1 00:00:35,336 --> 00:00:38,239 自宅蟄居を命じられた松陰が➡ 2 00:00:38,239 --> 00:00:42,676 僅か3畳半の幽囚室で 始めた塾は➡ 3 00:00:42,676 --> 00:00:48,349 武士 百姓 町人の別なく 学を志す者が集い➡ 4 00:00:48,349 --> 00:00:52,019 昼夜を問わず 常に開かれているという➡ 5 00:00:52,019 --> 00:00:56,690 型破りな学舎となっていた。 6 00:00:56,690 --> 00:01:01,028 後に初代総理大臣となる伊藤利助。 7 00:01:01,028 --> 00:01:07,368 松陰のもとを訪れたのは 安政4年 秋の事だった。 8 00:01:07,368 --> 00:01:10,037 (利助)元は周防の百姓です。 9 00:01:10,037 --> 00:01:14,375 一家丸ごと 足軽の伊藤様の養子にして頂き➡ 10 00:01:14,375 --> 00:01:18,245 萩へ参りました。 (寅次郎)なるほど。 11 00:01:18,245 --> 00:01:21,715 …で 君は 何を志しますか? 12 00:01:21,715 --> 00:01:25,052 立身出世です。 ほう。 13 00:01:25,052 --> 00:01:28,923 己に少しでも知恵と力があるなら それを生かして➡ 14 00:01:28,923 --> 00:01:31,392 今より ちいとでも ええ暮らしがしたい。 15 00:01:31,392 --> 00:01:33,661 そう思うちょります。 16 00:01:33,661 --> 00:01:35,596 (文)利助さんの事? 17 00:01:35,596 --> 00:01:38,999 以前 別の塾で 兄と一緒に学んどったの。➡ 18 00:01:38,999 --> 00:01:40,935 何をやっても 兄にかなわんかったのに➡ 19 00:01:40,935 --> 00:01:43,671 大組の来原良蔵様に 気に入られてから➡ 20 00:01:43,671 --> 00:01:47,007 学問にも熱が入っとるみたいで。 21 00:01:47,007 --> 00:01:49,343 (小声で)兄上 少し焦っとるんよ。 22 00:01:49,343 --> 00:01:54,682 自分も早う世に出て いろんな方のお役に立ちたいって。 23 00:01:54,682 --> 00:01:57,584 (稔麿)俺は 焦っとりゃせん。 24 00:01:57,584 --> 00:02:02,356 ただ 書物を読んだり 先生のところで学べば学ぶほど➡ 25 00:02:02,356 --> 00:02:05,693 「このままじゃいけん。 ここで こうしちゃおられん」という➡ 26 00:02:05,693 --> 00:02:08,693 気持ちが どんどん強うなってきて…。 27 00:02:10,364 --> 00:02:13,664 江戸へ行きたいん? 28 00:02:16,236 --> 00:02:20,374 江戸で学びたいんですね。 29 00:02:20,374 --> 00:02:24,244 じゃが無理じゃ。 何で? 30 00:02:24,244 --> 00:02:26,714 うちには そねなお金 ありゃせん。 31 00:02:26,714 --> 00:02:29,383 明倫館へも入れてもらえん 身分の者が➡ 32 00:02:29,383 --> 00:02:33,654 遊学なんぞ許される訳なかろう。 33 00:02:33,654 --> 00:02:37,324 (寅次郎)なるほど。 吉田稔麿君を江戸へ。 34 00:02:37,324 --> 00:02:41,195 何か 手だては ないんでしょうかね。 35 00:02:41,195 --> 00:02:46,667 「天下の苗を助けて 長ぜしめざる者 寡なし」。 36 00:02:46,667 --> 00:02:51,338 ひどい。 おっ 意味分かるんか。 37 00:02:51,338 --> 00:02:54,008 おせっかいは その者のために ならんっていうんでしょ? 38 00:02:54,008 --> 00:02:56,910 兄上の孟子の講義 ちゃんと聞いとりましたから。 39 00:02:56,910 --> 00:03:00,681 偉い偉い。 さすがじゃ。 40 00:03:00,681 --> 00:03:02,681 (ため息) 41 00:03:04,351 --> 00:03:07,254 (文之進)無理じゃ。 そこをなんとか…。 42 00:03:07,254 --> 00:03:11,025 叔父上なら ご重役方に つてがおありかと。 43 00:03:11,025 --> 00:03:14,361 名前も知らぬ軽輩を 推挙などできん。 44 00:03:14,361 --> 00:03:16,296 小田村に頼め。 45 00:03:16,296 --> 00:03:20,234 頼るなと言われとるんです。 お役目がお忙しいようで。 46 00:03:20,234 --> 00:03:22,703 [ 回想 ] (伊之助)俺をあまり当てにするな。 47 00:03:22,703 --> 00:03:25,039 もう助けてやれん。 48 00:03:25,039 --> 00:03:32,646 ああ そうか。 椋梨様のもとではのう。 49 00:03:32,646 --> 00:03:36,316 今 藩の中で一番 お力をお持ちの方じゃからのう。 50 00:03:36,316 --> 00:03:38,252 一番のお力を…。 51 00:03:38,252 --> 00:03:46,660 そういえば 江戸屋敷に 人を1人よこせと通達が…。 52 00:03:46,660 --> 00:03:49,329 ぜひとも ご推挙を。 53 00:03:49,329 --> 00:03:54,001 寅兄様の塾から お家のお役に立つ方が現れれば➡ 54 00:03:54,001 --> 00:03:57,871 またとない 忠義の証しとなるんでは? 55 00:03:57,871 --> 00:04:06,571 となれば 寅次郎の罪も いずれ許され…。 56 00:04:09,550 --> 00:04:13,687 吉田家… 吉田家再興も! 57 00:04:13,687 --> 00:04:16,387 はい! 58 00:04:18,358 --> 00:04:23,697 優れた人物を選んで 江戸へ遣わせという意見書じゃ。 59 00:04:23,697 --> 00:04:26,600 寅次郎から…。 60 00:04:26,600 --> 00:04:29,369 こちらは 江戸屋敷のお勤めに➡ 61 00:04:29,369 --> 00:04:34,069 この者を推挙するという 上申書じゃ。 62 00:04:36,643 --> 00:04:40,981 寅次郎の門弟を…。 63 00:04:40,981 --> 00:04:46,653 あの塾については 罪人の暇潰しと 大目に見てきたが➡ 64 00:04:46,653 --> 00:04:50,991 そのような事にまで口を挟むとは。 65 00:04:50,991 --> 00:04:54,661 思い知らせねばならんの。 66 00:04:54,661 --> 00:05:00,334 この件 私にお任せ頂けませんか? 67 00:05:00,334 --> 00:05:03,237 やれるか? 68 00:05:03,237 --> 00:05:09,537 寅次郎の刃の鞘となるは 私のお役目かと。 69 00:05:11,945 --> 00:05:20,020 ♬~(テーマ音楽) 70 00:05:20,020 --> 00:05:53,887 ♬~ 71 00:05:53,887 --> 00:06:00,994 ♬「愚かなる 吾れのことをも」 72 00:06:00,994 --> 00:06:10,337 ♬「友とめづ人は わがとも友と」 73 00:06:10,337 --> 00:06:18,679 ♬「吾れをも 友とめづ人は」 74 00:06:18,679 --> 00:06:29,022 ♬「わがとも友と めでよ人々」 75 00:06:29,022 --> 00:07:05,659 ♬~ 76 00:07:05,659 --> 00:07:13,333 ♬「吾れをも 友とめづ人は」 77 00:07:13,333 --> 00:07:22,342 ♬「わがとも友と めでよ人々」 78 00:07:22,342 --> 00:07:28,215 ♬「燃ゆ」 79 00:07:28,215 --> 00:07:40,915 ♬~ 80 00:07:51,505 --> 00:07:53,974 ん? 81 00:07:53,974 --> 00:07:58,645 ここにあった握り飯…。 (富永)運んでいったぞ。 82 00:07:58,645 --> 00:08:01,315 フグと一緒にな。 83 00:08:01,315 --> 00:08:03,250 フグ? 84 00:08:03,250 --> 00:08:06,653 フグはうまい。 じゃが 毒がある。 85 00:08:06,653 --> 00:08:09,556 それゆえ フグ食を禁じとる藩も多い。 86 00:08:09,556 --> 00:08:15,996 じゃが 果たして それは 道理にかなった禁令じゃろうか。 87 00:08:15,996 --> 00:08:19,666 君たちは どう思う? くだらぬ定めです。 88 00:08:19,666 --> 00:08:23,003 そねな事で うまいもんを 禁じるなんぞ 愚の骨頂です。 89 00:08:23,003 --> 00:08:24,938 う~ん なるほど。 90 00:08:24,938 --> 00:08:26,873 (品川)熱して食せば 障りはないんでは? 91 00:08:26,873 --> 00:08:29,343 そのとおり。 さあ 早う食いましょう。 92 00:08:29,343 --> 00:08:32,612 (玄瑞)待て。 そもそも 毒があるっちゅうもんを➡ 93 00:08:32,612 --> 00:08:35,515 何故 わざわざ食さねばならん。 (晋作)おぼこいのう。 94 00:08:35,515 --> 00:08:38,485 何じゃと? 毒があるけぇ試してみたいんじゃ。 95 00:08:38,485 --> 00:08:41,288 そねな事で 己の勇猛さを試そうというんか。 96 00:08:41,288 --> 00:08:43,623 随分安い男じゃのう。 何じゃと? 97 00:08:43,623 --> 00:08:46,293 まあまあまあまあ お二人とも。 誰じゃ お前は!? 98 00:08:46,293 --> 00:08:48,228 伊藤でございます。 お見知りおきを。 99 00:08:48,228 --> 00:08:50,163 君は どう思う? 100 00:08:50,163 --> 00:08:53,166 はい。 「虎穴に入らずんば 虎児を得ず」と申します。 101 00:08:53,166 --> 00:08:56,937 危険を冒して美味を得るか。 102 00:08:56,937 --> 00:08:59,639 まあ 「君子危うきに近寄らず」とも 言いますしね。 103 00:08:59,639 --> 00:09:01,975 だから どっちなんじゃ!? どならんでつかぁさい。 104 00:09:01,975 --> 00:09:04,878 俺 包丁借りてきます。 (稔麿)私は 食いますよ。 105 00:09:04,878 --> 00:09:06,847 江戸へ乗り込もうという者が➡ 106 00:09:06,847 --> 00:09:09,649 フグの毒や禁令なんぞに 臆してはおられませんから。 107 00:09:09,649 --> 00:09:13,320 江戸? 稔麿は 江戸へ行くんか? まだ決まった訳では。 108 00:09:13,320 --> 00:09:16,990 ですが 玉木文之進様のお口添えで いずれ遠からず。 109 00:09:16,990 --> 00:09:20,327 お文さんが ものすごい勢いで 父上を説得したんです。 110 00:09:20,327 --> 00:09:22,262 あいつが? 江戸行きが決まったら➡ 111 00:09:22,262 --> 00:09:24,197 お文さんのおかげです。 あいつの? 112 00:09:24,197 --> 00:09:27,000 ならば いっそ連れていったら どうじゃ? あいつを!? 113 00:09:27,000 --> 00:09:31,338 あの~… 亀太郎さんが そろそろ フグをお返し頂きたいと。 114 00:09:31,338 --> 00:09:33,607 借り物やったんですか? これ。 115 00:09:33,607 --> 00:09:36,943 届け先に急ぎますから。 どうも。 116 00:09:36,943 --> 00:09:41,943 あ~ 腹が減った。 もうか! 飯ばっかりじゃのう。 117 00:09:44,284 --> 00:09:49,623 利助さん! あっ そねな事は こちらで致します。 118 00:09:49,623 --> 00:09:52,292 あっ いや お礼の米すら持ってこられんし➡ 119 00:09:52,292 --> 00:09:54,628 身分も低い。 こんぐらい させてもらわんと。 120 00:09:54,628 --> 00:09:57,531 ≪(稔麿)戦じゃと? 121 00:09:57,531 --> 00:10:02,502 そうじゃ。 江戸での戦のしかたを 教えてやる。 来い。 122 00:10:02,502 --> 00:10:06,239 槍なら少々覚えがあるが。 そりゃあ結構。 123 00:10:06,239 --> 00:10:10,977 お前らも どうじゃ? 稔麿のはなむけに。 124 00:10:10,977 --> 00:10:13,313 俺は帰る。 125 00:10:13,313 --> 00:10:15,982 先に江戸に行かれるんが 悔しいんか? 126 00:10:15,982 --> 00:10:20,320 もういっぺん 言うてみい。 127 00:10:20,320 --> 00:10:23,657 ついてこい。 えっ? 128 00:10:23,657 --> 00:10:26,560 あっ…。 129 00:10:26,560 --> 00:10:30,330 これは剣呑…。 130 00:10:30,330 --> 00:10:33,667 利助さん お願い。 こっそり 後つけて。 131 00:10:33,667 --> 00:10:35,602 私が? 今 何かあったら➡ 132 00:10:35,602 --> 00:10:39,539 稔麿さんの江戸行きも 塾の評判も 何もかも水の泡。 133 00:10:39,539 --> 00:10:42,539 あの人たち見張って。 お願い! 134 00:10:45,278 --> 00:10:49,216 おお… ここが大人の戦場か! 135 00:10:49,216 --> 00:10:52,686 江戸には江戸の毒が あるっちゅう事よ。 136 00:10:52,686 --> 00:10:55,986 慣れておかんとな。 おう…。 137 00:10:58,024 --> 00:11:02,024 (小声で) 見てます。 こっちを見てます。 138 00:11:05,365 --> 00:11:10,365 (小声で) ならば こちらも見返すまでじゃ。 139 00:11:34,528 --> 00:11:39,232 かわいい~! 若いのね。 140 00:11:39,232 --> 00:11:43,003 ≪高杉じゃないか。 141 00:11:43,003 --> 00:11:46,673 明倫館に姿を見せぬと 思うておったら。 142 00:11:46,673 --> 00:11:52,546 なるほど。 こちらが 吉田松陰先生の薫陶を受けたる➡ 143 00:11:52,546 --> 00:11:56,349 ご門人の方でござるか。 せからしいのう。 144 00:11:56,349 --> 00:12:01,349 今日は こいつの江戸行きの 前祝いなんじゃ。 構わんでくれ。 145 00:12:03,223 --> 00:12:05,358 (三味線の音) 146 00:12:05,358 --> 00:12:16,658 ♬「三千世界の烏を」 147 00:12:19,372 --> 00:12:21,308 俺は帰るぞ。 148 00:12:21,308 --> 00:12:24,044 ≪(利助)お待ち下さい! お願いでございます! 149 00:12:24,044 --> 00:12:27,914 (周布)調子っ外れの三味線に 聞き覚えがあるぞ! 150 00:12:27,914 --> 00:12:31,851 周布様! 151 00:12:31,851 --> 00:12:35,322 ご重役の周布政之助様じゃ。 152 00:12:35,322 --> 00:12:38,224 下手な三味線を もちいと聴かせろ。 153 00:12:38,224 --> 00:12:42,195 よろしいのですか? お勤めの方は…。 154 00:12:42,195 --> 00:12:47,334 ふん。 椋梨 小田村のご両人がおれば➡ 155 00:12:47,334 --> 00:12:51,004 わしの出る幕なんぞ ないわい。 小田村…。 156 00:12:51,004 --> 00:12:52,939 ≪(長井雅楽)周布殿! 157 00:12:52,939 --> 00:12:56,343 (周布)おお 長井殿。 158 00:12:56,343 --> 00:12:59,245 戻るぞ。 159 00:12:59,245 --> 00:13:02,215 危機に疎い藩の者たちを 急ぎ目覚めさせねば。 160 00:13:02,215 --> 00:13:06,353 後年 藩を二分する大論争の果て➡ 161 00:13:06,353 --> 00:13:11,224 久坂ら松下村塾生と 死闘を繰り広げる長井雅楽は➡ 162 00:13:11,224 --> 00:13:17,697 このころ 周布政之助と並び 頭角を現し始めていた。 163 00:13:17,697 --> 00:13:23,370 長井雅楽様とお見受け致しました。 吉田稔麿と申します。➡ 164 00:13:23,370 --> 00:13:26,039 江戸屋敷のお勤めを 願い出ております。 165 00:13:26,039 --> 00:13:29,709 よろしくお願い申し上げます! うむ! 166 00:13:29,709 --> 00:13:34,409 お家のお役に立ちたいという その意気じゃ よし! 167 00:13:37,517 --> 00:13:42,656 しかし 無理じゃろうのう。 168 00:13:42,656 --> 00:13:45,325 無理? 169 00:13:45,325 --> 00:13:48,228 椋梨殿が許すまい。 170 00:13:48,228 --> 00:13:55,928 供の者は明倫館から出す。 私塾なんぞからは出さん。 171 00:13:57,904 --> 00:14:02,876 「吉田松陰の弟子を 江戸にやる訳にはいかぬ」。 172 00:14:02,876 --> 00:14:05,011 ハハハハハ…。 173 00:14:05,011 --> 00:14:09,011 (長井)さあ 周布殿 参ろう。 174 00:14:14,688 --> 00:14:17,357 塾生は 江戸にやれん? 175 00:14:17,357 --> 00:14:22,696 はい。 椋梨様のお達しだそうで。 椋梨様が…。 176 00:14:22,696 --> 00:14:26,032 酔った周布様が口を滑らせまして。 177 00:14:26,032 --> 00:14:28,702 ≪(玄瑞) 断じて許す訳にはいきませぬ! 178 00:14:28,702 --> 00:14:32,972 塾生というだけで こねぇな扱いを されるいわれは ございませぬ。 179 00:14:32,972 --> 00:14:36,643 屈せず 稔麿を 断固 江戸へやるべきです! 180 00:14:36,643 --> 00:14:39,979 稔麿の江戸行きには 不満やったんじゃないんか。 181 00:14:39,979 --> 00:14:45,652 そうじゃ。 俺だって… 俺だって江戸へ行きたい。 182 00:14:45,652 --> 00:14:49,322 もっと学んで 藩の… 日本国のお役に立ちたい。 183 00:14:49,322 --> 00:14:51,658 (稔麿)ならば お前が行け。 184 00:14:51,658 --> 00:14:53,993 椋梨殿の横やりが入らねばな。 185 00:14:53,993 --> 00:14:56,663 お前のために 怒ってるんじゃないか! 186 00:14:56,663 --> 00:14:58,598 まあまあまあ お二人とも。 ねっ。 187 00:14:58,598 --> 00:15:02,335 (靖)誰じゃ お前は? あっ 伊藤です。 188 00:15:02,335 --> 00:15:08,675 新手か。 次から次へと まあ よう入るのう うちの塾には。 189 00:15:08,675 --> 00:15:11,675 吉田君 久坂君。 190 00:15:13,346 --> 00:15:15,682 僕の弟子というだけで➡ 191 00:15:15,682 --> 00:15:18,585 江戸行きの願いが 断たれるんだとしたら➡ 192 00:15:18,585 --> 00:15:21,354 君たちに 深く わびねばなりません。 193 00:15:21,354 --> 00:15:24,257 先生のせいではありません。 194 00:15:24,257 --> 00:15:30,029 ただ 一つ尋ねたい。 吉田君も久坂君も➡ 195 00:15:30,029 --> 00:15:33,633 なぜ それほどまでに 江戸へ行きたいんじゃ? 196 00:15:33,633 --> 00:15:36,302 それは… 先生だって➡ 197 00:15:36,302 --> 00:15:38,638 江戸や長崎に 行かれたではありませんか。 198 00:15:38,638 --> 00:15:40,974 脱藩し 黒船に乗り込もうとまで。 199 00:15:40,974 --> 00:15:45,311 僕は 僕の志を持って したまでの事。 200 00:15:45,311 --> 00:15:51,311 その末 幽囚の身と成り果てたが いささかの悔いもない。 201 00:15:52,986 --> 00:15:59,859 吉田君 聞かせてくれ。 君の志は 何じゃ? 202 00:15:59,859 --> 00:16:06,533 私は… ただ学びとうて。 203 00:16:06,533 --> 00:16:08,535 何を? 204 00:16:08,535 --> 00:16:12,338 新しい知識や学問や 今 江戸で何が起きとるか…。 205 00:16:12,338 --> 00:16:14,274 知って どうする? 206 00:16:14,274 --> 00:16:18,211 異国の脅威を打ち払い この国を守るために。 207 00:16:18,211 --> 00:16:21,014 どのように守る? 208 00:16:21,014 --> 00:16:23,683 ですから それを学ぼうと…。 209 00:16:23,683 --> 00:16:26,352 学んで どうする? 210 00:16:26,352 --> 00:16:32,052 聞いとるのは なぜ学ぶかじゃ。 君の志じゃ。 211 00:16:34,160 --> 00:16:39,899 今 この場所で 己を突き詰め 志を見つけられん者に➡ 212 00:16:39,899 --> 00:16:44,199 一体 他国へ行って 何ができるというんじゃ? 213 00:16:47,307 --> 00:16:54,007 志のない君のような者が 江戸へ行っても むだです。 214 00:17:01,654 --> 00:17:05,354 あっ 稔麿さん…。 215 00:17:06,993 --> 00:17:09,329 待って! 216 00:17:09,329 --> 00:17:11,998 もう ええ。 先生の言うとおりじゃ。 217 00:17:11,998 --> 00:17:14,334 江戸で学ぶなんぞ 俺には過ぎた事やったんじゃ。 218 00:17:14,334 --> 00:17:18,671 違います! 勝手に動いたんは 私やもん。 219 00:17:18,671 --> 00:17:21,007 稔麿さんが 学問に励んどるんを見て➡ 220 00:17:21,007 --> 00:17:25,345 力になれたらええなって。 俺の? 221 00:17:25,345 --> 00:17:28,014 久坂さんより学問は劣る 高杉さんよりも剣は劣る。 222 00:17:28,014 --> 00:17:31,714 そんな俺の 一体 どこに 力を貸すというんじゃ!? 223 00:17:34,821 --> 00:17:39,626 すまん…。 八つ当たりじゃ。 224 00:17:39,626 --> 00:17:52,205 ♬~ 225 00:17:52,205 --> 00:17:55,905 志か…。 226 00:17:58,311 --> 00:18:04,311 (鈴の音) 227 00:18:07,987 --> 00:18:11,287 こいつ…。 228 00:18:12,859 --> 00:18:17,859 残念じゃが 今日は その気になれん。 229 00:18:24,537 --> 00:18:28,837 ちいと 気になる事があってな。 230 00:18:31,010 --> 00:18:37,310 ごめん! 小田村先生は ご在宅ですか? 231 00:18:38,818 --> 00:18:42,622 (寿)いらっしゃいませ。 高杉晋作と申します。 232 00:18:42,622 --> 00:18:48,322 どうぞ。 お連れ様がお待ちですよ。 連れ? 233 00:18:51,631 --> 00:18:53,566 お前。 234 00:18:53,566 --> 00:18:56,970 高杉… 何で ここに? 235 00:18:56,970 --> 00:19:00,670 ちょうど よかった。 まあ 座れ。 236 00:19:03,309 --> 00:19:06,212 (玄瑞) 率直に申し上げて解せんのです。➡ 237 00:19:06,212 --> 00:19:08,982 長州は 今まで 有能な者の育成に➡ 238 00:19:08,982 --> 00:19:11,651 ことのほか 力を注いできた藩です。 239 00:19:11,651 --> 00:19:15,321 その芽を なぜ 椋梨様は 摘まれようとされるんか。 240 00:19:15,321 --> 00:19:22,621 要するに 気に入らんのですか。 椋梨藤太は 村塾が。 241 00:19:24,330 --> 00:19:31,204 ≪(晋作)椋梨は 松陰先生のもとに 人が集まるんが気に食わんのじゃ。 242 00:19:31,204 --> 00:19:36,609 いや。 集まった我々が 何か しでかすんじゃないかと➡ 243 00:19:36,609 --> 00:19:40,279 気が気でないんじゃ。 244 00:19:40,279 --> 00:19:44,617 えろう自信があるんじゃな 高杉は。 245 00:19:44,617 --> 00:19:50,289 じゃが 君らを恐れる者など 城には 一人もおりゃせん。 246 00:19:50,289 --> 00:19:53,960 塾生の江戸行きについては 追って知らせる。 247 00:19:53,960 --> 00:19:58,831 以後 この件への口出しは 一切 まかりならん。 248 00:19:58,831 --> 00:20:04,831 塾は 潰させませんよ。 249 00:20:07,974 --> 00:20:13,846 結構。 じゃが どうやって? 250 00:20:13,846 --> 00:20:17,546 どうやっても。 251 00:20:19,318 --> 00:20:22,655 お前たちは いつも そう言う。 252 00:20:22,655 --> 00:20:27,326 「これは嫌じゃ」。 「あれは許せん」。 253 00:20:27,326 --> 00:20:31,197 じゃが お前たちが まことに 何かをなしたという話を➡ 254 00:20:31,197 --> 00:20:35,197 俺は 一度として聞いた事がない。 255 00:20:40,339 --> 00:20:47,680 何かできるというんなら いつでも やってみたらええ。 256 00:20:47,680 --> 00:20:51,680 お前たちにできればの話じゃが。 257 00:20:55,021 --> 00:20:58,691 何じゃ あいつは!? あれで 先生の弟か!? 258 00:20:58,691 --> 00:21:02,361 憂さ晴らしじゃ! 行くか? 259 00:21:02,361 --> 00:21:05,661 お前とは 行かん! 260 00:21:09,035 --> 00:21:12,371 (椋梨)かねてから 殿がご所望されていた➡ 261 00:21:12,371 --> 00:21:16,042 明倫館書物蔵ご視察の日が 決まった。 262 00:21:16,042 --> 00:21:18,377 (太華)ご安心下され。 263 00:21:18,377 --> 00:21:23,049 椋梨様に恥をかかせぬよう すべて整ってございます。 264 00:21:23,049 --> 00:21:27,749 ご案内役は 不肖 私 小田村伊之助が。 265 00:21:29,388 --> 00:21:35,995 この明倫館こそ 我が長州の人材育成の要である。 266 00:21:35,995 --> 00:21:42,695 誇りを持って 一同 務められよ。 (一同)はっ。 267 00:21:44,337 --> 00:21:48,007 殿のご視察を前に ひと言 言うておく。 268 00:21:48,007 --> 00:21:51,878 近頃のお主らの学び方は なっておらん! 269 00:21:51,878 --> 00:21:54,881 己の生まれ育ちに安住し➡ 270 00:21:54,881 --> 00:21:59,619 何事かを究めんという気迫に 著しく欠ける。 271 00:21:59,619 --> 00:22:06,025 そねな事では いずれ 私塾の者たちに先を越されよう。 272 00:22:06,025 --> 00:22:07,960 それは 高杉が通う塾の事でしょうか? 273 00:22:07,960 --> 00:22:11,697 高杉の…。 松下村塾の事か。 274 00:22:11,697 --> 00:22:16,369 我こそは明倫館の学徒と 胸を張りたいなら➡ 275 00:22:16,369 --> 00:22:20,706 なお一層 専心せよ! 276 00:22:20,706 --> 00:22:24,377 稔麿さんが? 塾に泊まり込んどるんかなって。 277 00:22:24,377 --> 00:22:28,047 いや… 近頃 塾には…。 278 00:22:28,047 --> 00:22:29,982 そう…。 279 00:22:29,982 --> 00:22:35,282 せわぁない。 来たら すぐに知らせるから。 280 00:22:39,325 --> 00:22:42,662 (利助)船着き場で 見かけましたけどね。 281 00:22:42,662 --> 00:22:45,998 えっ? 港で稔麿さんを? 282 00:22:45,998 --> 00:22:48,334 荷の上げ下ろしを 手伝うとる時に➡ 283 00:22:48,334 --> 00:22:51,334 裏の小道に入ってくんを ちろっと。 284 00:22:58,344 --> 00:23:01,247 うまい! (一同)おお~! 285 00:23:01,247 --> 00:23:05,017 頂きます! 頂きます! 286 00:23:05,017 --> 00:23:08,017 僕は フグを食べません。 287 00:23:09,689 --> 00:23:12,024 やはり 毒が? 288 00:23:12,024 --> 00:23:14,927 国禁を犯してまで 黒船に乗り込もうとしたお方やぞ。 289 00:23:14,927 --> 00:23:17,363 フグの毒ごときに臆するもんか。 290 00:23:17,363 --> 00:23:21,234 では なぜ? (利助)あの…。 291 00:23:21,234 --> 00:23:25,238 伊藤でございます。 お前 食べちょらんかったんか! 292 00:23:25,238 --> 00:23:27,373 真っ先に 手を出しそうに見えるがの。 293 00:23:27,373 --> 00:23:30,710 あれから ずっと考えとったんです。 294 00:23:30,710 --> 00:23:33,980 フグを食べるか 食べんか。 295 00:23:33,980 --> 00:23:36,882 初めに その命題を聞いた時は➡ 296 00:23:36,882 --> 00:23:39,852 「おかしな事を議論する 塾じゃなあ。➡ 297 00:23:39,852 --> 00:23:42,321 俺 本当に ここにおって大丈夫じゃろうか」。 298 00:23:42,321 --> 00:23:44,991 不安じゃったんですが…。 何じゃ その言いぐさは!? 299 00:23:44,991 --> 00:23:47,893 続けて下さい。 300 00:23:47,893 --> 00:23:50,663 そのうち ふと気が付いたんです。 301 00:23:50,663 --> 00:23:54,000 ひょっとして これは フグの話じゃのうて➡ 302 00:23:54,000 --> 00:23:57,870 人が まことに恐れるべきは 何なんか。 303 00:23:57,870 --> 00:24:00,673 先生が問いたかったんは➡ 304 00:24:00,673 --> 00:24:03,673 そういう事なんじゃ なかろうかと…。 305 00:24:05,544 --> 00:24:12,685 死ぬ事 苦しむ事 臆病者と笑われる事…。 306 00:24:12,685 --> 00:24:20,359 では フグを食べん僕は やはり死を恐れとると? 307 00:24:20,359 --> 00:24:23,696 違うんですか? 308 00:24:23,696 --> 00:24:27,366 僕は 死など恐れとりません。 309 00:24:27,366 --> 00:24:30,036 ならば 一体 何を…。 310 00:24:30,036 --> 00:24:32,305 (滝)皆さん。 311 00:24:32,305 --> 00:24:34,640 まあまあ。 312 00:24:34,640 --> 00:24:38,511 鍋が煮詰まってしまうじゃ ありませんか。 313 00:24:38,511 --> 00:24:42,982 口直しに お月見のおだんごです。 314 00:24:42,982 --> 00:24:47,320 潰した里芋が混ぜてあります。 文が工夫したんですよ。 315 00:24:47,320 --> 00:24:49,989 お文さんは どうしたんですか? 316 00:24:49,989 --> 00:24:53,689 (亀)稔麿さんを捜しに。 317 00:25:05,338 --> 00:25:08,338 邪魔じゃ どいてくれ。 318 00:25:10,209 --> 00:25:12,678 (稔麿)お文さん。 319 00:25:12,678 --> 00:25:16,549 どうしたんじゃ こねな所で。 320 00:25:16,549 --> 00:25:19,552 浜崎のお船番のところへ…。 321 00:25:19,552 --> 00:25:21,687 (稔麿)江戸から 戻ったばっかりじゃいうんで➡ 322 00:25:21,687 --> 00:25:24,357 あっちの話を いろいろ 聞かせてもろうとったんじゃ。➡ 323 00:25:24,357 --> 00:25:28,694 先生に言われて 俺は 何で江戸に憧れるんか➡ 324 00:25:28,694 --> 00:25:30,629 とことん 突き止めとうなっての。 325 00:25:30,629 --> 00:25:32,565 稔麿さん…。 326 00:25:32,565 --> 00:25:36,502 そしたら 城下のお役人とは 違うた話が聞けるけぇ➡ 327 00:25:36,502 --> 00:25:38,971 つい夢中になって。 328 00:25:38,971 --> 00:25:42,641 今日は 火事の話を聞いた。 火事? 329 00:25:42,641 --> 00:25:45,311 江戸は 萩とは比べもんにならんほど➡ 330 00:25:45,311 --> 00:25:48,647 家が立て込んどる。 ひとたび火事となりゃ大事じゃ。 331 00:25:48,647 --> 00:25:51,550 やけぇ 火消しの仕組みが整っとる。 332 00:25:51,550 --> 00:25:55,321 いろはは 48も組があるんじゃと。 333 00:25:55,321 --> 00:25:58,657 江戸の人は 物見高いけぇ 火事見物も おいい。 334 00:25:58,657 --> 00:26:01,994 火消しも人気じゃ。 へえ~! 335 00:26:01,994 --> 00:26:03,929 面白かろ? 336 00:26:03,929 --> 00:26:09,335 えっ すごい。 稔麿さんの話 今まで聞いた どの話より➡ 337 00:26:09,335 --> 00:26:14,006 江戸の町がよう見える。 そうかの。 338 00:26:14,006 --> 00:26:20,346 兄上たちが話すんは いっつも ご公儀がどうした ペルリがどうした。 339 00:26:20,346 --> 00:26:24,683 条約が許せんとか 異人を斬るとか。 340 00:26:24,683 --> 00:26:29,021 だ~れも 火事の話とかせんもん。 341 00:26:29,021 --> 00:26:34,827 議論だけじゃ見えん景色が 稔麿さんには見えるんやね。 342 00:26:34,827 --> 00:26:37,630 議論では見えん景色…。 343 00:26:37,630 --> 00:26:40,966 聞かして もっと。 いろんな話。 344 00:26:40,966 --> 00:26:47,306 おう。 ほかには え~… これじゃ。 345 00:26:47,306 --> 00:26:50,643 おやおや これは。 346 00:26:50,643 --> 00:26:55,314 お主 確か この前 高杉とおった者じゃのう。 347 00:26:55,314 --> 00:27:02,188 こいつか。 明倫館を差し置いて 江戸へ行こうっちゅうんは。 348 00:27:02,188 --> 00:27:10,863 ふん。 人の金で女と遊び 人の金で江戸へ行くか。➡ 349 00:27:10,863 --> 00:27:13,332 いい気なもんよ。 350 00:27:13,332 --> 00:27:16,001 こねぇなやつらを 飢えさせんために➡ 351 00:27:16,001 --> 00:27:19,872 我らは この先 励まねばならん。 352 00:27:19,872 --> 00:27:24,172 もうよい ほっちょけ。 早う 浜へ行こう。 353 00:27:26,645 --> 00:27:29,645 邪魔したのう。 354 00:27:32,284 --> 00:27:34,984 何じゃ この手は? 355 00:27:37,623 --> 00:27:40,623 何じゃ? 356 00:27:44,964 --> 00:27:49,301 どうじゃ その貝。 餌にしたら よう釣れるぞ。 357 00:27:49,301 --> 00:27:52,601 皆さん…。 358 00:27:58,644 --> 00:28:01,313 恥を知れ。 359 00:28:01,313 --> 00:28:03,983 こいつ! 360 00:28:03,983 --> 00:28:06,318 やめ! やめり! 361 00:28:06,318 --> 00:28:08,654 何だ 貴様は! 362 00:28:08,654 --> 00:28:11,654 やめり! (利助)文さん! こっちこっち。 363 00:28:13,993 --> 00:28:19,865 やめて! やめてつかぁさい! 364 00:28:19,865 --> 00:28:22,334 大バカどもが! 365 00:28:22,334 --> 00:28:26,672 明倫館の連中と大ゲンカじゃと? 正気の沙汰ではない! 366 00:28:26,672 --> 00:28:31,010 皆 私を守ってくれたんです。 先に乱暴したんは 向こうです。 367 00:28:31,010 --> 00:28:36,282 うむ。 その心がけ まことにあっぱれ! 368 00:28:36,282 --> 00:28:39,952 冷や飯食いは黙っておれ! 369 00:28:39,952 --> 00:28:43,822 お前たち この塾が どうなってもええんか! 370 00:28:43,822 --> 00:28:47,293 蟄居を命じられた罪人の 私塾など➡ 371 00:28:47,293 --> 00:28:51,993 つけいる隙を見せれば すぐに潰されてしまうんだぞ! 372 00:28:53,632 --> 00:28:57,970 今朝 これが届いた。 373 00:28:57,970 --> 00:29:02,970 明倫館助教 小田村伊之助殿からだ! 374 00:29:04,643 --> 00:29:09,982 「吉田稔麿 江戸行きの儀。➡ 375 00:29:09,982 --> 00:29:16,282 まことに残念ながら 貴意には沿えず」。 376 00:29:17,856 --> 00:29:24,856 以後 二度と余計な事はするな! 377 00:29:34,173 --> 00:29:37,873 (稔麿)江戸へ行きたいんです。 378 00:29:40,279 --> 00:29:44,579 江戸へ参りたいんです。 379 00:29:46,619 --> 00:29:49,521 今までの私は➡ 380 00:29:49,521 --> 00:29:54,293 学問をしても剣術に励んでも 何ほどのもんではなかった。 381 00:29:54,293 --> 00:29:57,963 ほどほどに優れ ほどほどに強く➡ 382 00:29:57,963 --> 00:30:03,302 それ以上 何を どう望んでええのか分からず➡ 383 00:30:03,302 --> 00:30:06,639 江戸へ行けば…➡ 384 00:30:06,639 --> 00:30:11,510 江戸へ行けば それが 満たされるんではないかと…。 385 00:30:11,510 --> 00:30:16,315 そねな ええ加減な願いが 潰されるんは 当然です。 386 00:30:16,315 --> 00:30:19,615 そねな心がけで江戸へ行っても 何もできん。 387 00:30:21,186 --> 00:30:25,324 じゃが 今は違う。 388 00:30:25,324 --> 00:30:31,664 江戸で やってみたい事があるんです。➡ 389 00:30:31,664 --> 00:30:35,334 江戸の者が どねな暮らしをしとるか。➡ 390 00:30:35,334 --> 00:30:38,237 何を食べ どねな着物を着➡ 391 00:30:38,237 --> 00:30:41,206 どねな事に悲しみ 何を笑うとるんか。 392 00:30:41,206 --> 00:30:47,346 そうして この国に何を望み 異国の文明を どう恐れとるんか。 393 00:30:47,346 --> 00:30:53,218 書物の上の学問じゃない 生きた人の暮らしを➡ 394 00:30:53,218 --> 00:30:58,357 先生に… 皆に つぶさにお伝えしたい。 395 00:30:58,357 --> 00:31:03,357 よりよい日本をつくりたい。 その助けとなりたい! 396 00:31:06,231 --> 00:31:09,001 高杉さん。➡ 397 00:31:09,001 --> 00:31:11,704 久坂さん。➡ 398 00:31:11,704 --> 00:31:17,376 利助。 野村。 品川。 寺島。 399 00:31:17,376 --> 00:31:19,712 俺は 松陰先生の弟子として➡ 400 00:31:19,712 --> 00:31:24,712 この塾の門人として 江戸へ行きたいんじゃ! 401 00:31:26,585 --> 00:31:30,355 頼む! 402 00:31:30,355 --> 00:31:34,055 稔麿さん…。 403 00:31:36,662 --> 00:31:43,535 稔麿は やります。 必ず。 404 00:31:43,535 --> 00:32:00,235 ♬~ 405 00:32:07,626 --> 00:32:13,626 吉田君の志 しかと受け止めた。 406 00:32:17,302 --> 00:32:22,040 身分の上下 くだらん建て前…。 407 00:32:22,040 --> 00:32:26,912 すべて この志の前では 一文の価値もない。 408 00:32:26,912 --> 00:32:30,912 古い考えに縛られてはならん! 409 00:32:33,652 --> 00:32:36,952 思うように あらがえ。 410 00:32:38,524 --> 00:32:44,296 諸君! 狂いたまえ! 411 00:32:44,296 --> 00:32:48,296 (一同)おお! 412 00:32:50,002 --> 00:32:51,937 えっ? 413 00:32:51,937 --> 00:32:57,937 あっ… ちょっと! 待って! 414 00:33:00,345 --> 00:33:06,218 殿の御前で 万が一にも 粗相があってはならぬ。 415 00:33:06,218 --> 00:33:08,220 承知しております。 416 00:33:08,220 --> 00:33:15,894 ≪(騒ぐ声) 417 00:33:15,894 --> 00:33:18,697 ≪(太華)何じゃ お前らは! 418 00:33:18,697 --> 00:33:21,033 高杉! 419 00:33:21,033 --> 00:33:24,903 小忠太殿のご子息ともあろう者が 何たるざまか! 420 00:33:24,903 --> 00:33:28,373 こちらに椋梨様がおられると お聞き申した。 421 00:33:28,373 --> 00:33:30,673 (椋梨)何の騒ぎじゃ!? 422 00:33:33,645 --> 00:33:37,983 いささか伺いたき儀があって まかり越しました。 (椋梨)うむ。 423 00:33:37,983 --> 00:33:40,652 我ら吉田松陰先生の門下が➡ 424 00:33:40,652 --> 00:33:43,322 江戸屋敷のお勤めに就く事 まかりならぬとは➡ 425 00:33:43,322 --> 00:33:46,225 まことでございますか!? ならば どうした!? 426 00:33:46,225 --> 00:33:49,194 いま一度 お考え直し頂きたく! 427 00:33:49,194 --> 00:33:52,998 できぬ。 なぜでございます!? 428 00:33:52,998 --> 00:33:57,336 お前たちが先生 先生と 奉ってる男とは何者か。 429 00:33:57,336 --> 00:34:00,005 国禁を犯した大罪人である! 430 00:34:00,005 --> 00:34:01,940 我らは 必死で学んでおります。 431 00:34:01,940 --> 00:34:04,343 必ず 藩のお役に 立ってご覧に入れます! 432 00:34:04,343 --> 00:34:07,679 お前たちの心がけを うんぬんしておるんではない。 433 00:34:07,679 --> 00:34:10,582 事は 家中の秩序に関わる。 434 00:34:10,582 --> 00:34:13,018 いかに優れた者であろうと➡ 435 00:34:13,018 --> 00:34:16,355 吉田松陰の弟子を お家の大事に就かせるなど➡ 436 00:34:16,355 --> 00:34:20,355 金輪際 あってはならぬ! 437 00:34:22,027 --> 00:34:27,027 (敬親)騒がしい事じゃのう。 (太華)殿! 438 00:34:29,368 --> 00:34:35,173 これは…。 若い者たちが そろいもそろうて。 439 00:34:35,173 --> 00:34:40,312 これらは 明倫館に学ぶ者ではございませぬ。 440 00:34:40,312 --> 00:34:46,652 松本村にて 吉田寅次郎のもとで 学ぶ者らにございます。 441 00:34:46,652 --> 00:34:51,990 おお… 寅次郎の。 442 00:34:51,990 --> 00:34:54,326 ただいま 椋梨様より➡ 443 00:34:54,326 --> 00:34:57,996 吉田松陰門下生たる者の 心得について➡ 444 00:34:57,996 --> 00:35:00,899 お話を賜っていたところに ございます。 445 00:35:00,899 --> 00:35:02,868 ほう。 446 00:35:02,868 --> 00:35:07,339 いえいえ そのような大層なものでは。 447 00:35:07,339 --> 00:35:12,678 お前たちは 師 松陰の足元にも及ばぬ。 448 00:35:12,678 --> 00:35:17,015 思い上がったそぶりは やめ ひたすら精進せよと。 449 00:35:17,015 --> 00:35:20,352 それは まことに そのとおり。 450 00:35:20,352 --> 00:35:25,691 いや わしも肝に銘じよう。 451 00:35:25,691 --> 00:35:32,691 そういえば 殿も 吉田寅次郎に学ばれましたな。 452 00:35:34,499 --> 00:35:38,971 確か お城にて兵学のご講義を。 453 00:35:38,971 --> 00:35:46,311 いかにも。 申さば 余も松陰の弟子じゃ。 454 00:35:46,311 --> 00:35:49,214 (太華)と… 殿! 455 00:35:49,214 --> 00:35:52,985 ならば お願い申し上げます! 456 00:35:52,985 --> 00:35:58,657 申さば 殿の弟弟子たる我らを➡ 457 00:35:58,657 --> 00:36:04,657 江戸屋敷のお勤めの端に お加え頂きとうございます。 458 00:36:09,301 --> 00:36:13,001 端におっても意味はなかろう。 459 00:36:16,008 --> 00:36:21,308 存分に学びとうございます! 460 00:36:29,354 --> 00:36:33,225 そうせい。 461 00:36:33,225 --> 00:36:48,640 ♬~ 462 00:36:48,640 --> 00:36:50,976 イテテテテテ 痛い痛い! 463 00:36:50,976 --> 00:36:54,312 我慢なさいませ 捻挫くらい。 464 00:36:54,312 --> 00:36:56,648 (寅次郎)そうですか。 走りだしてすぐに。 465 00:36:56,648 --> 00:36:58,583 こけました。 466 00:36:58,583 --> 00:37:01,987 高杉さんも久坂さんも 学問だけじゃない。 467 00:37:01,987 --> 00:37:04,322 いや 鍛えておりますな。 イテテテ…。 468 00:37:04,322 --> 00:37:09,194 バカです 高杉さんも久坂さんも。 利助さんも。 469 00:37:09,194 --> 00:37:11,196 文。 470 00:37:11,196 --> 00:37:16,902 僕が この世の中で一番 恐れとるもんが何か分かるか? 471 00:37:16,902 --> 00:37:20,872 兄上がですか? 472 00:37:20,872 --> 00:37:25,610 兄上に恐れるもんなど あるんですか? 473 00:37:25,610 --> 00:37:31,950 何事もなさん事じゃ。 そして なそうとせん事じゃ。 474 00:37:31,950 --> 00:37:34,853 なそうとせん…。 475 00:37:34,853 --> 00:37:42,594 志の果てに迎える死以外で 死にとうはない。 断じて。 476 00:37:42,594 --> 00:37:45,297 死ぬやなんて…。 477 00:37:45,297 --> 00:37:50,969 そのためには 目先の誘惑や つまらん毒に➡ 478 00:37:50,969 --> 00:37:56,641 足元をすくわれたくない。 えっ? 何の話ですか? 479 00:37:56,641 --> 00:38:00,512 じゃから 「フグは食べん」と。 480 00:38:00,512 --> 00:38:02,514 フグ? 481 00:38:02,514 --> 00:38:06,651 伊藤君。 482 00:38:06,651 --> 00:38:09,988 フグを食いたい。 ええ暮らしをしたい。 483 00:38:09,988 --> 00:38:14,860 それが もし 君の望みだとしても それは恐らく➡ 484 00:38:14,860 --> 00:38:19,998 君が もっと大きな何かを なすための手段にすぎん。 485 00:38:19,998 --> 00:38:23,668 もっと大きな…。 486 00:38:23,668 --> 00:38:29,541 伊藤君。 偉うなりんさい。 487 00:38:29,541 --> 00:38:32,944 はい! 488 00:38:32,944 --> 00:38:40,285 あっ… 何か よう分からんけど よかったですね。 489 00:38:40,285 --> 00:38:43,622 うん。 フフッ… 利助さん。 490 00:38:43,622 --> 00:38:48,322 でも フグは うまいんじゃけどね。 491 00:38:50,495 --> 00:38:55,967 吉田稔麿が江戸へたつ日が来た。 492 00:38:55,967 --> 00:38:58,870 どうぞ お気を付けて。 493 00:38:58,870 --> 00:39:02,641 ありがとう。 494 00:39:02,641 --> 00:39:06,511 江戸に行けるんは お文さんのおかげじゃ。 495 00:39:06,511 --> 00:39:09,514 ううん。 こっちこそ➡ 496 00:39:09,514 --> 00:39:14,653 ケンカの時 守ってくれて ありがとうあんした。 497 00:39:14,653 --> 00:39:21,653 釣りざおをつかんだ稔麿さん えろう頼もしかった。 498 00:39:23,328 --> 00:39:27,999 (2人)あの…。 499 00:39:27,999 --> 00:39:31,870 お願いがあります。 俺に? 500 00:39:31,870 --> 00:39:34,606 江戸の事をできるだけ詳しく➡ 501 00:39:34,606 --> 00:39:37,943 いっぱい手紙に書いて 送ってほしいんです。 502 00:39:37,943 --> 00:39:46,618 一歩も外に出られん兄上は きっと一生懸命読むと思います。 503 00:39:46,618 --> 00:39:50,618 分かった。 約束する。 504 00:39:53,291 --> 00:39:55,227 稔麿さんは? 505 00:39:55,227 --> 00:40:00,227 ああ…。 506 00:40:06,838 --> 00:40:09,538 あっ。 507 00:40:11,643 --> 00:40:14,943 きれい。 508 00:40:17,515 --> 00:40:22,815 お文さんを 好いとったみたいじゃの。 509 00:40:29,661 --> 00:40:38,003 松陰という刃の鞘になる。 確か そう聞いたように思うが。 510 00:40:38,003 --> 00:40:41,339 あれは わしの聞き違いであったかの。 511 00:40:41,339 --> 00:40:44,676 押さえつければ 連中は はね返そうとします。 512 00:40:44,676 --> 00:40:51,549 それよりも 話を聞いてやり 時に 恩を売りさえすれば➡ 513 00:40:51,549 --> 00:40:56,021 いざという時にも 懐柔のしようがございます。 514 00:40:56,021 --> 00:41:00,692 では この流れもまた 目算の内であったと? 515 00:41:00,692 --> 00:41:06,364 明倫館を 少し私にお任せ頂けませんか? 516 00:41:06,364 --> 00:41:09,267 山県様では もはや➡ 517 00:41:09,267 --> 00:41:13,967 若い者たちの鬱屈を 御する事はできませぬ。 518 00:41:16,708 --> 00:41:20,408 何とぞ。 519 00:41:25,050 --> 00:41:33,050 杉家の裏に 納屋を改造し 新しい教室を造る事になった。 520 00:41:38,997 --> 00:41:41,666 どうしたん? 521 00:41:41,666 --> 00:41:45,003 小田村様の事を考えておった。 522 00:41:45,003 --> 00:41:48,673 あの人は どういうお方じゃ? 523 00:41:48,673 --> 00:41:52,344 椋梨様の下で働く 敵のはずやのに➡ 524 00:41:52,344 --> 00:41:56,014 いつの間にか 稔麿の江戸行きを計らってくれた。 525 00:41:56,014 --> 00:42:03,888 近くにおらんでも きっと遠くで 私たちを見守っていてくれる。 526 00:42:03,888 --> 00:42:07,888 兄上は そういう人です。 527 00:42:09,561 --> 00:42:12,364 (品川)はい もらった。 528 00:42:12,364 --> 00:42:14,299 先生! すんません! 529 00:42:14,299 --> 00:42:18,236 ヤジ! 僕を先生と呼ぶな! 530 00:42:18,236 --> 00:42:22,040 お前… 呼ぶなら 師の顔に泥を塗るな! 531 00:42:22,040 --> 00:42:25,710 (笑い声) 532 00:42:25,710 --> 00:42:30,582 皆さん! ごはんですよ! 533 00:42:30,582 --> 00:42:36,654 僅か3畳半から始まった塾は 最良の時を迎え➡ 534 00:42:36,654 --> 00:42:41,526 やがて 城下や 萩から遠く離れた村からも➡ 535 00:42:41,526 --> 00:42:44,826 訪ねる者が現れた。 536 00:42:47,999 --> 00:42:50,335 あっ…。 537 00:42:50,335 --> 00:42:53,238 ありがとうあんした。 538 00:42:53,238 --> 00:42:58,538 目出から参りました 前原一誠と申します。 539 00:43:06,684 --> 00:43:08,620 嫁入り! 540 00:43:08,620 --> 00:43:11,356 美人じゃないし 俺の好みじゃない。 541 00:43:11,356 --> 00:43:14,692 文に訪れる恋の予感。 542 00:43:14,692 --> 00:43:17,362 果たして その運命の人とは? 543 00:43:17,362 --> 00:43:19,297 くだらん悩みじゃな。 544 00:43:19,297 --> 00:43:21,699 (周布) あいつを裏切るっちゅうんか。 545 00:43:21,699 --> 00:43:23,999 そうせい。 546 00:43:28,039 --> 00:43:29,974 夫婦になれ。 547 00:43:29,974 --> 00:43:31,974 行ってまいります。 548 00:43:37,315 --> 00:43:40,985 <伊藤利助こと伊藤博文は➡ 549 00:43:40,985 --> 00:43:45,857 初代内閣総理大臣となった 人物です。➡ 550 00:43:45,857 --> 00:43:52,597 農家の 林 十蔵の長男として 生まれました。➡ 551 00:43:52,597 --> 00:43:58,297 子猿のように木を登る 活発な子だったといいます> 552 00:44:00,338 --> 00:44:06,010 <9歳の頃 利助は 萩へ移り住みます。➡ 553 00:44:06,010 --> 00:44:11,883 父が 下級武士だった伊藤家の 養子となったためです。➡ 554 00:44:11,883 --> 00:44:16,020 そのころ 利助が出会ったのが➡ 555 00:44:16,020 --> 00:44:21,359 近くに住む 同い年の吉田稔麿でした。➡ 556 00:44:21,359 --> 00:44:27,699 読書好きで 物覚えが 人一倍優れていたといいます。➡ 557 00:44:27,699 --> 00:44:34,973 やがて2人は 松陰のもとで学び始めました。➡ 558 00:44:34,973 --> 00:44:41,846 江戸へたつ稔麿は 松陰から手紙を送られています。➡ 559 00:44:41,846 --> 00:44:47,986 「至誠を重ね 日本を変革せよ」。➡ 560 00:44:47,986 --> 00:44:55,986 松陰の熱い思いは 若き門弟たちに 受け継がれていきました> 561 00:45:33,932 --> 00:45:36,501 <盗賊 霞の七三は➡ 562 00:45:36,501 --> 00:45:41,372 雲霧一党の小頭 木鼠の吉五郎を 取り込まんとして➡ 563 00:45:41,372 --> 00:45:45,176 吉五郎の死んだはずの娘を でっちあげ➡ 564 00:45:45,176 --> 00:45:48,513 これを人質にして 味方になるよう迫った。➡ 565 00:45:48,513 --> 00:45:52,684 しかし 仁左衛門は 七三の悪だくみを暴き➡ 566 00:45:52,684 --> 00:45:56,521 かたくなに掟を守った 吉五郎との絆は➡ 567 00:45:56,521 --> 00:45:59,557 更に深いものとなった> 568 00:45:59,557 --> 00:46:12,557 ♬~