1 00:00:02,202 --> 00:00:06,139 (英治)火災に巻き込まれて… 郁弥は 逃げきれませんでした…。 2 00:00:06,139 --> 00:00:08,141 (平祐) そんな事 どうして分かるんだ? 3 00:00:08,141 --> 00:00:10,611 もう一度 捜しに行く。 父さん…。 4 00:00:10,611 --> 00:00:12,546 捜してみなきゃ 分からないじゃないか! 5 00:00:12,546 --> 00:00:14,481 郁弥は もういないんです! 6 00:00:14,481 --> 00:00:16,950 (かよ)お姉やん…。➡ 7 00:00:16,950 --> 00:00:21,622 もう一遍だけでもいいから 郁弥さんに会いてえ。 8 00:00:21,622 --> 00:00:27,961 (吉平) かよ。 一緒に甲府に帰らんけ? 9 00:00:27,961 --> 00:00:32,633 ううん。 大丈夫。 10 00:00:32,633 --> 00:00:36,937 おら 東京に残って みんなと頑張る。 11 00:00:38,505 --> 00:00:45,979 関東地方南部に壊滅的な被害を もたらした大震災から 半年。 12 00:00:45,979 --> 00:00:52,686 人々は 悲しみを乗り越え 復興に向け 歩き始めていました。 13 00:00:55,989 --> 00:01:02,262 村岡印刷は 全焼し 英治は 工事現場で働いています。 14 00:01:02,262 --> 00:01:05,599 (花子)英治さん。 力仕事は おなかがすくでしょう? 15 00:01:05,599 --> 00:01:08,268 ごはん ぎっしり詰めといたから。 16 00:01:08,268 --> 00:01:10,604 ありがとう。 17 00:01:10,604 --> 00:01:14,474 お父ちゃま こぴっと頑張って。 18 00:01:14,474 --> 00:01:17,945 行ってらっしゃい。 (歩)いってらっしゃい。 19 00:01:17,945 --> 00:01:22,282 おとうちゃま いってらっしゃい。 20 00:01:22,282 --> 00:01:24,618 ♬「これから はじまる」 21 00:01:24,618 --> 00:01:27,521 ♬「あなたの 物語」 22 00:01:27,521 --> 00:01:32,292 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 23 00:01:32,292 --> 00:01:36,630 ♬「虹色の雨 降り注げば」 24 00:01:36,630 --> 00:01:42,302 ♬「空は 高鳴る」 25 00:01:42,302 --> 00:01:47,641 ♬「眩しい笑顔の奥に」 26 00:01:47,641 --> 00:01:52,512 ♬「悲しい音がする」 27 00:01:52,512 --> 00:01:57,985 ♬「寄りそって 今があって」 28 00:01:57,985 --> 00:02:05,792 ♬「こんなにも 愛おしい」 29 00:02:05,792 --> 00:02:10,564 ♬「手を繋げば 温かいこと」 30 00:02:10,564 --> 00:02:16,470 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 31 00:02:16,470 --> 00:02:21,208 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 32 00:02:21,208 --> 00:02:26,613 ♬「道は 続くよ」 33 00:02:26,613 --> 00:02:36,957 ♬「風が運ぶ 希望の種」 34 00:02:36,957 --> 00:02:47,667 ♬「光が 夢のつぼみになる」 35 00:02:50,303 --> 00:02:52,606 おお こっちだ。 36 00:02:55,175 --> 00:02:57,978 (親方)奥さん! 37 00:02:57,978 --> 00:03:00,881 英治さん どうしたの? 大丈夫!? (かよ)お義兄さん。 38 00:03:00,881 --> 00:03:04,785 申し訳ねえ 奥さん。 足場から落ちちまって。 39 00:03:04,785 --> 00:03:07,487 落ちた? (親方)申し訳ねえ。 40 00:03:09,256 --> 00:03:12,159 (英治)ただの捻挫だよ。 41 00:03:12,159 --> 00:03:15,929 親方 いい人なんだけど ちょっと 大げさで。 42 00:03:15,929 --> 00:03:19,800 心配かけて すみません。 43 00:03:19,800 --> 00:03:23,804 慣れない力仕事なんか するからだ。 44 00:03:23,804 --> 00:03:31,111 お前までいなくなったら 私は どうしたらいいんだ。 45 00:03:36,249 --> 00:03:43,957 父さん。 僕たちは 一日も早く 会社を再建したいんです。 46 00:03:43,957 --> 00:03:46,860 郁弥さんの遺志を継いで➡ 47 00:03:46,860 --> 00:03:50,564 「王子と乞食」の単行本を 作りたいんです。 48 00:03:52,299 --> 00:03:55,202  回想 (郁弥)「王子と乞食」を 一冊の本にしませんか? 49 00:03:55,202 --> 00:03:57,170 装丁に工夫を凝らして➡ 50 00:03:57,170 --> 00:03:59,973 今までの日本にない 美しい本にしようよ。 51 00:03:59,973 --> 00:04:03,243 イギリスに負けないくらい! そうだな。 52 00:04:03,243 --> 00:04:06,913 やってみるか! うん! 53 00:04:06,913 --> 00:04:11,785 郁弥さんからもらった 「王子と乞食」の原書のおかげで➡ 54 00:04:11,785 --> 00:04:16,590 私は 翻訳の仕事を 続けてこられたんです。 55 00:04:16,590 --> 00:04:21,928 だから 恩返しのためにも 是非 実現させたいんです。 56 00:04:21,928 --> 00:04:24,598 銀行も いろいろ回ったけど➡ 57 00:04:24,598 --> 00:04:28,268 このご時世で どこも融資してくれません。 58 00:04:28,268 --> 00:04:34,274 会社を再建するお金がたまるまで 仕事を選んではいられないんです。 59 00:04:42,282 --> 00:04:46,953 おら 明日 早いので。 お義兄さん お大事に。 60 00:04:46,953 --> 00:04:51,258 (英治)ありがとう。 おやすみ かよ。 61 00:04:57,597 --> 00:05:01,234 震災で家をなくした かよは➡ 62 00:05:01,234 --> 00:05:08,241 大森の家で一緒に暮らしながら 食堂で働いていました。 63 00:05:13,580 --> 00:05:18,251 一方 あの駆け落ち事件から2年半➡ 64 00:05:18,251 --> 00:05:24,124 苦難を乗り越えて 幸せな家庭を築いた蓮子ですが…。 65 00:05:24,124 --> 00:05:28,895 (蓮子)龍一さん お上手。 66 00:05:28,895 --> 00:05:35,602 (龍一)村岡家の人たちに 特訓してもらったからね。 67 00:05:35,602 --> 00:05:39,472 よかったわね。 68 00:05:39,472 --> 00:05:42,943 ⚟(浪子)蓮子さん!➡ 69 00:05:42,943 --> 00:05:46,279 蓮子さん! 70 00:05:46,279 --> 00:05:48,982 はい! 71 00:05:51,618 --> 00:05:54,955 蓮子にとって 次なる苦難が…。 72 00:05:54,955 --> 00:05:57,858 全く もう…。 73 00:05:57,858 --> 00:06:03,763 遅い… 遅い… 遅い! 74 00:06:03,763 --> 00:06:09,769 この家の実権を握る 姑の浪子です。 75 00:06:31,791 --> 00:06:33,793 お呼びでしょうか。 76 00:06:33,793 --> 00:06:37,264 何時間 かかってるの? 77 00:06:37,264 --> 00:06:41,134 申し訳ございません。 もっと早く しゃべって! 78 00:06:41,134 --> 00:06:45,138 申し訳ございません。 79 00:06:45,138 --> 00:06:52,612 蓮子さん。 あなたねえ 伯爵家から正式に籍を抜かれて➡ 80 00:06:52,612 --> 00:06:55,515 もう 華族様じゃないのよ。 81 00:06:55,515 --> 00:07:01,421 ええ。 私 平民になりました。 82 00:07:01,421 --> 00:07:05,558 では こちらも 平民として扱います。 83 00:07:05,558 --> 00:07:11,898 蓮子さんに家事一切を譲って 私は 楽隠居させてもらうから。 84 00:07:11,898 --> 00:07:17,237 しっかり おやりなさい。 85 00:07:17,237 --> 00:07:20,240 まずは お掃除から。 86 00:07:23,109 --> 00:07:26,579 あっ な… 何 その絞り方は! 87 00:07:26,579 --> 00:07:31,885 もっと ちゃんと絞って! はい。 お義母様。 88 00:07:41,594 --> 00:07:43,930 お… 遅い…。 89 00:07:43,930 --> 00:07:48,802 遅い~… もう イライラするね~…。 90 00:07:48,802 --> 00:07:54,274 蓮子は 育ちが違うんだから 急には無理だよ。 91 00:07:54,274 --> 00:07:56,943 家事なんか やった事ないんだし。 92 00:07:56,943 --> 00:08:00,814 家事も満足にできないような嫁は 出てってもらうよ! 93 00:08:00,814 --> 00:08:02,749 はい! お義母様! 94 00:08:02,749 --> 00:08:06,453 まだ あんなとこだよ。 はっ! 95 00:08:08,221 --> 00:08:10,156 じゃあ 歩。 96 00:08:10,156 --> 00:08:13,560 お昼ごはんにしましょうね。 は~い。 97 00:08:13,560 --> 00:08:16,463 ただいま。 お帰り。 98 00:08:16,463 --> 00:08:18,431 かよ 今日は 早かったじゃんね。 99 00:08:18,431 --> 00:08:21,434 お姉やん。 宇田川先生から手紙が来てただよ。 100 00:08:21,434 --> 00:08:23,570 てっ…。 101 00:08:23,570 --> 00:08:27,240 こないだ 「働き口 紹介して下さい」って➡ 102 00:08:27,240 --> 00:08:29,175 手紙書いたさ。 103 00:08:29,175 --> 00:08:32,479 こんなに早く返事が来るなんて! 104 00:08:34,914 --> 00:08:41,254 (宇田川)「前略 私 昨年9月 すばらしい出会いがあり➡ 105 00:08:41,254 --> 00:08:43,189 結婚致しました」。 106 00:08:43,189 --> 00:08:45,592 てっ! 107 00:08:45,592 --> 00:08:50,463 (宇田川) 「あの震災で火の海となった町を 逃げている最中➡ 108 00:08:50,463 --> 00:08:52,932 たくましい男性に救われ➡ 109 00:08:52,932 --> 00:08:56,936 やがて 私たちは 恋に落ちました」。 110 00:08:58,805 --> 00:09:02,742 「震災で 多くの雑誌は廃刊に追い込まれ➡ 111 00:09:02,742 --> 00:09:06,479 私も あらゆる出版社との関係を 断ちましたが➡ 112 00:09:06,479 --> 00:09:08,415 今は 主人のおかげで➡ 113 00:09:08,415 --> 00:09:13,219 幸せでとろけそうな毎日を 送っております。➡ 114 00:09:13,219 --> 00:09:17,891 …という訳で 仕事の件は お役に立てませんので➡ 115 00:09:17,891 --> 00:09:19,826 ほかをあたって下さい」。 116 00:09:19,826 --> 00:09:22,128 (ため息) 117 00:09:39,913 --> 00:09:42,248 かよ…。 118 00:09:42,248 --> 00:09:47,921 あっ お姉やん。 おら 今夜から 屋台で働く事にしただ。 119 00:09:47,921 --> 00:09:49,856 屋台? 120 00:09:49,856 --> 00:09:53,259 今 働いてる食堂の人に 頼まれたから 引き受けただ。 121 00:09:53,259 --> 00:09:57,096 かよ… 働き過ぎだよ。 ちっと 体 休めんと。 122 00:09:57,096 --> 00:10:01,101 居候は 早くお金ためて 引っ越ししんきゃね。 123 00:10:01,101 --> 00:10:04,571 ほれじゃ 行ってきます。 ほんな無理しなんでも…。 124 00:10:04,571 --> 00:10:07,574 無理なんかしちゃいんさ。 125 00:10:17,584 --> 00:10:19,919 (梶原)やあ かよちゃん。 126 00:10:19,919 --> 00:10:23,256 どうも。 梶原さん お久しぶりです。 127 00:10:23,256 --> 00:10:29,596 聡文堂が焼けて 梶原は 古巣の出版社に戻りました。 128 00:10:29,596 --> 00:10:31,898 じゃ。 129 00:10:37,270 --> 00:10:39,606 うちの社長に相談したら➡ 130 00:10:39,606 --> 00:10:44,944 君を雇う余裕はないが 翻訳の仕事なら 回せるからと。 131 00:10:44,944 --> 00:10:49,616 てっ… ありがとうございます。 助かります。 132 00:10:49,616 --> 00:10:52,619 堅苦しい本なんだけど。 133 00:11:03,563 --> 00:11:05,899 是非 やらせて下さい! 134 00:11:05,899 --> 00:11:11,604 印刷会社を再建するために 少しでも仕事を増やしたいんです。 135 00:11:17,911 --> 00:11:21,214 (梶原)本当に寂しくなったね。 136 00:11:25,585 --> 00:11:31,457 梶原さん… もう一つ お願いがあります。 137 00:11:31,457 --> 00:11:34,594 梶原さんのところで➡ 138 00:11:34,594 --> 00:11:38,264 「王子と乞食」の単行本を 出して頂けないでしょうか。 139 00:11:38,264 --> 00:11:42,602 あの震災さえなかったら 聡文堂から出すはずだったんだ。 140 00:11:42,602 --> 00:11:45,939 是非 力になりたい。 141 00:11:45,939 --> 00:11:53,279 でも 僕は 今 学術書担当の 一編集者にすぎないんだ。 142 00:11:53,279 --> 00:12:01,087 それに 今 小説や児童文学は 歓迎されないからね。➡ 143 00:12:01,087 --> 00:12:05,792 引き受けてくれる出版社を 探すのは 難しいだろう。 144 00:12:10,563 --> 00:12:12,899 (英治)ただいま。 お帰りなさい。 145 00:12:12,899 --> 00:12:17,236 おとうちゃま おかえりなさい! 歩~! 146 00:12:17,236 --> 00:12:20,573 あっ 英治さん。 今日 梶原さんがいらして➡ 147 00:12:20,573 --> 00:12:23,242 翻訳の仕事を頂けたの。 148 00:12:23,242 --> 00:12:27,580 そうか! よかったね。 ええ。 149 00:12:27,580 --> 00:12:31,918 それから 梶原さんと話してるうちに➡ 150 00:12:31,918 --> 00:12:33,853 思いついた事があるの。 151 00:12:33,853 --> 00:12:35,788 村岡印刷を再建するなら➡ 152 00:12:35,788 --> 00:12:39,592 いっそ 出版社を兼ねた印刷会社に したら どうかしらって。 153 00:12:39,592 --> 00:12:43,263 そうすれば 「王子と乞食」の 単行本も出版できるでしょう。 154 00:12:43,263 --> 00:12:45,932 そうか 確かに。 その手があったな! 155 00:12:45,932 --> 00:12:50,603 郁弥が生きてたら 「グレート アイデア」って叫んだだろうな。 156 00:12:50,603 --> 00:12:55,274 よし。 じゃあ 出版と印刷の 両方ができる会社を作ろう。 157 00:12:55,274 --> 00:12:59,612 ええ。 (平祐)何を言ってるんだ。 158 00:12:59,612 --> 00:13:03,483 あの恐ろしい震災から まだ半年しか たってないんだぞ。 159 00:13:03,483 --> 00:13:08,888 住む所も着る物も 何も足りていないのに➡ 160 00:13:08,888 --> 00:13:15,194 誰が物語の本なんか買うんだ。 161 00:13:16,763 --> 00:13:19,766 父さん…。 162 00:13:26,439 --> 00:13:31,444 それから 数日後の事でした。 163 00:13:33,112 --> 00:13:36,115 いらっしゃい。 …てっ! 164 00:13:36,115 --> 00:13:40,253 かよちゃん ごきげんよう。 蓮子さん!➡ 165 00:13:40,253 --> 00:13:42,588 さあ どうぞ 座って下さい。 166 00:13:42,588 --> 00:13:47,260 ああ… どうぞ どうぞ。 恐れ入ります。 167 00:13:47,260 --> 00:13:53,966 まあ おいしそう。 とりあえず 冷やを。はい。 168 00:13:56,269 --> 00:13:59,272 頂きます。 169 00:14:05,878 --> 00:14:08,214 おいしい。 170 00:14:08,214 --> 00:14:12,885 蓮子さん。 龍一さんと純平君は? 171 00:14:12,885 --> 00:14:19,225 お姑さんと おうちにいるわ。 172 00:14:19,225 --> 00:14:23,896 ひょっとして 家出でもしてきたですか? 173 00:14:23,896 --> 00:14:27,233 まさかですよね。 174 00:14:27,233 --> 00:14:30,903 その まさかなの。 175 00:14:30,903 --> 00:14:33,239 てっ? 176 00:14:33,239 --> 00:14:39,545 私… 今夜は 帰りたくない。 177 00:14:43,883 --> 00:14:48,788 主婦になった蓮子に 一体 何があったのでしょう? 178 00:14:48,788 --> 00:14:53,793 ごきげんよう。 さようなら。