あらっ! 18 00:03:09,140 --> 00:03:12,143 鰹節が見当たりませんよ (江藤)鰹節は どうした? 19 00:03:12,143 --> 00:03:14,145 (栗原)ございませんか? 20 00:03:14,145 --> 00:03:18,149 結納の魚は 五品と 決まっておるであろうが! 21 00:03:18,149 --> 00:03:22,153 粗忽者めが! (小室)すぐに買うてまいります 22 00:03:22,153 --> 00:03:25,156 お待ちなさい わざわざ買いに行かなくてもね 23 00:03:25,156 --> 00:03:28,093 鰹節なら 台所に1本ありますよ 24 00:03:28,093 --> 00:03:32,093 (江藤)目録のとおり進上いたし候 25 00:03:36,101 --> 00:03:38,103 <結納というしきたりは・ 26 00:03:38,103 --> 00:03:42,107 安土桃山時代に 始まったそうでございますが・ 27 00:03:42,107 --> 00:03:45,110 こんな面倒くさいことを・ 28 00:03:45,110 --> 00:03:49,110 どこのどなたが 考えだしたものやら> 29 00:03:52,117 --> 00:03:57,122 <祝儀の餅をついたり 上役にお礼のあいさつをしたり・ 30 00:03:57,122 --> 00:04:03,128 婚礼の段取りは 目が回るほど忙しゅうござる> 31 00:04:03,128 --> 00:04:06,131 <花嫁とても のんびりとはしておれません> 32 00:04:06,131 --> 00:04:11,136 <貧乏な御家人の娘は花嫁衣装も・ 33 00:04:11,136 --> 00:04:17,136 母親のお古を自分で仕立て直して 嫁入りをしたものでございます> 34 00:04:20,145 --> 00:04:24,149 <こうして見ると どうやら暇なのは・ 35 00:04:24,149 --> 00:04:28,086 花婿ひとりのようでございますな> 36 00:04:28,086 --> 00:04:38,096 ・~ 37 00:04:38,096 --> 00:04:41,099 乱暴に あ~… こっちこっち… 38 00:04:41,099 --> 00:04:44,102 もう… 真面目にやってください 真面目に! 39 00:04:44,102 --> 00:04:48,106 おらっ! (栗原)ああ はいはい 着きました 40 00:04:48,106 --> 00:04:51,109 おう ご苦労 ご苦労 (小室)ああ 41 00:04:51,109 --> 00:04:53,111 明日は いよいよ祝言だな 42 00:04:53,111 --> 00:04:56,114 ああ どうだ? うれしゅうて夜も眠れまい 43 00:04:56,114 --> 00:04:59,117 ああ いいからいいから ここは俺に任せとけ 44 00:04:59,117 --> 00:05:02,120 こういうことは 万事 周りの者がやることですから 45 00:05:02,120 --> 00:05:05,123 そうは言っても 皆が働いてるのに 俺だけ遊んでんのは どうもな 46 00:05:05,123 --> 00:05:10,123 なあに 嫁入り道具といっても 知れたもんだ 造作もない 47 00:05:12,130 --> 00:05:15,133 これで全部か? うん あとに残ってるのは・ 48 00:05:15,133 --> 00:05:18,136 漬物おけぐらいだが 何なら あれも持ってくるか? 49 00:05:18,136 --> 00:05:21,139 よしてくださいよ そんな みっともない 50 00:05:21,139 --> 00:05:25,143 杉山さんも困った人だ かわいい妹の嫁入り支度に・ 51 00:05:25,143 --> 00:05:27,078 たんすの一棹も そろえてやれんとは! 52 00:05:27,078 --> 00:05:30,081 腑甲斐ないにも程がありますよ! (小室)そうよなぁ 53 00:05:30,081 --> 00:05:34,085 甲斐性のない兄を持って 佳代どのも不憫なことよのぅ 54 00:05:34,085 --> 00:05:39,085 うん… うん…? (栗原)あっ ああ… 55 00:05:41,092 --> 00:05:45,096 あっ あっ… あの… 道具などという物は・ 56 00:05:45,096 --> 00:05:49,100 使い勝手の良いのが いちばんだからして… なあ 栗原 57 00:05:49,100 --> 00:05:52,103 はぁ まったく その… 武家の婚礼という物は・ 58 00:05:52,103 --> 00:05:55,106 質素で つつましやかなのが いちばんでございますゆえ 59 00:05:55,106 --> 00:05:58,109 (2人)ハハハ… (杉山)言うな! しらじらしい! 60 00:05:58,109 --> 00:06:01,112 お前らに 言われるまでもなくな・ 61 00:06:01,112 --> 00:06:04,115 自分の腑甲斐なさぐらい 自分で心得ておるわ! 62 00:06:04,115 --> 00:06:06,115 (2人)うわぁ… 63 00:06:10,121 --> 00:06:12,123 大丈夫? (佳代)うん 64 00:06:12,123 --> 00:06:14,123 (妙)ちょうどいいわねぇ 65 00:06:20,131 --> 00:06:22,131 (佳代)いかがですか? 66 00:06:28,072 --> 00:06:31,075 しようのない奴らだな 67 00:06:31,075 --> 00:06:34,078 おい! 何を見てるんだ? 68 00:06:34,078 --> 00:06:37,081 あっ… あ… これは… 69 00:06:37,081 --> 00:06:41,085 栗原が 佳代どのを 見たいというもんで… やむなく 70 00:06:41,085 --> 00:06:45,089 そうか わしにも見せろ 71 00:06:45,089 --> 00:06:58,102 ・~ 72 00:06:58,102 --> 00:07:00,104 (江藤)あの笑顔は まるで・ 73 00:07:00,104 --> 00:07:04,108 野に咲く花のように 美しいではないか 74 00:07:04,108 --> 00:07:09,113 (小室)まったく 我が女房ながら ほれぼれするような… 75 00:07:09,113 --> 00:07:13,117 わしは 佳代どののことを言っておるのだ 76 00:07:13,117 --> 00:07:18,117 あっ いや これは 恐れ入りましてございます 77 00:07:25,129 --> 00:07:28,129 栗原 次は お前の番だな 78 00:07:29,067 --> 00:07:31,069 はっ? 79 00:07:31,069 --> 00:07:35,073 お前も そろそろ身を固めんとな 80 00:07:35,073 --> 00:07:39,077 いえ 私は とても そういう気には… 81 00:07:39,077 --> 00:07:41,079 (ため息) 82 00:07:41,079 --> 00:07:46,084 妙な奴だな 狩谷を見ていて うらやましいと思わんのか? 83 00:07:46,084 --> 00:07:50,088 お前も 佳代どののような かわいい嫁御が欲しいであろうが 84 00:07:50,088 --> 00:07:55,093 無礼な ほっといてくださいよ (江藤)おいおい おいおい 85 00:07:55,093 --> 00:07:59,097 お前 まさか 本気で佳代どののことを… 86 00:07:59,097 --> 00:08:01,099 不埒なことを申されますな! 87 00:08:01,099 --> 00:08:04,099 佳代どのは 既に 人妻ではありませんか! 88 00:08:06,104 --> 00:08:11,104 う~む ありゃ本気で惚れとるわい 89 00:08:17,115 --> 00:08:21,119 ああ 町中へ出るとせいせいするな (笑い声) 90 00:08:21,119 --> 00:08:24,122 (政吉)祝言も挙げねえうちから それじゃ先が思いやられますぜい 91 00:08:24,122 --> 00:08:29,060 家にいると周りの者が 変に気を遣うから窮屈でな 92 00:08:29,060 --> 00:08:34,065 花婿も いいかげん うんざりだ (笑い声) 93 00:08:34,065 --> 00:08:38,069 (男性)おお 狩谷さま この度は 誠におめでとうございます 94 00:08:38,069 --> 00:08:42,073 ああ これは ご丁寧に 95 00:08:42,073 --> 00:08:44,075 (政吉)ハハハ… この分じゃ・ 96 00:08:44,075 --> 00:08:47,078 旦那が 祝言お挙げになることは 江戸中に知れ渡ってますぜ 97 00:08:47,078 --> 00:08:49,080 (幸兵衛) そうでございましょうとも 98 00:08:49,080 --> 00:08:52,083 何しろ 杉山さまは 大層なお喜びようで・ 99 00:08:52,083 --> 00:08:56,087 行く先々で 触れ歩いておられますからな 100 00:08:56,087 --> 00:09:00,087 虎の奴 余計なことしやがって (笑い声) 101 00:09:03,094 --> 00:09:08,099 どうしなすったんだね? 喜助さん (喜助)それが… 102 00:09:08,099 --> 00:09:12,103 旦那さまが… 押し込みに殺されなすって 103 00:09:12,103 --> 00:09:32,056 ・~ 104 00:09:32,056 --> 00:09:35,059 ・~ 105 00:09:35,059 --> 00:09:40,064 匕首か脇差しで ひと突きに 殺られたんでござんしょう 106 00:09:40,064 --> 00:09:45,069 殺されたのは ゆうべのうちだ どうして すぐに届けなかった? 107 00:09:45,069 --> 00:09:48,072 ご遺体を お清めするのに手間取りまして 108 00:09:48,072 --> 00:09:51,075 ちょっと待てよ 変死の場合は・ 109 00:09:51,075 --> 00:09:54,078 遺体を そのままにして届けるのが ご定法じゃねえか? 110 00:09:54,078 --> 00:10:00,084 それは重々… ですが あまりに むごいお姿だったもんで 111 00:10:00,084 --> 00:10:02,086 (お藤)何しろ 血まみれでしたから 112 00:10:02,086 --> 00:10:05,089 そのまま 人目にさらすのも あんまりだと思って・ 113 00:10:05,089 --> 00:10:09,089 お品さんに 遺体を清めさせたんです 114 00:10:13,097 --> 00:10:16,100 死体を見つけたのは誰だ? 115 00:10:16,100 --> 00:10:18,102 あたしです 116 00:10:18,102 --> 00:10:22,106 昨日は ご近所に誘われて 芝居見物にまいりまして・ 117 00:10:22,106 --> 00:10:26,110 帰りが 大分 遅くなったものですから 118 00:10:26,110 --> 00:10:30,110 死体を見つけたのも 真夜中のことでございまして 119 00:10:33,050 --> 00:10:35,052 (政吉) 何か 盗まれた物はねえのかい? 120 00:10:35,052 --> 00:10:39,056 (お藤)それが 妙なことに何も 121 00:10:39,056 --> 00:10:41,056 あっ そういえば… 122 00:10:47,064 --> 00:10:51,064 死体のそばに この刀が落ちておりました 123 00:10:56,073 --> 00:10:59,076 こいつは 治兵衛の持ち物かい? 124 00:10:59,076 --> 00:11:01,078 さようでございます 125 00:11:01,078 --> 00:11:05,078 治兵衛は手慰みに 折々 それを眺めておりました 126 00:11:07,084 --> 00:11:12,084 その刀で こんなことになろうとは… 127 00:11:20,097 --> 00:11:25,102 あっ これは気がつきませんで すぐに手洗いを持ってこさせます 128 00:11:25,102 --> 00:11:30,107 お品さん (お品)はい ただいま 129 00:11:30,107 --> 00:11:32,109 (喜助) 女将さん どうぞ そのまんまで 130 00:11:32,109 --> 00:11:35,112 あっしが くんでまいります 131 00:11:35,112 --> 00:11:38,115 よう ここの女将さんは お前じゃねえのかい? 132 00:11:38,115 --> 00:11:42,115 いいえ あっちが女将さんですよ 133 00:11:44,121 --> 00:11:49,126 それじゃ お前さんは? (お藤)フフッ… 134 00:11:49,126 --> 00:11:51,128 治兵衛の囲い者か? 135 00:11:51,128 --> 00:11:54,131 あたしのほうが 女房みたいなもんですよ 136 00:11:54,131 --> 00:11:56,133 あの人 お嬢さま育ちで・ 137 00:11:56,133 --> 00:11:59,136 家事の切り盛りも 何ひとつできやしないんですから 138 00:11:59,136 --> 00:12:07,144 ・~ 139 00:12:07,144 --> 00:12:11,148 本妻と妾が ひとつ屋根の下に 暮らしてるなんて ひでえ話だい 140 00:12:11,148 --> 00:12:15,152 まったくだ 本妻の お品は さぞかしつらかろうな 141 00:12:15,152 --> 00:12:17,154 恨みに思って 亭主を刺し殺したとしても・ 142 00:12:17,154 --> 00:12:19,156 不思議はねえでしょうよ 143 00:12:19,156 --> 00:12:22,159 まあ 人を殺すような女には 見えなかったが… 144 00:12:22,159 --> 00:12:25,162 外から誰かが 押し入った形跡はねえのか? 145 00:12:25,162 --> 00:12:28,099 旦那 あれは 物取りの仕業じゃございません 146 00:12:28,099 --> 00:12:31,099 治兵衛を殺ったのは ごく身近な人間ですぜ 147 00:12:34,105 --> 00:12:36,105 旦那! 148 00:12:42,113 --> 00:13:02,133 ・~ 149 00:13:02,133 --> 00:13:18,149 ・~ 150 00:13:18,149 --> 00:13:20,149 (喜助)女将さん 151 00:13:22,153 --> 00:13:25,156 あっしは 向こうで待ってます 152 00:13:25,156 --> 00:13:35,099 ・~ 153 00:13:35,099 --> 00:13:39,103 出合茶屋か こりゃ恐れ入ったな 154 00:13:39,103 --> 00:13:43,107 あの女 よそに男を 作ってるんじゃねえでしょうか 155 00:13:43,107 --> 00:13:47,107 あんな おとなしそうな女が… 分からんもんだな 156 00:13:58,122 --> 00:14:00,122 旦那! 157 00:14:46,103 --> 00:14:49,106 (ため息) 158 00:14:49,106 --> 00:14:52,109 (次郎吉) あっしに何か用ですかい? 159 00:14:52,109 --> 00:14:55,112 お前 玉水堂の女房と会ってきたな 160 00:14:55,112 --> 00:14:57,114 八丁堀ってのは・ 161 00:14:57,114 --> 00:15:00,117 そんな野暮なことまで お調べになるんですかい? 162 00:15:00,117 --> 00:15:03,117 懐の中には 何が入っている? 163 00:15:05,122 --> 00:15:10,122 黙ってお帰りになったほうが 身のためですぜ 164 00:15:17,134 --> 00:15:21,138 旦那 杉山さまのとこの妹さんと・ 165 00:15:21,138 --> 00:15:25,142 縁組みなすったそうじゃ ありませんか 166 00:15:25,142 --> 00:15:30,142 こんな所で 大けがでもしたら かわいい嫁さん 泣きますぜ 167 00:15:35,085 --> 00:15:37,085 (手下)野郎! (次郎吉)落ち着け! 168 00:15:40,090 --> 00:15:45,090 旦那だって 悪気があってやったわけじゃねえ 169 00:15:47,097 --> 00:15:52,102 恨みっこなし あいこってことに しときましょうよ 170 00:15:52,102 --> 00:15:54,104 おう! 171 00:15:54,104 --> 00:16:05,115 ・~ 172 00:16:05,115 --> 00:16:16,115 ・~ 173 00:16:22,132 --> 00:16:28,072 あのお品さんって人は 駆け落ちの し損ないでございますよ 174 00:16:28,072 --> 00:16:30,072 どういうことだい? 175 00:16:32,076 --> 00:16:34,078 古い話になりますが・ 176 00:16:34,078 --> 00:16:38,082 そもそも お品さんには 栄次郎という許婚がおりまして・ 177 00:16:38,082 --> 00:16:42,086 こちらも玉水堂と同じ 薬種問屋の息子ゆえ・ 178 00:16:42,086 --> 00:16:46,090 親同士も 2人を一緒に させるつもりでおったのです 179 00:16:46,090 --> 00:16:49,093 ところが そのうち 栄次郎の店のほうが・ 180 00:16:49,093 --> 00:16:52,096 だんだんに傾いてまいりましてな 181 00:16:52,096 --> 00:16:55,099 お品さんの両親も かかわりあいになるのを恐れて・ 182 00:16:55,099 --> 00:16:58,102 にわかに 栄次郎の店と・ 183 00:16:58,102 --> 00:17:01,105 縁を切っておしまいに なりましたのです 184 00:17:01,105 --> 00:17:05,109 まあ 「金の切れ目は縁の切れ目」 とは申せ・ 185 00:17:05,109 --> 00:17:08,112 むごいことでございました 186 00:17:08,112 --> 00:17:12,116 お品さまは 栄次郎と駆け落ちを しようとしなすったが・ 187 00:17:12,116 --> 00:17:14,118 ご両親に悟られて・ 188 00:17:14,118 --> 00:17:18,122 とうとう果たせずに おしまいになったのです 189 00:17:18,122 --> 00:17:21,125 すると 殺されたお品の亭主は? 190 00:17:21,125 --> 00:17:26,130 治兵衛は 当時 あの店の番頭でございましたが・ 191 00:17:26,130 --> 00:17:30,067 これが なかなかのしたたか者で… 192 00:17:30,067 --> 00:17:35,072 主人の難儀につけ込んで お品さんを女房にもらい受け・ 193 00:17:35,072 --> 00:17:39,076 玉水堂の主に まんまと 納まったようなわけでして 194 00:17:39,076 --> 00:17:43,080 つまり 身代欲しさに 傷物の娘をもらい受けたわけだな 195 00:17:43,080 --> 00:17:45,082 治兵衛の奴・ 196 00:17:45,082 --> 00:17:49,086 お品さんのご両親が亡くなると 途端に我が物顔になって・ 197 00:17:49,086 --> 00:17:54,091 妾を家に引き入れて お品さんを 邪魔者扱いにいたしましてな 198 00:17:54,091 --> 00:17:57,094 そんなつらいことばっかりで・ 199 00:17:57,094 --> 00:17:59,096 お品さんは いよいよ 栄次郎さんのことが・ 200 00:17:59,096 --> 00:18:03,100 忘れられなかったんで ございましょうよ 201 00:18:03,100 --> 00:18:05,102 (幸兵衛)広徳寺の境内に・ 202 00:18:05,102 --> 00:18:10,107 ひとりぽつんと立ってる姿を よく見かけたものでございます 203 00:18:10,107 --> 00:18:15,112 そこが 2人の駆け落ちの 約束の場所でございましてな 204 00:18:15,112 --> 00:18:18,115 もしや 栄次郎が来やせぬかと・ 205 00:18:18,115 --> 00:18:22,119 空頼みをして 待っておったのでございましょう 206 00:18:22,119 --> 00:18:25,122 栄次郎のほうは その後 どうなったんだい? 207 00:18:25,122 --> 00:18:29,059 さあ 詳しいことは存じませんが・ 208 00:18:29,059 --> 00:18:32,062 店もお品さんも いっぺんに失うて・ 209 00:18:32,062 --> 00:18:35,065 やけでも 起こしたんでございましょう 210 00:18:35,065 --> 00:18:39,065 土場に入り浸りになり 身を持ち崩してしもうたとか 211 00:18:45,075 --> 00:18:48,078 栄次郎ってのは どんな男だい? 人相 年は? 212 00:18:48,078 --> 00:18:51,081 さあ… お前? 213 00:18:51,081 --> 00:18:56,086 さあ… あたしも 面識がございませんもんで 214 00:18:56,086 --> 00:18:58,086 そうか… 215 00:19:00,090 --> 00:19:04,094 何か? うむ… 216 00:19:04,094 --> 00:19:07,097 栄次郎は 性質の悪いごろつきになって・ 217 00:19:07,097 --> 00:19:10,097 お品の前に 戻ってきたのかもしれんな 218 00:19:36,060 --> 00:19:38,060 ・(戸の開く音) 219 00:19:43,067 --> 00:19:46,070 こんな遅くまで 何をしていらっしゃったのです? 220 00:19:46,070 --> 00:19:48,072 ああ ちょっとな… 221 00:19:48,072 --> 00:19:51,072 お夕食は? ああ… あっ 済んだ 222 00:19:53,077 --> 00:19:57,081 あんまり お帰りが遅いので 本当に心配しました 223 00:19:57,081 --> 00:19:59,083 そんなことを いちいち心配しているようでは・ 224 00:19:59,083 --> 00:20:05,089 先が思いやられるな ゆいどのや 妙どのに笑われるぞ 225 00:20:05,089 --> 00:20:08,092 旦那さまのお帰りを ひとりで待つのが・ 226 00:20:08,092 --> 00:20:12,092 こんなにつらいことだなんて 思いませんでした 227 00:20:18,102 --> 00:20:23,107 末を誓い合った男が ある日 突然いなくなったら・ 228 00:20:23,107 --> 00:20:25,109 佳代なら どうする? 229 00:20:25,109 --> 00:20:29,046 「新八郎さまがいなくなったら」と いうことですか? 230 00:20:29,046 --> 00:20:31,048 仮に そうだとして 10年たっても・ 231 00:20:31,048 --> 00:20:33,050 男が戻ってくるまで 待っているか? 232 00:20:33,050 --> 00:20:36,053 待ちます 20年でも30年でも 233 00:20:36,053 --> 00:20:39,056 では 20年たって戻ってきた男が・ 234 00:20:39,056 --> 00:20:42,059 平気で刃物を振り回すような 悪党になっていたら? 235 00:20:42,059 --> 00:20:46,063 それでも まだ愛せるものかな? 236 00:20:46,063 --> 00:20:52,069 悪党になろうと何になろうと わたしの気持ちは変わりません 237 00:20:52,069 --> 00:20:57,074 うん… そういうものかな? 女という奴は 238 00:20:57,074 --> 00:20:59,076 どうなさったのです・ その腕 239 00:20:59,076 --> 00:21:02,079 ああ かすり傷だ 大したことはない 嘘! 240 00:21:02,079 --> 00:21:06,083 隠し事をなさっては嫌です 大丈夫だ 241 00:21:06,083 --> 00:21:12,083 もういい 騒ぐほどのことではない フフ… 242 00:21:18,095 --> 00:21:24,101 佳代どのだけが女ではないぞ 栗原 (栗原)大丈夫です 小室さん! 243 00:21:24,101 --> 00:21:27,104 私は もう思い切りました ハハッ… 244 00:21:27,104 --> 00:21:33,110 ハァ~… アハハハ! そうか! 偉いぞ~ 飲め! 245 00:21:33,110 --> 00:21:36,113 飲もう! (笑い声) 246 00:21:36,113 --> 00:21:42,119 これ 夜半だぞ 少しは遠慮をせぬか! 247 00:21:42,119 --> 00:21:44,121 …たく! 248 00:21:44,121 --> 00:21:47,124 大丈夫か~ 249 00:21:47,124 --> 00:21:51,128 何事ですか 一体! 騒々しい! 250 00:21:51,128 --> 00:21:54,131 いやいや… これはだな… 251 00:21:54,131 --> 00:21:57,134 ほら 小室 お前のせいだぞ! 252 00:21:57,134 --> 00:22:01,138 ヘヘヘ… (いびき) 253 00:22:01,138 --> 00:22:03,138 あなた 254 00:22:06,143 --> 00:22:08,143 ああ… 255 00:22:10,147 --> 00:22:13,150 あ~! どいてどいて… 256 00:22:13,150 --> 00:22:17,150 はいはい… (栗原)佳代どの 佳代どの~ 257 00:22:19,156 --> 00:22:22,156 兄上 (杉山)うん? 258 00:22:24,161 --> 00:22:30,100 新八郎さまは 本当に佳代を 妻にお望みだったのでしょうか? 259 00:22:30,100 --> 00:22:34,104 言うまでもないこっちゃないか (佳代)佳代を喜ばせようと思って 260 00:22:34,104 --> 00:22:37,107 兄上が無理強いしたのでは ありませんか? 261 00:22:37,107 --> 00:22:39,109 俺が そんなことすると思うか? 262 00:22:39,109 --> 00:22:43,109 兄上なら やりかねません (杉山)馬鹿なこと申すな 263 00:22:45,115 --> 00:22:49,119 どうした? 狩谷と けんかでもしたのか? 264 00:22:49,119 --> 00:22:52,122 ちょっと心配になっただけ 265 00:22:52,122 --> 00:22:56,126 新八郎さまに 嫌われたのではないかと… 266 00:22:56,126 --> 00:22:59,129 あの野郎 何か けしからんこと言ったのか・ 267 00:22:59,129 --> 00:23:03,133 そうではありません わたしが 勝手に そう思っただけです 268 00:23:03,133 --> 00:23:13,143 ・~ 269 00:23:13,143 --> 00:23:15,145 (ゆい)はいはい… 270 00:23:15,145 --> 00:23:18,148 あ~ あの 隅々まで きれいに磨いてくださいよ 271 00:23:18,148 --> 00:23:21,151 は~い (ゆい)取り扱いは丁寧に 272 00:23:21,151 --> 00:23:24,154 は~い 273 00:23:24,154 --> 00:23:31,094 (ため息) ・(栗原)ウェッ… ああ… 274 00:23:31,094 --> 00:23:34,094 気分は どうだ? えっ? 275 00:23:39,102 --> 00:23:41,104 ウ~ ウ~ ウ~! 276 00:23:41,104 --> 00:23:43,106 迎え酒でも飲んでみるか? すっきりするぞ~ 277 00:23:43,106 --> 00:23:45,108 よしてくださいよ もう! 278 00:23:45,108 --> 00:23:49,112 酒って 聞いただけで胃の腑の中が… 279 00:23:49,112 --> 00:23:52,115 だから ほどほどにしろって言ったんだ 280 00:23:52,115 --> 00:23:55,118 まあまあ よいではございませんか 281 00:23:55,118 --> 00:23:58,121 こいつも こうなることを 覚悟のうえで飲んだのですから 282 00:23:58,121 --> 00:24:03,126 介抱するほうが よほど覚悟がいったわ 283 00:24:03,126 --> 00:24:06,126 酔っ払い! (小室)すいません 284 00:24:12,135 --> 00:24:16,139 おはようございます (佳代)おはようございます 285 00:24:16,139 --> 00:24:18,141 狩谷 見ませんでしたか? 286 00:24:18,141 --> 00:24:21,141 いや 今日は まだ見ておらんが 287 00:24:23,146 --> 00:24:25,148 どうかしたのか? 288 00:24:25,148 --> 00:24:29,086 どっか出かけちまったらしくて 姿が見えんのです 289 00:24:29,086 --> 00:24:31,088 …で 佳代がちょっと心配しまして 290 00:24:31,088 --> 00:24:35,092 佳代どのも気が早い 婚礼は 夜の五ツからではござらんか 291 00:24:35,092 --> 00:24:39,096 でも ゆうべ 新八郎さまは 10年も20年も・ 292 00:24:39,096 --> 00:24:42,099 遠くへ行ってしまうようなことを おっしゃっておいででした 293 00:24:42,099 --> 00:24:46,103 そんな話があれば まず わしに相談するはずだが 294 00:24:46,103 --> 00:24:48,105 何も聞いとらんぞ 295 00:24:48,105 --> 00:24:51,108 だから 取り越し苦労だっつった じゃないか 296 00:24:51,108 --> 00:24:57,114 しかし佳代どのに これほどまでに 慕われていようとは・ 297 00:24:57,114 --> 00:25:01,114 狩谷も幸せ者よのぅ (小室)ハハハ… 298 00:25:03,120 --> 00:25:05,122 (ため息) 299 00:25:05,122 --> 00:25:10,127 おい あいつ 具合悪いのか? (小室)あ~ まあな… 300 00:25:10,127 --> 00:25:13,130 若い者にありがちな ちょっとした心の病だ 301 00:25:13,130 --> 00:25:17,130 うん… どうした? 栗原 女にでも振られたか? 302 00:25:27,077 --> 00:25:33,077 ・(読経) 303 00:25:52,102 --> 00:25:55,105 (喜助)アーッ! 304 00:25:55,105 --> 00:25:57,107 アーッ! 305 00:25:57,107 --> 00:26:00,107 (政吉) 待て待て待て! 待ちやがれ! 306 00:26:02,112 --> 00:26:05,115 ほら しっかりしろ 307 00:26:05,115 --> 00:26:07,115 どうしたんだ? 308 00:26:26,136 --> 00:26:28,071 (笑い声) 309 00:26:28,071 --> 00:26:31,071 行くぜ (手下たち)へい 310 00:26:36,079 --> 00:26:40,083 ようよう お前さん 亭主の葬式ほったらかして・ 311 00:26:40,083 --> 00:26:43,086 こんなとこで何やってるんだい? あいつはな・ 312 00:26:43,086 --> 00:26:48,091 向柳原の土場で 代貸しやってる 次郎吉って物騒な野郎なんだぜ 313 00:26:48,091 --> 00:26:50,093 存じております 314 00:26:50,093 --> 00:26:54,097 そうかい …おかしいじゃねえか 315 00:26:54,097 --> 00:26:57,100 お前みてえな素っ堅気な女房が ごろつきと承知のうえで・ 316 00:26:57,100 --> 00:27:00,100 あんな男と会ってるってのは どういうわけだい? 317 00:27:02,105 --> 00:27:08,111 お品 お前には 栄次郎という許婚がいたそうだが 318 00:27:08,111 --> 00:27:13,116 あの男が そうではないのか? 何のことでございましょう? 319 00:27:13,116 --> 00:27:16,119 栄次郎は お前との仲を裂かれて・ 320 00:27:16,119 --> 00:27:19,122 土場へ 入り浸っていたそうではないか 321 00:27:19,122 --> 00:27:22,125 それが やくざ者に成り果てて・ 322 00:27:22,125 --> 00:27:24,127 お前に 会いに 戻ってきたのではないのか? 323 00:27:24,127 --> 00:27:30,066 とんでもございません それは思い違いというものです 324 00:27:30,066 --> 00:27:35,066 では 50両もの大金を なぜ あの男にくれてやった? 325 00:27:37,073 --> 00:27:39,075 お前が あいつに入れあげてるのを・ 326 00:27:39,075 --> 00:27:43,079 亭主の治兵衛は 指くわえて 見てたわけじゃあるめえ? 327 00:27:43,079 --> 00:27:46,082 いさかいにでもなって お前さん・ 328 00:27:46,082 --> 00:27:49,082 はずみで 亭主 殺っちまったんじゃねえのか? 329 00:27:51,087 --> 00:27:54,090 どうした? お品 330 00:27:54,090 --> 00:27:56,090 答えろ 331 00:27:58,094 --> 00:28:01,097 お前のような 不幸に耐えてきた人間が・ 332 00:28:01,097 --> 00:28:07,103 やすやすと人を殺すはずはない 俺は そう信じたい 333 00:28:07,103 --> 00:28:10,103 事情があるなら正直に言え 334 00:28:16,112 --> 00:28:21,117 ご好意は うれしゅうございます 335 00:28:21,117 --> 00:28:25,121 でも あしたになれば・ 336 00:28:25,121 --> 00:28:30,060 何もかも自然に片づきます 337 00:28:30,060 --> 00:28:50,080 ・~ 338 00:28:50,080 --> 00:29:10,100 ・~ 339 00:29:10,100 --> 00:29:30,053 ・~ 340 00:29:30,053 --> 00:29:50,073 ・~ 341 00:29:50,073 --> 00:30:08,091 ・~ 342 00:30:08,091 --> 00:30:14,097 あの女… 一体 なに考えてんだか 旦那… そろそろ・ 343 00:30:14,097 --> 00:30:17,100 お帰りにならねえと 婚礼の支度が あるんじゃございませんか? 344 00:30:17,100 --> 00:30:19,102 婚礼は 夜の五ツからだ 345 00:30:19,102 --> 00:30:22,105 でも 皆さん 心配してらっしゃるんじゃ… 346 00:30:22,105 --> 00:30:24,105 なに 大丈夫だろう 347 00:30:27,043 --> 00:30:29,045 (小室)あっ… (栗原)あ~ 小室さん! 348 00:30:29,045 --> 00:30:35,051 あっ お前 先に行け 行け… ハァハァ… 349 00:30:35,051 --> 00:30:37,053 いたか? 狩谷 350 00:30:37,053 --> 00:30:39,055 それが どこにも見当たりません 351 00:30:39,055 --> 00:30:44,060 …たく 人騒がせな どこ行きやがったのか! 352 00:30:44,060 --> 00:30:50,066 新八郎さまは きっと 遠くへ行ってしまわれたのです 353 00:30:50,066 --> 00:30:52,068 あ~ まあまあ… 354 00:30:52,068 --> 00:30:55,071 どっか心当たりの場所 ないのか! 355 00:30:55,071 --> 00:31:00,076 うん! あいつ この度の婚儀の報告をしに・ 356 00:31:00,076 --> 00:31:03,079 亡きご両親の墓前に 参っておるんではないか? 357 00:31:03,079 --> 00:31:05,081 さすが おやじどの! …で 菩提寺は? 358 00:31:05,081 --> 00:31:09,085 あ~ 目黒の威徳寺 (杉山)小室 お前 行ってこい 359 00:31:09,085 --> 00:31:13,089 また 俺かぁ… もう (杉山)佳代の身になれ! 360 00:31:13,089 --> 00:31:17,093 はい! 私が行ってまいります (杉山)うん 361 00:31:17,093 --> 00:31:19,095 なんか お前 急に元気になってない? 362 00:31:19,095 --> 00:31:21,097 いやいや… 363 00:31:21,097 --> 00:31:23,099 狩谷が このまま 帰らねばよいなどと・ 364 00:31:23,099 --> 00:31:25,101 お前 よもや思うておるまいな? 365 00:31:25,101 --> 00:31:27,103 いえ そのようなことは決して 366 00:31:27,103 --> 00:31:30,106 ごめんくださいまし あっ 狩谷の旦那から・ 367 00:31:30,106 --> 00:31:33,109 言づてを承ってまいりやした (杉山)狩谷から・ 368 00:31:33,109 --> 00:31:36,112 へい 「五ツまでには戻るから 心配するな」ってことです 369 00:31:36,112 --> 00:31:38,114 …で どこにいるんだ? あの野郎 370 00:31:38,114 --> 00:31:43,114 出合茶屋です (杉山)出合茶屋… 女と一緒かよ 371 00:31:51,127 --> 00:31:57,127 ・(お品) 思いっきり抱いておくれ 栄さん 372 00:31:59,135 --> 00:32:02,135 ・ これが最後なんだから 373 00:32:06,142 --> 00:32:12,148 ・ あとに未練が 残らないように思いっきり… 374 00:32:12,148 --> 00:32:15,151 (開く音) 何やってんだ? こんなとこで! 375 00:32:15,151 --> 00:32:18,154 婚礼… 376 00:32:18,154 --> 00:32:21,157 お前 ぶっ飛ばす… 377 00:32:21,157 --> 00:32:23,159 (政吉)旦那 旦那! 378 00:32:23,159 --> 00:32:25,161 政吉 あとで報告 来てくれ (政吉)いや… 379 00:32:25,161 --> 00:32:28,097 政吉 来やがったら承知しねえぞ! 380 00:32:28,097 --> 00:32:30,097 (ため息) 381 00:32:36,105 --> 00:32:38,107 (佳代)新八郎さま! 382 00:32:38,107 --> 00:32:41,110 黙ってお出かけになるなんて あんまりです 383 00:32:41,110 --> 00:32:48,117 今日だけは お仕事のことを忘れて 佳代のことだけを考えてください 384 00:32:48,117 --> 00:32:52,121 もう どこへも行かないって 約束してください 385 00:32:52,121 --> 00:32:59,121 分かった 約束しよう 心配かけて すまなかったな 386 00:33:07,136 --> 00:33:09,138 誰もいなかったとは どういうことだ? 387 00:33:09,138 --> 00:33:11,140 ですから 茶屋の者が言うには・ 388 00:33:11,140 --> 00:33:15,144 お品の部屋には 誰も 案内しなかったってことなんでい 389 00:33:15,144 --> 00:33:20,149 しかし 現に お品は 男と会っていたではないか? 390 00:33:20,149 --> 00:33:22,151 部屋は あらためたのか? 391 00:33:22,151 --> 00:33:26,155 へい お品が 茶屋を出た直後に 踏み込んでみたんですが・ 392 00:33:26,155 --> 00:33:29,092 誰もいませんでした どっちにしても・ 393 00:33:29,092 --> 00:33:31,094 お品が会っていたのは 次郎吉じゃありませんぜ 394 00:33:31,094 --> 00:33:34,097 あいつなら 見逃すはずはございません 395 00:33:34,097 --> 00:33:39,102 喜助は 何をしていたんだ? えっ? 396 00:33:39,102 --> 00:33:43,106 お品が逢い引きするとき いつも あの茶屋を使っていたのか? 397 00:33:43,106 --> 00:33:47,110 いえ あそこに来たのは 3度目だそうで 398 00:33:47,110 --> 00:33:51,114 では 喜助の顔は 誰も覚えてはおるまい 399 00:33:51,114 --> 00:33:55,118 それじゃ… 喜助がお品の部屋に? 400 00:33:55,118 --> 00:33:59,122 供待ちの喜助が お品の部屋に忍んでいっても・ 401 00:33:59,122 --> 00:34:01,124 誰も気づかなかったろう 402 00:34:01,124 --> 00:34:09,132 (お品)思いっきり 抱いておくれ 栄さん 403 00:34:09,132 --> 00:34:12,132 これが最後なんだから… 404 00:34:16,139 --> 00:34:23,146 あとに未練が 残らないように思いっきり… 405 00:34:23,146 --> 00:34:25,146 お品… 406 00:34:27,083 --> 00:34:30,086 旦那 これから お出かけになるんで? 407 00:34:30,086 --> 00:34:32,086 悪い予感がする 408 00:34:35,091 --> 00:34:37,091 きれいよ 409 00:34:47,103 --> 00:34:50,106 ああ きれいだ 410 00:34:50,106 --> 00:34:53,106 ふ~ん… 佳代 411 00:34:55,111 --> 00:34:58,114 これは 母上の形見の櫛だ 412 00:34:58,114 --> 00:35:02,118 まあ… こんな物があったんですか (杉山)うん 413 00:35:02,118 --> 00:35:05,121 お前は ちっちゃかったから 知らねえだろうが・ 414 00:35:05,121 --> 00:35:08,124 父上の懐具合が苦しくなる度に・ 415 00:35:08,124 --> 00:35:12,128 母上は これを質に入れて 金をこしらえてた 416 00:35:12,128 --> 00:35:16,132 今まで 俺が預かってたが・ 417 00:35:16,132 --> 00:35:21,137 俺は もう独り身だ 暮らしに困ることはない 418 00:35:21,137 --> 00:35:25,141 お前にやろうと思って 質屋から請け出してきた 419 00:35:25,141 --> 00:35:29,141 これを持って 狩谷のとこへ嫁に行け 420 00:35:33,082 --> 00:35:37,086 兄上… (杉山)うん 421 00:35:37,086 --> 00:35:39,086 きれいだ… 422 00:35:46,095 --> 00:35:48,097 虎! (杉山)うん? 423 00:35:48,097 --> 00:35:50,097 虎! ちょっと… (杉山)うん 424 00:35:53,102 --> 00:35:55,104 どうした? お前 客いっぱい集まってるか? 425 00:35:55,104 --> 00:35:59,104 客は問題ないのだが 花婿が またいなくなった 426 00:36:02,111 --> 00:36:05,114 お品さんは 昼過ぎに外へ出たっきり・ 427 00:36:05,114 --> 00:36:07,116 まだ戻ってませんけどね 428 00:36:07,116 --> 00:36:10,119 出かけるとき 何か変わった様子はなかったか? 429 00:36:10,119 --> 00:36:13,122 そういえば 1つ妙なことが 430 00:36:13,122 --> 00:36:16,125 誰が持ち出したのか 知りませんけどね 431 00:36:16,125 --> 00:36:21,130 治兵衛の部屋にあった 短刀がなくなってるんですよ 432 00:36:21,130 --> 00:36:25,134 お品は死ぬ気だ 行き先の見当はつかねえかい? 433 00:36:25,134 --> 00:36:29,134 さあ… あそこだ… 広徳寺だ! 434 00:37:22,125 --> 00:37:27,063 俺は とんだ勘違いしていたぞ 喜助 お品の許婚の栄次郎が・ 435 00:37:27,063 --> 00:37:32,068 お前だったとは まるで気づかなかったぞ 436 00:37:32,068 --> 00:37:37,068 さあ 書き置きのつもりで 何もかも俺に話してみろ 437 00:37:39,075 --> 00:37:42,078 お品の亭主を殺したのは わたしでございます 438 00:37:42,078 --> 00:37:44,080 おとがめは どうか わたしひとりに 439 00:37:44,080 --> 00:37:47,083 いえ 悪いのはわたしです 栄さんは わたしを助けようとして 440 00:37:47,083 --> 00:37:49,085 待て待て 441 00:37:49,085 --> 00:37:53,085 俺な ちょっと急いでんだ 要領良く話してくれるか? 442 00:37:55,091 --> 00:37:57,093 お品と離れ離れになってから・ 443 00:37:57,093 --> 00:38:01,097 わたしは やけになって ずっと 土場に入り浸っておりました 444 00:38:01,097 --> 00:38:06,102 そんな暮らしから 何度 足を洗おうと思ったかしれません 445 00:38:06,102 --> 00:38:09,105 わたしは このまま江戸にいては 立ち直れないと思った 446 00:38:09,105 --> 00:38:12,108 上方へでも行けば やり直せるかもしれない 447 00:38:12,108 --> 00:38:17,113 すると お品のことが 急に頭に浮かんで… 448 00:38:17,113 --> 00:38:22,118 江戸を出る前に お品に ひと目 会いたくなったんでございます 449 00:38:22,118 --> 00:38:25,121 (喜助)わたしは 10何年ぶりで・ 450 00:38:25,121 --> 00:38:28,121 広徳寺の境内へ 足を踏み入れました 451 00:38:31,060 --> 00:38:42,071 ・~ 452 00:38:42,071 --> 00:38:45,074 (喜助) お品は わたしのことを忘れずに・ 453 00:38:45,074 --> 00:38:48,077 ずっと 待っていてくれたんでございます 454 00:38:48,077 --> 00:38:54,083 16年も… この桜の木の下で… 455 00:38:54,083 --> 00:38:57,086 わたしは 玉水堂の治兵衛に雇われて・ 456 00:38:57,086 --> 00:39:01,090 店では 下僕の喜助で通し・ 457 00:39:01,090 --> 00:39:03,092 お品の供をして 外へ出たときだけ・ 458 00:39:03,092 --> 00:39:06,095 栄次郎に戻って 契りを結んでおりました 459 00:39:06,095 --> 00:39:10,099 それを 次郎吉に知られて 金を脅し取られていたのか? 460 00:39:10,099 --> 00:39:16,105 さようでございます 治兵衛を殺したのは なぜだ? 461 00:39:16,105 --> 00:39:21,110 あれは わたしが悪かったのでございます 462 00:39:21,110 --> 00:39:28,050 土場のごろつきに ゆすられるのも 不義密通の弱みがあればこそ 463 00:39:28,050 --> 00:39:31,053 そう思いまして わたしは あの晩・ 464 00:39:31,053 --> 00:39:37,059 治兵衛の部屋へ 去り状を いただきにまいったのです 465 00:39:37,059 --> 00:39:42,064 金を脅し取られて みすみす 身代をつぶすよりは・ 466 00:39:42,064 --> 00:39:45,067 いっそ離縁してもらったほうが・ 467 00:39:45,067 --> 00:39:50,072 治兵衛にも 迷惑を かけずに済むと思ったんです 468 00:39:50,072 --> 00:39:57,079 でも それが 過ちのもとでございました 469 00:39:57,079 --> 00:40:01,079 (お品)旦那さま どうか… 470 00:40:03,085 --> 00:40:05,087 お願いします! 471 00:40:05,087 --> 00:40:08,090 (お品)「今更 お前を離縁しても・ 472 00:40:08,090 --> 00:40:11,093 ごろつきに くれてやった金は戻らぬ」・ 473 00:40:11,093 --> 00:40:14,096 そう 治兵衛は申しました 474 00:40:14,096 --> 00:40:16,098 治兵衛にとって わたしなど・ 475 00:40:16,098 --> 00:40:19,101 一文の値打ちもない 女だったのです 476 00:40:19,101 --> 00:40:39,055 ・~ 477 00:40:39,055 --> 00:40:45,061 ・~ 478 00:40:45,061 --> 00:40:47,063 (刺さる音) 479 00:40:47,063 --> 00:41:00,076 ・~ 480 00:41:00,076 --> 00:41:04,080 お願いいたします わたしたちを ここで死なせてください 481 00:41:04,080 --> 00:41:08,080 罪の償いを 自分の手でさせてください 482 00:41:11,087 --> 00:41:16,092 旦那 追っつけ 次郎吉が 約束の金を取りに来ます 483 00:41:16,092 --> 00:41:18,094 わたしと お品の死体を見れば・ 484 00:41:18,094 --> 00:41:21,097 あいつも このうえ まだ 店をゆすろうとは思いますまい 485 00:41:21,097 --> 00:41:24,100 ここで けじめをつけさせてください 486 00:41:24,100 --> 00:41:28,104 狩谷さま わたしどもを 一緒に死なせてください 487 00:41:28,104 --> 00:41:33,104 離れ離れに お仕置きを 受けるのは嫌でございます 488 00:41:35,111 --> 00:41:39,111 旦那 なんだか 雲行きが怪しくなってきやしたぜ 489 00:41:49,125 --> 00:41:51,127 ・(鐘の音) (政吉)いけねえ! 490 00:41:51,127 --> 00:41:55,131 旦那 ありゃ 五ツの鐘ですぜ 婚礼が始まっちまったい! 491 00:41:55,131 --> 00:41:57,131 (舌打ち) 492 00:42:02,138 --> 00:42:04,140 ・(佳代)嘘や ごまかしは 聞きたくありません! 493 00:42:04,140 --> 00:42:07,143 ・ 本当のことを おっしゃってください! 494 00:42:07,143 --> 00:42:10,146 (栗原)アーッ! アア (小室)すいません 495 00:42:10,146 --> 00:42:12,148 (小室)虎! (杉山)いたか? 496 00:42:12,148 --> 00:42:16,152 ・(小室)それが どこにもおらん ・(栗原)あっ 危ない 佳代どの! 497 00:42:16,152 --> 00:42:19,155 あなた この場 なんとかしないと (江藤)ああ 分かっとる 498 00:42:19,155 --> 00:42:21,157 早く (江藤)ああ… 499 00:42:21,157 --> 00:42:24,160 ああ それでは 皆さま ご退屈でございましょうから・ 500 00:42:24,160 --> 00:42:28,160 前祝いに 私がひと踊り フフッ… 501 00:42:30,099 --> 00:42:32,101 ♪ おっちょこちょいの ちょい… 502 00:42:32,101 --> 00:42:36,101 ・(佳代)もう頼みません! 佳代が自分で捜してきます! 503 00:42:38,107 --> 00:42:40,109 (杉山)佳代! (栗原)佳代どの! 504 00:42:40,109 --> 00:42:42,111 (杉山)佳代 ちょっと待て (栗原)佳代どの! 505 00:42:42,111 --> 00:42:46,115 (小室)落ち着け 佳代どの! (杉山)佳代! 506 00:42:46,115 --> 00:42:48,115 (政吉)危ねえ危ねえ さあ 507 00:42:52,121 --> 00:42:57,126 死にたくない奴は 脇へどいてろ 手加減してる暇が 俺にはねえんだ 508 00:42:57,126 --> 00:43:03,132 何言ってやんだい ふざけてんじゃねえよ 509 00:43:03,132 --> 00:43:05,132 やっちまえ! (手下)野郎! 510 00:43:24,153 --> 00:43:30,153 お品 やり損なった駆け落ちを もう一度 やってみる気はないか? 511 00:43:33,095 --> 00:43:36,098 旦那 婚礼の刻限は とっくに過ぎてるんですぜ 512 00:43:36,098 --> 00:43:39,101 あとは あっしに任せて… 513 00:43:39,101 --> 00:43:41,101 狩谷さま! 514 00:43:44,106 --> 00:43:47,109 お幸せに 515 00:43:47,109 --> 00:43:49,111 お前もな 516 00:43:49,111 --> 00:43:59,111 ・~ 517 00:44:06,128 --> 00:44:10,132 どこへ行っておったんだ 馬鹿者! 518 00:44:10,132 --> 00:44:12,134 あっ… 519 00:44:12,134 --> 00:44:18,140 貴様 婚礼を通夜に変えやがって この野郎! どこ行ってたんだ! 520 00:44:18,140 --> 00:44:20,142 (小室)虎! (栗原)杉山さん! 521 00:44:20,142 --> 00:44:22,144 (小室)虎! (栗原)ウワッ・ 522 00:44:22,144 --> 00:44:27,082 ・(妙)佳代さま 大丈夫ですよ 狩谷さまは 必ずまいりますから 523 00:44:27,082 --> 00:44:31,086 ほらほら 花嫁が そのような お顔をして どうするんですか? 524 00:44:31,086 --> 00:44:33,086 涙を おふきになって 525 00:44:35,090 --> 00:44:37,090 ハァ… 526 00:44:49,104 --> 00:44:52,107 早く行っておあげなさいませ 527 00:44:52,107 --> 00:44:54,109 しかし どうすればいいのか… 528 00:44:54,109 --> 00:44:58,113 フフッ… そう難しく お考えにならなくても よいのです 529 00:44:58,113 --> 00:45:00,115 肩を抱いて・ 530 00:45:00,115 --> 00:45:03,118 ただ ひと言おっしゃって さしあげれば よいのです 531 00:45:03,118 --> 00:45:06,121 何と言えばいいのです? 532 00:45:06,121 --> 00:45:09,124 「惚れている」と 533 00:45:09,124 --> 00:45:11,124 フフッ… 534 00:45:17,132 --> 00:45:23,132 ・(泣き声) 535 00:45:33,082 --> 00:45:39,088 ・(笑い声) 536 00:45:39,088 --> 00:45:47,096 ♪(江藤)高砂や~ 537 00:45:47,096 --> 00:45:59,108 ♪ この浦舟に 帆を上げて~ 538 00:45:59,108 --> 00:46:10,119 ♪ 月もろともに 出で潮の… 539 00:46:10,119 --> 00:46:12,121 <いやはや・ 540 00:46:12,121 --> 00:46:16,125 一時は どうなることかと 心配いたしましたが・ 541 00:46:16,125 --> 00:46:19,128 まずは これで ひと安心でござる> 542 00:46:19,128 --> 00:46:24,133 <のっけから こんな調子で いささか 先行きが案じられますが 543 00:46:24,133 --> 00:46:28,070 ともあれ めでたしめでたし> 544 00:46:28,070 --> 00:46:48,090 ・~ 545 00:46:48,090 --> 00:47:08,110 ・~ 546 00:47:08,110 --> 00:47:18,110 ・~ 547 00:47:26,128 --> 00:47:29,064 (栗原) <…たく 何も す巻きにされて・ 548 00:47:29,064 --> 00:47:33,068 川に浮いてることないだろう じいさま> 549 00:47:33,068 --> 00:47:36,071 <息子と孫娘に会いに 江戸に来た?> 550 00:47:36,071 --> 00:47:40,075 <そういえば ふた月前に 男の死体が大川に上がったが・ 551 00:47:40,075 --> 00:47:44,075 まさか 敵討ちの大立ち回り やらかそうなんてことを…>