1 00:00:02,202 --> 00:00:05,138 製糸工場から逃げてきた かよのおかげで➡ 2 00:00:05,138 --> 00:00:07,608 はなは 思いがけず➡ 3 00:00:07,608 --> 00:00:11,478 親子水入らずで 一夜を過ごす事になりました。 4 00:00:11,478 --> 00:00:15,482 (ふじ)毎晩 こんなに遅くまで 勉強してるだけ。 5 00:00:15,482 --> 00:00:17,618 偉えじゃんね。 6 00:00:17,618 --> 00:00:21,955 (はな)あ… 明るくて眠れねえけ? 7 00:00:21,955 --> 00:00:25,626 おとうが言ってたとおりだ。 えっ? 8 00:00:25,626 --> 00:00:32,966 おまんは 家族の希望の光じゃって おとう いつも言ってたじゃんね。 9 00:00:32,966 --> 00:00:36,303 あっ たまに葉書が…。 10 00:00:36,303 --> 00:00:41,642 名前は 書いちゃいんけど 字は おとうの字だ。 11 00:00:41,642 --> 00:00:44,311 生きてただけ! 12 00:00:44,311 --> 00:00:46,980 何て書えてあるでえ。 13 00:00:46,980 --> 00:00:49,883 (かよ)「はな グッド モーニング。➡ 14 00:00:49,883 --> 00:00:54,855 勉強頑張れし。 こぴっと精進するだよ」。 15 00:00:54,855 --> 00:00:58,325 勉強の事ばっかじゃん! 16 00:00:58,325 --> 00:01:03,163 やっぱし お姉やんは おとうに似ただね。 17 00:01:03,163 --> 00:01:05,599 ほういう かよだって➡ 18 00:01:05,599 --> 00:01:09,269 製糸工場逃げ出して 東京まで逃げちもうなんて➡ 19 00:01:09,269 --> 00:01:11,204 そんな無鉄砲なの おとうに そっくりじゃんけ。 20 00:01:11,204 --> 00:01:14,207 ほうか。 21 00:01:15,943 --> 00:01:22,282 はなも かよも おとうの娘だね…。 22 00:01:22,282 --> 00:01:29,156 甲府に連れて帰ろうなんて 無理な話じゃん。 23 00:01:29,156 --> 00:01:33,894 おまんらも おとうみてえに➡ 24 00:01:33,894 --> 00:01:39,633 甲府にいちゃあ見られんもんを いっぺえ見て➡ 25 00:01:39,633 --> 00:01:43,971 いつか おらに話してくりょう。 26 00:01:43,971 --> 00:01:48,642 おかあ…。 おかあ…。 27 00:01:48,642 --> 00:01:52,312 はな。 28 00:01:52,312 --> 00:01:59,653 かよの事 頼むね。 あとは おまんに任せたじゃん。 29 00:01:59,653 --> 00:02:02,923 おかあ… いいだけ? 30 00:02:02,923 --> 00:02:07,594 いいさ。 好きにしろし。 31 00:02:07,594 --> 00:02:13,467 ふんだから はなも帰ってこなんでいい。➡ 32 00:02:13,467 --> 00:02:16,937 東京で頑張れし! 33 00:02:16,937 --> 00:02:19,606 分かった。 34 00:02:19,606 --> 00:02:22,275 ♬「これから はじまる」 35 00:02:22,275 --> 00:02:25,178 ♬「あなたの 物語」 36 00:02:25,178 --> 00:02:29,950 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 37 00:02:29,950 --> 00:02:34,287 ♬「虹色の雨 降り注げば」 38 00:02:34,287 --> 00:02:39,960 ♬「空は 高鳴る」 39 00:02:39,960 --> 00:02:45,298 ♬「眩しい笑顔の奥に」 40 00:02:45,298 --> 00:02:50,170 ♬「悲しい音がする」 41 00:02:50,170 --> 00:02:55,642 ♬「寄りそって 今があって」 42 00:02:55,642 --> 00:03:03,450 ♬「こんなにも 愛おしい」 43 00:03:03,450 --> 00:03:08,221 ♬「手を繋げば 温かいこと」 44 00:03:08,221 --> 00:03:14,127 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 45 00:03:14,127 --> 00:03:18,865 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 46 00:03:18,865 --> 00:03:23,870 ♬「道は 続くよ」 47 00:03:46,626 --> 00:03:49,296 (茂木) はなさんが ここに来た頃は➡ 48 00:03:49,296 --> 00:03:52,966 英語で話しかけられるのを 怖がって➡ 49 00:03:52,966 --> 00:03:57,637 西洋人の先生たちから 逃げ回ってたんですよ。 50 00:03:57,637 --> 00:04:03,910 それが ある時から 猛勉強を始めて。 51 00:04:03,910 --> 00:04:09,249 私も 大勢の生徒を見てきましたが➡ 52 00:04:09,249 --> 00:04:16,123 修和女学校で はなさんは 一番の頑張り屋さんです。 53 00:04:16,123 --> 00:04:19,593 ⚟はな先生! 質問が! 54 00:04:19,593 --> 00:04:25,465 タカノさん 何度言ったら分かるの? はなではなく 花子先生でしょう。 55 00:04:25,465 --> 00:04:29,769 (笑い声) (一同)また言ってる! 56 00:04:32,172 --> 00:04:34,141 花子先生。 57 00:04:34,141 --> 00:04:37,944 ふじには 自分の娘とは思えないほど➡ 58 00:04:37,944 --> 00:04:42,816 はなが 立派に輝いて見えました。 59 00:04:42,816 --> 00:05:03,570 ♬~ 60 00:05:03,570 --> 00:05:10,243 I say my prayers. (生徒たち)I say my prayers. 61 00:05:10,243 --> 00:05:14,114 I go downstairs. 62 00:05:14,114 --> 00:05:32,265 ♬~ 63 00:05:32,265 --> 00:05:37,938 ふじは 本当の胸の内を はなには言わず➡ 64 00:05:37,938 --> 00:05:43,610 一人 甲府へ帰っていきました。 65 00:05:43,610 --> 00:05:51,318 (朝市)ほうけ…。 はなは 東京で働くだけ。 66 00:05:55,956 --> 00:06:01,962 (もも)おかあ 本当にいいだけ? 67 00:06:03,563 --> 00:06:06,566 ああ…。 68 00:06:18,912 --> 00:06:24,918 おかあの気持ち お姉やんは 分かっちゃいん。 69 00:06:27,921 --> 00:06:32,592 茂木先生のご厚意で かよは とりあえず➡ 70 00:06:32,592 --> 00:06:37,264 学校のお仕事を 手伝う事になりました。 71 00:06:37,264 --> 00:06:41,134 おはようごいす。 (生徒たち)ごきげんよう。 72 00:06:41,134 --> 00:06:43,603 おはようごいす。 73 00:06:43,603 --> 00:06:46,906 (梶原)向学館の梶原と申しますが。 74 00:06:51,945 --> 00:06:55,615 (富山) ご用件をおっしゃって下さい。 75 00:06:55,615 --> 00:06:58,518 富山先生ですか。 76 00:06:58,518 --> 00:07:01,888 どうぞ ご用件をおっしゃって下さい。 77 00:07:01,888 --> 00:07:08,561 はい。 安東はなさんの事で。 78 00:07:08,561 --> 00:07:11,231 (畠山)はなさん よかったわね。 79 00:07:11,231 --> 00:07:14,901 面接して下さるなんて 脈があるわよ その出版社。 80 00:07:14,901 --> 00:07:16,836 (醍醐)はなさんなら きっと選んで頂けるわ。 81 00:07:16,836 --> 00:07:19,139 ありがとう。 82 00:07:26,913 --> 00:07:29,582 かよ! 83 00:07:29,582 --> 00:07:33,920 また スコット先生に クッキー ごちそうになりに来たの? 84 00:07:33,920 --> 00:07:36,623 サンキューです。 85 00:07:38,258 --> 00:07:40,593 うめえ! 86 00:07:40,593 --> 00:07:43,263 安東さん。 お手紙ですよ。 87 00:07:43,263 --> 00:07:46,933 あっ ありがとうございます。 88 00:07:46,933 --> 00:07:52,605 (ふじ)「はな あと2か月で卒業ですね。➡ 89 00:07:52,605 --> 00:07:57,911 はなの帰りを 楽しみに待っています」。 90 00:08:00,213 --> 00:08:03,883 (もも)「この葉書 おかあは出さなかったけんど➡ 91 00:08:03,883 --> 00:08:07,887 おらが代わりに送ります。 もも」。 92 00:08:10,757 --> 00:08:15,228 おらも お姉やんに言おうか どうしっか➡ 93 00:08:15,228 --> 00:08:18,565 ずっと迷ってただよ。 えっ? 94 00:08:18,565 --> 00:08:23,236 おかあ お姉やんが 帰ってくるもんだと思い込んでた。 95 00:08:23,236 --> 00:08:28,108 ほれでも おらは 東京にいてもらいてえ。 96 00:08:28,108 --> 00:08:32,912 そうよ! はなさんは 東京で夢を追いかけるべきよ。 97 00:08:32,912 --> 00:08:38,618 せっかく ここまで来たんだから 面接頑張って。 98 00:08:44,524 --> 00:08:49,529 ありがとう。 頑張るわ。 99 00:08:55,602 --> 00:09:01,207 君は この会社に入ったら どんな本を作りたいの? 100 00:09:01,207 --> 00:09:06,546 それは…➡ 101 00:09:06,546 --> 00:09:10,216 大人からも子どもからも 愛されて➡ 102 00:09:10,216 --> 00:09:13,887 読んだ人が 思いっきり 想像の翼を広げられるような➡ 103 00:09:13,887 --> 00:09:17,757 そんな すてきな物語の本を 作りたいんです。 104 00:09:17,757 --> 00:09:22,896 親御さんは あなたが働く事に賛成ですか? 105 00:09:22,896 --> 00:09:26,232 …はい。 106 00:09:26,232 --> 00:09:32,939 安東はなさん 卒業したら この編集部で働いて下さい。 107 00:09:35,909 --> 00:09:39,579 おめでとう。 君はついてたね。 108 00:09:39,579 --> 00:09:43,249 これからは 女性の意見を 積極的に取り入れるべきだと➡ 109 00:09:43,249 --> 00:09:48,121 僕が提案して 編集部に 女性社員を入れる事になったんだ。 110 00:09:48,121 --> 00:09:51,124 安東君なら ぴったりだと思うよ。 111 00:09:51,124 --> 00:09:54,260 親御さんも お喜びになるでしょう。 112 00:09:54,260 --> 00:09:59,132 おうちは 山梨の甲府ですか。 ええ。 113 00:09:59,132 --> 00:10:01,935 どんな所なの? 114 00:10:01,935 --> 00:10:05,805 ブドウ畑と田んぼしかない所ですが➡ 115 00:10:05,805 --> 00:10:08,274 うちの庭からは 富士山が見えます。 116 00:10:08,274 --> 00:10:11,611 へえ~ 富士山が。 117 00:10:11,611 --> 00:10:15,281 盆地なので 冬は寒くて 空っ風が冷たくて➡ 118 00:10:15,281 --> 00:10:18,952 母の手は いつも あかぎれだらけです。 119 00:10:18,952 --> 00:10:23,623 母は いつも 私たちの心配ばっかりしてます。 120 00:10:23,623 --> 00:10:28,495 「風邪ひいてねえか。 腹すかしてねえか。➡ 121 00:10:28,495 --> 00:10:31,965 こぴっと やってるか」って。 122 00:10:31,965 --> 00:10:34,634 母は 字の読み書きが できなかったのに➡ 123 00:10:34,634 --> 00:10:38,972 私の知らない間に 一生懸命 字を練習して➡ 124 00:10:38,972 --> 00:10:43,843 私に 初めて 葉書を書いてくれました。 125 00:10:43,843 --> 00:10:50,149 (ふじ)「はなの帰りを 楽しみに待っています」。 126 00:11:00,593 --> 00:11:04,898 安東君 どうかしましたか? 127 00:11:09,602 --> 00:11:12,939 ごめんなさい。 128 00:11:12,939 --> 00:11:15,842 嘘なんです。 129 00:11:15,842 --> 00:11:19,145 嘘? 130 00:11:22,282 --> 00:11:27,954 両親が賛成してくれてるなんて 嘘なんです。 131 00:11:27,954 --> 00:11:31,824 母は ずっと 私の帰りを待ってます。 132 00:11:31,824 --> 00:11:36,629 この10年間 ずっと待っててくれたんです。 133 00:11:36,629 --> 00:11:43,303 なのに おかあの気持ち 全然分かってなくて…。 134 00:11:43,303 --> 00:11:46,206 ううん ほうじゃねえら。 135 00:11:46,206 --> 00:11:50,977 本当は 心のどっかで 分かってたはずなのに➡ 136 00:11:50,977 --> 00:11:55,281 自分の都合のいいように 気付かんふりしてただけずら。 137 00:12:04,257 --> 00:12:07,160 ごめんなさい! 138 00:12:07,160 --> 00:12:12,131 私 やっぱり ここで働けません。 甲府に帰ります。 139 00:12:12,131 --> 00:12:16,269 何だって? 君。 140 00:12:16,269 --> 00:12:20,273 本当に申し訳ありません! 141 00:12:28,848 --> 00:12:32,285 はなは どうするつもりでしょう? 142 00:12:32,285 --> 00:12:38,291 甲府に帰ったところで 仕事の当てもないのに。 143 00:12:42,929 --> 00:12:48,635 (英治)安東はなさん。 144 00:12:48,635 --> 00:12:52,939 あ… 村岡印刷さん。 145 00:12:54,507 --> 00:12:56,976 どうしたんですか? 146 00:12:56,976 --> 00:13:02,248 まるで 木から落ちた ナマケモノみたいな顔してますよ。 147 00:13:02,248 --> 00:13:08,588 落ちたんです。 えっ? 148 00:13:08,588 --> 00:13:13,593 今日 面接をして頂いたんですけど…。 149 00:13:15,928 --> 00:13:22,268 はあ… そうでしたか。 150 00:13:22,268 --> 00:13:26,939 それは お気の毒でしたね。 151 00:13:26,939 --> 00:13:32,812 あっ いつぞやは 英英辞典 ありがとうございました。 152 00:13:32,812 --> 00:13:35,615 あの辞書を持って 甲府に帰ります。 153 00:13:35,615 --> 00:13:40,920 えっ… 甲府に 帰ってしまわれるんですか? 154 00:13:42,488 --> 00:13:45,491 じゃあ。 155 00:13:49,629 --> 00:13:53,299 ナマケモノは…➡ 156 00:13:53,299 --> 00:13:59,172 木にぶら下がりながら 夢をみてるんだと思います。 157 00:13:59,172 --> 00:14:03,109 はっ? 158 00:14:03,109 --> 00:14:09,816 だから あなたも夢を忘れないで下さい。 159 00:14:14,921 --> 00:14:19,792 つくづく とんちんかんな人だと はなは思いました。 160 00:14:19,792 --> 00:14:29,802 でも どういう訳か 少しだけ はなの心は 明るくなりました。 161 00:14:36,609 --> 00:14:42,915 ごきげんよう。 さようなら。 162 00:14:48,621 --> 00:14:52,925 ごきげんよう。 さようなら。