1 00:00:41,893 --> 00:00:45,193 江戸 伝馬町の牢。 2 00:00:51,236 --> 00:00:53,571 [ 回想 ] (寅次郎)私は どこにも行かん。 3 00:00:53,571 --> 00:00:56,474 このボタオを連れて江戸へ行く。 4 00:00:56,474 --> 00:01:02,580 (文)至誠を貫き ご公儀を動かすと? 5 00:01:02,580 --> 00:01:06,280 私は 死なん。 6 00:01:07,919 --> 00:01:18,096 (寅次郎) 「呼びだしの 声まつ外に 今の世に 待つべき事の なかりけるかな」。 7 00:01:18,096 --> 00:01:25,970 ♬~(テーマ音楽) 8 00:01:25,970 --> 00:02:00,071 ♬~ 9 00:02:00,071 --> 00:02:06,945 ♬「愚かなる 吾れのことをも」 10 00:02:06,945 --> 00:02:16,421 ♬「友とめづ人は わがとも友と」 11 00:02:16,421 --> 00:02:24,762 ♬「吾れをも 友とめづ人は」 12 00:02:24,762 --> 00:02:35,039 ♬「わがとも友と めでよ人々」 13 00:02:35,039 --> 00:03:11,743 ♬~ 14 00:03:11,743 --> 00:03:19,417 ♬「吾れをも 友とめづ人は」 15 00:03:19,417 --> 00:03:28,426 ♬「わがとも友と めでよ人々」 16 00:03:28,426 --> 00:03:34,232 ♬「燃ゆ」 17 00:03:34,232 --> 00:03:46,932 ♬~ 18 00:03:51,215 --> 00:03:53,885 入れ! 19 00:03:53,885 --> 00:03:58,222 話は 4か月前の夏にさかのぼる。 20 00:03:58,222 --> 00:04:04,922 寅次郎の最初の取り調べの 数日前の事である。 21 00:04:14,772 --> 00:04:18,543 (石谷穆清)吉田松陰が 江戸へ到着致しました。 22 00:04:18,543 --> 00:04:21,245 遠からず 評定所にて取り調べを。 23 00:04:21,245 --> 00:04:23,915 梅田雲浜は いかが致した。 24 00:04:23,915 --> 00:04:26,250 松陰との密謀を認めたか? 25 00:04:26,250 --> 00:04:28,920 (石谷)厳しくただしておりますが なかなか…。➡ 26 00:04:28,920 --> 00:04:31,823 いまだ 口を割らず。 27 00:04:31,823 --> 00:04:34,726 手を緩めるな! 28 00:04:34,726 --> 00:04:38,196 攘夷を旗印に朝廷に取り入り➡ 29 00:04:38,196 --> 00:04:45,069 国を大乱に導こうとする者らを 決して許してはならん! 30 00:04:45,069 --> 00:04:49,540 (九一)先生の取り調べは 始まったんですか? 31 00:04:49,540 --> 00:04:52,877 江戸からは まだ何も。 32 00:04:52,877 --> 00:04:54,812 (すみ)洗い物は これだけ? 33 00:04:54,812 --> 00:04:59,217 (靖)ご公儀は 先生の幕府への批判を➡ 34 00:04:59,217 --> 00:05:01,552 どれほど つかんどるんじゃろう。 35 00:05:01,552 --> 00:05:04,455 それも まだ…。 36 00:05:04,455 --> 00:05:09,427 老中の間部を討とうとした事や 伏見での企てが➡ 37 00:05:09,427 --> 00:05:12,727 漏れておらねばええんじゃが…。 38 00:05:23,808 --> 00:05:27,578 前原さん…。 39 00:05:27,578 --> 00:05:31,249 (前原)申し訳ありません! 40 00:05:31,249 --> 00:05:36,521 私のせいで 入江や野村が獄につながれ➡ 41 00:05:36,521 --> 00:05:39,521 先生も…。 42 00:05:42,393 --> 00:05:47,693 兄は もう 怒ってはおりませんよ。 43 00:05:50,535 --> 00:05:56,207 ひょっとして 入江さんたちに会いに? 44 00:05:56,207 --> 00:05:59,544 どうしても謝りとうて…。 45 00:05:59,544 --> 00:06:02,213 お帰り下さい。 46 00:06:02,213 --> 00:06:04,549 すみ? 47 00:06:04,549 --> 00:06:12,549 文も前原さんも もう ここには来んでくれる? 48 00:06:18,896 --> 00:06:22,767 私たち やっと落ち着いて暮らす事が➡ 49 00:06:22,767 --> 00:06:25,236 できるんかもしれんの。 50 00:06:25,236 --> 00:06:31,108 兄たちが牢を出たら 今度こそ 家族みんなで。 51 00:06:31,108 --> 00:06:35,408 やから…。 52 00:06:37,181 --> 00:06:40,481 すみ! 53 00:06:56,200 --> 00:06:58,900 (玄瑞)どねぇした? 54 00:07:05,543 --> 00:07:08,212 寅兄がおらん間➡ 55 00:07:08,212 --> 00:07:15,553 塾生の方たちのお力になりたいと 思うたんですが…。 56 00:07:15,553 --> 00:07:20,853 火が消えそうやないか。 57 00:07:22,894 --> 00:07:26,764 いっそ 寅兄や塾から離れた方が➡ 58 00:07:26,764 --> 00:07:32,703 幸せになれる人も おるんかもしれんなって。 59 00:07:32,703 --> 00:07:38,175 萩に残された者が この先を どねぇして生きるかは➡ 60 00:07:38,175 --> 00:07:42,046 その者が決める事じゃ。 61 00:07:42,046 --> 00:07:45,850 お前が思い煩う事やない。 62 00:07:45,850 --> 00:07:48,519 でも…。 あっちい! 63 00:07:48,519 --> 00:07:52,857 熱っ! 旦那様 火! 64 00:07:52,857 --> 00:07:56,527 火が…。 65 00:07:56,527 --> 00:07:59,430 それがええ。 えっ? 66 00:07:59,430 --> 00:08:02,199 お前は 笑うた顔がええ。 67 00:08:02,199 --> 00:08:05,536 どねな道に迷うても➡ 68 00:08:05,536 --> 00:08:08,873 それを思い出して戻ってくる者が おるかもしれん。 69 00:08:08,873 --> 00:08:12,543 旦那様…。 70 00:08:12,543 --> 00:08:15,446 (滝)文? 何か 聞こえたようじゃけど…。 71 00:08:15,446 --> 00:08:17,882 (玄瑞)俺は どこにも行かん。 72 00:08:17,882 --> 00:08:22,753 この身は どこにあっても 気持ちは いっつも そばにおる。 73 00:08:22,753 --> 00:08:29,894 じゃから 寂しそうな顔はすんな。 74 00:08:29,894 --> 00:08:42,473 ♬~ 75 00:08:42,473 --> 00:08:45,843 (百合之助)おい 風呂はどうした? たけたんか? 76 00:08:45,843 --> 00:08:47,778 ん? ん? 何? 77 00:08:47,778 --> 00:08:50,778 おい 何じゃ? 78 00:08:56,187 --> 00:08:59,187 (寅次郎)これをお願い致します。 79 00:09:04,061 --> 00:09:07,761 (沼崎吉五郎) 預かりもんだ。 返すよ。 80 00:09:09,533 --> 00:09:11,469 ありがとうございます。 81 00:09:11,469 --> 00:09:15,206 金持ちの弟子がいて よかったな 先生。 82 00:09:15,206 --> 00:09:21,078 高杉は 弟子ではありません。 友です。 83 00:09:21,078 --> 00:09:24,078 友? 84 00:09:26,550 --> 00:09:32,850 ありがとう。 おかげで また 書き物をする事ができます。 85 00:09:35,359 --> 00:09:38,829 牢の中では 蔓がすべてでね。 86 00:09:38,829 --> 00:09:42,500 (晋作)蔓? 87 00:09:42,500 --> 00:09:47,800 命蔓。 金子の事です。 88 00:09:51,175 --> 00:09:55,875 先生には まだまだ 教えてもらう事がありそうだ。 89 00:09:57,515 --> 00:10:01,185 (周布)ご公儀は 寅次郎の 一体 何を裁こうというのか➡ 90 00:10:01,185 --> 00:10:03,120 全く分からん。 91 00:10:03,120 --> 00:10:05,523 (伊之助) いずれ 取り調べが始まれば➡ 92 00:10:05,523 --> 00:10:08,426 子細を知らせてくれる者が 入り用となりましょう。 93 00:10:08,426 --> 00:10:12,196 幸い 江戸には 高杉晋作がおります。 94 00:10:12,196 --> 00:10:14,131 あっ いや… それは…。 95 00:10:14,131 --> 00:10:17,068 晋作には 寅次郎と 密に会うてもらわねばの。 96 00:10:17,068 --> 00:10:19,870 お待ち下さい。 97 00:10:19,870 --> 00:10:22,206 まことに 申し上げにくい事ながら➡ 98 00:10:22,206 --> 00:10:27,878 近々 晋作を江戸から萩へ戻すよう お取り計らい頂こうと。 99 00:10:27,878 --> 00:10:29,814 萩へ戻す? 100 00:10:29,814 --> 00:10:34,218 晋作には ただいま 縁談がございます。 101 00:10:34,218 --> 00:10:36,887 すぐに探せ。 はっ? 102 00:10:36,887 --> 00:10:39,557 晋作じゃ! 嫁を取る。 103 00:10:39,557 --> 00:10:42,460 よいか? 並のおなごではいかん。 104 00:10:42,460 --> 00:10:44,895 あの晋作が 二度と 離れとうないというぐらい➡ 105 00:10:44,895 --> 00:10:47,231 美しく 気立てのええ娘じゃ! 106 00:10:47,231 --> 00:10:49,900 そのような娘が 萩におりましたでしょうか? 107 00:10:49,900 --> 00:10:51,836 探すんじゃ! 108 00:10:51,836 --> 00:10:58,909 城下一の美人と名高い 井上 雅は この時 15歳。 109 00:10:58,909 --> 00:11:02,580 やがて 高杉晋作の妻になるなど➡ 110 00:11:02,580 --> 00:11:05,916 知る由もなかった。 111 00:11:05,916 --> 00:11:16,560 ≪(うめき声) 112 00:11:16,560 --> 00:11:19,930 歩け! 113 00:11:19,930 --> 00:11:23,630 こら! しっかり歩け! うう… う…。 114 00:11:25,269 --> 00:11:28,269 (沼崎)怖くなったか? 115 00:11:30,608 --> 00:11:35,308 取り調べは 明日だったな。 116 00:11:37,414 --> 00:11:43,888 武士たる者 常に死は覚悟の上。 117 00:11:43,888 --> 00:11:47,558 へえ~。 118 00:11:47,558 --> 00:11:51,558 一つ 聞かせてやろう。 119 00:11:55,432 --> 00:12:03,574 明日 お白州で 先生の話に 感じ入るやつがいたら➡ 120 00:12:03,574 --> 00:12:08,445 そいつは わなだ。 わな? 121 00:12:08,445 --> 00:12:13,918 安心させて 本音を引き出そうって魂胆だ。 122 00:12:13,918 --> 00:12:16,618 いいか? 123 00:12:18,255 --> 00:12:21,926 褒め言葉に乗るな。➡ 124 00:12:21,926 --> 00:12:27,626 むだ死にしたくないならな。 125 00:12:33,537 --> 00:12:40,878 吉田寅次郎。 その方 梅田雲浜が長門を訪れた際➡ 126 00:12:40,878 --> 00:12:44,215 密会したそうじゃが 何を話した? 127 00:12:44,215 --> 00:12:49,553 禅の話など 取るに足らん事しか 話しておりませぬ。 128 00:12:49,553 --> 00:12:54,225 では 雲浜は 何故 わざわざ そなたを訪ねた? 129 00:12:54,225 --> 00:12:58,896 私が京で雲浜様を訪ねた 礼に参られたかと。 130 00:12:58,896 --> 00:13:00,831 いまひとつ。 131 00:13:00,831 --> 00:13:06,237 京の御所にて ご公儀を批判する 落とし文があった。 132 00:13:06,237 --> 00:13:08,572 そなたが書いたものではないか? 133 00:13:08,572 --> 00:13:12,243 落とし文など 卑怯な事は致しませぬ。 134 00:13:12,243 --> 00:13:15,913 そなたの筆跡に似ていると 申す者もおるが。 135 00:13:15,913 --> 00:13:21,585 字は 見て頂ければ分かるとおり 右上がりの癖が強うございます。 136 00:13:21,585 --> 00:13:24,922 どうぞ お見比べを。 137 00:13:24,922 --> 00:13:28,792 奉行たちは それ以上 問いただそうとはしなかった。 138 00:13:28,792 --> 00:13:35,792 寅次郎の罪となる事を 何一つ つかんでいなかったのである。 139 00:13:37,501 --> 00:13:42,873 実は 私は 死罪にあたる罪を犯しております。 140 00:13:42,873 --> 00:13:44,808 罪を? 141 00:13:44,808 --> 00:13:48,746 知り合いに累が及ばぬよう 子細は申しかねますが➡ 142 00:13:48,746 --> 00:13:53,517 この国のためを思い よくよく考えた上での事。 143 00:13:53,517 --> 00:13:59,817 己の行いに 何一つ 恥じるところはございませぬ。 144 00:14:01,558 --> 00:14:07,898 なるほど。 そなたの憂国の一念 相分かった。 145 00:14:07,898 --> 00:14:11,235 ありがとう存じます。 146 00:14:11,235 --> 00:14:18,108 ところで これは 吟味を離れての話なのだが➡ 147 00:14:18,108 --> 00:14:20,911 罪とは どのような? 148 00:14:20,911 --> 00:14:26,250 いや 国を思う そなたの事 さぞや立派な行いであろう。 149 00:14:26,250 --> 00:14:32,056 聞かせてくれれば 罪を軽減してやらぬでもない。 150 00:14:32,056 --> 00:14:37,756 [ 回想 ] (沼崎)わなだ。 わなだ。 151 00:14:47,871 --> 00:14:53,210 ご老中 間部様を京にて待ち伏せ➡ 152 00:14:53,210 --> 00:14:57,548 死を覚悟して おいさめしようと した事でございます。 153 00:14:57,548 --> 00:14:59,883 なんと! 間部様を!? 154 00:14:59,883 --> 00:15:05,222 待ち伏せて… おいさめ? いかにも。 155 00:15:05,222 --> 00:15:08,125 おいさめし ご老中が 聞く耳を持たなかったら➡ 156 00:15:08,125 --> 00:15:10,561 どうするつもりであったのだ!? 157 00:15:10,561 --> 00:15:14,261 刃を向けるつもりであったのか! 158 00:15:19,236 --> 00:15:21,572 ふっ。 159 00:15:21,572 --> 00:15:25,442 そこまでは 考えておりませなんだ。 160 00:15:25,442 --> 00:15:28,245 寅次郎の取り調べの様子は➡ 161 00:15:28,245 --> 00:15:33,083 高杉から 萩の小田村のもとに 直ちに届けられた。 162 00:15:33,083 --> 00:15:38,856 寅次郎は 己から 間部老中の件を ほのめかしたらしい。 163 00:15:38,856 --> 00:15:40,791 己から…。 164 00:15:40,791 --> 00:15:44,528 幕府を正す絶好の機会と 思うたんじゃろう。 165 00:15:44,528 --> 00:15:46,864 でも…。 166 00:15:46,864 --> 00:15:49,533 このような場で ただ やみくもに➡ 167 00:15:49,533 --> 00:15:52,436 己の弱みを さらすものでしょうか? 168 00:15:52,436 --> 00:15:55,406 寅次郎の行いには 何か もくろみがあると? 169 00:15:55,406 --> 00:16:00,177 それが何かは 分かりませんが…。 170 00:16:00,177 --> 00:16:02,880 江戸へ参ろう。 171 00:16:02,880 --> 00:16:04,815 お前の言うとおりじゃ。 172 00:16:04,815 --> 00:16:08,752 先生は この詮議に 何か 含むところがあるんかもしれん。 173 00:16:08,752 --> 00:16:11,889 確かめよう。 よせ。 174 00:16:11,889 --> 00:16:17,589 お前まで罪を負ったら 村塾は 一体 誰が守るんじゃ。 175 00:16:23,901 --> 00:16:27,771 江戸へは 俺が行く。 兄上が? 176 00:16:27,771 --> 00:16:30,574 俺が寅次郎に会って 真意を確かめる。 177 00:16:30,574 --> 00:16:32,843 ですが…。 それだけではない。 178 00:16:32,843 --> 00:16:35,512 これ以上 己に 不利になるような事は語るなと➡ 179 00:16:35,512 --> 00:16:37,848 いさめる。 180 00:16:37,848 --> 00:16:42,519 幕府が 寅次郎の行状を 何もつかんでおらん以上➡ 181 00:16:42,519 --> 00:16:45,422 死罪は 免れるかもしれん。 182 00:16:45,422 --> 00:16:49,122 えっ… 助かるんですか? 183 00:16:51,195 --> 00:16:53,495 寿! 184 00:16:55,866 --> 00:16:59,566 (寿)お呼びでございますか? 185 00:17:04,875 --> 00:17:08,212 姉上…。 (寿)勘違いなさいますな。 186 00:17:08,212 --> 00:17:10,147 伯父が罪人として処刑されては➡ 187 00:17:10,147 --> 00:17:15,147 篤太郎や久米次郎の先に 関わりますゆえ。 188 00:17:19,556 --> 00:17:25,256 兄上を よろしくお願い申し上げます。 189 00:17:33,504 --> 00:17:38,375 伊之助は 直ちに 江戸へとたった。 190 00:17:38,375 --> 00:17:41,178 寅次郎について➡ 191 00:17:41,178 --> 00:17:44,848 幕府が 確たる証拠を つかんでいないという知らせは➡ 192 00:17:44,848 --> 00:17:48,519 文たちにも 希望をもたらしていた。 193 00:17:48,519 --> 00:17:53,190 遅いぞ 文。 はい ただいま。 194 00:17:53,190 --> 00:17:55,125 (利助)お久しぶりです! 195 00:17:55,125 --> 00:17:57,125 利助さん! 196 00:18:01,064 --> 00:18:03,534 感無量です。 197 00:18:03,534 --> 00:18:05,469 ここで こうやって また➡ 198 00:18:05,469 --> 00:18:07,404 文さんの握り飯が 食べられるなんて。 199 00:18:07,404 --> 00:18:13,210 先生が戻られるまで この場所は 守らねばと思うてな。 200 00:18:13,210 --> 00:18:15,879 長崎は いかがでした? 201 00:18:15,879 --> 00:18:20,551 ああ。 もう 見るもん聞くもん 驚くばかりで。 202 00:18:20,551 --> 00:18:23,220 しばらくしたら 今度は 江戸へ参ります。 203 00:18:23,220 --> 00:18:25,155 桂さんのお供で。 204 00:18:25,155 --> 00:18:29,092 ならば 寅兄様にも会う事ができますね。 205 00:18:29,092 --> 00:18:34,164 お二人が待ってらっしゃる事は 必ず お伝えします。 206 00:18:34,164 --> 00:18:36,500 お願い致します。 207 00:18:36,500 --> 00:18:39,836 そういえば 前原は どうした? 208 00:18:39,836 --> 00:18:44,508 伏見要駕策を 小田村様に漏らした事で➡ 209 00:18:44,508 --> 00:18:48,378 萩の仲間たちには 顔向けができんと。 210 00:18:48,378 --> 00:18:50,380 (亀太郎)前原さんですか? 211 00:18:50,380 --> 00:18:53,517 亀太郎さんは 塾生の中で一番➡ 212 00:18:53,517 --> 00:18:55,852 前原さんと 話をしちょったでしょう? 213 00:18:55,852 --> 00:19:00,190 前原さんも私も ほかの塾生には 気が引けちょるところがあって。 214 00:19:00,190 --> 00:19:05,529 俺は武士じゃないし 前原さんは 足が。 215 00:19:05,529 --> 00:19:09,866 家をお訪ねしたら 会うてくれるでしょうか。 216 00:19:09,866 --> 00:19:13,203 「今は 誰にも会いとうない」と。 217 00:19:13,203 --> 00:19:19,076 ほんなら 伝えて下さい。 「一度 お訪ね下さい」と。 218 00:19:19,076 --> 00:19:21,078 塾にですか? 219 00:19:21,078 --> 00:19:25,549 お願いしたい事があるんです。 220 00:19:25,549 --> 00:19:29,419 塾生の皆さんが いつでも ここを➡ 221 00:19:29,419 --> 00:19:32,823 訪ねてこられるように したいんです。 222 00:19:32,823 --> 00:19:39,123 傷んだところは直して。 前原さんにも手伝うて頂いて。 223 00:19:40,697 --> 00:19:44,397 とても そねな気持ちには…。 224 00:19:46,837 --> 00:19:52,509 私のせいで 先生や入江や野村が➡ 225 00:19:52,509 --> 00:19:56,847 今も 苦しい思いをされとるんかと 思うと…。 226 00:19:56,847 --> 00:19:59,750 そういう思いを抱えた 前原さんだからこそ➡ 227 00:19:59,750 --> 00:20:03,750 お願いしたいんです。 228 00:20:05,522 --> 00:20:12,396 道に迷うて ここへ 帰ってくる方たちがいたら➡ 229 00:20:12,396 --> 00:20:17,534 その方の 力になってあげてくれませんか? 230 00:20:17,534 --> 00:20:20,871 私が 力に…。 231 00:20:20,871 --> 00:20:26,743 そうして 皆で待ちましょう。 232 00:20:26,743 --> 00:20:33,216 兄も きっと帰ってきます。 233 00:20:33,216 --> 00:20:39,216 塾生の皆さんがいる この場所に。 234 00:20:42,893 --> 00:20:49,193 萩に戻れと藩命が下りました。 235 00:20:52,235 --> 00:20:55,572 悔しゅうて しかたありません。➡ 236 00:20:55,572 --> 00:21:00,444 先生が命を懸けて ご公儀と渡り合うとるというのに。 237 00:21:00,444 --> 00:21:07,444 僕は まだ… 己の死に場所すら見つけられん…。 238 00:21:10,921 --> 00:21:15,921 それは 生きよという事です。 239 00:21:17,594 --> 00:21:23,294 君は まだ 生きて 何かをなさねばならん。 240 00:21:31,141 --> 00:21:35,078 それは 何なんですか…。 241 00:21:35,078 --> 00:21:44,221 こんだけ 先生とおっても 何一つ 身についてはおらんのに。 242 00:21:44,221 --> 00:21:46,890 (寅次郎)僕は知っています。 243 00:21:46,890 --> 00:21:50,560 どんなに無頼を装っても➡ 244 00:21:50,560 --> 00:21:55,560 君の 殿を敬う気持ちは いつも揺るがんかった。 245 00:21:57,234 --> 00:22:03,234 ならば いっそ 忠孝に徹しては どうでしょう? 246 00:22:05,108 --> 00:22:08,245 萩へ帰りなさい。 247 00:22:08,245 --> 00:22:12,582 愚直に己を貫く時 君は➡ 248 00:22:12,582 --> 00:22:23,282 君と笑い 君と泣き 君を慕い そうした者たちの中で必ず輝く。 249 00:22:25,929 --> 00:22:31,735 萩には 君の友がいます。 250 00:22:31,735 --> 00:22:54,891 ♬~ 251 00:22:54,891 --> 00:22:59,229 (彦介)お久しぶりでございます。 252 00:22:59,229 --> 00:23:04,568 たまには 皆と語り合いたいと思うて。 253 00:23:04,568 --> 00:23:07,904 前原さんに言われて 長崎の事情を 書き留めてまいりました。 254 00:23:07,904 --> 00:23:09,840 今日は それをお話ししようと。 255 00:23:09,840 --> 00:23:12,576 俺も 西洋学所で見つけた書物を 持ってきた。 256 00:23:12,576 --> 00:23:15,912 (寺島)では 私は うまい芋の見分け方でも ひとつ。 257 00:23:15,912 --> 00:23:18,582 (赤禰)こん食いしん坊が! 大概にせえ! 258 00:23:18,582 --> 00:23:23,282 (笑い声) 259 00:23:31,161 --> 00:23:35,532 何ですね? そりゃ。 260 00:23:35,532 --> 00:23:39,402 友の形見です。 261 00:23:39,402 --> 00:23:46,702 高杉と話したせいでしょうか。 国の者らの事を思い出して…。 262 00:23:50,881 --> 00:23:54,217 あなたに 友はおらんのですか? 263 00:23:54,217 --> 00:23:56,887 いないね。 264 00:23:56,887 --> 00:23:59,222 俺は 今まで 金以外の事で➡ 265 00:23:59,222 --> 00:24:03,894 人と深く関わろうなんざ 考えた事もない。 266 00:24:03,894 --> 00:24:10,894 お前とも 蔓が切れたら それっきりだ。 267 00:24:20,911 --> 00:24:24,781 (石谷)梅田雲浜が 死にましてございます。 268 00:24:24,781 --> 00:24:28,251 吉田寅次郎の事は 何か申したか? 269 00:24:28,251 --> 00:24:31,588 いえ 雲浜は何も。 270 00:24:31,588 --> 00:24:35,458 ただ 何を思ったか 吉田みずから…。 271 00:24:35,458 --> 00:24:37,861 ご老中 間部様を➡ 272 00:24:37,861 --> 00:24:41,861 死を覚悟して おいさめしようと した事でございます。 273 00:24:43,733 --> 00:24:47,537 言わねば 一とおりの吟味で 終わったものを。 274 00:24:47,537 --> 00:24:53,877 なお一層 厳しく調べよ。 はっ。 275 00:24:53,877 --> 00:25:00,750 吉田寅次郎… 確か 山鹿流兵学師範であったな。 276 00:25:00,750 --> 00:25:03,219 はい。 277 00:25:03,219 --> 00:25:06,122 なぜだ…? 278 00:25:06,122 --> 00:25:10,894 なぜ みずから 罰せられるような事を…。 279 00:25:10,894 --> 00:25:29,245 ♬~ 280 00:25:29,245 --> 00:25:32,545 伊之助…。 281 00:25:36,519 --> 00:25:39,819 伊之助。 282 00:25:45,195 --> 00:25:50,066 恐らく お沙汰は 遠島といったところじゃろう。 283 00:25:50,066 --> 00:25:53,536 まことか。 284 00:25:53,536 --> 00:25:57,407 よかった…。 案じておったんじゃ。 285 00:25:57,407 --> 00:25:59,409 高杉からの手紙で➡ 286 00:25:59,409 --> 00:26:05,548 お前が 自分から間部老中の件など 持ち出したと聞いて。 287 00:26:05,548 --> 00:26:07,884 井伊に会いたかった。 288 00:26:07,884 --> 00:26:10,553 大老の井伊様か? 289 00:26:10,553 --> 00:26:18,228 今 日本国の政は すべて 井伊大老の思うままとなっておる。 290 00:26:18,228 --> 00:26:23,099 井伊をおびき寄せ その前で 思い切り語りたかったんじゃ。 291 00:26:23,099 --> 00:26:28,571 では 自分から 罪をほのめかしたんは…。 292 00:26:28,571 --> 00:26:34,177 じゃが ダメじゃった。➡ 293 00:26:34,177 --> 00:26:41,177 しまいじゃ。 僕の言葉は どこにも届かん。 294 00:26:43,853 --> 00:26:46,756 悔しい…。 295 00:26:46,756 --> 00:26:50,193 悔しい! 296 00:26:50,193 --> 00:26:54,193 悔しい…。 297 00:27:02,772 --> 00:27:06,209 寅次郎。 298 00:27:06,209 --> 00:27:13,509 お前の志とは たかだか それしきのもんか? 299 00:27:17,821 --> 00:27:21,558 何のために 俺たちは出会うた? 300 00:27:21,558 --> 00:27:24,461 萩の町で ただ2人…。 301 00:27:24,461 --> 00:27:28,231 [ 回想 ] 日本国を守りたい。 そのために学びたい。 302 00:27:28,231 --> 00:27:31,931 (寅次郎) 私も 同じ考えにございます。 303 00:27:35,038 --> 00:27:40,810 心 屈したまま 命のやり場を迷うなど➡ 304 00:27:40,810 --> 00:27:44,110 お前らしゅうもない。 305 00:27:46,182 --> 00:27:54,182 尽くし 動かざれば なお尽くす! 306 00:27:56,526 --> 00:28:01,526 それこそが お前の至誠ではないんか! 307 00:28:03,199 --> 00:28:06,102 伊之助…。 308 00:28:06,102 --> 00:28:09,802 諦めるな。 309 00:28:13,209 --> 00:28:21,909 お前の魂が不朽となる望みは まだある。 310 00:28:24,220 --> 00:28:28,091 ありがとう…。 311 00:28:28,091 --> 00:28:32,091 お前がおってくれて よかった。 312 00:28:37,500 --> 00:28:42,839 まことは 詮議の場で何も言うなと➡ 313 00:28:42,839 --> 00:28:48,139 その説得のために参ったんじゃが。 314 00:28:50,180 --> 00:28:52,880 (寅次郎) こねぇになるまで…。 315 00:28:57,520 --> 00:29:01,520 生きてほしゅうてな。 316 00:29:08,865 --> 00:29:17,874 生きろ。 お前らしく。 317 00:29:17,874 --> 00:29:34,574 ♬~ 318 00:29:42,498 --> 00:29:48,498 寅次郎の取り調べが再び行われた。 319 00:30:16,199 --> 00:30:19,869 重ねて尋ねる。 その方➡ 320 00:30:19,869 --> 00:30:23,206 ご老中 間部様と刺し違えようと したのではないか! 321 00:30:23,206 --> 00:30:26,876 刺し違えるなど 申した覚えはございませぬ! 322 00:30:26,876 --> 00:30:29,779 おいさめしようとしただけで ございます! 323 00:30:29,779 --> 00:30:32,215 ご老中をおいさめしようなどと➡ 324 00:30:32,215 --> 00:30:35,551 そもそも ご公儀に対して 不敬とは思わぬか! 325 00:30:35,551 --> 00:30:38,454 なれば 天子様のお許しも得ず➡ 326 00:30:38,454 --> 00:30:41,424 メリケンとの条約を結んだ 井伊様こそ➡ 327 00:30:41,424 --> 00:30:43,426 不敬の至りでござる! 328 00:30:43,426 --> 00:30:45,561 貴様 何を申すか! 無礼であろう! 329 00:30:45,561 --> 00:30:48,561 控えよ! 330 00:30:51,434 --> 00:30:54,904 申してみよ。 331 00:30:54,904 --> 00:30:58,574 徳川家が 200年以上の長きにわたり➡ 332 00:30:58,574 --> 00:31:01,477 この日本国を 太平に保たれてきたは➡ 333 00:31:01,477 --> 00:31:06,249 公方様が徳をもって 治められてきたからに相違なく。➡ 334 00:31:06,249 --> 00:31:11,120 しかし 今 幕府は この国の未来を 憂えて立ち上がった者たちを➡ 335 00:31:11,120 --> 00:31:16,592 次々に捕らえ 拷問し 処刑している。 336 00:31:16,592 --> 00:31:21,464 徳ではなく 力で 政を 押しつけんとする井伊大老に➡ 337 00:31:21,464 --> 00:31:25,268 この国の未来を託す事が できましょうや! 338 00:31:25,268 --> 00:31:27,937 (石谷)それ以上 申せば ただでは済まさんぞ! 339 00:31:27,937 --> 00:31:31,237 己の命など! 340 00:31:37,213 --> 00:31:43,553 若き日 私は 日本国中 あらゆる土地を歩き回りました。 341 00:31:43,553 --> 00:31:48,424 どの地にも 人がいて 暮らしがあり➡ 342 00:31:48,424 --> 00:31:52,724 皆 己の幸せを信じて 懸命に生きていた。 343 00:31:54,564 --> 00:31:58,234 その営みを 脅かすものがあるならば➡ 344 00:31:58,234 --> 00:32:02,105 異国であろうと ご公儀であろうと➡ 345 00:32:02,105 --> 00:32:06,405 私は 戦いを挑む覚悟に ございます! 346 00:32:08,578 --> 00:32:12,578 (井伊)吉田寅次郎。 347 00:32:28,898 --> 00:32:31,898 ならば言おう。 348 00:32:33,536 --> 00:32:39,409 国を混乱に陥れているのは お前たちの方ではないか。 349 00:32:39,409 --> 00:32:44,881 我らは ただ 我らの思う一歩を踏み出し➡ 350 00:32:44,881 --> 00:32:47,216 国を救いたいと思うておるのみ。 351 00:32:47,216 --> 00:32:50,119 その一歩とは 攘夷か? 352 00:32:50,119 --> 00:32:52,889 異国の大筒に脅され 国を開いては➡ 353 00:32:52,889 --> 00:32:56,225 いずれ 日本国は 異国の 思うがままにされてしまいます。 354 00:32:56,225 --> 00:33:00,563 なればこそ 国は強くならねばならん。 355 00:33:00,563 --> 00:33:04,233 異国に国を開き 異国の手を借りてでも。 356 00:33:04,233 --> 00:33:06,169 草莽の声に耳をお傾け下され! 357 00:33:06,169 --> 00:33:11,908 秩序を欠いては 国は 国でなくなる。 358 00:33:11,908 --> 00:33:13,843 もはや この国は➡ 359 00:33:13,843 --> 00:33:17,246 ただ一握りの者たちでは 持ちこたえられませぬ! 360 00:33:17,246 --> 00:33:21,946 万人が力を尽くし 守らねば。 361 00:33:23,920 --> 00:33:31,220 徳をなくした政の果ては 亡国にございます。 362 00:33:35,865 --> 00:33:39,735 許さぬ。 363 00:33:39,735 --> 00:33:46,435 もとより 命など惜しんではおりませぬ。 364 00:33:49,212 --> 00:33:53,883 引っ立てい! (獄吏たち)はっ。 365 00:33:53,883 --> 00:33:56,219 立て。 366 00:33:56,219 --> 00:33:59,219 こっちだ。 367 00:34:34,857 --> 00:34:45,868 ♬~ 368 00:34:45,868 --> 00:34:47,803 (沼崎)「留魂録」? 369 00:34:47,803 --> 00:34:51,741 このうち一冊を 長州の者に渡してほしいんです。 370 00:34:51,741 --> 00:34:54,210 あなたが獄を出たら。 371 00:34:54,210 --> 00:35:00,082 はっ。 知り合いに頼め。 お前の友にでもな。 372 00:35:00,082 --> 00:35:03,219 ええ そうします。 373 00:35:03,219 --> 00:35:07,557 ですが 誰かに阻まれて 萩まで届かんかもしれん。 374 00:35:07,557 --> 00:35:15,557 じゃから 最後の一冊を あなたに託したいんです。 375 00:35:17,233 --> 00:35:22,572 最後の…。 376 00:35:22,572 --> 00:35:24,907 蔓は。 377 00:35:24,907 --> 00:35:30,246 蔓は もう ありません。 378 00:35:30,246 --> 00:35:34,946 ですから あなたを信じるしか。 379 00:35:52,201 --> 00:35:57,501 時々 考えておったんです。 380 00:35:59,875 --> 00:36:05,748 17の時 馬から落ちておらんかったら➡ 381 00:36:05,748 --> 00:36:10,748 私は どのような道を 歩んでおったんじゃろうかと。 382 00:36:13,422 --> 00:36:17,893 じゃが 今日 分かった。 383 00:36:17,893 --> 00:36:24,593 つまずきも苦しみも 皆 己じゃ。 384 00:36:27,236 --> 00:36:34,844 じゃからこそ 先生と巡り会い こうして 皆とも出会えた。➡ 385 00:36:34,844 --> 00:36:40,182 ただ言葉を交わし 顔を見合わせるだけの事が➡ 386 00:36:40,182 --> 00:36:44,854 これほど 力になるとは。 387 00:36:44,854 --> 00:36:48,524 前原さん…。 388 00:36:48,524 --> 00:36:55,398 できれば これからも 皆さんと共に。 389 00:36:55,398 --> 00:37:07,543 ♬~ 390 00:37:07,543 --> 00:37:09,879 (寅次郎)にぎやかですね。 391 00:37:09,879 --> 00:37:13,749 ええ。 今日は 生徒さんらが ようけ来て。 392 00:37:13,749 --> 00:37:16,552 風呂も何べんも沸かさんと。 393 00:37:16,552 --> 00:37:20,222 風呂か。 ええな。 394 00:37:20,222 --> 00:37:23,125 フフッ 珍しい事 言うんじゃね。 395 00:37:23,125 --> 00:37:26,095 あれほど 風呂を嫌うておる お前が。 396 00:37:26,095 --> 00:37:30,232 今日は 疲れたんです。 いろいろ あって。 397 00:37:30,232 --> 00:37:34,532 なら 早う入りんさい。 すぐに ごはんですよ。 398 00:37:40,042 --> 00:37:42,511 (百合之助)滝! 399 00:37:42,511 --> 00:37:45,414 ああ 滝。 400 00:37:45,414 --> 00:37:49,385 今 寅次郎が。 えっ? 401 00:37:49,385 --> 00:37:52,188 「腹が減った」と笑顔で。 402 00:37:52,188 --> 00:37:54,123 何じゃ 帰ったんかと➡ 403 00:37:54,123 --> 00:38:01,864 籠を置いて もう一度見たら 誰もおらんで。 404 00:38:01,864 --> 00:38:05,534 寅…。 405 00:38:05,534 --> 00:38:09,834 帰ってきたんですね。 406 00:38:17,146 --> 00:38:20,082 (一同)イン ジャン! 407 00:38:20,082 --> 00:38:23,552 (2人)ううっ…! 408 00:38:23,552 --> 00:38:25,488 (一同)おお~! 409 00:38:25,488 --> 00:38:28,224 アハハ…! 410 00:38:28,224 --> 00:39:06,924 ♬~ 411 00:39:36,025 --> 00:39:41,497 (寅次郎)「親思ふ こころにまさる 親ごころ➡ 412 00:39:41,497 --> 00:39:46,197 けふの音づれ 何ときくらん」。 413 00:39:48,370 --> 00:39:56,670 10月27日。 これを残して 寅次郎は…。 414 00:39:58,514 --> 00:40:24,206 ♬~ 415 00:40:24,206 --> 00:40:31,506 (寅次郎)「今 私は 死を前にして 心安らかです」。 416 00:40:35,551 --> 00:40:40,851 「今更 誰を恨もうという気も ありません」。 417 00:40:43,425 --> 00:40:50,099 「それは 命について こう悟ったからです。➡ 418 00:40:50,099 --> 00:41:01,243 春に種をまき 夏に苗を植え 秋に実り 冬には蓄える。➡ 419 00:41:01,243 --> 00:41:07,116 人にも 同じように 四季があります。➡ 420 00:41:07,116 --> 00:41:12,855 人の命とは 歳月の長さではない。➡ 421 00:41:12,855 --> 00:41:18,260 10歳で死んでいく者は 10歳の中に。➡ 422 00:41:18,260 --> 00:41:23,599 20歳で死ぬ者は 20歳の中に。➡ 423 00:41:23,599 --> 00:41:29,599 それぞれ 春夏秋冬があり 実を結んでいる」。 424 00:41:31,273 --> 00:41:33,876 「私は 30歳ですが➡ 425 00:41:33,876 --> 00:41:38,576 収穫の時を迎えたと 思っております」。 426 00:41:40,549 --> 00:41:46,221 「もし 同志の中で 私の心を 継いでくれる人がいたら➡ 427 00:41:46,221 --> 00:41:50,893 私の実は 空ではない。➡ 428 00:41:50,893 --> 00:41:57,566 どうか 一粒の籾として➡ 429 00:41:57,566 --> 00:42:02,237 次の春の種となれますよう」。 430 00:42:02,237 --> 00:42:04,537 ♬~ 431 00:43:04,900 --> 00:43:08,771 井伊直弼による安政の大獄は➡ 432 00:43:08,771 --> 00:43:16,071 吉田寅次郎の処刑をもって 幕が引かれる事となった。 433 00:43:21,450 --> 00:43:29,150 吉田松陰は 死してなお 生き続ける。 434 00:43:34,063 --> 00:43:37,199 <江戸に送られた松陰は➡ 435 00:43:37,199 --> 00:43:41,870 伝馬町にあった牢屋敷に 投獄されました。➡ 436 00:43:41,870 --> 00:43:46,542 評定所で死罪が言い渡された 松陰は➡ 437 00:43:46,542 --> 00:43:51,880 安政6年 1859年10月27日➡ 438 00:43:51,880 --> 00:43:57,580 この地で 波乱の生涯に 幕を下ろしたのです> 439 00:43:59,555 --> 00:44:05,427 <松陰は 塾生に向け みずからの志を継いでほしいと➡ 440 00:44:05,427 --> 00:44:10,199 「留魂録」に記しました。➡ 441 00:44:10,199 --> 00:44:14,903 家族に残した「永訣の書」。➡ 442 00:44:14,903 --> 00:44:19,241 そこには 故郷で自分の帰りを待つ➡ 443 00:44:19,241 --> 00:44:24,241 両親を思いやる歌が 書かれています> 444 00:44:26,115 --> 00:44:31,820 <松陰が葬られている 世田谷区の松陰神社。➡ 445 00:44:31,820 --> 00:44:35,190 松陰の最期は 堂々たる態度で➡ 446 00:44:35,190 --> 00:44:39,061 幕府の役人も 感嘆したといいます。➡ 447 00:44:39,061 --> 00:44:45,834 死の直前まで 家族や友人 そして 国を案じていた松陰。➡ 448 00:44:45,834 --> 00:44:50,205 その志は 多くの志士たちに受け継がれ➡ 449 00:44:50,205 --> 00:44:54,505 維新の原動力となるのです> 450 00:45:33,816 --> 00:45:42,224 ♬~ 451 00:45:42,224 --> 00:45:44,560 (神谷)ああ~。 452 00:45:44,560 --> 00:45:53,902 ♬~ 453 00:45:53,902 --> 00:45:58,574 (鐘の音) 454 00:45:58,574 --> 00:46:00,874 お疲れさまでした。