1 00:00:02,202 --> 00:00:05,973 (北澤)花子さんは 英語の発音が 実にきれいですね。 2 00:00:05,973 --> 00:00:09,443 (はな)てっ! 花子さん? 3 00:00:09,443 --> 00:00:14,147 てっ… 花子…。 4 00:00:17,117 --> 00:00:20,454 どうかなさいましたか? 花子さん。 5 00:00:20,454 --> 00:00:25,158 あっ いえ… 何でもございません。 6 00:00:27,794 --> 00:00:33,467 生まれて初めて はなを 花子と呼んでくれる人が現れ➡ 7 00:00:33,467 --> 00:00:37,170 はなは 恋に落ちてしまったようです。 8 00:00:39,139 --> 00:00:41,808 ♬「これから はじまる」 9 00:00:41,808 --> 00:00:45,145 ♬「あなたの 物語」 10 00:00:45,145 --> 00:00:49,483 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 11 00:00:49,483 --> 00:00:54,154 ♬「虹色の雨 降り注げば」 12 00:00:54,154 --> 00:00:59,826 ♬「空は 高鳴る」 13 00:00:59,826 --> 00:01:04,665 ♬「眩しい笑顔の奥に」 14 00:01:04,665 --> 00:01:10,437 ♬「悲しい音がする」 15 00:01:10,437 --> 00:01:15,776 ♬「寄りそって 今があって」 16 00:01:15,776 --> 00:01:23,116 ♬「こんなにも 愛おしい」 17 00:01:23,116 --> 00:01:27,788 ♬「手を繋げば 温かいこと」 18 00:01:27,788 --> 00:01:33,660 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 19 00:01:33,660 --> 00:01:38,799 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 20 00:01:38,799 --> 00:01:43,503 ♬「道は 続くよ」 21 00:01:51,378 --> 00:01:54,348 (3人)1 2の 3! 22 00:01:54,348 --> 00:01:56,817 (松平) 醍醐さんが 一番多いですわね! 23 00:01:56,817 --> 00:01:59,152 (醍醐)皆さんだって。 24 00:01:59,152 --> 00:02:03,457 あら。 はなさんは 一通も頂かなかったの? 25 00:02:04,958 --> 00:02:10,764 ついに 奥手のはなさんにも ときめく男性が現れたようね。 26 00:02:10,764 --> 00:02:13,667 えっ? 北澤様でしょ? 27 00:02:13,667 --> 00:02:17,104 ち… 違います! 28 00:02:17,104 --> 00:02:19,439 (畠山)隠しても駄目ですわ。 29 00:02:19,439 --> 00:02:23,110 はなさんも 早く 北澤様から 付け文が来るといいわね。 30 00:02:23,110 --> 00:02:27,781 では 失礼して 私たち 読ませて頂くわ。 31 00:02:27,781 --> 00:02:39,793 ♬~ 32 00:02:47,134 --> 00:02:51,138 ブラックバーン校長! それだけは…。 (3人)あ~! 33 00:02:54,808 --> 00:02:58,478 (英語) 34 00:02:58,478 --> 00:03:02,182 「反省文 100回」って…。 35 00:03:06,086 --> 00:03:09,423 (松平)全部 燃やすなんて…。 36 00:03:09,423 --> 00:03:16,096 あの中に 私の王子様が いたかもしれないのに…。 37 00:03:16,096 --> 00:03:18,432 こうなったら➡ 38 00:03:18,432 --> 00:03:21,101 次は 絶対 ブラックバーン校長に 見つからないように➡ 39 00:03:21,101 --> 00:03:23,770 うまくやりましょう! 醍醐さん…。 40 00:03:23,770 --> 00:03:29,109 門限の5時までに 全部開封して 外で読んでから帰りましょう。 41 00:03:29,109 --> 00:03:31,044 付け文には➡ 42 00:03:31,044 --> 00:03:35,749 将来の結婚と 女の幸せが 懸かってるんですもの! 43 00:03:43,123 --> 00:03:46,026 (畠山)それ ミニーちゃんに? 44 00:03:46,026 --> 00:03:50,464 はなさんは 本当に 子どもが好きなのね。 45 00:03:50,464 --> 00:03:53,800 泣いてるミニーちゃんを見ていたら➡ 46 00:03:53,800 --> 00:03:57,504 うちの一番小さい妹の事を 思い出して。 47 00:03:59,139 --> 00:04:03,009 毎日 私がおんぶして 学校に行ってたんです。 48 00:04:03,009 --> 00:04:05,745 妹さんをおんぶして学校へ? 49 00:04:05,745 --> 00:04:09,082 ここには そういう生徒は いないけれど➡ 50 00:04:09,082 --> 00:04:11,751 私が行ってた尋常小学校では➡ 51 00:04:11,751 --> 00:04:16,423 女の子は 子守をしながら 授業を受けていました。 52 00:04:16,423 --> 00:04:20,293 はなさん。 53 00:04:20,293 --> 00:04:23,296 余計な事かもしれないけど➡ 54 00:04:23,296 --> 00:04:27,434 北澤様と お近づきになりたかったら➡ 55 00:04:27,434 --> 00:04:31,772 あなたが給費生だという事は 黙っておいた方がよくってよ。 56 00:04:31,772 --> 00:04:36,643 あの方のおうちは 金沢の由緒ある お家柄で➡ 57 00:04:36,643 --> 00:04:41,781 お父様は 地元で一番の名士なんですって。 58 00:04:41,781 --> 00:04:48,455 家柄もよくて 帝大生で 背も高くて…。 59 00:04:48,455 --> 00:04:53,126 私 はなさんに好きな方ができて すごく うれしいの。 60 00:04:53,126 --> 00:04:55,462 是非 あの方と うまくいってほしいのよ。➡ 61 00:04:55,462 --> 00:04:58,165 だから…。 醍醐さん。 62 00:05:00,066 --> 00:05:03,403 ありがとう。 63 00:05:03,403 --> 00:05:07,741 でも私… そんな嘘をついてまで➡ 64 00:05:07,741 --> 00:05:11,745 帝大生と お近づきになんて なりたくありません。 65 00:05:14,080 --> 00:05:20,086 その時は 心から そう思う はなでしたが…。 66 00:05:21,755 --> 00:05:34,768 ♬~(賛美歌) 67 00:05:34,768 --> 00:05:39,439 次の日曜日 あの方と目が合うと➡ 68 00:05:39,439 --> 00:05:45,779 やっぱり どうしても ドキドキ ときめいてしまうのでした。 69 00:05:45,779 --> 00:05:50,650 ♬~ 70 00:05:50,650 --> 00:05:54,788 来週 孤児院の子どもたちのために クリスマス会を開き➡ 71 00:05:54,788 --> 00:05:58,124 何か面白い余興を やろうと思うんです。 72 00:05:58,124 --> 00:06:01,995 (岩田)そこで 修和女学校の 麗しいお嬢様たちにも➡ 73 00:06:01,995 --> 00:06:06,933 お手伝いをお願いしたいのです。 ええ。 喜んで お力になりますわ。 74 00:06:06,933 --> 00:06:11,404 何をやるんですか? それが まだ 決まっていなくて。 75 00:06:11,404 --> 00:06:15,742 皆さんの得意なものを 教えて頂けませんか? 76 00:06:15,742 --> 00:06:21,081 私は お琴を少々。 私は 踊りを。 77 00:06:21,081 --> 00:06:24,751 あの… 紙芝居は どうでしょう? 78 00:06:24,751 --> 00:06:27,420 紙と絵の具があれば できますし➡ 79 00:06:27,420 --> 00:06:30,757 子どもたち きっと喜んでくれると思うんです。 80 00:06:30,757 --> 00:06:33,660 例えば どんな? 81 00:06:33,660 --> 00:06:38,632 「親指姫」は? アンデルセンの「親指姫」ですか。 82 00:06:38,632 --> 00:06:41,101 はい。 いいですね。 83 00:06:41,101 --> 00:06:44,004 あっ 皆さん いかがですか? 84 00:06:44,004 --> 00:06:46,973 いいんじゃないでしょうか。 いいんじゃないでしょうか。 85 00:06:46,973 --> 00:07:09,062 ♬~ 86 00:07:09,062 --> 00:07:12,732 花子さん。 はい。 87 00:07:12,732 --> 00:07:15,068 「親指姫」は いつ 読まれたんですか? 88 00:07:15,068 --> 00:07:20,740 父が 一番最初に 買ってきてくれた絵本なんです。 89 00:07:20,740 --> 00:07:25,078  回想 (吉平)これじゃ~! てっ! 本じゃん! 90 00:07:25,078 --> 00:07:29,749 おら 初めて本に触った。 夢みてえじゃん! 91 00:07:29,749 --> 00:07:35,088 そうですか。 いいお父様ですね。 92 00:07:35,088 --> 00:07:39,793 お父様は どんな お仕事を していらっしゃるんですか? 93 00:07:41,428 --> 00:07:46,766 父は… あちこち飛び回って 商いをしております。 94 00:07:46,766 --> 00:07:49,436 海外にも よく いらっしゃるんですか? 95 00:07:49,436 --> 00:07:51,371 海外? 96 00:07:51,371 --> 00:07:55,775 (北澤)花子さんの英語の発音は お父様仕込みかと。 97 00:07:55,775 --> 00:07:58,678 あ…。 98 00:07:58,678 --> 00:08:03,049 英語は 最初だけ 父に教わりました。 99 00:08:03,049 --> 00:08:04,985  回想 グッド アフタヌーン。 100 00:08:04,985 --> 00:08:07,921 (北澤)やっぱり そうか。 101 00:08:07,921 --> 00:08:14,060 花子さんのお父様は 貿易会社を 経営なさってるんですね。 102 00:08:14,060 --> 00:08:18,732 ええ…。 そうです。 103 00:08:18,732 --> 00:08:32,078 ♬~ 104 00:08:32,078 --> 00:08:35,415 そのころ おとうは おとうで➡ 105 00:08:35,415 --> 00:08:40,086 家族の知らない 秘密の仕事をしておりました。 106 00:08:40,086 --> 00:08:42,422 (吉平)はい どうぞ! 107 00:08:42,422 --> 00:08:46,292 日露戦争が終わって 国は 軍隊ばかりに金を使っている。 108 00:08:46,292 --> 00:08:48,762 そのために 税金を どんどん上げて➡ 109 00:08:48,762 --> 00:08:51,664 俺たちの生活は ますます苦しくなるばっかりだ! 110 00:08:51,664 --> 00:08:54,434 こんな事でいいのか! いいはずがない! 111 00:08:54,434 --> 00:08:59,773 皆さん こんな世の中を変えるのは 社会主義なる思想です。 112 00:08:59,773 --> 00:09:04,611 まずは ここにある本を読んで 勉強してみませんか?➡ 113 00:09:04,611 --> 00:09:06,579 お願いします! (山田)ちょっと おめえ! 114 00:09:06,579 --> 00:09:09,582 どっか 行ってくんねえか。 115 00:09:09,582 --> 00:09:12,719 おめえがいると こっちの客まで逃げて➡ 116 00:09:12,719 --> 00:09:14,654 商売 上がったりだよ! 117 00:09:14,654 --> 00:09:20,593 ほれ! これ やるから! 早く どっか行ってくれ。 118 00:09:20,593 --> 00:09:23,363 ほれじゃあ 代わりに これ読んでみてくれちゃあ。 119 00:09:23,363 --> 00:09:27,067 おら 要らねえよ! 字ぃ読めんでも分かるだよ。 120 00:09:29,068 --> 00:09:31,738 (拍手) 121 00:09:31,738 --> 00:09:37,444 そして いよいよ クリスマスの日がやって来ました。 122 00:09:40,747 --> 00:09:45,085 「昔々 ある所に➡ 123 00:09:45,085 --> 00:09:49,956 子どものいない女の人が 1人で住んでいました。➡ 124 00:09:49,956 --> 00:09:53,760 女の人は 魔法使いに頼みました」。 125 00:09:53,760 --> 00:09:55,695 「お願いがあります。➡ 126 00:09:55,695 --> 00:09:59,632 小さくてもいいから かわいい女の子が欲しいのです」。 127 00:09:59,632 --> 00:10:04,404 「魔法使いは 花の種をくれました。➡ 128 00:10:04,404 --> 00:10:09,109 女の人が その種をまくと…➡ 129 00:10:09,109 --> 00:10:13,980 チューリップの花が咲き そのつぼみから なんと➡ 130 00:10:13,980 --> 00:10:19,385 親指ほどの小さな女の子が 生まれました」。 131 00:10:19,385 --> 00:10:24,390 「初めまして。 私 親指姫です」。 132 00:10:26,259 --> 00:10:31,965 「ガアガアガア 僕は ヒキガエルだ」。 133 00:10:31,965 --> 00:10:33,967 (拍手) 134 00:10:37,737 --> 00:10:41,074 みんな 目を開けて。 こっち おいで。 135 00:10:41,074 --> 00:10:46,746 (歓声) はい メリークリスマス。ありがとう! 136 00:10:46,746 --> 00:10:49,415 ありがとう! 137 00:10:49,415 --> 00:10:51,751 はい メリークリスマス。 ありがとう! 138 00:10:51,751 --> 00:10:54,420 大成功でしたね。 ええ。 139 00:10:54,420 --> 00:10:57,757 では 私たちも これで。 ごきげんよう。 140 00:10:57,757 --> 00:11:00,059 あっ 醍醐さん。 141 00:11:02,028 --> 00:11:06,699 携帯電話やメールがない頃 男性は こんなふうに➡ 142 00:11:06,699 --> 00:11:13,039 お目当ての女性のたもとに 付け文を投げ入れたのです。 143 00:11:13,039 --> 00:11:17,911 よいクリスマスになりましたね。 楽しかったですわね。 144 00:11:29,255 --> 00:11:33,126 あの子に 英語で 紙芝居をやってあげたいんです。 145 00:11:33,126 --> 00:11:35,995 私も 同じ事 考えてました。 146 00:11:35,995 --> 00:11:40,133 花子さん。 親指姫をやって頂けませんか。 147 00:11:40,133 --> 00:11:42,135 ええ。 148 00:12:08,094 --> 00:12:10,029 えっ? 149 00:12:10,029 --> 00:12:12,732 えっ? 150 00:12:36,456 --> 00:12:49,969 ♬~ 151 00:12:49,969 --> 00:12:53,973 彼女たち 何をしてるんですか? 152 00:12:53,973 --> 00:12:57,110 付け文を寄宿舎に持って帰ると➡ 153 00:12:57,110 --> 00:12:59,712 校長先生に 燃やされてしまうんです。 154 00:12:59,712 --> 00:13:03,383 えっ そうなんですか? 155 00:13:03,383 --> 00:13:06,386 あっ 先生。 156 00:13:13,626 --> 00:13:17,297 (茂木) あなたたち 何をしてるんですか。 157 00:13:17,297 --> 00:13:21,968 早く お入りなさい。 (3人)はい。 158 00:13:21,968 --> 00:13:26,639 はあ… びっくりした。 159 00:13:26,639 --> 00:13:30,343 こんなところを見つかったら 大変でしたね。 160 00:13:42,488 --> 00:13:48,361 僕は 正月は金沢に帰ります。 しばらく お会いできませんね。 161 00:13:48,361 --> 00:13:52,165 ええ…。 162 00:13:52,165 --> 00:13:56,035 今日は 本当に楽しかった。 ええ。 私も。 163 00:13:56,035 --> 00:13:59,338 今度は 新年会をやりましょう。 164 00:14:01,441 --> 00:14:07,447 はなは 嘘をついているのが 急に つらくなりました。 165 00:14:11,017 --> 00:14:15,021 北澤さん。 はい。 166 00:14:16,889 --> 00:14:20,693 実は…➡ 167 00:14:20,693 --> 00:14:27,033 私 給費生…。 (鐘の音) 168 00:14:27,033 --> 00:14:31,704 すいません 今 何時ですか? 169 00:14:31,704 --> 00:14:34,374 5時1分過ぎたところですが…。 170 00:14:34,374 --> 00:14:37,043 てっ! 大変だ 門限破っちまった! 171 00:14:37,043 --> 00:14:39,712 えっ? 北澤さん また。 172 00:14:39,712 --> 00:14:42,615 ごきげんよう。 さようなら。 173 00:14:42,615 --> 00:14:49,055 はなの初恋 この分では 先が思いやられますね。 174 00:14:49,055 --> 00:14:53,059 ごきげんよう。 さようなら。