1 00:00:02,202 --> 00:00:05,138 (はな)よし。 こぴっと売り込むだ。 2 00:00:05,138 --> 00:00:07,941 はなは 書き上げた新作を➡ 3 00:00:07,941 --> 00:00:13,614 かつて働いた事のある出版社に 持ち込む事にしました。 4 00:00:13,614 --> 00:00:17,284 (梶原)あれ? 安東君じゃない? 5 00:00:17,284 --> 00:00:20,954 梶原さん! ごきげんよう。 どうしたの? 6 00:00:20,954 --> 00:00:24,825 あっ あの 新しい物語を 書いたので 読んで頂けたら…。 7 00:00:24,825 --> 00:00:26,827 さっきの書類なんだけどな まとめて 机の上に置いといて。 8 00:00:26,827 --> 00:00:29,630 分かりました。 9 00:00:29,630 --> 00:00:32,299 お忙しいですか? これから 打ち合わせなんだ。 10 00:00:32,299 --> 00:00:35,002 とにかく 中に入ってて。 11 00:00:40,173 --> 00:00:43,310 (宇田川)ちょっと邪魔。 どいて。 12 00:00:43,310 --> 00:00:46,647 あっ すいません。 てっ! 13 00:00:46,647 --> 00:00:49,983 (梶原)宇田川先生 お待ちしてました。 こちらへ。 14 00:00:49,983 --> 00:00:53,687 (須藤)宇田川先生 さあ どうぞ こちらへ。 15 00:00:55,322 --> 00:01:01,028 どうした はな。 こぴっと 売り込むんじゃなかったの? 16 00:01:02,930 --> 00:01:05,265 ♬「これから はじまる」 17 00:01:05,265 --> 00:01:08,168 ♬「あなたの 物語」 18 00:01:08,168 --> 00:01:12,940 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 19 00:01:12,940 --> 00:01:17,611 ♬「虹色の雨 降り注げば」 20 00:01:17,611 --> 00:01:22,950 ♬「空は 高鳴る」 21 00:01:22,950 --> 00:01:28,288 ♬「眩しい笑顔の奥に」 22 00:01:28,288 --> 00:01:33,160 ♬「悲しい音がする」 23 00:01:33,160 --> 00:01:38,632 ♬「寄りそって 今があって」 24 00:01:38,632 --> 00:01:46,506 ♬「こんなにも 愛おしい」 25 00:01:46,506 --> 00:01:51,211 ♬「手を繋げば 温かいこと」 26 00:01:51,211 --> 00:01:57,317 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 27 00:01:57,317 --> 00:02:01,922 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 28 00:02:01,922 --> 00:02:06,927 ♬「道は 続くよ」 29 00:02:16,937 --> 00:02:20,941 いや~ 面白いですね。 30 00:02:22,609 --> 00:02:26,279  回想 (拍手) 31 00:02:26,279 --> 00:02:29,182 売れっ子の小説家に すぐに なってみせます。 32 00:02:29,182 --> 00:02:33,954 はなと一緒に 児童の友賞を 受賞した宇田川満代は➡ 33 00:02:33,954 --> 00:02:38,625 あの言葉どおり 人気作家になっていました。 34 00:02:38,625 --> 00:02:42,963 それに引き換え…。 35 00:02:42,963 --> 00:02:47,834 あら? どっかで見たような 顔だと思ったら➡ 36 00:02:47,834 --> 00:02:49,836 「みみずの女王」の? 37 00:02:49,836 --> 00:02:54,307 (梶原)そうです。 一緒に 児童の友賞を受賞した安東君です。 38 00:02:54,307 --> 00:03:00,013 ちょっと ご挨拶しなさい。 はい。 39 00:03:01,581 --> 00:03:04,484 どうも ご無沙汰しております。 40 00:03:04,484 --> 00:03:07,254 彼女も新作を書いたそうです。 41 00:03:07,254 --> 00:03:11,591 ふ~ん。 あなた もう書くのは やめて➡ 42 00:03:11,591 --> 00:03:13,927 田舎で教師やるとか 言ってなかった? 43 00:03:13,927 --> 00:03:18,265 ええ。 でも…。 44 00:03:18,265 --> 00:03:21,268 ちょっと見せて。 あっ いえ…。 45 00:03:23,937 --> 00:03:26,606 「たんぽぽの目」。 46 00:03:26,606 --> 00:03:31,478 相変わらず ぬるい作文みたいな題ね。 47 00:03:31,478 --> 00:03:37,484 こっちは 命懸けで書いてんのよ。 田舎教師の趣味と違うの。 48 00:03:43,957 --> 00:03:49,663 これでは いつ読んでもらえるか 分かりません。 49 00:03:53,300 --> 00:03:56,203 (醍醐)はなさん お久しぶり。 50 00:03:56,203 --> 00:03:58,972 醍醐さん! 51 00:03:58,972 --> 00:04:01,875 編集長 今日は ずっと打ち合わせだから➡ 52 00:04:01,875 --> 00:04:05,579 明日 出直した方がいいわ。 必ず読ませるから。 53 00:04:05,579 --> 00:04:08,281 うん。 54 00:04:09,916 --> 00:04:15,922 (かよ)どうぞ。 お邪魔します。 55 00:04:19,593 --> 00:04:24,264 ちっくいけど ここが おらのお城。 うん。 56 00:04:24,264 --> 00:04:30,137 洋服店の旦那さんも女将さんも いい人で よかったね。 57 00:04:30,137 --> 00:04:36,610 お姉やん 座ってくりょう。 ありがとう。 58 00:04:36,610 --> 00:04:40,313 へえ~。 59 00:04:43,483 --> 00:04:46,620 かよに話したい事が いっぱいあるさ。 60 00:04:46,620 --> 00:04:50,490 手紙に書ききれんかった事も たくさんあっただよ。 61 00:04:50,490 --> 00:04:53,960 おら いっとう びっくりしたのは ももの事じゃん。 62 00:04:53,960 --> 00:04:57,297 あの子が こんなに早く お嫁に行くとはね。 63 00:04:57,297 --> 00:04:59,633 ほれも 北海道なんて。 64 00:04:59,633 --> 00:05:05,906 おら まだ納得できん事がある。 65 00:05:05,906 --> 00:05:10,777 ももは 朝市の事が好きだったのに…。 66 00:05:10,777 --> 00:05:15,582 もも こぴっと 朝市に気持ちを伝えただよ。 67 00:05:15,582 --> 00:05:18,485 ほれなのに…。 68 00:05:18,485 --> 00:05:24,591 朝市の方から断っただね。 うん…。 69 00:05:24,591 --> 00:05:30,263 ほれで ももは 北海道なんて 遠い所に お嫁に行っただけ。 70 00:05:30,263 --> 00:05:34,601 おら 朝市の事が許せなくて…。 71 00:05:34,601 --> 00:05:39,940 もも 一生分の勇気を振り絞って 朝市に気持ちを伝えただと思う。 72 00:05:39,940 --> 00:05:45,812 ほれを断るなんて 男の風上にも置けねえ。 73 00:05:45,812 --> 00:05:50,283 お姉やん… 何で 朝市が ももの事断ったか➡ 74 00:05:50,283 --> 00:05:52,219 本当に分からんの? 75 00:05:52,219 --> 00:05:58,225 分からんから怒ってるだよ。 もも あんなに いい子なのに。 76 00:05:59,960 --> 00:06:05,232 お姉やんは 誰かを 本気で好きになった事ねえの? 77 00:06:05,232 --> 00:06:07,901 本当に好きになったら➡ 78 00:06:07,901 --> 00:06:11,204 ほかの人と取り替えなんか 利かねえさ。 79 00:06:12,772 --> 00:06:17,477 朝市が本当に好きなのは…。 80 00:06:19,512 --> 00:06:27,520 きっと ほういう 取り替えの利かねえ相手なんだよ。 81 00:06:30,156 --> 00:06:38,865 かよ…。 知らんうちに大人になっただね。 82 00:06:38,865 --> 00:06:45,872 お姉やんは ちっとも変わらんね。 てっ。 ほんな…。 83 00:06:47,574 --> 00:06:53,480 確かに 3人姉妹の中で 恋愛問題に一番疎いのは➡ 84 00:06:53,480 --> 00:06:56,783 はなかもしれません。 85 00:07:05,558 --> 00:07:12,265 (ふじ)静かじゃんね。 (周造)そうさな…。 86 00:07:16,202 --> 00:07:20,907 (リン)やだよ~。 ここんちは お通夜みてえじゃん。 87 00:07:20,907 --> 00:07:23,243 リンさん おいでんなって。 88 00:07:23,243 --> 00:07:26,146 はなちゃん 東京行っただとう? 89 00:07:26,146 --> 00:07:29,115 うん。 自分の書えたもんが 本になるかどうか➡ 90 00:07:29,115 --> 00:07:31,117 見てもらいに行っただよ。 91 00:07:31,117 --> 00:07:36,589 本当に小説家になる気ずらか。 困ったねえ…。 92 00:07:36,589 --> 00:07:39,492 何で おまんが困るでえ? 93 00:07:39,492 --> 00:07:41,461 うちの朝市だけんど➡ 94 00:07:41,461 --> 00:07:43,930 縁談があっても 断ってばっかしだから➡ 95 00:07:43,930 --> 00:07:47,600 おかしいと思って おら こぴっと考えただ。 96 00:07:47,600 --> 00:07:55,308 「ひょっとしたら 心に決めた人がいるずらか」って。 97 00:07:58,244 --> 00:08:02,115 「ほりゃあ はなちゃんじゃねえか」って! 98 00:08:02,115 --> 00:08:06,553 リンさんは おかあのくせに 今っ頃 気が付いただけ。 99 00:08:06,553 --> 00:08:10,423 そうさな。 てっ! やっぱし ほうけ! 100 00:08:10,423 --> 00:08:15,562 何で 2人とも 言ってくれなんだでえ!➡ 101 00:08:15,562 --> 00:08:19,232 やっぱし ほうけ! 102 00:08:19,232 --> 00:08:23,903 勢いで 出版社に持ち込んでみたけんど➡ 103 00:08:23,903 --> 00:08:28,241 宇田川満代さんに会って 圧倒された。 104 00:08:28,241 --> 00:08:33,947 小説一本でやってく人は やっぱり違うさ。 105 00:08:35,582 --> 00:08:39,919 本当に小説家になりてえなら 何だって できるはずじゃん。 106 00:08:39,919 --> 00:08:43,223 お姉やんが本当に本気なら。 107 00:08:45,792 --> 00:08:49,929 かよの言うとおりかもしれねえ。 108 00:08:49,929 --> 00:08:56,803 本当は 自信がないの。 109 00:08:56,803 --> 00:09:01,875 うん。 かよは 何でも自分で決めて➡ 110 00:09:01,875 --> 00:09:05,879 いっつも前に進んで偉いじゃんね。 111 00:09:07,547 --> 00:09:10,450 おやすみ! 112 00:09:10,450 --> 00:09:13,219 おやすみ。 113 00:09:13,219 --> 00:09:39,245 ♬~ 114 00:09:39,245 --> 00:09:42,582 編集長 いらっしゃいました。 115 00:09:42,582 --> 00:09:46,453 その辺に座ってて。 はあ…。 116 00:09:46,453 --> 00:09:55,762 ♬~ 117 00:10:16,950 --> 00:10:21,821 「君は 小説家になるには 普通すぎる」と言ったよね。 118 00:10:21,821 --> 00:10:27,293 はい。 諦めた方がいいと言われました。 119 00:10:27,293 --> 00:10:32,999 君の新作は ひどく普通だ。 120 00:10:36,636 --> 00:10:39,973 平凡すぎる私が 本を出したいなんて➡ 121 00:10:39,973 --> 00:10:44,644 やっぱり無理ですよね。 122 00:10:44,644 --> 00:10:47,981 分かりました。 諦めます。 123 00:10:47,981 --> 00:10:51,651 お時間とらせて 申し訳ありませんでした。 124 00:10:51,651 --> 00:10:53,953 はなさん…。 125 00:10:55,989 --> 00:10:58,892 安東君。 あっ あっ 大丈夫です! 126 00:10:58,892 --> 00:11:01,794 慰めとか そういうのは 一切いりませんから。 127 00:11:01,794 --> 00:11:04,797 これで こぴっと諦めがつきました。 128 00:11:04,797 --> 00:11:08,568 ありがとうございました! ごきげんよう。 さようなら。 129 00:11:08,568 --> 00:11:11,571 話は 最後まで聞きたまえ。 130 00:11:14,474 --> 00:11:20,780 この作品は 何気ない ありふれた日常を切り取ってる。 131 00:11:22,949 --> 00:11:26,286 ささやかな暮らしの断片に 光を当て➡ 132 00:11:26,286 --> 00:11:28,621 奇をてらったところが 少しもない。 133 00:11:28,621 --> 00:11:33,960 そこが 実にいい。 てっ…。 134 00:11:33,960 --> 00:11:40,300 君は 平凡さを逆手に取って すばらしい作品を書き上げた。 135 00:11:40,300 --> 00:11:48,174 洗練された平凡。 それは 直ちに非凡さに通じるものだ。 136 00:11:48,174 --> 00:11:52,879 是非 出版させてくれ。 137 00:11:54,647 --> 00:11:59,319 本にして頂けるんですか? 138 00:11:59,319 --> 00:12:02,322 よろしく。 139 00:12:06,125 --> 00:12:08,928 おめでとう はなさん! 140 00:12:08,928 --> 00:12:14,234 …じゃなかった。 安東花子先生 おめでとう! 141 00:12:16,269 --> 00:12:21,941 はなは ふわふわと どこかへ 飛んでいきそうな気分でした。 142 00:12:21,941 --> 00:12:24,844 ついに 花子の名前で➡ 143 00:12:24,844 --> 00:12:28,548 本が出版されるのです。 144 00:12:30,283 --> 00:12:33,186 そのころ 朝市は…。 145 00:12:33,186 --> 00:12:39,892  回想  (もも)朝市さんも こぴっと伝えんきゃ駄目だよ。 146 00:12:41,894 --> 00:12:44,631 (朝市)よし。 147 00:12:44,631 --> 00:12:48,301 朝市は 決意していました。 148 00:12:48,301 --> 00:12:50,637 はなが東京から帰ってきたら➡ 149 00:12:50,637 --> 00:12:54,507 今度こそ 気持ちを打ち明けようと。 150 00:12:54,507 --> 00:13:00,213 安東はな様。 151 00:13:03,916 --> 00:13:06,919 堅っ苦しいな…。 152 00:13:15,261 --> 00:13:18,164 はな。 153 00:13:18,164 --> 00:13:26,606 おら ずっと はなの事が好きだっただ。 154 00:13:26,606 --> 00:13:30,610 結婚してくりょう。 155 00:13:35,281 --> 00:13:39,952 今度こそ 安東花子の名前で 出して頂けるんですよね。 156 00:13:39,952 --> 00:13:43,289 もちろん! ただし 出版社は ここじゃない。 157 00:13:43,289 --> 00:13:45,224 えっ? 158 00:13:45,224 --> 00:13:48,628 実は 近々 出版社を作る事になったんだ。 159 00:13:48,628 --> 00:13:52,498 私も 編集長についていくの。 醍醐さんも? 160 00:13:52,498 --> 00:13:55,501 この「赤い鳥」のような➡ 161 00:13:55,501 --> 00:13:58,638 児童向けの本を作りたいと 思ってる。 162 00:13:58,638 --> 00:14:00,573 独立後の第1冊目として➡ 163 00:14:00,573 --> 00:14:04,444 君の あの話を出版したいと 思うんだが どうかな? 164 00:14:04,444 --> 00:14:07,246 ありがとうございます! 165 00:14:07,246 --> 00:14:11,117 もし 君が 本気で 執筆を続けていく気があるなら➡ 166 00:14:11,117 --> 00:14:14,587 東京に来ないか? 167 00:14:14,587 --> 00:14:17,490 新しい会社で 一緒に働いてほしい。 168 00:14:17,490 --> 00:14:20,259 きっと いろんな出会いが あるだろうし➡ 169 00:14:20,259 --> 00:14:22,929 君にとっても いい勉強になると思う。 170 00:14:22,929 --> 00:14:25,832 はなさん! 一緒に頑張りましょう。 171 00:14:25,832 --> 00:14:27,800 てっ…。 172 00:14:27,800 --> 00:14:30,603 この続きは また来週。 173 00:14:30,603 --> 00:14:34,907 ごきげんよう。 さようなら。