1 00:00:33,783 --> 00:00:37,186 [ 心の声 ] (花子)「曲がり角を曲がった先に➡ 2 00:00:37,186 --> 00:00:40,089 何があるのかは 分からないの。➡ 3 00:00:40,089 --> 00:00:44,527 でも それは きっと…。➡ 4 00:00:44,527 --> 00:00:49,865 きっと 一番よいものに 違いないと思うの」。 5 00:00:49,865 --> 00:00:55,204 (空襲警報) 6 00:00:55,204 --> 00:00:59,075 平和になる時を 待っているのではなく➡ 7 00:00:59,075 --> 00:01:03,079 今 これが私のすべき事なのだ。 8 00:01:03,079 --> 00:01:09,752 その思いに突き動かされ 翻訳を始めた花子でした。 9 00:01:09,752 --> 00:01:13,556 (空襲警報) 10 00:01:13,556 --> 00:01:15,491 (爆撃音) 11 00:01:15,491 --> 00:01:19,895 空襲の町を逃げながら 花子は 祈りました。 12 00:01:19,895 --> 00:01:26,769 生きた証しとして この本だけは訳したい! 13 00:01:26,769 --> 00:01:29,238 ♬「これから はじまる」 14 00:01:29,238 --> 00:01:32,508 ♬「あなたの 物語」 15 00:01:32,508 --> 00:01:36,846 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 16 00:01:36,846 --> 00:01:41,183 ♬「虹色の雨 降り注げば」 17 00:01:41,183 --> 00:01:46,856 ♬「空は 高鳴る」 18 00:01:46,856 --> 00:01:52,194 ♬「眩しい笑顔の奥に」 19 00:01:52,194 --> 00:01:57,533 ♬「悲しい音がする」 20 00:01:57,533 --> 00:02:02,872 ♬「寄りそって 今があって」 21 00:02:02,872 --> 00:02:10,546 ♬「こんなにも 愛おしい」 22 00:02:10,546 --> 00:02:15,217 ♬「手を繋げば 温かいこと」 23 00:02:15,217 --> 00:02:21,090 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 24 00:02:21,090 --> 00:02:25,861 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 25 00:02:25,861 --> 00:02:31,233 ♬「道は 続くよ」 26 00:02:31,233 --> 00:02:41,844 ♬「風が運ぶ 希望の種」 27 00:02:41,844 --> 00:02:52,144 ♬「光が 夢のつぼみになる」 28 00:02:59,195 --> 00:03:02,097 (直子)おめめが痛いよ。 29 00:03:02,097 --> 00:03:04,533 (美里)目が痛い。 30 00:03:04,533 --> 00:03:08,204 (もも)大丈夫。 大丈夫よ。 大丈夫。 31 00:03:08,204 --> 00:03:12,074 もう少しだから歩こう。 32 00:03:12,074 --> 00:03:18,214 甲府に疎開させていた直子が 東京に帰ってきたやさきの➡ 33 00:03:18,214 --> 00:03:20,914 空襲でした。 34 00:03:36,699 --> 00:03:41,170 (旭)あっ… 直子! もも! 35 00:03:41,170 --> 00:03:43,839 お父さん! 旭さん! 36 00:03:43,839 --> 00:03:47,710 (英治)美里! 花子さん! (美里)お父様! 37 00:03:47,710 --> 00:03:50,410 英治さん。 38 00:03:53,849 --> 00:03:56,185 みんな無事でよかった。 39 00:03:56,185 --> 00:04:00,185 恐ろしかっただろう? ええ。 40 00:04:01,857 --> 00:04:03,792 かよさんは? 41 00:04:03,792 --> 00:04:07,530 分からないの…。 ここには来てないのね。 42 00:04:07,530 --> 00:04:11,867 うん…。 僕らも さっき なんとか たどりついたところで。 43 00:04:11,867 --> 00:04:15,867 工場が爆撃されて お義兄さんと逃げてきたんです。 44 00:04:26,415 --> 00:04:32,488 お姉やんの大切な部屋が こんな事になるなんて…。 45 00:04:32,488 --> 00:04:37,826 でも 燃え広がらなくて よかったわ。 46 00:04:37,826 --> 00:04:41,163 もし 火が広がっていたら どうなっていたか…。 47 00:04:41,163 --> 00:04:45,863 大事な本を 防空壕に隠しておいて よかった。 48 00:04:49,038 --> 00:04:51,807 かよ…。 49 00:04:51,807 --> 00:04:54,510 かよ! 50 00:04:54,510 --> 00:04:58,847 かよ姉やん! 無事だったのね。 よかった…。 51 00:04:58,847 --> 00:05:00,783 (かよ)お姉やん…。 52 00:05:00,783 --> 00:05:03,519 かよ? 53 00:05:03,519 --> 00:05:07,856 私の店… 焼けてしまったの。 54 00:05:07,856 --> 00:05:13,556 あの辺は 全部 燃えて 何にも残ってない。 55 00:05:17,199 --> 00:05:19,868 お姉やん…。 56 00:05:19,868 --> 00:05:44,827 ♬~ 57 00:05:44,827 --> 00:05:49,127 (富士子)配給 また おいも? 58 00:05:52,167 --> 00:05:56,038 (蓮子)お母様は おいも好きよ。 59 00:05:56,038 --> 00:06:01,844 おいもにはね お父様との思い出があるの。 60 00:06:01,844 --> 00:06:05,714 お父様と一緒になった頃➡ 61 00:06:05,714 --> 00:06:10,519 よく お父様が 焼きいもを 買ってきて下さったのよ。 62 00:06:10,519 --> 00:06:13,188 (ため息) 63 00:06:13,188 --> 00:06:18,861 私は 何でもいいから おなかいっぱい食べたい。 64 00:06:18,861 --> 00:06:22,531 富士子…。 65 00:06:22,531 --> 00:06:28,831 お兄様は ちゃんと 食べていらっしゃるかしら。 66 00:06:32,808 --> 00:06:35,508 (戸が開く音) 67 00:06:39,481 --> 00:06:43,181 あなた! お父様。 68 00:06:45,821 --> 00:06:50,693 (龍一)よかった…。 無事だったか。 69 00:06:50,693 --> 00:06:56,393 空襲がひどいと聞いて 心配して戻ってきた。 70 00:07:00,169 --> 00:07:02,504 お帰りなさい。 71 00:07:02,504 --> 00:07:05,204 ただいま。 72 00:07:13,148 --> 00:07:20,856 そうか…。 純平は 出征したのか。 73 00:07:20,856 --> 00:07:24,193 はい。 74 00:07:24,193 --> 00:07:30,866 つい この間 一度だけ 特別休暇で帰ってきたんです。 75 00:07:30,866 --> 00:07:37,673 お父様がいて下さったら お兄様 喜んだでしょうに。 76 00:07:37,673 --> 00:07:43,445 私がいても➡ 77 00:07:43,445 --> 00:07:49,745 あいつを喜ばせるような事は 何一つ言ってやれない。 78 00:07:53,122 --> 00:07:57,493 私もです。 79 00:07:57,493 --> 00:08:03,832 送り出す前の晩 純平に言われてしまいました。 80 00:08:03,832 --> 00:08:08,132 「笑顔で送り出してくれ」と。 81 00:08:17,179 --> 00:08:21,049 せっかく翻訳した原稿が…。 82 00:08:21,049 --> 00:08:26,522 原稿は また書き直せばいいのよ。 83 00:08:26,522 --> 00:08:30,522 この原書と辞書がある限り 大丈夫。 84 00:08:32,127 --> 00:08:40,002 何十回 爆弾を落とされようと 私 この翻訳を完成させるわ。 85 00:08:40,002 --> 00:08:44,002 私にできる事は これだけだから。 86 00:08:56,151 --> 00:09:02,825 蓮子や醍醐は… みんなは 無事だろうか。 87 00:09:02,825 --> 00:09:07,825 花子は 祈るような気持ちで 翻訳を続けました。 88 00:09:10,499 --> 00:09:14,369 (美里)今夜も 空襲が来るんじゃないかしら。 89 00:09:14,369 --> 00:09:18,373 (かよ)いつになったら ゆっくり寝られるのかな。 90 00:09:18,373 --> 00:09:24,847 どんなに不安で暗い夜でも 必ず 朝がやって来る。 91 00:09:24,847 --> 00:09:27,516 アンも言ってるわ。 92 00:09:27,516 --> 00:09:31,386 「朝は どんな朝でも美しい」って。 93 00:09:31,386 --> 00:09:34,790 お母様 アンのお話して。 94 00:09:34,790 --> 00:09:37,090 いいわよ。 95 00:09:38,660 --> 00:09:40,662 「『ゆうべは まるで➡ 96 00:09:40,662 --> 00:09:44,466 この世界が 荒野のような気がしましたが➡ 97 00:09:44,466 --> 00:09:48,804 今朝は こんなに日が照っていて➡ 98 00:09:48,804 --> 00:09:51,473 本当にうれしいわ。➡ 99 00:09:51,473 --> 00:09:56,345 でも 雨降りの朝も大好きなの。➡ 100 00:09:56,345 --> 00:10:01,149 朝は どんな朝でも よかないこと?➡ 101 00:10:01,149 --> 00:10:04,052 その日に どんな事が起こるか➡ 102 00:10:04,052 --> 00:10:07,823 分からないんですもの。➡ 103 00:10:07,823 --> 00:10:11,823 想像の余地があるから いいわ』」。 104 00:10:13,495 --> 00:10:21,169 生と死が紙一重の中で 花子は 翻訳を続けました。 105 00:10:21,169 --> 00:10:23,505 「What's your name?」。 106 00:10:23,505 --> 00:10:27,175 「『名前は 何ていうの?』。➡ 107 00:10:27,175 --> 00:10:30,512 子どもは ちょっと ためらってから➡ 108 00:10:30,512 --> 00:10:35,183 『私を コーデリアと 呼んで下さらない?』と➡ 109 00:10:35,183 --> 00:10:38,854 熱心に頼んだ。➡ 110 00:10:38,854 --> 00:10:42,524 『それが あんたの名前なのかい?』。➡ 111 00:10:42,524 --> 00:10:45,861 『いいえ。 あの…➡ 112 00:10:45,861 --> 00:10:48,764 私の名前って訳じゃ ないんですけれど➡ 113 00:10:48,764 --> 00:10:52,200 コーデリアと呼ばれたいんです。➡ 114 00:10:52,200 --> 00:10:56,071 すばらしく 優美な名前なんですもの』。➡ 115 00:10:56,071 --> 00:11:01,209 『何を言っているのか さっぱり分からないね。➡ 116 00:11:01,209 --> 00:11:07,082 コーデリアというんでないなら 何という名前なの?』。➡ 117 00:11:07,082 --> 00:11:12,220 『アン・シャーリー』」。 118 00:11:12,220 --> 00:11:17,893 (鐘の音) 119 00:11:17,893 --> 00:11:20,796 アンって 私に よく似てる…。 120 00:11:20,796 --> 00:11:26,568 てっ? なにょう言ってるでえ。 おらに似てるずら。➡ 121 00:11:26,568 --> 00:11:29,237 グッド イブニング! 花子。 122 00:11:29,237 --> 00:11:33,508 てっ…。 あ… あなた 私? 123 00:11:33,508 --> 00:11:35,444 …はな? 124 00:11:35,444 --> 00:11:39,181 はなじゃねえ。 おらの事は 花子と呼んでくりょう。 125 00:11:39,181 --> 00:11:42,881 てっ! やっぱり 私だ。 126 00:11:44,519 --> 00:11:48,190 その本 面白そうじゃんけ! 127 00:11:48,190 --> 00:11:52,060 ええ。 すごく面白いわよ。 128 00:11:52,060 --> 00:11:55,530 おらも読みてえ。 ちょっこし 読ましてくれちゃあ。 129 00:11:55,530 --> 00:11:57,830 ええ。 130 00:11:59,401 --> 00:12:02,404 てっ! 英語じゃん! 131 00:12:02,404 --> 00:12:07,876 全部 英語じゃんけ! 花子は これ 全部 読めるだけ? 132 00:12:07,876 --> 00:12:10,545 ええ 読めるわ。 133 00:12:10,545 --> 00:12:13,448 あなたが 修和女学校にいる時➡ 134 00:12:13,448 --> 00:12:16,418 こぴっと頑張って 英語を勉強してくれたおかげで➡ 135 00:12:16,418 --> 00:12:19,888 私 今 翻訳の仕事をしているの。➡ 136 00:12:19,888 --> 00:12:24,226 村岡花子という名前で。 137 00:12:24,226 --> 00:12:27,129 村岡花子…。 138 00:12:27,129 --> 00:12:32,034 おらも頑張ったけんど 花子も頑張ったじゃん! 139 00:12:32,034 --> 00:12:35,170 ありがとごいす。 140 00:12:35,170 --> 00:12:39,041 この本 どんな話か 教えてくれちゃあ! 141 00:12:39,041 --> 00:12:42,341 ええ。 142 00:12:44,179 --> 00:12:49,518 物語の舞台は カナダのプリンス・エドワード島。 143 00:12:49,518 --> 00:12:55,190 主人公は赤毛で そばかすだらけの 女の子 アン・シャーリー。 144 00:12:55,190 --> 00:13:00,062 生まれて間もなく両親を亡くして 孤児院へ預けられたアンは➡ 145 00:13:00,062 --> 00:13:02,064 ふとした間違いで➡ 146 00:13:02,064 --> 00:13:07,536 男の子を欲しがっていた マシュウとマリラという兄妹のおうちへ➡ 147 00:13:07,536 --> 00:13:09,471 やって来るの。➡ 148 00:13:09,471 --> 00:13:13,875 マシュウは 働き者で無口な おじいさんなんだけれど➡ 149 00:13:13,875 --> 00:13:16,545 アンの事が とっても気に入ってしまって➡ 150 00:13:16,545 --> 00:13:19,214 マリラに こう言われるの。 151 00:13:19,214 --> 00:13:24,886 「マシュウ。 きっと あの子に 魔法でもかけられたんだね。➡ 152 00:13:24,886 --> 00:13:28,557 あんたが あの子を このうちに 置きたがっているって事が➡ 153 00:13:28,557 --> 00:13:31,460 ちゃ~んと 顔に書いてありますよ」。 154 00:13:31,460 --> 00:13:38,166 「そうさな。 あの子は ほんに面白い子どもだよ」って。 155 00:13:38,166 --> 00:13:41,503 てっ。 おじぃやんみてえ。 156 00:13:41,503 --> 00:13:43,839 そうなの。 157 00:13:43,839 --> 00:13:49,177 マシュウは「Well, now…」っていうのが 口癖なんだけど➡ 158 00:13:49,177 --> 00:13:51,113 日本語で訳すと➡ 159 00:13:51,113 --> 00:13:55,050 おじぃやんの口癖だった あの言葉が ぴったりなの。 160 00:13:55,050 --> 00:13:58,854 [ 回想 ] (周造)そうさな。 161 00:13:58,854 --> 00:14:03,191 あなたとアンは 似ているところが たくさん あるの。 162 00:14:03,191 --> 00:14:05,527 アンは 11歳の時に➡ 163 00:14:05,527 --> 00:14:08,430 一人で プリンス・エドワード島に やって来るんだけど…。 164 00:14:08,430 --> 00:14:11,399 おらが 修和女学校に入った時みてえに? 165 00:14:11,399 --> 00:14:17,139 そう。 その日から アンの運命は 大きく変わっていくの。 166 00:14:17,139 --> 00:14:21,543 て~っ。 アンって 本当に おらにそっくりじゃん。 167 00:14:21,543 --> 00:14:25,413 本当に私たちにそっくりなの。 168 00:14:25,413 --> 00:14:29,417 花子! このお話は いつ 本になるでえ? 169 00:14:29,417 --> 00:14:34,823 それは… 分からないの。 170 00:14:34,823 --> 00:14:37,726 本に出来るかどうかも 分からないわ。 171 00:14:37,726 --> 00:14:43,165 ほれなのに 花子は どうして翻訳なんしてるでえ? 172 00:14:43,165 --> 00:14:48,036 それはね 私の中にアンが住み着いていて➡ 173 00:14:48,036 --> 00:14:51,506 絶えず 私を励ましてくれるから。➡ 174 00:14:51,506 --> 00:14:54,843 先の見えない不安な時でも➡ 175 00:14:54,843 --> 00:14:58,713 アンは 決して希望を見失わずに こう言うの。 176 00:14:58,713 --> 00:15:05,187 「曲がり角を曲がった先に 何があるかは分からないの。➡ 177 00:15:05,187 --> 00:15:11,526 でも きっと 一番よいものに 違いないと思うの」って。 178 00:15:11,526 --> 00:15:15,226 曲がり角の先…。 179 00:15:20,535 --> 00:15:26,235 ごきげんよう。 さようなら。 180 00:15:33,782 --> 00:15:38,186 ごきげんよう。 さようなら。 181 00:15:38,186 --> 00:15:42,357 ごきげんよう。 さようなら。 182 00:15:42,357 --> 00:15:47,028 毎朝の定番となった このセリフ。 183 00:15:47,028 --> 00:15:48,964 美輪明宏の ナレーションは➡ 184 00:15:48,964 --> 00:15:51,866 連続テレビ小説「花子とアン」を➡ 185 00:15:51,866 --> 00:15:58,540 時に切なく 時に温かく 締めくくってきた。