1 00:00:33,696 --> 00:00:39,396 (吉平)ほれじゃあ もものこん 頼むじゃんな。 2 00:00:41,103 --> 00:00:45,774 (ふじ)英治さん。 はな。 3 00:00:45,774 --> 00:00:50,774 もものこん よろしくお願えしやす。 4 00:00:56,785 --> 00:00:59,688 (花子)もも。 5 00:00:59,688 --> 00:01:03,988 うちで一緒に暮らそう。 6 00:01:07,129 --> 00:01:11,800 お嫁に行く時 もも 言ってくれたじゃない。 7 00:01:11,800 --> 00:01:17,473 [ 回想 ] (もも)お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 8 00:01:17,473 --> 00:01:20,473 書えたら送ってくりょう。 9 00:01:22,144 --> 00:01:26,015 あの時 ももが ああ言ってくれなかったら➡ 10 00:01:26,015 --> 00:01:33,756 お姉やん… お話を作る夢 諦めてたかもしれない。 11 00:01:33,756 --> 00:01:39,628 私が今 翻訳したり 童話の仕事をしていられるのは➡ 12 00:01:39,628 --> 00:01:43,928 もものおかげだよ。 13 00:01:47,770 --> 00:01:54,070 ももの かじかんだ心が解ける日は 来るのでしょうか。 14 00:01:59,381 --> 00:02:01,784 ♬「これから はじまる」 15 00:02:01,784 --> 00:02:04,687 ♬「あなたの 物語」 16 00:02:04,687 --> 00:02:09,458 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 17 00:02:09,458 --> 00:02:13,796 ♬「虹色の雨 降り注げば」 18 00:02:13,796 --> 00:02:19,468 ♬「空は 高鳴る」 19 00:02:19,468 --> 00:02:24,340 ♬「眩しい笑顔の奥に」 20 00:02:24,340 --> 00:02:29,812 ♬「悲しい音がする」 21 00:02:29,812 --> 00:02:35,084 ♬「寄りそって 今があって」 22 00:02:35,084 --> 00:02:42,758 ♬「こんなにも 愛おしい」 23 00:02:42,758 --> 00:02:47,629 ♬「手を繋げば 温かいこと」 24 00:02:47,629 --> 00:02:53,769 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 25 00:02:53,769 --> 00:02:58,107 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 26 00:02:58,107 --> 00:03:03,407 ♬「道は 続くよ」 27 00:03:16,458 --> 00:03:20,796 皆さん ごきげんよう。 今日も よろしくお願い致します。 28 00:03:20,796 --> 00:03:22,731 (漆原)これは これは。 29 00:03:22,731 --> 00:03:26,135 (黒沢)村岡先生の放送 大変な反響です。 30 00:03:26,135 --> 00:03:28,470 まあ それは うれしいです。 31 00:03:28,470 --> 00:03:32,770 では 後ほど。 ごきげんよう。 32 00:03:36,745 --> 00:03:40,416 「ごきげんよう」か…。 33 00:03:40,416 --> 00:03:43,318 すいません。 34 00:03:43,318 --> 00:03:46,755 では 逓信省の許可を取ってきます。 35 00:03:46,755 --> 00:03:50,092 お願いします。 36 00:03:50,092 --> 00:03:53,762 これ全部 村岡先生宛てのお手紙です。 37 00:03:53,762 --> 00:03:58,634 どうぞ ご覧になって下さい。 ありがとうございます。 38 00:03:58,634 --> 00:04:02,634 では 行ってきます。 はい。 39 00:04:08,777 --> 00:04:15,777 それは 病気の坊やを持つ お母さんからのお手紙でした。 40 00:04:24,126 --> 00:04:29,798 (かよ)もも。 少し休んだら? 41 00:04:29,798 --> 00:04:38,407 私… 一生懸命働くから ここに置いて。 42 00:04:38,407 --> 00:04:42,744 でも お姉やんが寂しがるよ。 43 00:04:42,744 --> 00:04:48,617 ももと一緒に暮らしたいって お姉やん 心から思ってるよ。 44 00:04:48,617 --> 00:04:53,388 お姉やんは きっと そんな事思わないよ。 45 00:04:53,388 --> 00:04:56,688 あんなに忙しそうだし。 46 00:04:59,094 --> 00:05:02,764 お姉やんが あんなに 仕事をするようになったのは➡ 47 00:05:02,764 --> 00:05:07,102 坊やが亡くなってからだよ。 48 00:05:07,102 --> 00:05:12,975 それからは 日本中の子どもたちに 物語を届けるんだって➡ 49 00:05:12,975 --> 00:05:18,714 いつも たくさん仕事を抱えてる。 50 00:05:18,714 --> 00:05:26,014 ラジオのおばさんも そんな気持ちで 引き受けたんだと思う。 51 00:05:39,401 --> 00:05:42,738 「村岡花子先生。➡ 52 00:05:42,738 --> 00:05:49,611 『コドモの新聞』 息子が 大層楽しみにしております。➡ 53 00:05:49,611 --> 00:05:56,084 息子は 入院していて ふさぎ込む日もあるのですが➡ 54 00:05:56,084 --> 00:06:01,957 村岡先生の放送を 本当に心待ちにしております。➡ 55 00:06:01,957 --> 00:06:10,257 息子にとって 先生の放送は 希望なのだと思います」。 56 00:06:21,777 --> 00:06:24,777 あの…。 57 00:06:26,448 --> 00:06:31,720 (英治)ももさん… 来てくれたんですね。 58 00:06:31,720 --> 00:06:39,061 花子は ラジオ局に行ってますけど 帰ってきたら大喜びします。 59 00:06:39,061 --> 00:06:44,933 違うんです。 荷物を取りに…。 60 00:06:44,933 --> 00:06:49,933 えっ… ああ。 61 00:07:07,756 --> 00:07:14,056 はい。 これですね。 すみません…。 62 00:07:15,631 --> 00:07:21,631 実を言うと… 僕は ももさんが羨ましいです。 63 00:07:24,306 --> 00:07:30,779 けんかができる兄妹がいて 羨ましいです。➡ 64 00:07:30,779 --> 00:07:34,383 僕は 弟を亡くしました。 65 00:07:34,383 --> 00:07:39,683 けんかも仲直りも 一人じゃできません。 66 00:07:41,723 --> 00:07:45,060 あっ そうだ。 ももさん ちょっと待ってて。 67 00:07:45,060 --> 00:07:49,360 花子が書いた新しい本 持っていって下さい。 68 00:08:04,413 --> 00:08:09,084 ももさん。 お願いがあるんです。 69 00:08:09,084 --> 00:08:15,757 この写真を ラジオ局まで 届けてもらえませんか? えっ? 70 00:08:15,757 --> 00:08:20,095 僕が行ければいいんですが 急ぎの納品があって…。 71 00:08:20,095 --> 00:08:22,030 はあ…。 72 00:08:22,030 --> 00:08:25,767 花子に渡してほしいんです。 73 00:08:25,767 --> 00:08:30,639 どうか お願いします。 74 00:08:30,639 --> 00:08:32,574 分かりました。 75 00:08:32,574 --> 00:08:36,378 はあ… 助かった…。 76 00:08:36,378 --> 00:08:39,678 あっ じゃあ 今 地図 描きますから。 77 00:08:41,717 --> 00:08:59,735 ♬~ 78 00:08:59,735 --> 00:09:03,405 あの方に聞いて下さい。 79 00:09:03,405 --> 00:09:06,405 あの! 80 00:09:08,076 --> 00:09:11,947 村岡花子は どこにいますか? どうなさったんですか? 81 00:09:11,947 --> 00:09:17,247 忘れ物を届けたいんです。 どうぞ こちらです。 82 00:09:41,710 --> 00:09:46,047 あの… ご相談があるんですが。 83 00:09:46,047 --> 00:09:48,383 今度は 何ですか? 84 00:09:48,383 --> 00:09:52,254 原稿を変更したいんです。 85 00:09:52,254 --> 00:09:56,057 またですか…。 86 00:09:56,057 --> 00:09:58,393 (有馬)放送は もう間もなくです。 87 00:09:58,393 --> 00:10:01,062 逓信省の承認を取る時間は もう ありませんから➡ 88 00:10:01,062 --> 00:10:02,998 そのまま お読みになるしかありません。 89 00:10:02,998 --> 00:10:04,933 そういう事ですので。 90 00:10:04,933 --> 00:10:07,402 変更といっても ひと言だけです。 91 00:10:07,402 --> 00:10:09,337 最後の挨拶を 「さようなら」ではなく➡ 92 00:10:09,337 --> 00:10:12,741 「ごきげんよう。 さようなら」に したいんです。 93 00:10:12,741 --> 00:10:15,644 冒頭にも 「ごきげんよう」と述べて➡ 94 00:10:15,644 --> 00:10:18,613 最後に また 「ごきげんよう」と 述べるのですか? 95 00:10:18,613 --> 00:10:22,613 よほど 「ごきげんよう」という 挨拶をしたいのでしょう。 96 00:10:26,087 --> 00:10:30,425 あなたは 修和女学校のご出身だそうですね。 97 00:10:30,425 --> 00:10:33,094 はい。 98 00:10:33,094 --> 00:10:37,966 うちの家内も修和の出身で 「ごきげんよう」は 朝から晩まで➡ 99 00:10:37,966 --> 00:10:41,436 耳にタコが出来るくらい 聞かされます。 100 00:10:41,436 --> 00:10:44,105 そうでしたか…。 101 00:10:44,105 --> 00:10:50,779 あそこは 家柄のいい お嬢様たちが通う名門です。 102 00:10:50,779 --> 00:10:56,651 しかし… あなたは 給費生だったそうですね。 103 00:10:56,651 --> 00:11:01,351 ええ。 そうです。 104 00:11:03,792 --> 00:11:07,128 (漆原) 貧しい家の出である あなたが 殊更に➡ 105 00:11:07,128 --> 00:11:10,031 「ごきげんよう」という言葉を 使いたい気持ちは分かります。 106 00:11:10,031 --> 00:11:13,802 しかし 「ごきげんよう」が 似合う人間と似合わない人間が➡ 107 00:11:13,802 --> 00:11:17,102 いるんですよ。 108 00:11:19,674 --> 00:11:23,478 そうでしょうか。 109 00:11:23,478 --> 00:11:26,147 「ごきげんよう」は➡ 110 00:11:26,147 --> 00:11:30,018 さまざまな祈りが込められた 言葉だと思います。 111 00:11:30,018 --> 00:11:32,954 (漆原)祈り? 112 00:11:32,954 --> 00:11:38,954 「どうか お健やかに お幸せに お暮らし下さい」という祈りです。 113 00:11:41,630 --> 00:11:46,101 人生は うまくいく時ばかりでは ありません。 114 00:11:46,101 --> 00:11:50,438 病気になる事もあるし➡ 115 00:11:50,438 --> 00:11:55,310 何をやっても うまくいかない時もあります。 116 00:11:55,310 --> 00:12:00,782 健康な子も 病気の子も 大人たちも➡ 117 00:12:00,782 --> 00:12:03,451 どうか 全ての人たちが➡ 118 00:12:03,451 --> 00:12:07,322 明日も元気に 無事に 放送を聞けますようにという➡ 119 00:12:07,322 --> 00:12:12,127 祈りを込めて 番組を終わらせたいんです。 120 00:12:12,127 --> 00:12:16,464 どうか お願いします。 121 00:12:16,464 --> 00:12:26,474 ♬~ 122 00:12:26,474 --> 00:12:31,346 挨拶の部分ですから 変えても 問題にはならないと思います。 123 00:12:31,346 --> 00:12:35,083 いいえ。 一行一句 変えてはなりません。 124 00:12:35,083 --> 00:12:38,753 まあ いいでしょう。 125 00:12:38,753 --> 00:12:42,090 問題になったら 降りてもらえばいい。 126 00:12:42,090 --> 00:12:44,390 時間だ。 始めよう。 127 00:12:47,963 --> 00:12:53,435 あ… 村岡先生。 128 00:12:53,435 --> 00:12:57,105 もも。 129 00:12:57,105 --> 00:13:01,443 お姉やん これ お義兄さんから。 130 00:13:01,443 --> 00:13:06,114 あ… ありがとう! 131 00:13:06,114 --> 00:13:08,450 じゃあ 私は。 132 00:13:08,450 --> 00:13:13,321 もも。 本当にありがとう。 133 00:13:13,321 --> 00:13:26,621 ♬~ 134 00:13:29,137 --> 00:13:35,137 「コドモの新聞」の時間です。 村岡花子先生です。 135 00:13:39,414 --> 00:13:44,285 全国のお小さい方々 ごきげんよう。 136 00:13:44,285 --> 00:13:48,757 これから 皆様方の新聞のお時間です。 137 00:13:48,757 --> 00:13:52,627 最初のお話です。 138 00:13:52,627 --> 00:13:56,631 「大阪で ヒヒが逃げたお話です。➡ 139 00:13:56,631 --> 00:14:02,303 今朝の6時ごろの事です。 大阪市の ある幼稚園で➡ 140 00:14:02,303 --> 00:14:07,442 飼っていた大きなヒヒ… これは お猿の一種ですが➡ 141 00:14:07,442 --> 00:14:11,312 普通のお猿よりも 犬のように口がとがっています。➡ 142 00:14:11,312 --> 00:14:17,452 そのヒヒが どうしたのか 急に鉄の首輪をちぎって➡ 143 00:14:17,452 --> 00:14:22,791 おりの中から飛び出し さあ 大変」。 144 00:14:22,791 --> 00:14:27,128 今日の新聞のお時間は ここまでです。 145 00:14:27,128 --> 00:14:30,828 それでは 皆さん。 146 00:14:35,937 --> 00:14:41,237 ごきげんよう。 さようなら。 147 00:14:45,413 --> 00:14:47,749 ごきげんよう…。 148 00:14:47,749 --> 00:14:57,449 花子の声が 魔法の言葉のように ももの心にしみこんでいきました。 149 00:14:59,094 --> 00:15:04,094 ごきげんよう。 さようなら。 150 00:15:41,753 --> 00:15:43,772 >>あっ、あそこですね。 151 00:15:43,772 --> 00:15:45,807 八木地区です。 山の中腹から、 152 00:15:48,610 --> 00:15:52,397 土砂がえぐり取られるようにして 落ちていまして、 153 00:15:52,397 --> 00:15:56,151 その下にある建物を押し流してい るのが分かります。